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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W32
審判 全部申立て  登録を維持 W32
審判 全部申立て  登録を維持 W32
管理番号 1336370 
異議申立番号 異議2017-900256 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-08-10 
確定日 2018-01-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5954613号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5954613号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5954613号商標(以下「本件商標」という。)は、「ドクターウォーター」の片仮名を書してなり、平成25年2月22日に登録出願、第32類「飲料水,その他の清涼飲料」を指定商品として、同29年4月17日に登録審決、同年6月16日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する登録第5042733号商標(以下「引用商標」という。)は、「Doctor’s Water」の欧文字と「ドクターズウォーター」の片仮名を上下二段に書してなり、平成18年7月21日に登録出願、第32類「飲料水,その他の清涼飲料」を指定商品として、同19年4月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証を提出した。
(1)称呼について
本件商標は、「ドクターウォーター」の片仮名を書してなるものであるから、「ドクターウォーター」の称呼を生じる。
他方、引用商標は、上段に英文字「Doctor’s Water」を、下段に「ドクターズウォーター」の片仮名を書してなるものであるところ、下段の片仮名部分は、上段の欧文字の読みを表したものと看取されるものであるから、「ドクターズウォーター」の称呼を生じるものである。
そして、両称呼を比較すると、本件商標の称呼は全体で8音、引用商標の称呼は全体で9音といずれも冗長である中、両者の相違点は、中間の「ズ」の音1音の有無のみであり、残りの「ドクター」と「ウォーター」の8音全てが共通する。
上記共通する「ドクター」と「ウォーター」は、いずれも我が国の国民にとっては親しみのある英単語「Doctor(医者)」と「Water(水)」を称呼したものである。
そして、いずれの語も外来語として、具体的には、「ドクター」は「医者」の意味する語として、「ウォーター」は「水」を意味する語として、そのまま日常的に使用されるものであり、普段耳にする語であるため、これらの称呼は観念と共に極めて聴者の印象に残りやすい。
一方、差異音「ズ」の音は、摩擦音であるため強く発音されるものではなく、他の音に比して弱い。加えて、上記のとおり、両者の音構成は冗長な上、当該差異音「ズ」は称呼識別上印象の薄い中間に位置することから、当該音の有無は聴者の耳に残り難い。
よって、本件商標と引用商標の称呼は、一連に称呼するときは、全体の語調・語感が相近似し、聴き誤る恐れがあることは明らかである。
また、両称呼は、本件商標が「ドクター」と「ウォーター」、引用商標が「ドクターズ」と「ウォーター」と、いずれも2音節の組み合わせよりなる。
しかも、各2音節の共通する部分の称呼は、「ドクター」と「ウォーター」のそれぞれであり、上記のとおり、いずれの上記音節の称呼も、日本語として馴染まれた周知の称呼である。
したがって、引用商標の第1音節「ドクターズ」の「ズ」の有無は、周知称呼の「ドクター」に埋没してしまい、その存在価値はほとんど顧慮されない。
すなわち、称呼を聞く需要者にとっては、耳に強調される重要な音は「ドクター」であり、「ウォーター」であるから、第1音節中に「ズ」があろうとなかろうと、第1音節については「ドクター」の音を把握し、「ドクター」の称呼だけが耳に強く残る。
換言すれば、「ドクター」と「ウォーター」の音が耳に強調されて響き、印象に残り、自他商品の称呼としての比較対象となる。
これに対し、本件商標の「ドクター」と「ウォーター」の2音節は、引用商標「ドクターズ」と「ウォーター」の2音節と全く重なる。
すなわち、互いに重複する強い印象的な称呼は「ドクター」であり、「ウォーター」であるということができる。
よって、本件商標と引用商標の称呼は、聴者の記憶に残る称呼が共通し、聴き誤る恐れがあることは明らかである。
(2)観念について
「一億人の英文法」(大西泰斗\ポール・マクベイ著 発行所:株式会社ナガセ)第242頁によれば、英文法上、名詞が名詞を修飾する用法があり、これは広く一般的に用いられる修飾方法である(甲15)。これは、いわゆる、「名詞の形容詞的用法」であって(メール・マガジン『英語の文法と語法』第224号 名詞の形容詞的用法(http://www5d.biglobe.ne.jp/~chick/egu/ )。甲16)、前の名詞は後ろの名詞を限定修飾する。
よって、名詞の形容詞的用法では、「〇〇の△△」といった観念が生じる。
