• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W41
審判 一部申立て  登録を維持 W41
審判 一部申立て  登録を維持 W41
審判 一部申立て  登録を維持 W41
審判 一部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1333448 
異議申立番号 異議2017-900194 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-06-17 
確定日 2017-10-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5933030号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5933030号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5933030号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成よりなり,平成28年7月21日に登録出願,第35類「たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」,第41類「娯楽施設の提供」及び第43類「飲食物の提供」を指定役務として,同29年2月10日に登録査定,同年3月17日に設定登録されたものである。

第2 申立人の引用する登録商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録第5334030号商標(以下「引用商標」という。)は,「ベガス」の片仮名を書してなり,平成21年8月18日に登録出願,第41類「セミナーの企画・運営又は開催,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,遊戯用器具の貸与」を指定役務として,同22年7月2日に設定登録されたものであり,現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第8号,同第11号及び同第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第18号証を提出した。
1 本件商標と引用商標との標章としての相違点
(1)標章としての要部
本件商標が,全体に小豆色をした矩形下地の長辺全巾に掛け,上下丈の半分近い大きさの角ゴシック体調の文字で「ベガスグループ」と白抜き表示されている結果,小豆色をした矩形下地に強調されることもあって,その上部中央で,7文字からなる「ベガスグループ」の略1文字程度の大きさでしかなく,しかも色合いでも,小豆色をした矩形下地と同系色の濃い橙色を主要部としていて目立ち難い図柄からの印象を受ける暇もなく,この「ベガスグループ」表記部分が,傑出して認識できる標章の要部である。
これに対し,引用商標は,極普通に文字だけを横書き表示した,角ゴシック体の「ベガス」である。
(2)両標章要部の相違点
上記に見た両標章の要部を比較してみると,その相違点は,固有の標章「ベガス」に,「グループ」なる語句を連続させて一連の「ベガスグループ」としたものにするか,「グループ」など,他の語句との連携はなく,単独に「ベガス」としたものにするかの相違しかない。
つまり,本件商標と引用商標との相違点は,標章として見た場合にロゴマークと文字といった形態上での相違はあるものの,標章の要部,すなわち,消費者などの看者が直に視認できる部分で捉えるならば,本件商標は,正に「ベガスグループ」部分であることに異論を挟む余地など無く,してみれば,両者の相違部分といえば,単に「グループ」という語句の有無だけである。
2 本件商標と引用商標との並存についての可否判断
上記1に示すとおり,本件商標と引用商標との相違点が,標章としての要部においては,「グループ」という語句の有無だけであることに相違ない。
(1)「ベガスグループ」における「グループ」の解釈
「ベガスグループ」における「グループ」が意味するところを解釈すると,例えば「AOKIグループ」が,登録商標「AOKI」を所有する(株)AOKIホールディングス系列に属する組織を意味するものとして使用され,「イオングループ」が,登録商標「イオン」を所有するイオン(株)系列に属する組織を意味するものとして使用され,「Iwatani Group」が,登録商標「Iwatani」を所有する岩谷産業(株)系列に属する組織を意味して使用される(甲15)など多くの事例で採用,使用されているように,「同系列に属する組織。」あるいは「行動を共にする集団。仲間。組織などの集団にもいう。」の意味を付与するために付加する普通名詞と解するのを相当とすべきであり,それらから判明する如く,「グループ」は,すべからく母体となる語句に普通に組合せ,汎用されるだけの普通名詞にすぎず,それ自体は,識別性を欠く標章部分としなければならず,両者は類似関係にあるものとされなければならず,仮に,この判断が採用されないとしても,この項で上述してきたとおり,看者をして,「ベガスグループ」が,引用商標「ベガス」を所有する(株)ベガスベガス系列に属する組織を意味するものとして解釈,把握されることになり,出所の混同を来すこと必然といわねばならないものである。
