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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W21
審判 全部申立て  登録を維持 W21
審判 全部申立て  登録を維持 W21
審判 全部申立て  登録を維持 W21
管理番号 1333442 
異議申立番号 異議2017-900094 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-03-23 
確定日 2017-10-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5905593号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5905593号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5905593号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおり,「ガムワン」の片仮名と「GUM ONE」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり,平成28年7月9日に登録出願,同年11月29日に登録査定がされ,第21類「歯茎マッサージ具」を指定商品として,同年12月16日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は,以下の8件の登録商標(以下,これらの商標をまとめて「引用商標」という。)であり,いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第2234175号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:昭和63年2月3日
設定登録日:平成2年5月31日
指定商品 :第21類「歯ブラシ,その他の化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」
2 登録第5201307号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成20年6月12日
設定登録日:平成21年1月30日
指定商品 :
第3類「歯磨き,洗口液,口臭消臭スプレー,石けん類,化粧水」
第5類「歯科用薬剤,医療用あめ,その他の薬剤,歯科用材料,食餌療法用食品」
第10類「歯科用機械器具,その他の医療用機械器具」
第21類「歯ブラシ,歯間ブラシ,その他の化粧用具,電気式歯ブラシ,デンタルフロス」
第29類「植物エキスを主原料とする錠剤状・カプセル状・顆粒状・粉末状・液状・ゼリー状又は飴状の加工食品,乳酸菌を主原料とする錠剤状・カプセル状・顆粒状・粉末状・液状・ゼリー状又は飴状の加工食品」
3 登録第5308710号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲4のとおり
登録出願日:平成21年7月3日
設定登録日:平成22年3月12日
指定商品 :
第3類「歯磨き,洗口液,口臭消臭スプレー,義歯洗浄剤,石けん類,化粧水」
第5類「歯科用薬剤,医療用あめ,その他の薬剤,歯科用材料,食餌療法用食品,ガーゼ,脱脂綿,ばんそうこう,衛生マスク」
第10類「歯科用機械器具,その他の医療用機械器具,医療用手袋」
第21類「歯ブラシ,歯間ブラシ,その他の化粧用具,電気式歯ブラシ,デンタルフロス」
第29類「植物エキスを主原料とする錠剤状・カプセル状・顆粒状・粉末状・液状・ゼリー状又は飴状の加工食品,乳酸菌を主原料とする錠剤状・カプセル状・顆粒状・粉末状・液状・ゼリー状又は飴状の加工食品」
4 登録第5477022号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲5のとおり
登録出願日:平成23年4月21日
設定登録日:平成24年3月9日
指定商品 :
第3類「歯磨き,洗口液,口臭消臭スプレー,化粧品,せっけん類」
第21類「歯ブラシ,歯間ブラシ,電気式歯ブラシ,その他の化粧用具,デンタルフロス,歯間清掃用デンタルピック」
5 登録第5493994号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:別掲6のとおり
