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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1334568 
異議申立番号 異議2017-900177 
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-29 
確定日 2017-11-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5926349号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5926349号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5926349号商標(以下「本件商標」という。)は,「ターザンマニア」の文字を標準文字で表してなり,平成28年7月12日に登録出願,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,植物の供覧,動物の供覧,スポーツの興行の企画・運営又は開催,運動施設の提供,娯楽施設の提供,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,写真の撮影」を指定役務として,同29年1月26日に登録査定,同年2月24日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標(以下「引用商標」という。)は,「Tarzan」又は「ターザン」の文字からなり,同人が小説・新聞連載用の短編漫画・漫画雑誌・舞台劇・ラジオドラマ・劇場公開用実写映画・テレビ放送用作品及びアニメーション作品等について使用しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当し,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第22号証を提出した。
1 申立の理由
(1)「Tarzan(ターザン)」に関する基本的事実関係(平成24年5月時点)
甲第3号証は,商標登録の無効審決に対する審決取消請求事件(平成23年(行ケ)第10399号(以下「本件審決取消請求事件」という場合がある。)の判決である。この事件は,第7類の工業機械(プラスチック加工機械器具等)を指定した商標「ターザン」(標準文字)につき,本件異議の申立人であるエドガー・ライス・バローズ社(以下「ERB社」という場合がある。)に無断で取得された商標登録が,国際信義に反し,公正な取引秩序を乱すため,公序良俗を害するおそれのある商標(商標法第4条第1項第7号)に該当するとされた事例である。この訴訟の口頭弁論終結時(平成24年(2012年)5月14日)の時点で裁判所が認定した「ターザン」に関する基本的事実関係の詳細は,該判決中,「第5 当裁判所の判断」の「1 『ターザン』に関する基本的事実関係について」に記載のとおりである。
(2)「Tarzan(ターザン)」の周知性(平成24年5月時点)
本件審決取消請求事件の判決において裁判所が認定した「Tarzan(ターザン)」の周知性に関する事実関係の詳細は,該判決中,「第5 当裁判所の判断」の「2 取消事由1(周知性に関する認定の誤り)について」に記載のとおりである。
(3)本件審決取消請求事件の判決の要旨
本件審決取消請求事件の判決において裁判所による判示の詳細は,該判決中,「第5 当裁判所の判断」の「3 取消事由2(本件商標が公序良俗に反しないとの判断の誤り)について」に記載のとおりである。
該判決は,被告の商標登録にフリーライド不正目的は認定できないとしても国際信義に反するという理由で商標法第4条第1項第7号への該当性を肯定した。一方,本件異議申立において,申立人は,商標権者がフリーライド不正目的を有することを申立の根拠としている。申立人が上記の判決を提示するのは,本件異議申立がこの判決の射程内であると主張するためでなく,判決のこの部分を,申立人の主張を裏付ける証拠として示すためである。
(4)上記判決後の「Tarzan(ターザン)」の周知性の回復
上記判決における事実認定では,平成22年7月6日の時点における「Tarzan(ターザン)」の周知が否定された。その理由は,ディズニー社によるアニメ映画がヒットした1999年(平成11年)から10年以上が経過していたことなどである。
しかし,本件商標が出願された平成28年(2016年)7月12日の時点において,「Tarzan(ターザン)」の周知性は回復していた。周知性が回復していたとする根拠は,「Tarzan」の新作映画の公開である。ワーナー・ブラザース社により制作・配給された,バローズによる「Tarzan」の小説を原作とする新作の劇場版実写映画「THE LEGEND OF TARZAN」(邦題「ターザン:REBORN」。以下,単に「新作映画」という。)が,2017年7月(審決注:2016年7月の誤り。)から世界中で公開されたためである。米国公開日は2016年7月1日,日本公開日は2016年7月30日である(甲6)。新作映画の封切前のプレミア試写会は,2016年6月29日に米国のハリウッドで行なわれ,カメラ50台,マスコミ200社,ファン3,000人が集まった。日本語版の吹き替えを担当する俳優の桐谷健太が出席したこともあり,日本のマスコミでも大きく取り上げられた。日本における報道の一部例として,新聞,テレビ番組及びインターネットニュースの記事を一例ずつ提出する(甲7?甲9)。
