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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X30
管理番号 1335273 
審判番号 取消2016-300575 
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-08-17 
確定日 2017-11-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第5607230号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5607230号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成22年5月6日に登録出願、第30類「すし」を指定商品として、同25年8月16日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成28年8月31日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同25年8月31日ないし同28年8月30日である(以下「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書、審判事件弁駁書及び口頭審理陳述要領書において、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第2号証ないし乙第4号証について
ア 乙第2号証
被請求人は、乙第2号証を被請求人のホームページの会社概要であると主張しているところ、そこには被請求人の社名や住所が記載され、事業内容には「寿司・ピザの宅配業」と記載されてはいるが、乙第2号証には本件商標は表示されていないから、乙第2号証をもって、被請求人が本件商標の使用者であるということはできないものである。
しかも、その売上高の欄には「2011年度実績」と、また、「従業員数」の欄には「2012年4月現在」と記載されているから、その掲載内容は、その当時(2011年?2012年頃)の内容とみるべきであって、要証期間内の内容を表したものではない。このため、事業内容の欄の「寿司・ピザの宅配業」の記載も、被請求人が要証期間内に寿司の宅配業を行っていたことを証明するものではない。
したがって、乙第2号証をもって、被請求人が本件商標の使用者であることが証明されたということはできない。
イ 乙第3号証及び乙第4号証
被請求人は、乙第3号証及び乙第4号証を被請求人のホームページであると主張しているが、そこには被請求人の社名や住所は記載されていない。また、本件商標も表示されていない。
しかも、乙第3号証及び乙第4号証のホームページは、乙第2号証のホームページとは、その構成が全く異なるものであり、これらが同一のホームページ内のものであるとは考えがたいから、乙第2号証に被請求人の社名や住所が表示されていても、それをもって、乙第3号証及び乙第4号証を被請求人のホームページということはできない。
さらに、乙第3号証及び乙第4号証には、「ミラノピザ」の欄や「フランチャイズ加盟店募集」の欄に、「寿司ざんまい」の文字などからなる標章が表示されているが、商品「すし」の出所を表示するものではない。
加えて、乙第3号証の2ページ目には「フランチャイズ加盟店募集」の記載があるところ、乙第3号証が仮に被請求人のホームページであったとしても、そこに掲載されている各店舗は、被請求人とはフランチャイズの契約上の関係である可能性が大きいといえるから、直ちに各店舗と被請求人を同一人ということはできない。そして、乙第3号証の各店舗が被請求人と同一であることを証する他の証拠の提出もない。
したがって、乙第3号証及び乙第4号証をもって、被請求人が本件商標の使用者であることが証明されたということはできない(なお、被請求人は、商標の使用者を使用権者であるとは主張しておらず、それを証する証拠方法の提出もない。)。
(2)乙第5号証について
ア 商標法に定める「使用」の証明について
被請求人は、乙第5号証をもって商標法第2条第3項第8号に定める「使用」をしていると主張するが、広告が同号の「使用」に該当するというためには、当該広告を展示又は頒布しなければならない。しかし、被請求人は、新聞の折り込み広告や各家庭のポストに配布して頒布したと主張するのみで、乙第5号証が実際に新聞の折り込み広告に入れられた事実や各家庭のポストに配布された事実を何ら証明していない。
したがって、乙第5号証をもって、商標法に定める「使用」をしていたということはできない。
イ 要証期間内の使用の証明について
被請求人は、乙第5号証の「※ご利用期間:2014年4月30日水まで」の表示をもって要証期間内における使用であると主張しているが、上記アで述べたとおり、商標法第2条第3項第8号に定める「使用」は広告を頒布又は展示する行為であるにもかかわらず、被請求人は、その行為があったこと自体を証明していないのであるから、当然に「使用」が要証期間内に行われたということはできない。また、代金の値引きのための「引換券」の有効期限は、広告を頒布又は展示する行為を行った時期を表すものでもない。
したがって、乙第5号証をもって、要証期間内に商標法に定める「使用」をしていたということはできない。
ウ 商標の使用者の証明について
被請求人は、乙第5号証を被請求人の広告用チラシと主張しているが、乙第5号証には、被請求人の社名や住所は表示されておらず、その記載内容から被請求人の広告用チラシであるということはできない。
しかも、上記(1)で述べたとおり、乙第2号証ないし乙第4号証をもってしても、商標の使用者が被請求人、すなわち、商標権者であることが証明されたということはできない。
また、乙第5号証には「五日市店」と記載されているが、「五日市店」は、乙第3号証の店舗一覧にも掲載されていない。
したがって、乙第5号証を被請求人の広告用チラシということはできないから、乙第5号証をもって被請求人による商標の使用が証明されたということはできない。
(3)乙第6号証について
ア 商標法に定める「使用」の証明について
被請求人は、乙第6号証をもって商標法第2条第3項第8号に定める「使用」をしていると主張するが、広告が同号の「使用」に該当するというためには、当該広告を展示又は頒布しなければならない。しかし、被請求人は、各家庭のポストに投函、配布して頒布したと主張するのみで、乙第6号証が実際に各家庭のポストに投函、配布された事実を何ら証明していない。
したがって、乙第6号証をもって、商標法に定める「使用」をしていたということはできない。
イ 要証期間内の使用の証明について
被請求人は、乙第6号証の1の「カタログ有効期限:2013年10月31日迄」の表示をもって要証期間内における使用であると主張しているが、商標法第2条第3項第8号に定める「使用」は広告を展示又は頒布する行為であるにもかかわらず、被請求人は、その行為があったこと自体を証明していないのであるから、当然に「使用」が要証期間内に行われたということはできない。また、カタログの有効期限は、広告を頒布又は展示する行為を行った時期を表すものでもない。