登録出願日:平成22年7月26日
設定登録日:平成24年5月18日
指定商品 :
第3類「洗口液,その他の歯磨き,口臭消臭スプレー,化粧品,せっけん類」
第5類「歯科用薬剤,医療用あめ,その他の薬剤,歯科用材料」
第10類「歯科用機械器具,その他の医療用機械器具」
第21類「歯ブラシ,歯間ブラシ,電気式歯ブラシ,その他の化粧用具,デンタルフロス」
第29類「植物エキスを主原料とする錠剤状・カプセル状・顆粒状・粉末状・液状・ゼリー状又は飴状の加工食品,乳酸菌を主原料とする錠剤状・カプセル状・顆粒状・粉末状・液状・ゼリー状又は飴状の加工食品」
6 登録第5085072号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:別掲7のとおり
登録出願日:平成18年2月20日
設定登録日:平成19年10月19日
指定商品 :第21類「デンタルフロス,歯間清掃用ようじ,歯間ブラシ,歯と歯科用補綴物又は歯科矯正用器具の間の清掃用ブラシ,歯間ブラシホルダー,デンタルフロス用支持柄,歯ブラシ,電気式歯ブラシ,その他の化粧用具,ようじ」
7 登録第2234176号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:ガム
登録出願日:昭和63年2月3日
設定登録日:平成2年5月31日
指定商品 :第21類「歯ブラシ,その他の化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」
8 登録第4908848号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:別掲7のとおり
登録出願日:平成15年7月31日
設定登録日:平成17年11月18日
指定商品 :
第3類「洗口液,口臭消臭スプレー,義歯洗浄剤,その他の歯磨き,せっけん類,化粧品,香料類」
第10類「歯科用バー,歯科用鏡,その他の歯科用機械器具,手術用機械器具,生体吸収性縫合糸,歯科組織再生促進膜,歯科組織再生促進膜を固定するための生体吸収性ピン,歯科用インプラント,人工歯,人工歯肉,人工粘膜,培養歯,培養粘膜,その他の医療用機械器具」
第29類「植物エキスを主原料とする錠剤状・カプセル状・顆粒状・粉末状・液状・ゼリー状・ブロック状の加工食品」
第32類「清涼飲料,果実飲料,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証(枝番号を含む。なお,枝番号のすべてを引用する場合は,枝番号の記載を省略する。)及び参考資料1ないし参考資料14を提出した。
1 前提事実
1989年に,当時引用商標1の商標権者であった米国法人「John O. Butler Company」(現Sunstar Americas,Inc.)から独占的通常実施権の許諾を受けたサンスター株式会社は,「G・U・M HOME DENTIST SERIES/ガム・ホームデンティストシリーズ」として,歯周病予防を目的とした歯磨き等のオーラルケア製品の製造販売を開始し,以来,現在に至るまで,我が国において,引用商標に係る「G・U・M」及び「ガム」商標を付した歯磨き,洗口液,歯ブラシ等,各種オーラルケア製品(以下「G・U・M製品」という。)を製造販売している(甲3,5)。
「G・U・M・」商標(参考資料1?3)に係る商標権及び引用商標に係る商標権は,現在では申立人が所有しており,サンスター株式会社は,申立人から独占的通常使用権の許諾を受けて,引用商標を使用している。申立人とサンスター株式会社(以下,両者を併せて「申立人ら」という。そのうち,「サンスター株式会社」を「使用権者サンスター」という。)は,いずれもサンスターグループに属する企業である。
2 引用商標の周知著名性について
(1)宣伝広告活動
使用権者サンスターは,永年にわたり,多額の宣伝広告費を投じて,テレビ,ラジオ,雑誌,新聞等の媒体で,コンスタントに「G・U・M製品」の宣伝広告を行ってきた。このような永年の宣伝広告と,G・U・M製品が高い品質を有していることから,G・U・M製品は,取引者,需要者の支持を集め,オーラルケア製品の分野では有数の市場シェアを誇るブランドとなっている。
(2)市場占有率
ア 歯磨き(デンタルペースト)
