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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25
管理番号 1338323 
審判番号 取消2016-300598 
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-08-26 
確定日 2018-02-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第2579513号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2579513号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成2年2月14日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年9月30日に設定登録され、その後、同17年2月2日に指定商品を第25類「被服」のほか、第5類、第9類、第10類、第16類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成28年9月7日にされており、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成25年(2013年)9月7日から平成28年(2016年)9月6日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第25類「被服」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、審判事件弁駁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第23号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「第25類 被服」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標と使用商標の同一性について
本件商標は、「内側に白抜きの『RefrigiWear』のアルファベットを配した角の丸い黒色の長方形」と「擬人化された犬と思しきマーク」からなり、あたかも「擬人化された犬」が「内側に白抜きの『RefrigiWear』のアルファベットを配した角の丸い黒色の長方形」を持っているかのように構成されている。
一方、被請求人の提出した証拠に記載された商標(以下「使用商標」という。)も「内側に『RefrigiWear』のアルファベットを配した角の丸い長方形」と「擬人化された犬と思しきマーク」からなり、あたかも「擬人化された犬」が「内側に『RefrigiWear』のアルファベットを配した角の丸い長方形」を持っているかのように構成されているが、以下に示すように相違点が数多く見られる。
ア 擬人化された犬の頭部
本件商標の「擬人化された犬」の目は二重の円により表現され、内側の円が黒く見えることから、瞳があるように見える。一方、使用商標の「擬人化された犬」の目は一つの円でのみ表現されていることから、瞳があるようには到底見えず、かかる一つの円は目にも模様にも見える。
また、本件商標の「擬人化された犬」の頭部の輪郭は比較的凹凸が少なく、耳が頭部と一体化しているように見え、全体的に縦に細長い印象を受ける。一方、使用商標の「擬人化された犬」の頭部の輪郭は本件商標と比べて凹凸が多く、耳も頭部と一体化しているようには見えず、全体的に本件商標よりもごつごつした印象を受ける。
そのため、両商標を比較すると、「擬人化された犬」の表情が全く異なり、かかる商標を目にする一般需要者に与える印象は大きく異なる。
イ 擬人化された犬の腕
本件商標は「擬人化された犬」の腕が左右ともに「内側に白抜きの『RefrigiWear』のアルファベットを配した角の丸い黒色の長方形」に重なって手のひらに当たる部分が当該長方形の手前に置かれているため、両手で当該長方形を持っているように見える。また、腕が直線的に描かれており、やや固いイメージである。一方、使用商標の「擬人化された犬」の左腕は「内側に『RefrigiWear』のアルファベットを配した角の丸い長方形」に重なっているが、右腕は手のひらに当たる部分が当該長方形の縁に接触しているにすぎず、あたかも左腕だけで当該長方形を持っているように見える。そして、本件商標ほど直線的ではなく柔らかい印象を与える。
ウ 擬人化された犬の足
本件商標の「擬人化された犬」の足の輪郭線は切れ目なく表されており、爪と思しき部分がそれぞれ3本の短い直線で表現され輪郭線に接している。一方、使用商標の「擬人化された犬」の足は輪郭線に切れ目があり、爪と思しき部分はそれぞれ3つの点で表されており、輪郭線とは接していない。
エ 擬人化された犬の首の部分
本件商標の「擬人化された犬」の首の辺りに見られるロール状の図形には複数本の横向きの線が見られる。そして「擬人化された犬」が首からガサガサした触感のロール状のもの(例えば樽)をかけているように見える。一方、使用商標の「擬人化された犬」の首の辺りに見られるロール状の図形には横向きの線は見られない。そして「擬人化された犬」がなめらかな触感のロール状のもの(例えばロール状の布)を口にくわえているように見える。
オ 「内側に『RefrigiWear』のアルファベットを配した角の丸い長方形」
本件商標の「内側に白抜きの『RefrigiWear』のアルファベットを配した角の丸い黒色の長方形」は「擬人化された犬」の広げた両腕の幅よりもはるかに横に長く、「RefrigiWear」のアルファベットの左右に余白が多く見られる。一方、使用商標の「内側に『RefrigiWear』のアルファベットを配した角の丸い長方形」は「擬人化された犬」の広げた両腕の幅と比較してそれほど横に長いとはいえず、「RefrigiWear」のアルファベットの左右にはほとんど余白はない。
このように、本件商標と使用商標は明らかに同一の商標ではない。また「外観において同視される図形」ともいい難く、両商標は「社会通念上同一」と認められる商標でもない。
(2)被請求人提出の証拠について
ア 商標権者と使用権者の関係について
被請求人は答弁書において、自身と「リフリッジウェア ディストリビューション エス アール エル」(以下「リフリッジウェア社」という。)による宣誓書(乙2)及びリフリッジウェア社とサリ スパツィオ エス アール エル(以下「サリ社」という。)による宣誓書(乙3)を提出し、リフリッジウェア社が本件商標権の通常使用権者であり、サリ社は通常使用権者であるリフリッジウェア社と販売代理店契約を締結している旨を主張している。
しかし、乙第2号証及び乙第3号証はともに宣誓書であって契約書ではなく、宣誓日の記載もない。また乙第2号証に至っては日付に関する記載が一切見られない。そのため、乙第2号証及び乙第3号証の信ぴょう性には疑問がある。
したがって、乙第2号証及び乙第3号証をもって、直ちにリフリッジウェア社が本件商標権の通常使用権者であり、サリ社が通常使用権者と契約した販売代理店であることの証明はできない。
なお、被請求人は答弁書においてサリ社とリフリッジウェア社との販売代理店契約は現在も有効であると主張しているが、サリ社は請求人の問い合わせに対し、2シーズン前から当該商品の取扱いを終了していると回答している(甲3)。
イ 有限会社BAYTRADE(以下「BAYTRADE社」という。)宛のインボイスについて
乙第4号証のうち、2015年7月2日付のNo367及び2015年7月6日付のNo373には「SAMPLES COLLECTION」「SAMPLE」との記載があり、No367については支払先の銀行情報が記載されていない。一方、2016年2月17日付のNo47には「ORDER」の表記及び支払先の銀行情報の記載がある。
このことから、2015年7月時点ではまだ実質的な取引は行われていないと考えるのが自然である。
また、2015年7月2日付のNo367に記載の品番記号「G90400NY 3276」は「MADE IN ITALY」とあるが、2016年2月17日付のNo47に記載の品番記号「G90400NY3276」は「MADE IN CHINA」と表記されている。
そのため、2015年7月2日付のNo367に記載の品番記号「G90400NY3276」と2016年2月17日付のNo47に記載の品番記号「G90400NY3276」が必ずしも同一の商品を示すとはいえず、そうであれば被請求人のカタログ(乙6)に記載の品番記号「G90400NY3276」がどの商品を示すのかは明確ではない。
したがって、インボイス中の品番記号と被請求人のカタログ(乙6)中の品番記号が対応するという被請求人の主張にも疑義が生じる。なお被請求人のカタログ(乙6)には製造国の記載はない。
ウ BAYTRADE社とインペリアルズとの関係について
答弁書において被請求人は、奈良の「セレクトショップ インペリアルズ」(以下「インペリアルズ」という。)が2008年頃から使用商標を付したポロシャツを日本国内で販売していたこと及び当該商品はサリ社からBAYTRADE社を通じて日本国内に流通したものと考えるのが自然である旨を主張している。
