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審決分類 審判 一部無効 観念類似 無効としない W43
審判 一部無効 称呼類似 無効としない W43
審判 一部無効 外観類似 無効としない W43
管理番号 1334506 
審判番号 無効2017-890006 
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-01-25 
確定日 2017-10-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第5710576号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5710576号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年12月18日に登録出願され、第29類「食用油脂,食肉,卵,冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,カレー・シチュー又はスープのもと」、第30類「調味料,香辛料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,食用グルテン,食用粉類」、第31類「海藻類」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、同26年10月17日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が請求の理由において引用する登録商標は、以下のとおりであり、現に有効に存続しているものである。
1 登録第4543841号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成12年12月18日に登録出願され、第42類「中華料理を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同14年2月15日に設定登録されたものである。
2 登録第4378569号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成11年2月19日に登録出願され、第42類「ラーメンの提供」を指定役務として、同12年4月21日に設定登録されたものである。
なお、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、以下「引用商標」という場合がある。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定役務中、第43類「飲食物の提供」についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、引用商標と類似する商標であって、本件商標の指定役務中、第43類「飲食物の提供」は、引用商標の指定役務に類似する役務である。 したがって、本件商標は、上記指定役務について、商標法第4条第1項第11号に該当し、同法第46条第1項第1号によりその登録は無効とされるべきである。
2 具体的な理由
(1)本件商標と引用商標との類否について
ア 外観について
本件商標は、漢字3文字で「味噌屋」と平仮名4文字で「せいべえ」が横二段に表示され、引用商標1の「味噌屋」と引用商標2の「らーめん工房」及び「味噌屋」(審決注:引用商標1及び引用商標2における「噌」の文字は、別掲2及び別掲3のとおり、異体字で表されている。以下同じ。)と対比すると、「味噌屋」において外観が同一又は類似する。
イ 称呼について
本件商標は、「味噌屋」から「ミソヤ」の称呼を生じ、「せいべえ」から「セイベエ」の称呼を生じる。
引用商標1の「味噌屋」からは「ミソヤ」の称呼を生じ、同様に、引用商標2の「らーめん工房」からは「ラーメンコウボウ」、「味噌屋」からは「ミソヤ」の称呼を生じる。
したがって、本件商標と引用商標とは、「味噌屋」から生じる「ミソヤ」の称呼において互いに同一である。
ウ 観念について
本件商標は、「味噌屋」から「味噌を販売する店」の観念を生じ、「せいべえ」は名前を意味する。
また引用商標1は、「味噌屋」から「味噌を販売する店」の観念を生じる。
さらに、引用商標2は、「らーめん工房」から「ラーメンを作る所」の観念を生じ、また「味噌屋」から「味噌を販売する店」の観念を生じる。
被請求人は、本件商標の審査段階での意見書で、「せいべえという名の味噌屋」の一連の観念が生じると主張しているが、「味噌屋」と「せいべえ」は横二段に表示され、「味噌屋」から「味噌を樽で作る店、味噌を作る家」の観念も生じるので、引用商標1及び引用商標2と同一である。
