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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W41
管理番号 1334498 
審判番号 取消2016-300407 
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-06-10 
確定日 2017-10-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第5506530号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5506530号商標(以下「本件商標」という。)は、「独学道場」の文字を標準文字で表してなり、平成24年2月6日に登録出願、第41類「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナー・講演会・研修会・シンポジウム・講習会の企画・運営又は開催」並びに第9類、第16類、第38類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年7月6日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成28年6月27日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同25年6月27日から同28年6月26日までの期間を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第41類「全指定役務」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書、審判事件弁駁書及び口頭審理陳述要領書等において要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務のうち、第41類「全指定役務」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、使用されていないものであるから、上記役務について、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証に関する主張について
ア 使用している役務についての証明がなされていない
被請求人は、「ファイナンシャルプランナー志願者向コース案内書」を乙第1号証として提出し、本件商標を「学習方法に関する助言及び情報の提供」、「教育の情報の提供」及び「技芸・スポーツ又は知識の教授」(以下、これらをまとめて「被請求人役務」という場合がある。)について使用している旨主張しているが、乙第1号証をもって、なぜ、被請求人役務について使用しているといえるのか、その理由に関しては具体的に証明していない。
商標の使用については、最高裁の判例において、「商標の使用があるとするためには、当該商標が、必ずしも指定商品そのものに付せられて使用されていることは必要でないが、その商品との具体的関係において使用されていることを必要とするものと解するのが相当である。」(最高裁昭和42年(行ツ)第32号 昭和43年2月9日 最高裁判所第2小法廷)とされている。
しかし、乙第1号証をみると、「人気講師陣のわかりやすい講義」の文字など、講義を思わせる記述もされてはいるが、一方で、「師に就かずに独力で学問すること。」(広辞苑)を意味する語として親しまれている「独学」の語を強調して「独学者向け」、「独学者はもっと合格できる」などの記載があるほか、「書店売上No.1TAC出版の書籍を使って」などの記載、さらに、最新情報や申込について「TAC出版書籍販売サイト『サイバーブックストア』の『独学道場』のページにてご確認ください。」とされ、書籍販売を扱うサイトで取り扱っている記述や、いわゆる人気講師が編集に関与したファイナンシャルプランナーの資格試験に関する書籍を思わせる記述もあり、結局、「技芸・スポーツ又は知識の教授」に該当する役務について使用していることが具体的に証明されていない。加えて、乙第1号証の「独学道場」に該当するものであろう「FP2級」の「独学道場」に関する学習ガイドブック(乙2)によれば、いわゆる合格ゼミや通信講座等の講座の受講の申込や料金は「独学道場」の申込や料金とは別々とされていることが明らかであり、「独学道場」に申し込んだとしても講座を受講できるわけではない。
しかも、「学習方法に関する助言及び情報の提供」及び「教育の情報の提供」に至っては、乙第1号証の如何なる記載をもって、これら役務が提供されているといえるのか、さらに、乙第1号証の如何なる記載をもって、これらの役務が独立した商取引の対象となっているといえるのか、全く明らかになっていない。
したがって、乙第1号証は、使用している役務との具体的関係性を明らかにするものとはいえないのであるから、乙第1号証をもって、本件商標を被請求人役務について使用しているということはできない。
イ 乙第1号証の商標の使用をした時期が証明されていない
被請求人は、乙第1号証を「案内書」であり、商標法第2条第3項第8号の「使用」であるとし、その使用期間は2015年5月ないし2016年5月である旨主張している。
乙第1号証をみるに、1枚目の最下段には「2015.5→2016.5」の記載がなされており、被請求人は、この記載をもって使用期間と主張しているが、該記載が何を表したものであるかは一切証明しておらず、乙第1号証の広告や取引書類を展示又は頒布した具体的事実については何ら明らかにしていない。
したがって、乙第1号証をもってしては、本件商標を要証期間内に使用したということはできない。
ウ 乙第1号証の商標の使用をした者が証明されていない
被請求人は、乙第1号証の商標の使用者を商標権者であるとし、「TAC出版」は商標権者の事業部である旨主張している。
しかし、乙第1号証の5枚目に表示されている申込用の郵便はがきの宛名には、「TAC出版 独学道場申込係」とされている。そして、法人宛ての郵便物の宛名には、法人の名称と担当部署を記入するのが一般的と思われるが、乙第1号証の申込用郵便はがきの宛名には、商標権者の名称はなく、担当部署を思わせる「独学道場申込係」の文字のほかは、「TAC出版」の文字だけである。また、乙第1号証の5枚目の下部には、最新情報や申込について、「TAC出版書籍販売サイト『サイバーブックストア』の『独学道場』のページにてご確認ください。」とあり、ここの記載においても、その問合せ先又は連絡先としては、商標権者の名称ではなく、「TAC出版」とされている。そうすると、乙第1号証に接した需要者は、その商品又は役務の供給元を「TAC出版」という法人として認識するのが普通といえる。
