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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
管理番号 1338372 
異議申立番号 異議2016-900375 
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-11-28 
確定日 2018-02-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5877027号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5877027号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5877027号商標(以下「本件商標」という。)は、「MacEdge」の欧文字を書してなり、平成28年3月10日に登録出願、第9類「コンピュータ周辺機器,コンピュータ用インターフェース,ラップトップ型コンピューター用保護ケース,電子信号送信機,ラジオ送受信機,プラグ、ソケットその他の電気接続具,電線用接続具,データ処理装置用カプラー,データ処理装置,読取り装置(データ処理装置),コンピュータ用のキーボード用埃よけカバー,インターネット用通信機器」を指定商品として、同年8月5日に登録査定、同月26日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
1 申立人に係る「Mac」商標の周知著名性について
米国カリフォルニア州に本社を置く申立人、アップル インコーポレイテッド(Apple Inc.)は、「世界の最も価値あるブランドランキング」で首位を獲得する(甲1)など、高い知名度を誇る米国の法人であり、当該ランキングにおいては、2011年から6年連続で首位の座を維持している世界的に有名な企業である(甲2,甲3)。
申立人は、コンピュータ機器のほか、スマートフォン、スマートウォッチ、ソフトウェア、テレビ、音楽、ヘッドフォン等の分野で世界のリーディングカンパニーとなっており、スマートフォン「iPhone」、タブレットコンピュータ「iPad」、パーソナルコンピュータの「Mac」シリーズ等を製造・販売している会社として著名である(甲4)。特に「Mac」シリーズは、申立人の代表製品の一つであって、デスクトップ型コンピュータ「iMac」「Mac Pro」「Mac mini」、ラップトップ型コンピュータ「MacBook」「MacBook Air」「MacBook Pro」といった製品名で販売されている(甲4)。
「MAC」の文字は、申立人のコンピュータ「Macintosh」の通称・略称として「Mac」(マック)に何らかの文字を加えた「Mac」シリーズとして用いられている(甲5,甲6)。又は、マイクロソフト社のオペレーティングシステム「Windows」に対する申立人のオペレーティングシステム「Mac OS」の意味合いでも「Mac」が使用されている(甲7)。
また、申立人の「Mac(マック)」を題材とした書籍も多数販売されている(甲8)。
以上のとおり、「Mac」ないし「マック」は、申立人のコンピュータないしオペレーティングシステムを示す商標として我が国において広く知られている。
2 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、欧文字「MacEdge」からなり、「M」及び「E」が大文字で表されており、視覚上、本件商標は2つの語「Mac」と「Edge」からなることが容易に理解できる。
そして、上記1のとおり、「Mac」の語が申立人の商標として広く一般に理解されているものであるのに対し、「Edge」の語は「端、へり」等の意味を有する平易な英単語であることからしても、本件商標は、申立人の著名商標「Mac」(以下「申立人商標」という。)と既成語「Edge」を組み合わせた構成からなるものと容易に理解されるものである。
さらに、外観における文字のフォントについても、申立人が使用しているフォントと極めて高い近似性を有している(甲9?甲13)。
特許庁の審査基準において「他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して、取り扱うものとする。」と規定されていることからも、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当することが明らかである。
加えて、本願の指定商品は、申立人商標が特に知られている分野と同じ指定商品分野であって、申立人の主力製品であるコンピュータを含むものであるから、その需要者の範囲や販売部門等も一致する。
したがって、本願商標がその指定商品に使用されれば、その指定商品の分野における需要者は、それらの商品が申立人の業務に係る商品ないし申立人と何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
本件商標権者のインターネットサイト(甲14)を見ると、そのウェブサイトの構成及び受ける印象は申立人のものと極めて近似しており、写真の無断転用も確認できる(甲15)。また、サイト内には多くの申立人の製品が登場しており、本件商標に接した需要者は申立人と経済的又は組織的な関係がある者、あるいは申立人から公式の許可を受けた者に係る製品と誤認することは明らかである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。

第3 取消理由の通知
審判長は、本件商標権者に対して、「本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認められるから、同法第43条の3第2項の規定に基づいて取り消すべきものである。」旨の取消理由を平成29年6月2日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第4 本件商標権者の意見
