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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W0106
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W0106
管理番号 1338277 
審判番号 不服2017-5791 
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-21 
確定日 2018-02-15 
事件の表示 商願2015-102407拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「DC Billet」の欧文字を標準文字で表してなり、第1類及び第6類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年10月23日に登録出願されたものである。
その後、本願の指定商品は、原審における平成28年4月13日付けの手続補正書により、第1類「化学品,ハロゲン化物,金属酸化物,金属酸化物粉末,金属酸塩,非鉄金属,非金属鉱物,四塩化チタン,四塩化チタン水溶液,塩化マグネシウム」及び第6類「ビレット,棒状の非鉄金属又はその合金,棒状のチタニウム又はチタニウム合金」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、商品の品番・形式等を表示する記号・符号として類型的に採択、使用されているローマ文字二文字の『DC』の文字と、商品名である『ビレット』の英文表記と認められる『Billet』の文字を一連に『DC Billet』と標準文字により表してなるものですから、本願商標をその指定商品中『ビレット』に使用しても、これに接する取引者・需要者は、何人かの業務に係る商品であるか認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、『ビレット』以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ通知(平成29年9月11日付け)
当審において、本願商標の識別性及び品質の誤認のおそれについて、職権に基づく証拠調べをし、その結果、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとの合議体の見解を開示し、請求人に対し、期間を指定して、これに対する意見を求めた。

4 請求人の意見
上記3の証拠調べ通知に対し、請求人は何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、上記1のとおり、「DC」の文字と商品「ビレット」の英語表記である「Billet」の文字を一連に標準文字で表してなるところ、その構成中「DC」の文字が、以下のとおり、本願の指定商品を取り扱う分野において、(金属の)鋳造法(品質)を表すものとして、一般に使用されている事実がある(下線は合議体による。)。
ア 「知財ポータルサイト IP Force」のウェブサイトにおいて、「日本軽金属株式会社の特許一覧」の「特開2015-208748」の明細書中に、「本明細書中では『DC鋳造』や単に『DCビレット』と表記しているが、この『DC』は、Direct Chillのことを指す。『DC鋳造』は鋳型により表面だけが凝固した鋳塊を、直接冷却水中に鋳造する方法である。これにより、水中冷却凝固であるため鋳型内で固めるよりも冷却効率が高く、急冷組織が得られる。また、『DCビレット』はDC鋳造により製造されたビレットのことである。」との記載がある。
(http://ipforce.jp/patent-jp-A-2015-208748)
イ 「一般財団法人 素形材センター」のウェブサイトに掲載された、「マグネシウム部品製造用素材の現状と新技術」と題する論文において、「3.1 鍛造用ビレットの要件」の項目に、「鋳造ビレットには、DC鋳造と呼ばれる半連続鋳造と、主に小径ビレットを製造する水平(横型)連続鋳造とがある。DC鋳造ビレットは丸棒、形材、パイプ、板等を製造するための押出成形に供される場合が多い。」との記載、「3.2 鍛造用ビレットの製造」の項目に、「最近、マグネシウム鋳造ビレットをそのまま鍛造素材に使用できる鋳造技術が開発された。・・・従来のDCビレット鋳造法に較べ、鋳型を断熱構造とし、・・・」との記載、「3.5 薄板鋳造(TRC)」の項目に、「AZ31のDASは約5?6.5μmでDCビレット(34μm)よりかなり小さく、・・・」との記載がある。
(http://sokeizai.or.jp/japanese/publish/200706/201007okano.pdf)
ウ 「福岡アルミ工業株式会社」のウェブサイトにおいて、「スラブ・ビレット」の項目に、「弊社では、これらの加工法で使用される『スラブ』(直方体の圧延用塊)、『ビレット』(円柱形の押出用塊)をDC鋳造法にて製造しています。」との記載がある。
(http://www.alumi-fukuoka.co.jp/products2/)
エ 「R&D 神戸製鋼技報」のウェブサイトにおいて、「Vol.62 No.2(Oct.2012)」に掲載された、「矩形アルミニウム合金DC鋳造における表面割れ発生予測と対策」と題する論文中に、「工業的に広く適用されている展伸材用アルミニウム合金の連続鋳造は,双ロールや双ベルトなどの薄板連続鋳造法のように鋳塊と鋳型の相対速度がゼロの移動鋳型タイプと,ダイレクトチル鋳造(以下,DC鋳造という)に代表される固定された鋳型に溶湯を注ぎ込んで引抜く固定鋳型タイプに大別される。」との記載がある。