したがって、本件商標と引用商標とは、「味噌屋」から生じる観念において同一である。
エ 指定役務について
本件商標は、指定役務が「飲食物の提供」で、引用商標1は、指定役務が「中華料理を主とする飲食物の提供」であり、引用商標2は、指定役務が「ラーメンの提供」で、互いに同一の類似群に属する役務である。
オ 引用商標の周知著名性
引用商標の「味噌屋」は、請求人が経営するラーメン店の店名として使用しているもので、全国的に周知著名で自他商品識別力を十分に有するものである。
請求人が経営するラーメン店の「味噌屋」の商標を使用して、甲第4号証に示すように、カップ麺の大手である日清食品株式会社との間で商品化権使用許諾を締結して、全国7,600店のコンビニエンスストア、ローソンで販売し、第1回目の平成15年には当初生産した21万食が完売となり、その後13回にわたって販売され、現在まで252万食を下らない数のカップ麺が販売されており、「味噌屋」は全国的に著名で自他商品識別力ある商標である。
被請求人は、このローソンで販売されていた全国的に著名な「味噌屋」の商標にヒントを得て、店名に使用し、「味噌屋」を構成要件とする本件商標を出願したものと考えられる。
請求人は、この他にも甲第5号証に示すように、登録第4856753号の商標を所有している。
カ 結論
したがって、本件商標と引用商標とは、「味噌屋」の外観と、「ミソヤ」の称呼及び「味噌を販売する店」の観念で同一又は類似しており、しかも指定役務が同一又は類似しているので、本件商標の第43類「飲食物の提供」の登録は商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。
(2)利害関係について
被請求人が「味噌屋」の文字を構成要件とする本件商標を飲食物の提供に使用することにより、全国的に周知、著名な請求人の業務と混同し、多大の不利益を被るおそれがあるから、本件商標の登録無効審判を請求する利益がある。
3 被請求人の答弁に対する弁駁
(1)外観について
本件商標は、漢字3文字で「味噌屋」と平仮名4文字で「せいべえ」が横二段に表示され、引用商標1の「味噌屋」と引用商標2の「らーめん工房」及び「味噌屋」と対比すると、漢字3文字の「味噌屋」において外観が類似する。
これに対して、被請求人は、答弁書で、本件商標は、あくまでも「味噌屋」と「せいべえ」の本件商標全体から認識され、引用商標1の「味噌屋」及び引用商標2の「らーめん工房 味噌屋」と、外観において明らかに区別し得るものであると主張している。
しかしながら、「味噌屋」の部分について縦書きと横書きの相違はあるものの、外観において類似する。
(2)称呼について
本件商標は、「味噌屋」から「ミソヤ」の称呼を生じ、「せいべえ」から「セイベエ」の称呼を生じる。
引用商標1の「味噌屋」からは「ミソヤ」の称呼を生じ、同様に引用商標2の「らーめん工房」からは「ラーメンコウボウ」、「味噌屋」からは「ミソヤ」の称呼を生じる。
したがって、本件商標と引用商標は、「味噌屋」から生じる「ミソヤ」の称呼において互いに同一である。
これに対して、被請求人は、答弁書で、本件商標は、全体として「ミソヤセイベエ」という一連の称呼が生じるものであり、引用商標1の「ミソヤ」なる称呼、引用商標2の「ラーメンコウボウミソヤ」なる称呼と称呼上明らかに異なると主張している。
しかしながら、書体も大きさも異なる「味噌屋」と「せいべえ」は横二段で表示され、「ミソヤ」と「セイベエ」は別個の称呼を生じるにもかかわらず、被請求人は「ミソヤセイベエ」という一連の称呼だけを主張し、なぜ「ミソヤ」と「セイベエ」の別個の称呼を生じないのかその理由を示していない。同様に、引用商標2の「ラーメンコウボウ」と「ミソヤ」についても一連に判断し、別個の称呼について、「ミソヤ」と「セイベエ」の称呼を生じないのかその理由を示していない。
(3)観念について
本件商標は、「味噌屋」から「味噌を販売する店」、「味噌を製造する所」を意味し、「せいべえ」からは名前を意味する。
さらに引用商標2は、「らーめん工房」から「ラーメンを作る所」の観念を生じ、また「味噌屋」は「味噌を販売する店」、「味噌を製造する所」を意味する。したがって、「味噌屋」の部分において本件商標と引用商標とは観念において同一である。
これに対して、被請求人は、答弁書で、本件商標は、「せいべえという名の味噌屋」のような観念を有するのであり、引用商標1の「味噌を販売する店」なる観念、引用商標2の「ラーメンを作る所で味噌を販売する店」なる観念と、観念上明らかに異なると主張する。
しかしながら、本件商標は、書体も大きさも異なる「味噌屋」と「せいべえ」は横二段で表示され、「味噌屋」と「せいべえ」は別個の観念を生じるにもかかわらず、被請求人は「味噌屋せいべえ」という一連の観念だけを主張し、なぜ「味噌屋」と「せいべえ」の別個の観念を生じないのかその理由を示していない。
