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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない W41 審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない W41 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない W41 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない W41 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない W41 |
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管理番号 | 1337153 |
審判番号 | 無効2015-890091 |
総通号数 | 219 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2018-03-30 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2015-11-09 |
確定日 | 2018-01-25 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5735833号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5735833号商標(以下「本件商標」という。)は、「ISD個性心理学」の文字を横書きしてなり、平成26年9月11日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」を指定役務として、同27年1月23日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が、本件商標の登録の無効の理由として引用する商標は、以下の2件であり、これらをまとめていうときは「引用商標」という。 1 「個性心理学」の文字よりなる商標 「個性心理学」の文字よりなる商標(以下「引用商標1」という。)は、請求人が、同人の業務に係る役務「知識の教授」に使用していると主張しているものである。 2 登録第4993149号商標 登録第4993149号商標(以下「引用商標2」という。)は、「個性心理学」の文字を標準文字により表してなり、平成15年9月1日に登録出願、別記1に記載した、第9類、第16類、第38類、第41類及び第45類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として同18年9月1日に登録審決、同年10月6日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第260号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 本件商標登録を無効とすべき理由 (1)請求人の引用商標の周知性 ア 「個性心理学」とは 本件商標との類似性を問題とする請求人の商標は「個性心理学」である。そして、「個性心理学」は商標登録第4993149号として登録されている(甲2)。 ここで、「個性心理学」とは、遅くても平成9年(1997年)までに請求人が考案した、各人の個性をその誕生年月日によって、狼、こじか、たぬき等12動物に分け、さらに、合計60種類の動物キャラクターに細分化し、各人の個性を分析するというものであり、「マスコット心理学」、「動物キャラナビ(占い)」の名称でも呼ばれている(甲4)。 そして、平成9年(1997年)から、請求人が、「個性心理學」又は「個性心理学」をその事業で使用し続けることによって、本件商標出願時(平成26年(2014年)9月11日)及び登録査定時(平成26年(2014年)12月12日)においては、引用商標は、請求人の業務に係る役務である占いの「知識の教授」の出所を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至った。 請求人は、「個性心理學研究所」(請求人が「個性心理学」に係る事業を行う際に用いる商号。請求人が代表取締役を務める株式会社個性心理學研究所や代表理事を務める一般社団法人個性心理學研究所総本部を指すこともある。以下同様。)の所長として、その主催する「個性心理学」の占いに係る講座を、平成9年(1997年)から多数回にわたり開催し、同講座において「個性心理学」に係る占いの「知識の教授」の役務を提供している。そうであるところ、「個性心理学」は、請求人による「個性心理学」の占いに係る書籍の執筆や、請求人の「個性心理学」の占い及び関連する事業についての雑誌、新聞、テレビ番組等の各種メディアにおける紹介等を通じ、広く認識されるようになった(甲16,甲17)。 なお、周知である引用商標「個性心理学」は、「個性心理學」とも表記されることがあるが、「学」と「學」の新旧字体の違いにすぎないため、以下特に断らない限り、引用商標については「個性心理学」の表記で統一する。 イ 請求人の「個性心理学」に係る講座等 (ア)「個性心理學研究所」における「個性心理学」の占いに係る講座等 請求人は平成9年(1997年)から現在に至るまで、「個性心理学」の商標を使用して、一般人を対象に「個性心理学」に係る占いを教える「個性心理學基礎講座」、「個性心理學上級講座」等の有料の講座を開講している(甲6?甲10)。そして、請求人は、講座名や講座に使用するテキスト等の教材のタイトルには一貫して現在に至るまで引用商標「個性心理学」を使用してきた。この「個性心理学」に係る講座の受講生の数は、現時点まで2万名程度に達していると見積もられる。 また、「個性心理學上級講座」又は「個性心理學特別上級講座」(「個性心理學基礎講座」と同「上級講座」を一つにまとめた集中講座)を修了した者はアドバイザーとして登録でき、請求人の「個性心理學研究所」の支所・支局が主催する講演会や講座をサポートし、「個性心理学」を普及する資格を得るが(甲11)、そのアドバイザーの数は平成26年(2014年)の時点では4,000名程度である。 そして、アドバイザーに登録した者は、「個性心理學研究所」の「個性心理学資格認定講座」を受講することができるが、さらに同講座の所定の試験を合格すれば、請求人の認定講師または認定カウンセラーとして登録した上で、請求人の「個性心理学」に係る事業に参加する資格が与えられるところ、平成26年(2014年)4月の時点では約2,000名の認定講師及び認定カウンセラーが輩出された(甲10)。 ここで、請求人の本部が主催する「個性心理學資格認定講座」は概ね年に2ないし3回開かれ(後述する請求人の支所・支局も「個性心理學資格認定講座」を年に数回開催している。)、平成27年(2015年)9月には第55期目を数えるに至った。 さらには、請求人の認定講師で一定の条件(権利金の支払い等)を満たした者は、請求人の支所・支局として活動することができるが、その「個性心理学」に係る支所・支局は、東京都、名古屋市、京都市、福岡市等、全国の主要都市はもとより、北海道から鹿児島県まで、現時点においては全国で約50か所に設けられ、米国ニューヨーク市にも1か所支局が設けられている(甲13)。そして、認定講師等は各地の支所・支局に所属しそこを拠点に請求人の「個性心理学」に係る活動を行っている。 (イ)外部での「個性心理学」の占いに係る講座等 請求人の「個性心理学」の占いに係る講座は、請求人の「個性心理學研究所」内部にて行われるに止まらず、外部においても行われている(甲14,甲15)。 (ウ)小括 このとおり、請求人らが主催する「個性心理学」に係る講座が約18年もの長い歴史を有すること、受講生の数・範囲、請求人の支所・支局の数等に鑑みれば、引用商標「個性心理学」は請求人の役務を表示するものとして周知であることは明白である。 ウ 請求人の著書 請求人の「個性心理学」に関する著書は、中国、台湾、フィンランドで出版されたものも含め約50冊にも上り、その中で、「個性心理学」の商標がタイトルとして含まれているものだけでも、11冊ある(甲16,甲18)。 このうち、「動物キャラナビ?ココロとカラダの相性診断?モテる男と女の個性心理學」、「あなたの人間関係をひもとく個性心理學」及び中国版「個性心理學」に係る書籍2冊を除く、「個性心理學」又は「ビジネス個性心理學」を題名に含む書籍は、同朋社、河出書房新社、教科書研究所、武田ランダムハウスと、出版社を変えながらも、約15年にわたって売れ続け、これらを合わせた販売部数は150万部を超えている。 そして、おおよそいずれの書籍においても、請求人は「個性心理學研究所」所長として、「個性心理学」についての講演活動をしていると紹介されている。 エ 新聞・雑誌での紹介 新聞での紹介(甲33?甲38) 「夕刊フジ」、「日刊工業新聞」、「朝日新聞」、「読売新聞」等において、「個性心理学」に関する記事が掲載された。 雑誌での紹介(甲39?甲113) 「日経トレンディ」、「AERA」、「TOKYO 1週間」、「non-no」、「MORE」等をはじめ、有料誌やフリーペーパーにも「個性心理学」に係る占い等の記事が掲載された。その他、テレビ番組やラジオ番組、企業・団体とのイベントの企画やグッズ販売等を通じて「個性心理学」の名称は多くの人に広められた。 オ その他 テレビ、ラジオ番組によって、請求人は、設立後において、「個性心理学」の占いを提供するものとして、さまざまなメディアに紹介された。 カ 引用商標「個性心理学」が商標であることの表示 請求人は、「個性心理学」に係る講座の開催等、「個性心理学」に関する情報をウェブサイトで発信しているが、遅くても、平成26年(2014年)8月5日には、「個性心理學(○の中に「R」の記号(以下「○R」という。))」というように、○Rマークを付して引用商標「個性心理学」が登録商標であることをウェブサイトを通じて明確に示していた(甲186)。 また、同様の「個性心理學○R」の表示は、遅くとも平成24年(2012年)から平成25年(2013年)には、請求人が「個性心理学」に係る占いについて説明する文書(甲4)や、前記の有料で一般向けに提供する「個性心理学」に係る講座のテキスト(甲7,甲9)にも付されている。 したがって、引用商標「個性心理学」が商標であることは広く一般に知られていた。 キ 小括 上記のとおり、請求人が使用する引用商標「個性心理学」の商標は、平成9年(1997年)以降現在までの約18年間の長きにわたり、一貫して、「個性心理學研究所」による「個性心理学」に係る講座の実施、すなわち、「知識の教授」及びその関連役務の出所を示すものとして使用されてきた商標である。 また、「個性心理学」の商標は、請求人の業務を表示するものとして、請求人自身の「個性心理学」に係る著書や、雑誌、新聞、テレビ等の各種メディア等を通じて需要者に広く認識されるに至り、本件商標の登録出願時はもとより、現在においても、わが国において需要者の間に広く認識され、著名性を獲得しているものである。 