(http://www.kobelco.co.jp/technology-review/pdf/62_2/018-023.pdf)
オ 「J-STAGE」のウェブサイトに掲載された、「アルミニウムの連続鋳造技術と鋳塊組織」と題する論文において、「1.まえがき」の項目に、「現在生産されているアルミニウム及びアルミニウム合金の圧延用スラブ,押出し用ビレットの鋳造のほとんどは竪型半連続鋳造法(Direct Chill鋳造法)である。このDC鋳造法は,第1図に示すように,分配桶、スパウト,フロート,水冷鋳型,下型などから構成され,生産性を高めるため同時に多数の鋳型配置による多連鋳造を行っている。」との記載がある。
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jilm1951/32/6/32_6_311/_pdf)
カ 「株式会社UACJ」のウェブサイトに掲載された、「最近の鋳造技術」と題する論文において、「1.はじめに」の項目に、「展伸材用途での鋳造工程は,竪型半連続鋳造法(direct chill casting.,DC鋳造法)を基本として,品質向上や製造コスト低減を目指した各種の技術改善が近年も継続して行われている。」との記載、「2.DC鋳造法について」の項目に、「DC鋳造法は,圧延に供される直方体のスラブや,押出用途の円筒形のビレットなどの鋳塊の製造に用いる・・・DC鋳造法は,形状やサイズの選択幅が広く,複数本同時にできるメリットから,広く普及している技術である。」との記載がある。
(http://www.uacj.co.jp/review/furukawasky/006/pdf/06_abst03.pdf)
キ 「古河電気工業株式会社」のウェブサイトの「古河電工時報 第116号(平成17年7月)」に掲載された、「アルミニウム合金鋳塊におけるバットカール現象のシミュレーション解析」と題する論文において、「概要」の項目に、「プレートやシートコイルのアルミニウム合金圧延材を製造するには,まずDC鋳造(direct chill casting)によって鋳塊を製造する必要がある」との記載がある。
(https://www.furukawa.co.jp/jiho/fj116/fj116_13.pdf)
ク 「アカオアルミ株式会社」のウェブサイトにおいて、「クオリティとスピードの両立」の見出しの下、「わたしたちの製造するスラブは1?2トン、ここにアカオの強みが凝縮されています。DC鋳造製法による確かな品質、小型のスラブで小ロット・短納期を実現しています。」との記載がある。
(http://www.akao.co.jp/materials/speciality)
ケ 「天田財団」のウェブサイトに掲載された、「半凝固A7075アルミニウム合金ビレット及びAZ91Dマグネシウム合金インゴットの半溶融押出し材の特性評価」と題する論文において、「2.実験方法」の「2.1供試料」の項目に、「半凝固ビレットは表1に示す化学組成の7075とA390アルミニウム合金のDCビレットを再溶解して,機械撹拌を併用した堅型半連続鋳造装置を用いて直径51mmの細棒として鋳造した。」との記載がある。
(http://www.amada-f.or.jp/r_report2/kkr/16/AF-2000014.pdf)
そうすると、本願商標を、その指定商品中「ビレット」に使用したときは、その商品が「DC鋳造法で製造されたビレット」であることを表示したものと理解されるにとどまるから、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものといえ、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものである。また、本願商標を、その指定商品中「ビレット」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
なお、原査定は、上記2のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものとし、当審の判断は、本願商標が同項第3号に該当するものとしているところ、いずれも本願商標を本願の指定商品中「ビレット」に使用しても、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないとするものであるから、両者は、その判断の内容において実質的に相違するものではない。
(2)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-11-29 
結審通知日 2017-12-06 
審決日 2017-12-22 
出願番号 商願2015-102407(T2015-102407) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W0106)
T 1 8・ 272- Z (W0106)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 原田 信彦
松浦 裕紀子
商標の称呼 デイシイビレット、ビレット 
代理人 特許業務法人あしたば国際特許事務所 

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