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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W1825
管理番号 1333440 
異議申立番号 異議2014-900279 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-09-29 
確定日 2017-10-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5681438号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5681438号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5681438号商標(以下「本件商標」という。)は,「FLORA D. 1761 BY FLORA DANICA」の欧文字を標準文字で表してなり,平成26年1月23日に登録出願され,第18類「かばん類,袋物,トランク,旅行かばん,ハンドバッグ,買物袋,雑のう,札入れ,財布,ブリーフケース,バックパック,スーツケース,アタッシェケース,携帯用化粧道具入れ,革製又はレザーボード製の容器,傘,日傘,傘カバー,愛玩動物用被服,動物用首輪,革製旅行用具入れ」及び第25類「被服,バスローブ,エプロン,ベルト,手袋,スカーフ,帽子,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同年5月29日に登録査定,同年6月27日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第76号証(枝番を含む。)を提出している。
1 商標法第4条第1項第7号の該当性について
申立人の業務に係る商品「陶磁器及び陶磁器製美術品」の出所表示である周知著名商標「FLORA DANICA」(以下「引用商標」という。)を,その構成中に「BY」を伴って強調した態様で含む本件商標を,申立人とは何らの関係も有しない本件商標権者が使用することは,本来自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を,申立人の広く知られている商標の著名性にただ乗り(フリーライド)することにより得ようとすることにほかならず,引用商標に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがあることから,本件商標は不正の目的をもって使用し引用商標が持つ顧客吸引力等にただ乗りしようとする意図が推認でき,その結果,このような行為は,社会公共の利益に反し,商取引の秩序を乱し,ひいては,国際信義に反するものであるから,公序良俗を害する。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。
2 商標法第4条第1項第10号の該当性について
引用商標は,申立人の業務に係る商品を示す表示として広く親しまれており,かつ,本件商標は引用商標と要部を共通にし,互いに類似するものである。
また,本件商標の指定商品中,被服類,布製身の回り品,かばん類等と引用商標の使用する商品(被服類,かばん類等)とは同一又は類似の商品である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号の該当性について
引用商標は,1790年のロシア帝国への献上品として,陶磁器類の製作を開始して以来,芸術性の高い「植物画」を特徴とする陶磁器類について使用され,その後,陶磁器に留まらず,いわゆる「ライフスタイル」に関する様々な商品,例えば,「ハンカチ」,「スカーフ」,「カバン,財布,巾着袋」,「傘」,「カフスボタン」,「香水」等多岐に渡る商品を展開している。引用商標は,陶磁器等について我が国において使用され,その結果,遅くとも本件商標の出願時には,取引者,需要者の間において,「植物画」を特徴とする高級陶磁器等の申立人の業務に係る商品の名称として,広く認識されていたものである。
他方,本件商標の要部「FLORA DANICA」は,引用商標と共通する構成態様である。
そして,本件商標の指定商品は,申立人が実際に取り扱っている商品(被服,かばん類,傘,布製身の回り品等)を指定商品として含むものであり,その余の指定商品も,引用商標の使用する商品,及び,引用商標シリーズの特徴(植物画)を付すことと密接に関連のある商品である。
そうすると,本件商標を商標権がその指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者をして,周知,著名な引用商標を連想,想起させ,本件商標が付された商品が引用商標の一種ないし兄弟ブランド,ファミリーブランドであるなどと誤解し,あたかも申立人又は同人と組織的・経済的に何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 商標法第4条第1項第19号の該当性について
(1)外国における周知・著名性
引用商標を付した陶磁器等は,日本において周知であり,また,申立人及び商標権者の所在するデンマーク国をはじめとして世界各国においても周知性を獲得している。
申立人は,引用商標の周知・著名性を維持するべく,高い品質管理を行うとともに,継続して新たな取り組みを行っている等引用商標の高い評価を維持するための努力を継続的に行っている。そして,申立人の品質保持及び営業努力の結果,世界各地において,引用商標は広く知られるに至っている。
例えば,アメリカ合衆国では,引用商標が申立人の業務に係る商品シリーズの名称などとして紹介されている。
ドイツでは,引用商標に係る製品の展覧会が1990年に開催され,また,引用商標に係る2004年の記念イヤープレートの注文販売が行われた。
北欧地域では,雑誌において申立人に関する特集記事が組まれ引用商標に係る製品が紹介されている。