してみれば,本件商標における「ベガスグループ」の部分は,その標章としての識別性を有する部分,すなわち,その要部が「ベガス」であることに何ら疑義を挟む余地などないばかりか,消費者間に出所表示の点で無用の混乱来すこと必死である上,引用商標の「ベガス」及び/又は「ベガスベガス」,その他関連するその他取得・使用する多数の登録商標によって「ベガス」に十分な知名度を築き著名性を獲得した商標を含むものとしなければならない。
(2)先行する引用商標と本件商標との関係
本件商標は,引用商標「ベガス」から遅れること約7年後に,審査過程において,一度の拒絶理由通知も発せられることもなく,引用商標の商標権者に全く関わりがない第三者である本件商標権者に対して登録査定を下し,登録が付与されたものであり,申立人が上述までの分析,展開してきた解釈からして,この登録が付与された審査過程には,重大な誤審があったものとしなければならない。
(3)商標法第4条第1項第11号の規定適用の看過
本件商標は,先行する引用商標と,その指定商品又は指定役務並びに商品又は役務の区分において,第41類「娯楽施設の提供」で同一であり,かつ,その標章としての要部である「ベガスグループ」が,「ベガス」に普通名詞であって識別性を欠く「グループ」を単に連ねて一連に表記しただけにすぎないものであって,実質「ベガス」と判断されなければならず,先行する引用商標「ベガス」との関係でいえば,商標法第4条第1項第11号によって拒絶されなければならないはずのものが,審査段階では看過され,登録査定を受けたという明らかな誤審に相当し,したがって,同法第43条の2第1号の規定により,取り消されなければならない。
(4)商標法第4条第1項第15号の規定適用の看過
ア 引用商標の商標権者で,申立人において,昭和39年来,北海道,東北一円,関東圏で営業を展開し,使用し続けていて,この「娯楽施設の提供」を生業とする業界において,十二分に名が知れ渡っているパチンコ店「ベガス」(甲2)や「ベガスベガス」(甲3),「VEGAS\VEGAS」(甲4),「ニューベガス」(甲5),「ベガスタウン」(甲6),「ベガスランド」(甲7),「ベガスキャッスル」(甲8),「ヴィラベガス」(甲9),「ベガスヴィクトリー」(甲10),「スーパースロットベガス」(甲11),「ベガスロット」(甲12),「スロベガス」(甲13)などといった「ベガス」に関連する商標を早くから所有し,営業展開を続け,あるいは新たに営業展開することを企画,立案しており,「ベガスグループ」なる標章は,誰の目からも,恰も,それらを総括する観念を有した商標であるかの如き誤解とそれに基づく混乱とを招来すること必至のものである。
イ 上記(1)で分析,解釈したとおり,「娯楽施設の提供」という範ちゅうにある者においても勿論ではあるが,直接かかわりがない者で関心のある人などにとってはなおさらのこと,一般に知られるような,甲第15号証に列挙する,例えば「イオングループ」が「イオン」系列に属する組織を意味するものとして使用され,「Iwatani Group」が「Iwatani」系列に属する組織を意味して使用され,「オダキューグループ」が「オダキュー」系列に属する組織を意味して使用されるといった多くの事例で採用,使用される事例と同様に,「同系列に属する組織。」あるいは「行動を共にする集団。仲間。組織などの集団にもいう。」の意味に解して誤解,混同を来して解釈されることも必然である。
ウ 以上の二つの事態が想定されるということは,「娯楽施設の提供」という役務において,正しくその実施者の選択に支障を来すか,来すおそれを許容することであり,これは,正に同法第4条第1項第15号に該当し,そのような事態を回避するために拒絶されなければならない筈のものが,審査段階では何故か看過されて登録査定を受けたという明らかな誤審に相当するものであり,したがって,同法第43条の2第1号の規定によって当然に取り消されなければならない。
(5)商標法第4条第1項第8号の規定適用の看過
引用商標の商標権者で,申立人が,自社ホームページ(URL:www.vegasvegas.co.jp/)に掲載,公開するとおり,創業1964年(昭和39年)「霞城ホール」として山形市で個人開業以来,1981年(昭和56年)には株式会社大成商事に,そして2010年(平成22年)には,申立人と同じ株式会社ベガスベガスヘと改称し,パチンコ,スロットルを主とする娯楽施設の提供,及びそれに付帯する各種飲食物,その他の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供などを生業とし,北海道から関東まで日本全国,広い範囲に渡って営業展開を続ける企業へと成長を遂げ(甲14),過去53年間のたゆまぬ実績の上,現在も益々その内容,エリアとも充実・拡張に向けて積極的な活動を継続中である。
