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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W19
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W19
管理番号 1336235 
審判番号 不服2017-6168 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-28 
確定日 2017-12-11 
事件の表示 商願2016-9191拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「那智石」の文字を標準文字で表してなり、第19類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成28年1月28日に登録出願されたものである。
そして、その指定商品については、原審における平成28年8月23日付け手続補正書により、第19類「玉石、黒玉石、石材、鉱さい石、人造石材、石製彫刻」と補正されたものである。

2 原査定における拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『那智石』を標準文字で現してなるものであるところ、該語は、『和歌山県那智地方や三重県熊野市神川町で産する黒色緻密なケイ質粘板岩の石(材)』を意味するものであり、本願の指定商品を取り扱う業界においても、該意味を表す語として普通に使用されている事実がある。してみれば、本願商標は、これを本願の指定商品中、本願商標の文字に照応する商品について使用しても、本願商標に接する取引者・需要者に前記商品であることを認識させるにとどまるものであり、自他商品を区別するための識別標識としての機能を有さないものであって、単に商品の品質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章からなるにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「那智石」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして、「那智石」の文字は、「世界第百科事典第2版」において、「なちいし【那智石】」の見出し語の下、「和歌山と三重の県境部の和歌山県那智地方や三重県熊野市神川町に産する黒色緻密なケイ質粘板岩の石材名。那智黒ともいう。三重県南牟婁群尾浜町七里御浜で採集される薄い楕円系の砂利は、河川によって運搬され海岸の波浪によって磨かれたもので、純黒色で光沢があり、敷砂利の最良質のものとして全国に有名である。内陸産の塊状のものは庭石にも用いられ、熊野市で黒碁石や硯にも加工される。かつては試金石として使用された。」(https://kotobank.jp/word/%E9%82%A3%E6%99%BA%E7%9F%B3-1191771)との記載があり、また「なちぐろ【那智黒】」の見出し語の下、「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店発行)において、「(和歌山県那智地方に産出したからいう)黒色の特に硬質な粘板岩。試金石・碁石・硯石に用い、浜の小石は庭の敷砂利とした。那智石。書言字考節用集『試金石、ツケイシ・ナチグロ』」との記載があり、「大辞林第三版」(株式会社三省堂発行)においては、「なちぐろ【那智黒】」の見出し語の下、「(1)三重県熊野市神川町から産出する黒色で緻密、堅硬なケイ質粘板岩。庭石・碁石・硯石などに用いる。(2)三重県御浜町の海岸で採取される薄い円礫。最良質の敷砂利として有名。那智石。」との記載がある。以上のとおり、辞書、事典において、「那智石」の語は、「那智黒」ともいわれているものであり、概ね「和歌山県那智地方や三重県熊野市神川町に産する黒色緻密なケイ質粘板岩、又は、三重県南牟婁群尾浜町七里御浜で採取される石材。」を意味するものとして載録されている。
そして、「那智石」といわれる石材は、辞書等に記載されている黒碁石、硯に使用されているほか、別掲に示すとおり彫刻材、石焼き芋用石、敷石等に一般に使用されている実情も認められる。
してみれば、本願の指定商品における取引者、需要者は、本願商標から「三重県熊野市神川町から産出する黒色緻密なケイ質粘板岩よりなる黒石、又は三重県御浜町の海岸で採取される黒色緻密なケイ質粘板岩よりなる黒石」の意味合いを容易に認識できるものである。
そうすると、「那智石」の文字よりなる本願商標は、これをその指定商品に使用した場合は、これに接する取引者、需要者に「三重県熊野市神川町から産出する黒色緻密なケイ質粘板岩よりなる黒玉石、又は三重県御浜町の海岸で採取される黒色緻密なケイ質粘板岩よりなる黒玉石」であることを表すものと理解、認識させるにとどまり、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、その指定商品中、「三重県熊野市神川町から産出する黒色緻密なケイ質粘板岩よりなる黒玉石、又は三重県御浜町の海岸で採取される黒色緻密なケイ質粘板岩よりなる黒玉石」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
請求人は、審判請求書及び当審において行った平成29年8月24日付け証拠調べ通知に対する同年9月21日付け意見書において、現在、「那智石」と銘打って販売されているもののほとんどが、中国産やフィリピン産の石であって、三重県南牟婁群尾浜町七里御浜海岸等で採石される本来の那智石を商品名「那智石」として販売されている事例はほとんどなく、本願の指定商品を取り扱う業界において、いまや「那智石」とは、その名の由来、古来からの用途等から、需用者にとって、「高級な石」を指すものの代名詞として使用されているのがその実態であり、「那智石」の文字が石の商品名であることを直接指し示す記載ではなく、「那智石」は、石の商品名という地位と切り離されて、「高級な石」を連想する、ある種のブランドとしての地位を確立しているべきものであることから「那智石」には自他商品識別力が備わっている旨主張する。