しかし、乙第3号証にあるように、サリ社が通常使用権者であるリフリッジウェア社から販売を委託されたのは2014年6月30日以降である。また上述のように、BAYTRADE社とは2015年7月にはまだ実質的な取引は行われていないと考えられる。
したがって、少なくとも2008年頃から2014年6月30日までの間にインペリアルズで販売された商品は、サリ社からBAYTRADE社を通じて日本国内に流通したものではない。
また、インペリアルズの販売商品がBAYTRADE社を通じて日本国内に流通したものであることを示す明確な証拠は提出されていない。
エ BAYTRADE社とAmazonへの出品との関係について
乙第8号証には「この商品は、AMCIが販売、発送します。」との表記があるが、被請求人はかかる「AMCI」についての情報を証拠として提出していない。ここでAmazonにおける「AMCI」の店舗情報を提出する(甲4)。甲第4号証によると、「AMCI」の住所は神奈川県横浜市であり、BAYTRADE社との関係は不明である。
商標権者である被請求人が、自身又は通常使用権者及びこれらが許諾した者の情報を把握していないとは考えにくく、「AMCI」の販売商品は、商標権者、通常使用権者又はこれらが許諾した者(以下「被請求人等」という。)以外の者を通じて日本国内に流通したものとも考えられる。
オ 請求人による又は請求人を介した使用の証拠について
被請求人の提出した請求人宛のインボイス(乙10)は2016年2月2日付のJAP021(計9ページ)、2016年6月30日付のEVE-2016/1(計7ページ)及び2016年8月30日付のJAP031(計10ページ)の3通ありますが、全て最終ページに「NO COMMERCIAL VALUE」、「THIS VALUE IS FOR CUSTOMS PURPOSE ONLY」との記載がある。これはサンプル品等の無償提供の際に使用される表記である。
請求人は2016年7月22日にこれらを全てリフリッジウェア社に返却している(甲5)。その後、請求人はリフリッジウェア社と実際に取引をするために2016年10月7日に信用状(LC)を発行し(甲6)、2016年10月26日に初めてリフリッジウェア社から購入した商品を輸入している(甲7、甲8)が、これらは全て本件審判請求(2016年8月26日)及び予告登録(2016年9月7日)後である。
したがって、少なくとも請求人の行為は要証期間内の使用には該当しない。
カ 請求人のウェブサイトについて
乙第11号証及び乙第12号証は審判請求(2016年8月26日)及び予告登録(2016年9月7日)後である2016年11月15日にプリントアウトされたものである。またここに掲載されている商品は被請求人がリフリッジウェア社から購入し2016年10月26日に輸入した2種類の商品のみである。
このように、被請求人の提出した証拠は、一見被請求人等が要証期間内に使用商標を使用していることを示しているようにも見えるが、多くの疑問点があって信用を欠くものであり、提出された証拠のみをもって、使用商標の付された商品の出所が被請求人等であることの証明にはならない。
また、そもそも被請求人が使用の証明を試みている商標は、本件商標とは同一の商標ではなく、「社会通念上同一」と認められる商標でもない。
(3)権利の濫用について
商標法第50条第1項には「『何人も』かかる審判を請求することができる」旨が定められている。したがって、本件審判請求自体を請求人による権利の濫用と認定されることは納得できるものではない。
3 口頭審理陳述要領書(平成29年6月8日付け)
(1)請求人提出の証拠について
ア 商標権者と使用権者の関係について
被請求人は、自身とリフリッジウェア社による宣誓供述書(乙2)及びリフリッジウェア社とサリ社による宣誓供述書(乙3)に関して、日付の有無が宣誓供述書の有効性、信用性に何ら影響を与えるものではないこと及び日付を入れた宣誓供述書の再提出が可能である旨を主張しているが、実際には日付を入れた宣誓供述書は再提出されていない。また、日付を入れた宣誓供述書が再提出されたとしても、それは事後的に作成されたことが明らかなものであって、信ぴょう性には疑問があるといわざるを得ない。
また仮に、サリ社が要証期間内である2014年6月30日?2016年4月30日にかけて使用権者であったとしても、使用商標を付した商品が日本に輸出されたことを証明するものではない。
そもそも、使用商標を付した商品が日本国内に輸入されたとしても、それは本件商標が要証期間内に指定商品について使用されたことを示すものではない。
イ BAYTRADE社宛のインボイスについて
被請求人は、サリ社とBAYTRADE社との間の2015年7月1日?同年7月6日のメール(乙19)に添付された2015年6月30日付の注文書の記載をもって、使用商標を付した商品が日本国内に輸入された旨を主張しているが、被請求人提出の2016年春夏物カタログ(乙6)の作成者及び要証期間内に頒布等された事実が確認できる証拠が提出されていない。
そのため、提出された証拠をもって、使用商標を付した商品が日本国内に輸入されたことの証明はできない。
そもそも、使用商標を付した商品が日本国内に輸入されたとしても、それは本件商標が要証期間内に指定商品について使用されたことを示すものではない。
ウ BAYTRADE社とインペリアルズとの関係について
インペリアルズの販売商品がBAYTRADE社を通じて日本国内に流通したものであることを示す明確な証拠は提出されていない。
そのため、提出された証拠をもって、インペリアルズの販売商品がサリ社からBAYTRADE社を通じて日本国内に流通したものであることの証明はできない。
エ BAYTRADE社とAmazonへの出品との関係について
AMCIの販売商品がBAYTRADE社を通じて日本国内に流通したものであることを示す明確な証拠は提出されていないから、提出された証拠をもって、AMCIの販売商品がサリ社からBAYTRADE社を通じて日本国内に流通したものであることの証明はできない。
なお、被請求人は、商標権者等が商品に付した商標は、その商品が転々流通した後においても、当該商品に手が加えられない限り、社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解される旨の判例を提出しているが(乙20、乙21)、AMCIの販売商品がサリ社からBAYTRADE社を通じて日本国内に流通したものであることが明らかでない以上、かかる判例は本件とは事案を異にするものである。
オ 請求人による又は請求人を介した使用の証拠について
被請求人の提出した請求人宛のインボイス(乙10)は全て最終ページに「NO COMMERCIAL VALUE」、「THIS VALUE IS FOR CUSTOMS PURPOSE ONLY」との記載があり、これはサンプル品等の無償提供の際に使用される表記であって、販売目的でないことは明らかである。請求人は2016年7月22日にこれらを全てリフリッジウェア社に返却しており(甲5)、かかるインボイスに対する支払も一切なされていない。その後、請求人は、リフリッジウェア社と実際に取引をするために2016年10月7日に信用状(LC)を発行し(甲6)、2016年10月26日に初めてリフリッジウェア社から購入した商品を輸入している(甲7、甲8)が、これらは全て本件審判請求(2016年8月26日)及び予告登録(2016年9月7日)後である。
したがって、少なくとも請求人の行為は要証期間内の本件商標の使用には該当しない。
カ 請求人のウェブサイトについて
乙第11号証及び乙第12号証は、審判請求(2016年8月26日)及び予告登録(2016年9月7日)後である2016年11月15日にプリントアウトされたものであり、ここに掲載されている商品は被請求人がリフリッジウェア社から購入し2016年10月26日に輸入した2種類の商品のみである。
被請求人は、具体的な証拠を提出しておらず、被請求人の主張はあくまでも推認にすぎない。
(2)合議体の暫定的見解について
ア 乙第6号証について
被請求人提出の2016年春夏物カタログ(乙6)の作成者及び要証期間内に頒布等された事実が確認できる証拠が提出されていない。
また、被請求人は、近年のカタログはウェブサイトに掲載される電子的な形態のものが主流となっていると主張しているが、紙媒体のものが全く発行されていないとは考えられない。また、ウェブサイトに掲載される電子的な形態のものであっても、作成者を表記しないことについて合理的な理由がない。
したがって、乙第6号証の作成者及び要証期間内に頒布等された事実が証明されたわけではない。
イ 乙第7号証について
インペリアルズの販売商品がBAYTRADE社を通じて日本国内に流通したものであること及び要証期間内にウェブサイトに掲載されたことを示す明確な証拠は提出されていないから、被請求人の主張は、あくまでも推認にすぎず、提出された証拠をもって、インペリアルズと被請求人との関係及び要証期間内の商標の使用の証明はできない。
ウ 乙第8号証について
AMCIの販売商品がBAYTRADE社を通じて日本国内に流通したものであること及び要証期間内にウェブサイトに掲載されたことを示す明確な証拠は提出されていないから、被請求人の主張はあくまでも推認にすぎず、提出された証拠をもって、AMCI及びAmazonと被請求人との関係及び要証期間内の商標の使用の証明はできない。