よって、本件商標出願時(平成26年(2014年)9月11日)及び登録査定時(平成26年(2014年)12月12日)において、「個性心理学」(又は「個性心理學」)は請求人の業務に係る役務である占いに関する「知識の教授」の出所を表示するものとして、全国の需要者に広く認識されていた。 (2)被請求人の行為 ア 請求人と被請求人との関係 請求人は、「個性心理學研究所」として、自身が考案した「個性心理学」に係る事業を平成9年(1997年)から展開していた。被請求人の代表理事である服部真人(以下「服部」という。)は、そのころから請求人のもとで「個性心理学」を学び、「個性心理学」の講師として活動し、さらには、請求人の許可に基づき「個性心理学研究所」の京都支所を設立し、そこを活動の拠点としていた。 しかし、服部は、同所内でトラブルを起こしたため、請求人の「個性心理学」に係る事業から離れることになった。 その後まもなく、服部は、請求人の同意を得ることなく、請求人の保有する引用商標「個性心理学」と類似し、後に登録される商標「ISD個性心理学」を使用して、「ISD個性心理学」なるものに係る事業を、「ISD個性心理学協会」の名称のもとで開始した(甲187?甲193)。 そして、服部は、平成16年(2004年)に株式会社ISDエデュケイションズ(平成22年(2010年)2月9日に有限会社ISDエデュケイションから商号変更)を、平成24年(2012年)に被請求人を設立し、それぞれの代表取締役、代表理事に就任した。 イ 被請求人らによる本件商標の使用態様 服部は平成11年(1999年)7月ころから、服部が代表を務める被請求人及び株式会社ISDエデュケイションズはその設立以降、請求人の「個性心理学」の占いに係る業務と酷似するような形で「ISD個性心理学」と称した占いについての「知識の教授」に係る業務を行っている(甲187?甲193)。 ウ 本件商標を使用する際の被請求人らの説明 被請求人の代表理事である服部にいたっては「1997年(中略) 人の意志や行動パターンの法則性の基礎である個性心理学に興味を持ち、個性心理学を体系化した『ISDロジック』を構築。『個性心理学グループ』を発足。1998年 京都で・・・個性心理学の研究機関、株式会社アイエスディを設立。動物占いを開発し、小学館で連載スタート。」と自己紹介するように、被請求人らの事業のベースとなっている請求人の「個性心理学」を「ISDロジック」等と称して服部自らが考案したかの如き喧伝している(甲192)。してみると、事情を知らない者から見れば、被請求人らが請求人の引用商標1及び引用商標2に類似する本件商標を請求人に無断で使用していることを知らないばかりか、請求人の方こそ被請求人の事業を真似ているとすら誤解するおそれもある。そして、最近になって、被請求人は、公益財団法人日本生涯学習協議会(JLL)から認定を受けたなどと、あたかも自らの事業が公的に認められたかのような宣伝をする(甲190,甲192,甲193)。このように、被請求人は、本来であれば請求人の「個性心理学」に興味を有する需要者(一般人)を意図的に被請求人の事業の方に引き付けることによって、顧客を奪っている。 (3)理由1 商標法第4条第1項第10号 ア 本件商標と引用商標1との類否 本件商標は、「ISD個性心理学」の文字を書してなるものであるところ、「ISD」の部分と「個性心理学」の部分とはアルファベットと漢字で文字種が異なり、「ISD」は単なるアルファベット3文字の羅列であって需要者はその意味を理解することができないのに対し、「個性心理学」の部分は周知であって注意を惹く。してみると、「個性心理学」の商標を含む本件商標と引用商標1の外観は類似する。 また、称呼に関し、本件商標の称呼は冗長であるがゆえ、本件商標からは、「ISD」の部分を省略した「個性心理学」の部分をもって、「コセイシンリガク」の称呼も生じる。してみると、「コセイシンリガク」との称呼も生じる本件商標は、「コセイシンリガク」の称呼が生じる請求人の引用商標1と称呼の点で類似する。 そして、観念について、「個性心理学」の商標は、請求人の業務を表示するものとして周知であることから、本件商標からは、請求人が実践する「個性心理学」の観念が生じるところ、引用商標1「個性心理学」の観念と類似する。 イ 役務の類否 本件商標の指定役務である第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」は、引用商標1が使用されている役務である、占いの「知識の教授」と、互いに同一又は類似の関係にある。 ウ 小括 以上のとおり、本件商標は、周知である引用商標1「個性心理学」と類似の商標であり、その指定役務も、引用商標1が使用される役務と類似する。 (4)理由2 商標法第4条第1項第11号 ア 本件商標と引用商標2との類否 (ア)両商標の類否 引用商標2と同一の文字からなる引用商標1が本件商標と類似するとした前記(3)アのとおり、本件商標と引用商標2とは、商標自体が互いに類似する。 (イ)指定役務の類否 a 本件商標と引用商標2の指定役務を比較するに、本件商標の指定役務と、引用商標2の指定役務とは、以下の理由により互いに類似している。 b 本件商標の指定役務である「技芸・スポーツ又は知識の教授」には、各種学校のほか、教養、趣味、遊芸、スポーツ、学習等の指導を行う教授所が教授又は教育する役務を意味する。ここで、このような教養、趣味等の教育の役務は、「セミナー」を通じて提供されることもあり、そうすると、その「セミナーの企画・運営又は開催」をする者が教養、趣味等の教育する役務を提供する者と同一であるのが通常である。そして、この場合、「技芸・スポーツ又は知識の教授」も「セミナーの企画・運営又は開催」もその提供の対象となる者は一般消費者であり、需要者の範囲は同じである。さらにいえば、上記の教養、趣味等の教育の役務は、教室又はオンラインにて講師・教材を準備して行われるところ、それは「セミナーの企画・運営又は開催」の役務でも同様であることから、両役務は、役務の提供の手段、場所や役務の提供の際に使用される物品においても共通する。 これらの点を斟酌すれば、本件商標の指定役務である「技芸・スポーツ又は知識の教授」と引用商標2の指定役務中「セミナーの企画・運営又は開催」とは類似の役務である。 イ 小括 よって、本件商標は、引用商標2と類似の商標であり、その指定役務も引用商標2の指定役務と類似する。 (5)理由3 商標法第4条第1項第15号 ア 混同可能性 引用商標1は、請求人の創作した創造標章であるところ、本件商標の出願時及び登録時の時点で、請求人の業務に係る役務である占いの「知識の教授」を表示するものとして周知であった。 次に、本件商標は、引用商標1と類似している。加えて、本件商標の指定役務は、引用商標1が使用されている請求人の業務に係る役務である、占いの「知識の教授」と同一又は類似の役務である。 そして、請求人は、「個性心理学」に関する業務である、占いの教授すなわち「知識の教授」に係る業務を提供する際に、引用商標1「個性心理学」の文字を含む「個性心理學研究所」や、「一般社団法人個性心理學研究所総本部」の名称をもって営業主体の名称としている(甲11等)。ここで、引用商標1が請求人の上記業務に使用された場合、その提供主体は引用商標1「個性心理学」を含む名称を営業主体の名称としている請求人であると、より直接的に理解することになる。 以上の点に鑑みれば、周知である請求人の引用商標1と類似する本件商標が使用された場合においては、少なくとも上記のような広義の混同が容易に需要者の間に生じることになる。 イ 結論 以上のとおり、本件商標は、請求人の業務に係る役務である占いの「知識の教授」と、少なくとも「広義の」混同を生じるおそれがある商標である。 (6)理由4 商標法第4条第1項第19号 ア 引用商標1の周知性 引用商標1が、本件商標の出願時及び登録時において、請求人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている商標であることは、前記のとおりである。 イ 本件商標と引用商標1との類否 本件商標と引用商標1とが類似することは、前記のとおりである。 ウ 不正の目的 遅くとも平成9年(1997年)から現在までの約18年間にわたり、請求人は、「個性心理学」の商標のもと、様々な形において、「個性心理学」の占いという知識を教授してきたところ、書籍の執筆、メディアでの紹介、講座の開催等を通じて、「個性心理学」は、請求人の業務に係る占いに関する「知識の教授」に対する名声・信用を化体した需要者の間に広く認識される商標となった。 しかるに、もともと請求人の下で「個性心理学」に係る業務に携わっていた服部は、被請求人を設立し、被請求人と共に、請求人の周知な商標である「個性心理学」の商標と類似する本件商標の使用のもと、これまた請求人の事業と酷似する12動物60種類の動物キャラクターを用いた占いを教授するための講座等を開催することによって、需要者に引用商標1と本件商標との混同を生じさせて請求人の「個性心理学」に係る講座の受講生等の(潜在的)顧客を奪い、ひいては請求人の財産的利益や信用を損なう行為をなしている。 要するに、被請求人らは、請求人の長年の努力により高い名声、信用を獲得し需要者に広く認識されるようになった「個性心理学」の商標にフリーライドすることによって、「個性心理学」の商標の出所識別機能を希釈化しているのである。 かかる被請求人らの行為は、本件商標を「不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう…)をもって使用する」ものであることは明らかである。 エ 小括 以上のとおり、引用商標1「個性心理学」は、請求人の業務に係る役務を表示するものとして本件商標の出願時及び登録時において需要者の間に広く認識されていたところ、本件商標は、その引用商標1と類似する商標であり、かつ、「不正の目的」をもって使用されるものである。 (7)理由5 商標法第4条第1項第7号 前記のとおり、被請求人は、請求人の周知な商標である引用商標1「個性心理学」の商標と類似する本件商標「ISD個性心理学」を無断で使用、すなわちフリーライドして、引用商標1の商標の出所識別機能を希釈化し、結局、何ら労せずして、請求人の事業と酷似する占いに係る事業を展開して請求人の(潜在的)顧客を奪っている。 このような被請求人の行為が仮に許されるのであれば、権利者において周知な商標を用いても、その商標に化体されている信用等が容易に毀損される結果を招くことになり、極めて不当であるというほかない。 よって、本件商標は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」であることは明らかである。 2 答弁に対する弁駁 (1)引用商標1の周知性について ア 引用商標1が周知に至った役務 被請求人は、引用商標1「個性心理学」が具体的に請求人の業務に係る何の役務について周知に至ったのか不明瞭であると主張する。 この点を整理するに、引用商標1が周知に至ったと請求人が主張するのは、理由1及び理由3ないし5のいずれとの関係においても、「知識の教授」である。 イ 「個性心理学」が普通名称、又は、商品の品質・特徴もしくは役務の質・特徴を示したものである等とする被請求人の主張の誤り (ア)既に述べたとおり、「個性心理学」とは、請求人が平成9年(1997年)に考案した一種の造語である。 