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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W07
審判 査定不服 観念類似 登録しない W07
審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない W07
審判 査定不服 外観類似 登録しない W07
管理番号 1335237 
審判番号 不服2017-11252 
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-28 
確定日 2017-11-22 
事件の表示 商願2016-53756拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲のとおりの構成からなり,第7類「葯採取機,葯精選機,開葯器,葯ふるい分け機,花粉精選機,花粉人工交配機,花粉交配器具,花粉混合器,柿選別器具,柿供給器具,葉たばこ用幹刈機,枝豆用走行型収穫機,枝豆用自動脱莢機,枝豆用剥き機,枝豆用供給機,枝豆用選別機,音声式重量選別機,長ねぎ用根切り機,収穫野菜洗浄機,収穫野菜用高速脱水機,その他の農業用機械器具,柿へた取り器,柿もみ機,干柿用吊るし具,干柿吊るし用編み機,その他の食料加工用又は飲料加工用の機械器具,業務用手動針式柿皮むき機,業務用全自動刺し針式柿皮むき機,業務用全自動吸引式柿皮むき機,両端保持式電動皮むき機,業務用電動果実野菜皮むき機,その他の業務用皮むき機,業務用攪はん混合機,業務用切さい機,枝豆用定量袋詰機,半自動梱包機,その他の包装用機械器具,業務用洗濯機用洗剤自動供給機,その他の電気洗濯機,枝豆用コンベヤー,その他の荷役機械器具,土木機械器具,葉たばこ用編み機,その他のたばこ製造機械」を指定商品として,平成28年5月18日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第4659623号商標(以下「引用商標」という。)は,「ミツワ」の文字を標準文字で表してなり,平成14年8月5日登録出願,第7類「土木機械器具,荷役機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,耕うん機械器具(手持ち工具に当たるものを除く。),栽培機械器具,収穫機械器具,植物粗製繊維加工機械器具,飼料圧搾機,飼料裁断機,飼料配合機,飼料粉砕機,牛乳ろ過器,搾乳機,育雛器,ふ卵器,蚕種製造用又は養蚕用の機械器具,たばこ製造機械,包装用機械器具,業務用電気洗濯機,業務用攪はん混合機,業務用皮むき機,業務用食器洗浄機,業務用切さい機,家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー」を含む同類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同15年4月4日に設定登録され,現に有効に存続している。