エ 乙第11号証及び乙第12号証について
乙第11号証及び乙第12号証は、審判請求(2016年8月26日)及び予告登録(2016年9月7日)後である2016年11月15日にプリントアウトされたものであり、ここに掲載されている商品は、被請求人がリフリッジウェア社から購入し2016年10月26日に輸入した2種類の商品のみであり、被請求人は具体的な証拠を提出しておらず、被請求人の主張はあくまでも推認にすぎない。
オ 乙第2号証及び乙第3号証について
被請求人は、サリ社と「インペリアルズ」、「Amazon」、「SHIFFON」及び「名古屋PARCO」との関係を証明する証拠を提出しておらず、被請求人の主張はあくまでも推認にすぎない。
カ 乙第4号証について
被請求人提出の2016年春夏物カタログ(乙6)の作成者及び要証期間内に頒布等された事実が確認できる証拠が提出されておらず、提出された証拠をもって、使用商標を付した商品が日本国内に輸入されたことの証明はできない。
4 上申書(平成29年8月3日付け)
(1)本件商標と使用商標の同一性について
本件商標と被請求人の提出した証拠に記載された使用商標は明らかに同一の商標ではない。
また、本件商標と使用商標とでは相違点が数多く見られ、かかる商標を目にする一般需要者に与える印象は大きく異なるため、本件商標と使用商標は「外観において同視される図形」ともいい難く、両商標は「社会通念上同一」と認められる商標ではない。
ところで、乙第7号証の3、乙第11号証の1及び乙第12号証には、「『RefrigiWear』というブランドは1954年にアメリカで誕生したものであって、当初は特に冷凍庫内という過酷な条件下で作業をする人が、動きやすく、かつ冷凍庫内の極寒の中でも充分な防寒ができる作業服を提供していたが、現在はデザイン・企画をイタリアで行いファッションブランドとして売り出している」旨の記載がある(乙7の3、乙11の1、乙12)。
これを示すように、被請求人の提出したカタログ(乙6の1)に掲載されている商品は、どれもスタイリッシュなタウン着であり、防寒性とは対極にあるような半袖シャツやショートパンツも掲載されている。
ここで、本件商標に係る商標権の当初の商標権者は、アメリカの法人である「リフリッジウェア インコーポレーテツド」であるが、その後、平成17年1月11日に一般承継によりアメリカの法人である「リフリッジウェア インコーポレーテッド」に、同年10月17日に特定承継によりイタリアの法人である「クルツ エッセ エッレ エッレ」に、同20年6月27日に特定承継によりルクセンブルクの法人である「フロンザック エスダブリュー エスアー」に、同25年5月13日に一般承継によりルクセンブルクの法人である「シックス ティ インターナショナル エスアー」に、同27年8月11日に特定承継により被請求人に移転され、今に至る(甲2)。
そもそも、冷凍庫内での作業者向けの「作業着」と、たとえ防寒性が高いとしても、一般のファッションブランドで取り扱う被服とでは、需要者層は全く異なる。
被請求人は、口頭審理陳述要領書において、本件商標と使用商標について「需要者・取引者は、これを同一の出所に係る商品と認識することは、取引社会の通念・経験則によって明らか」であると主張しているが、ブランドの沿革とあわせて考えると、上記に示す一連の商標権移転のいずれかのタイミングで当該ブランドは「作業着のブランド」から「ファッションブランド」にシフトされ、それに件い、一般需要者がすでに市場に流通している、以前の商標権者によって本件商標を付された「作業着」と区別できるように、あえて自社の商標をブランドイメージに合った使用商標に変更したことが容易に想像できる。
このような事情から、本件商標と使用商標について、需要者・取引者がこれを同一の出所に係る商品と認識するとは到底いえるものではない。
(2)被請求人提出の追加証拠について
ア カタログについて
被請求人が新たに提出した2016年春夏物カタログ(乙6の1)は製本された別バージョンとのことだが、すでに提出済みの2016年春夏物力タログ(乙6の1)とは、表紙や掲載されている商品及びその配置に相違点が多々見られる。また、製本されたものにもかかわらず、奥付も確認できない。更に、要証期間内に日本国内において当該カタログが頒布等された事実が確認できる証拠も提出されていない。
そもそも、同時期の商品カタログであるにもかかわらず、製本されたものとウェブ掲載用のもので内容が相違することは明らかに不自然であり、ウェブ掲載用の電子的な形態のものであっても作成者を表記しないことについて合理的な理由がないところ、製本されたカタログであれば、当然奥付があってしかるべきである。
そのため、当該カタログは、頒布用ではなく本件のために事後的に作成されたことが明らかなものであって、信ぴょう性には疑問があるといわざるを得ない。
したがって、乙第6号証の1の作成者及び要証期間内に日本国内で頒布等された事実が証明されたわけではなく、これに記載されている品番がインボイス等の書面に記載されていたことをもって、使用商標を付した商品が日本に輸出されたことを証明するものではない。
そもそも、使用商標を付した商品が日本国内に輸入されたとしても、それは本件商標が要証期間内に指定商品について使用されたことを示すものではない。
イ カタログ掲載商品に付されたワンポイントマークについて
被請求人は、追加証拠を提出し、本件商標が商品に付されている旨を主張するが、乙第6号証の1に掲載されている商品に付されているワンポイントマークは、本件商標ではなく、使用商標である。また、乙第25号証において品番90400の商品の胸ポケットに付されることが記載されているワンポイントマークも使用商標であり、乙第30号証ないし乙第39号証及び乙第44号証の1ないし4の写真に係る商品についても同様である。加えて、乙第33号証及び乙第38号証に示されるビニール袋に付されている標章も本件商標と同一の商標ではなく、社会通念上同一と認められる商標でもない。
そうであれば、乙第40号証、乙第41号証の1ないし4及び乙第43号証の1ないし8の書類によって乙第6号証の1のカタログに掲載された商品が日本国内で輸入・譲渡・引き渡しがされたとしても、それは本件商標が要証期間内に指定商品について使用されたことを示すものではない。
ウ 請求人による又は請求人を介した使用の証拠について
請求人が、リフリッジウェア社から取り寄せたサンプル品のうち、一部は返却されていなかった。
甲第5号証の2は、被請求人の提出した請求人宛のインボイスのうち2016年2月2日付のJAP021(乙10の2)に係る商品についての返却分インボイスである。なお、被請求人提出の乙第29号証の内容では、品数が整合しないことを申し添える。
ここで、乙第10号証の2に記載があって甲第5号証の2に記載がない品番のうち、G56800、G06000、G70800、G86700、G90200、G90500、G98101及びM22700については、請求人がリフリッジウェア社の許可を得た上で、現在も手元に残してある(甲12の1?甲20の3)。
なお、乙第10号証の2に記載があって甲第5号証の2に記載がない品番のうち、Z19200については、乙第10号証の2若しくは甲第5号証の2の記載ミスと思われるが、当該サンプル品はリフリッジウェア社の手元にあるはずである。
また、請求人の手元にあるサンプル品にはタグが付されているが(甲21の1)、平成28年12月1日付で「衣類等の繊維製品の洗濯表示」が変更されるまで、日本では独自の洗濯表示が採用されており(甲22)、通常の輸入衣料品には甲第21号証の2に示すようなタグが付される。
そのため、平成28年11月30日以前において、甲第21号証の1に示すタグを付したままでの日本国内での当該サンプル品の販売は不可能であるといえる。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第45号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)サリ社による又はサリ社を介した使用
ア 本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において商標権者、通常使用権者がその請求に係る指定商品について登録商標の使用をしていたものである。
イ 乙第2号証は、本件商標権者であるエッレ スポルト エス アール エル(以下「エッレ スポルト」という。)とリフリッジウェア社による宣誓書である。これによれば、リフリッジウェア社は、本件商標権者より、日本において本件商標に係る商品を製造・販売する権利を与えられている。リフリッジウェア社は、その住所が本件商標権者と同一であり、その名称が表しているように、本件商標権者が本件商標に係る商品の製造・販売を担わせるために設立した子会社であり、本件商標権についてヨーロッパ及び日本において製造及び販売を独占的に許諾されており、要証期間内において本件商標権の通常使用権者であった(少なくとも黙示の許諾が認められる)。
ウ リフリッジウェア社は、サリ社と販売代理店契約を締結した(乙3)。この契約は、締結日より2年間有効であり、その後自動更新され、現在も有効に存続している。
