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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09
管理番号 1336296 
審判番号 取消2016-300436 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-06-22 
確定日 2017-12-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第1842132号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1842132号商標(以下「本件商標」という。)は、「ハート」の片仮名を横書きしてなり、昭和56年8月11日に登録出願、第23類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として同61年2月28日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、また、平成18年4月12日に指定商品を第9類「眼鏡,眼鏡の部品及び付属品」とする指定商品の書換登録がされているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成28年7月5日である。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
2 被請求人答弁に対する弁駁
(1)医療機器製造販売承認に関する疑義
被請求人が本件商標を使用していたと主張している商品は、「コンタクトレンズ」(以下「本件商品」という。)であるが、本件商品についての高度管理医療機器の製造販売承認がされたのは2007年2月2日であり、その有効期限は2012年2月2日までであり、それ以降、本件商標を付した本件商品の製造販売は許可されていない。
(2)製造委託に関する疑義
被請求人は、本件商標を付した本件商品が製造委託されていたと主張しているが、その主張は以下の点で極めて不自然である。
ア 製造委託であれば通常の取引において当然締結されるべき契約書、又は、発注伝票が提出されていない。
イ 納品書及び請求書に記載されている製品の数を合計しても、14個しか納入されたことが確認できない。
ウ 生産終了後1年以上も経過した後に13個と1個を逐次納入させているが、製造委託であれば、製造後速やかに一括して納入することが「下請代金支払遅延等防止法」の規定からも求められているはずである。
エ 乙第5号証ないし乙第9号証の売上伝票に「メーカー・アイミー」と記載されているが、製造委託であれば、自社製品としての取り扱いであり、メーカーとして被請求人を記載するはずである。
オ 製造委託であれば、医療機器製造販売の承認は、販売者である被請求人が自ら行うべきである。
上記から判断すれば、製造委託の事実は認定できず、本件商標は、商標権者である被請求人からすれば第三者である「アイミー株式会社」(以下、単に「アイミー」という。)が自らの商品に使用していたにすぎない商標であったと考えられる。
(3)納品書(乙10)及び請求書(乙9)について
これらの日付は、平成25年4月19日及び同月30日となっており、審判請求日が平成28年6月22日であることから、審判請求の登録日よりも3年以上前の事実に関する書類であり、本件商標の取消を免れるための証拠とはなり得ない。
(4)小売店舗での販売に関する疑義
小売店舗での消費者への販売に関する証拠である乙第5号証ないし乙第8号証は、7個分の販売に関するものにすぎず、この種の商品の販売数量及び販売金額としては極めて少なく限定的であり、商標権者による本件商標を付した商品の販売であったとしても、業務上の信用が蓄積することは無く、商標登録に基づく商標の独占的使用の保護に値する使用実態があったとはいえない。
さらに、4年以上前に生産され、3年以上前に少数(14個)が納入されたにすぎない商品が、小売店舗で売れ残り、その商品が3年以内に少量(7個)が売れたとしても、本件審判の請求の登録日前3年以内(以下「要証期間内」という。)における本件商標の実質的な使用と評価できるものではない。
(5)需要者・取引者に対する本件商標の使用実態に関する疑義
本件商標を付した商品を需要者・取引者に対して表示していることを示す証拠が提出されていない。
すなわち、被読求人が提出した証拠(乙3、乙4)は、審判請求日後に撮影された商品(サンプル)が保管されている様子を示しているにすぎず、それらは需用者が目にする店舗において撮影されたものではない。
また、「ハート」の文字が認められる商品は、2個しか撮影されていない。