また、被請求人は、「TAC出版」が商標権者の事業部である旨主張するのみで、その旨が乙第1号証の他の頁に記述されているわけではなく、他にそれを証明する証拠方法が提出されているわけでもない。
したがって、乙第1号証をもってしては、本件商標を商標権者が使用したということはできない。
(2)乙第2号証に関する主張について
ア 使用している役務についての証明がなされていない
被請求人は、「FP2級学習ガイドブック」を乙第2号証として提出し、本件商標を被請求人役務について使用している旨主張しているが、乙第2号証をもって、なぜ、被請求人役務について使用しているといえるのか、その理由に関しては具体的に証明していない。
乙第2号証をみると、表紙に「学習ガイドブック」と記され、次頁以降に、教材の一覧と発送日の説明、試験の特徴や学習の流れなどが記述されているが、3枚目の冒頭には、「『FP2級 独学道場』は、・・・新しいタイプの独学者向け教材セットです。」として、「独学道場」が表しているのは、講座などの知識の教授に関するサービスではなく、「教材」そのものであることを明らかにしている。
さらに、その他の記述内容をみても、例えば、その知識の教授が通学講座ならば学習上必須になると思われるカリキュラムや時間割などの記述はなく、また、その知識の教授が通信講座ならば学習上必須になると思われる答案の添削の流れなどの記述もない。
加えて、12枚目には「直前合格ゼミについて」に関する記述が、13枚目には「AFP認定研修(技能士課程)について」に関する記述が、それぞれ「講座」や「通信講座」の文字とともにされているが、これら講座の受講は、料金上の割引の特典はあるとしても、「独学道場」とは別に申込みの手続きを行わなければならず、かつ、「独学道場」とは別の料金を支払わなければならないとされている。
また、22枚目には「学習支援割引制度」に関する記述があるが、「1.学習支援割引制度について」の欄には、「・『独学道場』で学習を始めたけれど、臨場感あふれる通学講座に変更したい。・今年は残念ながら不合格になってしまったけれど、次回は環境を変えて通学講座で受講したい。という方にお勧めなのが、再受講制度です。」とあり、「2.学習支援割引制度の流れ」の欄には、「(1)乗換進級割引:現在、FP2級独学道場で学習中の方、または以前学習されていた方が、1級FPの学習をTACの『通学講座』または『通信講座』でお申込みされる際に適用される割引です。」などとあり、しかも、説明用の図においても、「資格の学校TAC」には通学講座を表していると考えられる[通学]の文字や通信講座を表していると考えられる[通信]の文字が表示されているのに対し、「独学道場」には表示されていない。
そして、それら通学講座や通信講座を受講するためには、「独学道場」とは別に申込みの手続きを行わなければならず、かつ、「独学道場」とは別の料金を支払わなければならないとされている。
そうすると、これら記載を踏まえると、「独学道場」は、自分で学習するための商品としての教材を表すものであり、これら「通学講座」や「通信講座」などの知識の教授に相当するものとは別の商品又は役務であることは明らかといえる。
また、「学習方法に関する助言及び情報の提供」及び「教育の情報の提供」に至っては、乙第2号証の如何なる記載をもってこれら役務が提供されているといえるのか、さらに、乙第2号証の如何なる記載をもってこれらの役務が独立した商取引の対象となっているといえるのか、全く明らかになっていない。
したがって、乙第2号証をもって、本件商標を被請求人役務について使用しているということはできない。
イ 乙第2号証の商標の使用をした時期が証明されていない
被請求人は、乙第2号証を「FP2級学習ガイドブック」であり、商標法第2条第3項第3号及び第6号の「使用」であるとし、その使用期間については、乙第2号証に「2016年5月試験 合格目標」の記載がある旨主張している。
乙第2号証をみるに、1枚目の上部には「2016年5月試験 合格目標」の記載がなされており、被請求人は、この記載をもって使用期間と主張しているが、該記載は、2016年5月に試験があり、その試験に合格することが目標であることを表したものであって、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付した日ではなく、役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付した日でもない。その他、被請求人は、これらの物に標章を付した具体的事実について何ら明らかにしていない。
したがって、乙第2号証をもってしては、本件商標を要証期間内に使用したということはできない。
ウ 乙第2号証の商標の使用をした者が証明されていない
被請求人は、乙第2号証の商標の使用者を商標権者であるとし、「TAC出版」は商標権者の事業部である旨主張している。
乙第2号証をみるに、20枚目の住所変更等の送付先については、その宛名には、「TAC出版 FP独学道場 住所変更係 宛」とされているが、一般的に法人宛ての宛名には、法人の名称と担当部署を記入するが、乙第2号証の該宛名には、商標権者の名称はなく、担当部署を思わせる「FP独学道場 住所変更係」の文字のほかは、「TAC出版」の文字だけであり、また、乙第2号証のその他の頁をみても、宛先が「TAC出版」とされているのみで、商標権者の名称はない。
そうすると、乙第2号証の接した需要者は、その商品又は役務の供給元を「TAC出版」という法人として認識するのが普通といえる。
しかし、被請求人は、そもそも、「TAC出版」が商標権者の事業部である旨主張するのみで、その旨が乙第2号証の他の頁に記述されているわけではなく、他にそれを証明する証拠方法が提出されているわけでもない。
したがって、乙第2号証をもってしては、本件商標を商標権者が使用したということはできない。
(3)乙第5号証ないし乙第9号証に関する主張について
被請求人は、乙第5号証ないし乙第9号証を提出し、「独学道場」の商標がこれら案内書でも使用されている旨主張している。
しかしながら、被請求人は、これら乙号証をもって、本件審判の請求に係る指定役務のうちのいずれの指定役務について、商標法第2条第3項のいずれの号に定める「使用」をしていると主張したいのかさえ述べていないのであるから、これらをもって、被請求人が商標法第50条第2項に定める登録商標の使用の証明をしたといえないことは明らかである。
(4)被請求人の他の主張について
被請求人は、請求人がかつて審判請求を取り下げた旨を指摘し、「今回の審判請求も認められるべきではない」と主張している。
しかし、かつて、本件商標の取消審判の請求を取り下げたことがあるとしても、その後の状況や事情に応じ、あらためて取消審判を請求することができないとしなければならない規定はない。
