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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W35 審判 全部申立て 登録を維持 W35 審判 全部申立て 登録を維持 W35 |
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管理番号 | 1336381 |
異議申立番号 | 異議2017-900313 |
総通号数 | 218 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2018-02-23 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-10-18 |
確定日 | 2018-01-18 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5966323号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5966323号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5966323号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成29年1月28日に登録出願、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同年6月23日に登録査定、同年7月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 2 登録異議申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標について、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に該当するから、その登録は、取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第31号証を提出した。 (1)本件登録異議の申立てに至る経緯 ア 申立人は、婦人服の企画、製作及び販売を行う株式会社である一方、本件商標権者は、主に百貨店における販売、企画を行う有限会社であって、その業務の大半は、申立人を含む婦人服、アクセサリー販売会社を百貨店に紹介することであった。 イ 本件商標権者は、平成26年12月より、申立人の展開していた「プラスビー」というブランドの商品を仕入れ販売し、同27年4月からは、同事業を株式会社クレアール(以下「クレアール」という。)に行わせていた。 なお、上記「プラスビー」の商品は、申立人が企画及び生産していた。 ウ 訴外Aは、「リレスト」の名称で婦人服の企画、製作及び販売を行っていたところ、Aは、本件商標権者に借金があり、また、業績が振るわなかったため、申立人は、「リレスト」を「レリーサ」というブランドに変更することを提案し、A及び本件商標権者は、これに賛同した。 エ 本件商標権者の代表者は、平成27年4月にクレアールを設立し(クレアールの代表者は、本件商標権者の代表者と同じである。)、クレアールにおいてAを雇用し、Aの居住地近くに事務所を設けた。また、Aは、クレアールにおける「レリーサ」事業部として、「プラスビー」とともに、「レリーサ」ブランド(以下、「『レリーサ』ブランド」とは、本件商標と同一の意味で用いるものとする。)を冠した婦人服の販売を行っていた。そして、本件商標権者は、クレアールをあたかも一販売業者であるかのように(本件商標権者の傀儡であることを隠して)百貨店に紹介していた。 なお、「プラスビー」及び「レリーサ」については、申立人が商品の企画及び生産を一貫して行っていた。 オ 本件商標権者は、「レリーサ」事業の売上げが伸びないため、平成28年1月頃に、同事業から撤退したいと申立人に相談してきた。 そこで、申立人と本件商標権者及びクレアールとは、平成28年3月より、本件商標(すなわち「レリーサ」ブランド)及び事業部(Aの雇用)を申立人が譲り受けること並びに「プラスビー」ブランドを本件商標権者(又はクレアール)が譲り受けることに同意した(甲2、甲3、甲29)。 なお、上記同意の際に、その時点で双方が有していた在庫(すなわち、申立人においては「プラスビー」の在庫、本件商標権者においては「レリーサ」(本件商標)の在庫)については、その消化のために販売することを認める旨も同意した(甲4、甲5)。 カ 申立人は、平成28年3月以降、「レリーサ」事業部を設立し、「レリーサ」ブランド名による婦人服の企画、製作及び販売を行い、各百貨店において、本件商標を用いて「レリーサ」の名称での婦人服販売を行い、宮原及び相模原では直営店舗を運営していた。 その後、クレアールが平成28年8月に移転したため、申立人は、宮原における事務所(賃貸物件)を又借りする形で引き継いだ(その際、電話及びファクシミリも入れ替えたため、各取引先は、「レリーサ」事業部が申立人内にあることを知りながら取引を行っていた。)が、同29年3月に賃借人の名義を申立人に変更した。 他方、申立人と本件商標権者とは、平成28年3月以降もたびたび打合せや話合いを行っていたが、本件商標権者は、申立人による上記活動を知悉しながら、異議を申し立てることはしなかった。 また、申立人(決定注:「本件商標権者」の誤記と認める。)及びクレアールは、平成28年3月以降、本件商標を用いて「レリーサ」という名称での商品の企画、製作及び販売を行うことはなかった。 