さらに、請求人が被請求人の商品を取り扱っているとしている店舗に問い合わせたところ、「ハート」のコンタクトレンズについて販売する意思が確認できず、その商品又は商品カタログの存在を確認することもできなかった。
以上から、被請求人の「ハートのコンタクトレンズ」は、店舗にて販売されているものとは認められない。
(6)ウェブサイトにおける使用状況
「アイメガネ」のウェブサイトにおいても本件商標をコンタクトレンズに使用していることは発見できなかった(甲1)。需用者・取引者は、近年の商品購入や商取引において、インターネットによって各種商品に関する情報を簡単かつ迅速に入手することが一般化しており、自己の登録商標を付した商品に関する情報をインターネットにて需用者・取引者に提供していないということは、指定商品について本件商標の使用をしていないということを裏付けるものである。
(7)通常使用権者による使用に関する疑義
仮に、アイミーが通常使用権者であることが証明されたとしても、提出された証拠から認められる本件商標の使用は、被請求人の内部関係者における商品管理のための書類に記載されていたにすぎず、外部の需用者・取引者に対して被請求人又は通常使用権者の商品を識別するための商標として使用されていたとすることはできない。
2 口頭審理陳述要領書及び上申書における主張要旨
(1)乙第3号証ないし乙第5号証について
被請求人は、2016年7月27日現在の在庫と主張するが、乙第4号証の1で撮影されている商品を見ると、「EXP./16.02」、「EXP./17.02」、「EXP./17.06」、「EXP./16.08」という表記があり、「EXP.」とは、「expired:終了、満了」のことであり、レンズの使用期限を表しているが、「EXP./16.02」は使用期限を超えている。
乙第17号証(取扱説明書)の2頁には、「●使用期限 ラベルに記載。 表示された使用期眼を過ぎたものは使用を開始しないでください。」とある。
被請求人が乙第3号証及び乙第4号証を、販売のために在庫していると主張するならば、高度管理医療機器の販売としては極めて杜撰な管理であるといえる。
よって、被請求人において「ハートO2EXスーパー」のコンタクトレンズを要証期間内に真摯に販売しようとしていたとすることは信じるに値しないといわざるを得ない。
仮に、3年間で99個の「ハートO2EXスーパー」のコンタクトレンズの販売がされたとしても、その数量は、この種の商品の販売数量としては極めて少なく、本件商標の本件商品についての使用は実質的なものではなく、本件商標について保護されるべき業務上の信用が蓄積されているとは認められない。
特に2016年については、乙第29号証の売上伝票1枚しか無く、2015年についても、売上伝票が5枚あるだけであり、本件商標の使用継続意思を伴う実質的な販売実績があったとはいえない。
さらに、需要者に対する登録商標の使用という観点からしても、99枚のコンタクトレンズの購入者は、3年間で多くても延べ50名程度にすぎないと考えられ、乙第78号証の記載内容から判断しても、需要者において登録商標がその指定商品について認識されていたとすることはできない。
また、2013年4月18日及び19日に2045個仕入れたにもかかわらず、乙第4号証に写されている商品の使用期限に1年以上の違いがあるのは不自然であり、かつ、商品容器の中央部以下が写されていないため、乙第4号証の写真には他の商標を付した商品が含まれている疑いがある。
乙第5号証の2には、「破損のため上記レンズ最後の1枚のため、次回破損交換度数交換の場合はサプリームで対応と説明済」との記載がある。乙第21号証の2にも同趣旨の記載がある。さらに、甲第2号証に示すとおり、「ハートO2EXスーパー」の容器外観と「アイミーサプリーム」の容器外観は酷似している。そして、乙第16号証には「ハートO2EXスーパー」と「アイミーサプリーム」に関連して「レンズ統合のため、左右レンズ名が違う場合がございますが、材質・品質・規格等は全く同じです。」との記載があることからも、乙第4号証には「アイミーサプリーム」が多数含まれている可能性を否定できない。
(2)乙第12号証(OEM商品の取引に関する覚書)について
(取引条件)第2条の1.年間最低取引量5000枚 2.納入単価3000円/1枚(即納品、特注品)とあるが、1個当たり800円とされている乙第14号証及び乙第15号証の記載と合致しない。よって、その成立及び有効性について疑義がある。
(3)乙第12号証ないし乙第15号証、乙第17号証及び乙第18号証について
これらは、要証期間内において本件商標が需要者に対して使用されたことを証明できるものではない。
(4)乙第16号証(価格表)について
右下部分に「2016年7月A」の記載があり、この書類は、要証期間内に作成されたものではなく、要証期間内に使用されたものであるとは認められない。
