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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z03
管理番号 1338356 
審判番号 取消2017-300160 
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-03-06 
確定日 2018-01-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第543313号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第543313号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、昭和33年9月11日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同34年10月20日に設定登録され、その後、平成13年2月28日に、その指定商品を第3類「おしろい,化粧水,クリーム,頭髪用化粧品(染毛剤を除く),香水類,マスカラー,ネイルエナメル,ネイルエナメル除去剤,パック用化粧料」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める旨述べ、その理由を審判請求書、平成29年6月2日付け審判事件弁駁書及び同年7月9日付け上申書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の使用に係る商品について
被請求人の使用に係る商品は、「化粧水」と思われるので、それが本件商標の指定商品の範囲に属するものであることは問題ない。
(2)本件商標と使用例として挙げた標章との同一性について
本件商標は、「Calm」の筆記体と「カーム」の筆記体とを二段に併記したものであるところ、書体の変更やアルファベット又は片仮名のみの単独使用は、それが「商標」としての使用を逸脱しない限りにおいては、一般に同一性が許容されることが多い。
しかしながら、被請求人が使用例として挙げたものは、後部に「ローション」又は「LOTION」という他の語が結合した「カームローション」又は「CALM LOTION」等を基調とする表示であり、別の外観を有し、別の称呼及び概念を生じるものであって、一般名称、慣用名称としての表示になってしまっていると認識されるものである。
すなわち、本件商標は、一般に「穏やかな」、「静かな」、「落ち着いた」といったマイルドな意味合いを有する語からなるものであって、化粧品に使用する場合には、その効能や使い心地を表現するものであることから、「Calm」又は「カーム」の文字を単独で普通の字体をもって書したときは、商標法第3条第1項第3号による拒絶の対象となることが明白である。
また、化粧品業界では、例えば、「CALMLOTION」の説明として「CARMING BODY LOTION FOR RELAXATION.」と記載されている(甲5)ように、「カームローション」又は「CALMLOTION」は、「穏やかな使い心地の化粧水」のような普通名称慣用商標として普通に使用されている(甲4?甲6)。
そうすると、「カームローション」又は「CALM LOTION」自体には、何ら出所表示機能はなく、被請求人が提出した乙第2号証に示された例では、下線を伴った「727」や「S」のロゴ、パッケージなどによる特異性がなければ出所を特定できないものである。
したがって、本件商標は、二段書きや書体といったその特殊な表記をもって登録を認められたものと考えるのが妥当であり、上記使用例は、本件商標との同一性を逸脱したものである。
(3)被請求人又は本件商標の通常使用権者のホームページについて
請求人は、事前に被請求人又は本件商標の通常使用権者の最新のホームページを閲覧していたが、被請求人提出の総合カタログ(乙3?乙6)の内容は、通常、727化粧品のホームページのいずれかに反映されていると思われるところ、そのホームページ(甲7)には、ローションも掲載されているにもかかわらず、被請求人が証拠として提示した商品が見いだせないのは不思議である。
また、「カームローション クール 03」をネット検索しても、一致する情報は見つからず、「カーム」又は「カームローション」でネット検索しても、被請求人が証拠として提示した商品でさえ、一般に流布されている痕跡すら確認できないのは不思議である。
(4)「カーム」又は「CALM」に他の語が付加された商標の登録例について
「カーム」又は「CALM」の前又は後に他の語が付加されたものは、それが業界での普通名称又は慣用商標でない限り、本件商標とは非類似のものとして登録されている(甲8?甲11)ことからすれば、仮に、「CALMLOTION」又は「カームローション」が普通名称又は慣用商標に該当しないとしても、それらは、本件商標とは何ら類似せず、同一性がないと考えるのが妥当である。