そうした中,引用商標は,平成9年以降の時点で,上記したとおりの企業展開をする娯楽施設内で,そのパチンコ店名としては勿論,それに付帯するレストラン,そば店,菓子店など娯楽施設以外の各種店舗の総合施設名などとしての使用を開始するようになり,これらとしての施設名が同業他社との間で無用な混乱を来さないようにとの配慮で,当該使用施設名としていた「ベガスベガス」を含み,実際に使用,表示していた多段列記標章各種について商標登録対策として出願,実施し,平成11年には,登録商標第4336190号,登録商標第4336191号,登録商標第4336192号,登録商標第4336193号,登録商標第4336194号及び登録商標第4337819号の6件を商標登録とすることができ,それらの更新時である平成21年には,それらの法的整備・統合を図るために新たに申請し直しを図り,単一標章からなる登録商標第5310661号「ベガスベガス」(甲3)や登録商標第5473816号「ベガスベガス」(第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちや・人形及び娯楽施設の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等)をはじめ,ロゴマークとして登録商標第5473817号「VEGAS\VEGAS」(第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちや・人形及び娯楽施設の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等,第41類「娯楽施設の提供」等:甲4)の外,それら登録商標にかかわる使用に際し,標章「ベガスベガス」を,単に標章「ベガス」と略称表示使用又は分断表示使用する事実が,過去において頻繁に生じてきていた経験を踏まえ,それらの保護についても事前対策を要していたことから,引用商標である登録商標第5334030号「ベガス」(第41類「娯楽施設の提供」等:甲2),および登録商標第5469033号「ベガス」(第35類「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちや・人形及び娯楽施設の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等)を商標登録として権利化を果たしていたものである。
このような実績から立証されるように,最早,この「娯楽施設の提供」にかかわる分野では,少なくとも関東以北では,十二分の周知度を得て事業展開を行ってきていて著名なものになっている上に,引用商標である「ベガス」の商標権者である株式会社ベガスベガスの会社概要(甲14)の中の記載に確固として見られるとおり,「娯楽施設の提供」にかかわる分野以外の事業展開も併せて進めてきており,それらは,一般大衆から「ベガス」又は「ベガスベガス」の傘下に属す業種,所謂「ベガスグループ」との認識を既に得ているものと同定できるのであり,この「ベガスグループ」という標章が,上記してきたような実績を確立してきていない者,すなわち,引用商標権者に全く関係の無い第三者の登録商標になることが許容されてしまうと,一般消費者などは出所の表示機能の点において多大の混乱を来すと同時に,その第三者には,長い年月を重ねて築いて来た引用商標権者の知的財産としての知名度は勿論,それらから構築された知的財産価値に,いとも簡単にフリーライドすることを,事もあろうに国家が保証することとなってしまい,完全に社会正義に背くこととなる。
そして,これまでの特許庁のプラクティスを辿れば,甲第15号証に列挙するとおり,「○×△グループ」の標章からなる登録商標の権利者は,「○×△」の標章からなる登録商標の権利者と同一人となっているのである。
上記した分析,検討結果からすれば,少なくとも関東以北において,長年の実績から,少なくとも,「娯楽施設の提供」という商圏では,十分な知名度を獲得してきている引用商標である甲第2号証「ベガス」,及び/又は甲第3号証「ベガスベガス」の商標権者と他人である本件商標権者が,本件商標のように,その標章の要部に「ベガスグループ」を歴然として含む商標として登録されるということは,明らかに商標法第4条第1項第8号の法の趣旨に背くものであることが自明であり,その判断を遺漏した原審判断は,同法第43条の2第1号の規定によって取り消されるべきである。
3 補足的な理由
