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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 取り消して登録 W354144
管理番号 1338261 
審判番号 不服2016-1536 
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-02-02 
確定日 2018-02-27 
事件の表示 商願2014-108031拒絶査定不服審判事件についてされた平成29年1月11日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成29年(行ケ)第10049号、平成29年9月14日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「Advanced Midwife アドバンス助産師」の文字を横書きしてなり、第35類、第41類、第44類及び第45類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成26年12月9日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における同27年7月8日付けの手続補正書により、第35類「市場調査又は分析,助産師のあっせん,助産師のための求人情報の提供」、第41類「セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」及び第44類「助産,医業,医療情報の提供,健康診断,調剤,栄養の指導,介護,医療看護その他の医業」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『上級の』を意味する『Advanced』の文字と、これを認識させる『アドバンス』の文字及び『助産師』の文字とこれに相応する『Midwife』の文字を一連に『Advanced Midwife アドバンス助産師』と書してなるところ、本願商標全体からは、『上級の助産師』程の意味合いを認識するものである。ところで、その構成中『助産師』の文字は、『分娩を助け、また妊婦・褥婦・新生児の保健指導を職業とする者。国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受ける。』を表すものである。そして、医療法の第3条第3項においては、『助産所でないものは、これに助産所その他助産師がその業務を行う場所に紛らわしい名称を付けてはならない。』との記載がある。そうすると、本願商標は、あたかも助産師の一種あるいは助産師と同様の国家資格であるかのように、需要者、取引者に誤信を生じさせるおそれがあることから、これを商標として登録、使用することは、取引秩序を乱すおそれがあり、社会公共の利益に反するものと認められる。したがって、この本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、「Advanced Midwife アドバンス助産師」の文字を横書きしてなるところ、その構成中「Advanced」の欧文字は、「上級の」を、「Midwife」の欧文字は、「助産師」を、それぞれ意味する英語(いずれも「ベーシックジーニアス英和辞典」大修館書店)であるから、構成中前半の「Advanced Midwife」の欧文字部分からは、「上級の助産師」の意味合いが理解されるものである。
また、その構成中の「アドバンス」の片仮名は、「上級の」を意味するものとして我が国において馴染みのある、比較的平易な外来語であることから、本願商標の構成中後半の「アドバンス助産師」の文字からも、「上級の助産師」の意味合いが理解されるものである。
そうすると、本願商標は、「上級の助産師」の意味合いを生じる語を英語及び日本語で一連に横書きにして表したものであり、本願商標全体としても、「上級の助産師」の意味合いが理解される。
(2)出願人について
出願人は、「母子を中心とした一般市民を対象として、助産実践及び教育の第三者評価及び認証に関する事業を行うことで、助産教育及び実践の質の向上と利用者の選択の利便を支援すると共に、その成果を助産教育機関・助産所・実践助産師・一般市民に情報開示し、社会における助産サービスの質がより一層向上し、ひいては母子の保健・福祉の向上に寄与すること」を目的として、平成26年11月25日に設立され、「助産教育及び助産実践の第三者評価実施事業、助産教育及び助産実践の評価基準作成・維持事業、助産教育評価員の育成、研修事業、助産教育・実践評価に関する普及啓発事業」等の事業を行っている(甲2)。
また、出願人の前身は、「特定非営利活動法人日本助産評価機構」であり、同法人は、学校教育法第110条の規定によって、平成20年4月8日、専門職大学院のうち助産分野の評価を行う認証評価機関として、文部科学大臣の認証を受けたものであり、出願人は、現在も引き続き助産専門職大学院認証評価事業を行っている。(甲4、甲5)。
(3)「アドバンス助産師認証制度」について
