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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
管理番号 1335272 
審判番号 取消2016-300573 
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-08-17 
確定日 2017-11-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第5586456号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5586456号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5586456号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年1月31日に登録出願、第30類「すし」を指定商品として、同年5月31日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成28年8月31日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同25年8月31日ないし同28年8月30日である(以下「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、審判事件弁駁書及び口頭審理陳述要領書等において、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第2号証ないし乙第4号証について
ア 乙第2号証
被請求人は、乙第2号証を被請求人のホームページの会社概要であると主張しているところ、そこには被請求人の社名や住所が記載され、事業内容には「寿司・ピザの宅配業」と記載されてはいるが、乙第2号証には本件商標は表示されていないから、乙第2号証をもって、被請求人が本件商標の使用者であるということはできないものである。
しかも、その売上高の欄には「2011年度実績」と、また、「従業員数」の欄には「2012年4月現在」と記載されているから、その掲載内容は、その当時(2011年?2012年頃)の内容とみるべきであって、要証期間内の内容を表したものではない。このため、事業内容の欄の「寿司・ピザの宅配業」の記載も、被請求人が要証期間内に寿司の宅配業を行っていたことを証明するものではない。
したがって、乙第2号証をもって、被請求人が本件商標の使用者であることが証明されたということはできない。
イ 乙第3号証及び乙第4号証
被請求人は、乙第3号証及び乙第4号証を被請求人のホームページであると主張しているが、そこには被請求人の社名や住所は記載されていない。また、本件商標も表示されていない。
さらに、乙第3号証及び乙第4号証には、「ミラノピザ」の欄や「フランチャイズ加盟店募集」の欄に、魚と思しき図形、「宅配専門」の文字及び「寿司ざんまい」の文字からなる標章が表示されているが、商品「すし」の出所を表示するものではない。
そして、乙第3号証の各店舗が被請求人と同一であることを証する他の証拠の提出もない。
したがって、乙第3号証及び乙第4号証をもって、被請求人が本件商標の使用者であることが証明されたということはできない。
(2)乙第5号証について
ア 商標法に定める「使用」の証明について
被請求人は、乙第5号証をもって商標法第2条第3項第8号に定める「使用」をしていると主張するが、広告が同号の「使用」に該当するというためには、当該広告を展示又は頒布しなければならない。
しかし、被請求人は、新聞の折り込み広告や各家庭のポストに配布して頒布したと主張するのみで、乙第5号証が実際に新聞の折り込み広告に入れられた事実や各家庭のポストに配布された事実を何ら証明していない。
したがって、乙5号証をもって、商標法に定める「使用」をしていたということはできない。
イ 本件商標と使用標章の同一性について
(ア)本件商標と使用標章の相違点
被請求人は、乙第5号証の左下側に表示されている「宅配専門」の文字、前掛けを付けた鯛と思しき魚の図及び「寿司ざんまい」の文字からなる標章(以下「使用商標1」という。)をもって、本件商標と社会通念上同一の商標であると主張している。
しかし、本件商標と使用商標1を対比するに、魚の図形の右側にあるのは、使用商標1では「寿司ざんまい」の文字であるのに対し、本件商標では「ざんまい」の文字であり、「寿司」の文字の有無が異なっている。さらに、使用商標1には魚が付けた前掛けに「すし」の文字が表示されているのに対し、本件商標には表示されていない点で、「すし」の文字の有無も異なっている。
(イ)「寿司」及び「すし」の文字の有無と両商標の同一性への影響
使用商標1における「寿司」の文字は、外観上、魚の図形や「宅配専門」の文字とは異なる書体や色彩で表されている一方で、その後の「ざんまい」の文字と同じ書体、同じ色彩をもって間隔を空けずに「寿司ざんまい」と表示されている。加えて、称呼上も、「寿司ざんまい」の文字から生じる「スシザンマイ」の称呼は、その構成文字が親しまれた漢字と平仮名であることと相俟って、一気に称呼し得るものといえる。そして、観念上も、「ざんまい」の文字は、名詞又は形容動詞の後ろに付いて、「ともすればその傾向になるという意味」、「そのことに熱中するという意味」、「心のままにするという意味」を表す語であって、例えば、「刃物三昧」、「読書三昧」、「ぜいたく三昧」、「勉強三昧」、「道楽三昧」の如く、「?三昧(ざんまい)」ように用いられる語である(甲4)から、「寿司ざんまい」の文字についても、全体をもって、お寿司に夢中になっている様子を意味する一体のものとして、把握、認識されるものといえる。
そうすると、使用商標1における「寿司ざんまい」の文字は、それに接する取引者、需要者に一体不可分のものとして把握、認識されるというべきであって、「寿司」の文字部分が商品の名称を表示するものとして捨象されて需要者に認識されることはない。
したがって、本件商標と使用商標1とは、「寿司」の文字の有無が異なる点において、外観はもとより、称呼及び観念も異なるものであるから、社会通念上同一の商標ということはできない。
また、使用商標1における「すし」の文字は、鯛と思しき魚が付けた前掛けに「すし」の文字が表示されているものであるところ、本件商標と使用商標1とは、「すし」の文字の有無が異なる点においても異なるものであるから、かかる点においても、両者を社会通念上同一の商標ということはできない。
(ウ)小括
以上のとおり、本件商標と使用商標1とは、社会通念上同一の商標ということはできない。
(3)乙第6号証について
ア 商標法に定める「使用」の証明について
被請求人は、乙第6号証をもって商標法第2条第3項第8号に定める「使用」をしていると主張するが、広告が同号の「使用」に該当するというためには、当該広告を展示又は頒布しなければならない。 しかし、被請求人は、各家庭のポストに投函、配布して頒布したと主張するのみで、乙第6号証が実際に各家庭のポストに投函、配布された事実を何ら証明していない。
したがって、乙第6号証をもって、商標法に定める「使用」をしていたということはできない。
イ 本件商標と使用商標の同一性について
被請求人は、乙第6号証の1枚目の上部に表示されている二段書きにされた「宅配専門」の文字、前掛けを付けた鯛と思しき魚の図及び「寿司ざんまい」の文字からなる標章(以下「使用商標2」という。)、さらに、2枚目右上部に表示されている前掛けを付けた鯛と思しき魚の図及び「寿司ざんまい」の文字からなる標章(以下「使用商標3」という。)をもって、本件商標と社会通念上同一の商標であると主張している。
しかし、本件商標と使用商標2及び使用商標3とは、以下のとおり、社会通念上同一の商標ということはできない。
(ア)本件商標と使用商標2の同一性
本件商標と使用商標2を対比するに、魚の図形の右側にあるのは、使用商標2では「寿司ざんまい」の文字であるのに対し、本件商標では「ざんまい」の文字であり、「寿司」の文字の有無が異なっている。さらに、使用商標2においては、「宅配専門」の文字が二段書きで表され、その「宅配専門」の文字と魚の図形が大きく重なって表示されているのに対し、本件商標においては「宅配専門」の文字が一行に横書きで表され、魚の図形とは明らかに分離した状態で表示されている。
また、乙第6号証のうち、使用商標2が表示される1枚目においても、乙第5号証と同様に、「今まで愛されて16年、これからも宅配寿司なら寿司ざんまい。」、「『寿司ざんまい』は、九州・山口を中心に50店舗を目標に、皆様の食卓へ自慢のお寿司を心こめて笑顔でお届けします。」などと表示されており、「寿司ざんまい」の文字を恰も店舗名であるかのように一体に使用している。
そうすると、使用商標2における「寿司ざんまい」の文字は、それに接する取引者、需要者に一体不可分のものとして把握、認識されるというべきであって、被請求人が主張するように「寿司」の文字部分か商品の名称を表示するものとして捨象されて需要者に認識されるということはできない。
