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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W091121
審判 全部申立て  登録を維持 W091121
管理番号 1336384 
異議申立番号 異議2017-685008 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-03-10 
確定日 2017-10-04 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1295660号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1295660号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1295660号商標(以下「本件商標」という。)は,「Milk Monster」の欧文字を横書きしてなり,2016年(平成28年)2月5日に国際商標登録出願,第9類「Baby alarms;baby monitors;timers for automatic apparatus;alarm bells;alarms.」,第11類「Bottle coolers[apparatus];bottle heaters;bottle warmers;milk coolers;milk sterilizers;milk cooling installations.」及び第21類「Bottles;bottle cradles;bottle coolers;milk jugs;milk pans;milk churns.」を指定商品として,平成28年9月28日に登録査定,同29年1月6日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は,以下の45件(以下,それらを項番1から順次「引用商標1」「引用商標2」のようにいい,これらをまとめて単に「引用商標」という場合がある。)であるところ,その構成はそれぞれ以下のとおりであり,その他,それらの指定商品及び指定役務,登録出願日並びに設定登録日は国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿又は商標登録原簿に記載のとおりであって,いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第5379390号商標:MONSTER
2 登録第5057229号商標:別掲1のとおり
3 国際登録第1048069号商標:別掲1のとおり
4 登録第5689430号商標:別掲1のとおり
5 登録第5730813号商標:別掲2のとおり
6 登録第5010968号商標:M MONSTER ENERGY
7 登録第5431413号商標:別掲3のとおり
8 登録第5788675号商標:別掲3のとおり
9 登録第5393681号商標:MONSTER ENERGY
10 登録第5788676号商標:MONSTER ENERGY
11 登録第5844119号商標:MONSTER ENERGY
12 登録第5495941号商標:MONSTER KHAOS ENERGY + JUICE
13 登録第5769176号商標:MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO
14 登録第5419513号商標:別掲4のとおり
15 登録第5757485号商標:COFFEE MONSTER
16 登録第5715016号商標:MONSTER ENERGY ULTRA
17 登録第5844163号商標:別掲5のとおり
18 登録第5394526号商標:別掲6のとおり
19 登録第5442171号商標:MONSTER ENERGY PINK
20 登録第5417815号商標:MONSTER ENERGY AGENT ORANGE
21 登録第5527566号商標:MONSTER DETOX
22 登録第5476620号商標:MONSTER REHAB
23 登録第5490798号商標:MONSTER RECOVERY
24 登録第5497766号商標:MONSTER UNLEADED
25 登録第5451361号商標:MONSTER PUMPED
26 登録第5480373号商標:MONSTER BIOACTIVATED
27 登録第5527567号商標:MONSTER REHABITUATE
28 登録第5417770号商標:MONSTER LO-CARB
29 登録第5375090号商標:PROTEIN MONSTER
30 登録第5327467号商標:MUSCLE MONSTER
31 登録第5409580号商標:MONSTER RIPPER
32 登録第5409582号商標:MONSTER BLACK
33 登録第5419507号商標:MONSTER DOUBLE BLACK
34 登録第5409583号商標:MONSTER GIRL
35 登録第5542584号商標:MONSTER CUBA-LIMA