これに対し、被請求人は、辞書や研究論文等において「個性心理学」の語が使用されていることを根拠に、本件商標及び引用商標1の「個性心理学」の部分は、心理学の一分野の学問として普通名称として使用されていたと主張し、併せていくつかの証拠を提出する。 しかし、次に述べるとおり、被請求人が提出する証拠はいずれも「個性心理学」が普通名称として使用されていたことの証拠とはなりえず、「個性心理学」は普通名称等ではないことは明らかである。 (イ)「個性心理学」が普通名称であることを示す証拠が存在しないこと a 被請求人が提出する証拠のうち、約50年から30年前の昭和44年(1969年)、昭和58年(1983年)に発行された広辞苑の第2版、第3版には、確かに「個性心理学」の項目が存在する(乙5,乙6)。しかし、その後の、平成3年(1991年)11月15日発行の広辞苑第4版(甲207)、平成10年(1998年)11月11日発行の広辞苑第5版(甲208)、平成20年(2008年)1月11日発行で現時点では最新の広辞苑第6版(甲209)においては、「個性心理学」を説明する項目は見当たらない。特に、請求人が「個性心理学」に係る事業を開始する平成9年(1997年)よりも前の平成3年(1991年)に発行された広辞苑第4版から「個性心理学」の項目が除かれたことは、遅くともその当時から、「個性心理学」が辞典で説明するような普通名詞等ではなかったことの証左である。加えて、広辞苑と同様、多数の語彙を収録した国語辞典である三省堂の大辞林も、昭和63年(1988年)11月3日発行の第1版、平成7年(1995年)11月3日発行の第2版、平成18年(2006年)10月27日発行で現時点では最新の第3版(甲210?甲212)のいずれにも、「個性心理学」の説明は見当たらない。 b また、心理学の分野で用いられる用語を説明する一般的な辞典としては、有斐閣の心理学辞典(平成11年(1999年)1月25日発行、甲213)、朝倉書店の現代心理学[理論]事典(平成13年(2001年)10月20日発行、甲214)、丸善の心理学辞典(平成16年(2004年)年3月25日発行、甲215)、朝倉書店の心理学総合辞典(平成18年(2006年)6月20日発行、甲216)、平凡社の最新心理学事典(平成25年(2013年)12月11日発行、甲217)、誠信書房の誠信心理学辞典[新版](平成26年(2014年)9月5日発行、甲218)等が挙げられるが、そのいずれにも、「個性心理学」を説明する項目は存在しない。 さらに、八千代出版の臨床心理学事典(平成11年(1999年)8月16日発行、甲219)、有斐閣の社会心理学小辞典増補版(平成14年(2002年)9月30日発行、甲220)といった、臨床心理学、社会心理学等個々の心理学の分野での用語を解説した辞典もあるが(甲219?甲229)、そのような辞典においても「個性心理学」の項目が挙がっていない。 c 以上のとおり、いずれの商品や役務との関係においても、「個性心理学」が普通名称であり、又は商品の品質・特徴もしくは役務の質・特徴を表示することを示す証拠は存在しない。 (ウ)被請求人が提出する証拠は、「個性心理学」が普通名称等であることを示すものではないこと この点、被請求人が提出する証拠のうち「個性心理学」の文言が見られるものは、広辞苑第2版、同第3版(乙5,乙6)や国語大辞典(乙7)、「個性心理学」についての各種学術論文(乙2?乙4)である。しかし、これらが発行・発表されたのは、戦後間もない昭和23年(1948年)から昭和58年(1983年)と最近のものでも最早30年以上も前のことである。また、日本大学のホームページにおいては、同大学の文理学部心理学科の創設者が「個性心理学」の講義を行ったことが紹介されているが、同ホームページにも示されているとおり、それも大正3年(1914年)から昭和32年(1957年)までの間と、今から約100年ないし50年も前のことである(乙12)。 このように、これらの証拠は、相当過去の事情を示すものにすぎず、本件商標について出願・登録がなされた平成26年(2014年)及び同27年(2015年)の時期に「個性心理学」が普通名称等であったことを示すものではない。 (エ)「個性心理学」の語に接した者が、これを「人間個人に具わった性格や性質に着目し、人の心の働きや行動を研究する学問」の普通名称として理解することはないこと 被請求人は、「個性心理学」の語に接した者は、そこから「人間個人に具わった性格や性質に着目し、人の心の働きや行動を研究する学問」の意味を理解するにすぎず、特に「社会心理学」等、研究分野を簡潔に示す語と組み合わせた「○○心理学」という名称が使用される実情があることを理由に、「個性心理学」は普通名称であると主張する。 しかし、「個性心理学」の語は普通名称ではないことから、実質的に造語というべき「個性心理学」の語に接した者が、これを敢えて「個性」、「心理学」との語に分けてそれぞれの意味を探り、それらを組み合わせることによって、「個性心理学」とは「人間個人に具わった性格や性質に着目し、人の心の働きや行動を研究する学問」と理解することは想定できない。 したがって、「個性心理学」は普通名称であるとする被請求人の主張は当を得ない。 (オ)被請求人のその他の主張 被請求人は、請求人が代表を務めていた株式会社ノア内の議事録(乙26)に「当社(注:請求人が代表を務めていた株式会社ノアのこと)としては『個性心理學』は普通名称であるとの見解であり、商標登録不適格との判断である」と記載されていることを根拠に、請求人自身「個性心理学」が既存語であり識別標識足り得ないと認識していたと主張する。 しかし、同議事録を見ても「個性心理学」が普通名称であると述べた人物が請求人本人であるかは不明であり、仮に、請求人本人がそのように発言したとしても、請求人自身の主観的な認識にすぎず、かつ、本件商標が登録された平成27年(2015年)より相当前の平成10年(1998年)1月31日の出来事である。したがって、かかる被請求人の主張する事情は、「個性心理学」の部分の識別力を判断する上で関係のないことである。 (カ)小括 以上のとおり、「個性心理学」は、「知識の教授」に限らず、いかなる商品・役務との関係においても普通名称でもなく、商品の品質・特徴又は役務の質・特徴を示すものではない。 実際、現在、「個性心理学」という語を用いて事業を展開している者は、被請求人の「ISD個性心理学」に係る事業の関係者を除けば、請求人と請求人の主宰する「個性心理學研究所」の関係者のみであるから、「個性心理学」が普通名称等であるはずもない。 よって、「個性心理学」の語が出所識別標識として機能しない(識別力を欠く)とする被請求人の主張は悉く誤りである。 ウ 引用商標1の周知性に関する被請求人の主張の誤り 引用商標1「個性心理学」が周知であることは、既に審判請求書において主張し、また、数多くの請求人の書籍(甲16、甲18?甲32、甲205、甲206)、雑誌・新聞における記事(甲33?甲152)、テレビ等のメディアでの紹介(甲17、甲153?甲155)、その他各種イベントの実施(甲156?甲185)からも明らかである。 よって、引用商標1が請求人の「個性心理学」に関する「知識の教授」の役務を表示するものとして周知性を獲得するに至ったことは、請求人が提出する証拠により十分立証されており、これを否定する被請求人の主張は理由がない。 (2)被請求人の商標について 「ISD個性心理学」については、それらが被請求人の役務を表示するものとして需要者に広く認識されたという事実はなく、「ISD」については、被請求人によって出所識別標識として継続的に使用されたこともないから、「ISD」も被請求人の役務を表示するものとして需要者に広く認識されるに至っていないことは明らかである。 (3)理由1(商標法第4条第1項第10号)についての反論 ア 引用商標1の周知性について 被請求人は、引用商標1は周知ではないと主張するが、請求人の「個性心理学」に係る「知識の教授」の役務を表示するものとして「個性心理学」が周知であることは、既に審判請求書において述べ、また、前記(1)ウで述べたとおりである。 イ 本件商標と引用商標1との類似性 (ア)本件商標と引用商標1とは類似していること 本件商標のうち、「ISD」は単なるアルファベット3文字であり需要者はその意味を理解しない一方、「個性心理学」の部分は既に繰り返し述べるとおり周知であって注意を惹くことから、「個性心理学」の商標を含む本件商標は、「個性心理学」の文字からなる引用商標1と外観において類似していることは明らかである。同様の理由により、本件商標からは「個性心理学」の部分のみが捉えられ「コセイシンリガク」との称呼が生じ、また請求人が実践する「個性心理学」の観念が生じるところ、これも引用商標1「個性心理学」の称呼「コセイシンリガク」と観念と同一であるから、本件商標と引用商標1の称呼及び観念は互いに類似するものである。 (イ)本件商標は単に「個性心理学」と省略されることが多いこと 実際、本件商標のうち、「個性心理学」の部分の識別力が他の部分に比べて格段に高いことは、被請求人の支部のウェブサイトの多くの箇所において「ISD個性心理学」を指して「個性心理学」と省略していることからも明らかである(甲194?甲204)。また、被請求人のウェブサイトには「ISD個性心理学」に係る講座の開講案内が掲載されているところ、被請求人自身、「ISD個性心理学」を「個性心理学」と称している(甲252)。 その他、チラシ、ブログ等においても、被請求人の事業活動を表すものとして本来は「ISD個性心理学」と表記されるべきところを、省略して「個性心理学」と表記されている例が非常に多い。 よって、かかる事実を参酌して、本件商標中「ISD個性心理学」の部分からさらに「個性心理学」の部分を抽出して、これを引用商標1と対比することはむしろ合理的である。 ウ 本件商標と引用商標1との類似性に関するその他の被請求人の主張の誤り (ア)被請求人は、結合商標の類否判断に関する最判平成20年9月8日(平成19年(行ヒ)223号)〔つつみのおひなっこや事件〕等における判示内容を理由に、本件商標「ISD個性心埋学」から「個性心理学」の部分を抽出して、引用商標1との類否を判断するのは不合理であると主張する。 しかし、本件商標のうち「ISD」の部分を捨象して引用商標1と比較することは、「ISD」の部分に比べ「個性心理学」の部分か強い識別力を有することから問題のないことである。前記ア(イ)のとおり、現に、被請求人の関係者はもとより第三者も「ISD個性心理学」を「個性心理学」と省略している例が多くみられるところ、これは、「ISD個性心理学」の中で「個性心理学」の部分の識別力が強く、他方「ISD」の部分の識別力が弱いことの証左である。 よって、本件商標中「個性心理学」の部分を抽出して引用商標1と比較することは、上記最高裁判例の判示内容に照らして何ら否定されるものではない。 (イ)また、被請求人は、ウェブサイトにおいて被請求人が「ISD個性心理学」と記載すべきところ「個性心理学」と省略して記載されるという事実に鑑みれば、本件商標から「個性心理学」の部分のみを抽出し、これを引用商標1と比較することに問題はない。 