第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を平成29年5月15日付け審判事件答弁書、同年8月18日付け口頭審理陳述要領書、同年9月7日付け上申書及び同月29日付け上申書(2)において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第33号証を提出した。
1 審判事件答弁書
被請求人である本件商標権者及び本件商標の通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という場合がある。)に日本国内において、本件商標をその指定商品について使用している。
(1)本件商標権者による使用
ア 乙第1号証は、平成26年3月20日付け、同27年3月20日付け、同28年3月20日付け及び同29年1月20日付けで本件商標権者が発行した売上伝票であり、いずれも要証期間に発行されたものである。当該売上伝票によれば、本件商標権者は、株式会社セブンツーセブン(以下「セブンツーセブン」という。)に対し、商品名を「カームローション クール 03」とする商品を販売した事実が認められる。
そして、上記商品名「カームローション クール 03」のうち、「ローション」は化粧水を、「クール」は商品の効能を表し、「03」は単なる数字であるから、当該商品名中の「カーム」の文字部分が独立して自他商品識別機能を果たすといえ、本件商標から生じる「カーム」と同一の称呼を生じるから、当該文字部分は、本件商標と社会通念上同一の商標である。
イ 乙第2号証は、上記アにおいて述べた商品名「カームローション クール 03」という商品(化粧水)の包装箱及び商品容器の写真であり、当該包装箱及び商品容器には、「CALM LOTION」の文字と「COOL」の文字が二段書きされているところ、「LOTION」は化粧水を、「COOL」は商品の効能を表すものであるから、当該文字中の「CALM」の文字部分が独立して自他商品識別機能を果たすといえ、本件商標と書体は異なるものの、つづりが同一であり、同一の「カーム」の称呼を生じるから、当該文字部分は、本件商標と社会通念上同一の商標である。
ウ 上記ア及びイによれば、本件商標権者は、要証期間に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中の「化粧水」の包装に本件商標と社会通念上同一の商標を付したものを譲渡する行為(商標法第2条第3項第2号)を行ったといえる。
(2)本件商標の通常使用権者による使用
ア 乙第3号証は、2014年(平成26年)12月22日付け、2016年(平成28年)3月3日付け及び2017年(平成29年)1月19日付けでセブンツーセブンが発行した納品書であり、いずれも要証期間に発行されたものである。当該納品書によれば、セブンツーセブンは、商品名を「727 カームローション クール」とする商品を日本国内の法人に販売した事実が認められる。
そして、上記納品書に記載された「727 カームローション クール」の商品名には、乙第1号証の売上伝票に記載された商品名「カームローション クール」が含まれていることから、当該納品書(乙3)に記載された商品は、本件商標権者から購入し、納品されたものとみるのが相当である。
また、上記納品書に記載された商品名中の「727」部分は、乙第2号証に係る写真も加味すると、商品「化粧水」の包装箱及び商品容器の下部に表されたハウスマーク「727」を表示したものとみるのが相当であり、他の部分とは独立して自他商品識別標識として機能する部分である。
さらに、上記納品書に記載された商品名中の「ローション」及び「クール」は、上述のとおり、化粧水及び商品の効能を表すものであるから、当該商品名中の「カーム」の文字部分が独立して自他商品識別機能を果たすといえ、本件商標から生じる「カーム」と同一の称呼を生じるから、当該文字部分は、本件商標と社会通念上同一の商標である。
イ 乙第4号証、乙第6号証及び乙第8号証は、それぞれ、セブンツーセブンの「2015年総合カタログ」、「2016年総合カタログ」及び「2017年総合カタログ」(以下、これらをまとめて「総合カタログ」という場合がある。)であり、これらのカタログは、要証期間である2015年1月13日、2016年1月8日及び2017年1月11日に、各20,000部ずつ納品されている(乙5、乙7、乙9)。
そして、上記総合カタログには、乙第2号証に係る写真に写っている商品容器と同じものが掲載され、その商品名として「カームローション クール」の記載があるところ、当該商品容器にある「CALM LOTION」の文字と「COOL」の文字とを二段書きしてなる表示及びその商品名は、上述のとおり、本件商標と社会通念上同一の商標である。
なお、上記総合カタログにある「株式会社セブンツーセブン化粧品」、「セブンツーセブン化粧品」の記載は、セブンツーセブンの屋号である(乙10)。
ウ 本件商標権者とセブンツーセブンとは、グループ会社であり(乙10)、本件商標権者がセブンツーセブンの製造部門として設立された会社であることを踏まえると、セブンツーセブンは、本件商標権者から本件商標の使用について許諾を受けた通常使用権者といえる。