したがって、乙第6号証をもって、要証期間内に商標法に定める「使用」をしていたということはできない。
ウ 商標の使用者の証明について
被請求人は、乙第6号証を被請求人の広告用冊子と主張しているが、乙第6号証には、被請求人の社名や住所は表示されておらず、その記載内容から被請求人の広告用冊子であるということはできない。
しかも、上記(1)で述べたとおり、乙第2号証ないし乙第4号証をもってしても、商標の使用者が被請求人、すなわち、商標権者であることが証明されたということはできない。
したがって、乙第6号証を被請求人の広告用冊子ということはできないから、乙第6号証をもって被請求人による商標の使用が証明されたということはできない。
エ 本件商標と使用商標の同一性について
被請求人は、乙第6号証の1の上部に表示されている二段書きにされた「宅配専門」の文字、魚の図及び「寿司ざんまい」の文字からなる標章(以下「使用商標1」という。)、さらに、乙第6号証の2の右上部に表示されている魚の図及び「寿司ざんまい」の文字からなる標章(以下「使用商標2」という。)をもって、本件商標と社会通念上同一の商標であると主張している。
しかし、本件商標と使用商標1及び使用商標2とは、以下のとおり、社会通念上同一の商標ということはできない。
(ア)本件商標と使用商標1の同一性
本件商標と使用商標1を対比するに、本件商標では魚の図形が「すし」と書かれた前掛けをしており、その上部に「宅配専門」の文字が1行に横書きで表示されているが、使用商標1では「宅配専門」の文字が2行に横書きされ、しかも、魚の図形に重なるように表示され、魚の前掛けの部分が見えないように表示されている点で異なっている。
この点、被請求人は、各構成要素の特徴が共通であるから、両商標は社会通念上同一であると主張しているが、看者の視覚で認識できる範囲として、魚の図形の特徴の一つである前掛けの部分の有無が異なる点を始め、標章の構成が異なっているのであるから、本件商標と使用商標1とは、社会通念上同一ということはできない。
(イ)本件商標と使用商標2の同一性
本件商標と使用商標2を対比するに、本件商標では魚の図形の上部に「宅配専門」の文字が表示されているが、使用商標2では「宅配専門」の文字は表示されておらず、「宅配専門」の文字の有無が異なっている。
この点、被請求人は、「宅配専門」の文字は被請求人の業態を表しているにすぎないものであって、識別力がないものであるから、両商標は社会通念上同一であると主張している。
しかし、商標法第50条第1項は社会通念上の同一まで拡大されているとはいえ、登録商標と類似ではなく、同一であることを求めているのであるから、仮に識別力がない部分であるといっても、構成要素の一部を削除しての使用を認める趣旨ではない。そして、本件商標中の「宅配専門」の文字を削除して使用するならば、本件商標において看取し得た「専ら自宅に配達すること」程度の観念を使用商標2からは看取し得ないし、また、本件商標の構成文字全体から生じていた「タクハイセンモン?」の称呼も使用商標2からは生じないことになるから、本件商標と使用商標2とは、外観はもとより、その称呼及び観念も同一ということはできない。
したがって、本件商標と使用商標2とは、外観はもとより、称呼及び観念も異なるものであるから、社会通念上同一の商標ということはできない。
(4)乙第7号証及び乙第8号証について
被請求人は、乙第7号証及び乙第8号証は被請求人の従業員のジャンパーの写真であり、それら写真は2016年10月7日に撮影したものであるとして、これらは、本件商標の商標法第2条第3項第8号に係る使用をしていることを示す旨主張している。
しかし、乙第7号証及び乙第8号証について、被請求人は、そもそも、被請求人というだけで、具体的に誰が撮影したのか、さらに、どこの場所で撮影したのか明確にしていない。しかも、その写真は、不鮮明であって、小さな文字まで如何なる文字であるのかが明確に把握し得ない。
そして、乙第7号証及び乙第8号証については、その内容をみた場合にも、以下のアないしエのとおりであって、これら乙号証をもって、被請求人、すなわち、商標権者が要証期間内に本件商標を使用していたことが証明されたということはできない。
ア 商標法に定める「使用」の証明について
被請求人は、乙第7号証及び乙第8号証をもって商標法第2条第3項第8号に定める「使用」をしていると主張するが、広告が同号の「使用」に該当するというためには、当該広告を展示又は頒布しなければならないが、被請求人は、商標法第2条第3項第8号に該当すると主張するのみで、乙第7号証及び乙第8号証のジャンパーが実際に展示又は頒布された事実を何ら証明していない。
したがって、乙第7号証及び乙第8号証をもって、商標法に定める「使用」をしていたということはできない。
イ 請求に係る指定商品との具体的関係の証明
「商標の使用があるとするためには、当該商標が、必ずしも指定商品そのものに付せられて使用されていることは必要でないが、その商品との具体的関係において使用されていることを必要とするものと解するのが相当である。」(最高裁昭和42年(行ツ)第32号同43年2月9日第二小法廷判決・民集22巻2号159頁)。そして、「広告に付される標章が、広告中において商品との具体的関係において使用されていなければ、商品についての標章の使用があるとはいえない。」(東京高等裁判所平成11年(行ケ)第100号同12年9月21日)。
しかし、乙第7号証及び乙第8号証は、場所が不明な室内において男性がジャンパーを着用している写真であり、ジャンパーの胸部に魚の図などが表示されているが、商品との具体的関係を示すものは表示されていないし、その写真から他に具体的商品をうかがうことはできない。
したがって、乙第7号証及び乙第8号証に接した者は、それが商品「すし」についての広告であると認識するということはできないから、乙第7号証及び乙第8号証をもって、請求に係る指定商品「すし」について、商標法に定める「使用」をしているということはできない。
ウ 要証期間内の使用の証明について
被請求人は、乙第7号証及び乙第8号証の写真の撮影日を2016年10月7日と主張しているところ、その撮影日は、要証期間内ではない。また、上記アで述べたとおり、商標法第2条第3項第8号に定める「使用」は広告を展示又は頒布する行為であるところ、被請求人は。その行為があったこと自体を証明していないから、当然に「使用」が要証期間内に行われたということはできない。
したがって、乙第7号証及び乙第8号証をもって、要証期間内に商標法に定める「使用」をしていたということはできない。
エ 商標の使用者の証明について
被請求人は、乙第7号証及び乙第8号証を被請求人の従業員のジャンパーの写真と主張しているが、乙第7号証及び乙第8号証には、被請求人の社名や住所は表示されておらず、その記載内容から被請求人の使用に係るものであるということはできない。