「HARD SET」の表の1行目には、標章「ハートO2EXスーパー」を上段、下段で一字下げ「アイミーサプリーム」が略同じ大きさの文字で表記され、上段と下段の間に¥26,780と表記されている。
右上に「アイメガネ」の表記があるが、標章「ハートO2EXスーパー アイミーサプリーム」は、他のナショナルブランドと同様に表記されている。
さらに、「ハートO2EXスーパー アイミーサプリーム」が記載されている行の末尾には「レンズ統合のため、左右レンズ名が違う場合がございますが、材質・品質・規格等は全く同じです。」との記載がある。
よって、当該2つの商品表示と商品との関係が不明瞭であるばかりか、両商品の出所についても不明瞭であり、「ハートO2EXスーパー」に被請求人の業務上の信用が蓄積することを妨げるものであると考えられる。
また、この価格表が実際に需要者に対して配布、掲示、提示などされたことについての証拠は無い。
(5)乙第17号証について
この取扱説明書には、被請求人が表記されておらず、被請求人から需要者に渡されていたものであることを立証できるものではない。単なる内部資料である可能性を否定できない。
また、この取扱説明書の作成日は2006年3月31日であり、2010年12月1日に改訂されているが、要証期間内に使用されたものであるとするには古すぎるものである。
(6)乙第5号証ないし乙第10号証、乙第12号証、乙第14号証、乙第15号証及び乙第17号証について
本件商標ではなく、標章「ハートO2EXスーパー」が表記されているにすぎないところ、「ハートO2EXスーパー」の文字は、一連に記載されて一体化しており、全体として一つの識別力を有するものであり、本件商標「ハート」とは異なる別個の商標としてのみ需要者に認識されるものであると考えられる。
よって、かかる「ハートO2EXスーパー」の記載は、本件商標と類似する商標の使用ではあり得ても、本件商標の使用に該当し得るものではなく、被請求人による本件商標の使用に関する立証において、「O2EXスーパー」が付記的なものであるにすぎないという根拠も何ら示されていない。
乙第60号証の2には、「ハート」の文字を伴うことなく「O2EXスーパー」としてコンタクトレンズを特定しており、かかる状況からも、「O2EXスーパー」自体が独立して識別力を有する部分であることが窺われる。
(7)乙第18号証及び乙第19号証について
これらの証拠は、「ハート」の本件商品について製造販売が承認されていたことを証するものではあっても、それによって「ハート」の本件商品が販売されていたことを証するものではない。
また、被請求人は、製造販売有効期間内(2014年1月10日まで)(乙18)に仕入れた本件商品を販売したとのことであるが、製造元にて許可された有効期間を超えて当該製品を販売し続けるということについては、仮に合法的であったとしても、企業イメージを損なうことに繋がるばかりか、企業倫理上も好ましいものではなく、被請求人においても既に本件商標の使用継続の意思を喪失していたと考えられる。
上記の製造販売有効期間が更新されていないことは、請求人の主張を裏付けるものである。
よって、被請求人においては、既に本件商標について権利放棄したと同視できる状態となっており、本件商標を需要者に明示することも避けられていたものと解するのが相当である。
(8)乙第20号証ないし乙第77号証について
これらの書類は、被請求人の内部資料であり、需要者に対する本件商標の使用を証する書面ではない。
(9)乙第78号証について
証明者が明らかではなく、証拠として採用できるものではない。さらに、かかる書面は形式的なものであり、また、1通のみであり、かつ、単に本件商品を購入したことに関する証明によっては、需要者が本件商標を被請求人の商品について使用されている商標であると認識していたことを証することはできない。
(10)被請求人が提出した上申書(第二回)の(8)において「・・・使用期限の超過した本件商品は通常毎年3月に業者に廃棄委託している。」とあるが、乙第4号証の1(撮影日:2016年7月27日)には、EXP16/02が存在しており、被請求人の主張には合理的な疑いがある。
また、被請求人は、「使用期限内の本件商品であればその期限が近くとも顧客への提供には何らの問題がない。」とするが、被請求人による当該主張が常識的ではないことは、甲第3号証における「販売業者が販売する医療機器の有効期限の取扱いについては、特に薬事法上の規定はありませんので、使用期限の何日前まで販売できるかの制限はありませんが、使用期限が直前に迫った製品を販売することは常識的ではありません。」の記載からも明らかである。
(11)被請求人が提出した上申書(第三回)において、被請求人は、(2)「・・・乙第83号証は、乙第46号証の2の売上伝票の原本である。乙第46号証の2には乙第82号証の証明者の住所の記載がないが、・・・」とあるが、高度医療機器の販売に当たっては、購入者の氏名及び住所を記録する必要がある(薬事法施行規則第173条)。