歯磨きの市場規模は,「オーラルケア関連市場マーケティング総覧2014」及び「同2016」において,2015年で約783億円(販売額)であり,このうち歯周病予防をうたった歯磨きの市場規模は,2015年で約294億円であるところ,使用権者サンスターによる「G・U・M」ブランドの歯磨きの2015年の販売実績は69億円であるから,使用権者サンスターは歯周病予防の歯磨きに関する市場においては,約23.5%(約4分の1)のシェアを有していた。
さらに,歯周病予防を目的とした歯磨きにおける「G・U・M」のブランドシェアは,2013年(25.7%,第1位),2014年(見込)(24.7%,第1位),2015年(23.5%,第1位),2016年(見込)(22.0%,第1位)であり,すべての年において,シェアが約13%?14%台の第2位を大きく引き離している。
また,使用権者サンスターの「G・U・M」ブランドは,「歯周病予防歯磨の代表的なブランドとして流通および生活者からの認知度も高いサンスターの『GUM』がトップシェアを維持」,「歯周病予防のカテゴリー サンスター『GUM』が不動の首位」及び「サンスターの『GUM』は,歯周病への理解の深耕および歯周病ケアの重要性に関する啓蒙活動を継続的に実施しており,歯周病予防歯磨のトップブランドとして市場に定着している」等と紹介されている。
加えて,歯磨き全体の中の使用権者サンスターに係る「G・U・M」ブランドのシェアは,2013年(9.5%,第3位),2014年(見込)(9.3%,第3位),2015年(9.0%,第3位),2016年(見込)(8.8%,第3位)である。
このように,「歯周病予防」をうたった歯磨きに限定しない「歯磨き」全体の市場でも,使用権者サンスターの「G・U・M」ブランドの歯磨きは,10%近いシェアを有しており,全ての歯磨きの中で3番目に売れている歯磨きである。
イ 歯ブラシ
一般的に,歯ブラシは,各メーカーが複数ブランドから製品を出しているのが現状であり,多数のメーカーの多数ブランドの中で,「G・U・M」ブランドが数年間にわたり第2位のシェアを獲得している。
ウ 洗口剤(洗口液・液体歯磨き)
「G・U・M」ブランドの洗口剤は,販売実績においても,シェア第2位のブランドを10億円以上引き離しており,当該商品分野で圧倒的な人気を誇っている。さらに,「洗口剤」に含まれる「液体歯磨き」というカテゴリーの商品に関する「G・U・M」ブランドのシェアは,2013年(41.2%,第1位),2014年(見込)(41.6%,第1位),2015年(40.1%,第1位),2016年(見込)(39.8%,第1位)であり,いずれも40%台前後のシェアを獲得しており,シェア第2位(15%前後)を大きく引き離している。
エ デンタルフロス及び歯間ブラシ
「G・U・M」ブランドのデンタルフロスのシェアは,2013年(12.4%,第3位),2014年(見込)(12.3%,第3位),2015年(7.4%,第4位)及び2016年(見込)(7.7%,第4位)であり,いずれも第3位又は第4位である。また,「G・U・M」ブランドの歯間ブラシのシェアは,2013年(18.8%,第2位),2014年(見込)(18.1%,第2位),2015年(17.8%,第3位)及び2016年(見込)(17.2%,第3位)であり,いずれも第2位又は第3位である。
(3)雑誌や新聞への紹介記事
使用権者サンスターのG・U・M製品は,高い販売実績と市場占有率を誇っていることから,雑誌や新聞のオーラルケアに関する記事の中で,しばしば紹介・言及されており(甲4,20?23),このようなG・U・M製品に関する記事からも,「G・U・M」ブランドが需要者から高い支持を受けている。
(4)新しい商品
使用権者サンスターは,オーラルケア製品のトップブランドとして,常に新しいコンセプトの商品開発を続けており,我が国の需要者のオーラルケアの充実に貢献している。
(5)受賞歴
使用権者サンスターのG・U・M製品は,そのデザインの創造性,機能性,先進性,グローバル性等を評価され,グッドデザイン賞をはじめ,様々な賞を受賞している(甲25)。
(6)欧文字「GUM」及び片仮名「ガム」の周知著名性
使用権者サンスターの「GUM」ブランドの商標は,多少のデザイン変遷はあるものの,商品発売当初から現在に至るまで,欧文字の間に中黒を配した「G・U・M」が緑地の図形に白抜きで書された態様のロゴ(以下「『G・U・m』のロゴ」ということがある。)を,製品パッケージ正面に使用するなどしていることから,当該ロゴは,取引者,需要者の間で周知著名となっていると考えられる。