しかも、上記(1)で述べたとおり、乙第2号証ないし乙第4号証をもってしても、商標の使用者が被請求人、すなわち、商標権者であることが証明されたということはできない。
したがって、乙第7号証及び乙第8号証が被請求人に係るものであることが証明されたということはできないから、乙第7号証及び乙第8号証をもって被請求人による商標の使用が証明されたということはできない。
(5)まとめ
以上のとおりであるから、乙各号証のいずれをもってしても、商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものではなく、同項で定める登録商標の使用を証明したということはできないから、本件商標の商標登録は取り消されるべきである。
3 口頭審理陳述要領書(平成29年4月19日付け)
(1)乙第5号証について
被請求人は、乙第5号証については、同号証に記載の「五日市店」が閉店しているとして、その他に何ら主張、証明するところはない。
そして、乙第5号証をもって、被請求人による本件商標の使用が証明されたということができないことは、請求人が審判事件弁駁書で述べたとおりである。
(2)乙第6号証について
被請求人は、被請求人が経営する寿司の宅配専門店のホームページであるとして、乙第9号証及び乙第10号証を提出しているが、そもそも、乙第9号証及び乙第10号証のホームページが要証期間内に表示されていたことが証明されているわけではない。
また、被請求人は、古賀店の飲食店営業許可証であるとして乙第11号証を提出しているが、営業許可証の許可有効期間は、許可の期限を表しているにすぎず、その有効期間内に古賀店が実際に本件審判請求に係る指定商品の業務を行っていることを証明するものとはならない。このことは、当該期限が平成29年6月30日と記載されており、実際に営業しているか否かが分からないはずの本件の被請求人側の口頭審理陳述要領書の提出後の期日が記載されていることからも明らかである。
加えて、本件審判請求は、第30類「すし」に係るものであるが、同許可証は「飲食店営業」に係るものであるから、第30類「すし」に係る業務を行っていたことを証明するものともならない。
そして、営業を行っていたことと本件商標の使用をしていたことは別の行為であるから、乙第9号証ないし乙第11号証をもって、乙第6号証の配布期間が証明されたということはできない。
(3)乙第7号証及び乙第8号証について
被請求人は、乙第7号証及び乙第8号証のジャンパーについて、購入履歴画面であるとして乙第12号証を提出している。
しかし、テレビコマーシャルに被請求人代表者が当該ジャンパーを着用して登場していると主張する以外に、これが、本件審判請求に係る指定商品の取引者、需要者が目にするような方法で「展示」されたことは証明されていない。そもそも、被請求人が宅配寿司の専門店ということであるならば、職人が取引者、需要者の前で寿司を握るということはあり得ないと考えられ、従業員が事務室内で着用していただけでは「すし」の広告にもならないのであって、当該ジャンパーが本件審判請求に係る指定商品「すし」の広告として展示されているとは考え難いといわざるを得ないのであるから、商標法上の「使用」に該当するということはできない。
したがって、テレビコマーシャル以外に、このジャンパーをもって、本件商標の使用をしているということはできない。
(4)被請求人のテレビコマーシャルについて
被請求人は、テレビコマーシャルの画面として乙第14号証ないし乙第20号証を提出している。
しかし、被請求人は、それらテレビコマーシャルの放映時期を証明するものとして、乙第21号証ないし乙第27号証を提出しているが、乙第14号証ないし乙第20号証のテレビコマーシャルが乙第21号証ないし乙第27号証に記載されているテレビコマーシャルと同一であることは何ら証明されていない。
したがって、乙第14号証ないし乙第20号証のテレビコマーシャルをもって、本件商標を要証期間内に使用をしていることが立証されたということはできない。
(5)行橋店の広告用冊子について
被請求人は、行橋店の広告用冊子、同店の飲食店営業許可証、印刷会社の伝票及び運送会社の伝票を乙第28号証ないし乙第32号証として提出している。
そして、乙第28号証の行橋店の広告用冊子とされる冊子には、その右側に、丸い輪郭内に2段に横書きで「宅配専門」の文字、その下に縦書きで「寿司ざんまい」の文字及び前掛けをした鯛と思しき魚の図を配した標章(以下「使用商標4」という。:別掲2)が表示されている。
しかし、本件商標と使用商標4とは、「宅配専門」の文字を囲む輪郭の形状や、全体の文字及び図形の配置関係が異なるものであり、社会通念上同一とはいえないものである。
そして、乙第29号証の飲食店営業許可証についても、飲食店営業許可証が本件商標の使用の証明にならないことは乙第11号証の場合と同様である。
また、乙第30号証ないし乙第32号証の伝票も、乙第28号証の有効期限の数か月前に「寿司リーフレット」が印刷、行橋店に送付されたことを表すにとどまり、乙第28号証が印刷、送付されたことまでを証明するものではない。
したがって、乙第28号証ないし乙第32号証をもって、本件商標を要証期間内に使用をしていることが立証されたということはできない。
(6)被請求人の広告用冊子のポスティングについて
被請求人は、被請求人が使用する広告用冊子は全直営店に共通であるとし、乙第33号証及び乙第34号証を提出し、本件商標と社会通念上同一の商標が付された広告用冊子(乙6及び乙28)が要証期間内に指定商品に使用していたことが証明されたと主張している。
しかし、乙第33号証及び乙第34号証によってポスティングされたものがいかなるものであるのかは、何ら証明されていない。
例えば、乙第6号証は、古賀店のものであるが、古賀店の名称は乙第33号証のいずれにも記載されていない。
また、乙第28号証の行橋店については、乙第33号証の株式会社アド.ライクの請求書には記載されているが、乙第28号証は、乙第30号証によれば「1,157,900部」印刷されていると主張しているところ、乙第33号証の株式会社アド.ライクの請求書の部数は「5,000枚」と記載されており、その部数があまりにも異なるし、「冊子」であるのに「枚」としていることにも違和感を禁じ得ない。しかも、乙第33号証の株式会社アド.ライクの請求書の日付は平成28年5月30日とされているところ、乙第28号証を配布したとする平成27年2月の時期ともあまりにも違いすぎる。これらを踏まえると、乙第33号証の株式会社アド.ライクの請求書に係るポスティングは、乙第28号証に係る広告用冊子であるということはできない。
加えて、そもそも、被請求人が使用する広告用冊子が全直営店に共通であるというのは、被請求人が主張するのみで、全直営店に共通であることは何ら証明されていないし、乙第3号証の店舗のうち、いずれの店舗が直営店で、いずれの店舗がフランチャイズ店であるのかさえ証明されていない。
