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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W43
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W43
管理番号 1337227 
異議申立番号 異議2016-900406 
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-12-22 
確定日 2018-01-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第5885423号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5885423号商標の指定役務中、第43類「全指定役務」について、その商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5885423号商標(以下「本件商標」という。)は、標準文字で「クラブ・ロイヤルサルート」と表してなり、平成27年10月1日に登録出願、第41類「キャバレーの提供,ナイトクラブの提供」及び第43類「キャバレー・カフェ・ナイトクラブ・ダンスホール・カクテルラウンジまたはバーにおける飲食物の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、平成28年8月5日に登録査定、同年9月30日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は以下のとおりである。
1 登録第702572号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、昭和39年10月1日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同41年3月29日に設定登録され、その後、同52年6月6日、同61年5月21日、平成8年8月29日及び同18年2月21日に商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、同年12月20日に、指定商品を第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」とする指定商品の書換の登録がされ、当該書換のされた指定商品について、同28年1月26日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
2 登録第5578069号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなる立体商標として、平成24年11月29日に登録出願、第33類「ぶどう酒,その他の果実酒,スピリッツ(飲料),リキュール,その他の洋酒,酎ハイ,日本酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同25年4月26日に設定登録されたものである。
3 登録第5749925号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成26年11月19日に登録出願、第33類「アルコール飲料(ビールを除く)」を指定商品として、同27年3月13日に設定登録されたものである。
4 国際登録第849013B号商標(以下「引用商標4」という。)は、「ROYAL SALUTE」の文字を横書きしてなり、2005年2月7日に国際商標登録出願、第33類「Wines, spirits (beverages) and liqueurs.」を指定商品として、平成19年2月2日に設定登録され、その後、2015年2月7日に国際登録の存続期間の更新がされたものである。
5 国際登録第1158044号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲4のとおりの構成よりなり、2012年12月20日に欧州連合においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2013年3月8日に国際商標登録出願、第21類及び第32類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品並びに第33類「Alcoholic beverages (except beers); wines; spirits;liqueurs.」を指定商品として、平成25年12月20日に設定登録されたものである。
6 国際登録第1185962号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲5のとおりの構成よりなり、2013年9月18日に欧州連合においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2013年10月2日に国際商標登録出願、第16類及び第32類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品並びに第33類「Alcoholic beverages (except beers).」を指定商品として、平成27年2月6日に設定登録されたものである。
