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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W3639
審判 全部申立て  登録を維持 W3639
審判 全部申立て  登録を維持 W3639
審判 全部申立て  登録を維持 W3639
審判 全部申立て  登録を維持 W3639
管理番号 1334556 
異議申立番号 異議2017-900133 
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-04-27 
確定日 2017-10-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第5917869号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5917869号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5917869号商標(以下「本件商標」という。)は,「スワロー・8」の文字を標準文字で表してなり,平成28年8月17日に登録出願,第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」及び第39類「倉庫の提供,寄託を受けた物品の倉庫における保管」を指定役務として,同年12月21日に登録査定,同29年1月27日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同第8号,同第10号,同第15号及び同第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 証拠について
(1)甲第1号証は,申立人に係る「株式会社スワロー・8」の「履歴事項全部証明書」であり,会社設立年月日(平成18年9月1日),事業目的(不動産賃貸業,不動産管理業,太陽光発電システムによる売電事業など)の記載の他,同社の元代表取締役である本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)が平成28年7月1日付けで同社の取締役を退任した事実(平成28年7月8日登記)が記載されている。
なお,上記証明書に記載された元代表取締役の住所は,本件商標に係る公報に記載の商標権者の住所と一致していることから,両者が同一人物であることは明らかである。
(2)甲第2号証は,申立人が株主である「株式会社スワローマネジメント」の「取締会議事録」であり,商標権者が,平成28年7月1日付けで同社の取締役を解任された事実が記載されている。
(3)甲第3号証は,スワローグループのホームページにおける「HOME」及び「事業所一覧」に係るインターネットアーカイブであり,「株式会社スワロー・8」及び「スワロー・8」の文字が使用されている事実が記載されている。
また,上記ホームページのインターネットアーカイブのうち,「HOME」は,2016年6月5日付けであり,「事業所一覧」は,2016年3月29日付けのものである。
(4)甲第4号証は,物流・運送・ロジスティクス業界の総合専門紙「物流Weekly」に掲載された記事であり,スワロー・8(株式会社スワロー・8)が羽村物流センター(1万580平方mの敷地に,建築面積4027平方m,延べ床面積7320平方mの鉄骨造り・2階建ての倉庫)の竣工披露式を開催した事実が記載された,2011年11月18日付けの記事である。
(5)甲第5号証は,スワローグループのパンフレットであり,2009年9月時点でのスワローグループの組織図と申立人が倉庫・不動産に関する会社である事実が記載されている。
2 商標法第4条第1項第7号について
商標審査基準によれば,「当該商標の出願の経緯に社会的相当性を欠くものがある等,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合」に,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するとの記載がある。
また,平成27年(行ケ)第10022号(知財高判平成27年8月3日)は,出願人に不正の意図が認められる場合(いわゆる悪意の出願)について,商標法第4条第1項第7号公序良俗を害するおそれがある商標に該当するとした判決である。そこで,本件商標について,当該判決に照らしながら検討する。
(1)商標権者が本件出願を行った目的について
申立人は,平成18年の創業以来,不動産賃貸業,不動産管理業など(甲1)について,「株式会社スワロー・8」又は「スワロー・8」を広く使用し今日に至っている(甲3,甲5)。
商標権者は,申立人の元代表取締役であるものの,本件商標の出願前に既に同社の取締役を解任された人物であり(甲1,甲2),解任後すぐに,申立人の名称の略称「スワロー・8」に係る商標登録出願を行っており,この出願の経緯に鑑みれば,およそ正常な使い方は考えられず,嫌がらせを目的としたものであると推認できる。
また,既に同社と無関係となった商標権者が本件商標を使用すると,同社の名称に化体した信用,名声,顧客吸引力等により不正の利益を得る可能性があるだけではなく,これらを毀損させるおそれがある。
よって,不正の利益を得る目的又は他人に損害を加える目的があることは明らかであり,不正の目的が強く疑われる。
(2)公序良俗違反の有無について
本件商標の出願の目的及び経緯に鑑みれば,商標権者による本件出願は,適正な商道徳に反し,著しく社会的妥当性を欠く行為というべきであり,これに基づいて本件商標の商標登録を認めることは,公正な取引秩序の維持の観点からみても不相当であって,商標法の目的(同法第1条)にも反するというべきであり,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標に該当するものである。
3 商標法第4条第1項第8号について
本件商標は,申立人の名称の一部である「スワロー・8」であることから,他人の名称の略称に該当するものである。
商標権者は,申立人の元代表取締役であるものの,本件商標の出願前に既に同社の取締役を解任された人物であり(甲1,甲2),申立人は,解任後,同氏に承諾を付与した事実もないから,「その他人の承諾を得ているもの」には該当しない。
