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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
審判 一部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1337238 
異議申立番号 異議2017-900304 
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-10-11 
確定日 2018-02-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5971375号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5971375号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5971375号商標(以下「本件商標」という。)は,「京都トレジャー」の文字と「KYOTO TREASURE」の欧文字を二段に書してなり,平成28年11月18日に登録出願,同29年7月5日に登録査定,第35類「飲食料品・酒類・食肉・食用水産物・野菜及び果実・菓子及びパン・米穀類・牛乳・清涼飲料水及び果実飲料・茶・コーヒー及びココア・加工食料品の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供及びこれに関する情報の提供」を含む,第16類,第35類,第39類,第41類及び第43類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同年8月10日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する標章は,以下の8件であり,いずれも登録商標として現に有効に存続しているものである(以下,これら8件の商標をまとめていうときは「引用商標」という。)。
(1)登録第468782号商標(以下「引用商標1」という。)は,「TREASURE」の欧文字を書してなり,昭和29年8月10日に登録出願,第39類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として,同30年8月6日に設定登録され,その後,平成18年8月30日に,その指定商品を第32類「ビール」及び第33類「洋酒,果実酒,中国酒,虎骨酒,にんじんきなてつぶどう酒」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第524773号商標(以下「引用商標2」という。)は,「TREASURE」の欧文字を書してなり,昭和31年10月6日に登録出願,第38類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として,同33年8月1日に設定登録され,その後,平成22年1月6日に,その指定商品を第5類「薬用酒」及び第33類「日本酒,薬味酒(にんじんきなてつぶどう酒を除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第530269号商標(以下「引用商標3」という。)は,「トレジャー」の片仮名を書してなり,昭和32年12月3日に登録出願,第45類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として,同33年11月24日に設定登録され,その後,平成22年10月13日に,その指定商品を第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物,魚エキス,肉エキス,果実の缶詰・瓶詰(乾燥果実の缶詰・瓶詰を除く。),果実の漬物,ジャム,チョコレートスプレッド,マーマレード,野菜の缶詰・瓶詰(乾燥野菜の缶詰・瓶詰を除く。),野菜の漬物,卵,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,納豆,海藻類・魚介類・食肉・野菜又は果実を主材とする惣菜」,第30類「みそ,ごま塩,すりごま,セロリーソルト,うまみ調味料,香辛料,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,アーモンドペースト,酒かす,みりんかす,甘酒,みつ豆,ゆであずき,穀物の加工品を主材とする惣菜」,第31類「ホップ,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類(てんぐさを除く。)」及び第32類「ビール製造用ホップエキス」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(4)登録第531880号商標(以下「引用商標4」という。)は,別掲1に示すとおりの構成よりなり,昭和33年1月11日に登録出願,第40類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として,同34年1月13日に設定登録され,その後,平成22年6月9日に,その指定商品を第30類「氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(5)登録第2281573号商標(以下「引用商標5」という。)は,「Treasure」の欧文字を書してなり,昭和63年8月19日に登録出願,第29類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として,平成2年11月30日に設定登録され,その後,同13年12月19日に,その指定商品を第30類「茶,コーヒー,ココア,氷」及び第32類「清涼飲料,果実飲料」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(6)登録第2309697号商標(以下「引用商標6」という。)