本件商標権者は、前記第3の取消理由の通知に対し、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
1 申立人商標の周知著名性について
(1)申立人の提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 申立人は、米経済誌フォーブスの2016年版「世界の最も価値のあるブランド」ランキング(2016年5月12日)によると、依然として首位を維持している旨の記載があり(甲1,甲2)、「fashionsnap.com」のウェブサイト(2016年5月14日)には、「アップル(Apple)は、6年連続で1位の座をキープしている。」の記載がある(甲3)。
イ 申立人の開発及び販売に係るパーソナルコンピュータである「Macintosh(マッキントッシュ)」は、「Mac(マック)」と通称・略称されている(甲5,甲6)。
ウ IT用語辞典weblio辞書のウェブサイトには、「Macintosh」の項があり、「別名:Mac,マック」、「Macintoshは、基本的に、独自開発のハードウェアとOS(Mac OS)をセットで提供している。」及び「2008年8月現在、発売されているのは、デスクトップパソコンのMacPro、iMac、Mac mini、ノートパソコンであるMacBook Pro、MacBook、MacBook Airである。」の記載がある(甲6)。
エ 申立人のウェブサイトには、申立人が開発・販売するコンピュータとして、「MacBook」、「MacBook Air」、「MacBook Pro」、「iMac」、「Mac Pro」、「Mac mini」が掲載され、これら商品について「Macのモデルを比較する。あなたにぴったりのMacを見つける」、「Macのためのアクセサリ」、「教育のためのMac」等のように「Mac」と略称している(甲4,甲9?甲13)。
また、フリー百科事典「ウィキペディア」においては、申立人が開発・販売する、オペレーティングシステム「macOS(マックオーエス)」、「Mac OS X(マック オーエス テン)」等について、「Macのオペレーティングシステム」のように「Mac」と略称した記載がある(甲7)。
オ 申立人の「Mac」を題材にした書籍が多数販売されている(甲8)。
(2)職権による調査によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 新聞記事データベース
(ア)2005年3月8日付け毎日新聞東京夕刊2頁には、「特集WORLD:アップルコンピュータ、続く大攻勢 その背景と行方は」の見出しの下、「『04年10?12月期だけで全世界のマック(Mac)の出荷台数が初めて100万台を突破しました』とアップル日本法人の竹林賢(たかし)広報部長。マックは104万6000台(前年同期比26%増)、iPodは458万台(同525%増)。米アップルはこの時期に売上高で過去最高の34億9000万ドル(前年同期比74%増)を達成した。」の記載がある。
(イ)2010年2月11日付け日刊工業新聞13頁には、「主要地区・中古パソコン/東京-『Mac』販売好調」の見出しの下、「【東京】1月の東京地区はアップルの『Mac』デスクトップパソコンが好調だった。」の記載がある。
(ウ)2015年6月27日付け朝日新聞東京朝刊13頁には、「(てくの生活入門)パソコンの夏モデルを選ぶ 無料アップグレードにも対応」の見出しの下、「ウィンドウズパソコンではありませんが、iPhoneやiPadでおなじみのアップル製『Mac』も独自の使いやすさがあります。『オフィス』のMac版も発売されています。」の記載がある。
(エ)2015年12月21日付け日本証券新聞2面には、「IPO社長会見 アークン・サクサと提携して販売拡大、IoT対応も視野に」の見出しの下、「・・・当社製品はパソコンに多用されるWindows向けだが、現在はMacやAndroidなどへの対応も開発中。」の記載がある。
(オ)2016年2月1日付け外食レストラン新聞には、「飲食店のデジタル活用(51)タブレット端末が出荷台数を逆転」の見出しの下、「●今が中古ノートパソコン購入に最適 数年前とほぼ変わらぬ性能・・・販売台数を伸ばしているのはアップルのMacぐらいだ。」の記載がある。
(カ)2016年4月4日付け外食レストラン新聞には、「飲食店のデジタル活用(53)マイクロソフトが新型ノートPC」の見出しの下、「●アップルのマックに負けぬデザイン ウィンドウズの救世主となるか・・・いま、特に若い人たちの間では、『Windowsパソコンはダサい、格好良いのはアップルのMacパソコン』という評価が定着している。」の記載がある。
イ 辞書類
(ア)「日経パソコン用語事典 2009年版」(日経BP社 2008年10月20日発行)の248頁には、「Mac/マック」の項があり、「Macintoshの略称。Macintosh用のソフトやハードは、Mac OSやiMac、MacBookなどのように、この略称を用いた製品名が多い。」の記載がある。
(イ)「標準パソコン用語事典 最新2009?2010年版」(株式会社秀和システム 2009年1月15日発行)の1014頁には、「Mac(マック)」の項があり、「米国Apple社で製造、販売するパーソナルコンピュータMacintoshシリーズの略称、または愛称。」の記載がある。
(ウ)「現代用語の基礎知識」(自由国民社 2013年1月1日発行)の682頁には、「マック(マッキントッシュ)[Mac;Macintosh]」の項があり、「アップル社が発売している独自仕様のパソコン。」の記載がある。