したがって、本件商標と使用商標2とは、「寿司」の文字の有無が異なる点などにおいて、外観はもとより、称呼及び観念も異なるものであるから、社会通念上同一の商標ということはできない。
(イ)本件商標と使用商標3の同一性
本件商標では魚の図形の上部に「宅配専門」の文字が表示されているが、使用商標3では「宅配専門」の文字は表示されておらず、「宅配専門」の文字の有無が異なっている。さらに、使用商標3では、魚の図形の右側にあるのは「寿司ざんまい」の文字であるのに対し、本件商標では、「ざんまい」の文字であり、「寿司」の文字の有無が異なっている。加えて、使用商標3には魚が付けた前掛けに「すし」の文字が表示されているのに対し、本件商標には表示されていない点で、「すし」の文字の有無も異なっている。
この点、被請求人は、本件商標と使用商標3の相違点について、「宅配専門」の文字は被請求人の業態を表しているにすぎないものであり、また、「寿司」及び「すし」の文字は商品である「すし」を表しているにすぎないものであって、識別力がないものであるから、両商標は特徴的部分が共通し、社会通念上同一であると主張している。
しかし、商標法第50条第1項は社会通念上の同一まで拡大されているとはいえ、登録商標と類似ではなく、同一であることを求めているのであるから、仮に識別力がないといっても、構成要素の一部を削除しての使用を認める趣旨ではない。そして、本件商標中の「宅配専門」の文字を削除して使用するならば、本件商標において看取し得た「専ら自宅に配達すること」程度の観念を使用商標3からは看取し得ないし、また、本件商標の構成文字全体から生じていた「タクハイセンモン?」の称呼も使用商標3からは生じないことになるから、本件商標と使用商標3とは、外観はもとより、その称呼及び観念も同一ということはできない。
したがって、本件商標と使用商標3とは、外観はもとより、称呼及び観念も異なるものであるから、社会通念上同一の商標ということはできない。
(4)乙第7号証ないし乙第9号証について
被請求人は、乙第7号証及び乙第8号証は被請求人の従業員のジャンパーの写真、また、乙第9号証は社用車の写真であり、それらの写真は2016年10月7日に撮影したものであるとして、これらは、本件商標の商標法第2条第3項第8号に係る使用をしていたことを示す旨主張している。
しかし、乙第7号証ないし乙第9号証について、被請求人は、そもそも、被請求人というだけで、具体的に誰が撮影したのか、さらに、どこの場所で撮影したのかを明確にしていない。
そして、乙第7号証ないし乙第9号証については、その内容をみた場合、以下のアないしオのとおりであって、これら乙号証をもって、被請求人、すなわち、商標権者が要証期間内に本件商標を使用していたことが証明されたということはできない。
ア 商標法に定める「使用」の証明について
被請求人は、商標法第2条第3項第8号に該当すると主張するのみで、乙第7号証ないし乙第9号証のジャンパーや社用車が実際に展示又は頒布された事実を何ら証明していない。
したがって、乙第7号証ないし乙第9号証をもって、商標法に定める「使用」をしていたということはできない。
イ 請求に係る指定商品との具体的関係の証明
乙第7号証及び乙第8号証は、場所が不明な室内において男性がジャンパーを着用している写真であり、ジャンパーの胸部に「宅配専門」の文字、前掛けを付けた鯛と思しき魚の図及び「寿司ざんまい」の文字からなる標章(以下「使用商標4」という。)が表示されているが、商品との具体的関係を示すものは表示されていない。
また、乙第9号証は、軽自動車と思しき写真であり、荷台側面に「宅配専門」の文字及び「寿司ざんまい」の文字からなる標章、運転席側ドアに前掛けを付けた鯛と思しき魚の図からなる標章(以下、便宜上、これらの文字及び図形をあわせて「使用商標5」という。)が表示されているが、そのほかには「出張回転寿司 受け賜ります」の表示があるものの、この表示をもってしても、いわゆる「回転寿司」の店舗とは異なる商品「すし」の広告として認識するとは考えがたく、商品「すし」の広告として、その具体的関係を示しているということはできない。
したがって、乙第7号証ないし乙第9号証に接した者は、それが商品「すし」についての広告であると認識するということはできないから、乙第7号証ないし乙第9号証をもって、請求に係る指定商品「すし」について、商標法に定める「使用」をしていたということはできない。
ウ 要証期間内の使用の証明について
被請求人は、乙第7号証ないし乙第9号証の写真の撮影日を2016年10月7日と主張しているところ、その撮影日は要証期間内ではない。
したがって、乙第7号証ないし乙第9号証をもって、要証期間内に商標法に定める「使用」をしていたということはできない。
エ 商標の使用者の証明について
被請求人は、乙第7号証ないし乙第9号証を被請求人の従業員のジャンパー及び社用車の写真と主張しているが、乙第7号証ないし乙第9号証には、被請求人の社名や住所は表示されておらず、その記載内容から被請求人の使用に係るものであるということはできない。
したがって、乙第7号証ないし乙第9号証が被請求人に係るものであることが証明されたということはできないから、乙第7号証ないし乙第9号証をもって被請求人による商標の使用が証明されたということはできない。
オ 本件商標と使用標章の同一性について
被請求人は、乙第7号証及び乙第8号証の写真に写されているジャンパーの胸部に表示された使用商標4、さらに、第9号証の写真に写されている使用商標5について、本件商標と社会通念上同一の商標であると主張している。
しかし、本件商標と使用商標4及び使用商標5とは、社会通念上同一の商標ということはできない。
(5)乙第10号証ないし乙第17号証について
被請求人は、乙第10号証ないし乙第17号証を被請求人店舗の外観を撮影した写真であり、それら写真は2016年10月7日に撮影したものであるから、被請求人が要証期間内に本件商標の商標法第2条第3項第8号に係る使用をしていることを示していると主張している。
しかし、乙第10号証ないし乙第17号証について、被請求人は、そもそも、被請求人というだけで、具体的に誰が撮影したのか明確にしておらず、しかも、それらの中には、標章が物の陰に隠れていたり、焦点があっていなかったり、小さかったり、薄暗いために標章が不鮮明で、全体が明確に確認できるものになっていないものがある。
そして、乙第10号証ないし乙第17号証については、その内容をみた場合にも、以下のアないしウのとおりであって、これら乙号証をもって、被請求人、すなわち、商標権者が要証期間内に本件商標を使用していることが証明されたということはできない。
ア 請求に係る指定商品との具体的関係の証明
乙第10号証ないし乙第17号証においては、「宅配専門」の文字、鯛と思しき魚の図及び「寿司ざんまい」の文字などの使用標章以外に、寿司の写真及び「出張回転寿司」の表示が大きく表されていることを踏まえれば、「寿司」に関する店舗であっても、いわゆる「回転寿司」の店舗とは異なる商品「すし」の販売を行う店舗の看板として認識するとは考えがたいから、商品「すし」の広告として、その具体的関係を示しているということはできない。
したがって、乙第10号証ないし乙第17号証に接した者は、それが商品「すし」についての広告であると認識するということはできないから、乙第10号証ないし乙第17号証をもって、請求に係る指定商品「すし」について、商標法に定める「使用」をしていたということはできない。
イ 要証期間内の使用の証明について
被請求人は、乙第10号証ないし乙第17号証の写真の撮影日を2016年10月7日と主張しているところ、その撮影日は、要証期間内ではない。
したがって、乙第10号証ないし乙第17号証をもって、要証期間内に商標法に定める「使用」をしているということはできない。
ウ 本件商標と使用商標の同一性について
被請求人は、乙第10号証ないし乙第17号証の写真の店舗に表示された以下の使用商標をもって、本件商標と社会通念上同一の商標であると主張している。
しかし、本件商標と当該使用商標とは、以下のとおり、社会通念上同一の商標ということはできない。
・乙第10号証の店舗の入り口付近の縦看板に表示された「宅配専門」の文字及び「寿司ざんまい」の文字を縦書きし、その上部に前掛けを付けた鯛と思しき魚の図を配した商標(以下「使用商標6」という。)
・乙第13号証の店舗に表示された二行書きの「宅配専門」の文字及び「寿司ざんまい」の文字を横書きし、その上部に前掛けを付けた鯛と思しき魚の図を配した商標(以下「使用商標7」という。)
・乙第10号証ないし乙第17号証の店舗の上部の横看板に表示された「宅配専門」(2行に横書きされたもの)の文字及び「寿司ざんまい」の文字からなる商標(以下「使用商標8」という。)
・乙第13号証の店舗の右側の縦看板に表示された二行書きされた「宅配専門」の文字及び「寿司ざんまい」の文字を縦書きしてなる商標(以下「使用商標9」という。)
・乙第10号証、乙第11号証及び乙第13号証の店舗の壁面に表示された円輪郭内に2行に横書きされた「宅配専門」の文字及び縦書きにされた「寿司ざんまい」の文字からなる商標(以下「使用商標10」という。)
・乙第14号証ないし乙第16号証の店舗の壁面に縦書きされた「寿司ざんまい」の文字からなる商標(以下「使用商標11」という。)