は,「TREASURE」の欧文字を書してなり,昭和57年12月20日に登録出願,第32類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として,平成3年5月31日に設定登録され,その後,同16年5月26日に,その指定商品を第29類,第30類第31類及び第32類に属する別掲2に記載する商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(7)登録第4522781号商標(以下「引用商標7」という。)は,「Treasure」の欧文字を標準文字で表してなり,平成12年12月14日に登録出願,第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」を指定商品として,同13年11月16日に設定登録されたものである。
(8)登録第4551484号商標(以下「引用商標8」という。)は,「Treasure」の欧文字を標準文字で表してなり,平成12年12月12日に登録出願,第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍果実,冷凍野菜,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」及び第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,酒かす」を指定商品として,同14年3月15日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,その指定役務中,第35類「飲食料品・酒類・食肉・食用水産物・野菜及び果実・菓子及びパン・米穀類・牛乳・清涼飲料水及び果実飲料・茶・コーヒー及びココア・加工食料品の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供及びこれに関する情報の提供」についての登録は,同法第43条の2第1号により,取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証(枝番号を含む。なお,甲号証において,枝番号を有するもので,枝番号のすべてを引用する場合は,枝番号の記載を省略し,甲各号証の表記にあたっては,「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は,「京都/KYOTO」と「トレジャー/TREASURE」の二語からなる結合商標と解されるものであり,全体として既成語ではなく,構成全体を常に一体不可分のものとしてみなければならない特段の事情は存しない。
このうち「京都」及びその英文字表記の「KYOTO」は,「近畿地方中央部,大阪と共に二府の一つ。京都府南東部に位置する市。府庁所在地。政令指定都市の一つ。」(株式会社岩波書店 広辞苑第6版)を意味する語であって,行政区画を表す地理的名称である。
そして,京都では,食品や伝統工芸品等の多くの商品が生産・販売されている他,文化や伝統に裏打ちされた種々の役務が提供されており,それらの商品や役務が高い人気を誇っていること,また,京都が世界有数の観光地であることは,周知の事実である。
してみれば,本件商標中,「京都」及び「KYOTO」の文字に接する取引者・需要者は,この文字を商品の産地・販売地または役務の提供場所を表示したものと認識するに止まるといえるから,この文字部分は,自他商品・役務の識別力を有しない部分である。
これに対し,「トレジャー」及び「TREASURE」の文字は,「宝,財宝」を意味する語であって(甲10?甲12),強い識別力を有するから,本件商標にあっては,「トレジャー」及び「TREASURE」の文字部分が,商品・役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものといえ,当該文字部分が独立して取引に資される場合も決して少なくないといえるから,当該文字部分を,本件商標の要部として抽出した類否判断が妥当である。
したがって,本件商標は,その要部である「トレジャー」及び「TREASURE」の文字部分から,「トレジャー」の称呼と「宝,財宝」の観念を生じる。
イ 引用商標は,「TREASURE」,「Treasure」及び「トレジャー」の文字よりなるから,それぞれの文字に相応していずれも,「トレジャー」の称呼と「宝,財宝」の観念を生じる。
ウ 本件商標と引用商標とは,「トレジャー」の称呼,「宝,財宝」の観念,並びに「トレジャー」及び「TREASURE」の構成文字を共通にする,類似の商標である。
そして,本件商標の指定役務中,第35類「飲食料品・酒類・食肉・食用水産物・野菜及び果実・菓子及びパン・米穀類・牛乳・清涼飲料水及び果実飲料・茶・コーヒー及びココア・加工食料品の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供及びこれに関する情報の提供」は,引用商標の指定商品と類似する役務である。
エ したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人の「寶(宝)」,「タカラ」及び「TaKaRa」商標の周知・著名性について