したがって、乙第33号証及び乙第34号証をもって、乙第6号証及び乙第28号証の広告用冊子が要証期間内に頒布されたことが証明されたということはできないから、本件商標を要証期間内に使用したことが証明されたということはできない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を答弁書、口頭審理陳述要領書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第34号証(枝番号含む。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人について
被請求人は、平成8年12月に設立された福岡県北九州市八幡西区に本社を置く法人であり、その事業内容は、寿司・ピザの宅配業や、出張回転寿司業や、全国の特産物の通販業など多岐に渡る(乙2)。
(2)被請求人が行う寿司の宅配業について
被請求人は寿司の製造販売を行っており、当該事業を行うための店舗として福岡県を中心に28店舗展開している(乙3)。当該寿司の販売事業は宅配専門で行っており、需要者が被請求人の商品「すし」を購入するまでの流れは次のとおりである(乙4)。
ア 需要者は、被請求人の広告用チラシやホームページで注文したい商品「すし」を選択し、最寄りの店舗へ電話をして、若しくは注文用のウエブサイトを利用して注文を行う。
イ 被請求人は、注文を受けた商品「すし」を、注文主の指定する場所へ配達する。
(3)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおりであり、大きく分けて4つの構成要素からなる。具体的には、一文字ずつ四角で囲まれた漢字4文字「宅配専門」(以下「構成要素1」という。)と、魚のキャラクターとして図案化された鯛の絵(以下「構成要素2」という。)と、漢字2文字「寿司」(以下「構成要素3」という。)と、平仮名4文字「ざんまい」(以下「構成要素4」という。)である。
そして、本件商標において構成要素1「宅配専門」は同じ角度で左側に傾斜している。また、構成要素2「鯛の図」は頭部を左向きにして配置するとともに、胴部の中途部から下方へ屈曲させて尾部を下方に配置するという魚の立姿風に図案化されており、頭部には白色のねじり鉢巻きをし、胴部には平仮名「すし」と書かれた白色の前掛けをしている。また、構成要素3「寿司」及び構成要素4「ざんまい」は、独特の書き文字風書体で金色に赤色の縁取りで書されており、構成要素3「寿司」は構成要素4「ざんまい」の1文字程度の大きさである。
また、本件商標に係る指定商品は第30類「すし」である。
(4)被請求人の使用商標について
ア 乙第5号証について
乙第5号証は、被請求人の寿司の製造販売業に係る広告用チラシである。被請求人は、当該広告用チラシを読売新聞や、朝日新聞や、西日本新聞や、日経新聞の折り込み広告として、又は各家庭のポストに投函するなどして広く需要者に頒布している。
乙第5号証には被請求人が販売する商品「すし」が多数掲載されており、乙第5号証が商品「すし」の販売の広告に用いられていたことは明らかである。
そして、乙第5号証の左下には、本件商標が表示されている。
以上より、被請求人が本件商標を商品「すし」に関する広告に付して頒布していたことは明らかである。
よって、被請求人は本件商標を指定商品「すし」について使用している(商標法第2条第3項第8号)。
また、乙第5号証の右端中央には「※ご利用期間:2014年4月30日水まで」の表示があり、当該広告用チラシがある時点から要証期間内の2014年4月30日まで継続して使用されていたことがわかる。
さらに、乙第5号証は日本語で作成されており、国内で使用されたことは明らかである。
以上より、被請求人が、日本国内において、要証期間内に本件商標を指定商品「すし」について使用(商標法第2条第3項第8号)していたことは明らかである。
イ 乙第6号証について
乙第6号証は、被請求人の寿司の製造販売業に係る広告用冊子である。被請求人は定期的にこのような冊子を作成し、各家庭のポストに投函するなどして広く需要者に頒布している。
乙第6号証には被請求人が販売する商品「すし」が多数掲載されており、乙第6号証が商品「すし」の販売の広告に用いられていたことは明らかである。
そして、乙第6号証の表紙上部には使用商標1が表示されている。
以上より、被請求人が使用商標1を商品「すし」に関する広告に付して頒布していたことは明らかである。
よって、被請求人は使用商標1を指定商品「すし」について使用している(商標法第2条第3項第8号)。
そして、使用商標1は、本件商標と同様に、構成要素1ないし構成要素4からなるものである。
ここで、本件商標と使用商標1の各構成要素を比較すると、まず、構成要素1「宅配専門」については、本件商標では白地に赤文字であって横一列に配されているのに対し、使用商標1では白地に黒文字であって、かつ、「宅配」と「専門」が二段併記されている点で相違する。しかしながら、当該相違は商標の本質的部分に変更を加えるものではなく、また、いずれの構成要素1も一文字ずつ四角で囲まれており、かつ、4文字とも同じ角度で左側に傾斜しているといった特徴的部分は共通している。
次に、構成要素2「鯛の図」については、使用商標1の方が頭がやや起き上がってはいるものの、いずれも同視し得る図である。即ち、左向きの赤色の鯛のキャラクター図であり、いずれもねじり鉢巻きと前掛けをしている。
また、構成要素3「寿司」及び構成要素4「ざんまい」については、同じ色彩とすればと同一となるものである。
最後に、使用商標1の構成要素1「宅配専門」は構成要素2「鯛の図」に重なっており、本件商標とは配置が異なる。
しかしながら、上述のとおり、本件商標と使用商標1とでは各構成要素に係る特徴的な部分が共通するため、看者に与える識別性に変わりはない。
よって、以上を勘案すれば、使用商標1は本件商標と社会通念上同一の商標と判断されるべきものと思料する。
次に、乙第6号証の見開き第1ページ(乙6の2)の右上には、使用商標2が表示されている。
本件商標と使用商標2の各構成要素を比較すると、まず、使用商標2には構成要素1「宅配専門」が無いものの、「宅配専門」とは被請求人の業態を表しているにすぎずそもそも識別力が無い。
次に、構成要素2「鯛の図」については、本件商標に比べると使用商標2の方が頭がやや起き上がってはいるものの、左向きの赤色の鯛のキャラクター図であり、いずれもねじり鉢巻きと前掛けをしている同視し得る図である。
最後に、構成要素3「寿司」及び構成要素4「ざんまい」は、同じ色彩とすれば本件商標の各要素と同一となるものである。
以上を勘案すれば、使用商標2は本件商標と社会通念上同一の商標と判断されるべきものと思料する。
そして、乙第6号証の1の使用商標1の右下には「カタログ有効期限:2013年10月31日迄」の表示があり、当該広告用冊子がある時点から本件要証期間内の2013年10月31日まで継続して使用されていたことがわかる。