また、我が国においては、英単語2個をつないだ言葉は、いわゆる、和製英語(本来、ネイティブの英語表現では使用しないが、日本人にわかりやすく創作した日本語的英語)としても日常的に用いられている。当該英単語2個をつないだ和製英語は、所有格的に使用されて「○○の△△」というような「の」を間に介在して生じる観念以外に、多種多様の観念を有する。
そして、これらの観念を考慮すると、本件商標の「ドクターウォーター」からは、単に「ドクターの水」の観念に限らず、「医者の有する水」、「医者が飲む水」、「医者が使用する水」、「医者が推薦する水」、「医者が選んだ水」、「医者が売る水」のような観念も生じる。
これに対して、引用商標の「ドクターズウォーター」は、2音節の「ドクターズ」と「ウォーター」の組み合わせよりなり、上記した本件商標の2音節の観念に一致する。
けだし、英単語を2個直列的に並べた表記と、第1音節に「ズ」を付加して2個直列的に並べた表示とは、「ドクター」と「ウォーター」の一定観念を有した二単語を直列的に並べた形態は同一であり、ただ、引用商標には「ズ」があるために、英語表記の「’s」から「?の」と訳されるにすぎず、「ドクター」と「ウォーター」が連なった和製英語の点では全く符合するからである。
以上より、本件商標と、引用商標とは、「’S」、「ズ」の有無によって、その観念が全く異なることにはならず、両商標の使用形態からは、上記のような「医者の水」や「医者の(が)・・・する水」の統一した観念が派生するといわねばならず、称呼と共に観念上も両商標は明らかに類似する。
(3)外観について
本件商標と引用商標とは、上記1及び2のとおりの構成であり、両者の外観には、二段書きと一段書き及び欧文字部分「Doctor’s Water」の有無という差異がある。
しかしながら、片仮名部分を比較すると、本件商標は9文字、引用商標は10文字と文字数の多い中で、両者の相違点は看者の目にとどまりにくい中間に位置する「ズ」の有無のみであり、明らかに相紛らわしいものである。
さらに、引用商標の片仮名部分「ドクターズウォーター」は上段の欧文字「Doctor’s Water」の読みを表したものである。
したがって、欧文字部分と片仮名部分から生じる称呼はいずれも共通の「ドクターズウォーター」である。
また、観念についても共通の「医者の水」や「医者の(が)・・・する水」が生じる。
すなわち、引用商標の欧文字部分と片仮名部分から生じる称呼及び観念は共通する。
このような場合、欧文字部分と片仮名部分の別は曖昧となり、引用商標を目にした需要者は、より親しみのある片仮名部分だけを外観として記憶する可能性がある。そうとすると、時と場所を異にした場合、需要者が、片仮名部分「ドクターズウォーター」を思い浮かべて商品を選択することは十分にあり得る。
本件商標と引用商標の片仮名部分とは、いずれも一般的な方法で書された片仮名からなるものであり、相違点は中間に位置する「ズ」の一文字の有無のみである。
そして、上記のとおり、全体で本件商標が9文字、引用商標が10文字と文字数の多い中で、中間に位置する「ズ」の1文字の相違が外観に与える影響は極めて小さい。
よって、本件商標と引用商標とは、外観上、需要者等に出所の混同を生じさせ得る相紛らわしいものである。
(4)指定商品について
本件商標と引用商標の指定商品は、いずれも第32類「飲料水,その他の清涼飲料」であるから、両者の指定商品は、同一又は類似のものである。
(5)小括
本件商標と引用商標とは、上記のとおり、称呼及び外観が類似し、観念を共通にする。したがって、需要者に与える印象が相紛らわしく、需要者が記憶に頼って時と場所を異にして商品を購入する際、商品の出所の混同を生じさせるおそれがある類似の商標である。
(6)むすび
本件商標と引用商標とは、上記のとおり、称呼及び外観が類似し、観念を共通にする類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。
したがって、本件商標の登録は商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、「ドクターウォーター」の片仮名を書してなるところ、構成各文字は、同じ書体、同じ大きさをもって等間隔に表され、全体としてまとまりよく表されているものである。
また、本件商標の構成文字に相応して生じる「ドクターウォーター」の称呼は、格別冗長というべきものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
さらに、本件商標の構成中の「ドクター」の文字が「医者」の意味を、「ウォーター」の文字が「水」の意味を有する語であるから、「医者の水」、「医者が飲む水」、「医者が使用する水」、「医者が推薦する水」、「医者が選んだ水」などの漠然とした意味合いを生じるとしても、本件商標のかかる構成において、特定の意味合いを表したものと直ちに認識されるものとはいい難く、構成全体をもって一体不可分の造語として理解、認識されるものというのが相当である。
そうすると、本件商標は、「ドクターウォーター」の称呼のみを生じるというのが相当であり、また、特定の観念を生じるものではない。
イ 引用商標について
引用商標は、「Doctor’s Water」の欧文字と「ドクターズウォーター」の片仮名を上下二段に書してなるところ、「ドクターズウォーター」の片仮名は、上段の「Doctor’s Water」の欧文字の読みを表したものと認められるから、「ドクターズウォーター」の称呼を生じるものである。