エ 小括 よって、理由1に関する被請求人の主張は誤りであり、本件商標は、請求人の「知識の教授」の役務を表示するものとして周知である引用商標1と類似する商標であり、また、その指定役務も引用商標1が使用される役務と同一であるという結論は変わらない。 (4)理由2(商標法第4条第1項第11号)についての反論 ア 本件商標と引用商標2の類似性について 本件商標と引用商標2とが類似しない旨の被請求人の主張が誤りであることは,引用商標2と同一の文字からなる引用商標1が本件商標と類似するとした前記(3)イ(ア)のとおりである。 イ 本件商標と引用商標2との役務の類似性について (ア)本件商標の指定役務である「技芸・スポーツ又は知識の教授」と引用商標2に係る「セミナーの企画・運営又は開催」との役務の類似性に関し、被請求人は、前者は、各種学校が他人に対して知識等を教授するサービスであり、需要者は知識等の取得を希望する者であるのに対し、後者は、セミナー企画会社のような他人のためにセミナーを企画・運営又は開催する者が、当該企画・運営又は開催について対価を得るようなサービスであり、需要者はセミナーの開催を希望する者であるところ、これらの点を考慮すれば両役務は類似しないと主張する。 しかし、被請求人が主張するように限定的に解釈するとなると、商標権者が自らの商標が保護されていると考える役務の範囲が不当に狭まることに繋がり、商標権者の期待を損なうものとなる。 (イ)また、被請求人が主張するような、もっぱらセミナーが行われる場所等を準備するセミナー企画会社の役務は「技芸・スポーツ又は知識の教授」には属さないものの「セミナーの企画・運営又は開催」には属することになる。 逆に、自らは様々な場所で知識の教授を行うのみであり、受講生の募集、教室の準備等は他者に任せることにしている者の役務は「セミナーの企画・運営又は開催」には属さないが、「技芸・スポーツ又は知識の教授」には属することになる。 少なくとも、このような点において両役務は明確に区別されるのであるから、請求人の主張をもってしても、「技芸・スポーツ又は知識の教授」と「セミナーの企画・運営又は開催」の区別がつかなくなることはない。 (ウ)したがって、本件商標の指定役務である「技芸・スポーツ又は知識の教授」と引用商標2に係る商標登録に係る「セミナーの企画・運営又は開催」との役務は類似していることは明らかであり、これに反する被請求人の主張には理由はない。 ウ 小括 よって、理由2に関する被請求人の主張は誤りであり、本件商標は、引用商標2とは互いに類似の商標であり、また、その指定役務も引用商標2の指定役務と類似することは明らかである。 (5)理由3(商標法第4条第1項第15号)についての反論 被請求人は、本件商標は請求人の「業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」には該当しないとし種々主張をしているものの、いずれの主張も誤りである。 ア 被請求人は、引用商標1は請求人の「知識の教授」の役務を表示するものとして周知ではないと主張するが、かかる主張が誤っていることは前記(1)ウのとおりである。 イ 次に、被請求人は、引用商標の「個性心理学」の語は、いずれも心理学の一分野の学問の普通名称であり既存語であるから、請求人の創造標章ではないと主張するが、「個性心理学」は普通名称でもなく既存語でもないから、かかる被請求人の主張も誤りである。 ウ また、被請求人は、「個性心理学(學)」の文字を含む「個性心理學研究所」又は「一般社団法人個性心理學研究所」が請求人の営業主体として需要者において広く認識されている事実はないと主張するが、「個性心理學研究所」は周知であることは明らかであるから、被請求人の主張は誤りである。 エ 被請求人は、本件商標と引用商標1とは明確に区別が可能な商標であるから、本件商標がその指定役務に使用されても請求人の業務に係る商品・役務との混同を生じるおそれはないと主張するが、前記(3)イのとおり両商標は明らかに類似するものであり、被請求人の主張は誤っている。 オ その他、被請求人は、「知識の教授」の役務に関しては、教授されるものの内容が異なれば、需要者も異なり、また、知識の教授を受けるために要する費用・時間を考慮すれば、需要者は役務の選択を慎重に行うことから、本件商標がその指定役務に使用されても請求人の業務に係る商品・役務との混同は生じ得ないと主張する。 しかし、仮に、「知識の教授」の役務に関しては、役務の提供を受けるための費用や時間に鑑み、需要者において慎重な判断をするにしても、請求人の「個性心理学」に係る業務も被請求人の「ISD個性心理学」に係る業務も、12動物60種類の動物キャラクターを用いた誕生日占いについての「知識の教授」であり、また、需要者も占いを習得しようとする者であって共通している。してみると、需要者がいくら注意を払っても、少なくとも、被請求人の「ISD個性心理学」に係る業務は請求人の「個性心理学」に係る業務とまったく関係がないと認識することはできない。 したがって、上記の被請求人の主張をもってしても、本件商標の使用による商標法第4条第1項第15号に定める混同の可能性は払拭されない。 カ なお、被請求人は、請求人において多角的に業務を展開しているわけではないと主張するが、このことのみをもって、本件商標がその指定役務に使用されることによって広義の混同の可能性が否定されることはないのは当然である。 キ 結局、理由3に関する被請求人の主張はいずれも誤りであり、本件商標がその指定商品・役務で使用されれば、請求人の「知識の教授」の役務に係る業務と広義の混同が生じることは明らかである。 (6)理由4(商標法第4条第1項第19号)についての反論 ア 引用商標1の周知性、本件商標と引用商標1との類似性 被請求人は、引用商標1は周知ではなく、本件商標と引用商標1とは類似していないと主張するが、かかる主張が誤りであることは前記(3)イのとおりである。 イ 不正の目的について 被請求人が本件商標を「不正の目的」をもって使用していることに関し、被請求人はこれを否定するが、その理由の一つとして、本件商標に含まれる「個性心理学」の語は被請求人が教授する学問の内容を分かりやすく示すために採用したにすぎず、引用商標1に化体する信用にフリーライドする目的等で採用してはいないことを挙げる。 しかし、「個性心埋学」は学問の名称ではないから、この一点をもって被請求人の主張に理由はない。また、被請求人の代表者である服部は、当初は請求人のもとで「個性心理学」に係る業務に従事していたところ、トラブルを起こして請求人のもとを離れた後は、請求人が考案した「個性心理学」に係る業務と同一の業務を、請求人に同意を得ることなく行っていた。 このように無断で請求人の業務と同様な業務を行っている中で、被請求人は、請求人の商標の「個性心理学」を含む本件商標を使用している。換言すれば、被請求人は、業務の内容も商標も何もかも請求人の業務や商標と敢えて似せた上で、本件商標のもと自身の業務を行っているのであるから、本件商標は引用商標1に化体する信用にフリーライドする目的等で採用されたことは明らかである。 結局、被請求人は本件商標を「不正の目的」をもって使用していることから、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当することは明らかであり、これを否定する被請求人の主張は誤りである。 (7)理由5(商標法第4条第1項第7号)についての反論 被請求人は、本件商標は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」ではないと主張する。 しかし、「個性心理学」が普通名称ではなく、被請求人は、請求人の引用商標1に化体した信用にフリーライドする等の目的で本件商標を使用しているのであるから、「個性心理学」の語を含む本件商標は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に明らかに該当する。 なお、被請求人は、商標法第4条第1項第7号は、商標を構成する標章それ自体が公序良俗に反するような場合に限り適用されるところ、本件商標「ISD個性心理学」それ自体は公序良俗に反するものではないから、同号は適用されないと主張する。 しかし、商標法第4条第1項第7号は「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれが商標」と規定するのみであり、同号の適用範囲は商標自体が公序良俗に反する場合に限られていると解釈することはできない。実際、商標自体が公序良俗に反することがなくても商標法第4条第1項第7号の適用を認める裁判例(知財高判平成24年6月27日・判時2159号109頁〔ターザン事件〕)もある。 よって、本件商標自体に公序良俗に反するような要素はなくても、商標法第4条第1項第7号を適用することに差し支えはない。 (8)結語 以上より、被請求人の主張・立証にかかわらず、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反して登録されたものである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第156号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 請求人が引用する商標「個性心理学」について (1)請求人の主張の不明瞭性 審判請求書における記載からは、請求人が、具体的に、請求人の業務に係る何の商品・役務について「個性心理学」の標章が周知に至っていることを主張し立証したいのか不明確である。 (2)請求人が引用する商標について 引用商標1は請求人が創作した創造標章ではなく、また、請求人の業務に係る「占いに関する知識の教授」その他の商品・役務の商標として周知でもない。 ア 「個性心理学(個性心理學)」とは 請求人は、「個性心理学(個性心理學)」の語が恰も請求人が独自に創作した標章であるかの如き主張を行っているが、かかる主張は誤りである。そもそも「個性心理学(個性心理學)」とは、心理学の一分野の学問の普通名称である。すなわち、乙第1号証、乙第5号証ないし乙第10号証として提出する辞書においては、それぞれ、「『個性心理学』とは『個人差を扱う心理学』」(乙1,乙8)、「個人差を扱う心理学。差異心理学」(乙5,乙6)、「個人差を研究対象とする心理学。→差異心理学」(乙7,乙9,乙10)と紹介されている。また、差異心理学とは、「個人の性質や能力などのちがいを研究する心理学。」(乙11)という意味を有する語であり、「これは個人差の問題を扱う領域で、また個性心理学 psychology of individual ともいわれる。」との説明がなされている(乙4の1)。また、「個性心理学」の語は、多くの研究論文や学会発表等においても、心理学の一分野の学問名称として使用され、紹介されている(乙2?乙4,乙12,乙13)。 以上の事実から明らかなように、引用商標1を構成する「個性心理学」の文字は、心理学の一分野の学問の普通名称として予てより存在し使用されてきたものである。 