(なお、引用商標1ないし6をまとめていうときは、以下、単に「引用商標」という。)

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の指定役務中、第43類「全指定役務」について、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第15号の該当性について
(1)引用商標の周知著名性
ア 「ROYAL SALUTE」(ロイヤルサルート)の歴史
引用商標は、申立人のグループ会社のシーバス・ブラザーズが製造販売し、高級ブレンデッド・スコッチ・ウィスキーとして世界中で愛飲されている「ROYAL SALUTE」について使用されている商標である。シーバス・ブラザーズは、現英国女王エリザベス2世の戴冠を記念して、1953年(昭和28年)6月2日に、21年熟成の原酒を使用したスコッチ・ウィスキーを発売し、これを「ROYAL SALUTE」(ロイヤルサルート)と命名した(甲4)。
2003年(平成15年)には、ロイヤルサルートとエリザベス2世の戴冠50周年を祝って、50年ものの原酒を使用した「ロイヤルサルート50年」が255本で限定販売された。「ロイヤルサルート50年」は、日本円で1本約100万円もする高額商品であったが、すぐに完売した(甲6の19)。
2010年(平成22年)には、戴冠式記念日を祝うために発砲される62発の王礼砲というロンドン塔の由緒ある伝統にあやかって命名された「ロイヤルサルート62ガンサルート」が発売された。また、2011年(平成23年)9月には、22カラットのダイアモンドが装飾されたハンドメイドのフラゴン(栓付きの陶製細口瓶)を使用したロイヤルサルート「トリビュート・ツー・オナー」が、21瓶のみ、200米ドルで発売された(甲5の1)。2013年(平成25年)には、「ダイアモンドトリビュート」が売り出された(甲5の1)。
ロイヤルサルートのフラゴンは、実にカラフルで高級感のある洗練されたデザインのものが多数、世界中に流通している(甲5の2)。
イ ロイヤルサルートの宣伝広告
ロイヤルサルートは、最初に発売された1953年以来、「フォーブス」、「ザ・ニューヨーカー」、「USニュース&ワールド・レポート」、「ジェントリー」等、多数の有名雑誌等で広告されている(甲5の2)。
また、2001年には、「チェス」と題するテレビCMの宣伝キャンペーンを行い、2005年には、「アーチェリー」と題するテレビCMの宣伝キャンペーンを行った(甲5の2)。2012年には、中国でテレビCMが放映された。
ウ ロイヤルサルートの販売実績
ロイヤルサルートの近年の全世界の販売量は、直近で1,650,149リットル(2014年)、1,496,988リットル(2015年)、1,577,821リットル(2016年)である。これは、21年以上熟成の原酒を使用したスコッチ・ウィスキーとして、世界第1位の実績である。
ロイヤルサルートは、現在では、最高品質のプレミアム・ウィスキーとして、100ヶ国以上の国で愛飲されている(甲7)。
エ ロイヤルサルートの受賞歴
ロイヤルサルートは、「インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペディジョン」、「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ」、「スピリッツビジネス:ウィスキー・マスターズ」、「ワールド・ウィスキー・アワード」といった、酒類の世界的に著名な競技会や品評会で、15年以上に渡って、主要な賞を受賞している(甲5の3)。
オ ロイヤルサルートの日本国での周知著名性
ロイヤルサルートは、日本国では、ペルノ・リカール・ジャパン株式会社が輸入販売している(甲4)。
ロイヤルサルートは、毎年のように「世界名酒辞典」(甲6)などに掲載され、「21年熟成した原酒だけを使用した至高の酒」などと紹介されている。また、数々のウィスキー関係の書物等にも、世界的なプレミアム・ウィスキーとして紹介されている(甲7)。「ロイヤルサルート50年」が発売された2003年には、「究極のスコッチ・ウィスキー」などと紹介され、驚きをもって報じられた(甲8の1、甲8の2)。
ロイヤルサルートは、高級洋酒の一例としてのみならず、「クリスチャン・ディオール」や「エルメス」等とともに、一流ブランド品として引き合いに出されることも多い(甲8の3?甲8の7)。ロイヤルサルートは、酒類専門店などでは特別なウィスキーとして販売されており、航空機内でも免税品として販売され人気商品となっている(甲9)。
カ 小括