甲第10号証は,「Tarzan」の新作映画の日本語版オフィシャルサイトのトップページの写しである。いずれもトップページの写しだが,2枚目は「クレジット(製作者情報)」を表示させた状態のである。2枚目の底部の左端に「エドガー・ライス・バローズ原作の“ターザン”に基づく」と表示されている。
甲第11号証は,「Tarzan」の新作映画を取り上げた新聞記事(2016年7月15日)の一例であり,「1918年,エルモ・リンカーンが演じた『ターザン』を皮切りに,今まで約50本の映画とテレビドラマが世に出ています。2年に1本のペースで作られており,この100年間,人類は常に“ターザン・ブーム”ということになる」と評されている。
甲第12号証は,新作映画の世界興行収入が3億ドルを突破したことを報じるインターネットニュースである。
以上のとおり,本件商標の出願時(2016年7月12日),「Tarzan(ターザン)」の周知性は回復していた。
(5)本件商標が使用されている施設
商標権者は,遊園地その他各種観光事業などを目的として設立された法人である(甲13)。商標権者は,「さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト」という,アウトドアスポーツなどの施設を備えた遊園地を経営している。実際の運営は,商標権者の子会社の相模湖リゾート株式会社が行っている(甲14)。
甲第15号証は,商標権者が平成28年(2016年)7月6日に行ったプレスリリースである。該証拠の1葉目には,「ターザンマニア 7月16日(土)オープン」,「『さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト』では,森に囲まれたアスレチックフィールド『ターザンマニア』を平成28年7月16日にオープンいたします。」,「まさにターザンになったかのような体験ができます。」と記載されている。2葉目には,「ターザンマニア」の利用料金が記載され,「ターザンマニア」の12種類のアスレチックの詳細が説明されている。3葉目では,「さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト」の入園料金が記載され,また,「さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト」が,多彩なレジャー施設が揃う体験型複合リゾートである「さがみ湖リゾート」の中核施設であり,自然が残る広大な敷地に様々なアトラクションやアスレチックを揃え,イルミネーションイベントを行なう遊園地であることが説明されている。該証拠のプレスリリースが示すように,「ターザンマニア」とは,商標権者が有料で提供する,「運動施設の提供」及び「娯楽施設の提供」の両方の要素を備えたアスレチック施設(以下「本件施設」という。)である。
(6)商標権者による不正(フリーライド)の目的
ア 商標「Tarzan(ターザン)」の有する顧客吸引力
「運動施設の提供」及び「娯楽施設の提供」の両方の要素を備えた本件施設の提供サービスの分野では,商標権者の商標「Tarzan(ターザン)」は,十分な顧客吸引力を有する。その理由として,申立人とディズニー社とのライセンスの例を以下に提示する。
すなわち,甲第16号証は,ディズニー社が運営する「Disneyland Park(米国カリフォルニア州)において提供されているアトラクション施設「Tarzan’s Treehouse」(ターザンのツリーハウス)である。樹上の家を模した展望台が約20mの高さに設置されており,移動用の吊橋などが設けられている。また,香港ディズニーランドでは,同様のアトラクション施設(甲17)に加え,当該施設への往復に用いる「Rafts to Tarzan’s Treehouse」(ターザン・ツリーハウスのいかだ)という水上移動用アトラクション設備(甲18)も提供されている。また,2016年6月16日にオープンした上海ディズニーランドでは,ワイヤーアクション等のアクロバットを取り入れたミュージカル風のアトラクションショー「Tarzan:Call of the Jungle」(ターザン ジャングルの呼び声:甲19)が提供されている。このアトラクションショーは,上海ディズニーランドのオープンを伝える多数の新聞記事等において言及されている。甲第20号証はそのような新聞記事の1例である。
上記のいずれの例も,申立人が「Tarzan」に関して有する商標等の権利に基づきディズニー社にライセンスが与えられている。世界の複数のディズニーランドにライセンスされている商標「Tarzan」が,娯楽提供のサービス分野において大きな顧客吸引力を有していることは明らかである。この点は,本件審決取消請求事件の判決も,判示したところである。
また,同判決は,「Tarzan(ターザン)」の語からは,申立人が保護してきた題号又はキャラクター名称としての「Tarzan(ターザン)」以外の観念が生じ得ないと認定している。
したがって,もしもディズニーランドの施設・設備名として使用される商標「Tarzan’s Treehouse」が,画一的な類否判断手法にしたがえば,一体不可分の結合商標として「Tarzan」と非類似と判断される余地があるとしても,「Tarzan’s Treehouse」の構成中の「Tarzan」が申立人の「Tarzan(ターザン)」を連想させ,その顧客吸引力を発揮していることが明らかである。このため,ディズニー社は,「Tarzan」の語を含む施設名をディズニーランドで使用するためにERB社にライセンス料を支払うとともに,ディズニー社の「Legal Notice」(法律上の注意)のウェブページにおいて使用の許諾等に言明している(甲21)。公正な取引秩序を維持するために当然の対応である。
イ 商標権者の行為