そして,「スワロー・8」は,使用により少なくとも物流業界(すなわち取引者)の間で,少なくとも専門誌の記事掲載日(2011年11月18日)以降広く認識されており,著名性を有し,本件商標は,他人の名称の著名な略称に該当する(甲3?甲5)。
4 商標法第4条第1項第10号について
(1)「スワロー・8」は,使用により物流業界(すなわち取引者,需要者)の間で,少なくとも専門誌の記事掲載日(2011年11月18日)以降広く認識されている。
また,本件商標は,申立人の名称の略称である「スワロー・8」と同一の商標であり,「株式会社スワロー・8」と類似の商標である。
よって,本件商標は,他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標に該当する。
(2)申立人は,平成18年の創業以来,不動産賃貸業,不動産管理業など(甲1)について,「株式会社スワロー・8」又は「スワロー・8」を広く使用し今日に至っている(甲3,甲5)。一方,本件商標の指定役務は,「建物の貸与,建物の管理,倉庫の提供」等である。したがって,本件商標の指定役務は,申立人の業務に係る役務と同一又は類似である。
(3)上記によれば,本件商標は,他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって,その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものである。
5 商標法第4条第1項第15号について
申立人は,平成18年の創業以来,不動産賃貸業,不動産管理業など(甲1)について,「株式会社スワロー・8」又は「スワロー・8」を広く使用し今日に至っており(甲3,甲5),商標権者は,申立人の元代表取締役であるものの,本件商標の出願前に既に同社の取締役を解任された人物(甲1,甲2)であって,本件商標の指定役務「建物の貸与,建物の管理,倉庫の提供」等は,申立人の役務(不動産賃貸業,不動産管理業など)と抵触する。
そこで,検討すると,本件商標は,申立人の名称と類似であり,申立人の名称の略称と同一であり,申立人の名称又はその略称は,少なくとも物流業界(すなわち取引者,需要者)の間で,遅くとも専門誌の記事掲載日(2011年11月18日)以降広く認識されている。そして,申立人の名称を構成する「スワロー・8」は「スワロー」と「・」と「8」とを組み合わせた造語よりなるものである。さらに,申立人は,不動産賃貸業,不動産管理業,太陽光発電システムによる売電事業(甲1)など多角経営を行い,本件商標の指定役務「建物の貸与,建物の管理,倉庫の提供」等は,申立人の役務(不動産賃貸業,不動産管理業など)(甲1)と抵触し,その役務の需要者は共に物流業界の取引者などであり,共通している。
そうすると,本件商標の指定役務の分野の需要者は,本件商標を申立人の元代表取締役である商標権者が使用した場合には,申立人の業務に係る役務であると誤認し,役務の出所について混同するおそれがある。さらに,本件商標の指定役務の分野の需要者は,商標権者が申立人の元代表取締役であることに鑑みれば,本件商標の出願人に係る役務が申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であると誤認し,出所について混同してしまうおそれが極めて高いといえる。
したがって,本件商標の指定役務の分野の需要者は,本件商標が本件商標の指定役務について使用された場合に,申立人の業務に係る役務と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
6 商標法第4条第1項第19号について
(1)「スワロー・8」は,上記のとおり,その使用により,少なくとも物流業界(すなわち取引者,需要者)の間で,遅くとも専門誌の記事掲載日以降広く認識されている。また,本件商標は,申立人の名称の略称と同一の商標である。
よって,本件商標は,他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている商標と同一の商標に該当する。
(2)申立人は,平成18年の創業以来,不動産賃貸業,不動産管理業など(甲1)について,「株式会社スワロー・8」又は「スワロー・8」を広く使用し今日に至っており(甲3,甲5),商標権者は,申立人の元代表取締役であるものの,本件商標の出願前に既に同社の取締役を解任された人物であって,解任後すぐに,申立人の名称の略称に係る商標登録出願を行っており,この出願の経緯に鑑みれば,およそ正常な使い方は考えられず,嫌がらせを目的としたものであると推認できる。
また,既に同社と無関係となった商標権者が本件商標を使用すると,同社の名称に化体した信用,名声,顧客吸引力等により不正の利益を得る可能性があるだけではなく,これらを毀損させるおそれがある。
よって,不正の利益を得る目的又は他人に損害を加える目的があることは明らかであり,不正の目的をもって使用するものに該当する。
(3)上記によれば,本件商標は,他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって,不正の目的をもって使用をするものである。

第3 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は,前記第1のとおり,「スワロー・8」の文字からなるところ,該文字は,辞書類に載録されている既成の語ではなく,特定の意味合いを表す語として知られているものともいえないことから,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として看取,理解されるとみるのが相当である。
2 申立人の使用する標章の周知著名性について
申立人は,「株式会社スワロー・8」又は「スワロー・8」の各標章について,平成18年の創業以来,不動産賃貸業,不動産管理業等において広く使用しており,また,物流業界の専門紙においても,それらが申立人の名称又はその略称として紹介されていることから,それらは,遅くとも該専門紙に記事が掲載された日以降,少なくとも物流業界において広く認識されている旨主張する。
しかしながら,申立人の提出に係る証拠からは,2009年(平成21年)9月時点で,申立人のほか,「輸送・物流」に係る「株式会社スワロー輸送」及び「株式会社スワロートラック」等や「倉庫・不動産他」に係る「株式会社スワローホーム」といった企業により「スワローグループ」なる組織が形成されていたこと(甲3,甲5),申立人が,2011年(平成23年)11月18日に,羽村物流センター(1万580平方mの敷地に,建築面積4027平方m,延べ床面積7320平方mの鉄骨造り・2階建ての倉庫)の竣工披露式を開催した事実が記載された記事が業界紙で紹介されたこと(甲4),申立人が,平成18年9月1日に設立され,不動産賃貸業,不動産管理業,太陽光発電システムによる売買事業を事業目的としていること(甲1)が見受けられるにすぎない。