以上のとおり、「ROYAL SALUTE」(ロイヤルサルート)は、申立人のグループ会社のシーバス・ブラザーズが製造販売する高級ブレンデッド・スコッチ・ウィスキーとして、日本国を含む世界中で愛飲されているものである。申立人は、本国の英国、日本国、欧州、台湾、香港、大韓民国といった世界各国で「ROYAL SALUTE」の商標登録を保有しており、申立人のグループ会社が製造販売する高級ブレンデッド・スコッチ・ウィスキーを表す商標として世界中で保護されている(甲10)。
このように、ロイヤルサルートを指標する引用商標は、本願商標の出願時及び登録査定時において、世界的に広く知られた周知著名商標であったことは明白である。
(2)本件商標と引用商標の類似性の程度
本件商標は、前記第1のとおりの構成よりなるところ、その構成中の「ロイヤルサルート」の文字部分は、「・」(中点)によって「クラブ」と分断されているため、視覚上、「ロイヤルサルート」が「クラブ」と分離観察される外観を呈する。
また、本件商標全体として生じる「クラブロイヤルサルート」の称呼は、構成音数が10音と長く、その一部を簡略化して称呼されるべき音構成をなしている。
さらに、「クラブ」は、英語の「club」の片仮名表記として広く知られているが、日本国では「(会員制の)バー・娯楽場」といった意味合いを有するもの(甲11の1)とされていることから、本件商標の指定役務との関係において、役務の提供場所等を表す形容詞的文字にあたるといえる。また、「クラブ」が極めて一般的な語として把握されているのに対して、「ロイヤルサルート(ROYAL SALUTE)」は、高級ブレンデッド・スコッチ・ウィスキーを表す周知著名な商標であるから、本件商標は、「ロイヤルサルート」の部分から申立人及びそのグループ会社の業務にかかるスコッチ・ウィスキーとしての観念が明確に生じる。
したがって、本件商標は、「ロイヤルサルート」の部分を要部とする商標として、引用商標との類似性は極めて高いものである。
(3)引用商標の独創性の程度
引用商標の独創性の程度について、引用商標を構成する「ROYAL SALUTE」(ロイヤルサルート)は、「王礼砲」の意味合いを有する語であり、これがアルコール飲料の品質を表示するものでないから、造語の一種であることは明らかである。
したがって、引用商標の独創性は、相当程度高いものである。
(4)当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との関連性の程度、取引者・需要者の共通性等
引用商標が周知著名性を獲得した商品は、スコッチ・ウィスキーであるのに対し、本件商標の指定役務は、「キャバレー・カフェ・ナイトクラブ・ダンスホール・カクテルラウンジまたはバーにおける飲食物の提供、アルコール飲料を主とする飲食物の提供」である。スコッチ・ウィスキー等のアルコール飲料は、多くのレストランやキャバレー、ナイトクラブ・ダンスホール・カクテルラウンジ、バーなどにおいて普通に提供されており、こうした店舗において、飲食業者(取引者)や利用客(需要者)が、アルコール飲料に多く接する機会があることは顕著な事実である。実際、ロイヤルサルートは、日本全国の多数のレストランやバーなどで取り扱われている(甲11の2?甲11の12)。
商標を使用する指定役務としての「飲食物の提供」が、アルコール飲料をはじめとする飲食料品一般との関係において、密接な関連性を有するものである点は、審決においても明確に認定されている(甲12)。
したがって、本件商標に係る指定役務は、引用商標が周知著名性を獲得したスコッチ・ウィスキーとは、具体的な取引の実情に照らして密接な関連性を有するものであるから、本件商標と引用商標の取引者・需要者の共通性は極めて高いものである。
(5)判決及び審決
他人の周知著名な商標を一部に含む商標について、商品又は役務が一般的に類似関係にない商標であっても、商標の周知著名性の程度、商品(役務)の関連性や需要者の共通性等を鑑みて、出所の混同を生じるおそれがあると判断をした判決や審決は多数存在する(甲13)。
(6)小括
以上のとおり、引用商標が申立人のグループ会社の業務に係る高級スコッチ・ウィスキー「ROYAL SALUTE」(ロイヤルサルート)を表すものとして周知著名な商標であること、本件商標は、引用商標とは「ロイヤルサルート」の部分を要部とする商標として高い類似性を有すること、「ROYAL SALUTE」(ロイヤルサルート)が独創性の高い商標であること、本件商標の指定役務が、引用商標が周知著名性を獲得したスコッチ・ウィスキーとの関連性が高いものであり、需要者の範囲も一致するものであること、過去の裁判例や審決等を総合して考慮すると、本件商標をその指定役務に使用するときは、これに接する取引者・需要者は、申立人のグループ会社の業務に係る高級スコッチ・ウィスキーを想起・連想し、あたかも申立人又はグループ会社が取り扱う業務に係る役務であるかのごとく認識して取引にあたると考えられるため、その役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 商標法第4条第1項第19号の該当性について
(1)申立人の「不正の目的