そして、「個性心理学(個性心理學)」が心理学の一分野の学問の名称である以上、該商標が特定の商品・役務と具体的な関連性をもって使用される場面があったとしても、需要者をしては、これらの商品又は役務が前記学問としての個性心理学に関するもの(又は該学問に裏付けされたもの)として、すなわち、「個性心理学(個性心理學)」の語を、商品の品質若しくは特徴、又は、役務の質若しくは特徴を表示するものとして認識するにとどまるというべきである。 イ 引用商標1が周知ではないこと (ア)請求人が提供する講座について 請求人は、審判請求書において、「平成9年(1997年)から現在に至るまで、『個性心理学』の商標を使用して、一般人を対象に『個性心理学』に係る占いを教える『個性心理學講座』、『個性心理學上級講座』等の有料の講座を開講している」と述べ、甲第6号証ないし甲第15号証、及び甲第30号証を提出する。しかしながら、これらの証拠をもっては、請求人が業として「占いに関する知識の教授」の役務の提供等を行っていることも、また、該役務について引用商標1が出所識別標識として使用され、需要者の間に広く認識されるに至っていることも何ら証明されていない。 さらに、請求人の主張のうち、例えば、平成9年(1997年)から現在に至るまで一般人を対象に個性心理学に係る占いを教える「個性心理學講座」、「個性心理學上級講座」等の有料の講座を開講しているとの点、同講座の受講生の数が現時点までに2万名程度に達しているとの点、講座を修了した者が登録できるアドバイザーの数が平成26年(2014年)の時点で4,000名程度である点、さらに、登録アドバイザーが登録できる認定講師及び認定カウンセラーの輩出数が平成26年(2014年)4月の時点で約2,000名であるとの点については、これらを客観的に証明する証拠は何ら提出されておらず、真偽不明である。 (イ)書籍、雑誌、新聞、テレビ番組等の各種メディアにおける紹介について a 著書について 請求人は、審判請求書において、「個性心理学」に関する著書は、中国、台湾、フィンランドで出版されたものも含め約50冊に上り、その中で、「個性心理学」の商標がタイトルとして含まれているものだけでも11冊あると述べ、甲第16号証及び甲第18号証を提出すると共に、書籍の写しや書籍に関する広告物等を甲第20号証ないし甲第32号証として提出する。しかし、これらの資料をもって請求人が何の証明を果たそうとしているのか明確ではない。 したがって、審判請求書に係る請求人の主張及び証拠資料をもっては、引用商標1が請求人の業務に係る商品又は役務の出所識別標識として周知であることは何ら証明されていない。 b 新聞・雑誌での紹介について 新聞記事についてみれば、「個性心理学(個性心理學)」の文字が記事の一部に登場するのみであり、そもそも、これらの文字は記事の文章中に埋没しているのみならず、具体的な商品・役務の出所識別標識として看取できるものではない。 よって、これらの資料をもっては、引用商標1が請求人の主張する「占いに関する知識の教授」の役務について周知であることは何ら証明されていない。 c テレビ・ラジオ番組における請求人の出演等 請求人は、審判請求書において、請求人がテレビやラジオ等のメディアにおいて「個性心理学(個性心理學)」の占いを提供する者として登場したと主張し、甲第17号証、甲第153号証、甲第155号証を提出する。しかし、そのそれぞれについてみると、やはり、引用商標1が請求人の業務に係る特定の商品又は役務との具体的関連性をもって商標として使用されていることを示す資料は存在しない。 当該資料から分かることは、おそらく、これらの番組に請求人又は請求人の関係者が出演したのであろうという程度のものであり、ましてや、これらの番組を通じ、引用商標1がどのように紹介され告知されたかは全く不明である。 d 外部の企業・団体とのイベントの企画、及びグッズの販売等 上記メディア関連資料に加え、請求人は、審判請求書において、外部の企業や団体と共にイベントを行い、また、グッズの販売等を行ったと主張し、甲第156号証ないし甲第170号証を提出する。しかし、これらもまた同様に、引用商標1の周知性、特に「占いに関する知識の教授」の役務の商標としての周知性を裏付けるものではない。 その他、請求人は、甲第171号証ないし甲第186号証を提出しているが、これらについても上記と同様に、引用商標1の周知性、特に、請求人が主張する「占いに関する知識の教授」の役務の出所表示としての周知性を何ら立証するものではない。 以上述べたとおり、請求人が提出する証拠資料においては、引用商標1が、請求人の主張する「占いに関する知識の教授」の役務の出所表示として使用されていることは何ら証明されていない。よって、これらの証拠をもっては、引用商標1が前記役務について周知であるとはいえない。 ウ 小括 以上のとおり、まず、請求人が引用する「個性心理学」の標章(引用商標)はもともと心理学の一分野の学問の普通名称として存在する既存語であるため請求人の創作した創造標章とはいえず、また、請求人が提出する証拠資料においては、引用商標1の周知性は何ら証明されていないため、引用商標1が、「占いに関する知識の教授」の役務について周知であるとの請求人の主張も失当である。 2 請求人の主張への反論 (1)請求人と被請求人との関係に関する反論 請求人は、審判請求書において、被請求人の代表理事である服部氏が、平成9年(1997年)頃から「請求人のもとで『個性心理学』を学び」と述べるが、これは事実ではない。服部氏は、一時的に請求人の事業に携わっていただけである。また、服部氏が「請求人の許可に基づき『個性心理学研究所』の京都支所を設立し」たという事実も存在しない。また、請求人は「服部は、同所内でトラブルを起こしたため、被請求人の(中略)事業から離れることとなった」と述べるが、被請求人は、請求人との考え方や方向性の違いから自然と請求人の事業を離れることとなっただけであり、請求人主張のような事実は存在しない。いずれも請求人の主観的な主張にすぎず、事実と異なるものである。 また、請求人は、審判請求書において「各人の個性をその誕生年月日によって、(中略)12動物に分け、さらに、(中略)合計60種類の動物キャラクターに細分化して個性を分析する」手法を「遅くても平成9年(1997年)までに請求人が考案した」又は「請求人が考案し世に広めた」と述べるが、前記で経緯を説明したとおり、かかる手法は、第三者考案の学問「個性學」を起源とするものであり、請求人が独自に考案したものとはいえない。 請求人は、かつてから存在した性格分析の手法に心理学の一分野の学問の普通名称であり、かつ、前記手法の目的・意図等を説明・記述する語にすぎない「個性心理学(個性心理學)」の語を使用しているにすぎない。なお、請求人自身も「個性心理學」が既存語であり、自身の事業内容と照らして識別標識たりえないと認識していたことは、請求人が代表を務めていた法人(株式会社ノア)が平成10年(1998年)1月31日付で作成した「株式会社ノア:代理店会議議事録」と題する書面において「当社(※被請求人注:株式会社ノア)としては『個性心理學』は普通名称であるとの見解であり、商標登録不適格との判断である」と述べている点からも明らかである(乙26)。 (2)被請求人らによる本件商標の使用態様に関する反論 請求人は、審判請求書において、被請求人及びその関係会社等が「請求人の『個性心理学』の占いに係る事業と酷似するような形で『ISD個性心理学』と称した占いについての『知識の教授』に係る事業を行っている」と述べるが、「占い」を学問的性質を有しない純然たる「占い」と理解する限り、被請求人は「占いについての知識の教授」を業として提供しておらず、当該役務について本件商標を使用していない。 すなわち、前記のとおり、被請求人の考案した「ISD個性心理学」は、人間の個性(個人の性格や考え方)に関するデータを統計・分類して分析・検証することにより、人間個人に具わった性格や性質に着目し、人の心の働きや行動を研究する”学問”であり、データや科学的根拠に基づかない所謂”占い(純然たる占い)”とは明確に相違するものである。被請求人自身、「ISD個性心理学」を”学問”として、占い(純然たる占い)とは明確に区別し、積極的に需要者にアピールし各種事業を行ってきたのである。 (3)本件商標を使用する際の被請求人らの説明に関する反論 請求人は、審判請求書において、甲第192号証として提出する被請求人のパンフレットの記載について種々述べるが、いずれも、請求人の主観的かつ一方的な主張にすぎない。 すなわち、服部氏は、人間個人に具わった性格や性質に着目し、人の心の働きや行動を研究した新たな理論として「ISDロジック」を編み出し、かつ、該理論を応用した「ISD個性心理学」の学問を考案したのであり、甲第192号証における請求人引用の記述における「個性心理学」は、いずれも、服部氏の考案した理論及び学問の性質を説明する意図で使用されているにすぎない。 また、請求人は、「最近になって、被請求人は、公益財団法人日本生涯学習協議会(JLL)から認定を受けたなどと、あたかも自らの事業が公的に認められたかの宣伝をする」と述べるが、これについても、被請求人は、正規のプロセスを経て、自身の事業について第三者機関から認定を受けた事実を説明しているにすぎず、これをもって「請求人の『個性心理学』に興味を有する需要者(一般人)を意図的に被請求人の事業の方に引き付けることによって顧客を奪っている」ことにはならない。 (4)小括 以上述べたとおり、審判請求書における請求人の主張は、いずれも請求人の主観に基づく一方的な主張にすぎず、事実にも反するものである。 3 本件商標が無効理由を有しないこと (1)理由1 商標法第4条第1項第10号非該当性について ア 引用商標1が周知ではないこと 上記1(2)において述べたとおり、請求人が提出した証拠資料をもっては、請求人が「占いに関する知識の教授」の役務を業として提供していることも明確でないばかりか、当該役務との関係で、引用商標1「個性心理学」が全国の需要者に広く認識されていることも何ら立証されていない。したがって、引用商標1は、商標法第4条第1項第10号にいう「他人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」には該当しない。 イ 本件商標と引用商標1の非類似性について 本件商標にはその冒頭部分に「ISD」の欧文字が存在するのに対し、引用商標1の構成中にはかかる欧文字は存在しない。 よって、本件商標と引用商標1とは、構成文字の数においても顕著に異なるから、これらが外観において何ら共通性のない非類似のものであることは明らかである。 さらに、本件商標と引用商標1は、称呼及び観念においても非類似である。 まず、称呼についてみると、本件商標からは「アイエスディーコセイシンリガク」の一連の称呼が生じる。一方、引用商標1からは「コセイシンリガク」の称呼のみが生じるところ、これらは、構成音数において明確に相違する他、本件商標を称呼する際に一番先に称呼される「アイエスディー」という音の差異をもってはっきりと聴別できる。したがって、本件商標と引用商標1とは称呼も類似しない。 また、観念についてみると、前記のとおり、本件商標に接した者は全体として、「ISDという出所が提供する、人間個人に具わった性格や性質に着目し、人の心の働きや行動を研究する学問」を指す一つの出所標識(商標)であるとごく自然に理解するといえるところ、引用商標1からは、「人間個人に具わった性格や性質に着目し、人の心の働きや行動を研究する学問」との観念のみが生じるから、これらは、観念において明確に区別が可能である。 