エ 上記アないしウによれば、本件商標の通常使用権者であるセブンツーセブンは、要証期間に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中の「化粧水」の包装に本件商標と社会通念上同一の商標を付したものを譲渡する行為(商標法第2条第3項第2号)を行ったといえる。
また、セブンツーセブンは、要証期間に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中の「化粧水」に関する広告に本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)を行ったといえる。
2 口頭審理陳述要領書
(1)乙第2号証に係る写真について
乙第2号証に係る写真は、セブンツーセブンが保管していた商品(化粧水)の包装箱及び商品容器を撮影したものであるが、当該包装箱及び商品容器における表示は、2003年に変更されており、乙第2号証に係る写真に写っているものは、その変更前のものである。
そこで、乙第1号証の売上伝票に記載された商品に相当する現在の商品の包装箱及び商品容器の写真(乙11)を再提出する。
なお、商品「カームローション クール」については、上記2003年の変更後も、セブンツーセブンから取引者、需要者への販売名は「カームローション クール」で変更がなかったが(乙3)、本件商標権者の売上伝票等では、社内の取扱いの便宜上、「カームローション クール 03」と「03」を付記するようになっていた。乙第1号証の売上伝票における商品名が「131061カームローション クール 03」と記載されているのもこのためである。
再提出する写真(乙11)は、要証期間外に撮影されたものではあるが、上記のとおり、乙第1号証の売上伝票に記載された「カームローション クール 03」の写真に相当するものであることは明らかである。
(2)商品「カームローション クール」の総合カタログ掲載の商品容器と乙第2号証に係る写真の商品容器に付された商標の同一性について
乙第2号証に係る写真に写っている商品容器に付された商標が総合カタログ(乙4、乙6、乙8)に掲載されている商品容器の画像に付された商標と異なる理由は、上記(1)のとおりである。
そして、乙第11号証に係る写真に写っている商品容器と総合カタログに掲載されている商品容器とは、各々に付されている「CALM LOTION」及び「COOL」の各文字を二段に表してなる標章と下線を伴った「727」の数字を表してなる標章との間隔はもちろんのこと、商品形状も同一である。
したがって、乙第11号証に係る写真に写っている商品容器と総合カタログに掲載されている商品容器に付された商標は同一であり、これに、本件商標権者とセブンツーセブンがグループ会社であること(乙10)、セブンツーセブンが顧客にあてて発行した納品書(乙3)、総合カタログ及びその納品書(乙4?乙9)を併せ見れば、通常使用権者であるセブンツーセブンが、要証期間に日本国内において、顧客に対し、本件商標に係る商品「カームローション クール」を販売していたことは明らかである。
なお、乙第11号証に係る写真に写っている包装箱及び商品容器に表示された文字中、「LOTION」は、化粧水を意味する語であり、「COOL」は、商品「化粧水」との関係では付け心地が「冷たい」といった商品の効能を表す語であるから、これら以外の文字「CALM」の部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすといえるところ、当該「CALM」の文字は、本件商標の構成中の「Calm」の文字と書体が異なるのみで、つづりが同一であり、同一の「カーム」の称呼を生じるため、本件商標と社会通念上同一の商標である。
(3)総合カタログの頒布について
総合カタログは、毎年、1回制作し、2月頃に取引先に頒布しており、このことは、乙第12号証ないし乙第14号証に係る各納品書からも明らかである。
(4)請求人の主張に対する反論
ア 書体の変更について
売上伝票(乙1)に記載の「カームローション クール 03」、納品書(乙3)に記載の「727 カームローション クール」及び総合カタログ(乙4、乙6、乙8)に記載の「カームローション クール」中の「カーム」の文字並びに当該総合カタログに掲載されている商品容器及び乙第11号証に係る写真に写っている商品容器に付されている「CALM LOTION」中の「CALM」の文字は、いずれも活字体で表されている一方、本件商標は、その構成中、「Calm」の文字が筆記体、「カーム」の片仮名が活字体で表されているところ、当該売上伝票等に記載された「カーム」の文字及び商品容器に付された「CALM」の文字と本件商標とは、その書体が異なるものの、「カーム」及び「Calm」の文字としては、いずれも共通する。
また、上記「カーム」の文字及び「CALM」の文字から生じる称呼と本件商標から生じる称呼とは、「カーム」で共通する。
そうすると、上記「カーム」の文字及び「CALM」の文字と本件商標とは、社会通念上同一の商標と判断すべきであり、この程度の書体の相違は、社会通念上同一のものであることを否定する理由にはならないというべきである。