本件商標の指定役務は、「キャバレーの提供,ナイトクラブの提供」及び「キャバレー・カフェ・ナイトクラブ・ダンスホール・カクテルラウンジまたはバーにおける飲食物の提供、アルコール飲料を主とする飲食物の提供」であるところ、これらの役務が(高級)ウィスキーとの関連性が強い役務であることは、上述したとおりであり、かつ、顕著な事実である。
また、「王礼砲」を意味する「ROYAL SALUTE(ロイヤルサルート)」が、日本国において一般的な語として理解されているものでなく、むしろ、特定の観念を生じない造語として把握されるべきものであることからすれば、前記指定役務について使用するものとして本件商標を登録出願した商標権者が、「ロイヤルサルート」の語を含む本件商標を、申立人の業務に係る「ROYAL SALUTE(ロイヤルサルート)」と無関係に偶然採用したとは到底考えられず、むしろ、その周知著名性に便乗する意思をもって採択したであろうことは、容易に想像される。
そうとすれば、商標権者は、世界的に周知著名な「ロイヤルサルート」を自己の商標として出願・使用する目的をもって出願したものといえる。
したがって、本件商標は、被請求人の不正の目的によって出願されたものである。
(2)審決例
特許庁においても、他人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていた商標と同一又は類似性の高い商標を、当該広く知られていることを十分に知りながら出願し登録を受けた商標は、自己の利益を得るために出願した商標は不正の目的に基づくものであると多くの審決が認定している(甲15)。
(3)小括
以上のとおり、「ROYAL SALUTE」(ロイヤルサルート)は、本件商標の出願時及び登録査定時において、申立人のグループ会社の業務に係る高級スコッチ・ウィスキーとして世界的に周知著名な商標となっており、本件商標は、引用商標に代表される商標「ROYAL SALUTE」(ロイヤルサルート)に類似するものであって、申立人が、ロイヤルサルートの周知著名性に便乗し、「ロイヤルサルート」の文字を含む本件商標の独占排他的使用を得ようとする不正の目的に基づいて出願し登録されたものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 むすび
以上により、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当する。

第4 取消理由の通知
審判長は、本件商標権者に対して、「本件商標の指定役務中、第43類『全指定役務』について、その登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認められるから、同法第43条の3第2項の規定に基づいて取り消すべきものである。」旨の取消理由を平成29年7月25日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第5 本件商標権者の意見
本件商標権者は、前記第4の取消理由の通知に対し、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。

第6 当審の判断
1 引用商標(ROYAL SALUTE)の周知著名性
(1)申立人の主張及び提出した証拠(各項の括弧内に掲記。なお、証拠中の枝番を有するものにおいて、枝番を特に明記しない場合は、枝番の全てを含むものである。)によれば、以下のとおりである。
ア 引用商標は、申立人のグループ会社のシーバス・ブラザーズ(以下「シーバス社」という。)が製造販売する高級スコッチ・ウィスキー「ROYAL SALUTE」(以下「本件ウィスキー」という。)について使用する商標であって、シーバス社は、1953年(昭和28年)6月、現英国女王エリザベス二世の戴冠式を記念して、21年熟成ものの原酒を使用した前記スコッチ・ウィスキーを製造したものであり、「ロイヤルサルート21年」の名称は、英国軍が王室へ敬意を表して皇礼砲によって放たれた21回の空砲に由来すること、シーバス社は、2003年(平成15年)に、本件ウィスキーとエリザベス二世の戴冠式50周年を祝って、50年熟成ウィスキー「ロイヤルサルート50年」を255本の限定商品として発売し、2010年(平成22年)には、戴冠式記念日を祝うために発砲される62発の礼砲にちなんで名付けられた「ロイヤルサルート62ガンサルート」を発売し、さらに、2011年(平成23年)9月に、ダイアモンドで装飾されたフラゴン(栓付きの陶製細口瓶)を使用した「トリビュート・ツー・オナー」等を発売するなどしたこと(以上、甲4、甲5の1)を認めることができる。また、シーバス社は、本件ウィスキーに関し、外国において、雑誌やテレビを介して宣伝広告をしたことを窺うことができる(甲5の2)。