36 登録第5043703号商標:JAVA MONSTER
37 登録第5431412号商標:JAVA MONSTER
38 登録第5741128号商標:JAVA MONSTER
39 登録第5644854号商標:MONSTER SUPERNATURAL
40 登録第5423080号商標:LOCA MOCA JAVA MONSTER
41 登録第5389881号商標:X-PRESSO MONSTER
42 登録第5657923号商標:MONSTER ENERGY ULTRA RED
43 登録第5562023号商標:JAVA MONSTER GREEN BEANS
44 登録第5613400号商標:MONSTER THRILLER
45 登録第5644852号商標:KONA CAPPUCCINO M JAVA MONSTER
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標の登録は商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に違反してされたものであるから同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第325号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人の使用に係る商標「MONSTER」の著名性
(1)会社沿革及び取扱商品
申立人は,1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり,アルコールを含有しない飲料製品の企画,開発,製造,マーケティング,販売の事業に従事していたが,2015年6月からはエネルギー補給飲料(エナジードリンク)の事業に注力している(甲2,甲58)。
(2)「MONSTER ENERGY」ブランド創設と「MONSTER」商標の使用
申立人は2002年にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し,米国で同年3月から広告宣伝を開始し,同年4月から製造販売を開始した(甲4,甲7,甲18,甲58)。
申立人の「MONSTER ENERGY」のオリジナル版のエナジードリンクは,従来の清涼飲料製品の容器とは異なる黒色ベースのボトル缶を使用し,そのボトル缶には,モンスターの爪痕をかたどったロゴマーク(引用商標7及び8)と「MONSTER」の文字(引用商標1)をロゴデザインして表示したものであり,該製品の,野性味あふれる独特な雰囲気は,経済・ビジネス界でも注目を浴び(甲56?甲58),「MONSTER ENERGY」のエナジードリンク製品は,男性若年層を中心にたちまち人気商品となった。
申立人の「MONSTER ENERGY」ブランドの各種エナジードリンクには,2002年の販売開始以降,現在に至るまで継続して「MONSTER」の文字に,他の文字,記号,数字などを組み合わせた様々な商標(以下,これらを総称して「MONSTERファミリー商標」という。)が個別製品名として使用されており(甲11?甲16,甲19?甲32,甲58),かつ,ボトル缶には「MONSTER」の文字が特徴的な書体の太字で大きく顕著に表示されている。
(3)広告・マーケティング及び販売促進活動
申立人は,2002年から現在まで,全世界の「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクに関する広告・マーケティング及び販売促進活動費として,総額30億米ドルを超える費用を支出した(甲58)。その販売促進活動の主な内容は,世界の有名アスリート・レーシングチーム及び競技会,アマチュア選手,音楽祭及びミュージシャン,米国ラスベガスの公共機関モノレールに対するスポンサー活動並びに販売店用什器及び備品の供給である。
上記の活動においては,イベント会場設置の看板,旗,垂れ幕,ブース,什器類,移動車,イベントスタッフの衣装やユニフォーム,スポンサー契約アスリートやレーシングチームが着用するユニフォーム・ヘルメット・帽子・手袋・スポーツ用具・車体,イベント関連ニュースを配信するニュースレター,ビデオクリップ等に,独特のレタリングで顕著に表示された「MONSTER」の文字,モンスターの爪痕を象徴する「M」のロゴマーク(引用商標7,8),「MONSTER」の文字の下に「ENERGY」の文字を付加したロゴマーク,「M」「MONSTER」「ENERGY」の文字からなる「M MONSTER ENERGY」のロゴマーク(引用商標2?5)(以下,これらのマークを「MONSTERブランドマーク」という。)を表示している(甲34?甲45,甲52,甲53,甲56,甲57)。
(4)日本国内の販売実績,広告・マーケティング及び販売促進活動
日本国内における「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクの販売は,アサヒ飲料株式会社(以下「アサヒ飲料」という。)を通じて行われている。2012年3月15日付のニュースリリースでアサヒ飲料が国内独占販売権取得を公表し,2種類のエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の発売を公表,同年5月8日から販売を開始した(甲5?甲7,甲12,甲14,甲58)。当該エナジードリンクは同年9月の時点で100万箱を突破し(甲8,甲65?甲67),その後も順調に売上を伸ばして157万箱の売上げを記録した(甲9,甲65?甲67)。