・乙第17号証の店舗入り口のドアに横書きされた「寿司ざんまい」の文字からなる商標(以下「使用商標12」という。)
(ア)本件商標と使用商標6及び使用商標7の同一性
本件商標と使用商標6及び使用商標7を対比するに、使用商標6及び使用商標7では、「宅配専門」以外の文字は「寿司ざんまい」の文字であるのに対し、本件商標では「ざんまい」の文字であって、「寿司」の文字の有無が異なっている。加えて、使用商標6及び使用商標7には魚が付けた前掛けに「すし」の文字が表示されているのに対し、本件商標には表示されていない点で、「すし」の文字の有無も異なっている。
したがって、本件商標と使用商標6及び使用商標7とは、外観はもとより、称呼及び観念も異なるものであるから、社会通念上同一の商標ということはできない。
(イ)本件商標と使用商標8ないし使用商標10の同一性
使用商標8ないし使用商標10は、「宅配専門」の文字及び「寿司ざんまい」の文字からなるものであるところ、本件商標と使用商標8ないし使用商標10を比較すると、前掛けを付けた魚の図の有無が明らかに異なるものである。使用商標10が表示される壁面には、魚の図も表示されているが、「宅配専門」の文字及び「寿司ざんまい」の文字と魚の図が表示されている場所は、大きく離れた異なる場所に表されており、その間には、別途の文字などが表示されていることから、これら「宅配専門」及び「寿司ざんまい」の文字と魚の図を一体の商標として認識するとは考えがたく、「宅配専門」及び「寿司ざんまい」の文字と魚の図は、別々の商標として認識されるものといえる。 このため、本件商標と使用商標8ないし使用商標10とは、まず、魚の図の有無において、その構成が大きく異なる。
したがって、本件商標と使用商標8ないし使用商標10とは、外観はもとより、称呼及び観念も異なるものであるから、社会通念上同一の商標ということはできない。
(ウ)本件商標と使用商標11及び使用商標12の同一性
使用商標11及び使用商標12は、「寿司ざんまい」の文字からなるものであるところ、本件商標と使用商標11及び使用商標12を比較すると、「宅配専門」の文字及び魚の図の有無が明らかに異なる。また、使用商標11及び使用商標12が「寿司ざんまい」の文字からなるものであるのに対し、本件商標は「ざんまい」にとどまり、「寿司」の文字の有無においても異なる。
したがって、本件商標と使用商標11及び使用商標12とは、外観はもとより、称呼及び観念も異なるものであるから、社会通念上同一の商標ということはできない。
(6)まとめ
以上のとおりであるから、乙各号証のいずれをもってしても、商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものではなく、同項で定める登録商標の使用を証明したということはできないから、本件商標の商標登録は取り消されるべきである。
3 口頭審理陳述要領書(平成29年4月19日付け)
(1)乙第5号証について
被請求人は、乙第5号証については、同号証に記載の「五日市店」が閉店しているとして、その他に何ら主張、証明するところはない。
よって、乙第5号証をもって、被請求人による本件商標の使用が証明されたということができない。
(2)乙第6号証について
被請求人は、被請求人が経営する寿司の宅配専門店のホームページであるとして、乙第18号証及び乙第19号証を提出しているが、そもそも、乙第18号証及び乙第19号証のホームページが要証期間内に表示されていたことが証明されているわけではない。
また、被請求人は、古賀店の飲食店営業許可証であるとして乙第20号証を提出しているが、営業許可証の許可有効期間は、許可の期限を表しているにすぎず、その有効期間内に古賀店が実際に本件審判請求に係る指定商品の業務を行っていることを証明するものとはならない。
加えて、本件審判請求は、第30類「すし」に係るものであるが、同許可証は「飲食店営業」に係るものであるから、第30類「すし」に係る業務を行っていたことを証明するものともならない。
そして、営業を行っていたことと本件商標の使用をしていたことは別の行為であるから、乙第18号証ないし乙第20号証をもって、乙第6号証の配布期間が証明されたということはできない。
(3)乙第7号証及び乙第8号証について
被請求人は、乙第7号証及び乙第8号証のジャンパーについて、購入履歴画面であるとして乙第21号証を提出している。
しかし、仮に、このジャンパーを被請求人が購入しているとしても、テレビコマーシャルに被請求人代表者が当該ジャンパーを着用して登場していると主張する以外に、これが、本件審判請求に係る指定商品の取引者、需要者が目にするような方法で「展示」されたことは証明されていない。
したがって、テレビコマーシャル以外に、このジャンパーをもって、本件商標の使用をしているということはできない。
なお、被請求人は、ジャンパーに表示されている使用商標4と本件商標を社会通念上同一であると主張しているが、両商標が社会通念上同一といえないことは、請求人が弁駁書で述べたとおりである。
(4)被請求人のテレビコマーシャルについて
被請求人は、テレビコマーシャルの画面として乙第23号証ないし乙第29号証を提出している。
しかし、そこに表示されている標章は、使用商標4と同一と思しき形状であるところ、請求人が使用商標4について弁駁書において述べたのと同様に、本件商標と使用商標とは社会通念上同一とはいえないものである。
しかも、被請求人は、それらテレビコマーシャルの放映時期を証明するものとして、乙第30号証ないし乙第36号証を提出しているが、乙第23号証ないし乙第29号証のテレビコマーシャルが乙第30号証ないし乙第36号証に記載されているテレビコマーシャルと同一であることは何ら証明されていない。
したがって、乙第23号証ないし乙第29号証のテレビコマーシャルをもって、本件商標と社会通念上同一の商標を要証期間内に使用をしていることが立証されたということはできない。
(5)行橋店の広告用冊子について
被請求人は、行橋店の広告用冊子、同店の飲食店営業許可証、印刷会社の伝票及び運送会社の伝票を乙第37号証ないし乙第41号証として提出している。
そして、乙第37号証の行徳店の広告用冊子とされる冊子には、その右側に、丸い輪郭内に2段に横書きで「宅配専門」の文字、その下に縦書きで「寿司ざんまい」の文字及び前掛けをした鯛と思しき魚の図を配した商標(以下「使用商標13」という。)が表示されている。
しかし、本件商標と使用商標13とは、「寿司」の文字の有無、魚の図の前掛け部の「すし」の文字の有無、「宅配専門」の文字を囲む輪郭の形状、全体の文字及び図形の配置関係が異なるものであり、社会通念上同一とはいえないものである。
また、乙第39号証ないし乙第41号証の伝票も、乙第37号証の有効期限の数か月前に「寿司リーフレット」が印刷、行橋店に送付されたことを表すにとどまり、乙第37号証が印刷、送付されたことまでを証明するものでもない。
したがって、乙第37号証ないし乙第41号証をもって、本件商標と社会通念上同一の商標を要証期間内に使用をしていることが立証されたということはできない。
(6)被請求人の広告用冊子のポスティングについて
被請求人は、被請求人が使用する広告用冊子は全直営店に共通であるとし、乙第42号証及び乙第43号証を提出し、本件商標と社会通念上同一の商標が付された広告用冊子(乙6及び乙37)が要証期間内に指定商品に使用していたことが証明されたと主張している。
しかし、乙第42号証及び乙第43号証によってポスティングされたものがいかなるものであるのかは何ら証明されていない。
また、乙第37号証の行橋店についても、乙第42号証の株式会社アド.ライクの請求書には記載されているが、乙第37号証は、乙第39号証によれば「1,157,900部」印刷されていると主張しているが、乙第42号証の株式会社アド.ライクの請求書の部数は「5,000枚」と記載されており、その部数があまりにも異なるし、「冊子」であるのに「枚」としていることにも違和感を禁じ得ない。しかも、乙第42号証の株式会社アド.ライクの請求書の日付は平成28年5月30日とされているところ、乙第37号証を配布したとする平成27年2月の時期ともあまりにも違いすぎる。これらを踏まえると、乙第42号証の株式会社アド.ライクの請求書に係るポスティングは、乙第37号証に係る広告用冊子であるということはできない。
したがって、乙第42号証及び乙第43号証をもって、乙第6号証及び乙第37号証の広告用冊子が要証期間内に頒布されたことが証明されたということはできないから、本件商標を要証期間内に使用したことが証明されたということはできない。
(7)まとめ
以上のとおりであるから、乙各号証のいずれをもってしても、商標法第50条第2項で定める登録商標の使用を証明するに十分なものではなく、同項で定める登録商標の使用を証明したということはできないから、本件商標の商標登録は取り消されるべきである。
4 上申書(平成29年6月7日付け)
被請求人は、口頭審理陳述要領書において、被請求人の社用車の写真とされる乙第9号証について、「乙第9号証については、本件商標の使用を立証するための証拠物件を確認中です。準備が整い次第提出する所存です。」と主張している。