イ 他の語を付加したことにより、別の外観を有し、別の称呼及び観念を生じるものであって、普通名称慣用商標としての表示となっている旨の主張について
(ア)「Calm」又は「カーム」の文字は、一般に「穏やかな」、「静かな」、「落ち着いた」などといった意味合いを有する語であるが、化粧水の効能や使い心地を直接的に認識させるものとはいい難く、請求人が主張する「穏やかな使い心地の化粧水」とは、具体的にいかなる効能の化粧水か不明である。
そうすると、「Calm」又は「カーム」の文字に他の語である「LOTION」又は「ローション」の文字を付加することにより、「Calm」又は「カーム」と異なる観念を生じるとはいえず、「カームローション」又は「CALM LOTION」は、化粧水の普通名称とも認められない。
(イ)請求人が挙げる甲第5号証において、「CALM LOTION」の説明として、「CARMING BODY LOTION FOR RELAXATION.」と記載されている例については、これが、英語のウェブページであって、我が国の取引者、需要者を対象としたものではないことから、「CALM LOTION」が「穏やかな使い心地の化粧水」を意味するものとして、我が国の取引者、需要者に普通に認識されていることの立証とはならない。
また、請求人が挙げる甲第4号証ないし甲第6号証は、「Amazon」、「楽天」、「@cosme」に係るものを除けば、利用者も不明なサイトを含めた複数のサイトにおいて各1点程度の掲載例であって、どの程度の期間使用されているかも不明であるし、甲第4号証に係る商品は、甲第6号証に係るサイトの掲載商品の1つにすぎず、甲第5号証に係る商品のうち、我が国のサイト上のものは、画像が不鮮明であるし、その他のものは、我が国の需要者向け販売とはいえない外国のサイトのものである。
そうすると、甲第4号証ないし甲第6号証をもって、「カームローション」又は「CALM LOTION」が慣用商標として使用されているとは到底いえない。
ウ 審判決例及び併存例について
(ア)平成27年(行ケ)第10032号判決、取消2005-30800号審判事件の審決に照らすと、本件の場合、「カームローション」中の「ローション」の文字及び「CALM LOTION」中の「LOTION」の文字は、いずれも化粧水を意味する語であって、商品の普通名称にすぎず、自他商品識別機能がないことは明らかであるから、その機能があるのは、「カーム」又は「CALM」の文字部分のみである。そして、当該「カーム」又は「CALM」の文字は、片仮名又は欧文字の使用であり、本件商標とは構成態様において異なる点があるとしても、それぞれから生じる「カーム」の称呼及び「穏やかな」、「静かな」、「落ち着いた」などといった観念を同じくするものであり、本件商標とは自他商品識別標識としての実質的な差異はないから、本件商標と社会通念上同一といえる。
したがって、「カームローション」又は「CALM LOTION」の使用は、本件商標の構成中の「カーム」又は「Calm」のいずれかを単独で使用した場合と同様に解することができ、本件商標と社会通念上同一の商標と解すべきである。
(イ)請求人が併存例として挙げる登録(甲8?甲11)は、いずれも「CALM」又は「カーム」に付加された語が、各々の指定商品との関係では自他商品識別機能を果たす語であり、「カームローション」又は「CALM LOTION」の場合とは事情を異にするものであるから、売上伝票(乙1)、納品書(乙3)及び総合カタログ(乙4、乙6、乙8)の記載された「カーム」の文字並びに当該総合カタログ及び乙第11号証の写真に係る商品容器に付された「CALM」の文字と本件商標とが非類似であることの根拠とはならず、両者の同一性の有無にも何ら影響しない。
したがって、上記登録例があることは、「カームローション」又は「CALM LOTION」が本件商標と社会通念上同一の商標であることを否定する理由とはならない。
3 平成29年9月7日付け上申書
化粧品業界においては、「カーマインローション(Carmine lotion)」、「カラミンローション」という用語があり、化粧品事典(乙15)によれば、「カーマインローション(Carmine lotion)」は、日焼けした肌のほてりを鎮めることを目的に使用される多層式の化粧水の総称であり、過去に、酸化亜鉄(カラミン)を配合した化粧水がカラミンローションと呼ばれていたことによるものである。
他方、「カームローション」又は「CALM LOTION」といった用語は、化粧品事典には掲載されておらず、これらが化粧水の普通名称慣用商標として使用されているとは認められない。
したがって、本件商標を構成する「Calm」及び「カーム」の文字が、識別標識としての機能を喪失しているとはいえない。
4 平成29年9月29日付け上申書(2)
(1)本件商標の使用について
ア 被請求人(本件商標権者)による本件商標の使用
