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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X30
管理番号 1338341 
審判番号 取消2017-300307 
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-05-09 
確定日 2018-03-05 
事件の表示 上記当事者間の登録第5154798号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5154798号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5154798号商標(以下「本件商標」という。)は、「響」の文字を書してなり、平成20年2月1日に登録出願、第30類「みそ,しょうゆ,焼肉のたれ,そばつゆ,はちみつ,食塩,うま味調味料」を指定商品として、同年7月25日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成29年5月24日である。
また、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成26年5月24日から同29年5月23日までの期間を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その全指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)登録商標の使用について
まず、被請求人は、一般社団法人中央味噌研究所主催の第58回全国味噌鑑評会に、出品財名を「山高 響 白こし」とするみそ(以下「本件商品」という。)を出品し(乙1)、平成27年11月19日付けで農林水産大臣賞を受賞したから、本件商標を使用している旨主張する。
しかし、出品財名を「山高 響 白こし」とする本件商品を、その味や品質を鑑定する鑑評会に出品する行為は、商標法第2条第3項第1号、同項第2号又は同項第8号に規定する「商標の使用行為」のいずれにも該当しない。
よって、被請求人の上記主張は、失当である。
次に、被請求人は、本件商標をパッケージに付した本件商品を平成29年6月28日から長野県茅野市のレストラン「モン蓼科」等に販売しているから(乙3及び乙4)、本件商標を使用している旨主張する。
これに対して、本件商標の経過情報(甲1)によれば、本件審判請求の登録日(予告登録日)は、平成29年5月22日であるから、被請求人が、本件商標をパッケージに付した本件商品を同年6月28日から販売したとしても、要証期間に本件商標を使用したことにはならない。
よって、被請求人の上記主張は、失当である。
(2)不使用に対する正当理由について
被請求人は、第58回全国味噌鑑評会に、出品財名を「山高 響 白こし」とする本件商品を出品していること(乙1)、本件商品について、平成28年8月4日に仕込みを開始し(乙2)、同年10月11日に熟成を完了させ、同29年5月30日にパッケージデザインを行い、同年6月19日に製品として完成していることは、本件商標を使用するための具体的な準備行為に該当するから、要証期間に本件商標を使用していないことに正当な理由がある旨主張する。
しかし、商標法第50条第2項ただし書に規定される「正当な理由」は、厳格に判断されるべきものであって、例えば、天災地変等によって工場等が損壊した結果、その商標の使用ができなかった場合、時限立法によって一定期間その商標の使用が禁止されたような場合等、不可抗力の如き事情によって、登録商標を使用できなかった場合に限定されるものと解される。しかるに、被請求人のいう「本件商標を使用するための具体的な準備行為」は、かかる事情によるものでないのは明白であるから、ただし書に規定される「正当な理由」には該当しない。
よって、被請求人の上記主張は、失当である。
(3)登録商標の駆け込み使用について
被請求人のウェブサイトにおける商品案内ページ(甲2)によれば、農林水産大臣賞を受賞した本件商品をさらに改良した高品質のものであって、既に平成29年5月30日にはパッケージデザインを完成していたにもかかわらず、同年8月23日にあっても、ウェブサイトにおける商品案内ページにすら、被請求人は、本件商品を掲載していない。
よって、請求人は、被請求人が本件商標を使用したのは、本件審判請求がされた事実を知った後になした、いわゆる登録商標の「駆け込み使用」ではないか、との疑念を抱かざるを得ない。
(4)結論
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品について本件商標を使用していることを証明していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を審判事件答弁書及び平成29年11月9日付け回答書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。以下、「その1」は「の1」と、「その2」は「の2」と、順次読み替え、枝番号のすべてを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)乙第1号証に示すとおり、本件商標については、本件商標権者が第58回全国味噌鑑評会(一般社団法人中央味噌研究所主催)に出品し、平成27年11月19日付けで農林水産大臣賞を受賞した本件商品の出品財名として使用をしている。