しかし、被請求人は、口頭審理においても、それら証拠を提出しなかった。このことは、被請求人が乙第9号証の社用車に関連しての本件商標の使用を立証できなかったことを物語るものであるから、当該社用車をもってしても、本件商標が要証期間内にその指定商品について使用されていたことが証明されたということはできない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、と答弁し、その理由を答弁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第43号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人について
被請求人は、平成8年12月に設立された福岡県北九州市八幡西区に本社を置く法人であり、その事業内容は、寿司・ピザの宅配業や、出張回転寿司業や、全国の特産物の通販業など多岐に渡る(乙2)。
(2)被請求人が行う寿司の宅配業について
被請求人は寿司の製造販売を行っており、当該事業を行うための店舗として福岡県を中心に28店舗展開し(乙3)、当該寿司の販売事業は宅配専門で行っている。
(3)本件商標について
本件商標は別掲1のとおりであり、大きく分けて3つの構成要素からなる。具体的には、一文字ずつ四角で囲まれた漢字4文字「宅配専門」(以下「構成要素1」という。)と、魚のキャラクターとして図案化された鯛の絵(以下「構成要素2」という。)と、平仮名4文字「ざんまい」(以下「構成要素3」という。)である。
そして、本件商標において構成要素1「宅配専門」は同じ角度で左側に傾斜している。また、構成要素2「鯛の図」は頭部を左向きにして配置するとともに、胴部の中途部から下方へ屈曲させて尾部を下方に配置するという魚の立姿風に図案化されており、頭部には白色のねじり鉢巻きをし、胴部には白色の前掛けをしている。また、構成要素3「ざんまい」は独特の書き文字風書体で金色に赤色の縁取りで書されている。
また、本件商標に係る指定商品は第30類「すし」である。
(4)被請求人の使用商標について
ア 乙第5号証について
乙第5号証は、被請求人の寿司の製造販売業に係る広告用チラシである。被請求人は、当該広告用チラシを読売新聞や、朝日新聞や、西日本新聞や、日経新聞の折り込み広告として、または各家庭のポストに配布するなどして広く需要者に頒布している。
乙第5号証には被請求人が販売する商品「すし」が多数掲載されており、乙第5号証が商品「すし」の販売の広告に用いられていることは明らかである。
また、乙第5号証の左下には、使用商標1が表示されている。
以上より、被請求人が使用商標1を商品「すし」に関する広告に付して頒布していることは明らかであり、よって、被請求人は使用商標1を指定商品「すし」について使用している(商標法第2条第3項第8号)。
使用商標1は、本件商標と同様に構成要素1「宅配専門」と、構成要素2「鯛の図」と、構成要素3「ざんまい」を含むものである。そして、個々の態様は色彩も含め本件商標に係るものと同一である。
ここで、「鯛の図」と「ざんまい」の間には赤色で縁取りされた金色文字「寿司」が小さく配されており、また、鯛の図の前掛けには「すし」の文字が表示されているが、これら「寿司」及び「すし」の文字は被請求人が製造販売する商品「すし」を表しているにすぎず、識別力のない付加的表示である。
以上より、使用商標1は本件商標と同一の称呼及び観念を生じさせるものであり、よって、本件商標と社会通念上同一の商標である。
また、乙第5号証の右端中央には「※ご利用期間:2014年4月30日(水)まで」の表示があり、当該広告用チラシがある時点から本件要証期間内の2014年4月30日まで継続して使用されていることがわかる。
さらに、乙第5号証は日本語で作成されており、国内で使用されたことは明らかである。
以上より、被請求人が、日本国内において、要証期間内に本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品「すし」について使用(商標法第2条第3項第8号)していたことは明らかである。
イ 乙第6号証について
乙第6号証は、被請求人の寿司の製造販売業に係る広告用冊子である。被請求人は、定期的にこのような冊子を作成し、各家庭のポストに投函するなどして広く需要者に頒布している。
乙第6号証には被請求人が販売する商品「すし」が多数掲載されており、乙第6号証が商品「すし」の販売の広告に用いられていることは明らかである。
次に、乙第6号証の表紙上部には、使用商標2が表示されている。
以上より、被請求人が使用商標2を商品「すし」に関する広告に付して頒布していることは明らかであり、よって、被請求人は使用商標2を指定商品「すし」について使用している(商標法第2条第3項第8号)。
そして、使用商標2は配置が若干異なるものの、本件商標と同様に、構成要素1「宅配専門」と、構成要素2「鯛の図」と、構成要素3「ざんまい」を含むものであり、使用商標2は本件商標と社会通念上同一の商標である。
次に、乙第6号証の見開き第1ページ右上には使用商標3が表示されている。
使用商標3には構成要素1「宅配専門」が無いものの、「宅配専門」とは被請求人の業態を表しているにすぎずそもそも識別力が無い。
次に、本件商標と使用商標3に係る構成要素2「鯛の図」は、使用商標3の方が頭がやや起き上がってはいるものの、いずれも同視し得る図である。即ち、左向きで赤色の鯛のキャラクター図であり、いずれもねじり鉢巻きと前掛けをしている。
また、構成要素3「ざんまい」は本件商標とは色彩が異なるものの、特徴的部分である独特な書体、そして称呼及び観念が共通する。
また、「鯛の図」と「ざんまい」の間には赤文字「寿司」が小さく配されており、また、鯛の図の前掛けには「すし」の文字が表示されているが、これら「寿司」及び「すし」の文字は被請求人が取扱う商品「すし」を表しているにすぎず識別力のない付加的表示である。
よって、使用商標3は本件商標と社会通念上同一の商標である。
そして、乙第6号証表紙の使用商標2の右下には「カタログ有効期限:2013年10月31日迄」の表示があり、当該広告用冊子がある時点から本件要証期間内の2013年10月31日まで継続して使用されていることがわかる。
さらに、乙第6号証は日本語で作成されており、国内で使用されたことは明らかである。
以上より、被請求人が、日本国内において、要証期間内に本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品「すし」について使用(商標法第2条第3項第8号)していたことは明らかである。
ウ 乙第7号証及び乙第8号証について
乙第7号証及び乙第8号証は、2016年10月7日に撮影した被請求人の従業員用ジャンパーの写真である。乙第7号証が夏用、乙第8号証が冬用であり、被請求人は2014年10月頃から商品を宅配する際や、寿司のケータリングサービスをする際などに当該ジャンパーを着用している。
乙第7号証及び乙第8号証の右上には、構成要素1ないし構成要素3を含む使用商標4が表示されている。
ここで、当該ジャンパーは需要者に対し、着用者が被請求人の従業員であることを示すとともに、宣伝広告機能も発揮している。
即ち、被請求人は使用商標4を指定商品「すし」に関する広告として使用している(商標法第2条第3項第8号)。
そして、使用商標4は本件商標と同様に、構成要素1「宅配専門」と、構成要素2「鯛の図」と、構成要素3「ざんまい」を含むものであり、構成要素1「宅配専門」の位置がやや右寄りではあるものの、使用商標4は本件商標と社会通念上同一の商標である。
以上より、被請求人が、日本国内において、要証期間内に本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品「すし」について使用(商標法第2条第3項第8号)していたことは明らかである。
エ 乙第9号証について
乙第9号証は2016年10月7日に被請求人の社用車を撮影した写真である。
乙第9号証には、構成要素1ないし構成要素3を含む使用商標5の表示があり、使用商標5は本件商標と社会通念上同一の商標である。
そして、被請求人は乙第9号証に写された社用車を2004年9月より使用しており、撮影日である2016年10月7日現在使用中である。よって、使用商標5が要証期間内において継続して使用されていることがわかる。
さらに、乙第9号証の表示が日本語であることから、当該社用車が日本国内で使用されていることは明らかである。
以上より、被請求人が、日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品「すし」について使用(商標法第2条第3項第8号)していたことは明らかである。
オ 乙第10号証ないし乙第17号証について
乙第10号証ないし乙第17号証は2016年10月7日に被請求人店舗の外観を撮影した写真であるが、各々に構成要素1、構成要素2、そして構成要素3を含む商標の表示がある。
具体的な店舗名とこれらの商標の使用開始月は次のとおりである。
・乙第10号証 古賀店 2012年11月
・乙第11号証 宇部店 2012年9月
・乙第12号証 行橋店 2012年5月
・乙第13号証 門司店 2015年5月
・乙第14号証 博多店 2010年3月
・乙第15号証 到津店 2015年5月
・乙第16号証 小野田店 2012年10月