エ 乙第4号証は、サリ社からBAYTRADE社宛に発行されたインボイスである。これによれば、要証期間内に、サリ社は、BAYTRADE社を受取人として、Tシャツ、ジャケット、ズボン、ポロシャツ等を日本国内に輸出したことが示される。
オ 乙第6号証は、2016年春夏物の被請求人のカタログである(SS16はSpring Summerの略である)。ここには、商品の写真と商品の品番が掲載されており、インボイス中の品番記号がカタログ中の品番記号に対応しており、胸には本件商標が付されていることが分かる(例えばG90400NY3246は、カタログ中のMOTOBIKE JAKET-G90400NY3246に対応)。したがって、少なくとも対応するジャケットについては要証期間内に日本に輸出されたことが証明される。また、その他のTシャツ、ズボン、ポロシャツ等についても、本件商標が付された商品であり、要証期間内に日本に輸出されたことが推認される。
カ よって、本件商標権の通常使用権者であるリフリッジウェア社は、サリ社を介して、要証期間内に、本件指定商品「被服」に含まれるジャケットに標章を付したものを輸出した。また、Tシャツ、ズボン、ポロシャツに標章を付したものを輸出したことが推認される。
キ 乙第7号証は、インペリアルズのウェブサイトのプリントアウトである。これによれば、インペリアルズは、ウェブサイトを介して胸に本件商標が付されたポロシャツを販売している。また、そのブログには(最終頁)、「現在はイタリアのCruzという会社がRefrigiWearとパートナーを組み」との記載がある。クルツ エッセ エッレ エッレは平成17年(2005年)10月3日から平成20年(2008年)6月15日まで本件商標の権利者であることから(乙1)、インペリアルズは、2008年頃から本件商標が付されたポロシャツを日本国内において販売していたことが示される。
ク 以上から、インペリアルズは、要証期間を含む2008年頃から2016年11月15日にかけて本件商標に係るポロシャツを継続的に販売していた。当該商品は、サリ社からBAYTRADE社を通じて、日本国内に流通したものと考えるのが自然であり、これらの商品に付された本件商標は、本件商標権者又はその許諾を受けてこれを製造した通常使用権者を出所として表示するものである。よって、本件商標権者及びその通常使用権者であるリフリッジウェア社は、要証期間内において、サリ社、BAYTRADE社、インペリアルズを介して、日本国内において、少なくとも本件指定商品に含まれるポロシャツに標章を付したものを譲渡した。
ケ 乙第8号証は、アマゾンの2016年11月15日付のウェブサイトのプリントアウトである。ここでは、胸に本件商標が付されたジャケットが販売されている。この商品もサリ社又はBAYTRADE社を通じて、日本に輸入されたと考えるのが自然である。本件プリントアウトは、2016年11月15日付であるが、アマゾンでの取扱開始日は要証期間内である2015年8月28日であり(第3頁)、本件商標権者及びその通常使用権者であるリフリッジウェア社は、要証期間内において、サリ社、BAYTRADE社、アマゾンを介して、日本国内において、少なくとも本件指定商品に含まれるジャケットに標章を付したものを譲渡若しくは引渡しのために展示した。
(2)株式会社志風音による又は同社を介した使用
ア 乙第9号証は、2016年4月7日に締結されたリフリッジウェア社と請求人である株式会社志風音(以下「志風音」という。)との間の日本における本件商標に係る商品の輸入販売代理店契約である。この契約は、2016年1月15日(2016秋冬シーズン)から2016年9月30日まで有効であり、2017年7月31日より前に業績を評価して2017年4月30日(2017秋冬シーズン)まで延長することができることとされている。
イ 乙第10号証は、リフリッジウェア社による請求人である志風音宛のインボイスである。当該インボイスによれば、リフリッジウェア社は、要証期間内である2016年2月2日から2016年8月30日にかけて、志風音に向けて「Line:REAC-REFRIGIWEAR ACCESSORI/Your Order:」としてスカーフ、帽子を、「Line:REMA-REFRIGIWEAR MAN/Your Order:」としてジャケット、ズボン、カーディガン、ベスト、プルオーバー、パーカ等を、「Line:REWO-REFRIGIWEAR WOMAN/Your Order:」としてジャケット、ドレス、カーディガン、プルオーバー、ズボン等の多数の商品を輸出した。
ウ 乙第11号証は、請求人の2016年11月15日付けのウェブサイトのプリントアウトである。ここには、請求人が本件商標に係るブランドを取り扱っており、本件商標が付されたダウンジャケットを販売していることが示される。また、そのブランドの紹介では、「1954年にアメリカで生まれる。ワークウェアを得意とする老舗で、特に冷凍庫内という過酷な条件下で作業をする人が、動きやすく、かつ冷凍庫内の極寒の中でも充分な防寒ができる作業服を研究・開発してきたメーカー。現在はデザイン・企画をイタリアで行い、ファッションブランドとして世界にRefrigiWearを売り出している。従来のものとは一線を隔し、長年培った機能性とブランド名はそのままに、シルエットやディテールに手を加え、上質でスタイリッシュなファッション着としてイタリアで人気に火がついたブランドである」との記事が掲載されている。
エ 乙第12号証は、名古屋パルコの2016年11月15日付けウェブサイトのプリントアウトである。ここには、名古屋パルコ内の請求人の店舗において、本件商標が付されたダウンジャケットを販売していることが証明される。したがって、春夏物やその他の商品については、要証期間内に販売していたことが推認される。
オ 以上によれば、リフリッジウェア社は、要証期間内に、請求人に対して本件指定商品「被服」に含まれるジャケットに本件商標を付したものを輸出し、「被服」に含まれるその他多数の商品に標章を付したものを輸出したことが推認される。
カ 加えて、本件商標権者及びその通常使用権者であるリフリッジウェア社は、要証期間内において、志風音を介して、日本国内において、本件指定商品に含まれるジャケット、ドレス、カーディガン、プルオーバー、ズボン等の多数の商品を譲渡した。更に、本件商標権者及びその通常使用権者であるリフリッジウェア社は、要証期間内において、志風音を介して、日本国内において、「被服」に含まれるその他多数の商品に標章を付したものを譲渡若しくは引渡しのために展示したことが優に推認される。
キ 以上によれば、本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に、日本国内において商標権者又は通常使用権者により、その請求に係る指定商品について使用されていた。
(3)本件審判請求が権利の濫用である点について
ア 上記のように、本件審判の請求人である志風音とリフリッジウェア社は、2016年4月7日に本件商標に係る商品の日本における販売代理店契約を締結した。
イ ところが、請求人は、その直前である2015年12月11日に本件商標権者である被請求人及びリフリッジウェア社に無断で「Rifrigi Wear」の欧文字からなる商標を第14類及び第18類について出願し、これは2016年6月24日に登録第5861880号として登録された(乙13)。この商標は、本件商標の文字部分である「RefrigiWear」と1文字相違であり、本件商標が冷凍庫内で作業するために開発されたワークウェアに由来し、「Refrigerator」(冷蔵庫)と「Wear」(衣服)を組み合わせた造語であることからすれば、明らかに類似する(単なるミススペルとも考えられる)。これを知った被請求人らが抗議したところ、請求人は、平成28年(2016年)8月15日に本件商標の文字部分と同一綴りからなる「RefrigiWear(標準文字)」を第25類について(乙14)、本件商標の文字部分と同一のロゴからなる「RefrigiWear(ロゴ)」及び本件商標と略同一のシンボルマークからなる「RefrigiWear(ロゴ十図形)」を第35類について出願した(乙15、乙16)。更に、2016年8月25日には「RefrigiWear(標準文字)」を第35類について出願し(乙17)、その翌日である平成28年(2016年)8月26日に本件取消し審判を請求したものである。
このような経緯に照らせば、請求人の行為は明らかに国際的な商道徳に反する背信的な行為であり、被請求人らに対し販売代理店契約を強要し、更には国際的な老舗の周知ブランドを乗っ取り、被請求人らに損害を加える等の不正の目的を有することは明らかである。
仮に、本件審判が成立するとすれば、被請求人らは1954年から続く老舗の周知商標(乙11)を我が国で使用することができなくなり、国際的な商秩序を乱して社会公共の利益をも害するものである。
したがって、本件審判請求は、請求自体が正当な請求権の行使とはいえず、権利の濫用と評価されるものである(民法第1条第3項)。
2 口頭審理陳述要領書(平成29年5月25日付け)
(1)審判事件弁駁書について
ア 本件商標と使用商標の同一性について
