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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W35
審判 全部申立て  登録を維持 W35
管理番号 1334557 
異議申立番号 異議2017-900143 
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-08 
確定日 2017-10-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5918799号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5918799号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5918799号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成よりなり,平成27年7月22日に登録出願,第35類「造花の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(「布製身の回り品」を除く。)の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,鳥かごの小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,湯かき棒・浴室用腰掛け・浴室用手おけ・浴室用ラックの小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧用具(「電動式歯ブラシ」を除く。)の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食器の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具(「エッグスライサー(電気式のものを除く。),かつお節削り器,角砂糖挟み,缶切,くるみ割り器,スプーン,チーズスライサー(電気式のものを除く。),ピザカッター(電気式のものを除く。),フォーク,家庭用食品包装フイルム,調理用具,アイスペール,こしょう入れ,砂糖入れ,ざる,塩振り出し容器,しゃもじ,じょうご,ストロー,膳,栓抜(電気式のものを除く。),卵立て,タルト取り分け用へら,ナプキンホルダー,ナプキンリング,鍋敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,盆,ようじ,ようじ入れ,織物製テーブルナプキン,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,清掃用具及び洗濯用具,ふきん」を除く。)の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家庭用照明器具の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,キャンドルホルダーの小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,携帯電話機又はタブレット端末用のケース又はカバーの小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,小物入れの小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具及び写真材料の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,スマートフォン用自撮りスティックの小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ポンプ式液体注出器を備えたプラスチック製の包装用容器の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食品保存用陶磁製瓶又は食品保存用ガラス製瓶の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売り又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同29年1月6日に登録査定,同年2月3日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する国際登録第1246074号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2に示すとおりの構成よりなり,2015年3月4日にEuropean Unionにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し,2015年(平成27年)3月6日に国際登録出願され,第3類「Soaps; perfumery products, essential oils, cosmetics, hair lotions.」,第4類「Candles and wicks for lighting.」,第24類「Bed and table linen. Fabric; household linen; sheets [textile]; table napkins of textile; table linen [textile]; tapestry [wall hangings], of textile; bed and table linen.」,第25類「Clothing, footwear, headgear.」