被請求人である本件商標権者は、要証期間に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標を付した「CALM LOTION\COOL」又は「カームローション クール」という商品名の化粧品(以下「本件商品」という場合がある。)を製造し、それを本件商標の通常使用権者であるセブンツーセブンに譲渡した(乙1、乙11)ことから、その行為は、商標法第2条第3項第1号及び同項第2号に該当する。
イ 本件商標の通常使用権者による本件商標の使用
本件商標の通常使用権者であるセブンツーセブンは、要証期間に日本国内において、被請求人(本件商標権者)から購入した本件商品を第三者に譲渡した(乙3)ことから、その行為は、商標法第2条第3項第2号に該当し、また、本件商標と社会通念上同一の商標が記載された商品カタログを作成し、頒布した(乙4?乙14)ことから、その行為は、同項第8号に該当する。
(2)被請求人(本件商標権者)とセブンツーセブンとの関係について
被請求人(本件商標権者)とセブンツーセブンとは、いずれも非上場のオーナー企業であり、株式の相互保有に加えて他の個人株主も創業家で同一であるほか、役員も一部共通しており、実質的に同じ経営支配の下にあるという非常に近い関係にある。
すなわち、両者は、元々一つの会社(株式会社セブンツーセブン)であったが、その製造部門が昭和36年に独立して設立された会社が「株式会社セブン化学」(被請求人)であり(乙16)、その後、セブンツーセブンは、被請求人(本件商標権者)により製造された商品の販売に特化した会社となった(乙10)。
また、被請求人(本件商標権者)の代表取締役Aは、セブンツーセブンの代表取締役を兼任しており、セブンツーセブンの代表取締役Bは、被請求人(本件商標権者)の取締役を兼任している(乙17、乙18)。
さらに、被請求人(本件商標権者)とセブンツーセブンとは、相互に株式を持ち合っているほか、他の株主も「当該会社の持株会社」、「代表取締役その他の個人株主(いずれも同姓)」及び「有限会社和信」となっている(乙19、乙20)等、現在でも役員、株主が共通した関係にある。
上記の沿革及びその後の関係によれば、保有している商標の使用許諾関係は、被請求人(本件商標権者)とセブンツーセブンとの間において、各社の機能に応じて当然のものであって、製造部門である被請求人を商標権者として昭和34年に登録された本件商標も、販売会社であるセブンツーセブンが使用することは当然のこととして、当時から許諾されているものである。
したがって、セブンツーセブンは、被請求人(本件商標権者)の許諾に基づいて、通常使用権者として、本件商標が付された商品を美容サロン等の取引先へ販売し(乙3)、商品の販売に係る宣伝広告物を作成し、本件商標を広告においても使用している(乙4?乙14)。
(3)総合カタログ掲載商品のホームページ掲載について
被請求人(本件商標権者)及び通常使用権者であるセブンツーセブンが販売しているカタログ掲載商品は、総合カタログ(乙4、乙6、乙8)に「セブンツーセブン化粧品は、全国6,500店の『ヘア&フェイスサロン(R)』でお求めください。」と記載されているとおり、一般消費者に直接販売するいわゆる「BtoC商品」ではなく、「ヘア&フェイスサロン」といった美容院等の店舗を通じて販売する商流の「BtoB商品」である。
通常使用権者であるセブンツーセブンは、オンライン販売も行っておらず、ウェブサイトへの掲載は、各取引先や最終顧客に対する補助的なものであり、全ての商品をウェブサイトに掲載する取扱いはしていないため、例えば、総合カタログの掲載商品中、「化粧小物」に係る各種商品は、ウェブサイトに掲載されていない(甲7)。
また、本件商品は、現在も取引先からの注文に応じて、一定数量の販売は継続しているが(乙3)、販売開始から15年以上も経過した商品でもあることから、セブンツーセブンとしては、ウェブサイトに本件商品を掲載していない。
なお、セブンツーセブンの取引先の一つである美容ディーラー「有限会社三粧」のウェブサイトには本件商品が掲載されているが、これは、同社からの注文に応じて、セブンツーセブンから同社へ譲渡されたものである(乙21)。
(4)乙第5号証、乙第7号証及び乙第9号証に係る各納品書に記載された「総合カタログ」と総合カタログ(乙4、乙6、乙8)との同一性について
被請求人は、乙第5号証、乙第7号証及び乙第9号証に係る各納品書に記載された「総合カタログ」が総合カタログ(乙4、乙6、乙8)を指すものであることを明らかにするため、当該総合カタログの各原本(乙22?乙24)及びその発注に係る各注文書(乙25?乙27)を提出する。
また、被請求人は、上記総合カタログとの関連性について、各納品書(乙5、乙7、乙9)を発行した印刷会社である有限会社ミックアートによる宣誓書(乙28?乙30)及び当該カタログのデザイン発注先である株式会社ジェー・ピー・シーによる宣誓書(乙31?乙33)を提出する。
第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
(1)被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア セブンツーセブンは、少なくとも2015年から2017年までの間、毎年1月に自己の取扱いに係る商品についての商品カタログ(総合カタログ)を制作し、それを同じ年の2月に顧客へ頒布した(乙4?乙9、乙12?乙14、乙22?乙33)。