しかしながら、上記(2)のとおり、本願商標「那智石」が、その指定商品及びそれを取り扱う業界における取引の実情を踏まえれば、取引者、需要者に石材の一種類としての「三重県熊野市神川町から産出する黒色緻密なケイ質粘板岩よりなる黒玉石、又は三重県御浜町の海岸で採取される黒色緻密なケイ質粘板岩よりなる黒玉石」を表すものとして理解、認識されているのが相当であり、また、仮に請求人のいうように、本来の那智石を商品名「那智石」として販売されている事例がほとんどないとしても、あるいは、「那智石」が「高級な石」を連想する場合があるとしても、出願人(請求人)と他者との関係において、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を生じていると認めることができる特段の事情は見いだせないから、請求人の上記主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(平成29年8月24日付け証拠調べ通知書で示した事実)
1 2016年3月19日付け毎日新聞(地方版/和歌山27頁)に、「石彫たまご:除幕 米在住の平野監督が制作 串本・JR和深駅 /和歌山」の見出しの下、「紀南地方を舞台にした自主製作映画・・・石彫たまごは、石の台座(縦、横各約60センチ、高さ約40センチ)の上に那智石を削った高さ約1・5メートルの『たまご』が設置されている。」との記載がある。
2 2011年12月1日付け日刊工業新聞(35頁)に、「兵庫の成長企業・ニューフロンティアを目指す(17)関西工事」の見出しの下、「関西工事は各種ステンレスの製缶から組み立て、・・・カーボンヒーターで那智石を加熱し、電熱マットで温める。・・・カーボンヒーターで本体内の那智石を加熱、カバー表面の温度を43度C程度とし、患部を温める。」との記載がある。
3 2010年9月28日付け毎日新聞(地方版/京都26頁)に、「石焼き芋焼酎:全国発売開始--宝酒造 /京都」の見出しの下、「宝酒造(本社・京都市下京区)は今月から、・・・石焼き芋に使われる南九州の金時芋を那智石で芯までじっくり焼き上げ、独特の甘い香りを再現。」との記載がある。
4 2010年1月29日付け読売新聞(西部朝刊27頁)に、「[待っちょるで!棋聖戦](下)自慢の碁盤と碁石再び(連載)=大分」の見出しの下、「碁石を打つたびに『パチッ』と澄んだ音が響き渡る。・・・碁石も自慢の品だ。白石は宮崎県日向市特産のハマグリ『スワブテ貝』でつくられた『日向本蛤(はまぐり)碁石』。表面は真っ白で、スワブテ貝独特の美しい流線模様が浮き出ている。黒石は上質な那智石だ。」との記載がある。
5 2008年11月26日読売新聞(東京朝刊33頁)に、「[リラックス]足湯カフェ&マッサージ変身物語 足ちゃぷ、体ぽかぽか=東京」との見出しの下、「◇北区西ヶ原4 西ヶ原銀座商店街の一角にある店舗に入ると、掘りごたつ風の足湯が目を引く。・・・足つぼを刺激するために浴槽の底に那智石を埋め込み、壁には吸湿や脱臭の効果があるケイ藻土を塗り込んだ。」との記載がある。
6 2007年7月6日付け読売新聞(大阪朝刊33頁)に、「差し押さえ品、県がネット公売 112万7401円、見積価格の31倍=奈良」の見出しの下、「◆高値落札 県は5日、インターネット公売で、出品した税滞納者からの差し押さえ品の屏風(びょうぶ)やつぼなど6点が計112万7401円で落札されたと発表した。・・・那智石を素材にしたとされる牛の置物、造幣局の金属製プレート。」との記載がある。
7 2006年11月29日付け朝日新聞(大阪地方版/和歌山29頁)に、「岩盤浴ベッドほっこり かなや明恵峡温泉、来月1日から運用/和歌山県」の見出しの下、「有田川町修理川、町営かなや明恵峡温泉(川嶋節雄支配人)は、カプセル式の岩盤浴ベッドを新たに導入し、12月1日から運用を始める。・・・ベッドには那智石が敷き詰められ、その下に遠赤外線を放射するセラミックスや発熱体がある。」との記載がある。
8 2003年4月25日付け読売新聞(中部朝刊26頁)に、「『鬼ヶ城』の観光遊歩道が開通 GWにどうぞ=三重」の見出しの下、「一昨年八月の台風による落石のため、・・・工事に合わせて地元特産の那智石を使った地名板や写真入り案内板なども設置した。」との記載がある。
9 2001年2月28日付け毎日新聞(地方版/兵庫25頁)に、「中央公園広場に市民健康歩道 豊岡こうのとりライオンズクラブが贈る/但馬」の見出しの下、「豊岡こうのとりライオンズクラブ(田中英美子会長)が豊岡市立野町の中央公園SL広場に、・・・健康歩道は長さ12メートル、幅2メートル。片側に竹、反対側には那智石の小石が敷き詰められている。」との記載がある。
10 1998年10月15日付け毎日新聞(地方版/兵庫23頁)に、「健康遊歩道がお目見え 素足でどうぞ--小野市/播磨・姫路」の見出しの下、「小野市王子町の市立保健センター中庭に、敷石で足の裏のつぼを刺激する健康遊歩道『長生きの小路』がお目見えした。健康遊歩道は1周26メートル。直径3?10センチ前後の那智石や自然石を敷き詰め、擬木を設けるなど五つのパターンが楽しめる。」との記載がある。


審理終結日 2017-10-12 
結審通知日 2017-10-17 
審決日 2017-10-30 
出願番号 商願2016-9191(T2016-9191) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W19)
T 1 8・ 272- Z (W19)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 網谷 麻里子
酒井 福造
商標の称呼 ナチイシ、ナチセキ 
代理人 大川 宏 
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