及び第35類「Sales promotion for others; Import and export services in relation to furniture, mirrors, picture frames, corks, screens of reed or substitutes for reed, chairs of cane and wicker or substitutes therefor, statuettes of wood, wax, plaster or plastic, boxes of plastic, packing boxes and containers made of plastic, plastic and wooden sculptures, fabrics, household linen sheets [textile], table napkins of textile, table linen [textile] and tapestry [wall hangings] of textile, bed and table covers; retail sale (via global telematic networks), wholesale, mail-order sale and mail-order catalog sale services for furniture and mirrors; sales promotion for others in relation to furniture, mirrors, picture frames, corks, screens of reed or substitutes for reed, chairs of cane and wicker or substitutes therefor, statuettes of wood, wax, plaster or plastic, boxes of plastic, packing boxes and containers made of plastic, plastic and wooden sculptures, fabrics, household linen sheets [textile], table napkins of textile, table linen [textile] and tapestry [wall hangings] of textile, bed and table covers.」を指定商品及び指定役務として,平成28年7月8日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第15号及び同第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。
(1)本件商標の権利者と引用商標の権利者の関係について
ア 引用商標の権利者(申立人と同一人であるので,以下「申立人」という。)は,スペインのバルセロナに本店を持つ生活雑貨店であり,引用商標を店舗の商標として,インテリア雑貨やアンティーク家具など幅広いハイセンスな商品を手頃な価格で提供することで人気がある。
当該「muy mucho」の店舗は,1997年からスペインでオープンし,その後もスペインを中心に世界各国に展開し,世界で約50店舗以上展開している(甲5?甲14)。
売上においても,2012年の時点で既に,スペインにおいて年間約1000万ユーロを挙げており,スペインにおいて,多くの事業が終了する時勢の中で,フランチャイズの成功例として報じられ,知られているものである(甲9?甲12)。また,その後も売上の拡大を続け,2015年には,年間3000万ユーロを達成していることが報じられ,知られている(甲13,甲14)。
このように,引用商標は,生活雑貨等に関する販売の分野,すなわち第35類の当該指定役務の分野においては,本件商標の出願時及び登録査定時には,スペインを始め各国の需要者の間で既に広く認識されていたものである。
イ 本件商標の権利者(以下「商標権者」という。)は,海外の雑貨等の輸入販売を行っていたところ,上記の「muy mucho」が提供する雑貨等に関心を持ち,2013年12月26日に,日本における輸入販売を,申立人に申し出た(甲15,甲16)。
これに対して,申立人は,当時,欧米を始め世界各国への展開を進めていたことから,日本への進出にも関心を持ち,日本における輸入販売の話を進めていった(甲15,甲16)。
こうして,商標権者は,申立人が提供する雑貨等を,引用商標を店舗の商標として,日本において輸入販売することとなり,2014年11月に当該「muy mucho」の1号店を原宿でオープンし,さらに2016年にかけて,舞浜,銀座,博多,柏と次々に「muy mucho」の店舗を我が国で拡大していった(甲5?甲8,甲13,甲14,甲17)。
我が国で店舗を展開していくと,直ちに各種ニュース,インターネット記事,「王様のブランチ」,「スッキリ!」,「ヒルナンデス」等のテレビ番組でも取り上げられ,スペイン等の需要者の間では広く認識された話題の店舗の日本上陸であったことがうかがわれた(甲5?甲8)。
さらには,店舗における販売のみでなく,「楽天市場」及び「amazon」におけるオンラインストアでも販売を行ったことで,より広く我が国でも知られるところとなった(甲8,甲17)。
また,「twitter」で話題となったことでも,我が国の需要者の間で広く認識されるようになっていった(甲8)。
このように,我が国における需要者の間でも,それらの販売,報道,宣伝等を通じて,引用商標は,広く認識されていった。
ウ しかし,実際に日本における話を進めていくと,申立人は,フランチャイズを認めるにあたって,スペインにおける店舗のイメージやコンセプトを維持するために,店舗の内装,照明,品ぞろえの構成等の様々な点について詳細に指示していたにもかかわらず,商標権者は,それらを無断で変更し,店舗をオープンしたり,それに対する申立人の改善の要求を受け入れなかったり(甲18,甲19),また,申立人が,フランチャイズ契約書を送ったのに対して,商標権者は,署名することを拒否していること(甲20,甲21)等から,両者の関係は次第に悪化していった。
その間も,申立人は,近いうちにフランチャイズ契約を締結し,そのシステムの下に参加してもらえることを期待し,引用商標の下で,雑貨等の商品を,商標権者に提供していた(甲20,甲21)。
つまり,商標権者は,申立人の指示を守らず,フランチャイズ契約を締結しないまま,次第に独自の方針で,引用商標の使用を継続して店舗の運営を押し進めていった。
本件商標については,申立人は,日本における当該商標登録は,自社で行うことを理由に,商標権者に対して,当該商標登録は行わないように,2014年11月25日にメールで連絡していた(甲22,甲23)。
しかし,商標権者は,申立人の指示に反して,2015年7月22日に本件商標を商標登録出願し,商標権を無断で取得した(甲1,甲2)。
以上のような経過を経た後,2017年2月に至って,ついに,申立人は,商標権者との関係の終了を決断し,商標権者に対して,通告書を送り,引用商標(本件商標)を不当に使用していること等を主張し,引用商標(本件商標)の使用を中止すること等を要求するに至っている(甲20,甲21)。
しかし,その後も商標権者は,引用商標(本件商標)の使用を継続している(甲17)。