助産関連5団体(公益社団法人日本看護協会、公益社団法人日本助産師会、一般社団法人日本助産学会、公益社団法人全国助産師教育協議会、出願人)は、助産師が継続的に自己啓発を行い、専門的能力を高めることにより、妊産じょく婦・新生児に対し、安全で安心な助産ケアを提供できること、社会や組織が助産実践能力を客観視できることを目的として、公益社団法人日本看護協会が開発した「助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)」のレベルIIIに到達している助産師を、「アドバンス助産師」として認証する制度の創設を進め、その認証は、出願人が行い、2015年(平成27年)8月1日より、上記のレベルIII認証申請の受付(WEB受付)を出願人が開始した(甲1)。
「助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー)」のレベルIII認証は、「入院期間を通して、責任をもって妊産褥婦・新生児の助産ケアを実践できる」、「助産外来において、個別性を考慮したケアを自律して提供できる」、「助産外来において、指導的な役割を実践できる」、「院内助産において、自律してケアを提供できる」及び「ハイリスクへの移行を早期に発見し対処できる」といったレベルに達している助産師を「アドバンス助産師」として認証する制度である(甲1)。
そして、出願人は、2015年(平成27年)12月25日付けで初めて、上記認証制度の結果を公表し、「アドバンス助産師」5,562人を認証した(甲13、甲14)。
また、厚生労働省は、2015年(平成27年)10月15日、「第2回周産期医療体制のあり方に関する検討会」において、「アドバンス助産師」の認証制度を紹介した(甲15)。
さらに、「アドバンス助産師認証制度」は、各種新聞や医療関連の情報を扱うウェブページ等において取り上げられている(甲6?甲14)。
(4)「アドバンス助産師」について
公益社団法人日本看護協会のウェブサイトにおける、2016年12月26日付け「News Release」(http://www.nurse.or.jp/up_pdf/20161226093959_f.pdf)によると、出願人は、平成27年度に5,562人、平成28年度に5,440人の計1万1,002人の助産師を「アドバンス助産師」として認証しており、これは、就業者に占める割合が32.4%であり、約3人に1人の助産師が「アドバンス助産師」の認証を受けているという現状にある。
そして、病院によっては、院内に「アドバンス助産師」の認証を受けた助産師が在席することを、病院のウェブサイトに掲載し、充実した助産ケアを提供できることを広報している例が多数ある(甲17?甲27)。
(5)商標法第4条第1項第7号該当性について
上記(2)ないし(4)によれば、「アドバンス助産師認証制度」は、専門職大学院のうち助産分野の評価を行う認証評価機関として文部科学大臣の認証を受け、「助産教育及び助産実践の第三者評価実施事業」等を行う出願人が、「アドバンス助産師」の認証を行う制度である。
そして、その認証制度は、公益社団法人日本看護協会が開発した専門的知見を取り入れた指標を用いたものであることからすると、助産師の能力を適切に評価しうる認証制度であるということができるものであって、同認証制度は、一定程度の高い助産実践能力を有する助産師を、適切に認証する制度として、医療関連分野や一般の需要者においても知られているといえるものである。
そうすると、「アドバンス助産師」は、国家資格である助産師のうち、一定程度の高い助産実践能力を有する者を意味するものとして、我が国において相当程度知られているものというのが相当である。
してみれば、「アドバンス助産師」の認証を行う機関である出願人が、「Advanced Midwife アドバンス助産師」の文字からなる本願商標を、その指定役務に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、「上級の助産師」、または「国家資格である助産師のうち、一定程度の高い助産能力を有する者」に係る役務であることを認識するものといえ、いずれにしても、「国家資格である助産師」に係る役務であると認識するものというのが相当であるから、本願商標は、国家資格等の制度や、助産師に関連する法律等の趣旨に反する商標ではなく、取引秩序を乱すおそれや、社会公共の利益に反するものでもないから、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」ということはできない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(6)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではないから、これを理由として本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2018-02-14 
出願番号 商願2014-108031(T2014-108031) 
審決分類 T 1 8・ 22- WY (W354144)
最終処分 成立 
前審関与審査官 豊瀬 京太郎 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
真鍋 恵美
商標の称呼 アドバンストミッドワイフアドバンスジョサンシ、アドバンストミッドワイフ、アドバンスジョサンシ、アドバンス、アドバンスト 
代理人 成川 弘樹 
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