申立人は,大正14年(1925年)9月に「寶酒造株式会社」として設立され,わが国屈指の酒類及び調味料・飲料・食料品,並びに醗酵・醸造技術に裏付けられたバイオ関連製品の総合メーカーとして成長を遂げ,平成14年(2002年)4月1日付で,持株会社「宝ホールディングス株式会社」へと移行したものであって,子会社として新たに設立し国内の酒類・調味料事業を担う「宝酒造株式会社」や,海外で日本食材卸事業や酒類事業を展開する「宝酒造インターナショナルグループ」,バイオ事業を推進する「タカラバイオグループ」のほか,健康食品事業を行う「宝ヘルスケア株式会社」などを傘下に置き,宝グループ全体の経営を統括するものである(甲13?甲19)。
これらの宝グループの製品にはいずれも,「賓(宝/タカラ)」印と称呼・観念される,「寶(宝)」,「タカラ」又は「TaKaRa」の文字からなる商標(以下「申立人使用商標」という。),あるいはこれらを要部とする商標がハウスマーク及びその業務に係る商品の商標として永年にわたって使用されており,これらの商標は,本件商標の登録出願前には既に,取引者,需要者において広く認識されるに至っていたものである。
「寶(宝)」商標は,設立当時から現在に至るまで焼酎及びみりんについて使用されており,早くに著名性を獲得している(甲22?甲25)。
また,片仮名の「タカラ」商標も,上記「寶(宝)」商標と並んで,みりん,焼酎,料理用清酒及びチューハイ等のソフトアルコール飲料等について永年使用され,著名な商標となっている。
さらに,英文字の「TaKaRa」商標は,チューハイ等のソフトアルコール飲料や,タカラバイオ株式会社及び宝ヘルスケア株式会社の業務に係る大多数の商品に使用され,日本国内外に広く知られている。
そして,上記の「寶(宝/タカラ)」印と称呼・観念される申立人使用商標が周知・著名なものであることは,顕著な事実として確立している(甲20,甲21,甲26)。
また,申立人は,「京都府京都市下京区」を本店所在地とし,京都市伏見区での創業以来90年以上の長きにわたって,京都で事業を行ってきており(甲19),古くから京都に根差した企業として知られている。
イ 本件商標の構成中「トレジャー」及び「TREASURE」の文字は,上記のとおり,「宝」の語義を有する平易な英語であり(甲10?甲12),「宝」の意味合いで理解されるものであって,当該文字部分は,申立人使用商標と,「宝」の観念を共通にし,近似する印象を与えるものである。
ウ 申立人のハウスマークの「寶(宝/タカラ)」印と称呼・観念される申立人使用商標が周知・著名なものであって,申立人が京都に根差した企業であることに鑑みると,本件商標は,「京都の宝ホールディングス株式会社の『寶(宝/タカラ)』印」を想起させる蓋然性が高いといえ,これがその指定商品及び指定役務中,飲食料品を取り扱う役務である,第35類「飲食料品・酒類・食肉・食用水産物・野菜及び果実・菓子及びパン・米穀類・牛乳・清涼飲料水及び果実飲料・茶・コーヒー及びココア・加工食料品の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供及びこれに関する情報の提供」について使用された場合,申立人の業務に係る役務と,出所につき混同を生じるおそれがある。
エ したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,上段に「京都トレジャー」の文字と下段に「KYOTO TREASURE」の欧文字とを二段に横書きしてなるところ,上下段のそれぞれの文字部分の構成は,同じ書体,同じ大きさで,等間隔(下段の「KYOTO」と「TREASURE」の欧文字部分の間には,半文字程度の僅かな空白がある。)に配置されており,外観上まとまりよく一体的に表されているものであり,また,これら構成文字より生じる「キョウトトレジャー」の称呼もよどみなく一連に称呼できるものである。
そして,本件商標は,その構成中前半の「京都」及び「KYOTO」の文字が,「京都府南東部に位置する市。府庁所在地。」(前掲書)を意味し,その構成中後半の「トレジャー」及び「TREASURE」の文字が,「宝物,財宝」等を意味する平易な英語であることから(甲10?甲12),「京都の宝物(財宝)」程の意味合いを容易に理解,認識させるものである。
また,本件商標は,外観上まとまりよく一体的に表されていることから,「京都」及び「KYOTO」の文字が地名を表示する語であるとしても,かかる構成においては,役務の提供地を表すものとは直ちに理解できず,殊更,それら文字部分を捨象して取引に資されるというよりは,むしろその構成全体をもって不可分一体のものと認識し把握されるとみるのが自然である。
そうすると,本件商標は,その構成文字に相応して,「キョウトトレジャー」の称呼を生じ,「京都の宝物(財宝)」の観念を生じる。
なお,申立人は,「京都」又は「KYOTO」の文字を含んだ構成からなる商標について,それら文字部分が自他商品・役務の識別標識としての機能を有していないものと判断した審決例(甲27?甲34)を挙げ,本件も同様に判断されるべき旨主張しているが,商標の類否判断は,対比される商標について個別具体的に判断されるべきものであり,本件商標がその構成中に「京都」及び「KYOTO」の文字を有することをもって,申立人が挙げた審決例を直ちに本件に適用してその類否を判断することは適切とはいえず,本件商標については,上記のとおり不可分一体のものとみるのが相当である。
イ 引用商標
引用商標1,2及び6は,「TREASURE」の欧文字を,引用商標3は,「トレジャー」の片仮名を,引用商標5は,「Treasure」の欧文字を,引用商標7及び8は,「Treasure」の欧文字を,引用商標4は,ややデザインした「Treasure」の欧文字を,それぞれ横書きしてなるものであるから,それぞれの構成文字に相応して「トレジャー」の称呼,「宝物,財宝」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは,それぞれ上記ア及びイのとおりの構成であって,両商標は,いずれも構成中に「トレジャー」及び「TREASURE」(Treasure)の文字を有する点において共通するが,「京都」及び「KYOTO」の文字の有無といった顕著な差異を有することからすれば,外観上,容易に区別し得るものといえる。