したがって、かかる主張をもって、本件商標の登録を維持することはできない。
3 口頭審理陳述要領書(平成29年3月9日)における主張
(1)全体に関する被請求人の主張について
ア 被請求人は、税理士「独学道場」のパンフレットを乙第8号証の2として、「会社案内」を乙第11号証として提出し、乙第8号証の2に受講の写真が掲載されているとして、税理士「独学道場」の受講者が被請求人の全国に所在する教室で受講している旨主張している。
しかし、審理事項通知書において被請求人に求められていたのは、ゼミの開催日時、開催場所、参加人数、さらに、乙第1号証及び乙第2号証の申込者が参加したことなどの具体的事実をもって、乙第1号証及び乙第2号証の「直前合格ゼミ」が開催された事実を証明することであり、人が机に向かっている写真やビルの写真では、審理事項通知書において求められている内容を充足するものではない。
イ 被請求人は、乙第11号証を提出し、その中の記載をもって、「TAC出版」が被請求人の1部門と主張している。
しかし、被請求人の組織図などではなく、文章中の一部の記述を引用してのものであり、被請求人の1部門であるのかは依然として明確になったとはいうことができない。
(2)乙第1号証に関する被請求人の主張について
ア 被請求人は、ファイナンシャルプランナーに関する乙第1号証及び乙第2号証に追加して、税理士に関する乙第8号証の2を提出して、「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授」がなされていると主張している。
このため、弁駁書におけるファイナンシャルプランナーに関する請求人の主張に対しては、応えるものとはなっていない。
イ 被請求人は、乙第8号証の2の2頁の「Web学習システム」の記述や乙第15号証のWebの画面をもって、「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授」の役務を提供している旨主張している。
しかし、これは、単に別途収録した講師の説明を内容としたビデオについて、一方的にWebを通じて配信しているといえるものであり、「通信ネットワークによる動画の提供」と変わるところはない。そうとするならば、「通信ネットワークによる動画の提供」は、特許庁においても、第41類の役務であっても、類似群コードが「41E02」として扱われ、「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授」とは異なる役務とされており(甲2)、本件審判の請求に係る指定役務には含まれていないものである。
そして、このような状況を踏まえると、乙第8号証の2に人が机に向かっている写真が掲載されているとしても、それをもって、「知識の教授」等の提供を行っていることが証明されたということはできない。
加えて、被請求人は、乙第16号証として、「独学道場」の参加者に関する陳述書を提出しているが、陳述者がいかなる者であるのかも明らかにされていないし、以下のウを勘案すると、それは動画を受信した者を表すにとどまる可能性も大きく、「独学道場」の申込者が「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授」の役務の提供を受ける者であるかは定かではない。
ウ 被請求人は、乙第8号証の2の6頁以降の「STEP5」の「直前対策コース」における記述をもって、「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授,セミナー・講習会の企画・運営又は開催」の役務の提供を行っている旨主張している。
しかし、乙第8号証の2の7頁、9頁及び11頁には、「プレミアムコース」の見出しの下に、「STEP5」の「直前対策コース」について「別途追加で申込できます!」の記述があるとおり、乙第8号証の2の「独学道場」とは別途の申し込みが必要なのであるから、「独学道場」とは別途の商取引といえるのであって、その別途の申し込みにおける商取引において、本件商標が使用されていたことまでは何ら証明されていない。
エ 被請求人は、「フォロー制度・サポートシステム」において、「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供」の役務が提供されているとも主張している。
しかし、「フォロー制度・サポートシステム」が受けられるとしているのは、「直前対策コース」での話であり、上記ウと同様に、「直前対策コース」が別途の申し込みによる別途の役務である以上、「独学道場」の本件商標が「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供」の役務について使用されていたことは何ら証明されていない。
加えて、被請求人は、「フォロー制度・サポートシステム」を質問電話や試験情報案内と説明しているところ、試験に関連した商品や役務においては、質問を受け付けたり、試験の情報を教えることは付随的によく行われているものであり、独立した商取引の目的足り得るものといえるのかも、疑問があるといわざるを得ない。
オ 被請求人は、商標法が「商標が身元を特定するものであることまでは求めていない」と主張している。
しかし、請求人が主張しているのは、乙各号証において「TAC出版」が独立した会社であるかのように表示されており、被請求人は「TAC出版」が部署の一つと主張するのみで証明するところがないので、本件商標について、商標権者又は使用権者によって使用されていることが明確となるように証明すべきということなのであって、使用者の証明は、商標法第50条が被請求人に求めているところである。
(3)乙第21号証に関する被請求人の主張について
被請求人は、乙第2号証に加え、税理士「独学道場」の学習ガイドブック」を乙第21号証等として提出し、同号証のWeb画面の説明及び「無敵クラブ」の説明をもって、「知識の教授」や「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授,セミナー・講習会の企画・運営又は開催」の役務の提供を行っている旨主張している。
しかし、Web画面については、「通信ネットワークによる動画の提供」と変わるところがないものであって、「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授」とは異なり、本件審判の請求に係る指定役務には含まれていない。
また、「無敵クラブ」の説明については、たとえ、質問できるとしても、試験に関連した商品や役務においては、質問を受け付けたり、試験の情報を教えることは付随的によく行われているものであり、独立した商取引の目的足りうべきものであるのか疑問があるといわざるを得ない。