その後,2013年5月7日には,「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」(甲10,甲13,甲15)を,2014年8月19日には,「MONSTER ENERGY M3」(甲59,甲61)を,同年10月7日には,「MONSTER COFFEE」(甲60,甲62)を,2015年7月21日には,「MONSTER ENERGY ULTRA」(甲101?甲103,甲118)が発売され,現在まで6種の異なるMONSTERファミリー商標を付した申立人のエナジードリンクが国内で流通している。また,2016年4月12日には「MONSTER ENERGY M3」(甲127,甲129,甲131)及び同年5月17日には,「MONSTER KHAOS」がリニューアル発売され,これに先立つ同年4月にはリニューアル記念キャンペーンが実施された(甲128,甲130)。さらに同様に,2017年4月下旬には「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」もリニューアル発売され,同年5月8日から31日までリニューアル記念キャンペーンが実施された(項第252?255)。
これらの製品は,日本全国のコンビニエンスストア,自動販売機,キオスク,スーパーマーケット,列車の売店,会員制スーパー,店舗,ゲームセンター,ドラッグストア及びホームセンター等の販売小売店のほか,アサヒ飲料の通販サイトからも直接購入可能である(甲11?甲17,甲58,甲61,甲62,甲72)。また,大手ネットショッピングサイトのアマゾンジャパンなどではこれらの国内販売製品のほか,国内未販売製品の輸入販売も取り扱われている(甲33,甲126)。
そして,申立人は,日本において,2012年5月の販売開始から2015年6月30日までの間に約2億3,600万缶の「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクを販売した。上記期間の販売総額は1億7,500万米ドル以上,日本円で170億円以上である(甲58)。
また,日本国内では,「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクの販売開始直後より,継続的にテレビコマーシャル放映,スポーツイベント等へのスポンサー提供,サンプル配布などを含む大々的な宣伝広告活動が実施されている(甲58)。
(5)全世界の販売国・地域及び販売額
MONSTERファミリー商標を付したエナジードリンクは,世界100以上の国及び地域で販売され,あるいは現在販売中であり,世界中で毎年30億缶以上を売上げ,総額240億米ドルを超える収益を生み出している。また,全世界における小売販売額は毎年60億米ドルを超える。
申立人の年間総販売額は2013年度(12月31日締め)の25.9億米ドル及び2012年度(12月31日締め)の23.7億米ドルから2014年度(12月31日締め)には28.3億米ドルに増加した(甲58)。
(6)アパレル製品及びビデオゲーム製品等のグッズ
申立人は,2002年以降,現在に至るまで継続してMONSTERブランドマークを付した被服,スポーツ用具等の商品化を第三者に許諾しており,多数のライセンシーによって,日本,アジア全域,オーストラリア,米国等の世界各地で販売中である。また,申立人も,MONSTERブランドマークが付された被服を直接販売している(甲58)。
MONSTERブランドマークが付された被服,運動用特殊衣服,運動用ヘルメット,ステッカー,リュックサック等は,日本国内でも人気の高い商品であり,インターネットの通信販売業者により日本国内へも輸入販売されている(甲47,甲48,甲58)。
また,MONSTERブランドマークのステッカーやシールは,アマチュアアスリート支援のためのウェブサイトである「モンスターアーミー」の登録会員,スポンサー提供のアスリート,申立人がスポンサーを務めるイベントの観客,ファンに配布されている(甲58)。
さらに,申立人は,ビデオゲーム制作販売会社と提携関係を結び,ビデオゲーム内にMONSTERブランドマークを使用させており,これらのゲームは日本を含む世界各国で購入することができる(甲58)。
(7)ウェブサイト及びソーシャルメディアによる情報発信
申立人の「MONSTER ENERGY」のエナジードリンクの商品情報,申立人がスポンサー契約を行っているアスリート・チーム及びスポーツとのイベントに関する情報,アスリートの大会情報や記録情報,「MONSTER ENERGY」のアパレル及びアクセサリー類に関する商品情報,販売などが申立人の開設運営する複数のウェブサイト及びソーシャルメディアサイトを介して日本を含む全世界の需要者に対して発信されている(甲2,甲58)。また,当該ウェブサイト,ソーシャルメディアページにおいても,MONSTERブランドマークが表示され,またこれらを付した契約アスリートの着用ウェア,グッズの写真,ビデオが配信されている。さらに,MONSTERブランドマークを表示させた第三者のウェブサイトも存在する(甲58)。