本件商標権者は,自社で管理,営業する娯楽施設に,引用商標権者の所有する引用商標「ベガスベガス」(甲3)を無断使用していたため,平成28年2月22日付けで,引用商標権者が警告書(甲16,甲17)を通知したところ,その対抗策として,同年3月9日付けで,登録第5334030号商標(甲2)の登録取消審判請求(甲18)を提出すると共に,侵害回避策のもう一つの手段として,遅れて約4ヶ月後の同年7月21日付けには,引用商標権者が,上記2の本件商標と引用商標との並存の可否判断で判断したとおり,商標登録するまでもないと確信していて登録しないままでいた「ベガスグループ」を,対抗策として想定される本件商標に係る商標登録出願を試みたところ,登録を得たというものである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,次のように判断できる。
申立人は,1964年(昭和39年)創業以来,北海道,東北一円,関東圏で営業を展開し,事業内容としては,主にパチンコ事業及び飲食店事業を行っており,パチンコ事業部29店舗,フード事業部34店舗,コンビニ事業部6店舗,ゲームセンター3店舗等を有する,資本金5,000万円,社員数1,396名(2017年5月現在)及び売上高1,435億円(2017年3月期)の会社である(甲14)。
甲第14号証は,申立人のホームページの写しとされるところ,「株式会社ベガスベガス 会社概要」の表題において,3葉目には「株式会社ベガスベガス 事業内容」の見出しの下,「パチンコ事業部 29店舗」の記載があり,「ベガスベガス札幌店」,「ベガスベガス旭川店」など,「ベガスベガス」を冠した店舗の名称が北海道,山形,宮城,栃木,東京の地域に29店舗の記載がある。
そして,申立人の周知性に関する証拠は,上記証拠のみであり,それも,申立人のホームページの写しとされる「会社概要」の情報のみで日付の記載はなく,引用商標及びこれに関する記載もない。
さらに,引用商標の周知性の度合いを客観的に判断するための資料,すなわち,引用商標を広告・宣伝した時期,回数及びその方法を示す具体的な証拠の提出もない。
そうすると,引用商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,需要者の間に広く認識されていたものであることを認めることができない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は,別掲のとおりの構成態様からなり,紫色の横長四角形内の上部にオレンジ色の3つの角を少し切り落とした逆三角形とその3辺の中心点を頂点する正三角形を白抜きにし,その正三角形の各辺の中心点と交差するように赤色のゴシック体の「V」の字を重ねた構成の図形からなり,この図形の下部に,横長四角形の横幅一杯に白抜きで「ベガスグループ」の片仮名を表してなるところ,本件商標の図形部分と文字部分は,それぞれ分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず,いずれもが本件商標の要部として,自他役務の識別標識としての機能を果たし得るというべきであって,本件商標は,その図形部分からは,特定の称呼及び観念を生じるものではなく,また,その文字部分は,同書,同大,同間隔で視覚上まとまりよく一連一体に書された構成からなるものであり,これより生じる「ベガスグループ」の称呼もよどみなく一連に称呼できるものである。
そして,かかる構成においては,構成文字の一部が他の文字と比べ強く支配的な印象を与えるということもできず,本件商標を「ベガス」の文字部分と「グループ」の文字部分とに分離して看取すべき特段の理由も見出せない。
してみれば,本件商標の「ベガスグループ」の文字部分は,一体不可分のものとみるべきであり,該語は,辞書類に載録されていない語であるから,一種の造語として認識されるのが相当である。
したがって,本件商標は,その構成文字に相応して,「ベガスグループ」の一連の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は,「ベガス」の文字からなるところ,その構成文字より「ベガス」の称呼を生じ,該語は,辞書等に載録されていない語であるから,一種の造語としてみるのが相当である。
したがって,引用商標は,「ベガス」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標との類否について検討すると,外観においては,本件商標と引用商標とは,上記(1)及び(2)のとおりの構成からなり,その構成態様が相違するものであるから,両者は,外観上,判然と区別し得るものである。
また,称呼においては,本件商標から生じる「ベガスグループ」の称呼と引用商標から生じる「ベガス」の称呼とは,「グループ」の音の有無という顕著な差異により,これらをそれぞれ一連に称呼した場合には,全体の語調,語感が相違し,称呼上,明瞭に聴別することができるものである。