このため、乙第21号証をもって、「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授,セミナー・講習会の企画・運営又は開催」について本件商標の使用が証明されたということはできない。
(4)乙第5号証ないし乙第9号証に関する被請求人の主張について
ア 被請求人は、Web画面の提供により、要証期間内に「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授,セミナー・講習会の企画・運営又は開催」について商標法第2条第3項第8号の使用をしている例として、行政書士「独学道場」に関する乙第7号証の2及び3と宅地建物取引士「独学道場」に関する乙第9号証の2及び3を提出すると主張している。
しかし、被請求人は、多数の文字が記載されている乙号証の中にあって、これら乙号証のいずれに記載された文字(商標)の表示をもって、本件商標を要証期間内に「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授、セミナー・講習会の企画・運営又は開催」のいずれについて使用していると主張しているのかを明らかにしていない。
乙第9号証をみると、乙第9号証の2の「独学道場」の内容は、宅建士の試験に向けた教材の販売であり、その教材を利用して独学で勉強して試験の合格を目指すように教材が編集されているにとどまる。そして、乙第8号証の2と同様に、「直前対策」の記述もされているが、やはり、別途の申し込み手続きを要するものであって、その別途の申込における商取引において「独学道場」の本件商標が使用されていたことは証明されていない。
イ 被請求人は、ウェイバックマシンによる乙第24号証を提出し、税理士「独学道場」の広告であるとして、商標法第2条第3項第8号の使用をしていると主張している。
しかし、被請求人は、ウェイバックマシンによる時期を2015年10月21日であると主張するほかは、多数の文字が記載されている乙号証の中にあって、同号証のいずれに記載された文字(商標)の表示をもって、商標法第2条第3項第8号の使用をしていると主張しているのかを明らかにしていない。
乙第24号証をみると、その内容は、税理士の試験に向けた教材の販売であり、その教材を利用して独学で勉強して試験の合格を目指すように教材が編集されているにとどまる。「Web講義」や「直前対策コース」と言及してはいるが、それらは乙第8号証の2において述べたとおりであり、それをもって、本件審判請求に係る指定役務について本件商標を使用していたことを証明するものとして十分でないことも同様である。
4 上申書(平成29年4月20日付け)
(1)上申書(平成29年3月17日付け)に対する意見
ア 被請求人は、「直前対策コース」や「フォロー制度・サポートシステム」は「独学道場」のコースに含まれている旨主張している。
しかし、仮にそうとするならば、「独学道場」は独学で勉強するための教材の販売に関するものであるところ、「直前対策コース」や「フォロー制度・サポートシステム」は、それとは別途の申込や代金の支払いもないのであるから、そこには独立した商取引が存在するということはできないものであり、かつ、被請求人は、その旨証明していない。
したがって、「直前対策コース」や「フォロー制度・サポートシステム」をもって、商標法上の「役務」について本件商標を使用したということはできない。
なお、被請求人は、乙第8号証の2に「Web授業」、「教室授業」と並んで「フォロー制度・サポートシステム」が大きく表示されている旨主張しているが、そもそも、「Web授業」については口頭審理陳述要領書において述べたとおりであり、また、「教室授業」については本件商標が使用されていることは何ら証明されていない。そして、商品として販売される教材の説明が最初に極めて大きく表示されているのであって、「フォロー制度・サポートシステム」を主たる取引と認識して代金を支払う者がいるとも考えがたい。
イ 被請求人は、Webを通じた教育について、Webを通じて流されるビデオの内容に応じて、本件審判の請求に係る指定役務に該当する旨主張している。
しかし、仮に、Webを通じて流されるビデオに講義の風景が収録されていても、その講義が本件商標の下で行われたことが証明されているわけではない。そして、本件商標と関係なく収録されたビデオをWebを通じて流す行為は、結局、請求人が主張した「通信ネットワークによる動画の提供」に係る行為と何ら変わるところがなく、そこに「教育」に当たる行為が介在しているとは考えがたい。
ウ 被請求人は、「直前合格ゼミ」について、乙第20号証がそのカリキュラムである旨主張しているが、そもそも、乙第2号証の12頁にも記載されているとおり、独学道場の受講生には割引の特典があるとされているだけであり、「直前合格ゼミ」に当たって本件商標が使用されているわけではない。そして、「直前合格ゼミ」のカリキュラムとされる乙第20号証には、本件商標は表示されておらず、このことからも、本件商標が請求に係る指定役務について使用されていないことが明らかといえる。
(2)上申書(平成29年4月6日付け)に対する意見
ア 被請求人は、「独学道場 無敵の質問掲示板」というウェブサイトの写しを乙第23号証の2として提出している。
しかし、乙第21号証には、冒頭に「無敵クラブとは、TAC出版書籍販売サイト『サイバーブックストア』内に設けられた独学者応援サイトです。」とあり、また、乙第23号証の2の右上にも、「Cyber Book Store会員の方ならどなたでも閲覧OK」とあるとおり、このサイトは「独学道場」の教材購入者向けというわけではなく、独学者全般向けのサイトといえる。そして、被請求人は、このサイトでやり取りするために別途の契約等がなされているなど、教材となる書籍の販売とは別に、独立して商取引の目的となっていることは明らかにしていない。そうすると、このウェブサイトでのやり取りは、被請求人の商品の購入者に対するサービス(特典)として、販売に付随したものとみるのが自然であり、商標法上の役務であることが証明されということはできない。
なお、仮に、被請求人の乙第23号証の2の提出の意図が、同号証の「独学道場」の表示をもって本件商標が請求に係る指定役務について使用されていることを証明することにあるとしても、商標法上の「役務」に関するものではないことは上述のとおりである。加えて、たとえ、質問の時期が被請求人の言う同号証に記載された時期であったとしても、その時期に「独学道場」の文字が表示された同号証のウェブサイトが存在したことまでを証明するものとはいえないから、かかる観点からも、本件商標が請求に係る指定役務について要証期間内に使用されていたことが証明されたということはできない。