・乙第17号証 折尾店 2012年6月
ここで、各店舗に表示された商標は本件商標とは配置や色彩が異なる。
しかしながら、構成要素1「宅配専門」については一文字ずつ四角で囲まれている点、構成要素2「鯛の図」については左向きのねじり鉢巻きと前掛けをした赤色の鯛のキャラクター図である点、構成要素3「ざんまい」については独特の書体である点といった、各要素の特徴的な部分は本件商標と共通する。また、称呼や観念も共通する。
よって、乙第10号証ないし乙第17号証に表示された構成要素1ないし構成要素3を含む商標と本件商標とでは、看者に与える識別性に変わりはない。
したがって、乙第10号証ないし乙第17号証に表示された商標は本件商標と社会通念上同一の商標である。
また、乙第10号証ないし乙第17号証に表示された使用商標の開始月は上記のとおりであり、撮影日である2016年10月7日現在使用中である。よって、これらの使用商標が要証期間内において継続して使用されていることがわかる。
さらに、乙第10号証ないし乙第17号証の店舗が国内にあることは、店舗名や電話番号やその他の表示から明らかである。
以上より、被請求人が、日本国内において、要証期間内に本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品「すし」について使用(商標法第2条第3項第8号)していることは明らかである。
カ 小括
以上より、本件商標権の権利者である被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において指定商品「すし」について本件商標を使用していることは明らかである。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は被請求人(商標権者)により本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件審判請求に係る指定商品について使用されているものである。
2 口頭審理陳述要領書(平成29年4月5日付け)
(1)乙第5号証について
乙第5号証に記載の「五日市店」は、平成28年1月末に閉店しており、本件商標の使用を証明するための追加資料を確認することができなかった。
(2)乙第6号証について
乙第18号証は、被請求人が経営する寿司の宅配専門店のホームページの会社概要である。トップページ(乙19)の「会社案内」をクリックすると乙第18号証が開く。
乙第18号証の社名には、「株式会社ハマサキ・ホールディング」とある。また、本社所在地の「福岡県北九州市八幡西区竹末1丁目15番10号」は、被請求人の住所と一致する。
よって、被請求人が、乙第18号証及び乙第19号証に係る寿司の宅配専門店を営んでいることがわかる。
また、同ホームページ内の店舗案内(乙3)の2頁目には、上から6行目に「古賀店」の記載がある。当該古賀店の住所及び電話番号は、乙第6号証の古賀店の住所及び電話番号と一致する。
よって、当該古賀店が被請求人が営業する店舗であることがわかる。
さらに、乙第20号証は、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第52条の規定に基づく、上記古賀店の飲食店営業許可証の写真である。「1 営業所所在地」は、乙第3号証及び乙第6号証の古賀店の住所と一致する。そして、乙第20号証の住所及び氏名には、被請求人の名称と住所が記載されています。よって、乙第6号証に記載の古賀店は、フランチャイジーによるものではなく、被請求人が営業許可を得て、自ら営業している店舗であることがわかる。
以上より、被請求人の名称の記載はないものの、乙第6号証が被請求人によって使用されていることは明らかである。
また、乙第20号証の営業許可有効期間は平成23年7月1日から平成29年6月30日までとなっており、当該有効期間には要証期間が含まれる。
乙第6号証がすしの宅配業に用いられる広告用冊子であることは、その記載内容から一目瞭然である。
よって、常識的に考えれば、乙第6号証が、要証期間に含まれる有効期限(2013年10月31日)までに需要者に配付されたことは明らかである。
(3)乙第7号証および乙第8号証について
乙第21号証は、インターネット上でユニフォーム製作の受注販売を行う「ユニフォームタウン」のサイト内の購入履歴画面を印刷したものである。
右上にはオレンジ色で「株式会社ハマサキ・ホールディング」の記載があるので、乙第21号証が被請求人の購入履歴画面であることは明らかである。
そして、乙第21号証下段の1件目(受注NO:m-345013)は乙第8号証を、上段の2件目(受注NO:m-356692)は乙第7号証を、それぞれ試しに購入した際の購入履歴である。各注文明細から、ジャンパーの右上には、乙第7号証及び乙第8号証に表示された商標を表示する内容で注文されたことがわかる。
さらに、後述する、2014年12月以降に放送された被請求人のテレビコマーシャルには、乙第7号証(夏用)のジャンパーを着用した被請求人の代表者が登場する。
よって、乙第7号証が、早ければ注文後の2014年10月頃から、遅くとも上記テレビコマーシャルの放送が開始された2014年12月頃から被請求人の社員らによって着用され、宣伝広告機能を発揮していることがわかる。
また、当該テレビコマーシャルは被請求人の営む寿司の宅配専門店、すなわち商品「すし」を宣伝広告するためのものである。
さらに、平成28年10月26日付答弁書で述べたとおり、乙第7号証及び乙第8号証には、本件商標と社会通念上同一の使用商標4が表示されている。
以上より、被請求人が要証期間内に本件商標と社会通念上同一の使用商標4を指定商品「すし」について使用していたことは明らかである。
(4)乙第9号証について
乙第9号証については、本件商標の使用を立証するための証拠物件を確認中であり、準備が整い次第提出する。
(5)被請求人のテレビコマーシャルについて
被請求人は、2013年から現在に至るまで、広告代理店株式会社エスプラン(佐賀市鬼丸町17-17。以下「エスプラン」という。)を通して、寿司の宅配業について年に数回テレビコマーシャルを行っている。放送するテレビ局は、山口県の山口放送株式会社や、福岡県の九州朝日放送株式会社及び株式会社福岡放送である。
乙第22号証は、要証期間内である2013年8月から2016年8月までに、被請求人が行ったテレビコマーシャルのデータである。
2014年1月までは、乙第22号証に保存された「CM30秒寿司&ピザ_2013.mp4」や「CM30秒寿司&ピザ_2014.mp4」のように、タレントを起用し、前半部分で寿司の宅配を、後半部分でピザの宅配を宣伝する内容で放送を行っていた。寿司の宅配を宣伝する場面では、別掲3の構成からなる商標(以下「使用商標14」という。)が表示される(乙23)。また、最後の場面では、別掲4の構成からなる商標(以下「使用商標15」という。)、及び被請求人名称の英語表記「HAMASAKI HOLDING CO.LTD.」が表示され(乙24)、「ハマサキ・ホールディング」のナレーションが入る。
以上より、「CM30秒寿司&ピザ_2013.mp4」及び「CM30秒寿司&ピザ_2014.mp4」が、被請求人が営む寿司の宅配業のテレビコマーシャルのデータであること、及びこれらのコマーシャルの中で構成要素1ないし構成要素3を含む本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていることが立証される。
また、22号証の「CM30秒寿司&ピザ_2013.mp4」や「CM30秒寿司&ピザ_2014.mp4」以外のデータは、2014年12月以降に放送されたテレビコマーシャルのデータである。各データは基本となるベースは同一内容であるが、途中で表示される創業年数や、最後の場面で表示及びナレーションされる「お盆」や「父の日」などのイベント名は放送時期に合わせて変更している。いずれにおいても、中盤で別掲5の構成からなる商標(以下「使用商標16」という。)の表示が、また、最後の場面で別掲6の構成からなる商標(以下「使用商標17」という。)が表示される。参考までに、一部のデータの静止画面を提出する(乙25ないし乙29)。
次に、乙第30号証は、被請求人の社員片山幸男氏が、本件審判用に被請求人のテレビコマーシャルの放送実績をまとめたTVCM放映リストであり、乙第22号証の放送期間や放送したテレビ局などの情報を一覧表にしたものである。
ここで、乙第30号証の「放送確認書(FAXページNo)」とは、放送局が発行する、テレビコマーシャルの放送証明書「テレビスポット放送確認書」を指すが、乙第30号証に記載されたすべての放送について放送確認書が発行されている(乙31、乙32)。すなわち、乙第30号に記載された内容で、乙第22号証のテレビコマーシャルが放送されたことが立証される。
また、乙第31号証及び乙第32号証の宛名は、広告代理店エスプランとなっているが、それぞれ広告主が被請求人名となっていることや、CM素材の内容から、これらが被請求人に係るテレビコマーシャル(乙22)の放送確認書であることは明らかである。
よって、使用商標16や使用商標17が、表示された被請求人のテレビコマーシャルが山口放送株式会社や、九州朝日放送株式会社や、株式会社福岡放送で放送されたことが立証される。