甲第22号証は,商標権者が「ターザンマニア」という名称を使用して提供している本件施設の公式ウェブサイトのトップページ(2017年4月12日時点)である。該ページの上部の「7/16(土)OPEN!」という表示の上に,「アスレチックフィールド/TARZANMANIA/ターザンマニア」の表示が使用されている。この表示において,本件商標に相当する片仮名の「ターザンマニア」の表示は,ブロック体のシンプルデなザインで,下段に振り仮名のように小さく表示されている。一方,その上段には,デザイン化された「TARZANMANIA」(欧文字)の文字が著しく大きく表示されている。また,上段の「TARZANMANIA」の文字は,「TARZAN」及び「MANIA」のそれぞれの語頭の「T」と「M」を他の文字より大きく表示することにより,この表示が「TARZAN」及び「MANIA」という2つの語から構成されることを示し,「TARZAN」の語が分離観察される余地を与えている。
そして,該証拠のトップページの中ほどには,「まさにターザンになったかのような体験ができます。」と,「ターザンマニア」ではなく「ターザン」の語を単独で宣伝文句に使用している。さらに,このトップページの最下部に示されるように,このページのURLの末尾には,「tarzanmania」ではなく「tarzan」の語が単独で使用されている。
商標権者の目的は,申立人の商標「Tarzan(ターザン)」に化体した業務上の信用にフリーライドすべく,「Tarzan」又は「ターザン」という語を単独で積極的に使用し又は需要者に想起させることにあり,本件商標「ターザンマニア」も,その目的の一環で登録されたと考えられる。もしも,標準文字の片仮名で書された本件商標「ターザンマニア」が,その構成自体は異議理由に該当しない商標であるとしても,上記のような不正(フリーライド)の目的を動機として登録されているため,その登録を取り消すことができなければ,具体的妥当性を欠き,公正な取引秩序が維持されず,公序良俗を害する。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当するものとしてその登録を取り消されるべきである。
なお,ワーナー・ブラザース社による「Tarzan」の新作映画の宣伝及び封切のスケジュール並びに商標権者による本件施設の宣伝及び提供のスケジュールを時系列で示せば以下のとおりである。商標権者による本件施設の宣伝及び提供が,「Tarzan」の新作映画の米国での試写会・封切と日本での封切の間に行われている。
(ア)2016年6月27日(ワーナー)
「Tarzan」の新作映画のハリウッドにおけるプレミア試写会(甲7?甲9)
(イ)2016年7月1日(ワーナー)
「Tarzan」の新作映画の米国での封切(甲6)
(ウ)2016年7月6日(商標権者)
本件施設(ターザンマニア)のオープンをプレスリリース(甲15)
(エ)2016年7月12日(商標権者)
本件商標(ターザンマニア)の出願(甲2)
(オ)2016年7月16日(商標権者)
本件施設(ターザンマニア)のオープン(甲15,甲22)
(カ)2016年7月30日(ワーナー)
「Tarzan」の新作映画の日本での封切(甲6)
このようなタイミングが商標権者の悪意又は善意のいずれによるのか立証することはできないが,結果として商標権者は「Tarzan」の新作映画の人気に便乗しており,不正(フリーライド)の目的を推認させる。
(7)結び
以上のとおり,本件商標は,その構成自体は異議理由に該当しない商標であるとしても,不正(フリーライド)の目的を動機として登録されているため,公正な取引秩序を乱し,公序良俗を害する商標として,商標法第4条第1項第7号に該当し,その登録を取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第7号について
商標法第4条第1項第7号に規定する,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には,(a)その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合,(b)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも,指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反する場合,(c)他の法律によって,当該商標の使用等が禁止されている場合,(d)特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反する場合,(e)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合,などが含まれると解される(知財高裁 平成17年(行ケ)第10349号同18年9月20日判決)。
2 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は,「ターザンマニア」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字は,同書,同大,同間隔で外観上まとまりよく一体的に表されており,これより生じる「ターザンマニア」の称呼も格別冗長というべきものでなく,よどみなく一連に称呼できるものである。
そして,その構成中の「ターザン」の文字は「アメリカの作家バローズ(Edgar R.Burroughs1875?1950)が1912年から連続して発表した冒険小説の主人公の名。アフリカのジャングルの王者として活躍。たびたび映画化され,32年,水泳選手ワイズミュラー(Johnny Weissmuller 1904?1984)が主演した映画で世界的に有名となる。」の意味を有し,「マニア」の文字は,「熱狂。熱中。夢中。一つの事に異常に熱中する人。」等の意味を有する語であるから,本件商標は,全体として「ターザンに熱中する人」程の意味合いを理解させるものとみるのが相当である(いずれも,出典は,株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)。