また、本件商標権者は、乙第2号証に示すとおり、上記鑑評会に出品するためだけではなく、商品として流通させるための本件商品の仕込みを平成21年より開始し、その後改良を重ねた本件商品を、乙第3号証に示すとおり、パッケージに本件商標を付した製品として完成させ、乙第4号証に示すとおり、同29年6月28日から本件商品の販売を開始している。
したがって、本件登録商標が不使用である、との主張は当たらない。
(2)本件商標権者による本件商標の使用を示す証拠の説明
ア 本件商標の使用
(ア)第58回全国味噌鑑評会
農林水産大臣賞を受賞していることから分かるように、本件商標権者が出品をした本件商品は、平成27年の時点で商品として十分な品質を備えており、その出品財名として本件商標を使用している。
(イ)商品の販売
上記農林水産大臣賞を受賞した本件商標権者は、平成28年8月4日に本件商品の仕込みを開始し、同年10月11日に熟成を完了させた本件商品について、同29年5月30日に製品化のためのパッケージのデザインを行い、同年6月19日に本件商標を付した製品として完成させている。
その後、本件商標権者は、本件商品を平成29年6月28日に長野県茅野市のレストラン「モン蓼科」、同年7月7日に長野県諏訪郡の販売店「八ヶ岳中央農業実践大学校(直売)」、同年7月10日に長野県諏訪市のホテル「ホテル紅や」等へ販売している。
イ 使用商品 「みそ」
以上の事実から、本件商標については、本件審判請求日である平成29年5月9日以前に、本件商標権者が商品として販売するための本件商品の仕込みを開始し、また、全国味噌鑑評会の出品財名として使用していることから、これらの行為が本件商標を使用するための具体的な準備行為に当たり、本件商標を使用していることについて正当な理由があることは明白である。
よって、本件商標について、継続して3年以上、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用をした事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである、とする請求人の主張は成り立たない。
2 審尋とそれに対する回答書
当合議体が、被請求人に対し、本件商標の使用について、審尋し、意見を求めたところ、被請求人からの回答は、以下のとおりであった。
審尋には、本件商標権者が、乙第1号証に示す平成27年11月19日付けで農林水産大臣賞を受賞した一般社団法人中央味噌研究所主催の第58回全国味噌鑑評会に出品財名として本件商標を出品する行為は、商標法第2条第3項に規定する商標の使用には該当しない、との見解が示されているが、これについては認める。
しかし、乙第2号証に示すように、本件商標権者は上記鑑評会に入賞し、その後に本件商標を付した商品として販売することを目標として、平成21年より本件商品の仕込みを開始し、その後7年という年月と度重なる改良を経て農林水産大臣賞を受賞するまでの品質を備えた本件商品を完成させた。
そして、これらの行為は全て、本件商品の品質の向上や本件商標に対する信用の獲得等、本件商標権者の業務上の信用のみならず、近い将来に本件商標を付した商品に接する需要者の利益も保護することをも目的とした行為、いわば、商標を使用するために必要な準備行為といえるものである。
よって、本件商標権者は、使用の意思なく本件商標を放置していたわけではない。
以上のとおり、本件商標権者は、要証期間に、商標法第2条第3項に規定する商標の使用そのものに該当しないながらも、それに準ずる使用をしていたため、本件商標は不使用により登録の取消しを受けるべきものではない。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)商標権者は、平成27年11月19日に、一般社団法人中央味噌研究所主催の第58回全国味噌鑑評会において、出品財名「山高 響 白こし」について、農林水産大臣賞を受賞した(乙1)。
(2)乙第2号証は、手書きの書面の写しである。乙第2号証の1には、書面の左端に付された付箋とおぼしきものに「響 白こし」と記載され、その右に、「煮豆(kg)」、「麹(kg)」、「食塩(天塩)」、「酵母(ml)」、黒塗りの項目が3つ、「ビタミンB2(g)」、「種水」、「ミンチ網(mm)」及び「混合回数」の項目の記載があり、それぞれの項目の下に、その数値についての記載がある。
乙第2号証の2ないし7には、「響 白こし」の記載はないが、それ以外の項目の記載は、乙第2号証の1と同じである。また、それぞれの左上端には、「H22」ないし「H28」の記載がある。
これは、煮豆等を材料とした加工品の製造(仕込み)工程を表示したものと推認されるが、これが本件商品に係るものであることを示す証拠の提出はない。
(3)乙第3号証は、パッケージに入った本件商品の写真であり、そのパッケージ上部には、「響」の文字が振り仮名付きで記載されている。また、パッケージの中央から下部にかけて付されたラベルには、同じく振り仮名付きの「響」の文字が記載され、左下隅には、落款のように表した「山高醸」の文字の記載がある。しかし、上記写真の撮影日や当該商品の製造日等は明らかではない。