(エ)「最新/一目でわかる商品・ブランド地図」(株式会社日本実業出版社 1995年8月20日発行)の198頁及び199頁には、「パーソナルコンピュータ(NEC・PC-98の独走続く/アップルのマックも台頭)」の見出しの下、「一部マニアの間で人気のあった米国アップル社のマッキントッシュは、90年代に入って低価格路線を推進。グラフィック処理の弱いPC-98の間隙を縫って、マック・クラシック、マックLCが国内市場にも浸透し始めた。」の記載がある。
ウ インターネットの情報
(ア)マイナビニュースのウェブサイト(http://news.mynavi.jp/news/2012/07/10/043/)には、「WindowsとMacのシェア、27年間の推移を比較したデータが話題に」(2012年7月10日)の見出しの下、「1984年の初代Macintosh登場以来、Windowsを含むPCマシンにシェアの差を広げられ続けていたMacだが、2004年からその関係が反転し、その差をピーク時の3分の1まで縮めている。」の記載がある。
(イ)ASCIIのウェブサイト(http://ascii.jp/elem/000/001/104/1104481/)には、「2015年の全世界のPC出荷台数が明らかに/PC市場でMacのシェアが拡大!Windows10でもPC総出荷台数は伸びず」(2016年1月13日)の見出しの下、「さて本日、調査会社であるIDCとガートナーの両者が2015年のPCマーケットシェアを発表しました。・・・Macのシェアは7%強とほぼ同じですね。」の記載がある。
(3)上記(1)及び(2)の事実からすれば、申立人は、ブランドランキングにおいて2010年頃から1位をキープしている会社であって、申立人が製造、販売するパーソナルコンピュータ「Macintosh」は、本件商標の登録出願時より前から「Mac」及び「マック」と略称されており、その状態は登録査定時においても継続していた。
そして、申立人は、Macintoshのシリーズ商品として「MacBook」、「MacBook Air」、「MacBook Pro」、「iMac」、「Mac Pro」、「Mac mini」等の「Mac」シリーズを製造、販売しており、これらのハードウェアと「Mac」シリーズのオペレーティングシステム(OS)として、「macOS(マックオーエス)」、「Mac OS X(マック オーエス テン)」も製造、販売している。
また、PC市場において、「Mac」シリーズ商品のシェアも相当程度占めているといい得るものである。
そうとすると、申立人が製造、販売するパーソナルコンピュータの略称である「Mac」商標、すなわち、申立人商標は、申立人の業務に係る商品「パーソナルコンピュータ」(以下「申立人商品」という。)を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において需要者の間に広く認識されていたというべきである。
2 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、前記第1のとおり、「MacEdge」の欧文字からなるものであるところ、その構成中、語頭の「M」と中間部の「E」が大文字で表され、その余の文字が小文字で表されていることから、「Mac」の文字と「Edge」の文字とを結合してなるものであると直ちに看取される。
そして、本件商標の構成中の「Mac」の文字部分は、上記1(3)のとおり、申立人商品を表すものとして、本件商標の登録査定時はもとより、登録出願時においても、既に、我が国のコンピュータ関連の分野の取引者、需要者の間に広く認識されている申立人商標「Mac」と、そのつづりを同じくするものである。
また、同じく「Edge」の文字部分は、「端、へり」の意味を有する平易な英単語であり、さほど強い識別力を発揮するものともいえず、また、「Mac」の文字と結合して何らかの意味合いを持つものともいえない。
さらに、本件商標の指定商品と申立人商品とは、その製造販売者、取引者、需要者層、販売場所等を共通にするというべきであるから、両者は、類似する商品、あるいは関連性の強い商品というのが相当である。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用した場合、本件商標に接した取引者、需要者は、本件商標全体として特定の意味を把握できないこと、その構成中、特に注意を惹きやすい語頭に「Mac」の文字を有していること、申立人商品に使用している申立人商標が著名であることから、本件商標の構成中「Mac」の文字部分に強く印象づけられ、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認められるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する
異議決定日 2017-09-28 
出願番号 商願2016-26201(T2016-26201) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (W09)
最終処分 取消  
前審関与審査官 矢澤 一幸 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 酒井 福造
網谷 麻里子
登録日 2016-08-26 
登録番号 商標登録第5877027号(T5877027) 
権利者 ギガゾーン インターナショナル カンパニー リミテッド
商標の称呼 マックエッジ、マック 
代理人 橋本 良樹 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 幡 茂良 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
代理人 小出 俊實 
代理人 吉田 親司 

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