ところが、本件商標の登録後、本件商標権者は、申立人に対し、本件商標の使用、すなわち、「レリーサ」ブランドでの販売活動を中止するよう通知し、申立人が出店している百貨店に対しても、申立人の「レリーサ」ブランドの商品を引き揚げるよう執拗に要求している。 (2)具体的理由 ア 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標(又はこれと同一)又はこれに類似する商標であること(商標法第4条第1項第10号及び同項第19号) (ア)「レリーサ」ブランド、すなわち、本件商標は、申立人が考案したものであり、平成28年1月頃まではクレアールが「レリーサ」ブランドでの販売をしていたが、その商品は、申立人が企画及び生産したものであった。 その後、申立人は、平成28年3月に、本件商標権者及びクレアールから本件商標を譲り受け(甲2、甲3)、「レリーサ」の名称での婦人服の企画、製作及び販売を行うようになった。 (イ)申立人による本件商標の使用については、(a)平成28年9月頃に、「婦人服、チュニック&カーディガンのお店レリーサ」として、被服の販売を行った(甲6、甲7)、(b)平成28年10月に、「Lerisa」という名称の店舗をさがみ野ショッピングプラザ「相鉄ライフ」に出店し(甲8、甲9)、本件商標を使用して被服の販売を行っていた、(c)平成28年4月以降、丸広百貨店、西武百貨店、松屋、そごう・西武百貨店、名鉄百貨店、岩田屋、東急百貨店、近鉄百貨店、京王百貨店、伊勢丹、トキハ百貨店、高島屋百貨店、小田急百貨店、東武百貨店、川徳、丸井今井において、本件商標を使用して被服の販売を行っていた(甲10?甲28)。 (ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、本件商標は、本件商標の登録出願時において、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標」及び「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標」であったことは明らかである。 イ 不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(商標法第4条第1項第19号) 本件商標権者は、本件商標の登録後、申立人に対し、本件商標の使用停止を通知した(甲29)。 また、本件商標権者の代表者は、百貨店や企画会社(百貨店での催事を取り仕切る業者)に対し、申立人による本件商標の使用に係る「レリーサ」ブランドの商品販売を停止するよう通告した(甲30、甲31)。 本件商標権者は、本件商標の登録出願以前から申立人が本件商標を使用していたことを知悉していたのであるから、同人による本件商標の登録出願が、申立人による「レリーサ」ブランドでの業務を妨害し、申立人に損害を与えることを目的としたものであることは明らかである。 ウ 公序良俗違反(商標法第4条第1項第7号) 既に述べたとおり、本件商標権者は、「プラスビー」ブランドとの交換として、本件商標を申立人に譲渡しており(甲2?甲5、甲29)、これは、本件商標権者が、本件商標が申立人に帰属することを認めたこと、申立人が本件商標を使用することを許諾したことを意味する。そして、本件商標権者は、そのことを知りながら、本件商標について商標登録を行った場合に商標権者(決定注:「申立人」の誤記と認める。)に損害を与えることを認識又は認容しつつ、その商標登録を行った。 そうすると、本件商標についての商標登録は、上述した申立人と本件商標権者及びクレアールとの間での合意に反するものであって、信義に反する行為であり、ひいては健全な取引秩序を乱すものである。 したがって、本件商標の登録は、公序良俗に違反する。 3 当審の判断 (1)本件商標について 本件商標は、別掲のとおり、水色の横長長方形中に白抜きで表された「Le risa」の文字と波線を配してなるものであるところ、当該文字は、需要者において、既成の語として看取、理解されるとはいい難いものである。 そうすると、上記「Le risa」の文字は、一種の造語として認識されるものであるから、本件商標は、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について ア 申立人は、自らが本件商標を使用しているとして、商品タグ(甲2)を提出している。 また、申立人は、平成28年4月以降、百貨店において、本件商標を用いた商品(被服)の販売を行っていたとして、商品タグ(甲10)、FAX文書等(甲12、甲14?甲28)を提出している。 さらに、申立人は、平成28年9月頃に、「婦人服、チュニック&カーディガンのお店 レリーサ/Le risa」において被服の販売を行っているとして、チラシ(甲6)を提出している。 加えて、申立人は、平成28年10月に、「Le risa」という名称(甲第8号証の「業務委託契約書」上の名称は「Lerisa」)の店舗を「さがみ野ショッピングプラザ 相鉄ライフ」に出店し、本件商標を使用して被服の販売を行っているとして、業務委託契約書(甲8)を提出している。 そこで、申立人の提出に係る上記各甲号証を見るに、甲第2号証の商品タグの表面には、本件商標と実質的に同一といえる標章が表示され、その裏面には、申立人の社名が表示されているものの、当該商品タグがいつから、どこで、どのような商品に付して使用されていたかは明らかでない。 また、甲第10号証は、百貨店名を表す標章を記すとともに、「レリーサ」の文字又は「レリーサ S」の文字が記された値札であるが、当該値札が、そこに記された標章に係る百貨店において、いつ、どのような商品に付して使用されていたかは明らかでなく、かつ、その値札の使用の際に本件商標が使用されていたかも明らかでない。