そうすると,上記の意味合いを理解させる本件商標は,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないことは明らかである。
また,商標権者が,「ターザンマニア」の文字からなる本件商標を「運動施設の提供,娯楽施設の提供」について使用することが,社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するというべき事情は認められない。
さらに,本件審決取消請求事件の判決では,「ターザン」の文字について,著作権が存続しており,著作権管理団体による利用を排除できる商標登録は,その権利を半永久的に取得することになるから,公正な取引秩序の観点から相当ではないと判決されているが,本件商標は,「ターザン」の文字とは異なる「ターザンマニア」の文字からなるものであること,また,本件商標の登録査定時である平成29年1月26日には,既に「ターザン」シリーズの日本における著作権は消滅していることから,該判決と同様の判断はできないものである。
また,ワーナー・ブラザース社により,新作の劇場版実写映画「THE LEGEND OF TARZAN」(邦題「ターザン:REBORN」)が,2016年(平成28年)7月1日に米国で公開され,日本においては,2016年7月30日に公開されたとするが,申立人が提出した証拠からは,該映画の日本語版公式サイトの写しとされる甲第10号証の2葉目の底部の左端に「エドガー・ライス・バローズ原作の“ターザン”に基づく」と表示されているのみで,該映画の公開により,「ターザン」と申立人との関係が明らかになったとはいえないばかりか,上記のとおり日本における著作権も既に消滅しているものである。
してみれば,本件商標は,他の法律によって,当該商標の使用等が禁止されているものでもなく,特定の国若しくはその国民を侮辱し,国際信義に反するようなものと認めることもできない。
加えて,商標権者による登録出願の経緯に,社会的相当性を欠くものとするべき事情も見いだせないし,これに該当するような具体的な証拠の提出もない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
3 申立人の主張について
申立人は,「商標権者の目的は,申立人の商標『Tarzan(ターザン)』に化体した業務上の信用にフリーライドすべく,『Tarzan』又は『ターザン』という語を単独で積極的に使用し又は需要者に想起させることにあり,本件商標も,その目的の一環で登録されたと考えられる。もしも,標準文字の片仮名で書された本件商標『ターザンマニア』が,その構成自体は異議理由に該当しない商標であるとしても,不正(フリーライド)の目的を動機として登録されているため,その登録を取り消すことができなければ,具体的妥当性を欠き,公正な取引秩序が維持されず,公序良俗を害する。」旨の主張をする。
しかしながら,上記2のとおり,本件商標は,「ターザンマニア」の文字からなるところ,その構成文字は,外観上まとまりよく一体的に表されているものであるから,これより生じる「ターザンマニア」の称呼は,ことさら冗長でもなく一連に称呼できるものである。
そして,その構成中の「ターザン」の文字部分は,「アメリカの作家バローズが発表した冒険小説の主人公の名。アフリカのジャングルの王者として活躍した主人公の名」の意味を有する語であるとしても,「マニア」の文字部分は,上記2の意味を有する語であるから,該文字部分が,本件商標の指定役務との関係において役務の質を表す語として理解されることはないし,本件商標の構成態様からも,「ターザン」の文字部分と「マニア」の文字部分を分断すべき構成態様上の理由もないことから,いずれかの文字部分が強く印象に残るとか,役務の出所識別標識としての機能に著しい差異がある等の事情も見いだせない。
以上のとおり,本件商標「ターザンマニア」は,一体不可分の商標であり,上記2のとおり,本件商標が,公の秩序又は善良の風俗に反するようなものでないことは明らかである。
さらに,申立人は,甲第22号証において,商標権者による「TARZAN」の文字の表示方法や「ターザン」の語を単独で広告宣伝に使用していること,さらに,URLの末尾に「tarzan」の文字が使用されていることなどを挙げて,本件商標が不正(フリーライド)の目的を動機として登録されたと主張するが,該証拠からは商標権者が不正(フリーライド)の目的をもって本件商標を登録出願したとする具体的な事実を見いだすことができない。
よって,申立人の上記主張は,いずれも採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-11-07 
出願番号 商願2016-75156(T2016-75156) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中尾 真由美 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 木住野 勝也
榎本 政実
登録日 2017-02-24 
登録番号 商標登録第5926349号(T5926349) 
権利者 富士急行株式会社
商標の称呼 ターザンマニア、ターザン 
代理人 村上 晃一 
代理人 穂坂 道子 

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