以上述べたとおり、本件商標と引用商標1とは外観・称呼及び観念のいずれにおいても明確に区別可能な非類似の商標である。 ウ 商品・役務の類否について 請求人は、引用商標1が「占いに関する知識の教授」について使用されていると主張するが、繰り返し述べるとおり、請求人が、当該役務について引用商標1を使用してきたこと、及び、当該役務分野において引用商標1が周知に至っていることは、審判請求書における請求人の主張及び請求人提出の証拠をもっては何ら証明されていない。よって、商品及び役務の類似性については検討するに及ばない。 エ 小括 以上述べたとおり、引用商標1は、商標法第4条第1項第10号にいう「需要者の間に広く認識されている商標」ではなく、また、本件商標は、引用商標1と明確に区別が可能な非類似の商標である。 (2)理由2 商標法第4条第1項第11号について ア 本件商標と引用商標2との非類似性について 引用商標2は、「個性心理学」の文字からなり、実質的に、引用商標1と構成を一にするものである。本件商標と引用商標1とは、前記のとおり非類似であるから、引用商標2も同様に本件商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 イ 役務の非類似性について 請求人は、審判請求書において、本件商標の指定役務である「技芸・スポーツ又は知識の教授」と、引用商標2に係る指定役務である「セミナーの企画・運営又は開催」とが類似すると主張するが、これらは非類似の役務であるから、請求人のかかる主張は失当である。 ウ 小括 以上述べたとおり、本件商標は、引用商標2とは類似せず、また、本件商標の指定役務は引用商標2に係る指定役務とは非類似である。 (3)理由3 商標法第4条第1項第15号非該当性について ア 混同のおそれが無いこと 商標審査基準によると、商標法第4条第1項第15号における「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」であるか否かの判断にあたっては、「(イ)その他人の標章の周知度(広告、宣伝等の程度又は普及度)、(ロ)その他人の標章が創造標章であるかどうか、(ハ)その他人の標章がハウスマークであるかどうか、(ニ)企業における多角経営の可能性、商品間、役務間又は商品と役務間の関連性等を総合的に考慮するものとする。」とされている。 これを本件について当てはめると、まず、引用商標1は、これまで繰り返し述べてきたとおり、請求人の主張する「占いに関する知識の教授」その他の請求人の業に係る商品・役務の出所識別標識として周知ではなく(上記(イ))、また、引用商標1を構成する「個性心理学」の語は、心理学の一分野の学問の普通名称として、請求人が引用商標1の使用を開始したと主張する平成9年以前より存在し、辞書その他各種文献においても繰り返し紹介されていた既存語であるから、引用商標1が請求人の創造標章であるとはいえない(上記(ロ))、引用商標1は、これが請求人のハウスマークとして用いられていたということにはならない(上記(ハ))。また、請求人が多角的に事業を行ってきたかについては何ら明らかにされていない(上記(ニ))。 そして、本件商標と引用商標1とは、そもそも明確に区別が可能な非類似の商標なのであるから、この点からも、本件商標がその指定役務に使用された場合に、請求人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれは無いというべきである。 イ 小括 以上述べたとおり、本件商標をその指定役務に使用しても、請求人の業務に係る商品・役務との間で狭義の混同はおろか、広義の混同すら生じないことは明白である。 (4)理由4 商標法第4条第1項第19号非該当性について ア 引用商標1の周知性について 引用商標1が請求人の業務に係る商品・役務の出所識別標識として周知とはいえないことはこれまで述べてきたとおりである。特に、請求人が主張する「占いに関する知識の教授」の役務について引用商標1が使用され周知性を獲得したかについては客観的な説明及び立証がなされていない。よって、引用商標1は、商標法第4条第1項第19号にいう「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内(中略)における需要者の間に広く認識されている商標」には該当しない。 イ 本件商標と引用商標1との非類似性 本件商標が引用商標1と明確に区別可能な非類似の商標であることは前記3(1)イのとおりである。 ウ 不正の目的について 請求人は、被請求人が請求人と同種の事業(すなわち占いに関する知識の教授)を展開するなどし、「需要者に引用商標と本件商標との混同を生じさせて請求人の『個性心理学』に係る講座の受講生等の(潜在的)な顧客を奪い、ひいては請求人の財産的利益や信用を損なう行為をなしている」と述べ、「被請求人は、請求人の長年の努力により高い名声、信用を獲得し、需要者に広く認識されるようになった『個性心理学』(中略)の商標にフリーライドすることによって『個性心理学』の商標の出所識別機能を希釈化している」と主張するが、いずれも請求人の主観的な主張にすぎない。 また、引用商標1が周知性を欠き、さらに、本件商標と引用商標1とが明確に区別可能な非類似の商標であることを勘案すれば、被請求人による本件商標の使用により、請求人の財産的利益や信用が損なわれることも、引用商標1の出所識別機能が希釈化することも、また、仮に引用商標1に何らかの信用や名声が化体するとしても、被請求人がこれにフリーライドし、不正の利益を受けることも不可能である。 エ 小括 以上のとおり、引用商標1は周知ではなく、また、本件商標は、引用商標1とは非類似の商標であり、さらに、被請求人は、不正の意図をもって本件商標を使用していない。 (5)理由5 商標法第4条第1項第7号非該当性について 本件商標は、客観的に明らかなとおり、標章それ自体が公の秩序又は善良の風俗に反するものでないばかりでなく、本件商標をその指定役務について使用した場合に、これが社会公共の利益に反したり、又は、社会の一般的道徳観念に反するという事情も存在しない。 4 結語 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号、同第19号又は同第7号のいずれにも該当しない。 第5 当審の判断 1 「個性心理学」及び「個性心理學」の語について (1)書籍等について ア 「個性心理学」の語について、「デジタル大辞泉」に「個人差を扱う心理学。」との記載がある(乙1)。 イ 「『心理學研究』第20巻第1號58頁ないし61頁に「チャーレス・スピアマン-その人物と業績-」との論文があり、その文中、60頁右側に「近代心理學における一つの不幸は,一般心理學と個性心理學とが不合理にも分離していることであるが,ロンドン學派において,それらの間に緊密な関係がつけられており,個性心理學との関係においては,二因子説,一般心理學との関係においては知性説が構成されている。」との記載がある(乙2の1)。この雑誌は1949年に発行されたものである(乙2の2)。 ウ 「『基礎科学論集:教養課程紀要』2号」67頁ないし81頁に「ゴールトン及びキャテルの生涯とその業績について」との論文があり、その文中、68頁に「さて,現代心理学の基礎研究領域は多岐にわたっているが,その中に差異心理学(英文)がある。これは個人差の問題を扱う領域で,また個性心理学(英文)ともいわれる。」との記載がある(乙4の1)。この雑誌は1984年に発行されたものである(乙4の2) エ 「広辞苑第二版(昭和47年10月16日第六刷)」の「個性」の項目において【個性心理学】「個人差をあつかう心理学。差異心理学。」との記載がある(乙5)。この点に関して、当審の職権に基づく調査によれば、広辞苑第六版には「差異心理学」の語について「心理的事象に関して、個人と個人、群と群、人種と人種などを比較し、その差異を研究する学問。特に、個人差を取り扱うものを個性心理学という。」との記載がある。 オ 「広辞苑第三版(昭和58年12月6日第一刷)」の「個性」の項目において【個性心理学】「個人差をあつかう心理学。→差異心理学。」との記載がある(乙6)。 カ 「国語大辞典(昭和56年10月発行)」の「個性心理学」の項目に「個人差を研究対象とする心理学。→差異心理学」との記載がある(乙7)。 キ 「大辞泉(1998年11月20日第一版<増補・新装版>第一刷)」の「個性」の項目において【個性心理学】「個人差を扱う心理学。」との記載がある(乙8)。 ク 「日本国語大辞典 第二版2004年5月20日 第二版第5巻第4刷」の「個性心理学」の項目に「個人差を研究対象とする心理学。→差異心理学」との記載があり、また、「差異心理学」の項目に「個人の性質や能力などのちがいを研究する心理学。」との記載がある(乙9)。 ケ 「精選版 日本国語大辞典1(2006年1月1日初版第一刷)」の「個性心理学」の項目に「個人差を研究対象とする心理学。→差異心理学」との記載がある(乙10)。 コ 「精選版 日本国語大辞典2(2006年2月10日初版第一刷)」の「差異心理学」の項目に「個人の性質や能力などのちがいを研究する心理学。」との記載がある(乙11)。 サ 「日本大学文理学部心理学科」のウェブページには「日本大学文理学部心理学科の創設者・渡辺徹先生は明治16年福島県に生まれ、同43年に東京帝国大学文学部哲学科を卒業(中略)大正9年に日本大学教授となり、同13年に私学では最初(東大・京大・東北大に次いで日本では4番目)の心理学専攻課程を日大に創設された。」「先生はわが国におけるパーソナリティの心理学の開拓者である。心理学科の創設当初(大正13年)から没年(昭和32年)に至るまで、『個性心理学』という名で独創的な講義をされた。」との記載がある(乙12)。 シ 「対外報告 学士課程における心理学教育の質的向上とキャリアパス確立に向けて(平成20年4月7日 日本学術会議)」との報告の9頁に、「表1 心理学教育の基準カリキュラム」として「教授科目(授業形式)」には「個性心理学(講義)」との記載がある(乙13)。 (2)小括 以上によれば、「個性心理学(個性心理學)」の語は、引用商標2が登録出願された平成15年9月1日のはるか以前から、「個人差を扱う心理学。ないしは、個人差を研究対象とする心理学」を意味する心理学の一分野の学問の名称として使用され、これが、現在においても心理学の一分野の学問の名称として使用されている。 したがって、該語は、「個人差を扱う心理学。ないしは、個人差を研究対象とする心理学」の意味を有する学問の普通名称である。 この点に関して、請求人は、引用商標1は、請求人の創作した創造標章であると主張しているが、それを裏付ける証拠は提出されていない。そればかりか、請求人(審決注:甲各号証中の「弦本將裕」は、請求人「弦本 理」の筆名であると推認できるから、両者は同一人物とみて、以後「請求人」という。)が代表を務めていた株式会社ノア(甲6(枝番号を含む。)参照。)が、平成10年1月31日付で作成した「株式会社ノア:代理店会議議事録」との書面において、株式会社ノアは、「当社としては『個性心理學』は普通名称であるとの見解であり、商標登録不適確との判断である。」