そして,申立人の使用する標章について,宣伝,広告の事実や,雑誌,新聞記事に取り上げられる等の事実,その事業に関する売上高,市場シェア等についての証拠は提出されていない。
そうすると,提出された証拠のみによっては,「株式会社スワロー・8」及び「スワロー・8」の各標章は,不動産賃貸業,不動産管理業,太陽光発電システムによる売買事業に使用されているとしても,需要者の間で広く知られた存在になっているとまではいうことができないから,申立人の業務を表示するものとして,我が国の需要者の間に,広く知られていたと認めることはできないし,かつ,その著名な略称であるとも認めることはできないものである。
3 商標法第4条第1項第8号該当性について
商標法第4条第1項第8号の趣旨は,人格的利益の保護にあるところ,問題となる商標に他人の略称等が存在すると客観的に把握できず,当該他人を想起,連想できないのであれば,他人の人格的利益が毀損されるおそれはないと考えられる。そうすると,他人の氏名や略称等を「含む」商標に該当するかどうかを判断するに当たっては,単に物理的に「含む」状態をもって足りるとするのではなく,その部分が他人の略称等として客観的に把握され,当該他人を想起・連想させるものであることを要すると解すべきである(平成21年(行ケ)第10074号,知財高裁平成21年10月20日判決,平成23年(行ケ)第10190号,知財高裁平成24年1月30日判決)。
そこで,本件商標について検討するに,本件商標が商標法第4条第1項第8号に該当するには,「スワロー・8」の標章が申立人の名称の著名な略称であることを要するところ,本件商標は,「スワロー・8」の文字からなるとしても,その構成文字である「スワロー・8」の文字は,上記1のとおり,辞書に載録されている語ではなく,造語として認識されるものである。
そして,上記2のとおり,当該文字は,同じつづりからなる申立人の名称の略称を表すものとして著名であるとまでは認められないことから,本件商標に接した需要者が想起するのは,特定の意味合いを想起することのない造語であるというのが相当であって,必ずしも申立人の名称やその略称を想起・連想させるとはいえない。
してみれば,本件商標は,たとえ,その構成中に「スワロー・8」の文字を含むものであっても,当該文字を申立人の略称として著名であるとはいうことができないのであり,申立人の「著名な略称を含む」商標ということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について
本件商標は,上記1のとおり,「スワロー・8」の文字からなるものであるのに対し,申立人が商標法第4条第1項第10号及び同第15号の申立ての理由として引用する標章は,「株式会社スワロー・8」及び「スワロー・8」であるから,本件商標と「株式会社スワロー・8」の標章とは類似するものであり,本件商標と「スワロー・8」の標章とは同一のものといえる。
しかしながら,商標法第4条第1項第10号は,「需要者の間に広く認識されている」商標を対象とするものであるから,需要者の認識を基準に判断されるべきものであるところ,「株式会社スワロー・8」及び「スワロー・8」の各標章は,上記2のとおり,いずれも,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間で,申立人の業務に係る役務を表す語として,広く認識されていたとは認められないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
また,「株式会社スワロー・8」及び「スワロー・8」の各標章が,上記のように広く認識されていたと認められない以上,該各標章が本件商標と類似し,本件商標をその指定役務について使用しても,これに接する需要者が,該各標章を連想,想起して,その役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように認識することはないというべきであって,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
本号は,「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって,不正の目的(不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
そうすると,上記2のとおり,「株式会社スワロー・8」及び「スワロー・8」の各標章は,いずれも,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間で,申立人の業務に係る役務を表す語として,広く認識されていたとは認められないものであるから,本件商標と類似の商標であるとしても,商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
そして,不正の目的についても,申立人は,「株式会社スワロー・8」及び「スワロー・8」の各標章が周知,著名であることを前提に,本件商標が該標章の有する名声,信用,評判へのフリーライドを目的とするものである旨を主張しているが,上記2のとおり,該各標章の周知,著名性は認めることができず,申立人が提出した甲各号証を総合してみても,商標権者が,申立人に係る「株式会社スワロー・8」及び「スワロー・8」の各標章の名声と信用にフリーライドする意図など,それらを毀損させるものというべき事実は見出し難い。
また,他に,本件商標が不正の利益を得る目的,他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的事実を見いだすこともできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 商標法第4条第1項第7号該当性について