他の乙号証においても、住所が記載されていないものが多く存在しており、これらは合法的に作成されたものではない(乙第21?23の2、乙25、31、33、34、36、38、40、42、44の2など)。
上記については、甲第3号証における「Q:CLを販売する際、購入者が住所・氏名の記載を拒否した場合、個人情報保護法と薬事法とではどちらが優先されますか? A:CLの販売にあたっては、薬事法施行規則第173条により、譲渡に関する記録を作成・保存しなければなりません。これをせずに販売した場合は薬事法違反になります。」の記載からも明らかである。
(12)上申書(第三回)において、被請求人は、「本件商品には本件商標と実質的に同一となる商標が使用されている。」とあるが、これは根拠の無い主張である。
被請求人がその商品に付していたと主張している「ハートO2EXスーパー」の商標から生じる自然称呼は「ハートゼロツウイイエックススーパー」又は「ハートオウツウイイエックススーパー」であり、それらは全体として「ハート」とは社会通念上も著しく異なる。
「O2」、「EX」、「スーパー」については、それぞれ個別に判断した場合には、コンタクトレンズの機能、性能を表す記述的表示として一般化しているものであると認められるとしても、「O2EXスーパー」の構成については単なる記述的表示を越えた顕著性を有する構成要素と判断されるべきものである。
よって、かかる「ハートO2EXスーパー」の表示は、本件商標と類似する商標の使用ではあり得ても、本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当し得るものではない。
(13)以上からも明らかなとおり、要証期間内において被請求人によって本件商標がその指定商品に使用されたことは何れの乙号証によっても証明されていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第85号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用者
乙第1号証の「アイグループ店舗網」には被請求人の記載があり、乙第2号証「アイグループ店舗一覧表(1)」は、乙第1号証記載の眼鏡事業の店舗の詳細を示しているものであって、乙第3号証(収納容器の写真)には、販売元として被請求人の記載がある。
2 使用に係る商品
乙第2号証記載の店舗のうち、与野イオン店、京成百貨店メガネサロン以外の店舗において、本件商品の販売がなされている。乙第3号証には、高度管理医療機器承認番号が記載されている。
上記本件商品は、被請求人よりアイミーに製造委託され(実際の製造は旭化成アイミー株式会社(以下、「旭化成アイミー」という。))、被請求人に納品され(乙9、乙10)、被請求人会社1階の物流倉庫に保管されたものである。乙第4号証は前記物流倉庫の写真である。
旭化成アイミーに対する医療機器製造販売承認書(乙11)には、乙第3号証記載の高度管理医療機器承認番号と、承認対象が「再使用可能な視力補正用色付コンタクトレンズ」であることが記載されている。
POSシステムにおける顧客情報の購入商品情報表示画面(乙5の1、乙6の1、乙7の1、乙8の1)には、「コンタクトR、コンタクトL」と記載されている。
3 使用に係る商標
乙第3号証の1には、本件商標が記載され、乙第5号証ないし乙第8号証及び乙第11号証には、「ハートO2EXスーパー」と記載されている。
4 使用時期
販売店の売上伝票である乙第5号証には、「売上日」及び「受付日」として「2015/09/20」の記載が、乙第6号証には「2015/10/18」の記載が、乙第7号証には、「2016/04/17」の記載が、乙第8号証には、「2016/07/03」等の記載がある。
5 以上のとおり、被請求人により指定商品中「コンタクトレンズ」について使用していることが明らかである。
6 口頭審理陳述要領書及び上申書における主張の要旨
(1)本件商標の使用者について
ア 被請求人、アイミー及び旭化成アイミーの関係
被請求人は、平成14年12月24日、旭化成アイミーとの間で、商品名を「ハートO2EXスーパー」とする本件商品に関するOEM契約を締結した(乙12)。
旭化成アイミーは、平成22年11月30日、本件商品に関する業務につきアイミーに事業譲渡を行った。この事業譲渡に関し、前記OEM契約もアイミーが引き継いだ(乙13)。
イ 被請求人が、アイミーあるいは旭化成アイミーに対し、本件商標について使用許諾を行っている事実
前記アのOEM契約において、被請求人は旭化成アイミーに対し、本件商品の商品名を「ハートO2EXスーパー」とすることを義務づけている(乙12)。