(8)経済界等からの表彰等
申立人の業績は,本件商標が登録出願される遙か以前から,経済界でも高く評価され,数々の表彰を受けている。また,著名なビジネス誌においても,申立人会社の記事が掲載されている(甲49,甲51?甲57)。
(9)商標登録によるブランド保護
申立人は「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンク,イベントの企画・開催,ライセンシーに係るアパレル製品,装身具等の様々な関連グッズに対してMONSTERブランドマーク及びMONSTERファミリー商標を使用している。
日本国内では,MONSTERファミリー商標を第30類及び第32類の申立人の製造販売に係る各種飲料製品のほか,第5類,第9類,第14類,第16類,第18類,第25類,第29類,第33類,第35類,第41類の商品,役務について商標登録又は出願済みである。
なお,引用商標2,6,7,9,12?17は申立人が現在国内で販売中の6種のエナジードリンクの製品名に対応又は関連する登録である。
また,申立人は世界115以上の国及び地域においてMONSTERの文字を有する商標を商標登録・出願済みである(甲58,甲301?甲321,別紙1,別紙2)。
(10)国内における申立人商標のライセンス商品の人気と模倣品の水際取締り
申立人のライセンシーの製造販売に係るMONSTERブランドマークを付したアパレル製品,バッグ類,ステッカー(シール)などは日本の国内でも輸入販売されており,スポーツ愛好家を含む一般消費者の間で人気の高い商品となっているところ,そのような国内市場におけるMONSTERブランドマークの人気,周知性の高まりに便乗して,申立人の商標権を侵害するアパレル製品,ステッカー等の模倣品が海外で製造され,申立人の商標権侵害物品として日本の税関で輸入が差し止められる案件が急増している(甲169?甲224,別紙3)。
(11)2013年以降に申立人が主に国内で主催又は協賛したスポーツイベント等及びプロモーションキャンペーン
申立人は,遅くとも2013年2月23日から現在に至るまで継続して定期的かつほぼ毎月の頻度で,様々なプロモーションキャンペーンを実施している(別紙4)。
そして,申立人は,これらのプロモーションキャンペーンにおいてイベント来場者,キャンペーン応募者又はその当選者に対して,MONSTERブランドマークを付したTシャツ,ビーニー(帽子),スポーツヘルメット,ステッカー,ドリンククーラー,キーホルダー,リストバンド,バックパック(バッグ類),スノーボード,ギター,クーラーボックス,ミニ冷蔵庫,自動車,テレビ,エナジードリンク,これらのオリジナルグッズ等の詰め合わせセットなどの賞品を提供しており,その数は66万2670点に昇る。
また,これらのキャンペーン賞品は,プレスリリースで広告宣伝されている(甲16,甲17,甲63,甲64,甲68?甲71,甲73?甲80,甲87?甲91,甲108,甲111?甲115,甲117?甲120,甲123,甲124,甲132,甲138?甲168,甲226?甲230,甲232?甲247,甲249?甲251)。
(12)申立人の商標ライセンシーの製造販売にかかる「MONSTER」ライセンス商品の販売状況
申立人は,様々な商品分野でMONSTERブランドマークを第三者に使用許諾している。これらの「MONSTER」ライセンス商品は,国内の実店舗のほか,オンラインショップや通信販売を介して国内の需要者にも販売されている(甲47,甲48,甲58,甲92?甲100,甲134,甲135)。
(13)営業及び広告における「MONSTER」及び「モンスター」の文字の使用
上記(12)で言及した「MONSTER」ライセンス商品は,その商品カタログやオンラインショッピングサイトにおいて,商品ブランド名及び個別商品名として「MONSTER」「Monster」の文字を表示して販売及び宣伝広告されている(甲92,甲96,甲98,甲135)。
これに加えて,申立人による営業及び販売促進活動全般において,申立人会社又は申立人の取扱いに係るエナジードリンク等の商品を指示するための表示として「MONSTER」及びその表音「モンスター」の文字が単独で繰り返し用いられている(甲16,甲17,甲42の2,甲42の3,甲63,甲64,甲69,甲71,甲79,甲90,甲101,甲112,甲113,甲117,甲118,甲120,甲124,甲128,甲132,甲145,甲159,甲162,甲165,甲168,甲229,甲232,甲233,甲235?甲240,甲242,甲244,甲245,甲247,甲248,甲250,甲251)。
(14)まとめ