商標法第4条第1項第7号は,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録をすることができないとしているところ,同号は,商標自体の性質に着目したものとなっていること,商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については,同法第4条第1項各号に個別に不登録事由が定められていること,商標法においては,商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば,商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法第4条第1項第7号に該当するのは,その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである。
そして,同号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは,商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので,特段の事情のある例外的な場合を除くほか,許されないというべきである。
また,特段の事情があるか否かの判断に当たっても,出願人と,本来商標登録を受けるべきと主張する者との関係を検討して,例えば,本来商標登録を受けるべきであると主張する者が,自らすみやかに出願することが可能であったにもかかわらず,出願を怠っていたような場合や,契約等によって他者からの登録出願について適切な措置を採ることができたにもかかわらず,適切な措置を怠っていたような場合は,出願人と本来商標登録を受けるべきと主張する者との間の商標権の帰属等をめぐる問題は,あくまでも,当事者同士の私的な問題として解決すべきであるから,そのような場合にまで,「公の秩序や善良の風俗を害する」特段の事情がある例外的な場合と解するのは妥当でない(平成14年(行ケ)第616号,平成19年(行ケ)第10391号)。
申立人は,「商標権者は申立人の元代表取締役であり,本件商標の出願前に取締役を解任され,解任後すぐに本件商標登録出願を行っているから,申立人の業務を妨害し,不正の利益を得る又は他人に損害を与える目的があるという不正の目的が疑われ,適正な商道徳に反し,著しく社会的妥当性を欠く行為である。」旨を主張している。
確かに,申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証によれば,商標権者が平成28年7月1日に申立人の取締役を解任されたこと及び,商標権者は,「スワロー・8」が申立人の商号の一部であると承知していることを認めることができるから,本件商標の登録出願時には申立人及び「スワロー・8」の存在を知悉していたものといえる。
しかしながら,そのことのみを以て直ちに本件商標が引用商標の周知著名性にただ乗りするものであるとか,不正の目的をもって使用するものであるとまではいえない。
そして,上記2のとおり,「株式会社スワロー・8」及び「スワロー・8」の標章は,我が国において広く認識されているということはできないものであり,申立人の主張は,商標権者が申立人の元代表取締役であって,解任後すぐに本件商標登録出願したものであること,申立人の業務を妨害するという不正の目的で先取り的に登録したことを述べるのみであって,申立人の提出した証拠からは,具体的に商標権者が申立人の事業を妨害し不正の目的があることを裏付ける証拠は見いだすことができない。
以上からすると,本件商標について,商標法の先願登録主義を上回るような,その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあるということはできないし,そのような場合には,あくまでも,当事者間の私的な問題として解決すべきであるから,公の秩序又は善良の風俗を害するというような事情があるということはできない。
そして,「スワロー・8」の文字からなる本件商標は,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではなく,その構成自体がそのようなものではないし,それを指定役務について使用することが社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反するものともいえない。
また,本件商標は,他の法律によって,その商標の使用等が禁止されているものではないし,特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反するものでもない。
さらに,申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても,本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。
その他,本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標と認めるに足る証拠もない。
してみると,商標権者が,申立人が使用する商標と類似する本件商標の登録出願をし,登録を受ける行為が「公の秩序や善良の風俗を害する」という公益に反する事情に該当するものということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
7 まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号,同第8号,同第10号,同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから,その登録は,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-10-16 
出願番号 商願2016-89535(T2016-89535) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (W3639)
T 1 651・ 271- Y (W3639)
T 1 651・ 222- Y (W3639)
T 1 651・ 22- Y (W3639)
T 1 651・ 25- Y (W3639)
最終処分 維持 
前審関与審査官 柿本 涼馬安達 輝幸 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
山田 正樹
登録日 2017-01-27 
登録番号 商標登録第5917869号(T5917869) 
権利者 中島 祥輔
商標の称呼 スワローハチ、スワローエイト、スワロー 
代理人 大塚 康徳 
代理人 菅原 英夫 
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