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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W35
管理番号 1334535 
審判番号 取消2016-300357 
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-05-25 
確定日 2017-11-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5544187号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5544187号商標(以下「本件商標」という。)は,「PRTIMES」の欧文字と「ピーアールタイムズ」の片仮名を上下2段に横書きしてなり,平成24年2月21日に登録出願,第35類「広告,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,広告用具の貸与」を指定役務として,同年12月21日に設定登録されたものである。
なお,本件審判の請求の登録日は,同28年6月7日である。

第2 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録を取り消す,審判費用は,被請求人の負担とする,との審決を求め,審判請求書、審判事件弁駁書及び口頭審理陳述要領書及び上申書において,その理由を要旨次のように述べ,甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定役務について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により,その登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は,平成25年10月?12月に東京都世田谷区及び目黒区において,登録商標を使用したチラシを配布したと述べている。確かに業者の領収書が添付されているので印刷及び配布のための費用は支払ったと思われるが,実際に配布されたかどうかはこの資料からは明らかではない。
また,被請求人は,登録商標を指定役務「広告」について使用していると答弁しており,その商標の使用態様は2パターンあると述べている。1つ目はチラシの中央部分の一番目立つ部分に一際大きく「PR」の文字を書し,その下方に「TIMES」の文字を白色で書しており,その大きな「PR」の文字と「TIMES」の文字の間に小さく「ピーアールタイムズ」と小さく表記したものである。2つ目はチラシ下段の会社名や電話番号などが書されている部分にカナ文字で「ピーアールタイムズ」と表記した部分である。一方,本件商標は上段に英大文字「PRTIMES」,下段にカナ文字の「ピーアールタイムズ」の2段表記からなる商標である。
1つ目のチラシ中央部分の大きく表記された商標は,大きく表記された「PR」の文字の部分と「TIMES」の文字が上段と下段に分かれている点で,本件商標の上段に一連に書される「PRTIMES」の部分と異なる。また,「ピーアールタイムズ」の表記が「TIMES」の上に小さく表記されている点も,下段に「ピーアールタイムズ」の表記がある本件商標とは明らかに異なる。よって,チラシ中央部分の大きく表記された1つ目の商標は本件商標と比較して社会通念上同一ではない。
次に,チラシ下段に「ピーアールタイムズ」と表記された商標は,「PRTIMES」と「ピーアールタイムズ」の2段表記からなる本件商標と比較して外観が明らかに異なる。また,本件商標の半分を占める「PRTIMES」の一連一体の表記がこのチラシからはどこにも見当たらないのは,たとえその称呼である「ピーアールタイムズ」をチラシ下段に使用しているとはいえ,本件商標と社会通念上同一の商標を使用しているとはいい難い。
よって,被請求人の商標の使用は,商標法第50条第1項の「社会通念上同一の商標」の使用ではないと考えられる。
3 口頭審理陳述要領書(平成28年12月5日付け)
(1)合議体の暫定的な見解に対する意見に関して
「広告」の役務を実際に行っていることが確認できないという合議体の暫定的な見解に対して,被請求人は,履歴事項全部証明書(乙4)の「(6)法人向け経営コンサルティング業務」の中で「広告」の役務を行っていると主張しているが,「広告業」は,「経営コンサルティング業務」の下位概念となるような業務ではない。
また,「経営コンサルティング業務」と「広告業」とは類似群コードが異なることから非類似の役務と考えられるので,「広告代理」が目的に含まれていない履歴事項全部証明書をもって,被請求人が「広告」の役務を実際に行っていることの証拠とはなりえない。