また,使用権者サンスターのG・U・M製品に関する広告や,これを紹介する新聞・雑誌の記事等においては,単に「G・U・M」(中黒あり)や「GUM」(中黒なし)と表記されることが一般的であるから,緑地の背景がない引用商標1,6及び8や,通常書体の「GUM」も,使用権者サンスターのオーラルケア製品を表示する商標として取引者,需要者の間で周知著名となっていると考えられる。
さらに,G・U・M製品のテレビCMでは,音声上,「ガム」と呼ばれていること,また,広告や新聞・雑誌での紹介記事では,「ガム ○○○○」のように片仮名で表記されることが広く一般に行われていることから,片仮名「ガム」についても,これがオーラルケア製品に使用されるときは,使用権者サンスターに係る製品であることを表示する商標として周知著名性を獲得していると考えることが自然かつ妥当である。
(7)その他
申立人は,2010年に,第16類,第35類及び第44類の商品・役務に関し,引用商標2の防護標章登録を受けている。
(8)小括
以上から,引用商標「G・U・M」及び「ガム」は,本件商標の登録出願日である平成28年7月9日以前に,第3類「歯磨き」及び第21類「歯ブラシ,歯間ブラシ」等のオーラルケア製品の分野において,周知著名であったことは明らかである。
3 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
ア 本件商標の構成
本件商標は,片仮名「ガムワン」が上段に大きく書され,欧文字「GUM ONE」は下段に,片仮名と両端をそろえ,片仮名の8割程度の大きさで書されている。
本件商標の片仮名及び欧文字部分は,それぞれ「ガム/GUM」と「ワン/ONE」という2つの構成部分を組み合わせた結合商標と解される。両語の間には,観念上のつながりがなく,また,欧文字部分「GUM」と「ONE」との間には半角程度のスペースが設けられていることから,本件商標においては,各構成部分をそれぞれ分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど強く結合しているとは認められない。
イ 「ガム/GUM」部分が強く支配的な印象を与える点について
上記2のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願日である平成28年7月9日以前に,第3類「歯磨き」及び第21類「歯ブラシ,歯間ブラシ」等のオーラルケア製品の分野において,周知著名であったことは明らかであるから,かかる周知著名な商標を容易に想起させる本件商標の構成中の「ガム/GUM」部分は,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。
ウ 「ワン/ONE」部分の識別力について
本件商標の構成中の「ガム/GUM」部分は,取引者,需要者に,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるのに対し,本件商標の後半部「ワン/ONE」の語は,代名詞(数詞)として「1つ,1人,1個」等の意味が,名詞として「1,1の数字,1つのもの」等の意味がある非常に基本的で平易な英単語であり,これは,我が国における広く一般的な英語の水準を考慮すれば,取引者,需要者の間に広く理解されていると考えられる。
また,商標の審査基準上,数字は原則として,「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章」に該当するとされており,識別力に乏しいとされている。
そうすると,本件商標の構成中の「ワン」の文字は,数字「1」から生ずる音(読み方)であるから,識別力に乏しく,また,「ONE」の文字も,上述のとおりの,数字の「1」を意味する英語として広く親しまれており,かかる1桁の数字を表す語は,商品の品質や等級等を表示する記号,符号として,各種商品に普通に使用されているものであるから,自他商品識別標識としての機能を果たし得ないか又は極めて弱いと考えられる。
エ 取引の実情
「歯ブラシ」及び「歯間ブラシ」等の商品分野においては,数字が品番や品質(サイズ)を表す記号として,あるいは,内容量を表すものとして普通に使用されており,商品やパッケージ上に数字が普通に表示されており,また,オーラルケア製品の広告に,「No.1」(ナンバーワン)表示が普通に使用されているという取引の実情に鑑みれば,本件商標の後半部の「ワン/ONE」の語は,オーラルケア製品である本件商標の指定商品「歯茎マッサージ具」との関係では,自他商品識別機能を発揮しない部分,あるいは極めて弱い付記的な部分と捉えるべきであり,当該部分からは出所識別標識としての称呼や観念が生じない,あるいは生じるとしても極めて弱いものである。