さらに、乙第6号証は日本語で作成されており、国内で使用されたことは明らかである。
以上より、被請求人が、日本国内において、要証期間内に本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品「すし」について使用(商標法第2条第3項第8号)していたことは明らかである。
ウ 乙第7号証及び乙第8号証について
乙第7号証及び乙第8号証は、2016年10月7日に撮影した被請求人の従業員用ジャンパーの写真である。乙第7号証が夏用、乙第8号証が冬用であり、被請求人は2014年10月頃から商品を宅配する際や、寿司のケータリングサービスをする際などに当該ジャンパーを着用している。
乙第7号証及び乙第8号証の右上には、構成要素1ないし構成要素4からなる商標(以下「使用商標3」という。)が表示されている。
当該ジャンパーは需要者に対し、着用者が被請求人の従業員であることを示すとともに、宣伝広告機能も発揮している。
すなわち、被請求人は使用商標3を指定商品「すし」に関する広告として使用している(商標法第2条第3項第8号)。
そして、使用商標3は本件商標と同様に、構成要素1ないし構成要素4からなるものである。
使用商標3の構成要素1「宅配専門」、構成要素3「寿司」、及び構成要素4「ざんまい」は、同じ色彩とすれば本件商標の各要素と同一となるものである。
したがって、構成要素1「宅配専門」の位置がやや右寄りではあるものの、使用商標3は本件商標と社会通念上同一の商標と判断されるべきものと思料する。
以上より、被請求人が、日本国内において、要証期間内に本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品「すし」について使用(商標法第2条第3項第8号)していたことは明らかである。
エ 小括
以上より、本件商標権の権利者である被請求人が、要証期間内に、日本国内において、指定商品「すし」について本件商標を使用していることは明らかである。
2 口頭審理陳述要領書(平成29年4月5日付け)
(1)乙第5号証について
乙第5号証に記載の「五日市店」は、平成28年1月末に閉店しており、本件商標の使用を証明するための追加資料を確認することができなかった。
(2)乙第6号証について
乙第9号証は、被請求人が経営する寿司の宅配専門店のホームページの会社概要である。トップページ(乙10)の「会社案内」をクリックすると乙第9号証が開く。
乙第9号証の社名には、「株式会社ハマサキ・ホールディング」とあり、本社所在地の「福岡県北九州市八幡西区竹末1丁目15番10号」は、被請求人の住所と一致する。
よって、被請求人が乙第9号証及び乙第10号証に係る寿司の宅配専門店を営んでいることがわかる。
また、同ホームページ内の店舗案内(乙3)の2頁目には、上から6行目に「古賀店」の記載があり、その住所(古賀市花見東7-14-1)及び電話番号は、乙第6号証の1の古賀店の住所及び電話番号と一致する。
よって、当該古賀店は、被請求人が営業する店舗であることがわかる。
さらに、乙第11号証は、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第52条の規定に基づく、上記古賀店の飲食店営業許可証の写真である。
「1 営業所所在地」は、乙第3号証及び乙第6号証の古賀店の住所と一致する。
そして、乙第11号証の住所及び氏名には、被請求人の名称と住所が記載されている。
よって、乙第6号証に記載の古賀店は、フランチャイジーによるものではなく、被請求人が営業許可を得て、自ら営業している店舗であることがわかる。
以上より、被請求人の名称の記載はないものの、乙第6号証が被請求人によって使用されていることは明らかである。
また、乙第11号証の営業許可有効期間は平成23年7月1日から平成29年6月30日までとなっており、当該有効期間には要証期間が含まれる。
ここで、宅配ピザを始めとする飲食物のデリバリー業者が、需要者たる各家庭等に自社の商品を掲載した広告用冊子やチラシを配布し、各家庭等の需要者が当該配布物を確認して注文を行い、当該注文に対してデリバリー業者が注文品(飲食物)を届けるといったビジネス方式は広く一般に見られる。乙第6号証がこのようなビジネス、すなわち、すしの宅配業に用いられる広告用冊子であることは、その記載内容から一目瞭然である。
よって、常識的に考えれば、乙第6号証が、要証期間内の有効期限(2013年10月31日)までに需要者に配付されたことは明らかである。
(3)乙第7号証および乙第8号証について
乙第12号証は、インターネット上でユニフォーム製作の受注販売を行う「ユニフォームタウン」のサイト内の購入履歴画面を印刷したものである。
右上にはオレンジ色で「株式会社ハマサキ・ホールディング」の記載があるので、乙第12号証が被請求人の購入履歴画面であることは明らかである。
そして、乙第12号証下段の1件目(受注NO:m-345013)は乙第8号証を、上段の2件目(受注NO:m-356692)は乙第7号証を、それぞれ試しに購入した際の購入履歴である。各注文明細から、ジャンパーの右上には、乙第7号証及び乙第8号証に表示された使用商標3を表示する内容で注文されたことがわかる。
さらに、後述する、2014年12月以降に放送された被請求人のテレビコマーシャルには、乙第7号証(夏用)のジャンパーを着用した被請求人の代表者が登場する。
よって、乙第7号証が、早ければ注文後の2014年10月頃から、遅くとも上記テレビコマーシャルの放送が開始された2014年12月頃から被請求人の社員らによって着用され、宣伝広告機能を発揮していることがわかる。
また、当該テレビコマーシャルは被請求人の営む寿司の宅配専門店、すなわち商品「すし」を宣伝広告するためのものである。
さらに、答弁書で述べたとおり、乙第7号証及び乙第8号証には、本件商標と社会通念上同一の使用商標3が表示されている。
以上より、被請求人が要証期間内に本件商標と社会通念上同一の使用商標3を指定商品「すし」について使用していたことは明らかである。
(4)被請求人のテレビコマーシャルについて
被請求人は、2013年から現在に至るまで、広告代理店株式会社エスプラン(以下「エスプラン社」という。)を通して、寿司の宅配業について年に数回テレビコマーシャルを行っている。放送するテレビ局は、山口県の山口放送株式会社や、福岡県の九州朝日放送株式会社及び株式会社福岡放送である。
乙第13号証は、要証期間内である2013年8月から2016年8月までに、被請求人が行ったテレビコマーシャルのデータであり、これらのコマーシャルの中で構成要素1ないし構成要素4から成る本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていることが立証される。
次に、乙第21号証は、被請求人の社員片山幸男氏が、本件審判用に被請求人のテレビコマーシャルの放送実績をまとめたTVCM放映リストであり、乙第21号証に記載されたすべての放送について放送確認書が発行されており(乙22及び乙23)、乙第21号に記載された内容で、乙第13号証のテレビコマーシャルが放送されたことが立証される。