さらに,観念においては,本件商標と引用商標とは,共に特定の観念を生じないものであるから,観念上,両者を比較することができないものである。
そうすると,本件商標と引用商標とは,観念において比較することができないとしても,外観及び称呼において,明らかに相違するものであるから,両者は,非類似の商標というべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は,前記1のとおり申立人又は申立人の業務を表示するものとして,本件商標の登録出願日前より,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。
また,前記2のとおり,本件商標と引用商標とは非類似の商標であり,全体として異なる印象や記憶を与え,看者に全く別異のものとして認識されるものである。
そうすると,本件商標をその指定役務について使用した場合に,これに接する取引者,需要者は引用商標を連想,想起することはなく,該役務が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように,役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第8号該当性について
引用商標は,前記1のとおり,申立人又は申立人の業務を表示するものとして,本件商標の登録出願前より,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたと認めることができない。
してみれば,本件商標は,その構成中に他人の著名な略称を含むものということはできないから,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
5 申立人の主張について
申立人は,「『ベガスグループ』における『グループ』が意味するところを解釈すると,・・・『同系列に属する組織。』あるいは『行動を共にする集団。仲間。組織などの集団にもいう。』の意味を付与するために付加する普通名詞と解するのを相当とすべきであり,それらから判明する如く,『グループ』は,すべからく母体となる語句に普通に組合せ,汎用されるだけの普通名詞にすぎず,それ自体は,識別性を欠く標章部分としなければならず,両者は類似関係にあるものとされなければならず,・・・看者をして,『ベガスグループ』が,引用商標『ベガス』を所有する(株)ベガスベガス系列に属する組織を意味するものとして解釈,把握されることになり,出所の混同を来すこと必然といわねばならないものである。」旨を主張している。
しかしながら,前記2(1)のとおり,本件商標の構成中の「ベガスグループ」の文字部分は,その構成中の「グループ」の文字が,「行動を共にする集団。仲間。組織などの集団にもいう。」等の意味合いを有する語として知られているとしても,該文字部分は,白抜きの文字で同書,同大,同間隔で視覚上まとまりよく一連一体に書された構成からなるものであり,外観上の一体性が極めて強く,かつ,いずれかの文字部分が他の文字部分と比較して強く支配的な印象を与えるものとはいえず,本件商標「ベガスグループ」の片仮名は一体不可分の一種の造語として認識,把握されるとみるのが相当である。
また,「ベガス」の文字部分が,申立人の著名な略称とは認められないことからすれば,本件商標が申立人に属する組織を意味するものと解釈,把握されるとみることはできない。
したがって,申立人の上記主張は,採用することができない。
6 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号,同第15号及び同第8号のいずれにも違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標)


(色彩については,原本参照。)

異議決定日 2017-10-06 
出願番号 商願2016-78243(T2016-78243) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (W41)
T 1 652・ 263- Y (W41)
T 1 652・ 262- Y (W41)
T 1 652・ 23- Y (W41)
T 1 652・ 261- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 旦 克昌 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 榎本 政実
木住野 勝也
登録日 2017-03-17 
登録番号 商標登録第5933030号(T5933030) 
権利者 株式会社ダイハチ
商標の称呼 ベガスグループ、ベガス、ブイ 
代理人 佐々木 實 
代理人 名古屋国際特許業務法人 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