オ 小括
以上から,本件商標は,「ガム/GUM」部分が,取引者,需要者に対し,使用権者サンスターのオーラルケア製品の周知著名な出所識別標識「G・U・M」及び「ガム」を連想させる語として強く支配的な印象を与えるとともに,それ以外の「ワン/ONE」部分からは出所識別標識としての称呼,観念が生じない(あるいは生じるとしても極めて弱い)から,本件商標の構成部分の一部「ガム/GUM」を要部として抽出し,この部分だけを引用商標と比較して商標の類否判断を行うことができる。
(2)引用商標について
引用商標1?6及び8は,欧文字「G・U・M」からなる,あるいはこれを含む商標であり,引用商標7は片仮名「ガム」からなる。
使用権者サンスターが使用する引用商標1?6及び8に係る「G・U・M」は,1989年から現在までに,マイナーチェンジされ,書体が若干変更されたものの,欧文字と中黒からなる「G・U・M」という基本形は変わっていない。また,製品パッケージ上にカラーで表示される場合には,引用商標2?5に表れるように,左縦線が曲線の緑地の略長方形の枠の中に,「G・U・M」を白字で書す態様にて使用されている。
使用権者サンスターの長期間の使用により,引用商標1?6及び8に係る「G・U・M」から「ガム」の称呼が生じることは,需要者間で広く認識されており,かかる称呼に基づいて,引用商標は,周知著名になっている。
(3)本件商標と引用商標の類否
本件商標の要部「ガム/GUM」と引用商標は,「ガム」の称呼を共通にする。また,本件商標の要部「ガム/GUM」と引用商標との外観は,「GUM」の欧文字,又は「ガム」の片仮名を共通にするから類似する。さらに,当該文字からは,使用権者サンスターの製造販売するオーラルケア製品を表示するものとして周知著名な引用商標「G・U・M」及び「ガム」が容易に想起されるため,両者は,観念においても共通する。
よって,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念を共通にする類似の商標である。
(4)指定商品の類否について
本件商標の指定商品である第21類「歯茎マッサージ具」は,引用商標1?7の指定商品である第21類「歯ブラシ,歯間ブラシ」及び引用商標8の指定商品である第3類「洗口液,歯磨き」とは,いずれも歯や歯茎といった口内のケアを行う道具であり,歯周病予防等を目的としていることから,用途,効果(目的)及び需要者が一致する。
さらに,歯茎マッサージ具を製造販売するメーカーは,他のオーラルケア製品(歯磨き,洗口液,歯ブラシ,歯間清掃具等)も製造販売している例が多いことから,両者は製造販売者も共通する。
加えて,ドラッグストアやスーパー等においては,歯磨き,歯ブラシ,歯間ブラシ等のオーラルケア製品は,同一の棚にて販売されることが一般的であるから,これらの商品は,販売場所のみならず陳列スペースも共通にする。
以上から,本件商標の指定商品「歯茎マッサージ具」は,引用商標1?7の指定商品「歯ブラシ,歯間ブラシ」及び引用商標8の指定商品「洗口液,歯磨き」と類似する。
(5)小括
以上から,本件商標は,その登録出願日前の商標登録出願に係る申立人の登録商標であり,使用権者サンスターが使用する引用商標に類似する商標であって,引用商標の指定商品と類似する第21類「歯茎マッサージ具」について使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標が引用商標に類似すること
上記3のとおり,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念上,相紛らわしい類似の商標であり,両者の類似性の程度は極めて高い。また,引用商標の周知著名性に関しては,上記2で述べたとおりである。
さらに,使用権者サンスターは,「G・U・M」ブランドのシリーズとして,1997年の「ガムケア」(甲5の7),2006年の「ガムアドバンス」(甲5の15),2011年の「ガムアドバンスケア」(甲5の21)等,「G・U・M/ガム」に他の語を結合した商標を使用してきた。このような実情に鑑みれば,同様に「GUM/ガム」の後ろに他の語,特に識別力の弱い語を結合してなる本件商標は,あたかも使用権者サンスターに係る新しい「G・U・M」ブランドのシリーズ名であるかのごとく,需要者等が誤認を生ずるおそれが高い。
(2)商品の関連性について