以上のとおり,申立人の使用に係る「MONSTER」の文字は,本件商標の登録出願日以前より申立人の業務に係る商品及び役務を表示する出所識別標識として,米国をはじめとする外国で広く認識されていただけにとどまらず,本件商標の登録出願時及び査定時には日本国内の取引者及び需要者の間においても,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして広く認識されていたことが明らかである。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標は,「Milk Monster」の欧文字を横書きしてなるところ,当該構成文字は12文字からなり,外観的に冗長な印象を与えるものである。また前半部分の「Milk」と,後半部分の「Monster」は,それぞれの頭文字「M」のみが大文字,その他の文字が小文字で表されており,また「Milk」と「Monster」の間には1文字分のスペースが存在するため,視覚的にも分断されているものである。
そして,「Milk Monster」の文字は,辞書等に掲載されている既成語ではないことから,当該文字が観念上不可分一体の自他商品識別標識として把握することはできない。さらに,前半部分の「Milk」の文字は,英語で「乳,乳汁,牛乳,ミルク」を意味する語(甲324)であり,その音訳「ミルク」もまた「牛乳」を意味する外来語として「広辞苑」(甲325)に掲載される廷語まで広く一般に親しまれているものである。
また,本件商標の指定商品第9類「「Baby alarms;baby monitors;timers for automatic apparatus;alarm bells;alarms.」,第11類「Bottle coolers[apparatus];bottle heaters;bottle warmers;milk coolers;milk sterilizers;milk cooling installations.」及び第21類「Bottles;bottle cradles;bottle coolers;milk jugs;milk pans;milk churns.」との関係において,「牛乳」「ミルク」と関わる商品の用途・その特徴を普通に用いられる方法で表示したものとして認識されるに止まり,商品の出所識別標識としての機能は果たさないか,果たしても,極めて弱く不十分なものであることが明らかである。
他方,本件商標の後半部分「Monster」は,当該指定商品の品質等と何ら関連せず,これらの商品の出所識別標識として強い出所表示力を発揮するものである。この点に加え,「Monster」の音訳「モンスター」が外来語の「モンスター」として国民一般に広く親しまれている(甲322,甲323)ことからすれば,本件商標の構成においては,「MONSTER」の文字部分が取引者及び需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えることが明らかである。
そして,本件指定商品においては,その最終的な需要者に一般消費者を含む商品であり,申立人の製造販売にかかるエナジードリンクと需要者の範囲が重複し,その一般消費者を対象とする需要者の注意力の程度は高いものとはいえない。
したがって,本件商標が,その指定商品に使用された場合は,申立人の使用に係る商標「MONSTER」及び申立人会社を直感し,当該指定商品が申立人又は申立人と経済的又は組織的関係を有する者の製造販売に係る商品であると誤信し,その出所について混同を生じるおそれが高いことが明らかである。
さらに,申立人の商品役務の出所識別標識「MONSTER」と類似性の高い本件商標が,申立人と何ら経済的又は組織的な関係を有しない被申立人に使用されたときには,2002年から現在に至る申立人による継続的使用と営業努力によって申立人の業務に係る商品の出所識別標識として広く認識されるに至った「MONSTER」の強力な出所表示力が希釈化するおそれがある。また,被申立人による本件商標の使用は,申立人が「MONSTER」について獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 商標法第4条第1項第7号について
本件商標が使用された場合,申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の出所表示力が希釈化するおそれが高い。また,本件商標の使用は,申立人がこれらの商標について獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず,申立人に経済的及び精神的損害を与える。
よって,本件商標は,社会一般道徳並びに公正な取引秩序を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり,公の秩序を害するおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)「MONSTER」の文字の周知・著名性について
ア 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実を認めることができる(なお,インターネット情報,雑誌及びカタログ等について,掲載日又は発行日の明らかでないもの,日本語以外の言語で表示されており我が国を対象として掲載,発行されたものとは認められないもの,本件商標の出願日以降に掲載又は発行されたものと認められるもの又は写真や文字が不鮮明なものは除く。)。