また、乙第22号証及び乙第23号証の宛名は、エスプラン社となっているが、それぞれ広告主が被請求人名となっていることや、CM素材の内容から、これらが被請求人に係るテレビコマーシャル(乙13)の放送確認書であることは明らかである。
よって、構成要素1ないし構成要素4からなるものであり、本件商標と社会通念上同一の商標が表示された被請求人のテレビコマーシャルが山口放送株式会社や、九州朝日放送株式会社や、株式会社福岡放送で放送されたことが立証される。
以上より、被請求人が要証期間内に本件商標と社会通念上同一の商標を本件商品「すし」について使用(商標法第2条第3項第8号)していたことは明らかである。
乙第26号証は、乙第24号証の中でエスプラン社の北村氏が述べている「2013.8?2016.8までのCM発注実績」であり、前述の乙第21号証は、当該乙第26号証を基にして、片山氏が作成し直したものである。
また、乙第22号証及び乙第23号証については、先行して乙第22号証を受け取り、その後、平成29年3月24日に、乙第23号証をFAXで受け取った。
これを証明するために、乙第23号証の送付状(乙27)を提出する。
エスプラン社からの送信日時や、送信枚数29枚が一致するので、乙第27号証が乙第23号証の送付状であることは明らかである。
以上より、乙第13号証、乙第22号証及び乙第23号証は審判外の第三者エスプラン社から受け取ったものであることは明らかである。
(5)行橋店の広告用冊子(乙28)について
乙第28号証は、被請求人が経営する寿司の宅配専門店の行橋店の広告用冊子である。
乙第3号証第1頁の下から2行目には、行橋店(行橋市行事4-1-1)の記載があり、当該住所は裏表紙(乙28)に記載された住所と一致する。
さらに、乙第29号証は、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第52条の規定に基づく、行橋店の飲食店営業許可証の写真である。
「1 営業所所在地」は「行橋市行事4丁目1-1」となっており、乙第3号証及び乙第28号証の行橋店の住所と一致する。
そして、乙第29号証の住所及び氏名には、被請求人の名称と住所が記載されている。
以上より、乙第28号証に記載の行橋店は、フランチャイジーによって経営されているものではなく、被請求人が営業許可を得て、自ら営業している店舗であることがわかる。
また、乙第29号証の営業許可有効期間は平成24年4月23日から平成32年3月31日までとなっており、当該有効期間には要証期間が含まれる。
以上より、乙第28号証には披請求人の名称の記載はないものの、乙第28号証に記載の行橋店が被請求人により営業されていること、すなわち、乙第28号証が被請求人によって使用されていることは明らかである。
被請求人は、乙第6号証や乙第28号証などの広告用冊子を、以前は3ヶ月に1回、最近では2ヶ月に1回のペースで作成している。各冊子にはカタログ有効期限が印字されるが、通常、有効期限の2ヶ月ほど前迄には各家庭等ヘポスティングして配付する。
被請求人は、2014年9月より、これらの広告用冊子の印刷・製本を大成印刷株式会社(福岡市博多区東那珂3-6-62。以下、「大成印刷」という。)に依頼している。広告用冊子の発注から納品の流れは、次のとおりである。
被請求人が使用する広告用冊子は全直営店共通であり、裏表紙の店舗時報のみ該当する店舗の内容に合わせて印刷する。発注は、被請求人が表計算ソフトを使って各店舗ごとの必要部数などを入力した一覧表を作成し、当該表をメール等で大成印刷へ送って行う。大成印刷は注文伝票を起こし、被請求人の指示に従って広告用冊子を作成する。冊子が完成すると、大成印刷は各店舗へ各店舗用の冊子を納品する。この際、一度にすべての冊子を送るのではなく、被請求人の指示に従い、複数回に分けて、原則毎月初日に納品を行う(在庫状況によっては初日以外に納品されることもある。)。
乙第30号証は、乙第28号証を作成した際の大成印刷の注文伝票の写しである。
得意先には「ハマサキ・ホールディング」、品名には「寿しパンフレット(直営28店)」、数量には「1,157,900部」の記載がある。これにより、直営店28店舗用の冊子乙第37号証(審決注:乙第28号証の誤記と認める。以下同じ。)が「1,157,900部」発注されたことがわかる。
さらに、受注年月日は平成26年10月28日であり、納品日時は平成26年11月21日?である。乙第28号証のカタログ有効期限は2015年(平成27年)4月30日であるから、通常であれば、その2ヶ月ほど前の2015年2月末頃までには配布を終えることになる。したがって、乙第28号証の配布期間は2014年11月末?2015年2月の3ヵ月となり、上記説明と一致する。
さらに、乙第30号証の規格・寸法は乙第28号証と一致する。
よって、乙第30号証が乙第37号証の注文伝票であることは明らかである。
ここで、乙第30号証は、乙第28号証の作成の事実を立証するために、被請求人が大成印刷に依頼し、2017年4月3日にメールで送ってもらったものである(乙31)。メールの受信者である被請求人の社員片山幸男氏のパソコンは、PDF形式の添付ファイルはメール本文の下にプレビューとして表示される。このため、乙第31号証では、添付された乙第30号証の内容がメール本文の下に表示されている。これより、乙第30号証が大成印刷から送られてきたものであることが立証される。
乙第30号証は、あくまで大成印刷の社内伝票であるため、大成印刷の表示はないが、乙第31号証より、大成印刷から取り寄せたことは明らかである。
さらに、乙第32号証は、大成印刷が、上記行橋店に乙第28号証の一部を納品した際の運送会社(福山通運)の配送伝票のお客様控の写しである。摘要欄にNo.4043327の記載があるが、これは乙第30号証の左の上の伝票番号と一致する。
また、品名には、「《1/5AM必着厳守》」「寿司リーフレット(8P)6,300部」の表示がある。
よって、乙第30号証で受注した冊子の内、6,300部が要証期間内の平成27年1月に被請求人の行橋店に納品されたことは明らかであり、また、乙第28号証には使用商標4(別掲2)が表示されている。
そして、被請求人の広告用冊子は、後述する各店舗所在地域のポスティング業者によって、カタログ有効期限の2ヶ月ほど前までには、需要者へ配付されるものであり、乙第28号証も同様に配付された。
以上より、被請求人が要証期間内である2014年11月末?2015年2月末にかけて、本件商標と社会通念上同一の商標が付された乙第28号証を本件指定商品に使用(商標法第2条第3項第8号)していたことは明らかである。
(6)被請求人の広告用冊子のポスティングについて
被請求人は、大成印刷が各店舗へ納品した広告用冊子を、需要者である店舗周辺の各家庭等ヘポスティングするが、当該ポスティング作業は、各店舗所在地域のポスティング業者に依頼している。被請求人の店舗は広範囲に多数存在するため、多数のポスティング業者を利用している。