また,チラシ(乙1)には,被請求人のことを「飲食店・小売業・中小企業向け広告代理店」(最下部の電話番号表記の上)と表記したり,「広告」の文字をあえて大きく表記したりして,指定役務である「広告」を主張している。しかし,履歴事項全部証明書(乙4)によると被請求人は広告代理を行うことは予定していない。つまり,このチラシ(乙1)は,自らが広告代理店であることを主張するための材料ではないかとの疑いがある。
さらに,被請求人は,広告の役務に係る請求書(乙5)を提出しているが,この請求書はそもそも被請求人が作成した請求書なので「広告」の役務を実際に行っている証拠としての信憑性が極めて薄い。実際に「広告」の役務を行っているのであれば,例えば,依頼人のために作成したポスター,看板,広告文などの成果物の提出がない以上,被請求人が「広告」の役務を実際に行っていることを客観的に証明したとはいえない。なお,広告の役務に係る請求書(乙5)の発行日は2015年9月5日となっており,チラシ(乙1)を配布した2015年10月7日より1か月前であるため,この請求書(乙5)は,チラシ(乙1)の広告をみて依頼してきたクライアントに対して請求されたものではないことは明らかである。
(2)請求人の主張に対する意見に関して
請求人の「実際にチラシが配布されたか明らかでない」という主張に対して,被請求人は,ポスティングによって納品されている旨を納品書をもって主張している。しかし,もしこれをもって被請求人がチラシを配布していたとしても,このチラシの配布が広告の依頼に繋がり,依頼人のために作成した成果物が提出されていない以上,被請求人が「広告」の役務を実際に行っていることを客観的に証明したとはいえない。納品書(乙3)の内容を検討しても,チラシの配布部数(1,500部)が少ない点,商標権設定登録日(平成24年12月21日)から3年経過する直前の平成27年10月?12月のみのチラシ配布である点を考慮すると,不使用取消審判による取消を免れるための,いわば名目的な商標の使用ではないかと考えざるを得ない。
また,被請求人のチラシをポスティングしたという「株式会社ニューアシスト」(以下「ニューアシスト社」という。)の履歴事項全部証明書(甲3)の目的には「広告代理」がなく,広告代理とは何ら関連のない「インターネットを利用する情報システム及び通信ネットワークの企画・設計並びにこれに関する受託業務」を目的としている。このような目的を持つ法人が,被請求人からどのような経緯で,ポスティングによる広告を請け負ったかという証拠がない。また,インターネットを利用する役務を目的とするニューアシスト社は,何故,ダイレクトメールのようなインターネットを利用した広告手段を使わずに,あえてポスティングによる広告手段を使用した点に疑問がある。
(3)使用に関する新たな証拠について
納品書(乙9)を検討すると,納品書(乙3)の内容と全く同様であり,チラシの配布部数が少ない点や,チラシ配布が商標権設定登録日から3年経過する直前である点から考量すると,こちらについても名目的な商標の使用ではないかと考えられる。被請求人は,2015年10月7日に配布したチラシ(乙1)が依頼に繋がった証拠を全く提出していないので,たとえチラシ(乙1)を実際に配布していたとしても,2015年10月7日のチラシ配布による効果がなかったものと推定される。にもかかわらず,同じ業者であるニューアシスト社に対して,しかも全く同じエリアである世田谷?目黒エリアにチラシを配布する点に疑問がある。普通であればチラシによる効果がなければ,業者を変えるか,チラシを配布するエリアを変えて再度行うべきものと考えられる。
(4)補足
被請求人は,インターネット上に自社のホームページを有していないことから,被請求人は広告役務を実際に行っているのかという疑問点がある。何故なら,インターネットが普及している昨今において,「広告」の役務を業として行う法人が,営業上極めて有効なホームページによる顧客へのアプローチを行わず,チラシのポスティングしか行っていない。特に被請求人の履歴事項全部証明書(乙4)の一番最初に表記されている目的が「(1)インターネットを使ったシステムの企画・構築・販売業務」であるにも関わらず,自社のホームページさえ有していないという点を考慮すると,業として「広告」の役務を実際に行う意思があるとはとても考えられない。
さらに,証拠書類として提出されているチラシ(乙1及び乙7)の内容には「広告をご検討の事業主の皆様!」と事業主に対するメッセージが大きく表記されているが,事業主に対する広告手段としてポスティングを採用している点にも疑問がある。ポスティングというのはポストに投函する広告手法であるが,もしポスティングによる広告を行うのであれば,事業主でない者に対して投函するのは広告が無駄になる。有償で行っているのであるから,どのような事業主に対してチラシを配布するかを示した配布計画書のようなものが必ずあるはずであるが,そのような証拠の提出がない。なお,事業主に対して直接訴えるのであれば,事業主に対してDM(ダイレクトメール)を送れば,無駄な広告を排除でき,効率的に広告を打つことができると考えられるが,例えばDMのように直接事業主に対して広告を送ったという証拠もない。