(2)商標法第4条第1項第15号違反について
ア 本件商標と引用商標は,いずれも「家と雲型の図形」と「muy mucho」の文字の結合からなる商標である(甲2,甲4)。
両商標の違いを強いて挙げれば,「雲型の図形」の大きさが,引用商標の方が本件商標よりも少し大きいくらいで,両商標は,ほぼ同一視できるほど酷似している。
さらに引用商標は,その構成はありふれたものではなく,独自に創造した商標といえるものであり,上記で述べたように,スペインを始め各国の需要者の間で第35類の当該指定役務の分野では広く認識されている。
イ 本件商標と引用商標の第35類の指定役務については,類似群コードだけ見る限りでは,共通していない。
しかし,本件商標の第35類の指定役務と,引用商標の第35類の指定役務は,共に雑貨等の商品の販売に関するものである点では共通するものであり,密接な関連性がある。
この点は,本件商標は,商標権者が,引用商標に係る雑貨等を日本で輸入販売する過程で,無断で権利取得したものであることから,当然の結果ともいえるが,いずれにせよ本件商標の第35類の指定役務は,引用商標の第35類の指定役務及び申立人の業務に係る役務と,対象とする需要者は共通のものである。
ウ 以上のことから,独自に創造してなり,需要者の間でも広く認識されている引用商標と同一視できるほど酷似している本件商標を,申立人の業務に係る役務と需要者を共通にする,本件商標の第35類の指定役務に使用した場合には,申立人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第19号違反について
ア 上記で述べたように,引用商標は,スペインを始め各国の需要者の間で第35類の当該指定役務の分野では広く認識されているといえる。
また,引用商標は,独自の創造標章であるが,引用商標と本件商標は,同一視できるほど酷似している。
さらに,商標権者と,申立人との関係は,上記で述べたとおりである。
イ 以上のことから,商標権者は,日本国内又は外国における需要者の間で広く認識されていた創造標章である引用商標を使用して,我が国における店舗を展開し,申立人の業務に係る雑貨等を販売して不正の利益を得る目的で,申立人には無断で,本件商標を出願したものといえることから,本件商標を不正の目的をもって使用するものと推認できる。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
ア 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実を認めることができる。
(ア)申立人は,1997年スペインで創業した生活雑貨店であり,引用商標を店舗名として,インテリア雑貨やアンティーク家具などを販売している(甲5,甲6)。
(イ)申立人は,本国スペインを始め,世界で50店舗以上を展開し,2012年のスペインでの売上が1000万ユーロ,2015年の売上が3000万ユーロを達成したことが報じられた(甲9?甲14)。
(ウ)我が国においては,2013年12月26日付けの商標権者からの輸入販売の申出を受け,引用商標を店舗名として,2014年11月に原宿で1号店をオープンし,輸入販売を開始し,2016年にかけて舞浜,銀座,博多,柏等と店舗を拡大した(甲5?甲8,甲13,甲14,甲17)。
(エ)インターネットのWebサイトにおいて,日本への進出を報じた記事が掲載された(甲5?甲8)。
イ 判断
上記アによれば,申立人は,1997年よりスペインにおいてインテリア雑貨やアンティーク家具など(以下「申立人商品」という。)に引用商標を付して販売してきたこと,また,本件商標の登録出願前に我が国において,商標権者による引用商標を表示した輸入販売事業により,申立人商品を2014年11月以降販売してきたことがうかがわれる。
そして,引用商標を表示した販売事業を申立人が展開している記事がインターネットに掲載されてきたことや,また,世界で50店舗を展開し,我が国でも,原宿(1号店),舞浜(2号店),銀座(3号店)を始め直営店や「楽天市場」,「amazon」の通販サイトを通じての販売,あるいは,テレビ番組で取り上げられ,「twitter」でも話題になっていることがうかがえることなどを考慮すれば,我が国において,申立人の販売事業のブランドとして,申立人商品を購入する需要者の間にある程度認識されていたものと推認することができる。
しかしながら,申立人は,スペインにおいて,2012年の売上は1000万ユーロ,2015年の売上は3000万ユーロを達成したと主張し,証拠(甲9ないし甲14)を提出しているが,そこに記載された申立人商品のスペインを含む外国及び我が国における販売数量等は明らかでなく,また,これらの売上高,販売数量についての事実を示す客観的な裏付け資料は何等提出されていないから,スペインを含む外国及び我が国における量的規模(市場シェア等)を客観的かつ具体的に把握することができないものといわざるを得ない。
また,申立人商品の宣伝の効果が一定程度あったとしても,これらは,当該店舗や通販サイトを訪れる者に限られるものであり,広告宣伝活動について,その周知性の度合いを客観的かつ具体的に判断するための資料,すなわち,広告・宣伝した時期,回数及びその方法等の詳細を具体的に示す証拠がなく,引用商標が使用された実績を把握することができない。
そうすると,申立人の提出した証拠のみによっては,引用商標は,申立人商品の販売事業に使用され,ある程度知られているということはできても,それは,当該商品を購入する需要者という限られた範囲であって,それを超えて,引用商標の指定商品又は指定役務の取扱商品全般の需要者においてまで,広く知られた存在になっているとはいえないから,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして,外国及び我が国の需要者の間に,広く認識されていたと認めることはできない。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
本件商標及び引用商標は,それぞれ別掲1及び別掲2に示すとおり,共に,家形とその屋根に雲形を配した図形(以下「図形部分」という。)と,「muy mucho」の欧文字(以下「文字部分」という。)を横一行に表した構成よりなるものであり,図形部分の雲形及び図形部分と文字部分の間隔に微差があるものの、同一の構成からなるものであって、ほぼ同一視できる程近似した類似の商標であると認められる。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用商標の比較