そして、甲第12号証、甲第14号証ないし甲第28号証によれば、2016年10月から2017年3月までの間、百貨店でのバーゲンセール又は催事において、申立人が被服の販売のために出店したことはうかがえるものの、同店において、本件商標が使用されていたかは明らかでない。 さらに、甲第6号証のチラシには、さいたま市北区宮原町所在の「レリーサ/Le risa」という名称の店舗において、婦人服のバーゲンセールを行う旨の記載があるが、そのセールが行われた具体的な時期は明らかでない上、申立人との関係も明らかでない。 加えて、甲第8号証の業務委託契約書によれば、申立人は、平成28年10月25日に、小田急デパートサービス株式会社との間で、神奈川県海老名市所在の「さがみ野ショッピングプラザ『相鉄ライフ』」の2階(一部)において、店名を「Lerisa」として、婦人衣料品の販売を目的とする業務を行う旨の契約を締結したことが認められるが、その契約締結後に出店した同店において、本件商標が使用されていたかは明らかでない。 イ 申立人は、本件商標を用いた商品の製造を発注したとして、「マツザキあて文書」(甲11)及び「(有)ヒラノあて文書」(甲13)を提出しているが、各文書の内容からは、「マツザキ」及び「(有)ヒラノ」の各者がいかなる者か明らかでない上、ストール、手袋又はくつ下について、指定した数量を指定した場所へ送付するよう依頼する内容にとどまるものであって、それらの商品について本件商標が使用されていたかは明らかでない。 ウ 上記ア及びイによれば、本件商標は、その登録出願時(平成29年1月28日)及び登録査定時(同年6月23日)において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認められない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標は、上記(2)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたとは認められないものであり、また、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、外国における需要者の間に広く認識されていたと認め得る証拠も見いだせない。 そして、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本件商標権者が、申立人の使用に係る商標の名声と信用にフリーライドする意図など、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的事実を見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人は、(a)本件商標は申立人が考案したものであること、(b)本件商標の使用に係る商品(婦人服)は、クレアールが販売をしていた時期(平成28年1月頃まで)においても、申立人が企画及び生産したものであったこと、(c)申立人は、平成28年3月に本件商標権者及びクレアールから本件商標を譲り受け、本件商標の使用に係る商品(婦人服)の企画、製作及び販売を行うようになったことを主張し、証拠を提出している。 しかしながら、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、上記(a)ないし(c)の主張を認めるに足る事実は、何ら見いだせない。 また、別掲のとおりの構成からなる本件商標は、上記(1)のとおり、特定の観念を生じないものであって、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく、その構成自体がそのようなものではなくとも、それを本件商標の指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものともいえない。 さらに、本件商標は、他の法律によって、その商標の使用等が禁止されているものではないし、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものでもない。 加えて、申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足る具体的事実も見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第19号及び同項第7号のいずれにも違反してされたものではないから、その登録は、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
(別掲) 本件商標(登録第5966323号商標) (色彩については、原本参照のこと。) |
異議決定日 | 2018-01-10 |
出願番号 | 商願2017-14107(T2017-14107) |
審決分類 |
T
1
651・
25-
Y
(W35)
T 1 651・ 222- Y (W35) T 1 651・ 22- Y (W35) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 堀内 真一 |
特許庁審判長 |
大森 健司 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 松浦 裕紀子 |
登録日 | 2017-07-28 |
登録番号 | 商標登録第5966323号(T5966323) |
権利者 | 有限会社ブレインズ |
商標の称呼 | レリサ、レリーサ、リサ、リーサ |
代理人 | 佐藤 徳典 |