そして、使用商標16や使用商標17は、構成要素1ないし構成要素3を含むものであり、本件商標と社会通念上同一の商標である。
以上より、被請求人が要証期間内に本件商標と社会通念上同一の商標を本件商品「すし」について使用(商標法第2条第3項第8号)していたことは明らかである。
(6)行橋店の広告用冊子(乙37)について
乙第37号証は、被請求人が経営する寿司の宅配専門店の行橋店の広告用冊子である。乙第3号証第1頁の下から2行目には行橋店(行橋市行事4-1-1)の記載があり、当該住所は乙第37号証の裏表紙に記載された住所と一致する。
さらに、乙第38号証は、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第52条の規定に基づく、行橋店の飲食店営業許可証の写真である。
「1 営業所所在地」は「行橋市行事4丁目1-1」となっており、乙第3号証及び乙第37号証の行橋店の住所と一致する。
そして、乙第38号証の住所及び氏名には、被請求人の名称と住所が記載されている。
以上より、乙第37号証に記載の行橋店は、フランチャイジーによって経営されているものではなく、被請求人が自ら営業許可を得て、自ら営業している店舗であることがわかる。
また、乙第38号証の営業許可有効期間は平成24年4月23日から平成32年3月31日までとなっており、当該有効期間には要証期間が含まれる。
以上より、乙第37号証には被請求人の名称の記載はないものの、乙第37号証に記載の行橋店が被請求人により営業されていること、すなわち、乙第37号証が被請求人によって使用されていることは明らかである。
ここで、被請求人は、乙第6号証や乙第37号証などの広告用冊子を、以前は3ヶ月に1回、最近では2ヶ月に1回のペースで作成している。各冊子にはカタログ有効期限が印字されるが、通常、有効期限の2ヶ月ほど前迄には各家庭等へポスティングして配付する。
被請求人は、2014年9月より、これらの広告用冊子の印刷・製本を大成印刷株式会社(福岡市博多区東那珂3-6-62。以下「大成印刷」という。)に依頼している。
乙第39号証は、乙第37号証を作成した際の大成印刷の注文伝票の写しである。得意先には「ハマサキ・ホールディング」、品名には「寿しパンフレット(直営28店)」、数量には「1,157,900部」の記載がある。これにより、直営店28店舗用の冊子乙第37号証が「1,157,900部」発注されたことがわかる。
さらに、受注年月日は平成26年10月28日であり、納品日時は平成26年11月21日?である。乙第37号証のカタログ有効期限は2015(平成27)年4月30日であるから、通常であれば、その2ヶ月ほど前の2015年2月末頃までには配布を終えることになる。したがって、乙第37号証の配布期間は2014年11月末?2015年2月の3ヵ月となり、上記説明と一致する。
さらに、乙第39号証の規格・寸法は乙第37号証と一致する。よって、乙第39号証が乙第37号証の注文伝票であることは明らかであり、乙第41号証は、大成印刷が、上記行橋店に乙第37号証の一部を納品した際の運送会社(福山通運)の配送伝票のお客様控の写しである。摘要欄にNo.4043327の記載があるが、これは乙第39号証の左の上の伝票No.と一致する。
また、品名には、「《1/5AM必着厳守》」「寿司リーフレット(8P)6,300部」の表示がある。よって、乙第39号証で受注した冊子の内、6,300部が要証期間内の平成27年1月に被請求人の行橋店に納品されたことは明らかである。
ここで、乙第37号証には、構成要素1ないし構成要素3を含む商標(使用商標13:別掲2)が表示されている。
そして、被請求人の広告用冊子は、後述するとおり、各店舗所在地域のポスティング業者によって、カタログ有効期限の2ヶ月ほど前までには、需要者へ配付される。乙第37号証も同様に配付された。
以上より、被請求人が要証期間内である2014年11月末?2015年2月頃末にかけて本件商標と社会通念上同一の商標が付された乙第37号証を本件指定商品に使用(商標法第2条第3項第8号)していたことは明らかである。
(7)被請求人の広告用冊子のポスティングについて
被請求人は、大成印刷が各店舗へ納品した広告用冊子を、需要者である店舗周辺の各家庭等ヘポスティングするが、当該ポスティング作業は、各店舗所在地域のポスティング業者に依頼している。被請求人の店舗は広範囲に多数存在するため、多数のポスティング業者を利用している。
被請求人よりポスティングの依頼を受けたポスティング業者は、披請求人の各店舗で広告用冊子を受け取り、被請求人の指示に従ってポスティングを行っている。
乙第42号証は、上記ポスティング業者の内、「株式会社毎日メディアサービス山口」及び「株式会社アド.ライク」からの請求書である。
株式会社毎日メディアサービス山口の請求書には、担当部署として「下関ポス事業部」の記載があり、また、明細の項目は「配布物名1」となっている。
一方、「株式会社アド.ライク」の請求書の品名には「ポスティング」の記載がある。
よって、これらの請求書がポスティングに関するものであることがわかる。
また、各請求書の宛名は被請求人であり、明細には被請求人の店舗名が記載されている。
よって、「株式会社毎日メディアサービス山口」及び「株式会社アド.ライク」が被請求人の広告用冊子を配布・ポスティングしていることがわかる。
すなわち、本件商標と社会通念上同一の商標が付された広告用冊子(乙6、乙37)が、要証期間内に、需要者に対して頒布されたことがわかる。
よって、被請求人が、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標を本件指定商品に使用していたこと(商標法第2条第3項第8号)は明らかである。
(8)むすび
以上より、本件商標は被請求人(商標権者)により本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件審判請求に係る指定商品「すし」について使用されていたことは明らかである。
よって、本件商標登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠について
(1)被請求人の店舗一覧
乙第3号証は、被請求人が経営する寿司の宅配専門店のホームページの店舗案内である。
これには、「店舗一覧」として、28店舗の店舗名、住所等が記載されているが、「五日市店」の記載はない。
(2)五日市店の広告用チラシ
乙第5号証は、被請求人の広告用チラシ(五日市店)とされるものである。
これには、使用商標1が表示され、中程に「期間限定/新規オープン記念特典/20%OFF!!」の記載とともに「※ご利用期間:2014年4月30日(水)まで」の記載がある。
(3)古賀店の広告用冊子
ア 乙第6号証について
乙第6号証は、被請求人の広告用冊子(古賀店)である。
これには、1葉目に使用商標2が表示され、その下には「カタログ有効期限/2013年10月31日迄」の記載があり、2葉目の左上に使用商標3が表示されている。
イ 乙第20号証について
乙第20号証は、被請求人が経営する寿司の宅配専門店「古賀店」の飲食店営業許可証の写真である。
これには、上段に被請求人の住所及び名称が記載され、その下に「平成23年5月16日付けで申請のあった飲食店営業(すし)営業については、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第52条の規定に基づき、下記の条件を付けて許可します。」の記載があり、中段に「平成23年6月20日」及び福岡県粕屋保健福祉事務所長の氏名が記載され、押印されている。
また、下段には「営業所所在地」として「古賀市花見東7丁目14-1」の記載、及び「営業許可有効期間」として「平成23年7月1日から平成29年6月30日まで」の記載がある。
(4)行橋店の広告用冊子
ア 乙第18号証について
乙第18号証は、被請求人が経営する寿司の宅配専門店のホームページの会社案内である。
これには、「会社概要」欄に「事業内容」として「寿司の宅配業(直営店29店舗・FC店5店舗)」の記載がある。
イ 乙第37号証について
乙第37号証は、被請求人の広告用冊子(行橋店)である。
これには、使用商標13が表示され、左上に「今まで愛されて17年。/これからも宅配寿司なら寿司ざんまい。」の記載、及び中程に「カタログ有効期限/2015年4月30日まで」の記載がある。
ウ 乙第38号証について
乙第38号証は、被請求人が経営する寿司の宅配専門店「行橋店」の飲食店営業許可証の写真である。
これには、上段に被請求人の住所及び名称が記載され、その下に「平成24年4月20日付けで申請のあった飲食店営業(すし)営業については、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第52条の規定に基づき、下記の条件を付けて許可します。」の記載があり、中段に「平成24年4月23日」及び福岡県京築保健福祉環境事務所長の氏名が記載され、押印されている。
また、下段には「営業所所在地」として「行橋市行事4丁目1-1」の記載、及び「営業許可有効期間」として「平成24年4月23日から平成32年3月31日まで」の記載がある。