イ 上記総合カタログには、セブンツーセブンの取扱いに係る商品の一つとして、「カームローション クール」と称する「整肌ローション」が掲載されており、当該ローションについては、「ほてりを鎮め、肌コンディションを整えるローション。」との説明が付されていることから、当該ローションは、「化粧水」に含まれる商品と認められる。また、当該ローションの商品容器には、「CALM LOTION」及び「COOL」の各文字を二段に併記してなる標章が付されている(乙4、乙6、乙8、乙22?乙24)。
ウ 本件商標権者は、昭和36年にセブンツーセブンの製造部門として設立された会社であって、現在もセブンツーセブンのグループ会社の一つとなっている(乙10、乙16)から、セブンツーセブンは、本件商標の通常使用権者と認められる。
(2)上記(1)において認定した事実によれば、本件商標の通常使用権者であるセブンツーセブンは、要証期間に、本件審判の請求に係る指定商品中の「化粧水」に含まれる商品「整肌ローション」に関する広告に「カームローション クール」の文字からなる標章又は「CALM LOTION」及び「COOL」の各文字を二段に併記してなる標章(以下、これらをまとめて「使用標章」という。)を付して頒布したといえる。
そして、上記「整肌ローション」という商品は、その商品説明によれば、「ほてりを鎮め、肌コンディションを整えるローション。」とされているところ、化粧品を取り扱う業界においては、「ほてりを鎮める」といった効能を表す際に「クール」又は「COOL」の語を用いることが一般に行われているといえることに鑑みれば、使用標章については、その構成中、「ローション」及び「LOTION」の文字部分は商品自体を、「クール」及び「COOL」の文字部分は商品の効能を表したものとして看取、理解されるとみるのが相当である。
そうすると、使用標章について自他商品識別標識として強く支配的な印象を与えるのは、「カーム」及び「CALM」の各文字部分といえるところ、本件商標は、別掲のとおり、筆記体により表された「Calm」の文字と「カーム」の文字とを上下二段に配してなるものであって、下段の「カーム」の文字が上段の「Calm」の文字の読みを表したものと認識されるものであるから、使用標章における「カーム」及び「CALM」の各文字は、本件商標の上段又は下段の各文字とつづりを同じくし、かつ、「カーム」の称呼を共通にするものであり、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
してみれば、本件商標の通常使用権者であるセブンツーセブンは、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、その請求に係る指定商品中の「化粧水」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用(商標法第2条第3項第8号にいう使用)をしたものと認められる。
(3)請求人は、「Calm」又は「カーム」の文字を単独で普通の字体をもって書したときは、化粧品との関係においては、その商品の効能や使い心地を表現するにすぎず、自他商品の識別標識として機能しない旨主張するが、たとえ、「calm(カーム)」の語が「穏やかな」、「静かな」、「落ち着いた」といった意味を有する語であるとしても、請求人の提出した甲各号証により、当該語が、化粧品を取り扱う業界において、商品の品質を表す語として普通に用いられている事実は見いだせない。
また、請求人は、化粧品を取り扱う業界において、「カームローション」又は「CALMLOTION」の語が、「穏やかな使い心地の化粧水」といった普通名称慣用商標として普通に用いられている旨主張するが、その主張に係る証拠(甲4?甲6)を見ても、当該語が、化粧品について用いられる場合があることはうかがえるものの、その業界において、商品の一般的な名称であると意識されるに至っているとはいえず、また、同業者間において普通に使用されるに至った結果、自己の商品と他人の商品とを識別することができなくなっているともいえない。
2 むすび
以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標の通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審決日 2017-12-12 
出願番号 商願昭33-26018 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z03)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 原田 信彦
田中 敬規
登録日 1959-10-20 
登録番号 商標登録第543313号(T543313) 
商標の称呼 カーム 
代理人 大向 尚子 
代理人 谷口 登 
代理人 岩瀬 ひとみ 
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