次に,本件商標から生じる「キョウトトレジャー」の称呼と引用商標から生じる「トレジャー」の称呼とを対比すると,両者は,「トレジャー」の音を共通にするが,語頭において「キョウト」の音の有無という顕著な差異を有するから,両称呼は明確に聴別し得るものである。
また,本件商標から生じる「京都の宝物(財宝)」程の観念と,引用商標から生じる「宝物,財宝」の観念は,互いに異なる客体を示しているものと容易に理解できるため,両商標は,観念において,互いに紛れるおそれはない。
そうすると,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない,非類似の商標である。
エ 小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから,本件登録異議の申立に係る指定役務である第35類「飲食料品・酒類・食肉・食用水産物・野菜及び果実・菓子及びパン・米穀類・牛乳・清涼飲料水及び果実飲料・茶・コーヒー及びココア・加工食料品の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供及びこれに関する情報の提供」に係る取扱商品と引用商標の指定商品が共通し,その指定役務と指定商品が類似するものであるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人は,申立人使用商標が周知・著名なものであって,申立人が京都に根差した企業であることに鑑みると,本件商標は,申立人使用商標を想起させる蓋然性が高いといえ,これがその指定役務中,飲食料品を取り扱う役務について使用された場合,申立人の業務に係る役務と,出所につき混同を生じるおそれがある旨主張するので,以下,検討する。
ア 申立人使用商標の周知性について
申立人の提出した証拠によれば,以下の事実を認めることができる。
(ア)申立人の前身は,江戸時代の1842年に創業し,1897年(明治30年)「寶」の文字の商標を商品「みりん」について登録し,その後,1916年(大正5年)に焼酎を発売し,1925年(大正14年)9月6日に寶酒造株式会社(以下「宝酒造」という。)に改組した。以来,酒類及び調味料,飲料,食料品並びにバイオ関連製品の総合メーカーとして,2002年(平成14年)4月に,現在の申立人へと移行し,宝グループ(宝酒造,宝酒造インターナショナル株式会社,タカラバイオ株式会社,宝ヘルスケア株式会社等)全体の経営を統括している(甲13?甲18)。
(イ)申立人の,2016年(平成28年)3月期の売上高は,グループ全体の酒類・調味料・バイオ・健康食品事業で2253億6400万円であり(甲19),その申立人の事業に係る商品「焼酎,清酒,ソフトアルコール,調味料」及びそれら商品の広告宣伝において,申立人使用商標及びこれらを要部とするハウスマークを永年使用している(甲18)。
(ウ)小括
以上よりすれば,申立人使用商標は,申立人のハウスマークにも使用され,商品「焼酎,清酒,ソフトアルコール,調味料」を表示する標章として,100年以上にわたり使用,広告され,申立人による関連事業を含めた売上高も相当程度の規模に及んでいるから,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,需要者の間に広く認識されているものと認められる。
イ 申立人使用商標の独創性について
申立人使用商標は,「寶(宝)」,「タカラ」又は「TaKaRa」の文字からなるものであるところ,「宝(タカラ)」の語は,「宝物,財宝」等を意味する親しまれた語であるから,申立人使用商標が,「宝」の漢字の旧字体である「寶」の漢字,また,当該語の音を欧文字で表し,大文字と小文字を交互に使用して表されてなるとしても,高度の独創性を有するとまではいえない。
ウ 本件商標と申立人使用商標の類似性について
申立人使用商標は,「寶(宝)」,「タカラ」又は「TaKaRa」の文字からなるものであるから,その構成文字に相応して「タカラ」の称呼,「宝物,財宝」の観念を生じる。
他方,本件商標は,上段に「京都トレジャー」の文字と下段に「KYOTO TREASURE」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ,上記(1)アのとおり,その構成文字に相応して,「キョウトトレジャー」の称呼を生じ,「京都の宝物(財宝)」の観念を生じる。
そうすると,本件商標と申立人使用商標とは,外観においては,構成文字に顕著な差異を有するため,容易に区別し得るもので,称呼においては,構成音に顕著な差異を有するため,明確に聴別し得るものであり,観念においても相違するから,互いに紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異のものと認められる。
エ 本件商標の指定役務と申立人使用商標に係る商品との関連性
本件商標の指定役務中,第35類「飲食料品・酒類・食肉・食用水産物・野菜及び果実・菓子及びパン・米穀類・牛乳・清涼飲料水及び果実飲料・茶・コーヒー及びココア・加工食料品の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供及びこれに関する情報の提供」と申立人使用商標に係る商品「焼酎,清酒,ソフトアルコール,調味料」とは,その取扱商品において共通し,需要者が一般消費者であるという点では共通する。
オ 出所の混同について