登録商標の使用であるかどうかは、自他商品(役務)の識別をその本質的機能としている商標の性格上、単なる物理的同一にこだわらず、取引社会の通念に照らして判断されるべきであり、これは、登録商標と物理的に同一のものを使用するというよりは、それを付する商品(役務)の具体的な性状に応じ、適宜に変更を加えて使用するのがむしろ通常であるという産業界の実情にも合致するものである(工業所有権法逐条解説第20版)。
また、パリ条約5条C(2)は、「商標の所有者が1の同盟国において登録された際の形態における商標の識別性に影響を与えることなく構成部分に変更を加えてその商標を使用する場合には、その商標の登録の効力は、失われず、まだ、その商標に対して与えられる保護は、縮減されない。」と規定している。
すなわち、商標は、自他商品(役務)の識別をその本質的機能としており、商標の識別性に影響を与えることなく構成部分に変更を加えてその商標を使用する場合には、登録の効力は失われず、保護は縮減されない。
これを本件についてみると、本件商標の要部、特徴点は「セントバーナードと思しき擬人化された犬が『RefrigiWear』のアルファベットを配した長方形を持っている」点にあり、請求人のあげる相違点は、いずれも微差にすぎず、上記要部、特徴点が変更されず維持されている限り、商標の識別性は影響されず、需要者・取引者は、これを同一の出所に係る商品と認識することは、取引社会の通念・経験則に照らして明らかである。
よって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
イ 被請求人提出の証拠について
(ア)商標権者と使用権者の関係について
一般的に、西欧諸国においては宣誓供述書にサインをすること自体が極めて重要なことであり、日付は単に署名日を表すにすぎないから、日付の有無は、宣誓供述書の有効性、信用性に何ら影響を与えるものではない。なお、宣誓供述書については、日付を入れて再提出も可能である。
また、仮にサリ社が2シーズン前から当該商品の取扱いを終了していたとしても、サリ社は、要証期間内に使用権者であり、当該商品を日本に輸出したとの事実に影響を与えるものではない。
(イ)BAYTRADE社宛のインボイスについて
被服のサンプルとは、試作品や見本品ではなく、実際に販売される商品と同一の商品を、販促用ということで割引価格、一定期間の販売不可、返却可能等の特別の条件でシーズンの最初に提供されるものである。ちなみに、乙第9号証のリフリッジウェア社と志風音の販売代理店契約書の2.2及び2.3には、サンプルの取扱いが規定されているところ、本件サンプルは予め書面により合意された価格でリフリッジウェア社から志風音に販売され(180日の支払い期間内に返却することを選択することも可能)、当該シーズンのサンプル受領から90日経過後は(一般消費者に)販売できるとされている(乙18)。
更に、被請求人は、サリ社とBAYTRADE社との間の2015年7月1日から同年7月6日のメールを提出する(乙19)。
ここには、2015年6月30日付けの注文書が添付されるとともに合計1.395,10ユーロであること、支払い先口座及び支払期限等が記載されており、品番記号からSS16(2016春夏カタログ、乙6)に掲載された商品と同一の商品が輸入されたことが示される。
なお、同一品番の商品が、異なる地域、国に所在する工場で生産されることは日常普通に行われており、いずれも企画書、設計図等に沿って同一デザインの商品が生産されることから、生産国が異なる点に何ら不自然な点はなく、特に生産国を明示して、これを商品の特徴として訴求するのでなければ、カタログにあえて製造国を記載する必要もなく、品番と商品の対応関係に何ら疑義はない。
(ウ)BAYTRADE社とインペリアルズとの関係について
サリ社からBAYTRADE社に本件商品が輸出され、他方、インペリアルズが要証期間のわずかに約2月後である2016年11月15日に本件商標が付された商品を販売していることからすれば、要証期間内にBAYTRADE社が輸入した商品が日本国内で転々流通した結果、インペリアルズにより譲渡、引き渡しを目的として展示され、消費者に販売されていたことを十分推認させる。
(エ)BAYTRADE社とAmazonへの出品との関係について
サリ社からBAYTRADE社に本件商品が輸出され、他方、AMCIが要証期間のわずかに約2月後である2016年11月15日に本件商標が付された商品を販売していることからすれば、要証期間内にBAYTRADE社が輸入した商品が日本国内で転々流通した結果、AMCIにより譲渡、引き渡しを目的として展示され、消費者に販売されていたことを十分推認させる。
そして、商標権者等が商品に付した商標は、その商品が転々流通した後においても、当該商品に手が加えられない限り、社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解されていることからすれば(乙20、乙21)、その商標の使用は、当初、商品に商標を付した被請求人(又はその使用権者)による商標の使用である。
(オ)請求人による又は請求人を介した使用の証拠について
上記のように、被服のサンプルとは、試作品や見本品ではなく、実際に販売される商品と同一の商品を、販促用ということで割引価格、一定期間の販売不可、返却可能等の特別の条件でシーズンの最初に提供されるものである。乙第9号証のリフリッジウェア社と志風音の販売代理店契約書の2.2及び2.3には、サンプルの取扱いが規定されているところ、本件サンプルは予め書面により合意された価格でリフリッジウェア社から志風音に販売され(180日の支払い期間内に返却することを選択することも可能)、当該シーズンのサンプル受領から90日経過後は(一般消費者に)販売できるとされている(乙9、乙18)。
したがって、本件サンプル商品は、販売可能な商品が、商取引の一環として取引されており、請求人は、受領や検品に当たり、商品に付された本件商標を目印として商品を特定・確認していたことは明らかであり、本件商標は、その使用権者(販売代理店契約を締結しており当然に商標の使用権者)である志風音により、要証期間内に商標法第2条第3項第2号の「使用」(譲渡、引き渡し、輸入)がされたものである。
なお、当該商品は契約にしたがって返却されているが、返却されたとしても商品が輸入されたとの事実に変わりはなく、返却により輸入された事実が遡及して消滅するものではない。
更に、請求人は要証期間内である2016年7月22日に本件商品を返却していると主張しているが、これは商品の輸出にあたるとともに、一旦所有権及び占有が請求人に移転しているから、再移転が日本国内で行われれば譲渡及び引き渡しにも該当する(乙22)。
よって、本件商標は、要証期間内に商標法第2条第3項第2号の「使用」(譲渡、引き渡し、輸出)がされたものである。
(カ)請求人のウェブサイトについて
これらのプリントアウトは、予告登録後に印刷されたものであるが、上記サンプル商品について、本件商標が付されていたことを推認させる。
(2)合議体の暫定的見解について
ア 乙第6号証について
乙第6号証は、インボイスに記載された商品番号と実際の商品を対応させる趣旨で提出するものである。商品カタログの作成者は、被請求人であり、このことは当該カタログに本件商標が掲載され、本件商標が付された商品が多数掲載されていることから、十分に推認できる(第三者が、無断でこのようなカタログを作成することはあり得ない)。
近年のカタログは、ウェブサイトに掲載される電子的な形態のものが主流となっており、これをプリントして使用するため奥付はないが、本件カタログは、2016年春夏のカタログであり、少なくとも2016年3月頃より10月頃に展示ないし頒布されたこともまた十分に推認できる。
イ 乙第7号証について
乙第7号証は、2016年11月15日にはインペリアルズが日本国内で本件商標が付された商品を販売していたことを示し、2016年2月から7月頃にかけて本件商標を付した商品がBAYTRADE社を通じて日本に輸入された事実(この事実のみで商標の使用にあたる)とを併せ考慮すれば、商標権者が商標を付した商品が、要証期間内である2016年9月6日までに日本国内を転々流通して、インペリアルズにまで譲渡されたことを十分に推認させる。そして、これらの流通過程における商標の使用は、社会通念上、当初、商品に商標を付した者による商標の使用と解される(乙20、乙21)。
なお、ポロシャツの左胸部に表示された図形は、「RefrigiWear(リフリッジウェアー)正規取扱店」、「Italy製」との記載から、商標権者(被請求人)の正規商品であって、当該図形は本件商標であることは十分に推認できる。
ウ 乙第8号証について
乙第8号証は、取扱開始日が2015年8月28日であることから、2015年8月28日から2016年11月15日にかけて、AMCIが日本国内で本件商標が付された商品を販売していたことを示す。商品説明中の「イタリアンブランドとパートナーシップを結ぶことにより」、「セントバーナードをモチーフにした『犬のマーク』がデザインのアクセントになっています」といった記載から、商標権者(被請求人)の正規商品であって、ジャケットの左胸部に表示された図形は、本件商標であることは十分に推認できる。
そして、AMCI等の小売店の流通過程における商標の使用は、社会通念上、当初、商品に商標を付した者による商標の使用と解される(乙20、乙21)。
エ 乙第11号証及び乙第12号証について