被請求人よりポスティングの依頼を受けたポスティング業者は、被請求人の各店舗で広告用冊子を受け取り、被請求人の指示に従ってポスティングを行っている。
乙第33号証は、上記ポスティング業者の内、「株式会社毎日メディアサービス山口」及び「株式会社アド.ライク」からの請求書である。
株式会社毎日メディアサービス山口の請求書には、担当部署として「下関ポス事業部」の記載があり、明細の項目は「配布物名1」となっている。
一方、「株式会社アド.ライク」の請求書の品名には「ポスティング」の記載がある。
よって、これらの請求書が配付・ポスティングに関するものであることがわかる。
また、各請求書の宛名は被請求人であり、明細には被請求人の店舗名が記載されている。
よって、「株式会社毎日メディアサービス山口」及び「株式会社アド.ライク」が被請求人の広告用冊子を配布・ポスティングしていることがわかる。
次に、乙第34号証は、被請求人の取引銀行西日本シティ銀行の振込手数料明細表とその振込明細リストである。
乙第34号証には、「株式会社毎日メディアサービス山口」及び「株式会社アド.ライク」の記載があり、乙第33号証の請求金額と、乙第34号証の振込金額に手数料を足した額は一致する。
よって、被請求人が乙第33号証に係るポスティング業務について、「株式会社毎日メディアサービス山口」及び「株式会社アド.ライク」へ支払いを行ったことがわかる。
また、乙第33号証は要証期間内の平成28年5月付けのものである。
以上より、被請求人が、要証期間内に、ポスティング業者を通じて広告用冊子を配布・ポスティングしている事実がわかる。
すなわち、本件商標と社会通念上同一の商標が付された広告用冊子(乙6、乙28)が、要証期間内に、需要者に対して頒布されたことがわかる。
よって、被請求人が、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標を本件指定商品に使用していたこと(商標法第2条第3項第8号)は明らかである。
(7)むすび
以上より、本件商標は本件商標権者(被請求人)により本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件審判請求に係る指定商品「すし」について使用されていたことは明らかであり、よって、本件商標登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠について
(1)乙第3号証について
乙第3号証は、被請求人が経営する寿司の宅配専門店のホームページの店舗案内である。
これには、「店舗一覧」として、28店舗の店舗名、住所等が記載されており、その中に店舗名「行橋店」、住所「行橋市行事4-1-1」の記載がある。
(2)乙第9号証について
乙第9号証は、被請求人が経営する寿司の宅配専門店のホームページの会社案内である。
これには、「会社概要」において、「事業内容」として「寿司の宅配業(直営店29店舗・FC店5店舗)」の記載がある。
(3)乙第28号証について
乙第28号証は、被請求人の「広告用冊子(行橋店)」である。
その表紙には、寿司の写真が掲載され、左上に「今まで愛されて17年。/これからも宅配寿司なら寿司ざんまい。」の記載、及び中程に「カタログ有効期限/2015年4月30日まで」の記載があり、使用商標4が表示されている。
(4)乙第29号証について
乙第29号証は、被請求人が経営する寿司の宅配専門店「行橋店」の「飲食店営業許可証」の写真である。
これには、上段に被請求人の住所及び名称が記載され、その下に「平成24年4月20日付けで申請のあった飲食店営業(すし)営業については、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第52条の規定に基づき、下記の条件を付けて許可します。」の記載があり、中段に「平成24年4月23日」及び福岡県京築保健福祉環境事務所長の氏名が記載され、押印されている。
また、下段には「営業所所在地」として「行橋市行事4丁目1-1」の記載、及び「営業許可有効期間」として「平成24年4月23日から平成32年3月31日まで」の記載がある。
(5)乙第30号証について
乙第30号証は、大成印刷の「注文伝票」である。
これには、「伝票No.」欄に「4043327」の記載、「得意先」欄に「ハマサキ・ホールディング」の記載、「得意先納品日時」欄に「26年11月21?」の記載、「品名」欄に「寿しリーフレット(直営28店)」の記載、「数量」欄に「1,157,900部」の記載及び「規格・寸法」欄に「天地(272)m/m×左右(187)m/m」、「本文(8)頁」の記載がある。
(6)乙第32号証について
乙第32号証は、福山通運の配送伝票の「お客様控」である。
これには、左上に「26年12月」の記載、「お届け先」欄に「福岡県行橋市行事4丁目1-1/寿司ざんまい、ミラノピザ 行橋店 様」の記載、「荷送人」欄に「大成印刷 株式会社」の記載、「品名」欄に「指定日着《1/5AM必着厳守》/・寿司リーフレット(8P)/6,300部/・ピザリーフレット(16P)/11,000部/〈(株)ハマサキホールディング様ご依頼分〉」の記載及びその下部に「寿司11、ピザ4/No.4043327,4043331」の記載がある。
(7)乙第33号証について
乙第33号証は、ポスティング業者の「請求書」であり、その2葉目は、株式会社アド.ライクから被請求人宛の28年5月30日付けの「請求書」である。
これには、「品名」欄に「行橋・苅田 ポスティング/(寿司ざんまい 行橋店様分)」の記載及び「数量」欄に「5,000枚」の記載がある。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用者について
被請求人のホームページ(乙3)には、店舗一覧として「行橋店」が掲載されており、また、被請求人は、福岡県京築保健福祉環境事務所長から「行橋店」の住所を営業所所在地とする「飲食店営業(すし)」の営業許可を受けている(乙29)。
そうすると、「行橋店」は、被請求人が営業している店舗であり、後述のとおり、該店舗の広告用冊子(乙28)の発注者及び納品を受けた者は被請求人であることから、該広告用冊子への商標の使用者は、被請求人であると認められる。
(2)使用商品について
被請求人のホームページ(乙9)には、被請求人の会社概要が記載されており、その中の「事業内容」として「寿司の宅配業」の記載があり、被請求人が営業している「行橋店」の広告用冊子(乙28)には、「宅配専門」及び「これからも宅配寿司なら寿司ざんまい」の記載があり、寿司の写真が掲載されていることから、被請求人は、「寿司の宅配業」を営んでいることがわかる。
そうすると、「寿司の宅配」における商品は、指定商品の「すし」と認められる。
(3)社会通念上同一の商標について