(4)最高裁判例について
被請求人は、最高裁判決を挙げているが、これにも述べられているように「取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきである。」と判示しているが、本件商標は書体も大きさも異なる「味噌屋」と「せいべえ」が横二段で表示され、特に「味噌屋」の部分が明らかに外観、称呼、観念において同一又は類似し、無効理由を有するばかりでなく商標権を侵害するおそれもある。
(5)他の審決例について
被請求人は、幾つかの審決例を挙げて、非類似であると認定されていると主張している。しかし、引用商標と対比するといずれも図形が付加されていたり、書体がデザイン化されているものであり、また、審決例の登録第560579号及び登録第55527585号は、該当する登録がなく証拠価値のないものである。
(6)結論
以上述べたように、本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念において同一又は類似し、商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。
1 答弁の要点
本件商標は、引用商標と非類似の商標であり、本件商標を無効とすべき理由はない。
2 請求人について
請求人は、福島県郡山市熱海町に「らーめん工房 味噌屋」という名のラーメン店を平成10年6月30日にオープンした(乙1)。その後、店舗名である「らーめん工房 味噌屋」なる商標を平成11年2月19日に出願し(甲3)、翌年の同12年12月18日に「味噌屋」なる商標を出願し(甲2)、それぞれ登録を得た。
3 被請求人について
被請求人は、平成9年8月創業の東京池袋に本社を置く株式会社花研の代表取締役である(乙2、乙3)。同社は、静岡県富士市に「味噌屋せいべえ」という名の味噌ラーメン専門店を平成16年4月にフランチャイズオープンし、その後、JR千葉駅前店、新橋駅前店等をオープンし、現在まで、上野、池袋、茨城県古河市、静岡県富士市の合計5店で営業している(乙4)。
4 本件商標の説明
本件商標は、「せいべえ」、「味噌屋」なる語を特殊な書体で表し、「せいべえ」を「味噌屋」よりも大きく表示するとともに、「味噌屋」なる文字を「せいべえ」の「せ」と「え」の間であって、「いべ」の上にバランスよく配置した、全体としてまとまりよく一体的に看取、把握される商標である。そのため、本件商標は、「ミソヤセイベエ」の一連の称呼、「せいべえという名の味噌屋」という観念を有する商標である。
5 引用商標の説明
(1)引用商標1
引用商標1は、「味噌屋」なる語を縦書きで表示する商標である。これにより、「ミソヤ」という称呼及び「味噌を販売する店」という観念が生じる。
(2)引用商標2
引用商標2は、「らーめん工房」と「味噌屋」なる語を縦書き2行で連続して表示する商標である。これにより、「ラーメンコウボウミソヤ」という一連の称呼及び「ラーメンを作る所で味噌を販売する店」という観念が生じる。
6 本件商標と引用商標との類否
(1)外観について
商標審査基準は、「外観とは、商標に接する需要者が、視覚を通じて認識する外形をいう。商標の外観の類否は、商標に接する需要者に強く印象付けられる両外観を比較するとともに、需要者が、視覚を通じて認識する外観の全体的印象が、互いに紛らわしいか否かを考察する。」と規定する(第4条第1項第11号、第2頁)。すなわち、商標の外観とは、商標全体から認識される外形を表すのであって、商標の一部を抜き出して外観の類否判断に使用するものではない。
請求人は、「本件商標を引用商標と対比すると、『味噌屋』において外観が同一又は類似する」と、本件商標の一部「味噌屋」を都合よく抜き出して引用商標と類似すると主張する。しかしながら、本件商標全体から認識される外形は、引用商標1の「味噌屋」及び引用商標2の「らーめん工房 味噌屋」と、外観上明らかに異なっている。
したがって、本件商標と引用商標は、外観において明らかに区別し得るものである。
(2)称呼について
請求人は、「本件商標は、『味噌屋』と『せいべえ』の横二段で表示され、『ミソヤ』と『セイベエ』の称呼を生じるから、引用商標1から生じる『ミソヤ』、引用商標2から生じる『ミソヤ』と称呼において同一である」と主張する。
しかしながら、本件商標は、上述したように、全体として「ミソヤセイベエ」という一連の称呼が生じるものであり、引用商標1の「ミソヤ」なる称呼、引用商標2の「ラーメンコウボウミソヤ」なる称呼と、称呼上明らかに異なる。
したがって、本件商標と引用商標は、称呼において明らかに異なり、相紛れるおそれはない。
(3)観念について
請求人は、「本件商標は、『味噌屋』と『せいべえ』の横二段で表示され、『味噌屋』から『味噌を販売する店』、『味噌を樽で作る店、味噌を作る家』の観念を生じるから、引用商標から生じる『味噌を販売する店』と観念において同一である」と主張する。