イ 被請求人は、乙第8号証の2のパンフレットの挟み込みについて、「被請求人は、従前より挟み込み業者とは取引があり、パンフレットが完成することを見込んで依頼を行っていた」と述べているところ、そうとするならば、これら事業者との取引書類の記載も見込みの期日であって、事実と異なるのではないかとの疑念を禁じ得ない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、審判事件答弁書及び口頭審理陳述要領書等において、その理由を要旨以下のように述べ、乙第1号証ないし乙第27号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は、本件商標について、以下のように使用している。
(1)使用商標「独学道場」
(2)使用役務 第41類「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,技芸・スポーツ又は知識の教授」
ア ファイナンシャルプランナー志願者向コース案内書(乙1:商標法第2条第3項第8号)
イ FP2級学習ガイドブック(乙2:商標法第2条第3項第3号、同第第6号)
(3)使用期間
上記(2)のアは、30万部以上印刷され(乙3)、(2)のイは、250部以上印刷された(乙4)。
上記(2)のアの案内書表紙左隅には、「2015年5月→2016年5月」を配布対象期間とする旨の記載がある。
(2)のイはのガイドブックは、「2016年5月試験 合格目標」との記載がある。
(4)使用主体
被請求人である商標権者(「TAC出版」は商標権者の事業部である)
(5)その他の使用
「独学道場」の商標は、下記のような案内書でも使用されている。
ア 司法書士 2015年12月下旬より申込開始予定(乙5)
イ 社会保険労務士 2016年合格目標(乙6)
ウ 行政書士 2016年合格目標(乙7)
エ 税理士 2016年合格目標(乙8)
オ 宅建士 2016年合格目標(乙9)
(6)請求人は、平成27年11月9日、本件と同内容の取消審判の請求を行った。しかし、その後、請求人は、被請求人との和解に基づき、同28年4月14日、同請求を取り下げた結果、審判は終了している(乙10)。このような経緯をかんがみると、今回の請求人の請求も認められるべきではない。
2 口頭審理陳述要領書(平成29年2月23日付け)
(1)合議体の暫定的な見解及び請求人の主張について
ア 乙第1号証に加えて、乙第8号証の2を追加する。税理士「独学道場」の「直前対策」は、乙第8号証の2の7頁右上写真にあるように、2016年試験向け税理士「独学道場」の受講者が、2016年5月以降、被請求人の全国に所在する被請求人の教室(乙11)で受講できるもので、実際に受講されている。
イ 「TAC出版」は、乙第11号証の26頁左下の「出版事業」の第一行目に「当社グループの出版事業は、当社が展開する『TAC出版』と記載されているように被請求人の一部門である。
ウ 乙第3号証及び乙第4号証の一部のマスキングについては、それぞれマスキングのないものを乙第3号証の2及び乙第4号証の2として提出する。
(2)乙第1号証について
ア 乙第1号証に加えて追加した乙第8号証の2は、乙第8号証の1が税理士「独学道場」のチラシであるのに対し、乙第8号証の2はそのパンフレットの全頁であり、この表紙の中央に、乙第1号証と同じく「独学道場」(以下「使用商標」という。)の標章が記載されている。この標章は、本件商標と社会的に見て同一であり、かつパンフレットの表紙に目立ったように記載されており、商標として使用されている。
イ 頒布場所、頒布先、頒布方法
乙第8号証の2のパンフレットは、被請求人が、印刷会社の2015年6月5日付けの85000部の「御見積書」(乙12)に基づいて発注し、2015年7月15日付け「TAC出版書籍発注書」で、その配布のために書籍に挟み込むことを依頼した(乙13)。この注文書の下から3番目の囲みの「投込み」の欄に、「税理士独学パンフレット(035-0901-1024-10)の記載があり、この番号が、乙第8号証の2の右下に記載された番号と一致するので、「投込み」されたパンフレットが乙第8号証の2であることがわかる。この投込みされた書籍「2016度版みんなが欲しかった税理士簿記論の教科書」は、挟み込まれた乙第8号証の2とともに書店に配送され、販売されたことが被請求人のホストコンピュータのデータに記録されている(乙14)。
ウ 指定役務及び使用の態様
本件商標の指定役務は、「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授,セミナー・講習会の企画・運営又は開催」を含み、被請求人は、これらの役務を下記のように行っている。
(ア)乙第8号証の2の2頁には、「Web学習システム」が紹介されていて、「『独学道場』のWEB学習は、高速再生機能や様々な環境に対応可能な講義で、あなたの学習をサポートします」とあり、以下の頁にその詳細が記載されていて、「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授」がなされている。
乙第15号証は、該「独学道場」のWeb講義の画面であり、その第1頁の右欄中に「2016年目標税理士講座」の記載があり、画面中の「スタートアップ講義」の下に「独学道場の流れを確認しよう」とあり、2016年中に提供されていた税理士「独学道場」の授業のWeb画面であることがわかる。このWeb講義のコースは、2016年1月1日から2016年12月31日までの間に176人以上の受講生が受講している(乙16、乙17)。
また、乙第8号証の2の6頁から11頁には「プレミアムコース」の説明がなされていて、6頁の左下には「フォロー制度・サポートシステム」として「プレミアムコースに含まれる『直前対策コース』ではTAC税理士講座のフォロー制度と同じサポートが受けられます」として、「質問電話」や「試験情報案内」で「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供」がなされている。
さらに、乙第8号証の2の7頁の右上で、この「直前対策コース」で、「直前対策」「受講形態」「教室受講」として、教室での「セミナー・講習会」も企画・運営又は開催されて「知識の教授」が行われている写真が掲載されている。また、この税理士「独学道場」の「直前対策コース」には、税理士「独学道場」「独学マスターコース」の受講者も追加申し込みをすれば受講することができる(乙18?乙20)。
(イ)乙第8号証の2は、上記のコースの案内書であるから、これは商標法第2条第3項第8号の使用に当たる。
(ウ)請求人は「乙第1号証に接した需要者は、その商品又は役務の供給元を『TAC出版』という法人として認識するが、被請求人は、『TAC出版』が商標権者の事業部であることを証明していない。」と主張するが、商標法は商標が身元を特定するものであることまでは求めていない。必要なのは、乙第8号証の2において、「独学道場」の標章が出所を表すもので、かつ、その標章が被請求人(商標権者)の意思に基づいて使われていることだけなので、本件商標はこれを満たしており、「TAC出版」は、独立の法人ではなく、被請求人(商標権者)の一部門の名称である(乙11)。