と述べていたところである(乙26)。 また、平成28年4月1日付け弁駁書において、現時点の一般的な辞典等に「個性心理学」を説明する項目は存在しないと主張し、証拠方法として甲第207号証ないし甲第229号証(枝番号を含む。)を提出しているが、そのことをもって、前記(1)の事実が否定されるものではない。 したがって、「個性心理学」の語は、請求人の創作した創造標章であるとの請求人の主張は、採用することはできない。 2 引用商標1の周知性について (1)証拠(甲各号証)及び請求人の主張についての検討 請求人は、本件商標の登録出願時(平成26年(2014年)9月11日)及び登録査定時(平成26年(2014年)12月12日)において、引用商標1「個性心理学」は請求人の業務に係る役務である占いに関する「知識の教授」の出所を表示するものとして、全国の需要者に広く認識されていたと主張し、甲各号証を提出している。 ア 甲第6号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)について これらの証拠は、「個性心理學」の基礎(上級)講座テキストないし資料集(印刷物)であることは確認できるが、当該印刷物が不特定多数の需要者を対象に販売される商品としての「印刷物」であることを確認することはできない。 また、これらの講座テキストをもってしては、請求人が開催している講座のテキストであることは推認できても、引用商標1が、請求人のどのような役務の商標として使用されているのか明らかではなく、少なくとも、引用商標1が、役務「知識の教授」や「セミナーの企画・運営又は開催」の出所を表示するものとして使用されているということはできない。 イ 甲第10号証ないし甲第13号証及び甲第15号証は、請求人のホームページの写しであって、ここに引用商標1が表示されているものの、これらからは、請求人がどのような役務を提供しているのかを確認することはできず、少なくとも、引用商標1が、役務「知識の教授」の出所を表示するものとして使用されているということはできない。 ウ 甲第14号証は、「NHK学園」において、請求人が、心理学の一分野の学問である「個性心理學」ないし、「動物占い」に関する教授をしていることは確認できても、この証拠をもってしては、引用商標1が、役務「知識の教授」や「セミナーの企画・運営又は開催」の出所を表示するものとして使用されているということはできない。 エ 甲第16号証は、請求人の著作した書籍のリストであって、「個性心理学」の語が書籍の題号として使用されていても、それは、心理学の一分野の学問である「個性心理学」を内容とする書籍の題号と認識されるというのが相当であって、ここからは、引用商標1が、商品「印刷物」の出所を表示するものとして使用されているということはできない。 オ 甲第17号証は、請求人が出演したメディアのリストであるが、ここからは、引用商標1が、役務「知識の教授」や「セミナーの企画・運営又は開催」の出所を表示するものとして使用されているということはできない。 カ 甲第18号証は、請求人のプロフィールに関する文書であり、ここには請求人が著作した書籍のリストが掲載されているが、ここからは、引用商標1が、商品「印刷物」の出所を表示するものとして使用されているということはできない。 キ 甲第20号証ないし甲第32号証は、「個性心理學」ほかの、請求人が著作した書籍の表紙及び奥付の写しや書籍に関する広告であるが、これらによって、請求人が「個性心理學」ほかの題号の書籍を出版したということができるものの、ここにおける「個性心理学」や「個性心理學」の語は、心理学の一分野の学問である「個性心理学」を内容とする書籍の題号と認識されるというのが相当であって、ここからは、引用商標1が、商品「印刷物」の出所を表示するものとして使用されているということはできない。 ク 甲第33号証ないし甲第38号証の新聞記事は、請求人が、心理学の一分野の学問である「個性心理学」についての講演や事業を行っていることが報じられているが、これらの各号証によっては、引用商標1が、役務「知識の教授」や「セミナーの企画・運営又は開催」の出所を表示するものとして使用されているということはできない。 ケ 甲第39号証ないし甲第113号証(枝番号を含む。)の雑誌記事等(以下、「(枝番号を含む。)」との記載は省略した。)は、「個性心理学」や「個性心理学研究所」の語が、運勢判断や星占いに関するソフトウェアの名称に使用されているもの(甲39、甲40)、動物占いの名称などに使用されているもの(甲41?甲44,甲97)、引用商標1が表示されていないもの、若しくは、「個性心理学」及び「個性心理學」の文字が表示されているものの、これらが、出所を識別する商標として使用されているとはいえないもの(甲45?甲96、甲98?甲113)などである。 よって、これらの甲各号証によっては、引用商標1が、役務「知識の教授」や「セミナーの企画・運営又は開催」の出所を表示するものとして使用されているということはできない。 コ 甲第114号証ないし甲第125号証における「個性心理學」の語は、「今日から使える個性心理學」との連載記事のタイトル中に使用されているのであって、商品「印刷物」や、役務「知識の教授」及び「セミナーの企画・運営又は開催」の出所を表示するものとして使用されているということはできない。 サ 甲第126号証ないし甲第152号証は、「人間関係を潤す“動物キャラナビ”の効果」とのタイトルの連載記事であって、引用商標1が、商品「印刷物」や、役務「知識の教授」や「セミナーの企画・運営又は開催」の出所を表示するものとして使用されているということはできない。 シ このほか、甲第153号証ないし甲第186号証においても、引用商標1が、商品「印刷物」や、役務「知識の教授」や「セミナーの企画・運営又は開催」の出所を表示するものとして使用されている事実及び実情は認められないところである。 (2)引用商標1の周知性についての判断 以上、前記の(1)アないしシによれば、引用商標1が、請求人の取り扱う役務「知識の教授」や「セミナーの企画・運営又は開催」の出所を表示する商標として具体的に使用されている事実は、提出された証拠から認めることができない。 したがって、引用商標1は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で広く認識され周知になっていたということができない。 3 商標法第4条第1項第10号について (1)本件商標について 本件商標は,「ISD個性心理学」の文字からなるものである。 そして、前記1「『個性心理学』及び『個性心理學』の語について」の認定判断に照らせば、その構成中「個性心理学」の文字は、心理学の学問の普通名称と認められるので、ここからさらに「個性心理学」の語が分離抽出され、この語が自他商品・役務の識別標識として取引に資されることはないというべきである。 そうとすれば、本件商標は、これが一体的に把握され、本件商標から「アイエスデイコセイシンリガク」との称呼が生じ、特定の観念は生じない造語と認識されるものである。 (2)引用商標1について 引用商標1は、「個性心理学」の文字からなり、これより「コセイシンリガク」の称呼、「個人差を扱う、ないしは個人差を研究対象とする心理学」との観念が生じるものである。 また、前記したように、引用商標1が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で広く認識され周知になっていたということはできないものである。 (3)本件商標と引用商標1との類否判断 本件商標は、一体的に把握され、「アイエスデイコセイシンリガク」との称呼が生じ、特定の観念は生じない造語よりなると認識されるものである。 これに対して、引用商標1は、「個性心理学」の文字よりなり、これより「コセイシンリガク」の称呼、「個人差を扱う、ないしは個人差を研究対象とする心理学」との観念が生じるものである。 そこで、本件商標と引用商標1を比較すると、外観においては、明らかに相違する構成からなるから、明確に区別できるものであり、称呼においては、本件商標から生じる「アイエスデイコセイシンリガク」の称呼と、引用商標1から生じる「コセイシンリガク」の称呼は、その構成音及び構成音数に顕著な差異があるから、明瞭に聴別できるものであって、また、本件商標からは特定の観念が生じないのに対し、引用商標1からは「個人差を扱う、ないしは個人差を研究対象とする心理学」の観念が生じるものであるから、観念において、相違するものである。 してみれば、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、明確に区別できる非類似の商標というべきである。 (4)小括 以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第11号について 引用商標2は、引用商標1と同じ「個性心理学」の文字からなるものであり、本件商標と引用商標1とは、上記3(3)のとおり非類似の商標であるから、これと同様に、本件商標と引用商標2とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第15号について 前記したように、引用商標1が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で広く認識され周知になっていたということはできないものである。 そして、本件商標は、引用商標1と類似しない別異のものである。 してみれば、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が、該商品及び役務が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように誤認することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 6 商標法第4条第1項第19号について 引用商標1は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で広く認識され周知になっていたということはできず、本件商標は、引用商標1と類似しないものである。 そして、本件商標権者が本件商標を、不正の目的をもって使用するとすべき証拠及び事情は認められない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 7 商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような構成のものとはいえず、これをその指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものともいえず、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものともいえず、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでもなく、本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような特別の事情があるともいえない。 