(4)商標権者は、2017年(平成29年)6月28日付けでモン蓼科宛に(乙4の1及び2)、同年7月7日付けで八ヶ岳中央農業実践大学校宛に(乙4の3及び4)、同年7月10日付けでホテル紅や宛に(乙4の5及び6)、それぞれ、「響 白こし」の銘柄の商品500gのもの6個についての請求書及び受領書(又は納品書控兼受領書(乙4の6))を発行した。
2 上記1からすれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)取引書類及び本件商品の写真について
上記1(3)及び(4)のとおり、「響 白こし」の銘柄の商品に係る請求書及び受領書(乙4)に記載された日付は、平成29年6月28日をはじめ、いずれも要証期間より後のものである上に、当該商品が乙第3号証の写真に係る商品であることを示す証拠はない。
加えて、振り仮名付きの「響」の文字が記載されたパッケージに入った本件商品の写真(乙3)は、その撮影日、撮影場所等の確認はできず、また、当該写真には、パッケージの表面しか写されておらず、通常裏面に記載されている、商品の製造元、販売元及び製造日の確認はできないものであるから、これが商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の使用に係るものであることも、要証期間に製造又は販売されたものであることも明らかではない。
したがって、これらの証拠は、要証期間に本件商標が本件商品に使用されたことを立証するものということはできない。
(2)全国味噌鑑評会への出品について
上記1(1)のとおり、商標権者は出品財名「山高 響 白こし」を第58回全国味噌鑑評会に出品し、平成27年11月19日付けで、農林水産大臣賞を受賞したことが認められる。
しかし、当該出品財名で鑑評会に出品する行為自体は、出品財の品質等についての審査、評価を受けるための行為であり、被請求人も認めているとおり、商取引の対象である商品やその包装に標章を付す行為(商標法第2条第3項第1号)でも、標章を付した商品を譲渡等する行為(同項第2号)でもなく、また、商品の広告や取引書類に標章を付して展示、頒布等する行為(同項第8号)ということもできないため、同項各号に規定する商標の使用には該当しない。
また、上記鑑評会に出品された出品財に本件商標が付されていたかについても明らかではない。
3 被請求人の主張について
被請求人は、本件商標を付した商品として販売することを目標として、平成21年より本件商品の仕込みを開始し(乙2)、その後7年という年月と度重なる改良を経て農林水産大臣賞を受賞するまでの品質を備えた本件商品を完成させたことは、商標を使用するために必要な準備行為に当たり、本件商標を使用していることについて正当な理由がある旨主張している。
しかしながら、商標法第50条第2項ただし書に規定する「正当な理由」とは、地震、水害等の不可抗力によって生じた事由、放火、破壊等の第三者の故意又は過失によって生じた事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由その他の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者(以下「商標権者等」という。)の責めに帰すことができない事由(以下「不可抗力等の事由」という。)が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品又は指定役務について使用することができなかった場合をいうと解するのが相当であるとされているところ(知的財産高等裁判所 平成19(行ケ)第10227号、平成19年11月29日判決)、要証期間に、商標権者が本件商品を販売するに至らずに、上記の準備行為をなすにとどまったことは、商標権者の内部事情に係るものであり、上記の不可抗力等の事由によるものとはいい難いものである。
したがって、上記主張のみでは、商標法第50条第2項ただし書に規定する「正当な理由」があるものと認めることはできず、被請求人の主張を採用することはできない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標を使用していることを証明したものということはできず、また、請求に係る指定商品に本件商標を使用していないことについて正当な理由があるものということもできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-12-13 
結審通知日 2017-12-19 
審決日 2018-01-25 
出願番号 商願2008-6939(T2008-6939) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X30)
最終処分 成立 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 尾茂 康雄
原田 信彦
登録日 2008-07-25 
登録番号 商標登録第5154798号(T5154798) 
商標の称呼 ヒビキ、キョー 
代理人 橋本 清 
代理人 大橋 裕 
代理人 大橋 弘 
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