本件商標の指定商品である第21類「歯茎マッサージ具」と,引用商標が周知著名となっている各種オーラルケア製品,具体的には,第3類「歯磨き」(引用商標2?5及び8)や,第21類「歯ブラシ,歯間ブラシ」(引用商標1?7)とは,歯や歯茎といった口内をケアし,歯周病を予防するという目的及び用途が共通するほか,需要者,販売場所,製造販売者等も共通することから,両者の関連性は極めて高い。
(3)その他
本件商標や引用商標が使用されるオーラルケア製品は,日常的に消費される比較的安価な価格帯のものであり,出所識別標識に対する需要者の注意力は高いとはいえないという事情がある。
(4)小括
以上の事情を総合的に判断すると,本件商標がその指定商品である第21類「歯茎マッサージ具」に使用された場合,需要者等は,本件商標の構成中,強く支配的な印象を与える「ガム/GUM」の文字に着目して,当該商品が使用権者サンスターの製造販売するオーラルケア製品である,あるいは申立人らと緊密な営業上の関係,又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると,誤信されるおそれがあるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 「G・U・m」(ガム)の周知著名性について
申立人が提出した証拠及び同人の主張によれば,引用商標に係る「G・U・m」のロゴ及び文字,並びに,それらの読みを表した「ガム」の各標章は,多少のデザイン変遷があるものの,1989年の使用開始以来,使用権者サンスターにより,商品「歯磨き」を含むオーラルケア製品に使用され,新聞,雑誌やテレビなどのマスコミにおいて多岐広範囲にわたる宣伝広告が継続的に行われ,その結果,当該オーラルケア製品は,1989年の発売以来,売上げを伸ばし続け,本件商標の登録出願前5年間だけを見ても,その売上額は毎年200億円を優に超えており,その市場占有率も,洗口液が国内1位,歯ブラシが国内2位など,上位を維持しており,その状況が雑誌や新聞において記事紹介されていることなど(甲3?14,17?26)を総合して考察するならば,使用権者サンスターの業務に係る商品を表示する商標として,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,商品「歯磨き」を含むオーラルケア製品の取引者,需要者の間において周知著名になっていたと認めることができる。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
ア 本件商標は,別掲1のとおり,「ガムワン」の片仮名と「GUM ONE」の欧文字とを上下二段に横書きしてなるところ,その片仮名部分及び欧文字部分は,各文字列の横幅をほぼ同じくし,前後をそろえて,それぞれ同書,同大でまとまりよく一体的に表されているものであるから,視覚的に「GUM」及び「ガム」の文字部分だけが特に目立つ態様であるとはいえない。
また,本件商標の構成各文字から生じる「ガムワン」の称呼も無理なく称呼し得るものである。
そして,「ONE」(ワン)の語に,代名詞(数詞)として「1つ,1人,1個」等の意味が,名詞として「1,1の数字,1つのもの」等の意味があるとしても(甲27),本件商標の上記構成態様に照らせば,取引者,需要者が,その構成中の「ONE」及び「ワン」の文字部分を単なる商品の記号,符号として理解,認識するものとは考え難く,むしろ,「GUM」(ガム)の語も「チューイングガム」の略語(広辞苑第6版)として広く知られていることを踏まえれば,取引者,需要者は,本件商標の片仮名部分及び欧文字部分をそれぞれ一体の造語を表したものと理解,認識するとみるのが自然であり,全体として特定の観念を生じないものといえる。
イ この点に関し,申立人は,本件商標の構成中の「GUM」及び「ガム」の文字部分が引用商標に係る「G・U・m」及び「ガム」を連想させる語として強く支配的な印象を与えるとともに,「ONE」及び「ワン」の文字部分が出所識別標識としての称呼,観念が生じない(あるいは生じるとしても極めて弱い)ことから,「GUM」及び「ガム」の文字部分が要部として抽出される旨主張する。
しかしながら,前記2(1)に記載のとおり,本件商標は,まとまりよく一体的に表されているものであって,視覚的に「GUM」及び「ガム」の文字部分が着目されるものではなく,また,申立人の業務に係るオーラルケア製品について使用され,取引者,需要者の間で広く知られている標章は,「G・U・m」のロゴ及び文字,並びに,それらの読みを表した「ガム」の文字であって,本件商標の構成中,既成の語と理解される「GUM」及びその読みを表した「ガム」の文字とは異なるというべきであるから,本件商標に接する者に,申立人の「G・U・m」のロゴ及び文字,並びに,それらの読みを表した「ガム」の文字を想起させるものということができない。
