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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09
審判 一部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1335297 
異議申立番号 異議2016-900408 
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-12-26 
確定日 2017-12-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第5883826号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5883826号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5883826号商標(以下「本件商標」という。)は、「Misfit」の欧文字を標準文字により表してなり、平成27年12月13日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,理化学機械器具,電池,配電用または制御用の機械器具」を指定商品として、同28年7月5日に登録査定、同年9月23日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、その指定商品中、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具,測定機械器具」について、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当するものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により、その登録は取り消されるべきものであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標
申立人が、引用する商標(以下「引用商標」という。)は、「Misfit」の欧文字を横書きした構成からなり、申立人の略称及び申立人が製造販売する「通信機能を有する着用可能なデジタル電子装置及びアクティビティトラッカー並びにこれらの周辺機器・部品」(以下「使用商品」という。)の名称として使用しているとするものである。
2 具体的理由
(1)引用商標の著名性について
引用商標は、申立人の略称及び使用商品の名称として、2011年10月から今日に至るまで使用されている著名商標である。
Misfit Inc.は2011年10月14日に米国においてセンサーやホームオートメーションを活用したウェアラブル(wearable)技術に特化したベンチャー企業として誕生した。「Misfit」の名称はアップルコンピュータの広告から着想を得たものであり、スティーブジョブスに敬意を表して命名されたものである(甲3)。
「Misfit」の最初の製品である「shine」は2012年クラウドファンディングのIndiegogoのキャンペーンを通じて紹介されたが、わずか10時間で100,000米ドルの目標を達成し、2ヶ月あまりのキャンペーン中で846,675米ドルを調達した。さらに、2012年4月、「Misfit」はシリーズA段階で76,000,000米ドルを調達し、2013年には、2014年に発表される予定の製品の研究開発のためにシリーズB段階で152,000,000米ドルを確保した。シリーズB資金調達ラウンドは、香港最大の企業集団である長江実業グループ創設者兼会長である李嘉誠のHorizons Venturesが指揮を執り、Translink capitalとThe Caca Cola Company(以下「コカコーラ」という。)の他、多くの投資家がシリーズBラウンドに参加した(甲3)。
このような投資を得て、「Misfit」は2013年7月にその主力製品である「Shine」を発表した。「Shine」はウォーキング、ランニング、サイクリング、水泳などの活動量を測定し、また、睡眠時間や睡眠の深さをモニターすることができる陽極酸化処理された航空機級のアルミニウム製の着用可能なアクティビティトラッカーであり、デジタル電子装置である(甲3)。
「Shine」は2013年7月から2015年11月までの累計販売額は25,456,566米ドルである(甲4)。
2015年10月に「Shine 2」が上市されている(甲3)。2015年10月から2015年11月までの累計販売額は622,799米ドルである(甲4)。
「Shine」に続き、2014年9月には、カジュアル版である「Flash」の発売が開始された。2014年9月から2015年11月までの累計販売額は19,238,920米ドルである(甲4)。
2015年7月、スマートフォン用アプリ「LINK」の提供を開始する。「LINK」をインストールすることにより、「Shine」、「Flash」そして後日発売された「Ray」を利用して、音楽リモコン、カメラ自撮りボタン、プレゼンクリッカー、アクティビティトラッカー、ボルトスイッチ、カスタムボタンから機能を振り分けて使用することができる(甲3)。
2015年11月、「Misfit」はFossil Groupに260,000,000ドルで買収された。この後、アクセサリーのようなアクティビティトラッカーである「Ray」及び最初のヘッドホン製品である「Specter」ブルートゥースイヤホンをリリースした(甲3)。
「Misfit」はコカコーラ、Victoria’s Secret(以下「ヴィクトリアズシークレット」という。)、Swarovski(以下「スワロフスキー」という。)、Speedo(以下「スピード」という。)などの世界に名だたる著名企業と提携した製品も発表している(甲3)。