したがって、本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するということはできない。 8 請求人の主張について 請求人は、審判請求書及び弁駁書において、種々述べているところであるが、例えば、○Rマークに関する主張及び審査における経緯等の主張については、その事実が直ちに引用商標の周知性についての判断に影響を与えるものではない。 よって、請求人の主張は、採用することができない。 9 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号、同第19号及び同第7号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項により、無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別記1 引用商標2の指定商品及び指定役務 第9類「動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占いに関する電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占いに関する家庭用テレビゲームおもちゃ,その他の家庭用テレビゲームおもちゃ,動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占いに関する家庭用テレビゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAM・磁気テープその他の記録媒体,その他の家庭用テレビゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAM・磁気テープその他の記録媒体,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ・CD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAM・磁気テープその他の記録媒体,録音済みのコンパクトディスク・CD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAM・磁気テープその他の記録媒体,動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占いに関する携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAM・磁気テープその他の記録媒体,その他の携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAM・磁気テープその他の記録媒体,携帯電話機用ストラップ,デジタルカメラ,電気通信機械器具,動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占いに関する業務用テレビゲーム機,その他の業務用テレビゲーム機,動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占いに関する業務用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAM・磁気テープその他の記録媒体,その他の業務用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAM・磁気テープその他の記録媒体,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,計算尺」 第16類「印刷物(書籍を除く。),書画,写真,写真立て,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,印刷用インテル,活字,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,マーキング用孔開型板,電気式鉛筆削り,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),紙製テーブルクロス,紙類,紙製簡易買物袋」 第38類「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信,その他の電気通信(放送を除く。),放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」 第41類「セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の貸与,電子出版物の提供,書籍の制作,オンラインによる書籍の制作,オンラインによる動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占い関するゲームの提供,その他のゲームの提供,動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占いに関する家庭用テレビゲームおもちゃの貸与,その他のおもちゃの貸与,動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占いに関する家庭用テレビゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAM・磁気テープその他の記録媒体の貸与,娯楽施設の提供,動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占いに関する携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAM・磁気テープその他の記録媒体の貸与,その他の携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAM・磁気テープその他の記録媒体の貸与,動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占いに関する業務用テレビゲーム機の貸与,その他の業務用テレビゲーム機の貸与,動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占いに関する業務用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAM・磁気テープその他の記録媒体の貸与,その他の業務用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAM・磁気テープその他の記録媒体の貸与,録画済みビデオディスク及びビデオテープ・CD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAMその他の記録媒体の貸与,録音済みのコンパクトディスク・CD-ROM・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・デジタルバーサタイルディスクROM及びRAMその他の記録媒体の貸与,当せん金付証票の発売,献体に関する情報の提供,献体の手配,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,図書及び記録の供覧,美術品の展示,庭園の供覧,洞窟の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),競馬の企画・運営又は開催,競輪の企画・運営又は開催,競艇の企画・運営又は開催,小型自動車競走の企画・運営又は開催,音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,映写機及びその附属品の貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,遊戯用具の貸与,遊戯場機械器具の貸与,絵画の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,電子計算機端末による通信を用いて行う教育情報の提供,スキー用具の貸与,スキンダイビング用具の貸与,カラオケ施設の提供,カラオケ用機械器具の貸与」 第45類「動物イメージを用いた占い,オンラインによる動物イメージを用いた占い,動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占い,オンラインによる動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占い,その他の占い,動物イメージを用いた占いに関する情報の提供,オンラインによる動物イメージを用いた占いに関する情報の提供,動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占いに関する情報の提供,オンラインによる動物イメージを用いた占いによる運勢判断・心理判断・性格判断・運命相談・相性診断・適性診断・易占・ト占いに関する情報の提供,身の上相談,ファッション情報の提供,新聞記事情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,施設の警備,身辺の警備,個人の身元又は行動に関する調査,家事の代行,衣服の貸与,祭壇の貸与,火災報知機の貸与,消火器の貸与,家庭用電熱用品類の貸与(他の類に属するものを除く。),動力機械器具の貸与,風水力機械器具の貸与,装身具の貸与」 |
審理終結日 | 2016-07-06 |
結審通知日 | 2016-07-11 |
審決日 | 2016-08-12 |
出願番号 | 商願2014-76994(T2014-76994) |
審決分類 |
T
1
11・
26-
Y
(W41)
T 1 11・ 271- Y (W41) T 1 11・ 22- Y (W41) T 1 11・ 25- Y (W41) T 1 11・ 222- Y (W41) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 稲村 秀子 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
山田 正樹 榎本 政実 |
登録日 | 2015-01-23 |
登録番号 | 商標登録第5735833号(T5735833) |
商標の称呼 | アイエスデイコセーシンリガク、アイエスデイ、コセーシンリガク |
代理人 | 乾 裕介 |
代理人 | 辻居 幸一 |
代理人 | 中岡 起代子 |
代理人 | 井滝 裕敬 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 窪田 英一郎 |
代理人 | 加藤 ちあき |
代理人 | 今井 優仁 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 外村 玲子 |
代理人 | 石原 一樹 |
代理人 | 佐竹 勝一 |
代理人 | 藤倉 大作 |
代理人 | 北原 絵梨子 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 柿内 瑞絵 |
代理人 | 飯田 圭 |