前記事業譲渡に関し、前記OEM契約もアイミーに引き継がれており(乙13)、被請求人はアイミーに対し、本件商品の商品名を「ハートO2EXスーパー」とすることを義務づけている。
ウ 高度管理医療機器である本件商品における「発売元」の立場
被請求人が、アイミーに問い合わせたところ、製造販売元はコンタクトレンズのパッケージへの必須記載事項であるが、「発売元」及び「販売元」は任意記載事項であるとの回答を受けた(乙19)。すなわち、販売元には、公的認証は不要である。
(2)乙第3号証について
乙第3号証は、在庫の本件商品を撮影したものである。その撮影日は要証期間後であるが、本件商品は要証期間内に存在している。
(3)乙第5号証ないし乙第8号証、乙第14号証、乙第15号証及び乙第20号証ないし乙第78号証について
本件商品は、2013年4月18日及び19日に、2045個仕入れられ(乙14、乙15)、要証期間内に、99個販売された(乙5?乙8、乙20?乙77)。
乙第78号証は、乙第46号証に記載の本件商品の購入者に、本件商品の写真を添付した証明願を依頼し、要証期間内の平成25年10月31日の本件商品の購入事実を証してもらった証明書である。
(4)乙第9号証及び乙第10号証について
乙第9号証及び乙第10号証は要証期間前のものであるが、本件商品は前記(3)で述べたように、要証期間前に2045個仕入れられ、要証期間内に99個販売され、現在も被請求人が在庫を保管するものである。
(5)医療機器製造販売承認書の有効期限について
被請求人が、アイミーに問い合わせたところ、医療機器製造販売承認書については、有効期限はなく、更新の必要はないとの回答を受けた(乙19)。
第一種医療機器製造販売業の事業については5年の更新があり、旭化成アイミーは本件商品の仕入れがなされた時点(2013年4月18日及び19日)において、その許可を受けていた(乙18)。
(6)乙第16号証について
被請求人は、店舗での本件商品の販売に際し、顧客に価格表(乙16)を提示している。当該書証には「ハートO2EXスーパー」の記載がある。
(7)乙第17号証について
被請求人は、本件商品の購入者に対し、取扱説明書(乙17)を交付している。当該書証には「ハートO2EXスーパー」の記載がある。
(8)本件商品の販売の経緯について
本件商品は、被請求人の自社ブランド商品として企画された「ハードコンタクトレンズ」であり、被請求人が所有する本件商標を選択したものである。
本件商品が最後に仕入れられたのは、2013年4月18日及び19日であり、アイミーにある在庫を一括で引き取った2045個であって、それ以降の本件商品の仕入れはない。
しかし、ハードコンタクトレンズの需要、また、既購入者へのアフターサービスの関係もあり、顧客の要求があれば使用期限内の本件商品を提供する態勢は維持している。
こうした経緯から、本件商品の同等品である「アイミーサプリーム」を、その旨明記の上でプライスリスト(乙16)に本件商品と並べて記載したものである。
被請求人会社倉庫内には、使用期限の異なる、また、度数とカーブが異なる、在庫の本件商品が存在しているが、使用期限の超過した本件商品は通常毎年3月に業者に廃棄委託し顧客に提供されることはない。また、使用期限は顧客への販売可能な期限であるから、その期限が近くとも顧客への提供には何らの問題がない。顧客に適合した本件商品がなければ、前記「アイミーサプリーム」を発注し、顧客に提供する態勢となっている。
(9)乙第80号証は、乙第35号証に記載の本件商品の購入者に、本件商品の写真を添付した証明願を依頼し、要証期間内の平成25年11月24日の本件商品の購入事実を証明してもらった証明書である。
(10)乙第12号証の第2条で定める本件商品の納入単価と、乙第10号証、乙第14号証及び乙第15号証記載の本件商品の納入単価とが、一致していないことについての釈明
近年はソフトコンタクトレンズに需要が移りハードコンタクトレンズの需要が相対的に低下してきていたため、被請求人は、乙第12号証の第2条の取引条件を満たせなくなったため、2013年4月18日にアイミーとの間の契約(乙12)は解除された(乙81)。
この解除にあたり、乙第12号証の第3条に基づき、アイミーにある本件商品の在庫を一括引き取りすること、その納入単価を800円/1枚とすることが合意され(乙81)、2013年4月18日及び19日にアイミーにある本件商品の在庫を一括引き取りしたものである(乙10、乙14、乙15)。
(11)本件商標の使用についての補足主張
要証期間内の購入者の証明書の原本と、購入伝票の原本を提出する。