エ 乙第39号証について
乙第39号証は、広告用冊子(乙37)を作成した際の大成印刷の注文伝票である。
これには、「伝票No.」欄に「4043327」の記載、「得意先」欄に「ハマサキホールディング」の記載、「得意先納品日時」欄に「26年11月21?」の記載、「品名」欄に「寿しリーフレット(直営28店)」の記載、「数量」欄に「1,157,900部」の記載がある。
オ 乙第41号証について
乙第41号証は、福山通運の配送伝票の「お客様控」である。
これには、左上に「26年12月」の記載、「お届け先」欄に「福岡県行橋市行事4丁目1-1/寿司ざんまい、ミラノピザ 行橋店 様」の記載、「荷送人」欄に「大成印刷 株式会社」の記載、「品名」欄に「指定日着《1/5AM必着厳守》/・寿司リーフレット(8P)/6,300部/・ピザリーフレット(16P)/11,000部/〈(株)ハマサキホールディング様ご依頼分〉」の記載及びその下部に「寿司11、ピザ4/No.4043327,4043331」の記載がある。
カ 乙第42号証について
乙第42号証は、ポスティング業者の請求書であり、その2葉目は、株式会社アド.ライクから被請求人宛の28年5月30日付けの請求書である。
これには、「品名」欄に「行橋・苅田 ポスティング/(寿司ざんまい 行橋店様分)」の記載及び「数量」欄に「5,000枚」の記載がある。
(5)従業員用ジャンパー及び社用車
ア 乙第7号証ないし乙第9号証について
乙第7号証及び乙第8号証は、2016年10月7日に撮影された、被請求人の夏用及び冬用ジャンパーの写真であり、これには、ジャンパーの胸元に使用商標4が表示されている。
乙第9号証は、2016年10月7日に撮影された、被請求人の社用車の写真であり、これには、自動車の側面に使用商標5が表示されている。
イ 乙第21号証について
乙第21号証は、「ユニフォームタウン」のウエブサイトにおけるジャンパーの購入履歴画面の写しである。
これには、右上に被請求人の名称が表示され、「購入履歴・再注文(名入れ有り)」のタイトルの下、2着のジャンパーの注文明細が表示されている。
(6)被請求人の店舗の外観
乙第10号証ないし乙第17号証は、2016年10月7日に撮影された、被請求人の古賀店、宇部店、行橋店、門司店、博多店、到津店、小野田店及び折尾店の外観写真である。
これらには、各店舗の看板又は外壁等に「宅配専門」、「魚のイラスト」及び「寿司ざんまい」の文字及び図形を構成要素とする使用商標6ないし使用商標12が表示されている。
(7)テレビコマーシャル
ア 乙第22号証について
乙第22号証は、被請求人のテレビコマーシャルのデータを記録したCD-Rである。
イ 乙第23号証ないし乙第29号証について
乙第23号証ないし乙第29号証は、乙第22号証に記録されたテレビコマーシャルの静止画面の写しである。
これには、使用商標14(乙23)、使用商標15及び「HAMASAKIHOLDING CO.,LTD.」の文字(乙24)、使用商標16及び使用商標17(乙25?乙29)が表示されている。
ウ 乙第30号証について
乙第30号証は、被請求人の社員が、テレビコマーシャルの放送実績をまとめた「TVCM放映リスト」である。
これには、2013年8月から2016年8月までの放送期間、放送確認書、放送局、放送料、スポット表ファイル名及びビデオファイル名が表形式で記載されている。
エ 乙第31号証及び乙第32号証について
乙第31号証及び乙第32号証は、山口放送株式会社、九州朝日放送株式会社、株式会社福岡放送及び山口朝日放送株式会社が、広告主である被請求人に宛てた「テレビスポット放送確認書」である。
これには、2013年8月から2016年8月放送分の放送日、放送時刻、CM秒数及びCM素材の内容等が記載されている。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標の要証期間内の使用について
ア 五日市店の広告用チラシ
乙第5号証は、被請求人の広告用チラシ(五日市店)とされるものであるが、被請求人は、寿司の製造販売を行っており、該事業を行うため福岡県を中心に28店舗展開しているとして、乙第3号証(ホームページの写し)を提出しているが、「店舗一覧」として紹介されている中に「五日市店」は記載されていない上、被請求人が運営する店舗であることの立証はない。
また、チラシ中の「※ご利用期間:2014年4月30日(水)まで」の記載からすれば、該チラシは要証期間内のものであることは推認できるが、被請求人の主張における該チラシを新聞の折り込み広告又は各家庭のポストに配布したことの立証はなく、頒布の事実を確認することができない。
してみれば、該チラシには使用商標1が表示されているとしても、これをもって、要証期間内において被請求人(商標権者)が本件商標を使用したものと認めることはできない。
イ 古賀店の広告用冊子
乙第6号証は、被請求人の広告用冊子(古賀店)であり、記載されている「古賀店」は、飲食店営業許可証(乙20)の記載内容から、被請求人が営業する店舗であること、及び、1葉目に記載された「カタログ有効期限/2013年10月31日迄」の記載からすれば、要証期間内のものであることは推認できるものの、被請求人の主張における該冊子の定期的な作成及び各家庭のポストへの投函が、要証期間に実施されたことの立証はなく、頒布の事実を確認することができない。
してみれば、該広告用冊子には使用商標2及び使用商標3が表示されているとしても、これをもって、要証期間内において被請求人(商標権者)が本件商標を使用したものと認めることはできない。
ウ 行橋店の広告用冊子
乙第37号証は、被請求人の広告用冊子(行橋店)であり、記載されている「行橋店」は、飲食店営業許可証(乙38)の記載内容から、被請求人が営業する店舗であること、及び、1葉目に記載された「カタログ有効期限/2015年4月30日まで」の記載からすれば、要証期間内のものであることが推認でき、これには使用商標13が表示されている。
そして、被請求人のホームページ(乙18)には、被請求人の会社概要が記載されており、その中の「事業内容」として「寿司の宅配業」の記載があり、被請求人が営業している「行橋店」の広告用冊子(乙37)には、「宅配専門」及び「これからも宅配寿司なら寿司ざんまい」の記載があり、被請求人は、「寿司の宅配業」を営んでいることがわかる。
注文伝票(乙39)に記載されている得意先が被請求人であること、品名が「寿しの広告用印刷物・ちらし」と同義と認められる「寿しリーフレット」であること及び納品日時の約5ヵ月後が広告用冊子(乙37)の有効期限であることに照らせば、この注文伝票は、行橋店の広告用冊子を含め、被請求人が運営する直営28店舗分の広告用冊子の注文伝票とみて差し支えない。
そして、注文伝票(乙39)に記載された「伝票No.」と同じ番号が配送伝票(乙41)の品名欄の下に記載されていること及び「寿しリーフレット」の納品日時が「26年11月21日?」となっており(乙39)、直営28店舗分のリーフレットの納品で、行橋店への納品(配送)がこれより約1ヵ月半の後になされていることからすれば、配送伝票(乙41)により配送された「寿司リーフレット」は、注文伝票(乙39)にある「寿しリーフレット」であるということができる。
そうすると、「行橋店」の広告用冊子に記載の有効期限、注文伝票に記載の納品日時及び配送伝票の記載内容からすれば、被請求人は、2015年(平成27年)4月30日を有効期限とする行橋店の広告用冊子を印刷発注し、平成26年11月21日から順次納品を受け、その内の6,300部が平成27年1月5日に大成印刷から行橋店に配送(納品)されたことが認められる。
また、被請求人は、ポスティング業者に依頼して広告用冊子を頒布している実態もある(乙42)。
そうすると、平成27年4月30日を有効期限とする広告用冊子が、同年1月5日に行橋店に6,300部納品されていることからすれば、これを頒布することなく保管していたとは考え難く、経験則上、被請求人は、納品された広告用冊子を頒布したことがうかがわれ、その時期及び方法についても、有効期限の2ヵ月前までにポスティングにより頒布したとする被請求人の主張に不自然な点はなく、また、該主張事実を否定すべき理由は見当たらない。
してみれば、被請求人は、使用商標13が掲載された広告用冊子をポスティング業者を通じて、平成27年1月から2月頃にかけて頒布したことが優に推認できるから、被請求人は、要証期間内に、使用商標13を使用したことを認めることができる。
エ 従業員用ジャンパー及び社用車
乙第7号証及び乙第8号証は、被請求人の従業員用ジャンパーの写真であり、乙第9号証は、被請求人の社用車の写真であるところ、被請求人は、商品を宅配する際に、該ジャンパーを着用し、該社用車を使用していると主張しているが、これらを着用又は使用して「すし」を販売等したことの立証はない上、これらの写真の撮影日は、要証期間経過後であるから、乙第7号証ないし乙第9号証は、要証期間内におけるジャンパーの着用又は社用車の使用の事実を証明するものではない。
また、被請求人は、該ジャンパーの購入履歴(乙21)を提出しているが、これが乙第7号証及び乙第8号証のジャンパーの購入履歴であるか不明であり、さらに、被請求人も主張しているとおり、試しに購入した購入履歴であって、その購入数も2着にすぎないことからすれば、商品の宅配に際して、従業員が着用していたジャンパーの購入履歴でないことは明らかである。