(3)乙第2号証について
ア 乙第2号証に関して、税理士「独学道場」の「学習ガイドブック」(乙21)を追加する。これは、その全頁であり、この表紙の中央に、乙第2号証と同じく「独学道場」(使用商標)の標章が記載されている。この標章は、本件商標と社会的に見て同一であって、かつ、パンフレットの表紙に目立ったように記載されており、商標として使用されている。
イ 頒布場所、頒布先及び頒布方法
乙第20号証の10頁(審決注:乙第21号証の誤記と認める。)には、2015年7月1日から2016年1月下旬までの予定日程が記載されていて、この「学習ガイドブック」が2015年中に被請求人から税理士「独学道場」の申込者に配布された。
乙第22号証は、その例としての「学習ガイドブック」の2015年7月2日から12種類にわけて発送する依頼書である。
ウ 指定役務及び使用の態様、用途及び使用者
乙第21号証の8?9頁は、乙第15号証のWeb画面の説明などが記載されていて、「知識の教授」がなされている。同11頁には「無敵クラブ」の説明があり、その中の1の(2)「質問ができる」には「独学道場 無敵の質問掲示板」なるコーナーがあり、授業に関する質疑応答ができるようになっている(乙23)。
このように税理士「独学道場」に申し込みをした受講者は、このWeb画面を通じて、被請求人から本件商標の指定役務である「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授,セミナー・講習会の企画・運営又は開催」の役務を受けている。
乙第21号証は、「学習ガイドブック」であるから、この「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授,セミナー・講習会の企画・運営又は開催」について、商標法第2条第3項第3号の使用にあたる。
(4)乙第5号証ないし乙第9号証について
ア 乙第8号証の2は、税理士の「独学道場」に関するパンフレットであるが、被請求人は、以下のパンフレットでも、本件の要証期間内(2016年)に、Web画面の提供により、各試験の授業及び質疑応答などの「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授,セミナー・講習会の企画・運営又は開催」に関し、商標法第2条3項8号の使用を行っている。
(ア)行政書士「独学道場」のパンフレットと印刷の請求書(乙7の2、3)
(イ)宅地建物取引士「独学道場」のパンフレットと印刷の請求書(乙9の2、3)、なお乙第9号証の1はチラシである。
イ 被請求人のホームページ中にあった本件商標の使用の事実を、乙第24号証として過去の記録があるウェイバックマシンから引用して提出する。これは、乙第8号証の1と2の広告対象と同じ税理士「独学道場」のWeb講義、教室での直前対策コースなどに関する広告であり、商標法第2条第3項第8号の使用に当たる。
3 上申書(平成29年3月17日付け)
(1)請求人は、「直前対策コース」は、「独学道場」とは「別途の申し込みが必要」と主張しているが、それは誤りである。
乙第8号証の2の6、8、10頁の下欄に「プレミアムコース」に含まれる「直前対策コース」と記載のあるように「独学道場プレミアムコース」は、「直前対策コース」を含んでいて、別途申し込みは不要である。また、「独学道場独学マスターコース」も、追加料金を払えば、「直前対策コース」を「独学道場独学マスターコース」の一部に含めることができる(乙25)。
(2)請求人は、「フォロー制度・サポートシステム」が受けられるのは、別途申し込みが必要な「直前対策コース」と主張しているが、誤りである。
「フォロー制度・サポートシステム」の説明として乙第8号証の2の6、8、10頁の下の左側に記載されているように、STEP1?4の「質問」等のサービスは、プレミアムコース、独学マスターコースのいずれにも含まれている。さらに、STEP5のサービスは「直前対策コース」について乙第8号証の6、8、10頁の下の右側に記載されているように「『プレミアムコース』に含まれる『直前対策コース』ではTAC税理士講座のフォロー制度と同じサポートが得られます。」となっている。
(3)請求人は、Webを通じた教育は41類(41E02)に該当すると主張しているが、それは提供の方法であって、その提供される内容に応じて、本件商標の各指定役務に該当することはなんら矛盾するものではない。
(4)請求人は、「フォロー制度・サポートシステム」は、「独立した商取引の対象ではない」と主張しているが、乙第8号証の2の6、8、10頁下には、上の「Web授業」、「教室授業」と並んで、「フォロー制度・サポートシステム」が大きく記載され、本件商標の役務である「学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供」という重要な構成要素を構成しており、特に独習形態においては、このサポートは重要である。
(5)請求人の「口頭審理陳述要領書(1)のア」について、乙第20号証は、その「直前対策コース」のカリキュラム日程表であるから、この開催に誤りはない。
(6)請求人は、「TAC出版」が被請求人の一部門であるかは明確でない、と主張する。
被請求人は、乙第11号証の33頁の記載で十分と認識するが、被請求人の第32期(平成26年4月1日から平成27年3月31日まで)の「株主総会招集ご通知」を提出する。この5頁には「出版事業」として「当社グループの出版事業は、当社が展開する『TAC出版』」と記載されている(乙26)
4 上申書(平成29年4月6日付け)
(1)乙第8号証の2の原本を乙第8号証の3として提出する。その6頁の左下に「学習ガイドブック」と記載のあるものが、乙第21号証の「税理士独学道場 学習ガイドブック」にあたる。
(2)乙第14号証について補足すると、これは、被請求人が契約している出版物の調査会社のデータからダウンロードしたものである。
(3)乙第23号証の「独学道場 無敵の質問掲示板」というウェブサイトの全文を乙第23号証の2として提出する。
このウェブサイトをプリントアウトした乙第23号証の2の日時は、左上に「2017/3/22」というタイムスタンプから2017年3月22日であることになるが、「独学道場 無敵の質問掲示板」の質問は、「質問投稿時間」として、「2016-01-11」から「2016-04-21」の表示があり、要証期間内の2016年1月11日から2016年4月21日のものであることがわかる。