4 上申書(平成29年1月30日付け)
(1)「広告」の成果物の提出がない点
被請求人は,依頼主のために実際にどのような広告を掲載したのか,その成果物等を提出していない。被請求人は,新たな証拠としては発注書や請求書を提出しているが,株式会社マキシムライト(以下「マキシムライト社」という。)が広告依頼者のために「日刊テラフォー」に実際に掲載した広告を証拠として提出していないので,商標の使用を客観的に立証したとはいえない。また,「日刊テラフォー」(http://www.terrafor.net/)をウェブ上での確認を試みたが,ビジー状態が続き開くのに時間がかかり,その後開いてもウェブサイト自体が欠損した状態で情報サイトとしての機能をはたしていない(甲4)。
よって,「日刊テラフォー」が実際に広告の役務を行っているウェブサイトであることを確認することができない。
なお,「日刊テラフォー」のウェブサイトは,2016年12月27日の「YOU TUBE」による動画ネタを最後に更新されておらず(甲4),その後このような状態になったものと推測される。ちょうど「テラフォー」の広告について言及された口頭審理のあった平成28年12月19日の1週間後のことである。現段階の「日刊テラフォー」のウェブサイトから広告の役務を行っていない以上,被請求人が主張する「日刊テラフォー」への広告掲載の事実を成果物をもって証明しない限り,広告の役務を実際に行っていることの証明にはならないと考えられる。このような状況では被請求人およびマキシムライト社が広告の役務を行っていたと信じることはできない。
(2)請求人の上申についての反論
被請求人は,マキシムライト社が運営する「日刊テラフォー」への広告掲載を第三者から受注する役務が「広告」の役務に該当すると述べているが,上述のようにマキシムライト社が広告の役務を行っていることが確認できない以上,被請求人は広告の役務を行っていることにはならない。
また,被請求人は「インターネット上の広告スペースの提供及びそれに関する情報の提供」を行っていることが「広告」の役務を行ったことになると述べているがこれも間違いである。「インターネット上の広告スペースの提供及びそれに関する情報の提供」は,類似群コード35A01と35J01との組み合わせの役務であり(甲5),35A01のみの「広告」とは別の役務である。たとえ,仮に類似する役務であったとしても,類似部分の使用は商標法第50条第1項の使用には該当しないことは条文上からも明らかである。
被請求人は,広告掲載者からの発注書(乙10)を証拠として提出しているが,証拠として十分ではない。発注書だけでなく,その広告依頼者のためにどのような広告を「日刊テラフォー」を通して行ったのかが明らかにされなければ広告の役務を行っていることの証明にはならない。また,被請求人も述べているとおり多数の広告掲載者が存在するということなので,それらの実際に行った広告の成果物も提示する必要があると考える。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を答弁書,口頭審理陳述要領書及び上申書において要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は,指定役務「広告」について,平成27年10?12月に本件商標の使用をした。具体的には,乙第1号証のチラシを,東京都世田谷区及び目黒区において配布した。これは,商標法第2条第3項第8号に定める「・・・役務に関する広告・・・に標章を付して・・・頒布・・・する行為」(条文中本件と無関係の箇所を・・・として省略した。)であり,商標の使用に該当する。
乙第2号証に,チラシの印刷及び配布を委託した「株式会社ニューアシスト」の領収書を示す。チラシの印刷及び配布(ポスティング)が行われたことは明白である。
なお,使用された商標は,「ピーアールタイムズ」の文字のみを1行に書してなる商標「以下(A)という。」,及び「PR」の文字を大きく書し,その下方に「TIMES」の文字を小さく書し,「PR」の文字と「TIMES」の文字との間に「ピーアールタイムズ」の文字をさらに小さく書した商標「以下(B)という。」であり,本件商標と完全に同一ではない。しかし,(A)については,相互に変換可能なローマ字と片仮名を2段に表記した本件商標のうちの1段と同一であり,「ピーアールタイムズ」という同一の称呼及び「広告する時」という同一の観念が生じ,「ピーアールタイムズ」の文字からは「PR TIMES」のつづりが想起されるものであるので,使用された商標は,本件商標に対して商標法第50条第1項の「社会通念上同一と認められる」商標に該当する。