上記(2)のとおり,本件商標と引用商標とは,同一の構成からなる類似の商標である。
イ 本件商標と引用商標との指定商品及び指定役務の関連性
本件商標の指定役務は,いわゆる小売等役務であるところ,その対象となる商品と引用商標に係る指定商品とは非類似である上,引用商標に係る指定役務とも非類似の役務である。
そして,両商標に係る商品について,その需要者を共通にする場合があるとしても,引用商標に係る指定商品である「せっけん,香料,化粧品,ろうそく,リネン製品,被服,履物,帽子」等と,本件商標の指定役務の対象となる「造花,文房具類,鳥かご,食器,家庭用照明器具,小物入れ,かばん類,手動利器,印刷物」等とは,商品の販売場所,流通経路,材料,用途等を異にするものであり,また,両商標に係る役務については,全く別異の役務であるから,これらの商品及び役務に密接な関連性があるとまではいえない。
ウ 出所の混同について
本件商標は,前記(1)のとおり,その登録出願時及び登録査定時において,我が国又は外国における周知,著名性を認めることができず,上記イのとおり,本件商標の指定役務と引用商標の指定商品及び指定役務とは関連性を有するものとはいえないから,上記(2)のとおり,本件商標と引用商標が類似するとしても,本件商標をその指定役務について使用した場合,これに接する取引者,需要者が引用商標ないしは申立人を連想,想起するようなことはないというべきであり,本件商標をその指定役務について使用をしても、該役務が申立人又は同人と経済的,組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く,その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 本号を適用するための要件
本号は,「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって,不正の目的(不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
そうすると,上記(1)のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国及び外国の需要者の間で,申立人の業務に係る商品又は役務を表すものとして,広く認識されていたとは認められないものであるから,本件商標と同一又は類似の商標であるとしても,商標法第4条第1項第19号を適用するための「日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」との要件を欠くものといわざるを得ない。
イ 申立人の主張について
申立人は,本件商標と引用商標が同一視できるほど酷似していること,申立人から当該商標登録は行わないように指示されていたにもかかわらず商標権者が本件商標を登録出願し商標権を取得したこと及び申立人とのフランチャイズ契約に署名することも拒否していること等を理由に,不正の目的があったことが推認できる旨を主張している。
しかしながら,商標権者は,申立人に日本における輸入販売を申し出ていること(甲15,甲16),2015年9月28日付けのスペインのインターネット記事には「Muy Mucho店は,日本で3番目のフランチャイズ店をオープンし,今年には(世界で)50店以上になる。」と紹介されていること(甲13,甲14)及び申立人も「日本への進出にも関心を持ち,日本における輸入販売の話を進めていった」,「商標権者は,申立人が提供する雑貨等を,引用商標を店舗の商標として,日本において輸入販売することとなり,2014年11月に『muy mucho』の1号店を原宿でオープンし,・・・」と主張していること等の事実からすれば,商標権者と申立人の間では,たとえ正式なフランチャイズ契約がないとしても,日本国内で引用商標を使用した事業を展開することに関して,何らかの合意が形成されていたとみるのが自然であり,また,本件商標が引用商標と酷似するものであるとしても,前記(1)のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして,外国及び我が国の需要者の間に,広く認識されていたとは認められないものであって,引用商標には,周知性に基づく信用,名声,顧客吸引力等があるとまではいえないことから,商標権者が本件商標を使用しても,これらを毀損させるおそれがあるということもできない。
さらに,申立人とのフランチャイズ契約を拒否しているという商標権者の意思表示や,当該商標登録は行わないようにとの申立人の指示は、提出された証拠からは明確に把握することができない。
してみれば,本件商標は,直ちに商標権者が不正の目的をもって使用をするものとすることはできない。
その他,申立人の提出する甲各号証を総合してみても,本件商標が不正の利益を得る目的,他人たる申立人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものであることを認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。
ウ 小括
以上のとおり,本件商標は,その登録出願時及び登録査定時において,我が国又は外国における周知,著名性を認めることができないものであり,たとえ本件商標と引用商標が類似するとしても,不正の目的をもって使用をするものであるということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)

別掲2(引用商標)

異議決定日 2017-10-19 
出願番号 商願2015-70434(T2015-70434) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W35)
T 1 651・ 271- Y (W35)
最終処分 維持 
前審関与審査官 佐藤 松江齋藤 貴博 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 山田 正樹
中束 としえ
登録日 2017-02-03 
登録番号 商標登録第5918799号(T5918799) 
権利者 株式会社 エンポリオ
商標の称呼 ムイムーチョ 
代理人 若林 擴 
代理人 幡 茂良 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 橋本 良樹 
代理人 小出 俊實 
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