乙第82号証は、乙第46号証に記載の本件商品の購入者に、本件商品の写真を添付した証明願を依頼し、要証期間内の平成25年10月31日の本件商品の購入事実を証してもらった証明書(乙78の原本)であり、乙第83号証は、乙第46号証の2の売上伝票の原本である。乙第46号証の2には乙第82号証の証明者の住所の記載がないが、同証明者は被請求人会社の商品の購入履歴が他にあったため証明書作成の依頼が実現できたものである。
乙第84号証は、乙第35号証に記載の本件商品の購入者に、本件商品の写真を添付した証明願を依頼し、要証期間内の平成25年11月24日の本件商品の購入事実を証してもらった証明書(乙80の原本)であり、乙第85号証は、乙第35号証の2の売上伝票の原本である。
前記証明書添付の写真は、乙第3号証の1と同じものである。本件商品の容器には「ハートO2EXスーパー」の表示がされているが、「ハート」の文字は赤色に着色されて区別されており、「O2」、「EX」及び「スーパー」の文字は、コンタクトレンズの機能、性能を表す記述的表示として一般化しているものであり、本件商品には本件商標と実質的に同一となる商標が使用されている。
7 むすび
以上のとおり、本件商標は、要証期間内に日本国内において、商標権者である被請求人により、指定商品中「コンタクトレンズ」について使用していることが明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び提出の証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第2号証は、商標権者の眼鏡事業部における「店舗一覧表」であるところ、「店舗名」として「アイメガネ」の名称を使用している。
(2)乙第3号証は、2016年(平成28年)7月27日に被請求人により撮影された円柱形の本件商品の容器を撮影した写真である。
そして、その容器の胴体部に、薄い緑の帯状の背景内に、ややデザイン化された赤い文字で「ハート」の片仮名と、これに続けて白抜きで「O2EXスーパー」(数字「2」は他の文字の半分の高さで小さく表示されている。以下同じ。)の文字がゴシック体で記載されており(以下「使用標章」という。)、その下に「発売名」として「ハートO2EXスーパー」、「発売元」として商標権者の名称「アイジャパン株式会社」、「製造販売元」として「アイミー株式会社」及び「高度管理医療機器承認番号」として「20400BZZ00342A04」の表示がある。
また、蓋の部分には、当該本件商品の使用開始期限として「2017年12月」を表示したとされる「EXP」及び「’17/12」の記載が確認できる。
(3)乙第4号証の1は、乙第3号証と同様のコンタクトレンズの容器であって、商標権者の倉庫に保管されているものを撮影した写真とされるところ、その蓋の部分に記載された使用開始期限「2016年8月」を表す「’16/08」や「2016年2月」を表す「’16/02」と表示されているものが含まれている。
(4)乙第11号証は、平成19年2月2日付けで厚生労働大臣が承認した「医療機器製造販売承認書」であるところ、「承認番号」を「20400BZZ00342A04」とし、「氏名又は名称」欄に「旭化成アイミー株式会社」の記載がある。
また、2頁目として平成18年11月13日付けで旭化成アイミーが申請した「医療機器製造販売承認申請書」が添付されており、「類別」の項に「視力補正用レンズ」、「名称」の項に「一般的名称」として「再使用可能な視力補正用色付コンタクトレンズ」、「販売名」として「ハートO2EXスーパー」の記載がある。
(5)乙第12号証は、甲を商標権者、乙を「旭化成アイミー株式会社」として、平成14年12月24日に締結された「OEM商品の取引に関する覚書」であるところ、(本製品)第1条として「承認番号20400BZZ00342000のコンタクトレンズであって、甲の指定する商標を付したもの(商品名:ハートO2EXスーパー)をいう。」の記載、(取引条件)第2条として「乙が甲に売り渡す本製品の年間最低取引量および納入単価は次のとおりとする。」、「年間最低取引量 5,000枚」及び「納入単価 3,000円/1枚(即納品、特注品)」の記載、(契約解除)第3条として「2.甲の責に帰すべき事由に基づき、覚書の解除を行う場合、乙が抱える出荷前の本製品在庫は甲が買い受けるものとする。ただし、甲が買い受ける方法、枚数等は別途双方で協議するものとする。」との記載がある。
(6)乙第13号証は、譲渡人を「旭化成アイミー株式会社」、譲受人を「アイミー株式会社」とする「事業譲渡に伴う契約上の地位の移転等の承諾依頼書兼承諾書」であって、「1.対象契約」の項目中に、上記(5)覚書と認められる「(5)OEM商品の取引に関する覚書(平成14年12月24日)」の記載があり、平成22年11月30日付けで、当該承認依頼書兼承諾書に商標権者が同意しているものである。