「インペリアルズ」及び「AMCI」は、日本国内における被服の小売店であり、サリ社と直接取引関係があることを証明するものではないが、小売店の流通過程における商標の使用は、社会通念上、当初、商品に商標を付した者による商標の使用と解されることから、本件商標が、当初、商品に商標を付した被請求人又はその使用権者であるリフリッジウェア社による商標の使用があったことを十分に推認させる。
また、「SHIFFON」は、請求人である志風音の経営するファッション小売店であり(乙11)、「名古屋PARCO」は「SHIFFON」がテナントとして入居しているファッションビルである。
請求人は、2016年1月15日から2016年9月30日までリフリッジウェア社の販売代理店であったところ、要証期間内に輸入した商品を返却し、契約期間中である平成28年8月26日に本件不使用取消審判を請求し、予告登録(平成28年9月7日)の後になることを計算したうえで、再度輸入して販売している。これは極めて悪質な行為であって、社会通念上妥当とされる範囲を超えており、実質的に正当な審判権の行使とは認められないものである。
オ 乙第2号証及び乙第3号証について
サリ社が、2014年6月30日から2016年4月30日に、本件商標権者の通常使用権者であったことはそのとおりである。「インペリアルズ」、「Amazon」、「SHIFFON」、「名古屋PARCO」との関係については上記のとおりである。
カ 乙第4号証について
(ア)乙第4号証は、BAYTRADE社がサリ社から本件商品を輸入したことを証明するものであり、これは商標権者等により商標法第2条第3項第2号の使用(譲渡、引き渡し、輸入)にあたる。
その理由は、国内の輸入業者が外国法人等から商品を輸入した場合、当該輸入行為は、外国法人又は当該外国法人の許諾を受けた者による商標法第2条第3項第2号の使用(譲渡、引き渡し、輸入)と解される点にある。
商標権者又は使用権者から正常なルート(輸入販売契約を締結して)で商品を輸入する者は、少なくとも黙示の使用権者と認められ、その者による輸入行為は、使用権者による商標法第2条第3項第2号の使用(輸入)にあたる。したがって、乙第4号証及び乙第19号証により、商標使用権者であるBAYTRADE社によって輸入された事実を確認することができる。そして、輸入とは貨物を外国から引き取る行為をいい、引き取る行為自体が「使用」にあたり、引き取った後その物をどのように処分したかは問わない(乙22)。
また、輸入には譲渡(所有権の移転)、引き渡し(占有の移転)が伴っており、当該輸入行為は、サリ社による商標法第2条第3項第2号の使用(譲渡、引き渡し)にあたる。なお、譲渡については積み出し港で移転したと解する余地があるが、商標法における引き渡しは、観念的な占有の移転ではなく、現実に商品に付された商標を確認して実体的な物の支配を獲得する行為と捉えるべきであり、荷受け港で現実に商品を受領した時点と解される。よって、少なくとも商標法第2条第3項第2号の使用(引き渡し)は日本国内で行われている。
なお、BAYTRADE社は、多数の商品を輸入しており、乙第19号証のメールのやり取りからも、個人輸入等の自家消費として海外サイトに注文するものでないことは明らかであり、業として輸入しているものである。
(イ)外国法人と国内輸入業者の取引は、商標法の規範的観点からは、商標権者等である外国法人等による輸入と捉えられるべきものである。すなわち、商品の出所を表示して品質を保証するとの商標の機能、商標権者の信用を保護するという商標法の目的からは、国境を越えて商品を流通させたとしても、商標権者等が商品に付した商標は、社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解され、行為全体を総合的にみた場合、全ての流通過程における商標の使用主体は、当該外国法人であると認められるべきものである(乙20、乙21)。特に、外国法人が他国で商品を販売する場合、自ら直接消費者に対して販売することはいまだ一般的とはいえず、輸入業者等の中間流通業者が介在した上で、消費者に販売することが常態であり、これを商標権者等の使用に該当しないと解して、商標法第50条不使用の対象とすることは、現実に使用され信用が化体した商標を取り消すことになり、同条及び商標法の趣旨に反することになる。
これを本件についてみると、商標使用権者であるリフリッジウェア社により日本市場に向けて製造され、流通に置かれた商品が、流通業者であるBAYTRADE社により輸入されており、これは当初、商品に商標を付したリフリッジウェア社による商標の使用と認められるべきである。
(ウ)加えて、輸入が譲渡、引き渡しとは別に規定されている趣旨は、水際で侵害物品の差止めを認め、商標権の保護に十全を期する点にあると考えられるところ(乙22、乙23)、このこととの対比においても、真正商品の輸入は外国法人自らの使用、又は、輸入業者を黙示の使用権者とする使用権者の使用と捉えられるべきであり、いずれにしても、輸入自体が商標権者等の使用と認められるべきである。そして、このような解釈は、真正商品の並行輸入は、商標の機能である出所表示機能及び品質保証機能を害することがなく、商標の使用をする者の業務上の信用及び需要者の利益を損なわず、実質的に違法性がないとされていることとも整合する(平成15年2月27日/最高裁第一小法廷/判決/平成14年(受)1100号)。
3 上申書(平成29年7月20日付け)
(1)BAYTRADE社の輸入に係る商品について(乙4の1?3)
ア 新たに提出した製本された別バージョンのRefrigiWear SS16 MANカタログには、品番G84600のキャプテンジャケット(A)、品番T19000のメインポロ(C)、品番T15302のステッチストレッチシャツ(D)について、胸の部分が拡大された写真が掲載されており、本件商標がワンポイントマークとして付されていることが明瞭に確認できる(審決注:平成29年7月20日付け上申書で提出された乙第6号証の1は、答弁書で提出されていた乙第6号証の1とはその内容を異にするものであるから、乙第45号証とする)。
更に、品番G84600のキャプテンジャケット(A)、品番G87900のキメルジャケット(B)、品番T15302のステッチストレッチシャツ(D)については、商品写真を提出する(乙30?乙32)。これらの商品には、本件商標が付されたタグと品番や素材が記載されたタグが付けられているとともに、胸に本件商標がワンポイントマークとして付されていることが明瞭に確認できる。
これらの4点の商品は、乙第4号証の1の2015年7月2日付けのサリ社からBAYTRADE社宛のインボイスに記載されている(乙4の1、第1頁のA,B,C,D)。
更に、新たに提出する乙第25号証の品番G90400のモーターバイクジャケットの仕様書には、胸ポケットに本件商標が付されることが記載されている。この商品は、RefrigiWear SS16 MANカタログにも掲載されており、乙第4号証の1から3の全てのインボイスに記載されており、2015年7月2日、2015年7月6日、2016年2月17日のいずれにおいてもサリ社からBAYTRADE社によって輸入されている。
以上から、要証期間内に、BAYTRADE社により、サリ社から輸入された商品に、本件商標が付されていたことは明らかである。
イ 商標権者により商品が流通に置かれ、転々流通する場合、商品に改変が施される等特段の事情がない限り、これらの者は当然に商標を使用することを許諾されていると考えられ、少なくとも黙示の使用権者にあたる。このように解しない場合には、これらの者による譲渡、引き渡し、展示行為等が使用許諾を得ていない者の使用ということになり、商品の出所、品質は何ら害されていないにもかかわらず、商標権者が恣意的に流通をコントロールできることになり、極めて不合理な結論となってしまう。よって、本件商標は、要証期間内に使用権者であるBAYTRADE社により商標法第2条第3項第2号の輸入行為が行われたものである。
ウ 商品の出所を表示して品質を保証するとの商標の機能、商標権者の信用を保護するという商標法の目的からは、国境を越えて商品を流通させたとしても、商標権者等が商品に付した商標は、社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解され、行為全体を総合的にみた場合、全ての流通過程における商標の使用主体は、当該外国法人であると認められるべきものである(乙20、乙21)。したがって、本件商標の使用主体は、当初商品に商標を付したリフリッジウェア社であると認められるべきである。
エ サリ社は本件商標の使用権者であるところ、BAYTRADE社に本件商標が付された商品を輸出しており、輸出行為は譲渡、引き渡しを伴う。ここで、国境を越えた商品の移動に伴う譲渡、引き渡しの時期は、貿易上の危険負担や保険の観点とは別に、あくまで商品の出所を表示して品質を保証するとの商標の機能、商標権者の信用を保護するという商標法の目的及び商標権の属地主義の観点から考えるべきであり、そうとすれば、商標が我が国の領域内に入り我が国で商標の機能を発揮する時点、すなわち、我が国で通関された時点で我が国における使用行為が行われたと解すべきである。
よって、本件商標は、要証期間内にサリ社により、譲渡又は引き渡しが行われたものである。
(2)志風音による輸入・輸出に係る商品について(乙10の1、2)