そして,本件商標に係る構成において,前半の「ガム」の片仮名及び「GUM」の欧文字部分のみに着目すべき事情,あるいは,後半の「ワン」の片仮名及び「ONE」の欧文字部分を捨象すべき特段の事情は見受けられないから,本件商標は,「ガムワン」の片仮名及び「GUM ONE」の欧文字がそれぞれ一体不可分のものとして認識,把握されるとみるのが相当であり,申立人の主張は採用できない。
ウ したがって,本件商標は,「ガムワン」の一連の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は,別掲2?7及び上記第2の7に示したとおりの構成からなるところ,上記1のとおり,引用商標に係る「G・U・m」及び「ガム」の各標章は,使用権者サンスターの業務に係る商品を表示する商標として周知著名であると認められるから,その構成文字部分に相応して「ガム」の称呼を生じ,「使用権者サンスターの業務に係るオーラルケア製品のブランド」の観念を生じるものと認められる。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを対比するに,本件商標に係る「GUM ONE」の欧文字ないし「ガムワン」の片仮名と引用商標に係る「G・U・m」の欧文字ないし「ガム」の片仮名とは,それぞれ,同じ文字種の間で比較した場合であっても,「ONE」ないし「ワン」の文字の有無という明白な差異を有するから,外観において相違する。
次に,本件商標から生じる「ガムワン」の称呼と引用商標から生じる「ガム」の称呼とは,語尾の「ワン」の音の有無という顕著な差異を有するから,称呼において相違する。
さらに,本件商標からは特定の観念が生じないのに対し,引用商標からは「使用権者サンスターの業務に係るオーラルケア製品のブランド」の観念が生じるから,観念において相違する。
その他,本件商標と引用商標とが類似するというべき事情も見いだせない。
そうすると,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(4)小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であるから,その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1のとおり,引用商標に係る「G・U・m」及び「ガム」の周知性を考慮したとしても,上記2のとおり,本件商標は,引用商標とは,非類似の商標であって別異のものというべきであるから,本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても,これに接する取引者,需要者が,引用商標ないしは申立人らを連想,想起するようなことはないというべきである。
そうすると,本件商標は,申立人らと経済的,組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標1)


別掲3(引用商標2)(色彩については原本参照)


別掲4(引用商標3)(色彩については原本参照)


別掲5(引用商標4)(色彩については原本参照)


別掲6(引用商標5)(色彩については原本参照)


別掲7(引用商標6及び8)





異議決定日 2017-09-28 
出願番号 商願2016-74254(T2016-74254) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W21)
T 1 651・ 261- Y (W21)
T 1 651・ 262- Y (W21)
T 1 651・ 271- Y (W21)
最終処分 維持 
前審関与審査官 高橋 謙司 
特許庁審判長 田中 亨子
特許庁審判官 平澤 芳行
田村 正明
登録日 2016-12-16 
登録番号 商標登録第5905593号(T5905593) 
権利者 株式会社大木工藝
商標の称呼 ガムワン 
代理人 富所 英子 
代理人 磯田 直也 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 
代理人 中田 和博 
代理人 牧野 利秋 
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