(ア)申立人は,米国の飲料メーカーであって,2002年に米国でエナジードリンクの「MONSTER ENERGY」を販売開始し,現在まで多種のエナジードリンクを継続して販売している(甲7,甲8,甲10,甲33,甲59,甲60,甲101,甲126,甲127,甲129,甲130)。
(イ)申立人は,我が国において,アサヒ飲料を通じて2012年(平成24年)5月8日に「『モンスターエナジー』ブランド」として,「モンスターエナジー」及び「モンスターカオス」の販売を開始し,それらの商品はその発売から同年9月までに,157万箱の販売数となった(甲7?甲9)。
(ウ)同様に,申立人は,「『モンスターエナジー』ブランド」として,2013年(平成25年)5月7日に,「モンスターアブソリュートゼロ」を,2014年(平成26年)8月19日に,「モンスターエナジー M3」を,同年10月7日に,「モンスターコーヒー」を,2015年(平成27年)7月21日に,「モンスターウルトラ」を販売した。そして,2016年(平成28年)4月12日に,「モンスターエナジー M3」を,同年5月17日に,「モンスターカオス」をそれぞれリニューアル販売した(甲10,甲59,甲60,甲101?甲103,甲129,甲130)。
(エ)上記(イ)及び(ウ)の6種類の「『モンスターエナジー』ブランド」の商品(以下,これらをまとめて「申立人国内販売商品」という。)の容器には,MONSTERブランドマークが表示されている。(甲14,甲15,甲61,甲62,甲101,甲129,甲130)。
(オ)そして,申立人国内販売商品は,現在もアサヒ飲料のウェブサイト,コンビニエンスストア,スーパーマーケット等の小売店で継続的に販売されている(甲8,甲11?甲13,甲72,甲131)。また,Amazon.co.jpのウェブサイトにおいては,申立人国内販売商品のほかにも,申立人が米国で販売している商品も購入することができ,これらの商品の容器にもMONSTERブランドマークが表示されている(甲33,甲126)。
(カ)申立人は,MONSTERブランドマークを付した,被服,スポーツ用品,ステッカー等について,業者とライセンス契約を締結し,これらの商品は,2011年(平成23年)1月頃には,我が国でも販売されている(甲47,甲48,甲98,甲100)。
(キ)申立人は,広告宣伝活動として,スポーツの競技者,レーシングチーム等へのスポンサー活動及びスポーツ大会,各種イベントの主催・共催を行っており,競技者,レーシングチームのユニフォーム,車体等の使用用具,スポーツ大会,イベントの広告用ウェブサイトにおいて,MONSTERブランドマークを表示している(甲42の1,甲44,甲45,甲82,甲83,甲105?甲107,甲109,甲110,甲116,甲120,甲122,甲123,甲125,甲138,甲139,甲154)。
(ク)申立人は,広告宣伝活動として,2012年(平成24年)5月より,コンビニエンスストアにおける,申立人国内販売商品及びMONSTERブランドマークを付した衣類等の商品の配布,抽選等のキャンペーン,街頭,イベント会場等での申立人国内販売商品の配布等のキャンペーン,ウェブサイトを使用したMONSTERブランドマークを付した商品の配布,抽選等のキャンペーンを行っており,それらの広告用のウェブサイトには,MONSTERブランドマークが掲載されている(甲8,甲16,甲17,甲63,甲64,甲68?甲71,甲87?甲91,甲111?甲115,甲117?甲119,甲124,甲128,甲132,甲133,甲138,甲140?甲168)。
しかしながら,キャンペーンで配布した商品の配布数量は,2012年5月19日?7月15日の期間に行われた,東京・名古屋・大阪における50万本規模の街頭サンプリング(甲8)以外にこれを裏付ける具体的な証拠の提出はない。
(ケ)申立人の陳述書(甲58)によれば,申立人は,我が国での申立人国内販売商品の販売直後より,申立人国内販売商品のテレビコマーシャルの放映,発売を記念するイベントを行ったほか,各種イベントのスポンサー提供を介して広告宣伝を行い,例えば,2012年(平成24年)5月17日から2か月間にわたり,50万缶のサンプルを路上配布したほか,同年6月2日及び3日に,渋谷において路上発表会で4万缶のサンプル配布をし,同年7月に,晴海フェリーターミナルにおいてパンクロックフェスティバルで5500缶のサンプル配布を行い,さらに2013(平成25年)7月にライブ演奏会場で3500缶のサンプルを配布,その他サーフィン大会の会場やロックコンサートの会場等においてサンプル配布を行った旨陳述しているが,テレビコマーシャルの放映回数,配布された申立人国内販売商品の缶の個数等を裏付ける具体的な証拠の提出はない。
また,申立人は,2012年4月より2015年6月30日までの期間,我が国おいて2億3600万缶の申立人国内販売商品を販売した旨陳述しているが,これを裏付ける具体的な証拠の提出はない。