(B)についても,「PR TIMES」の文字を主とし,「ピーアールタイムズ」の文字を副とする商標であり,「PR」「TIMES」及び「ピーアールタイムズ」の文字の大きさ及び位置が相違するとしても,商標における文字の大きさや位置は適宜に変更して用いられることも多く,「広告する時」を意味する「PR TIMES」が認識され,その称呼としての「ピーアールタイムズ」が付されたと認識される使用商標は,本件商標に対して商標法第50条第1項の「社会通念上同一と認められる」商標に該当する。
なお,(A),(B)の少なくとも一方が本件商標に対して商標法第50条第1項の「社会通念上同一と認められる」商標に該当するならば,それをもって,商標法第50条に係る本件商標の使用である。
以上のとおり,被請求人は,平成27年10?12月に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を,指定役務「広告」について使用した。他の指定役務についての使用をした事実の有無を論じるまでもなく,本件審判請求が成り立たない。
2 口頭審理陳述要領書(平成28年11月21日付け)
(1)合議体の暫定的な見解に対する意見
被請求人は,履歴事項全部証明書(乙4)における目的の「(6)法人向け経営コンサルティング業務」の中で,「広告」の役務を行っている。広告の役務に係る請求書(乙5)を提出する。請求書の日付はチラシ(乙1)の配布日の直前(およそ1月前)の日付である。チラシ(乙1)の配布日において被請求人は「広告」の役務を実際に行っており,チラシ(乙1)は,その役務に係る広告(商標法第2条第3項第8号)としての商標の使用である。
(2)請求人の主張に対する意見
請求人は,「実際にチラシが配布されたか明らかでない」と主張するが,乙3号証に示すとおり,ポスティング(業者による配布)によって納品されており,実際に配布したことは明らかである。
請求人は,「チラシに表記された商標は,本件商標と社会通念上同一の商標ではない」と主張するが,不当である。特許庁発行の審判便覧53-01(乙6)によれば,「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって,上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに,その一方の使用」は社会通念上同一と認められるとされている。本件商標は「PRTIMES」及び「ピーアールタイムズ」の語句を二段に併記してなるが,上段及び下段共に「広告(PR)に関する報道媒体(TIMES)」ないし「広告(PR)をする時期(TIMES)」との観念を生じる。してみれば,チラシ下段に「ピーアールタイムズ」と表記された商標は,「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって,上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに,その一方の使用」の要件を満たし,本件商標と社会通念上同一である。チラシに表記された商標と本件商標との関係において審判便覧が適用されないとする例外的な事情はない。また,チラシ中央部分に「PR」及び「TIMES」の文字を表記し「ピーアールタイムズ」の文字を小さく表記した商標についても,本件商標と同一の称呼及び観念を発生することが自明である。使用された商標は,表記上の微差があっても,本件商標と同一の称呼及び観念を発生するものであり,審判便覧において社会通念上同一と認められる上記のものと同等に,本件商標と社会通念上の同一性を有している。以上に述べたとおり,チラシに表記された商標は,いずれも,本件商標と社会通念上同一である。
(3)使用に関する新たな証拠
以上(2)に述べたことから,使用に関する新たな証拠を示さずとも使用が立証されると考えるが,予備的に別の証拠を提出する。被請求人は,先に提出したチラシの他にもチラシ(乙7)を,平成27年11月7日に,東京都世田谷区及び目黒区において配布した。配布の事実を示す領収書(乙8)及び配布の日付を示す納品書(乙9)を合わせて提出する。チラシ(乙7)下段に「PRTIMES」と表記された商標が使用されている。「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって,上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに,その一方の使用」であり,審判便覧(乙6)に示すとおり,使用された商標は,本件商標と社会通念上同一である。
3 上申書(平成29年1月16日付け)
(1)被請求人が「広告」の役務を実際に行っていることに関する証拠の補充