(7)乙第10号証、乙第14号証及び乙第15号証は、2013年4月18日付け(乙14)及び同月19日付け(乙10、乙15)のアイミーから商標権者への納品書であるところ、各項に「ハートO2EXスーパー」、単価として「800」と記載されており、これらの納品書の数量を合計すると、2045個となる。
なお、乙第81号証(アイミーの営業部長による証明書)によれば、これ以降、アイミーから商標権者への納品は無く、それまで作成された商品を単価800円で一括して納品されたものである。
(8)乙第16号証は、コンタクトレンズの価格表であるところ、上部右に商標権者の店舗名(乙2)である「アイメガネ」の文字が大きく記載されている。また、「HARD SET」の項に「ハートO2EXスーパー」及び「アイミーサプリーム」の文字が2段に表され、その右に「セット価格」として「¥26,780」、右欄外の四角い枠内に「レンズ統合のため、左右レンズ名が違う場合がございますが、材質・品質・規格は全く同じです。」の記載があることから、同じ規格の商品に「ハートO2EXスーパー」及び「アイミーサプリーム」のそれぞれの商品名が付された商品を販売するものであり、右下に、「2016年7月A」の記載があることから、 本価格表のは、2016年7月に作成されたものと認められる
2 前記1で認定した事実によれば、以下のとおりである。
(1)商標権者は、旭化成アイミーと使用標章を付した本件商品の製造委託の契約を結んでいたが、その契約は、旭化成アイミーの事業を承継したアイミーに引き継がれた。
(2)アイミーは、OEM契約の解除により、要証期間の3か月前である2013年4月18日及び同月19日に、それまでにアイミーで製造され保管されていた2045個の使用標章を付した本件商品の納品を一括して買い受けた。
なお、本件商品である「コンタクトレンズ」は、本件商標の指定商品「眼鏡」に含まれる商品である。
(3)アイミーから納品されたコンタクトレンズに付された使用標章は、「ハートO2EXスーパー」の文字からなるところ、商品の容器に表示された使用標章は、「ハート」の文字部分だけが赤い字で、かつデザイン化されており、これに続く「O2EXスーパー」の文字が普通の書体をもって表されているものであって、視覚上分離して看取され得るものである。
また、「ハート」及び「O2EXスーパー」の文字は、その構成全体をもって、親しまれた既成の観念を表してなるものとみるべき特段の事情も見当たらないことから、「ハート」及び「O2EXスーパー」からなる各文字部分全体を常に一体のものとして認識されるということはできず、「ハート」の文字部分も独立して看取、把握されるものであって、自他商品の識別標識としての機能を有しているものということができる。
そして、使用標章中の「ハート」の文字部分と本件商標とは、多少のデザインの相違はあるものの、構成文字を同じくし、これより生ずる称呼及び観念を同じくすることから、社会通念上同一の商標と認められる。
(4)商標権者は、アイミーから納品され、少なくとも要証期間を使用期間内とする使用標章を付した本件商品が商標権者の手元に存在しており(乙3)、本件商品の製造中止に伴う他の商品(アイミーサプリーム)への切替えを進めつつも、2016年7月作成の価格表においても「ハートO2EXスーパー」を表示して本件商品の販売を行っていたものと認められる。
3 以上からすれば、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品に含まれるコンタクトレンズを販売するために、本件商標と社会通念上同一の商標を付した本件商品を、厚生労働大臣による「承認番号」を「20400BZZ00342A04」として「医療機器製造販売承認書」を受けた旭化成アイミーに、OEM契約に基づいて製造させ、納品させたとみることができ、この行為は、商標法第2条第3項第1号にいう「商品又は商品の包装に標章を付する行為」に該当するものと認めることができる。
4 むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る商品について、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-05-09 
結審通知日 2017-05-12 
審決日 2017-06-06 
出願番号 商願昭56-67838 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y09)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 今田 三男
小松 里美
登録日 1986-02-28 
登録番号 商標登録第1842132号(T1842132) 
商標の称呼 ハート 
代理人 中村 信彦 
代理人 武川 隆宣 
代理人 桑原 稔 
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