そして、「ドクターズウォーター」の称呼は、格別冗長というべきものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
さらに、引用商標の構成中の「Doctor’s」及び「ドクターズ」の文字が「医者の」の意味を、「Water」及び「ウォーター」の文字が「水」の意味を有する語であるから、「医者の水」ほどの漠然とした意味合いを生じるとしても、引用商標のかかる構成において、特定の意味合いを表したものと直ちに認識されるものとはいい難く、構成全体をもって一体不可分の造語として理解、認識されるものというのが相当である。
そうすると、引用商標は、「ドクターズウォーター」の称呼のみを生じるというのが相当であり、また、特定の観念を生じるものではない。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標は、上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、外観において、引用商標の片仮名部分も商標の要部として看取し得るものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、「ドクター」及び「ウォーター」の文字を共通にし、中間に位置する「ズ」の文字は、時と所を異にして離隔的に観察した場合には、両商標の基本的構成における主要な構成要素の共通性の中に埋没する微差にすぎないものであるから、両商標は、構成の軌を一にするものとして、外観上、近似した印象を与えるものである。
しかしながら、本件商標から生じる「ドクターウォーター」の称呼と引用商標から生じる「ドクターズウォーター」の称呼とは、中間に位置する「ズ」の音の有無の差異を有するところ、該差異音は、たとえ、中間に位置するとしても、我が国の一般的な取引者・需要者は、片仮名を一音一音明瞭に発音することが多く、「ズ」の音も明瞭に発音し、聴取されるものであるから、この差異音が両称呼に与える影響は決して小さいものではなく、それぞれを一連に称呼した場合には、語調語感が異なるものとなり、十分に聴別し得るものであり、相紛れるおそれのないものである。
さらに、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観上、近似した印象を与えるとしても、通常の注意力をもってすれば区別し得るものといえ、かつ、称呼において相紛れるおそれのないものである。そして、観念上、比較することはできないものであるから、それらを総合して考察すると、両者は非類似の商標というのが相当である。
(2)申立人の主張について
ア 申立人は、称呼上の相違点を中間音「ズ」の有無のみとする商標に関する審決例(甲6?甲14)の判断手法が用いられるべきであり、そうすると、(ア)引用商標の「ズ」は他の音に比して弱く、また、(イ)称呼識別上印象の薄い中間に位置するため、聴者に対して強い印象を残す「ドクター」と「ウォーター」の称呼に埋没し、称呼上印象に残らない。よって、本件商標と引用商標とは、これまでの審決例に倣い、聴き誤るおそれがあるものと判断されてしかるべきである旨主張する。
しかしながら、本件商標と引用商標との類否については、上記(1)ウのとおり、非類似の商標というのが相当であり、また、本件商標の登録の可否は、当該商標の構成態様と指定商品に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の審決例の存在によって、本件商標も必ず登録されなければならないということにはならない。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
イ 申立人は、本件商標は名詞の形容詞的用法からなる英単語や和製英語として「医者の水」、「医者の(が)・・・する水」の統一した観念が派生する旨主張する。
しかしながら、本件商標は、その構成全体として名詞の形容詞的用法からなる英単語や和製英語として、我が国において親しまれた既成の語であるとはいえないため、「医者の水」、「医者が飲む水」、「医者が使用する水」、「医者が推薦する水」、「医者が選んだ水」などの様々な意味合いを暗示させるものであり、特定の意味合いを表したものと直ちに認識させるとはいい難いものである。
したがって、請求人の主張は、採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-12-28 
出願番号 商願2013-15939(T2013-15939) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W32)
T 1 651・ 261- Y (W32)
T 1 651・ 263- Y (W32)
最終処分 維持 
前審関与審査官 福田 洋子 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 尾茂 康雄
原田 信彦
登録日 2017-06-16 
登録番号 商標登録第5954613号(T5954613) 
権利者 株式会社センカ
商標の称呼 ドクターウオーター、ドクター 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 市川 泰央 
代理人 山野 有希子 
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