被請求人は,広告の役務に係る請求書(乙5)を提出し,それによって被請求人が「広告」の役務を実際に行っていることの確認に十分と考える。マキシムライト社の運営するニュースサイト「日刊テラフォー」(http://www.terrafor.net/)への広告掲載を第三者から受注する役務の対価としてマキシムライト社に請求したものである。「インターネット上の広告スペースの提供及びそれに関する情報の提供」の役務(類似群コード35A01を含む)を行っており,「広告」が類似群コード35A01を総括する役務名であるので,被請求人が「広告」の役務を実際に行ったものである。
補充する証拠として,広告を掲載した者からの発注書(乙10)及び広告を掲載した者への請求書(乙11)を提出する。
請求書(乙5),発注書(乙10),請求書(乙11),機密保持契約書(乙12)の関係を説明する。被請求人は,「テラフォー」への掲載を第三者(1社)から受注する役務の対価として請求書(乙5)に係る金銭をマキシムライト社から受領した。その後,営業活動を行い,広告掲載者から発注を受け(乙10),同日に機密保持契約書(乙12)を締結した。その後,広告を掲載して,広告掲載者に請求した(乙11)。また,マキシムライト社からの請求を受けた(乙13)。これら(乙5,乙10,乙11,乙13)に基づいて各社の収支を計算すると,広告掲載者が150,000円を支払い,マキシムライト社が90,000円,被請求人が60,000円を受領している。
(2)請求人の口頭審理陳述要領書に対する意見
請求人は,「被請求人がチラシを配布していたとしても,(中略),被請求人が『広告』の役務を実際に行っていることを客観的に証明しているとはいえない」と主張する。被請求人は,チラシの配布と,被請求人が業として広告の役務を行っていることとの両方を証明すべきことを認識している。上記請求人の主張は,被請求人が業として広告の役務を行っていることに対する意見であり,チラシの配布については請求人も特に異論を述べていない。また,請求人は,「社会通念上同一か否かについては反論しない」と述べている。してみれば,請求人は,被請求人がチラシを配布し,商標法第2条第3項第8号に係る「標章」の使用を行ったことについて,何ら異論を述べていない。
以上,「標章」の使用について,請求人と被請求人との間で争いがないが,「商標」の使用であるためには,被請求人が業として広告の役務を行っていることを証明する必要がある。この点,上記(1)において証明した。
以上のとおり,被請求人は,商標法第2条第3項第8号に係る「標章」の使用を行ったこと,及び,業として広告の役務を行っていること,について立証した。商標法第2条第3項第8号に係る「商標」の使用を行ったことを立証したこととなる。
請求人は,被請求人が業として広告の役務を行っているものではないことを前提として,「名目的な商標の使用である」との主張,被請求人が広告の役務を行っていることに対する疑念等を述べている。しかし,前提が成立しないので,これ以上の議論は不要である。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠について
(1)乙第1号証について
乙第1号証は,「チラシ」である。
これには,上段に「広告をご検討の事業主の皆様!/まずはお気軽にご相談ください/今ならキャンペーン中!(2015年12月まで)」の記載があり,中段には大きく表された「PR」の文字と長く延ばした該「P」の文字の縦棒の下部に接するように「TIMES」の文字及び「ピーアールタイムズ」の片仮名が四角枠内に記載され,その下に「広告のプロが広告主様と一緒に、売上・集客に繋がる広告戦略を練らせていただきます。広告の事なら何でもご相談ください。」の記載があり,下段には「ピーアールタイムズ」の片仮名が大きく記載され,その下に「運営会社:合同会社協和商事」及び電話番号の記載がある。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は,ニューアシスト社から被請求人に宛てた「領収書」である。
これには,右上に「発行日 平成27年10月15日」の記載、品目名欄に「PR TIMESチラシ1500部」,「ポスティングオプション(世田谷?目黒エリア)」の記載とそれぞれの単価,数量,金額が記載されている。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は,ニューアシスト社から被請求人に宛てた「納品書」である。
これには,右上に「発行日 平成27年10月15日」の記載,内訳欄に「PRTIMESチラシ1500部」,「ポスティング 2015年10月7日(世田谷?目黒エリア 池尻大橋)」の記載とそれぞれの納品方法,数量が記載されている。
(4)乙第5号証について
乙第5号証は,被請求人からマキシムライト社に宛てた「御請求書」である。
これには,発行日欄に「2015年9月5日」と記載され,請求金額とその内訳と思われる欄に「テラフォー広告枠代理販売」の記載がある。
(5)乙第7号証について
乙第7号証は,「チラシ」である。