上記を踏まえると,申立人使用商標は,申立人のハウスマークにも使用され,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の使用に係る商品「焼酎,清酒,ソフトアルコール,調味料」を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されているものであり,本件商標の指定役務と申立人使用商標に係る商品は,その取扱商品において共通し,需要者が一般消費者であるという点で共通する。
しかしながら,本件商標と申立人使用商標とは,非類似の商標であって,別異のものと認められること,かつ,申立人使用商標は高度の独創性を有するとまではいえないことを考慮すれば,本件商標は,これを本件商標権者がその指定役務について使用しても,取引者,需要者をして,申立人又は申立人使用商標を連想又は想起させるものではなく,その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その出所について誤認混同を生じるおそれはないというべきである。
カ なお,申立人は,京都市を本店所在地とし,京都で事業を行ってきており,京都に根差した企業として知られていることを鑑みると,本件商標は「京都の宝ホールディング株式会社の『寶(宝/タカラ)』印」を想起させる蓋然性が高い旨主張する。
しかしながら,本件商標は,上記(1)アのとおり,不可分一体のものとして認識,把握されるものであって,「京都の宝物(財宝)」の観念を生じるから,請求人主張の事実に関わらず,申立人又は申立人商標を想起するものではない。
キ したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,本件登録異議の申立てに係る指定役務について,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標4)


別掲2(引用商標6の指定商品)
第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,海藻類を原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,野菜を原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,果実を原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,キノコを原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,植物を原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,オリゴ糖を原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,魚介類を原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,豆を原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,カカオを原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,食肉を原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,卵を原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,ビタミンを原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,カルシウムを原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,アミノ酸を原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品」
第30類「コーヒー豆,穀物の加工品,アーモンドペースト,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,酒かす,みりんかす,穀物を原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,茶を原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品,コーヒーを原材料とする液状・ペースト状・ゼリー状・飴状・粉末状・粒状・顆粒状・カプセル状・錠剤状・固形状・ウエハース状又はビスケット状の加工食品」
第31類「食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜,糖料作物,果実,コプラ,麦芽」
第32類「飲料用野菜ジュース」

異議決定日 2018-02-07 
出願番号 商願2016-130247(T2016-130247) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W35)
T 1 652・ 271- Y (W35)
T 1 652・ 262- Y (W35)
T 1 652・ 263- Y (W35)
最終処分 維持 
前審関与審査官 山本 敦子 
特許庁審判長 田中 亨子
特許庁審判官 早川 文宏
阿曾 裕樹
登録日 2017-08-10 
登録番号 商標登録第5971375号(T5971375) 
権利者 株式会社ハースト婦人画報社
商標の称呼 キョートトレジャー、トレジャー 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 
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