イ 本件ウィスキーは、我が国において昭和55年から平成24年にかけて発行された「世界の名酒事典」(講談社)において、「ローヤル・サルート」と表記されて、ほぼ毎年のように紹介されたこと(甲6)、また、本件ウィスキーは、「世界のベストウイスキー」(2011年3月25日、株式会社グラフィック社発行)、「ブレンデッドウィスキー大全」(2014年4月2日、株式会社小学館発行)、「世界ウイスキー大図鑑」(2013年1月30日、株式会社柴田書店発行)、「シングルモルト&ウイスキー大事典」(2010年2月21日、株式会社ナツメ社発行)、「ウイスキー」(2016年3月30日、株式会社えい出版社発行)、「スコッチウィスキー 迷宮への招待」(2015年12月5日、(株)スタジオタッククリエイティブ発行)といったウィスキーに関する書籍にも掲載され(甲7)、例えば、前掲「ブレンデッドウィスキー大全」には、「現在では世界100か国以上で販売される、プレミアムスコッチの代表格となっている。このカテゴリーに限っていえば、世界No.1の売り上げを誇るのが、このロイヤルサルートなのだ。」と記載されていること(甲7の2)、さらに、昭和58年から平成元年にかけて発行された日本経済新聞に、海外で購入した土産品にかかる税金に関連して、例示的に本件ウィスキーの価格に関する記事が掲載され、また、平成15年に発行された産経新聞等には、「ロイヤルサルート50年」が製造販売された255本のうち、6本が日本で販売され、その価格が100万円であることの記事が掲載されたこと(甲8)、本件ウィスキーは、本件商標の登録出願日(平成27年10月1日)前には、我が国のバーなどで取り扱われていたこと(甲11の2)などを認めることができる。
(2)以上によると、「ROYAL SALUTE」の欧文字を付した本件ウィスキーは、我が国においては、「ロイヤルサルート」の片仮名が併記されて、著名な酒類の書籍やウィスキー専門の書籍等において、本件商標の登録出願日前より長年の間継続して紹介されていた事実が存在し、また、本件ウィスキーが高級ウィスキーの代名詞のように、新聞の記事で扱われていた事実などを勘案すると、「ROYAL SALUTE」の表示は、本件商標の登録出願日には既に、シーバス社の業務に係る高級スコッチ・ウィスキーを表示するものとして、我が国の酒類を取り扱う分野の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。そして、その著名性は、本件商標の登録査定日(平成28年8月5日)の時点においても継続していたものと認めることができる。
2 本件商標と引用商標との類似性
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「クラブ・ロイヤルサルート」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成中の「クラブ」の文字と「ロイヤルサルート」の文字は、中黒を介して書され、外観上分離して看取されやすいばかりでなく、構成文字全体を称呼した場合に生ずると認められる「クラブロイヤルサルート」の称呼は、長音を含め11音とやや冗長にわたるものである。さらに、本件商標中の「クラブ」の文字部分は、本件登録異議の申立てに係る指定役務である「第43類 キャバレー・カフェ・ナイトクラブ・ダンスホール・カクテルラウンジまたはバーにおける飲食物の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供」との関係からみると、「(会員制の)バー・娯楽場」(甲11の1)の意味を理解させるものであるから、自他役務の識別機能を有しないか、有するとしても極めて弱いものといえる。これに対して、本件商標中の「ロイヤルサルート」の文字部分は、シーバス社の業務に係る高級スコッチ・ウィスキーを表示するものとして、我が国の酒類を取り扱う分野の取引者・需要者の間に広く認識されている引用商標における「ROYAL SALUTE」の片仮名表記と同一の文字よりなるものである。
そうすると、本件商標は、その構成中の「クラブ」と「ロイヤルサルート」の各文字の間には、識別力の点や需要者等の間における浸透の程度において、極めて大きな差異を有するということができるから、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、「クラブ」の文字と「ロイヤルサルート」の文字とを常に一体のものとして把握しなければならない特段の理由は存在しない。
してみると、本件登録異議の申立てに係る指定役務の分野の取引者・需要者をはじめとする我が国の酒類を取り扱う分野の取引者・需要者が本件商標に接する場合には、その構成中の「ロイヤルサルート」の文字部分に強く印象付けられるといえるから、本件商標は、その構成中「ロイヤルサルート」の文字部分が要部であるというべきである。
したがって、本件商標は、その構成文字全体を称呼した場合の「クラブロイヤルサルート」の称呼のほか、その要部である「ロイヤルサルート」の文字部分より、単に「ロイヤルサルート」の称呼をも生ずるものであって、これより「シーバス社の業務に係る高級スコッチ・ウィスキー」の観念を生ずるものと認める。
(2)引用商標
ア 引用商標1は、別掲1のとおり、「ROYAL SALUTE」の文字を中央に横書きし、その両端の下部に、直ちに特定の具象画を表したと理解することができない図形を配してなるものであるところ、その構成中の「ROYAL SALUTE」の文字部分は、独立して自他商品の識別機能を有すると認められる。