(4)乙第8号証の2の「税理士 独学道場」のパンフレットの印刷に関する印刷業者の請求書の写しを提出する。この印刷と頒布の流れは次のとおりである。
ア 見積 2015年6月5日付「御見積書」(乙12)
イ 請求 平成27年7月31日付「御請求書」(乙27)
ウ 納品 乙第27号証には、「御請求書」の「納品日」が、7/29と記載されている。
エ 発注 乙第13号証には、右上に、「発注日:15年7月15日(水)」の記載があり、左下に、書籍に乙第8号証の2の「税理士独学道場」のパンフレット(識別コード:035-0901-1024-10)を挟み込むことを意味する「投込み+税理士 独学のパンフレット(035-0901-1024-10)という記載がある。
オ 見本納品 2015年8月5日(水)(乙13)
なお、乙第13号証で、書籍への挟み込みの発注書の日付が独学道場のパンフレット請求書記載の納品日より前に依頼されている理由については、被請求人は、従前より挟み込み業者とは取引があり、パンフレットが完成することを見込んで依頼を行っているためである。したがって、乙第13号証については、発注日は2015年7月15日であるが、挟み込み作業を行うのは、パンフレットの納品日である7月29日以降になる。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(1)乙第8号証の3(乙8の2の原本)は、「TAC出版」のパンフレット(以下「パンフレット」という。)であり、その表紙には、「TAC出版+TAC税理士講座による独学者向けコース」、「2016年試験向け/税理士」及び「独学道場」の文字(以下「使用商標」という。)が表示され、下部の左側には「035-0901-1024-10」の番号が、また、その右側には、「TAC出版」の表示がある。
パンフレットの2頁には「Point 1」として、「TACメソッドによる/教材&カリキュラムだから安心!」の見出しの下、教材及びカリキュラムの説明が記載され、3頁には「Point 2」として、「実力派講師によるわかりやすさ抜群の講義!」の見出しの下、講師の紹介が記載され、「Point 3」として「自分のペースで講義が聴ける!/独学者のためのWeb学習システム!」の見出しの下、該学習方法についての説明が記載されている。
また、7頁の下部には「受講料」の見出しの下、「簿記論/プレミアムコース(直前対策コース一括申込)」として、「フルパック 116,000円」、「『テキスト』『問題集なし』パック 102,000円」、及び「簿記論/独学マスターコース」として、「フルパック 64,000円」、「『テキスト』『問題集なし』パック 50,000円」の記載、並びに「申込期限2016年6月1日(水)」の記載があり、9頁及び11頁にも上記と同様の記載がある。
さらに、6頁、8頁及び10頁の下部には「フォロー制度・サポートシステム」の見出しの下、「学習ガイドブック」、「質問電話」、「質問掲示板(Web)」及び「質問カード(各5枚)」の表示がある。
(2)乙第11号証は、被請求人である「TAC株式会社」の「会社案内」であるところ、その26頁には、「出版事業」の見出しの下、「当社グループの出版事業は、当社が展開する『TAC出版』ブランドおよび子会社・・・が展開する『Wセミナー』ブランド・・・の二本立てで進めております。」の記載があり、売上高等の説明が記載されている。
また、その頁の右下部には、「TAC CORPORATE PROFILE 2015-2016」の記載がある。
(3)乙第12号証は、「株式会社ワコープラネット」が、被請求人宛てに2015年(平成27年)6月5日付けで作成した「御見積書」であるところ、「指定内容」欄には、「件名」、「規格」、及び「頁数・部数」の項目があり、それぞれ、「TAC 独学道場/税理士」、「182*110」及び「4c/4c/×12P 85,000部」の記載があり、その合計金額として「¥673,000(消費税別)」の記載がある。
(4)乙第13号証は、被請求人が作成した、「TAC出版書籍発注書(A5判用)」であるところ、「発注日」には、「15年7月15日(水)」の記載があり、「投込み」欄には、「3点 (スリップ+講座はがき+税理士 独学パンフレット(035-0901-1024-10)」の記載がある。
(5)乙第21号証は、「TAC出版」の「学習ガイドブック」であるところ、その表紙には、上下の横線に挟まれた「2016年試験合格目標/税理士」の表示があり、その下部に「独学道場」の表示があり、下部には「TAC出版」の表示がある。
そして、その2頁には、「『税理士 独学道場』には以下のものが付属します」の見出しの下、「【簿記論コース】」には、ウェブサイトによる講義について、「はじめての簿記会計(Web講義)【15分×40回】」、「スタートアップ/Web講義/【60分×1回】」、「簿記論/独学マスター/Web講義/【150分×20回】」、「簿記論 解き方/Web講義/【150分×4回】」及び「簿記論 過去問でレベルアップ講義/【150分×2回】」の記載があり、また、テキストについて、「2016年度版/みんなが欲しかった!/税理士 簿記論の教科書&問題集」、「【全4冊】」、「税理士 簿記論/個別問題の解き方/総合問題の解き方」、「【各1冊】」及び「2016年度版/税理士 簿記論/過去問題集」、「【1冊】」の記載がある。
そして、「【財務諸表論コース】」についても、同様にウェブサイトの講義とテキストの内容について記載されている。
また、6頁には、「2 学習の流れについて」の見出しの下、「学習準備」、「インプット講義」及び「アウトプット講義」の項目ごとに説明が記載されており、「2.インプット講義」には、「(1)『教科書』を読みましょう」、「(2)『独学マスターWeb講義』視聴しましょう」及び「(3)『問題集』を解きましょう」の記載がある。
さらに、8頁及び9頁には、「Web講義の視聴方法について」の見出しの下、視聴する際に必要な登録の手順及び視聴方法が説明されており、10頁には、「3.Web講義配信日程(予定)について」の見出しの下、2015年7月1日から2016年1月下旬までの「簿記論」と「財務諸表論」のウェブサイトによる講義の配信スケジュール表がある。
(6)乙第26号証は、被請求人の「第32回定時株主総会招集ご通知」であるところ、その表紙には「平成26年4月1日から平成27年3月31日まで」の記載があり、「開催日時」、「開催場所」、「議案」及び「目次」についての記載がある。そして、その5頁には、「出版事業」の見出しの下、「当社グループの出版事業は、当社が展開する『TAC出版』ブランドおよび子会社・・・が展開する『Wセミナー』ブランド・・・の2本立てで進めております。」の記載があり、売上高等の説明が記載されている。