イ 前記アの事実によれば,申立人は,米国では2002年に「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクの販売を開始し,我が国では,2012年(平成24年)5月よりアサヒ飲料を通じて,「モンスターエナジー」及び「モンスターカオス」を「『モンスターエナジー』ブランド」として,販売を開始し,その後,現在までに,6種類の申立人国内販売商品を販売している。
そして,申立人は,我が国において,2012年の上記商品の販売開始直後より,広告宣伝活動として,街頭,イベント会場,コンビニエンスストア又はウェブサイトを介して申立人国内販売商品のサンプル,MONSTERブランドマークを付した衣類,シール等の等の配布を行なっている。
また,申立人は,スポーツ選手,スポーツチームのスポンサーやスポーツイベントの主催・共催を行っており,それらに関する選手のユニフォームや選手の使用機材,イベントの広告用ウェブサイト上に,MONSTERブランドマークを表示している。
さらに,MONSTERブランドマークを付した,Tシャツ等の衣類,ステッカー,スポーツ用品等の販売も行われている。
以上のことからすれば,本件商標の出願時(平成28年2月5日)以前には,申立人国内販売商品が,エナジードリンクを取り扱う分野の取引者及びコンビニエンスストアの需要者又は上記のイベント等に参加する層である若い世代を中心とした一般の消費者の間ではある程度知られたものと認めることができる。
しかしながら,申立人国内販売商品の販売実績として確認できるのは,2012年(平成24年)5月ないし12月における157万箱であり,この数量は,アサヒ飲料が販売する他の飲料の2012年の販売実績,「ワンダ」4,048万箱,「三ツ矢」3,908万箱「十六茶」2,010万箱(甲9)と比べ,販売期間が異なることや2013年の申立人国内販売商品の年間販売目標240万箱(甲10)を考慮しても,その差は極めて大きく,数量自体からは申立人国内販売商品の周知性を裏付けるほどのもとのはいえないものである。
また,申立人国内販売商品のサンプル等の配布が行われていたとしても,その配布対象は,比較的若い世代が集まる繁華な場所やロックコンサート等のイベント会場で当該場所に居合わせた人たち又はコンビニエンスストアやウェブサイトを通じ積極的にキャンペーンに参加する人たちである。さらに,前記(1)で認定したとおり,配布された本数,個数を裏付ける証拠の提出は,2012年5月?7月の東京・名古屋・大阪の路上サンプリング以外にはない。
そして,申立人国内販売商品の宣伝広告方法は,上記のサンプル配布のほかには,スポーツ選手やスポーツチームのスポンサー及びイベントの主催・共催が主なものであり,我が国におけるその数はわずかである。
さらに,ウェブサイトにおけるニュースリリース以外に申立人国内販売商品の継続的な広告を行った事実を明らかにする証拠の提出もない。
そうすると,申立人が提出した証拠からは,MONSTERファミリー商標が,申立人の業務にかかる商品を表示するものとして,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認める事はできない。
また,申立人の提出した証拠には,「MONSTER」,「Monster」又は「モンスター」の文字は,「モンスターエナジー」の文字又は申立人国内販売商品と共に使用されており,需要者には,「MONSTER」の文字が申立人国内販売商品の表示の一部又は「『モンスターエナジー』ブランド」の商品名の一部として認識されているとみるのが相当である。
以上を総合すると,「MONSTER」の文字も,同様に,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは,認めることができない。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
ア 本件商標
本件商標は,前記1のとおりの構成からなるところ,「Milk」と「Monster」の文字との間に1文字分のスペースを有するものの,各構成文字は同じ書体及び同じ大きさの欧文字のみからなるものであり,外観上,まとまりよく一体的に表してなるものである。そして,本件商標の構成文字全体から生ずる「ミルクモンスター」の称呼は,格別冗長というべきものでもなく,よどみなく一連に称呼し得るといえる。
また,本件商標の構成中,「Milk」の文字は「牛乳,ミルク」の意味,「Monster」の文字は「(想像上の)怪物,化け物」(いずれも株式会社研究社リーダーズ新英和中辞典)の意味を有するいずれも我が国において広く親しまれている英単語であるが,その構成文字全体をもって一体不可分の造語とみるのが相当であり,「Milk Monster」の文字からは,特定の観念を生じないものである。
なお,申立人は,本件商標を構成する「Milk」の文字は,「牛乳」を意味する外来語として知られており本件の指定商品に含まれている「牛乳」「ミルク」と関わる商品の用途・その他の特徴を普通に用いられる方法で表示したものとして認識されるに止まり,自他商品の識別標識としての機能を果たさないか,極めて弱いものであることからすれば,本件商標の文字部分のうち自他商品の識別標識としての機能を有するのは「Monster」の文字部分である旨主張している。