しかしながら、本件商標は、「せいべえという名の味噌屋」のような観念を有するのであり、引用商標1の「味噌を販売する店」なる観念、引用商標2の「ラーメンを作る所で味噌を販売する店」なる観念と、観念上明らかに異なる。
したがって、本件商標と引用商標は、観念上も相紛れることはない。
(4)最(三)判平成9年3月11日民集51巻3号1055頁
いわゆる小僧寿し事件において、最高裁は、「商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された商標が外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきである。」と判示している。
これを本件についてみると、需要者は、特殊な字体でまとまりよく、しかも赤文字で書かれた本件商標から、インパクトのある味の味噌ラーメンを提供するラーメン店である印象を感じ、本件商標を視覚的に強烈に記憶する。その上、両商標の外観、称呼及び観念は著しく相違するのであり、取引実情に鑑みても、役務の出所の誤認混同を生じるおそれは全くない。
このように、最高裁の判決に照らしても、本件商標は、引用商標と非類似であると思料する。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても非類似の商標であり、出所の混同は生じない。
(6)他の審決例
請求人の主張を要すれば、請求人は、「本件商標は、『味噌屋』と『せいべえ』の横二段で表示されているから、本件商標から『味噌屋』と、『せいべえ』とからそれぞれ外観、称呼、観念が生じ、その結果、『味噌屋』を有する引用商標と同一又は類似である」と主張する。
しかしながら、このような場合であっても、非類似であると認定されたケースの審決例は多数存在する。
(7)登録例
上記審決例と同様に、非類似であると認定された登録例も多数存在する。
(8)周知著名性について
請求人は、甲第4号証を挙げて、「『味噌屋』は全国的に周知著名で自他商品識別力を十分に有する」と主張する。
しかしながら、この主張は、請求人が主張する無効理由、すなわち、出所の混同を防止する規定である商標法第4条第1項第11号とどのような関係があるのか不明確である。
(9)結論
以上述べたように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものであり、商標登録を無効にすべきものではない。
7 利害関係
本件商標は、その審査段階において、請求人の登録商標(甲2、甲3)を考慮の上、請求人の登録商標と非類似と判断されて登録を受けたものである。このように、両商標は非類似の商標であるから、請求人の業務上の信用が害されるおそれはないし、需要者が出所の混同を生じるおそれもない。
したがって、請求人は、本件登録無効審判を請求する利害関係がない。

第5 当審の判断
1 利害関係について
本件審理に関し当事者間に利害関係についての争いがあるので、この点について判断する。
商標法第46条に規定する商標登録の無効審判を請求できる者は、当該商標登録を無効とすることに関して利害関係を有する者であるところ、ある商標の登録の存在することによって、直接不利益を被る関係にある者は、それだけで同条にいう利害関係人としてのその商標の登録の無効審判を請求する利害関係を有すると解されている(東京高裁昭和35年(行ナ)第106号判決 昭和36年4月27日判決言渡)。
そうすると、請求人は、本件商標の存在により、引用商標について出所の混同のおそれが存在すると主張しているのであるから、本件商標の存在によって、直接不利益を被る者であって、利害関係を有する者というべきである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、朱色の筆文字で「味噌屋」の漢字と「せいべえ」の平仮名を書してなるところ、その構成は、「味噌屋」の文字を「せいべえ」の「いべ」の文字の上部に「せ」と「え」の文字で挟むように配置してなるものであり、全体としてまとまりよく一体のものとして看取、把握され、これより生じる「ミソヤセイベエ」の称呼も格別冗長ではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体から、「ミソヤセイベエ」の一連の称呼のみを生じ、「せいべえさんの味噌屋」ほどの観念を生じるものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1について