「Misfit」はコカコーラと提携し、コカコーラの北米における報酬プログラム用にアクティビティトラッカー「Coca-Cola Red Shine」を上市した。また、コカコーラの2013年のサマーキャンペーン「Get the Ball Rolling」もサポートし、さらに、2014年のソチオリンピックでは、コカコーラのホスピタリティプログラムのパートナーとなり、オリンピック選手、要人、聖火リレーに集ったファンに「Shine」を配った(甲3)。
女性用被服及び下着のメーカーであるヴィクトリアズシークレットがスポーツラインを上市した際、「Misfit」は同社と提携して、ヴィクトリアズシークレットの店舗に使用されていることで著名なピンク色の「Shine」をプロデュースした(甲3)。
2015年には、「Misfit」はスワロフスキーと提携して、「Swarovski Shine」コレクションを上市した。これは、スワロフスキーのクリスタルの宝飾品と「Misfit Shine」を組み合わせたものである。スワロフスキーモデルは2つあり、双方の企業によりデザインされた9つの追加アクセサリーが発売されている(甲3)。
「Misfit」は2015年8月にスピードと提携して、「Shine」のスピードモデルの発売を開始した(甲3)。2015年8月から同年11月までの累計販売額は638,915米ドルである(甲4)。
日本においても、2013年7月から「Shine」の発売が開始され、同年から2015年11月までの累計販売額は1,421,622米ドルに達している。2015年7月には「Flash」が、同年8月には「Shine」のスピードモデルの発売が開始され、2015年11月までの累計販売額は、それぞれ141,348米ドルと58,817米ドルであった(甲4、甲5)。
なお、「Misfit」はこのように多大な信用が化体した引用商標について米国商標登録85922112「MISFIT」(主登録)(第9類、第42類、第44類及び第45類)を取得している(甲6)。
以上より、本件商標の出願日である2015年12月13日において、引用商標が、米国及び日本において、ウェアラブル端末の商標として著名であったことは明らかである(甲3?甲6)。
(2)本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標は、称呼、外観、観念において同一又は類似することは明らかである。
(3)本件指定商品と引用商標の使用商品の類否
「Misfit」の販売する使用商品は単なる活動量計に止まらず、データの送受信機能を有するデジタル式電子装置としての側面を有するものであるため、異議申立にかかる本件商標の指定商品と同一又は類似することは明らかである。
(4)商標法第4条第1項第10号について
「Misfit」は、異議申立にかかる本件商標の指定商品と同一又は類似する、ウェアラブル端末を日本国内において販売している(甲5、甲7)。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第19号について
本件商標及び引用商標を構成する英単語である「Misfit」の学習レベルは「英検1級以上」「大学院以上の水準」であるとされている(甲8)。換言すれば、通常の日本人の英語力を持っては自在に繰ることが難しい程度の語であり、本件商標が、このような希有な引用商標と同一の標章を採択するのみならず、これを引用商標が使用されている商品と同一又は類似する商品について採択することは、全くの偶然になされるものではないと言わざるを得ない。すなわち、「Misfit」の引用商標の米国における著名性及び日本における実際の使用に注目した本件商標の所有者が、「Misfit」が近い将来日本においても相当程度著名になる可能性を視野に入れ、本件商標を出願したと考えざるを得ず、ここに不正の目的を見ることは明らかである。
よって、本件商標は、著名な引用商標と同一又は類似し、同一又は類似の商品に使用するものであって、不正の目的で使用するものであるため、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(6)むすび
以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号に該当し、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

第3 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人の提出に係る証拠及び主張によれば、以下のことが確認できる。
(1)Misfit Inc.(以下「ミスフィット社」という。)は、2011年10月14日に米国においてセンサーやホームオートメーションを活用したウェアラブル(wearable)技術に特化したベンチャー企業として誕生し、2015年11月にFossil Group(申立人)に買収されたこと(甲3)、(2)ミスフィット社は、2013年7月に主力製品である「Shine」を発表し、2013年7月から2015年11月までの累計販売額は25,456,566米ドルであったこと、(3)2015年10月に「Shine 2」が上市され、2015年10月から2015年11月までの累計販売額は622,799米ドルであったこと、(4)「Shine」に続き、2014年9月には、「Shine」のカジュアル版である「Flash」の発売が開始され、2014年9月から2015年11月までの累計販売額は19,238,920米ドルであったこと、(5)2015年8月にスピードと提携して、「Shine」のスピードモデルの発売を開始し、2015年8月から2015年11月までの累計販売額は638,915米ドルであったこと(甲4)。(6)我が国においては、2013年7月から「Shine」の発売が開始され、同年から2015年11月までの累計販売額は1,421,622米ドルであり、2015年7月には「Flash」が、同年8月には「Shine」のスピードモデルの発売が開始され、2015年11月までの累計販売額は、それぞれ141,348米ドルと58,817米ドルであったことが(甲4、甲5)、それぞれ確認される。