本件商標は、別掲1に示したとおり、左側に、はちまきと「すし」の文字を表示した前掛けをした左側を向いた赤色の魚のイラストを描き、その右側には、筆書き風の書体で赤い縁取りを付け、金色のグラデーションで彩色した特徴的な「寿司ざんまい」の文字、該魚のイラストの上部には、やや傾いた角の丸い陰影を付けた4つの四角枠内に表示した「宅」、「配」、「専」、「門」の文字を横書きして表してなる構成からなるものである。
他方、使用商標4は、別掲2に示したとおり、筆文字風の書体で白い縁取りと陰影を付けた「寿司ざんまい」の赤色の文字を縦書きした文字、その左側下には、白い縁取りと陰影を付けた、はちまきと「すし」の文字を表示した前掛けをした左側を向いた赤色の魚のイラストを描き、さらに、「寿司ざんまい」の文字の右上部には、白い円形内に「宅配」及び「専門」の文字を二段に赤茶色で表した構成からなるものであるところ、本件商標と使用商標4の魚のイラストは縁取りを除き、「寿司ざんまい」の文字は、色彩及び文字の縁取りを除き、本件商標と同一の図形及び同一書体の文字からなるものであり、「宅配専門」の文字についても、本件商標は、やや傾いた角の丸い陰影を付けた4つの四角枠内に表示してなるものであり、使用商標は 円形内に表示してなるものの、その構成文字は同一であって、それぞれの部分の位置関係は相違するものの、両者は、その構成全体において、全ての構成文字及び図形を有するのであるから、社会通念上同一の商標といえる。
(4)使用時期について
注文伝票(乙30)によれば、これに記載されている得意先が被請求人であること、品名が「寿しの広告用印刷物・ちらし」と同義と認められる「寿しリーフレット」であること、規格・寸法が広告用冊子(乙28)の寸法・総頁数と合致すること及び納品日時の約5ヵ月後が広告用冊子(乙28)の有効期限であることに照らせば、これは、行橋店の広告用冊子(乙28)を含め、被請求人が運営する直営28店舗分の広告用冊子の「注文伝票」とみて差し支えない。
そして、注文伝票(乙30)に記載された「伝票No.」と同じ番号が配送伝票(乙32)の品名欄の下に記載されていること及び「寿しリーフレット」の納品日時が「26年11月21日?」となっており(乙30)、直営28店舗分のリーフレットの納品で、行橋店への納品(配送)がこれより約1ヵ月半の後になされていることからすれば、配送伝票(乙32)により配送された「寿司リーフレット」は、注文伝票(乙30)にある「寿しリーフレット」であるということができる。
そうすると、「行橋店」の広告用冊子(乙28)に記載の有効期限、注文伝票(乙30)に記載の納品日時及び配送伝票(乙32)の記載内容からすれば、被請求人は、2015年(平成27年)4月30日を有効期限とする行橋店の広告用冊子を大成印刷に印刷発注し、平成26年11月21日から順次納品を受け、その内の6,300部が平成27年1月5日に大成印刷から行橋店に配送(納品)されたことが認められる。
また、被請求人は、ポスティング業者に依頼して広告用冊子を頒布している実態もある(乙33)。
してみれば、平成27年4月30日を有効期限とする広告用冊子(乙28)が、同年1月5日に行橋店に6,300部納品されていることからすれば、これを頒布することなく保管していたとは考え難く、経験則上、被請求人は、納品された広告用冊子を頒布したことがうかがわれ、その時期及び方法についても、有効期限の2か月前までにポスティングにより頒布したとする被請求人の主張に不自然な点はなく、また、該主張事実を否定すべき理由は見当たらない。
したがって、被請求人は、使用商標4が掲載された広告用冊子をポスティング業者を通じて、平成27年1月から2月頃にかけて頒布したことが推認でき、これは要証期間内である。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、被請求人は、要証期間内に第30類「すし」の範ちゅうに含まれる「宅配用の寿司」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、要証期間内に、被請求人が経営する「行橋店」の広告用冊子に使用していたということができる。
そして、上記使用行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品若しくは役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当するものと認められる。
(6)請求人の主張について
請求人は、「飲食店営業許可証(乙29)は、『飲食店営業』に係るものであるから、第30類『すし』に係る業務を行っていたことを証明するものではない。」旨を主張している。
しかしながら、該営業許可証は、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第52条の規定に基づくものであって、営業許可の必要な業種として34業種が食品衛生法施行令(昭和28年政令第229号)第35条に規定されており、その第1号に飲食店営業(一般食堂、料理店、すし屋、そば屋、旅館、仕出し屋、弁当屋、レストラン、カフエー、バー、キヤバレーその他食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業をいい、・・・)と規定されていることからすれば、「寿司の宅配業」に関する営業については、営業許可の必要な34業種のうち「飲食店営業」の許可を得ることが必要であるといえる。
そして、請求人は、「寿司の宅配業」について許可を受けるべき具体的な業種について言及しておらず、上記のとおり、被請求人に係る営業許可は「寿司の宅配業」に係る営業許可として妥当なものと認められる。
よって、請求人の主張は採用できない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)(色彩は原本参照。)



別掲2(使用商標4)(色彩は乙第28号証参照。)



審理終結日 2017-09-25 
結審通知日 2017-09-29 
審決日 2017-10-16 
出願番号 商願2010-35349(T2010-35349) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X30)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 早川 真規子冨澤 美加 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 中束 としえ
山田 正樹
登録日 2013-08-16 
登録番号 商標登録第5607230号(T5607230) 
商標の称呼 タクハイセンモンスシザンマイ、スシザンマイ、ザンマイ 
代理人 山野 有希子 
代理人 多田 繁範 
代理人 愛甲 栄治 
代理人 市川 泰央 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 日野 孝俊 
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