(7)乙第27号証は、「株式会社ワコープラネット」が、被請求人宛てに平成27年7月31日付けで作成した「御請求書」であるところ、「御請求明細」には、「件名」欄に「税理士 独学道場 2015.07」、その「納品日」欄に「7/29」及び「金額」欄に「673000」の記載がある。
2 判断
(1)使用商標について
パンフレット(乙8の3)の表紙に表示された「独学道場」の文字は、標準文字である本件商標の「独学道場」とその書体は異なるものではあるが、同じ構成文字からなるものであるから、両商標は、社会通念上同一の商標である。
(2)使用者について
使用商標が表示されているパンフレット(乙8の3)の作成者は「TAC出版」であるところ、これは、被請求人が展開する出版事業のブランド名として、被請求人が使用しているもの(乙11、乙26)であるから、使用商標の使用者は、被請求人と認められる。
(3)使用時期について
株式会社ワコープラネットが被請求人宛てに作成した「御見積書」(乙12)と「御請求書」(乙27)は、その金額が一致していること、及びいずれも「件名」欄に「税理士」、「独学道場」の記載があることからすれば、「御見積書」(乙12)と「御請求書」(乙27)は、前記(1)におけるパンフレット(乙8の3)についての見積書・請求書といえるものであり、当該パンフレットは、平成27年7月29日に、株式会社ワコープラネットから被請求人に納品されたものと認められる。
そして、当該パンフレットの下部の「035-0901-1024-10」の番号が、「TAC出版書籍発注書(A5判用)」(乙13)の「投込み」欄に記載された番号と同じであることから、被請求人は、当該パンフレットを他の書籍に挟み込んで頒布する依頼を行い、平成27年7月29日以降、これが頒布されたものと推認することができるものであって、上記日付は要証期間内である。
(4)使用役務について
パンフレット(乙8の3)及び学習ガイドブック(乙21)によれば、税理士「独学道場」は、主に教材とウェブサイトによる講義から構成されているもの(以下「本件講座」という。)であるところ、ウェブサイトによる講義が、「簿記論」と「財務諸表論」について、それぞれ、配信15分が40回、同60分が1回、同150分が26回あり、本件講座において相当の比率を占めるものであって、税理士の資格取得のための知識の教授を目的として、税理士「独学道場」を申し込んだ者に提供されているものというのが相当である。
そうとすれば、被請求人は、主に教材とウェブサイトの講義による「税理士試験のための知識の教授」の役務を提供したものといえ、これは、本件審判の請求に係る指定役務中「知識の教授」の範ちゅうに含まれるものである。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、被請求人は、要証期間内に、本件講座のパンフレットに、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して頒布したものと推認することができる。
そして、上記行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当するものと認められる。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、「乙各号証において『TAC出版』が独立した会社であるかのように表示されており、被請求人は『TAC出版』が部署の一つと主張するのみで証明するところがない」と主張している。
しかしながら、「TAC出版」は、上記2(2)のとおり、被請求人が展開する出版事業のブランド名として、被請求人が使用しているものであって、使用商標の使用者が、被請求人であると認められることは、乙第11号証の「会社案内」及び乙第26号証の「第32回定時株主総会招集ご通知」から明らかである。
(2)請求人は、「Web学習システム」の記述や「Web画面」について、「『通信ネットワークによる動画の提供』と変わるところがないものであって、『学習方法に関する助言及び情報の提供,教育の情報の提供,知識の教授』とは異なり、本件審判請求に係る指定役務には含まれていない。被請求人は『税理士/独学道場』という教材を販売しているのであり、知識の教授等の役務を提供しているとはいえない」と主張している。
しかしながら、上記2(4)のとおり、「Web学習システム」として受講者に提供されるものは、ウェブサイトによる講義であるとしても、配信時間やその回数、及びその内容に照らしてみれば、「税理士試験のための知識の教授」の役務が提供されているといえるものである。
(3)請求人は、「被請求人は、パンフレットの挟み込みについて、『被請求人は、従前より挟み込み業者とは取引があり、パンフレットが完成することを見込んで依頼を行っていた』と述べているところ、そうとするならば、これら事業者との取引書類の記載も見込みの期日であって、事実と異なるのではないかとの疑念を禁じ得ない。」と主張している。
しかしながら、パンフレット(乙8の3)は、平成27年6月5日に、その作成見積りがされ、同年7月29日に被請求人に納品されたことが認められることからすれば、納品見込みのパンフレットについて、納品の二週間前(同年7月15日)に頒布を依頼をすることは、不自然とはいえないものである。
また、当該パンフレットの下部の番号と「TAC出版書籍発注書(A5判用)」(乙13)の「投込み」欄に記載された番号が同じであること、及び相当数作成されたパンフレットは、頒布を目的として作成されたものであることから、上記依頼によって、納品後に頒布されたものとみて差し支えないものである。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、本件審判の請求に係る指定役務中の「知識の教授」に含まれる「税理士試験のための知識の教授」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-08-29 
結審通知日 2017-08-31 
審決日 2017-09-19 
出願番号 商願2012-7770(T2012-7770) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W41)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 矢澤 一幸 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 山田 正樹
中束 としえ
登録日 2012-07-06 
登録番号 商標登録第5506530号(T5506530) 
商標の称呼 ドクガクドージョー 
代理人 三浦 大 
代理人 林 栄二 
代理人 東谷 幸浩 
代理人 正林 真之 
代理人 名越 秀夫 
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