ア 新たに提出した製本されたRefrigiWear FALL WINTER 16-17カタログには、品番G98200のヘビーブラントジャケット(G)、品番G91300のデフェンジャケット(H)について、本件商標が胸の部分に付されたことが見て取れる写真が掲載されており、本件商標がワンポイントマークとして付されていることが確認できる(乙24)。
更に、品番G91300のデフェンジャケット(H)、品番G98200のヘビーブラントジャケット(G)、品番G92400のダカールジャケット(I)、品番T18503のニューバーストウポロ(K)、品番T20300のレイポロ(L)、品番W95100サマーグレイドジャケット(J)については、商品写真を提出する(乙33?乙39)。これらの商品には、本件商標が付されたタグと品番や素材が記載されたタグが付けられているとともに、胸又は腕部分に本件商標がワンポイントマークとして付されていることが明瞭に確認できる。また、これらの商品は、本件商標が大きく付されたビニール袋に入れられて納品、流通している(例えば、品番T18503のニューバーストウポロ(K)(乙33)、品番T20300のレイポロ(L)(乙38)。これらのうち2点の商品(G,H)は、乙第10号証の1の2015年2月2日付けのリフリッジウェア社から志風音宛のインボイスに記載されている(乙10の1、第5頁のH、第6頁のG)。
また、残りの4点の商品(I,K,L,J)については、乙第10号証の2の2016年6月30日付けのリフリッジウェア社から志風音宛のインボイスに記載されている(乙10の2、第1頁のI、第2頁のK,L、第6頁のJ)。
以上から、要証期間内に、志風音により、リフリッジウェア社から輸入された商品に、本件商標が付されていたことは明らかである。
イ 志風音の輸入商品の商品性について
志風音が輸入した商品は、販促用ということで割引価格、一定期間の販売不可、返却可能等の特別の条件でシーズンの最初に提供され、当該シーズンのサンプル受領から90日経過後は(一般消費者に)販売できるものであり、全く通常の商品と変わらない。一般にファッション業界では、サンプル商品とは、シーズンの初めに展示会を開催するために輸入される、比較的少量かつ多種類の商品のことをいい、これは受注の基礎となるもので、当然通常の商品と全く同一であり、シーズンに入った時点で、通常の商品と一緒に販売される。したがって、業界の一般常識としても、サンプル商品は、全く通常の商品と変わらないものであり、販売されることを前提とするものである。
商標法上の商品概念は、有体動産であって、流通性があり、商取引の対象となっているもの(乙26)、商取引の対象であって、出所表示機能を保護する必要のあるものとされており(乙27)、有償性は要件ではない。本件商品は、上記をみたすことは明らかであり、仮に返却されたとしても、商品性に問題はなく、「商品」の譲渡、引き渡し、輸入、輸出が行われたことに疑いはない。
更に、追加で提出する乙第28号証の志風音のダエエラ・レプレからリフリッジウェア社に宛てた2016年8月4日付けの電子メール(志風音の代表者にもc.c.されている。)によれば、志風音は販売契約書の4.契約期間の取り決めに基づいて次期シーズンへの契約期間の延長について、販売契約については延長しないこと、及び、その代わりに本件商標のライセンスを得て、志風音が独自に企画した商品を販売することを提案している。この申入れは、販売契約に基づいて当該契約期間において実際に販売した結果を評価して申入れを行ったことは明らかであり、少なくとも2015年2月2日付けのインボイスに記載された商品が90日経過後に実際に販売されたことは明らかであり、これらの商品の商品該当性を如実に示すものである。
更に、志風音が輸入した乙第10号証の1から3の商品と、全品返却したと主張する甲第5号証を対比すると、商品の品番が整合しておらず、2016年2月2日付けインボイス(乙10の1)中の品番G98101、G56800、G90200、G90500、G70800、G90200及び2016年6月30日付けインボイス(乙10の2)の3点を除くほぼ全商品が返却されていない(乙29)。したがって、これらの商品が、売れ行きを評価するため販売されたことは疑いがなく、売れ行きが芳しくなく大量の商品が返却されたとしても、少なくとも譲渡若しくは引き渡しのために展示されたことが合理的に推認されるものであり、この点からも志風音が輸入した商品は、商標上の商品に該当し、何ら商品性に欠けるものではない。
ウ 本件商標が志風音により使用された点について
新たに提出した志風音とリフリッジウェア社の2016年7月4日付けの契約書の契約期間を含む第4頁(乙9)によれば、2016年1月15日から2016年9月30日まで、志風音とリフリッジウェア社は日本における2016年秋冬及び2017年春夏シーズンの販売代理店契約を締結しており、当然に商標の使用権者であった。
したがって、乙第10号証の2の2016年6月30日付けのリフリッジウェア社から志風音宛のインボイスに記載されている4点の商品(I,K,L,J)については、明示的に本件商標の使用権者である志風音により輸入されたものである(乙10の2、第2頁のK,L、第7頁のJ)。
また、2点の商品(G,H)についても、BAYTRADE社と同様の理由により、使用権者である志風音により輸入され、または、使用権者であるリフリッジウェア社により譲渡、引き渡しされたものである。
更に、志風音からリフリッジウェア社宛の2016年7月22日付けのインボイスには、品番G91300のデフェンジャケットと品番G98200のヘビーブラントジャケットが含まれており(甲5の第2頁の商品欄の第2行と第6行)、これらの商品には本件商標が付されていたものである。したがって、本件商標は、使用権者である志風音により、要証期間内に輸出されたものである。
加えて、上記のとおり、これらの商品は、志風音により、売れ行きを評価するため販売されたことに疑いがなく、少なくとも譲渡若しくは引き渡しのために展示されたことが合理的に推認される。
(3)BAYTRADE社、サンクアイ、その他の国内小売店における使用について
ア 新たに提出する乙第40号?同第44号証の4
乙第40号証は、BAYTRADE社から株式会社サンクアイ(以下「サンクアイ」という。)宛の売上明細書であり、乙第41号証の1?同4はその納品書である。BAYTRADE社は、輸入業者であり、輸入通関手続を手数料をとって代行するビジネスであり、個々の商品の明細は、サリ社のインボイスを流用しており、BAYTRADE社発行の取引書類としては、インボイスごとの納品書に関税や手数料を加えたものである。
乙第40号証の売上明細書及び乙第41号証の2の納品書には、2015年7月13日にサリ社を介してリフリッジウェア社からインボイスNo.367と373(乙4号の1、2)に係る商品が輸入・納品されたことが示される(なお、売上明細書中のインボイスNo.42は、47の記載ミスと考えられる)。したがって、少なくともインボイスNo.367と373に係る商品が、BAYTRADE社からサンクアイに引き渡されており、このうち品番G84600のキャプテンジャケット(A)、品番G87900のキメルジャケット(B)、品番T15302のステッチストレッチシャツ(D)に本件商標が付されていたことは明らかであり、本件商標が日本国内で使用されたことが証明される。
乙第43号証の1から8は、要証期間内にサンクアイから国内の小売店に販売したRefrigiWearに係る商品の納品書である。乙第43号証の4には品番G84600が記載されており、これはインボイスNo.367及び47に照応している(乙4の1、3)。
乙第43号証の5には品番G88100及びG90400が記載されており、G88100はインボイスNo.367、373及び47に照応している(乙4の1?3)。
乙第43号証の6から8には品番G88301が記載されており、これはインボイスNo.367及び47に照応している(乙4の1、3)。
乙第44号証の1から4は、BAYTRADE社がサリ社から輸入し、サンクアイに納品した商品の写真である。乙第44号証の1は、品番G90400のモーターバイクジャケットの赤(C01300)の写真であり、品番を記したタグ及び胸に本件商標が付されていることが明瞭に示される。
乙第44号証の2は品番G90400のモーターバイクジャケットの緑(E03440)の写真であり、品番を記したタグ、本件商標が付されたタグ及び胸に本件商標が付されていることが明瞭に示される。また、「本体価格¥39,000+税」と日本語で記されたタグが付けられており、日本国内で流通する商品であることが示される。
乙第44号証の3は品番G69201のニューブレントジャケットの写真であり、品番を記したタグ及び胸に本件商標が付されていることが明瞭に示される。