しかしながら,「Milk」の文字が「牛乳,ミルク」の意味を有し,本件商標の指定商品の一部に関連する商品があったとしても,本件商標は,前記のとおりまとまりよく表されているものであるから,本件商標の後半部分を構成する「Monster」の文字のみが,取引者,需要者に対して商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとして見るべき事情は見いだせない。
イ 本件商標と引用商標との類否
引用商標は,前記第2のとおりの構成態様からなり,本件商標の構成態様とは明らかな差異を有するから,外観において相紛れるおそれはない。
また,引用商標は,MONSTER ENERGYブランドマーク,「MONSTER」の欧文字のみからなるもの及び「MONSTER」の欧文字を含む構成からなるものであるところ,本件商標より生ずる「ミルクモンスター」の称呼と,引用商標より生ずる「モンスター」,「モンスターエナジー」,「エムモンスターエナジー」,「モンスターカオスエナジージュース」,「モンスターエナジーアブソリュートリーゼロ」,「コーヒーモンスター」,「モンスターエナジーウルトラ」,「カオスモンスターエナジー」,「モンスターエナジーエクスポート」,「モンスターエナジーピンク」,「モンスターエナジーエージェントオレンジ」,「モンスターデトックス」,「モンスターリーハブ」,「モンスターリカバリー」,「モンスターアンレディッド」,「モンスターパンプト」,「モンスターバイオアクティベィテッド」,「モンスターリハビテュエート」,「モンスターロカーブ」,「プロテインモンスター」,「マッスルモンスター」,「モンスターリッパー」,「モンスターブラック」,「モンスターダブルブラック」,「モンスターガール」,「モンスターキューバリマ」,「ジャバモンスター」,「モンスタースーパーナチュラル」,「ロカモカジャワモンスター」「エックスプレッソモンスター」,「モンスターエナジーウルトラレッド」,「ジャワモンスターグリーンビーンズ」,「モンスタースリラー」,及び「コナカプチーノエムジャワモンスター」の称呼ともそれぞれの構成音数及び語調語感の差異により容易に聴別し得るものである。
さらに,本件商標から特定の観念は生じないものであるから,観念において相紛れるおそれがあるとはいえない。
そうすると,本件商標は,引用商標と外観,称呼,観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきである。
(3)出所の混同のおそれについて
引用商標は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたとはいえない。
そして,本件商標は,上記(2)のとおり,引用商標とは,相紛れるおそれのない別異の商標である。
以上からすると,本件商標は,商標権者がこれをその指定商品及び指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者が引用商標を連想又は想起させるものとは認められず,その商品及び役務が申立人又は同人と経済的,組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は,上記1(3)のとおり,商標権者がこれをその指定商品及び指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者が引用商標を連想又は想起することはないものである。
そうすると,本件商標は引用商標の信用力又は顧客吸引力にフリーライドするものではなく,本件商標をその指定商品及び指定役務に使用することが社会一般の道徳観念に反し,公正な取引秩序を乱すものとはいえないし,国際信義に反するものともいえない。
もとより,本件商標は,その構成自体がきょう激,卑わい,差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形ではないし,他の法律によってその使用等が禁止されているものでもない。
したがって,本件商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標とはいえないから,商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
3 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 【別記】






異議決定日 2017-09-28 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W091121)
T 1 651・ 22- Y (W091121)
最終処分 維持 
前審関与審査官 鈴木 駿也阿曾 裕樹 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 酒井 福造
網谷 麻里子
登録日 2016-02-05 
権利者 First Hand Learning Ltd
商標の称呼 ミルクモンスター、ミルク、モンスター 
代理人 柳田 征史 
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