してみれば、該従業員用ジャンパーに使用商標4が、社用車に使用商標5が表示されているとしても、これをもって、要証期間内において被請求人(商標権者)が本件商標を使用したものと認めることはできない。
オ 店舗の外観
乙第10号証ないし乙第17号証は、被請求人がその事業を展開する店舗の外観を写した写真であるが、その撮影日は、要証期間経過後であり、要証期間内における各店舗の営業状況も確認することができない。
してみれば、たとえ各店舗の看板等に「宅配専門」、「魚のイラスト」及び「寿司ざんまい」の文字及び図形を構成要素とする使用商標6ないし使用商標12等が表示されているとしても、これをもって、要証期間内において被請求人(商標権者)が本件商標を使用したものと認めることはできない。
カ テレビコマーシャル
乙第22号証は、2013年8月から2016年8月までの期間に、被請求人が行ったテレビコマーシャルの音声入り動画を記録したCD-Rであり、乙第23号証ないし乙第29号証は、その静止画面である。
また、放送実績をまとめたTVCM放映リスト(乙30)には、放送期間、放送局、スポット表ファイル名及びビデオファイル名等が記載されており、その全ての放送に対して、各放送局が発行した「テレビスポット放送確認書」(乙31、乙32)が提出されていることから、TVCM放映リスト(乙30)の記載内容のとおりテレビコマーシャルの放映がされたものと認められる。
そして、各コマーシャルの内容としては、前半で「寿司の宅配」、後半で「ピザの宅配」を宣伝するものであり、「寿司の宅配」の宣伝の場面には、使用商標14ないし使用商標17(乙23?乙29)及び被請求人の英語表記(乙24)が表示され、かつ、「ハマサキホールディング」のナレーションが入っている(乙22)。
してみれば、被請求人は、要証期間内に放送された「寿司の宅配」に係るテレビコマーシャルにおいて、使用商標14ないし使用商標17を使用したことを認めることができる。
(3)社会通念上同一の商標の使用について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、左側に、はちまきと前掛けをした左向きの赤色の魚のイラストを描き、その上部には、やや傾いた、角が丸く、かつ、陰影を付けた4つの四角枠内に表示した赤色の「宅」、「配」、「専」、「門」の文字を横一列に並べ、その右側に大きく筆書き風の書体で赤い縁取りを付け、金色のグラデーションで彩色した特徴的な「ざんまい」の文字を配した構成からなるものである。
そうすると、本件商標は、その構成中の文字部分に相応して、「タクハイセンモンザンマイ」の称呼を生じるほか、構成中の「宅配専門」の文字は、業種を表したにすぎず、「ざんまい」の文字部分はこれ自体が独立して自他商品の識別標識として機能するものと認められるから、「ざんまい」の文字部分に相応して、単に「ザンマイ」の称呼をも生じ、「ざんまい」の文字は、「一つのことに心が専注された状態、(他の名詞に付いて濁音化し)一心不乱に事をするさま、むやみやたらにするさま」(広辞苑第6版)を表す「さんまい(三昧)」の濁音化した語であるとみるのが相当であるから、それ自体が具体的な観念を生じるとはいい難いものの、上記の漠然とした意味合いを想起させるものである。
イ 使用商標
上記(2)のとおり、被請求人(商標権者)による使用が認められる使用商標は、使用商標13ないし使用商標17である。
使用商標13は、別掲2のとおり、筆書き風の書体で白い縁取りがある赤色の「寿司ざんまい」の文字を縦書きして大きく表し、その右上には、円図形内に「宅配」及び「専門」の文字を二段に書し、左下には、はちまきと「すし」の文字を表示した前掛けをした左向きの赤色の魚のイラストを配した構成からなるものである。
また、使用商標14ないし使用商標17は、別掲3ないし別掲6のとおり、左側に、はちまきと「すし」の文字を表示した前掛けをした左向きの赤色の魚のイラストを描き、その右側に、上部には、やや傾いた、角が丸く、かつ、陰影を付けた4つの四角枠内に表示した「宅」、「配」、「専」、「門」の文字を横一列に並べ、下部には、筆書き風の書体で「寿司ざんまい」の文字を横書きした構成からなるものである。なお、使用商標17には、これと接するように赤色の円図形内に白抜き文字で「年中」及び「無休」の文字を二段書きしたものが表示されているが、該部分は、営業形態を表したにすぎないから、使用商標の構成要素とはみれない。
そうすると、使用商標13ないし使用商標17は、その構成中の文字部分に相応して、「タクハイセンモンスシザンマイ」の称呼を生じるほか、構成中の「宅配専門」の文字は、業種を表したにすぎず、「寿司ざんまい」の文字部分はこれ自体が独立して自他商品の識別標識として機能するものと認められるから、「寿司ざんまい」の文字部分に相応して、単に「スシザンマイ」の称呼をも生じ、「ざんまい」の文字は、「一つのことに心が専注された状態、(他の名詞に付いて濁音化し)一心不乱に事をするさま、むやみやたらにするさま」(広辞苑第6版)を表す「さんまい(三昧)」の語が濁音化した語であることから、「寿司に専念している様」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標が使用商標と社会通念上同一であるかについて
上記ア及びイのとおり、本件商標と使用商標13ないし使用商標17とは、それぞれの商標における要部といえる「ざんまい」及び「寿司ざんまい」の文字部分において、構成文字が相違し、これより生じる称呼及び観念が明らかに異なるから、商標の構成中に、外観において同視される魚のイラスト図形があるといい得ても、全体として異なる商標であるといわざるを得ず、社会通念上同一の商標ということはできない。
その他、被請求人が提出した証拠の中に、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標の表示を確認することができない。
(4)被請求人の主張について
被請求人は、使用商標13ないし使用商標17について、「すし」及び「寿司」の文字部分は、指定商品との関係で識別力を有さず、使用商標13ないし使用商標17は、本件商標の構成要素1(「宅配専門」の文字)、構成要素2(魚のイラスト)及び構成要素3(「ざんまい」の文字)を含むものであり、社会通念上同一の商標である旨を主張している。
しかしながら、使用商標13ないし使用商標17における要部と認められる「寿司ざんまい」の文字部分において、構成中の「ざんまい」の文字は、「さんまい(三昧)」の語が、「寿司」という名詞と一体となることによって濁音化したものであって、このことは、「贅沢三昧(ぜいたくざんまい)」、「読書三昧(どくしょざんまい)」等の用例からも容易に理解されるものである。
してみれば、たとえ「寿司」の文字が指定商品の普通名称であるとしても、「寿司ざんまい」の文字は、一体不可分の文字として捉えるのが自然であり、かつ、一体として「寿司に専念している様」という具体的な観念が生じるものであるから、該文字部分から、単独では濁音化することのない「ざんまい」の文字を分離抽出し、本件商標と同一の構成要素を有するとみることはできない。
よって、被請求人の主張は、採用できない。
(5)まとめ
以上からすれば、被請求人(商標権者)は、テレビコマーシャル及び被請求人が運営する行橋店の広告用冊子において、要証期間内に、商標を使用した事実は認められるものの、その使用商標は、本件商標と社会通念上同一とは認められないものである。
また、その他の商標の使用に係る主張については、要証期間において、被請求人(商標権者)が商標を使用した事実を認めることができない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標:色彩については原本参照)

別掲2(使用商標13:色彩については原本参照)

別掲3(使用商標14:色彩については原本参照)

別掲4(使用商標15:色彩については原本参照)

別掲5(使用商標16:色彩については原本参照)

別掲6(使用商標17:色彩については原本参照)

審理終結日 2017-09-25 
結審通知日 2017-09-29 
審決日 2017-10-18 
出願番号 商願2013-6030(T2013-6030) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (W30)
最終処分 成立 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 山田 正樹
中束 としえ
登録日 2013-05-31 
登録番号 商標登録第5586456号(T5586456) 
商標の称呼 タクハイセンモンザンマイ、タクハイセンモン、ザンマイ 
代理人 市川 泰央 
代理人 山野 有希子 
代理人 日野 孝俊 
代理人 多田 繁範 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 愛甲 栄治 
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