3 当審の判断
(1)商標の類否判断について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。
この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号,最高裁平成3年(行ツ)第103号,最高裁平成19年(行ヒ)第223号参照)。
上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。
(2)本願商標
本願商標は,別掲のとおり,「MITSUWA」の文字,並びに,「WA」の文字部分の少し上から互いに重ならないように描かれた円弧状の三つの太線(以下,当該太線部分を「図形部分」という。)からなるところ,当該図形部分は,直ちに特定の事物を想起させないものであるから,これからは特定の称呼及び観念が生じないものである。
一方,構成中の文字部分からは,ローマ字読みで「ミツワ」との称呼が生じる。そして,「MITSUWA」の文字は,辞書類に載録のない語であるところ,これをローマ字とする日本語として「三輪」の語を想起し,「三つの円を少し重ねて並べたもの」(広辞苑第6版参照)ほどの意味合いを認識するというべきである。
そうすると,本願商標は,文字部分と図形部分が視覚上明確に分離されており,構成上からは,文字部分と図形部分とが,それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合されているような事情は見いだせない。また,図形部分からは,特定の称呼及び観念が生じないものであるのに対し,文字部分からは,「ミツワ」の称呼及び「三つの円を少し重ねて並べたもの」の観念を生じるものであるから,両者は,称呼及び観念的にも密接な関連を見いだせない。してみれば,本願商標は,その構成中,文字部分と図形部分とがそれぞれ独立して取引者,需要者に対し商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものといえる。
したがって,本願商標は,その構成中,「MITSUWA」の文字部分を要部として抽出し,他人の商標(引用商標)と比較して,商標の類否を判断することができるものである。
そうすると,本願商標からは,その構成中の要部である「MITSUWA」の文字部分に相応して,「ミツワ」の称呼及び「三つの円を少し重ねて並べたもの」の観念が生じるものである。
(3)引用商標
引用商標は,前記2のとおり,「ミツワ」の文字を標準文字で表してなるから,これよりは「ミツワ」の称呼及び「三つの円を少し重ねて並べたもの」の観念が生じるというのが相当である。
(4)本願商標と引用商標の類否
本願商標の要部と引用商標とを対比すると,外観においては,ローマ字及び片仮名という文字種を異にするところがあるものの,商標の使用においては,商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変更したり,デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情があること,両者はそれぞれゴシック体及び標準文字というありふれた書体で表されていることを併せ考慮すると,これに接した取引者,需要者に対し,文字種の相違が,外観上の差違として強い印象を与えるとはいえない。そして,両者は,「ミツワ」の称呼及び「三つの円を少し重ねて並べたもの」の観念が同一であるから,これらを総合勘案すれば,互いに類似する商標であるというべきである。
そして,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
(5)小括
以上によれば,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標であり,また,本願商標の指定商品と引用商標の指定商品も同一又は類似するものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は,観念について,広辞苑で「みつわ」を引くと「三輪」及び「密話」が掲載されており(甲1),複数の観念が生じるため,「ミツワ」の称呼を生じる本願商標の文字部分及び引用商標の観念は特定できない一方,本願商標の構成中の三つの半円の図形から,本願商標の観念は「三つの輪」と特定される旨主張する。
しかしながら,上記(2)で述べたとおり,本願商標の図形部分は円弧状の三つの太線という単純な構成からなり,直ちに「輪」として認識できるとはいい難いから,当該図形部分の有無によって本願商標の文字部分と引用商標から生じる観念に差異が生じるとはいえない。そして,本願商標の観念が「三つの輪」に特定されるとした場合には,引用商標からも「三つの輪」の観念が生じ得るのであるし,仮に,「ミツワ」の称呼から「密話」の意味合いも想起するとした場合には,本願商標の文字部分及び引用商標からも同じ意味合いを想起することになるのであるから,結局のところ,両者の観念は共通する場合があることになる。
イ 請求人は,本願商標の構成中,「MITSUWA」の文字部分は,請求人の社名「株式会社ミツワ」を英文字表記したと認識され,「ミツワ」の企業名で電話番号を検索すると約2200の企業がヒットし(甲17),また,「三輪」の氏や名字のランキングの順位(甲18,甲19)及び「三輪」の片仮名表記「ミワ」がありふれた氏に該当するとした過去の審決例(甲20,甲21)があること,並びに,同ランキングにおいて,「三輪」よりランキング下位の「小柳」,「岩城」及び「岩原」が特許庁においてありふれた氏に該当するとして拒絶されていること(甲22?甲24)からすれば,「三輪」は比較的ありふれた氏といえるため,本願商標の要部は図形部分にある旨主張する。
しかしながら,企業名の一部として「ミツワ」が採用されている例があり,「三輪」の文字が一部の氏や名字のランキングに掲載されているからといって,直ちに「MITSUWA」の文字がありふれた氏に該当し,商品の出所識別標識として機能がない又は弱いということはできない。また,「ミワ」の文字及び「小柳」等の文字に係る過去の審決例があるとしても,「MITSUWA」の文字との関係では事例が異なり,本件の判断の参考とすることはできない。そして,本願商標の構成中,「ミツワ」の称呼及び「三つの円を少し重ねて並べたもの」の観念が生じる「MITSUWA」の文字部分を要部として抽出できることは,上記(2)で述べたとおりである。
ウ 請求人は,称呼が同一でも非類似とされた過去の事例(甲2?甲16)並びに称呼又は観念が近似していても特徴ある外観により非類似とされた過去の事例(甲25?甲36)があることからすれば,本願商標についても同様に判断すべき旨主張する。
しかしながら,そもそも商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは,査定時又は審決時における個別具体的な事情に基づき判断されるものであるから,請求人の挙げた例があるからといって,本願商標も登録すべきであるということにはならない。
エ したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。
(7)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するから,登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)




審理終結日 2017-09-26 
結審通知日 2017-09-28 
審決日 2017-10-11 
出願番号 商願2016-53756(T2016-53756) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W07)
T 1 8・ 261- Z (W07)
T 1 8・ 263- Z (W07)
T 1 8・ 264- Z (W07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 豊田 純一 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 冨澤 武志
大森 友子
商標の称呼 ミツワ 
代理人 吉井 雅栄 
代理人 吉井 剛 

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