引用商標1は、別掲2のとおり、ややレタリングされた書体で「味噌屋」の漢字を縦書きしてなるところ、該文字は、その構成文字に相応して、「ミソヤ」の称呼を生じ、「味噌を売る店」ほどの観念を生じるものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、別掲3のとおり、右側に小さな文字で「ら?めん工房」と縦書きし、その左側に、一文字分下げたところから、ややレタリングされた書体で「味噌屋」の漢字を縦書きしてなるものである。
そして、引用商標2の構成中、「らーめん工房」の文字部分は、「ラーメンを作るところ」ほどの意味合いを理解させるものであるから、その指定役務との関係においては、役務の質、役務の提供の場所を表わし、自他役務の識別標識としての機能を有しないか、又は、極めて弱いものであるから、引用商標2の構成中、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るのは「味噌屋」の文字というのが相当である。
そうすると、引用商標2は、引用商標1と同様に、「ミソヤ」の称呼を生じ、「味噌を売る店」ほどの観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標との類否を検討すると、両者は、それぞれ、上記のとおりの構成態様からなるものであり、外観においては明らかに区別し得る差異を有するものであるから、相紛れるおそれはない。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「ミソヤセイベエ」の称呼と、引用商標から生じる「ミソヤ」の称呼とは、後半における「セイベエ」の音の有無という顕著な差異を有し、明確に聴別し得るものであるから、相紛れるおそれはない。
さらに、観念においては、本件商標は、「せいべえさんの味噌屋」の観念を生じるのに対し、引用商標は、「味噌を売る店」の観念を生じるものであるから、明らかに区別し得るものであり、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(4)小活
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 請求人の主張について
請求人は、「引用商標の『味噌屋』は、請求人が経営するラーメン店の店名として使用しているもので、『味噌屋』の商標について、カップ麺の大手である日清食品株式会社との間で商品化権使用許諾を締結し、商品化されたカップ麺は、全国7,600店のコンビニエンスストア、ローソンで販売され、第1回目の平成15年には当初生産した21万食が完売となり、その後13回にわたって販売され、現在まで252万食を下らない数のカップ麺が販売されており、『味噌屋』は全国的に著名で自他商品識別力ある商標である。」旨を主張している。
しかしながら、請求人の提出した証拠からは、請求人のラーメン店の店名を商品名に用いたカップ麺が日清食品株式会社から販売されたことはうかがえるものの、そのカップ麺の販売実績等は主張のみで明らかでなく、また、引用商標の店舗名としての使用開始時期、使用期間、使用地域、該店舗の売上高、我が国のラーメン業界における市場占有率(シェア)も不明である。
さらに、引用商標を掲げて営業している店舗の宣伝広告等に関しては、宣伝広告額、宣伝広告量、宣伝広告の内容、時期及び範囲など、宣伝広告の実績を示す証拠はないから、引用商標の使用によって、その周知性が獲得されているのかは不明である。
したがって、引用商標は、我が国において広く認識されているものと認めることはできない。
よって、請求人の主張は、採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定役務について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)(色彩は、原本参照。)


別掲2(引用商標1)


別掲3(引用商標2)





審理終結日 2017-08-30 
結審通知日 2017-09-05 
審決日 2017-09-21 
出願番号 商願2013-99650(T2013-99650) 
審決分類 T 1 12・ 263- Y (W43)
T 1 12・ 262- Y (W43)
T 1 12・ 261- Y (W43)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 山田 正樹大澤 恒介清川 恵子 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 原田 信彦
松浦 裕紀子
登録日 2014-10-17 
登録番号 商標登録第5710576号(T5710576) 
商標の称呼 ミソヤセイベエ、ミソヤセーベー、ミソヤ、セーベー 
代理人 井上 彰文 
代理人 朝比 一夫 
代理人 江部 武史 
代理人 吉川 勝郎 
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