イ 引用商標2は、別掲2のとおり、包装用容器(瓶)の立体的形状よりなるものであるところ、そのフロントラベルに表示された「ROYAL SALUTE」の文字部分は、独立して自他商品の識別機能を有すると認められる。
ウ 引用商標3は、別掲3のとおり、金色のキャップをし、えんじ色系の色彩で表した包装用容器の図形を大きく表し、該図形内に、「ROYAL SALUTE」の文字と「THE ETERNAL RESERVE」の文字を二段に横書きし、その下に、抽象的な図形を表した構成よりなるものであるところ、その構成中の「ROYAL SALUTE」の文字部分は、独立して自他商品の識別機能を有すると認められる。
エ 引用商標4は、前記第2の4のとおり、「ROYAL SALUTE」の文字を横書きしてなるものである。
オ 引用商標5は、別掲4のとおり、紋章様の図形を大きく表し、該図形内に、「ROYAL SALUTE」の文字を帯状図形内に横書きし、その下に、「THE」、「DIAMOND」、「TRIBUTE」の各文字を三段に横書きした構成よりなるものであるところ、その構成中の「ROYAL SALUTE」の文字部分は、独立して自他商品の識別機能を有すると認められる。
カ 引用商標6は、別掲5のとおり、紋章様の図形を大きく表し、該図形内の中央部に、「ROYAL SALUTE」の文字を大きく横書きし、その下に、「21」、「YEARS OLD」の各文字を二段に横書きした構成よりなるものであるところ、その構成中の「ROYAL SALUTE」の文字部分は、独立して自他商品の識別機能を有すると認められる。
キ 以上アないしカによれば、引用商標は、「ROYAL SALUTE」の文字部分に相応して、「ロイヤルサルート」の称呼を生ずるものであって、「シーバス社の業務に係る高級スコッチウィスキー」の観念を生ずるものと認める。
(3)したがって、本件商標と引用商標とは、外観において相違するものの、「ロイヤルサルート」の称呼及び「シーバス社の業務に係る高級スコッチ・ウィスキー」の観念を同じくする類似性の高い商標というべきである。
3 本件商標の指定役務と引用商標が使用される商品との関連性等
本件登録異議の申立てに係る指定役務は、前記のとおり、第43類「キャバレー・カフェ・ナイトクラブ・ダンスホール・カクテルラウンジまたはバーにおける飲食物の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供」であり、引用商標が使用される商品は、スコッチ・ウィスキーである。そうすると、引用商標が使用されるスコッチ・ウィスキーは、本件登録異議の申立てに係る指定役務を提供するに際し、提供の用に供する物の一つに当たるといえるから、本件登録異議の申立てに係る指定役務と引用商標が使用される商品とは、関連性の高い役務・商品というべきであって、その需要者も共通するものと認める。
4 以上1ないし3を総合勘案すると、我が国の酒類を取り扱う分野の取引者・需要者が本件商標に接した場合は、直ちに引用商標又は本件ウィスキーを想起・連想し、本件商標を本件登録異議の申立てに係る第43類「キャバレー・カフェ・ナイトクラブ・ダンスホール・カクテルラウンジまたはバーにおける飲食物の提供,アルコール飲料を主とする飲食物の提供」について使用するときは、該役務がシーバス社又はこれと組織的・経済的に何らかの関係を有する者の提供に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
してみると、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれがある商標」に該当するものと認める。
5 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定役務中、申立てに係る指定役務については、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認められるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 引用商標1


別掲2 引用商標2 (色彩については原本を参照)


別掲3 引用商標3 (色彩については原本を参照)


別掲4 引用商標5


別掲5 引用商標6


異議決定日 2017-12-08 
出願番号 商願2015-94714(T2015-94714) 
審決分類 T 1 652・ 222- Z (W43)
T 1 652・ 271- Z (W43)
最終処分 取消 
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 幸一
酒井 福造
登録日 2016-09-30 
登録番号 商標登録第5885423号(T5885423) 
権利者 大京産業株式会社
商標の称呼 クラブロイヤルサルート、ロイヤルサルート 
代理人 田中 克郎 
代理人 望月 秀人 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 池田 万美 
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