乙第44号証の4は品番T19000のメインポロの写真であり、品番を記したタグ、本件商標が付されたタグ及び胸に本件商標が付されていることが明瞭に示される。また、表に「本体価格¥15,000+税」と日本語で記され、裏に「CINQ I」と記載されたタグが付けられており、サンクアイにより輸入され日本国内で流通する商品であることが示される。これらの商品は、インボイスNo.367、373及び47に記載されており、品番G90400は乙第43号証の5の納品書にも記載されているところ、少なくとも品番G90400の商品は、リフリッジウェア社から出荷され、サリ社、BAYTRADE社、サンクアイを流通したうえで林田株式会社により一般消費者に販売された商品に、本件商標が付されていたことが証明される(なお、品番G90400の商品に本件商標が付されていたことは乙第25号証の仕様書からも証明される)。そして、商標権者等が商品に付した商標は、社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解され、行為全体を総合的にみた場合、全ての流通過程における商標の使用主体は、当該外国法人であると認められるべきであるから、本件商標は当初商標を付したリフリッジウェア社により、国内流通の各段階で譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示されたものである。
また、品番G69201のニューブレントジャケット(乙44の3)と品番T19000のメインポロ(乙44の4)は、BAYTRADE社がサリ社から輸入し、サンクアイに引き渡しがされた商品に記載されているところ(乙4の1?3)、これらの商品に本件商標が付されていたことが証明される。
イ 乙第43号証の4には、品番G84600の商品が有限会社ユイに納品されたことが示されており、品番G84600の商品には本件商標が明確に付されている(乙6の1、乙31)。品番G84600は、インボイスNo.367及び47(乙4の1、3)に記載されており、本件商標が付された品番G84600の商品が要証期間内にサリ社からBAYTRADE社、サンクアイを介して有限会社ユイにより日本国内で輸入、譲渡、引き渡しがされたことが証明される。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
(1)被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、以下のとおりである。
ア 乙第2号証は、被請求人とリフリッジウェア社の宣誓書であるところ、その訳文には「1.エッレ スポルトは、特に日本(許諾地域)を含む世界の異なる国においてREFRIGIWEAR商標を正当に出願・登録した。」、「2.エッレ スポルトは、リフリッジウェア社に対して、許諾地域におけるリフリッジウェア商標にかかる被服、靴、関連雑貨の製造、販売、頒布を許諾した。」、「4.リフリッジウェア社及びその二次流通業者は、日本においてリフリッジウェア商品をすみずみまで継続的に頒布する。」等の記載がある。
イ 乙第3号証は、リフリッジウェア社とサリ社の宣誓書であるところ、その訳文には「i)リフリッジウェア社は、2014年6月30日?2016年4月30日にかけてREFRIGIWEAR商標にかかる被服、履物製品を日本(許諾地域)において頒布することを委託した。ii)サリ社は、上記期間においてREFRIGIWEAR商標にかかる被服、履物製品を日本(許諾地域)において卸売りを通じて頒布し、プロモーション、マーケティング活動をした。」等の記載がある。
ウ 乙第4号証の1は、2015年7月2日付けの「INVOICE/PACKING LIST」であるところ、その左上部には、「SARI SPAZIO s.r.l Via Cevedale,5-20158 Milano」の記載があり、「BILLING ADDRESS」の欄及び「DELIVERY ADDRESS」の欄には、それぞれ「BAYTRDE CO.LTD 6-1-32,NIGAWA-CHO,NISHINOMIYA-CITY 6620811 HYOGO JAPAN」の記載がある。また「SAMPLES COLLECTION-REFRIGIWEAR」の欄には、「G90400NY3276 MOTORBIKE JACKET」の記載がある。
エ 乙第6号証の1は、「SS16 MAN」(2016年春夏物)の商品カタログとされるものであり、その5葉目左下及び6葉目右上には、商品の写真とその下に「MOTORBIKE JACKET G90400 NY3276」等の記載がある。
オ 乙第25号証は、品番G90400のモーターバイクジャケットの仕様書とされるものであり、その「Style」の欄には、「G90400」の記載があり、「Fabr」の欄には、「NY3276-NY3276」の記載、「Description」の欄には、「MOTORBIKE JACKET」の記載がある。また、商品の胸ポケット部には、擬人化された犬が、内側に「RefrigiWear」の欧文字を配した角の丸い長方形を持っているかのように構成された図形が表されている。
(2)上記(1)からすれば、次のとおり判断できる。
ア 使用者及び使用商標について
乙第25号証は、乙第4号証の1の「INVOICE/PACKING LIST」に記載の品番「G90400」の「MOTORBIKE JACKET」(以下「本件商品」という。)の仕様書と認められるところ、商品の胸ポケット部に使用商標が付されているものである。この使用商標と本件商標とは、仔細にみれば請求人が主張するように、擬人化された犬の頭部や腕、足、首の部分等に本件商標と異なる部分があるとしても、その基本的な構成は、本件商標とほぼ同じであり、構成中の文字も同一であるから、外観上同視できるものであって、本件商標と社会通念上同一の商標であるといい得るものである。
そして、乙第4号証の1、乙第6号証の1及び乙第25号証に記載された商品は、それぞれ、「MOTORBIKE JACKET」、「G90400」、「NY3276」の商品名、品番等を共通にすることから、いずれも使用商標が付されていたものと推認できる。
上記(1)アないしウのとおり、被請求人(商標権者)は、リフリッジウェア社に日本におけるリフリッジウェア商標にかかる被服、靴、関連雑貨の製造、販売、頒布を許諾していたと認められるから、リフリッジウェア社は、通常使用権者といえる。そして、リフリッジウェア社は、サリ社に対し、2014年6月30日から2016年4月30日にかけてREFRIGIWEAR商標に係る被服、履物製品を日本において頒布することを委託したものであり、2015年7月2日には、サリ社からBAYTRDE社に「G90400NY3276 MOTORBIKE JACKET」が譲渡されたことが認められる。
そうすると、本件商品は、通常使用権者であるリフリッジウェア社の委託によりサリ社が日本の法人であるBAYTRADE社に譲渡したものであり、その後、BAYTRADE社から日本国内において転々流通したものといえる。通常使用権者が商品に付した商標は、その商品が転々流通した後においても、当該商標に手が加えられない限り、社会通念上は、当初、商品に商標を付した者による商標の使用であると解されるので(知財高裁平成25年(行ケ)第10031号 平成25年9月25日参照)、通常使用権者は、日本国内において本件商標を使用したものということができる。
イ 使用商品について
乙第4号証の1の「INVOICE/PACKING LIST」によれば、サリ社は、BAYTRADE社宛てに、2015年7月2日付けで品番「G90400」の「MOTORBIKE JAKET」の商品を送付していることが認められる。
そして、乙第6号証の1の商品カタログの5葉目及び乙第25号証には、品番「G90400」の「MOTORBIKE JACKET」が掲載されている。
上記「MOTORBIKE JACKET」は、請求に係る指定商品中の「被服」の範ちゅうに属するものである。
ウ 使用時期について
乙第4号証の1によれば、通常使用権者であるリフリッジウェア社は、サリ社を介して、要証期間内の2015年7月2日に本件指定商品「被服」に含まれるジャケットに標章を付したものをBAYTRADE社に譲渡したことが認められる。
(3)小括
以上によれば、通常使用権者は、要証期間内において、本件審判の請求に係る指定商品「被服」について、本件商標と社会通念上同一の商標を付したものを譲渡又は引き渡した(商標法第2条第3項第2号)と認めることができる。
2 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者がその請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標


審理終結日 2017-12-27 
結審通知日 2018-01-04 
審決日 2018-01-18 
出願番号 商願平2-14514 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y25)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 佐藤 正雄 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 半田 正人
豊泉 弘貴
登録日 1993-09-30 
登録番号 商標登録第2579513号(T2579513) 
商標の称呼 リフリジウエア、リフリジ、レフリジウエア、レフリジ 
代理人 恩田 博宣 
代理人 秋和 勝志 
代理人 杉本 明子 
代理人 関口 一哉 
代理人 恩田 誠 
代理人 都築 健太郎 
代理人 平野 泰弘 
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