これには,上段に「広告をご検討の事業主の皆様!/まずはお気軽にご相談ください」の記載があり,下段に電話番号と「広告出稿や広告に関するコンサルティングの事なら」の記載に続いて,「PRTIMES」,「キャンペーン中/2016年1月まで」及び「合同会社協和商事」の記載がある。
(6)乙第8号証について
乙第8号証は,ニューアシスト社から被請求人に宛てた「領収書」である。
これには,右上に「発行日 平成27年11月15日」の記載、品目名欄に「PRTIMESチラシ1500部」,「ポスティングオプション(世田谷?目黒エリア)」の記載とそれぞれの単価,数量,金額が記載されている。
(7)乙第9号証について
乙第9号証は,ニューアシスト社から被請求人に宛てた「納品書」である。
これには,右上に「発行日 平成27年11月15日」の記載,内訳欄に「PRTIMESチラシ1500部」,「ポスティング 2015年11月7日(世田谷?目黒エリア 池尻大橋)」の記載とそれぞれの納品方法,数量が記載されている。
(8)乙第13号証について
乙第13号証は,マキシムライト社から被請求人に宛てた「御請求書」である。
これには,右上に「2016年4月30日」の記載,サービス名欄には黒塗りされた部分に続いて「社 広告」の記載があり,数量,単位,金額が記載されている。
2 上記1によれば,以下のとおり判断できる。
(1)使用者について
チラシ(乙1,乙7)には被請求人の名称が記載されており,このチラシの発行者は被請求人であると認められる。
(2)使用商標及び使用役務について
チラシ(乙1)には,「ピーアールタイムズ」の片仮名が記載され,チラシ(乙7)には,「PRTIMES」の欧文字が記載されている。
そして、チラシ(乙1)の「広告をご検討の事業主の皆様!/まずはお気軽にご相談ください」及び「広告のプロが広告主様と一緒に、売上・集客に繋がる広告戦略を練らせていただきます。広告の事なら何でもご相談ください。」の記載並びにチラシ(乙7)の「広告をご検討の事業主の皆様!/まずはお気軽にご相談ください」及び「広告出稿や広告に関するコンサルティングの事なら」の記載からすれば,これは,「広告」の役務に関するチラシであることがわかる。
(3)社会通念上同一の商標について
上記(2)の「ピーアールタイムズ」の片仮名及び「PRTIMES」の欧文字は,本件商標の下段の片仮名及び上段の欧文字と同一であり,本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
(4)使用時期について
チラシ(乙1)の領収書(乙2)及び納品書(乙3)の発行日は平成27年10月15日で,当該チラシのポスティング(審決注:チラシ等を各個宅の郵便受けへ直接投入する行為)の日は2015年(平成27年)10月7日であり,チラシ(乙7)の領収書(乙8)及び納品書(乙9)の発行日は平成27年11月15日で,当該チラシのポスティングの日は2015年(平成27年)11月7日であって,いずれも要証期間内である。
(5)商標権者の日本における役務の提供について
請求書(乙5,乙13)によれば,被請求人(商標権者)は,マキシムライト社の広告枠の代理販売を請け負い,該広告枠に係る請求を受けていることが認められ,これより、被請求人(商標権者)は,マキシムライト社の広告枠に他社の広告を掲載することの仲介をしたものと推認することができる。そして,該行為は,「広告」の役務に含まれる「広告の仲介」の役務の提供とみることができる。
(6)小括
以上からすれば,被請求人(商標権者)は,本件審判の請求の登録前3年以内に,その請求に係る指定役務を提供しており,該役務の広告用チラシには,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたと認められる。
そうすると,被請求人(商標権者)による上記行為は,商標法第2条第3項第8号に該当する使用と認めることができる。
3 むすび
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者がその指定役務について本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-03-27 
結審通知日 2017-03-29 
審決日 2017-04-19 
出願番号 商願2012-16398(T2012-16398) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (W35)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 山田 正樹
榎本 政実
登録日 2012-12-21 
登録番号 商標登録第5544187号(T5544187) 
商標の称呼 ピーアールタイムズ、ピイアアルタイムズ 
代理人 金子 宏 
代理人 特許業務法人JAZY国際特許事務所 
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