しかし、上記累計販売額の証拠として申立人が提出した「米国及び我が国におけるMisfitシリーズ製品販売額」(甲4)は、申立人が数字のみをリスト化したもので、そこに記載の数字を裏付ける具体的な証拠の提出はなく、また、同業他社の販売額等は立証されていないから金額の多寡について評価することはできない。
そして、使用商品を紹介したウェブサイト(甲3)は、いずれも欧文字のみで記載されたものであるから、我が国の需要者を対象としたものということはできないし、そこから我が国における取引の事情等を把握することはできない。
さらに、我が国の報道関係者あての2015年7月9日付けニュースリリース(甲5の1)には、「日本初上陸!・・・『MISFIT(ミスフィット)』(以下:ミスフィット社、所在地:米国サンフランシスコ、代表取締役社長兼 CEO:Sonny Vu)は、・・・活動量計『MISFIT FLASH(ミスフィット フラッシュ)』を2015年7月30日(木)より発売開始します。」旨の記載、同じく2015年10月7日付けのニュースリリース(甲5の2)には、「『MISFIT(ミスフィット)』(以下:ミスフィット社、所在地:米国サンフランシスコ、代表取締役社長兼 CEO:Sonny Vu)は、・・・活動量計『Speedo SHINE(スピードシャイン)』を発売します。・・・その他の販売店では2015年10月22日(木)より販売開始します。」旨の記載が認められるものの、これらの記事が広く一般に読まれ、認識されているものとは認められない。
上記の証拠以外に引用商標に係る宣伝広告の回数や期間、広告費など引用商標の使用の事実を量的に把握することができる証拠の提出はなされていない。
以上のことからは、申立人の子会社であるミスフィット社が本件商標の出願日以前より、我が国及び米国等において、アクティビティトラッカー(活動量計)等の商品について引用商標を使用していたことは認め得るとしても、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時に申立人あるいは子会社であるミスフィット社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国及び米国の需要者の間に広く認識されて著名になっていたとまでは認めることができない。
2 本件商標と引用商標との類否について
本件商標及び引用商標は、前記第1及び第2の1のとおり、共に「Misfit」の欧文字からなるものであるところ、その構成文字に相応して「ミスフィット」の称呼を生じるものであり、該語は我が国において一般に親しまれている語であるとまでは認め難いことから、特定の観念が想起されるとはいえないものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるとしても、その綴りを同じくするものであるから外観において同一といえ、かつ、その称呼も共通にする同一又は類似の商標というべきものである。
3 本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る商品との類否について
本件商標の指定商品は、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具,測定機械器具」を含むものであり、一方、引用商標の使用に係る使用商品は、「通信機能を有する着用可能なデジタル電子装置及びアクティビティトラッカー並びにこれらの周辺機器・部品」であるから、本件商標の指定商品と引用商標の使用に係る使用商品は、目的、用途、需要者等を共通にする同一又は類似の商品ということができる。
4 商標法第4条第1項第10号該当性について
商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」に該当する商標について、商標登録を受けることができないと規定しているところ、上記2のとおり、本件商標と引用商標が同一又は類似するとしても、上記1のとおり、引用商標は、我が国において本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたものと認めることはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標と引用商標とは、上記2のとおり、同一又は類似の商標であるとしても、上記1のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人あるいは子会社であるミスフィット社の業務に係る商品(使用商品)を表すものとして、我が国及び外国における需要者の間に広く認識されていたものと認められないものであるから、引用商標が需要者の間に広く認識されていた商標であることを前提に、本件商標は不正の目的をもって使用するものであるとする申立人の主張は、その前提を欠くものである。
また、商標権者が、不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的、その他の不正の目的を持って本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすこともできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-12-05 
出願番号 商願2015-122398(T2015-122398) 
審決分類 T 1 652・ 25- Y (W09)
T 1 652・ 222- Y (W09)
最終処分 維持 
前審関与審査官 池田 光治 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 大森 友子
田中 幸一
登録日 2016-09-23 
登録番号 商標登録第5883826号(T5883826) 
権利者 株式会社サイタステック
商標の称呼 ミスフィット 
代理人 きさらぎ国際特許業務法人 
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