イギリスでは,2007年ロンドンにおいて,引用商標に係る製品シリーズの陶磁器類及び美術品展示販売会が開催され,その高い評判はデンマークにおいても話題となった。また,2013年発行のライフスタイル雑誌において,申立人の歴史とともに引用商標に係る製品が特集されている。
デンマークでは,引用商標は,王室コレクションの高級陶磁器類のシリーズ名として広く知られており,近年においても,2014年発行の雑誌において引用商標に係る製品と申立人が特集されている。
これらの事実からして,引用商標が,デンマークをはじめとする世界各国の取引者,需要者の間において陶磁器の高級ブランドとして周知・著名な商標と認識されていること,申立人が多岐にわたる商品を取り扱っていることは明らかである。
しかして,引用商標は,我が国において陶磁器について使用された結果,遅くとも本件商標の出願時には,取引者・需要者の聞に周知・著名な商標と認識されていたものであり,その周知,著名性は現在においても維持されているものである。
(2)不正の意図
本件商標に係る指定商品と,申立人の使用に係る商品の主たる需要者層は,共に,「被服,かばん類」等を求める需要者層であることから,需要者は競業し,かつ,その市場は共通するものである。そして,本件商標は,引用商標を,「BY」を付して強調しその構成に含む。
申立人の引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に,極めて広く認識されており,そして,本件商標は,引用商標と類似しており,そして,不正の目的をもって使用をするものである。
したがって,本件商標登録は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
5 まとめ
本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから,取り消されるべきである。

第3 本件商標の取消理由
1 審判長は,平成27年7月29日付けで商標権者に対し,理由を示して本件商標を取り消すべき旨の通知をした。その理由は,次のとおりである。
2 申立人が使用する商標の周知性
申立人の提出に係る甲各号証及びその主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)申立人は,1775年にデンマークで開窯し,デンマーク王室御用達窯,王立デンマーク磁器製陶所として運営され,その後,1860年代から民間企業となり,現在は,世界各地位陶磁器を販売するデンマークの法人であること。
(2)1761年から1883年にかけて作成された,デンマークに自生する植物を原寸大で描き写した植物図譜集「FLORA DANICA(フローラ・ダニカ)」から選んだ,1290種の図様の晩餐用食器を,デンマーク国王が,申立人の前身である王立磁器製作所に,1790年から1802年にかけてつくらせたことにちなみ,上記植物図譜集の題名より「FLORA DANICA」と命名され,この時の制作された磁器で現存するものは国宝とされていること(甲16,甲25,甲35)。
(3)「FLORA DANICA」と命名された磁器は,1802年に王命によって製作作業は中止されたが,その後,1863年にデンマーク王女とイギリス国王7世の成婚のお祝いとして制作が開始されたこと(甲4,甲25及び甲35)。
(4)申立人により「ROYAL COPENHAGEN FRORA DANICA Personal Order Service(ロイヤルコペンハーゲン フローラダニカ オーダー会)」なる特別注文会が2013年には,高島屋日本橋店,日本橋三越店,阪急うめだ本店及びロイヤルコペンハーゲン大坂において,2014年には,ロイヤルコペンハーゲン丸の内本店で開催されたこと(甲12及び甲13)。
(5)我が国の雑誌,書籍である「SOPHIA」(1986年12月号),「CLASSY」(1987年11月号),「LightUp」(1990年10月号),「ミセス」(2001年6月号)及び「世界のブランド大全集 2000年版」には,「FLORA DANICA」及び「フローラ・ダニカ」の文字とともに,上記(2)及び(3)と同様にその歴史を含め内容が掲載されていること(甲16ないし甲20)。
(6)平成16年には宮内庁及び滋賀県立陶芸の森陶芸館において,平成17年には大阪市立東洋陶磁美術館及び岡山市立オリエント美術館において「デンマーク王室の陶磁コレクション-ロイヤル・コペンハーゲン」と題した展覧会が開催され,「Flora Danica」及び「フローラ・ダニカ」の文字とともに植物図様が描かれた陶磁器が展示されたこと(甲21,甲22,甲24及び甲25)。
(7)「フローラ ダニカ」の広告は,株式会社講談社より2004年に講談社広告賞の優秀賞を受賞したこと(甲26)。
(8)小括
上記によれば,「FLORA DANICA」,「Flora Danica」及び「フローラ・ダニカ」(一部の表示は「・」(中点)がスペースに表されたもの又は省略されたものを含む。以下,同じ。)(以下,これらをまとめて「申立人使用商標」という。)は,1761年に刊行が始められたデンマークに生息する植物図譜集を原画とした陶磁器として,王室の命により王立のロイヤルコペンハーゲン磁器製作所で1790年から製作され現在に至るまで,世界各国において広く使用され,本件商標の登録出願の時及び登録査定時には既に,我が国においても,申立人の業務に係る商品「陶磁器」の商標として取引者,需要者の間において広く認識されていたものと認められる。
3 申立人の業務に係る商品
申立人の業務に係る商品は「陶磁器」にとどまらず,生活に関連する商品,例えば,ハンカチ,スカーフ,カバン類,巾着袋,エプロン,財布,カフスボタン,香水等の幅広い分野の商品も取り扱っている(甲27ないし甲34,甲40ないし甲52)。
4 本件商標と申立人使用商標の比較
(1)外観について
本件商標は,上記1のとおり「FLORA D. 1761 BY FLORA DANICA」の欧文字を標準文字で表してなるところ,全体として29文字(空白を含む)と,やや冗長な構成であることに加え,構成中の前置詞「BY」に続く「FLORA DANICA」の文字部分が,上記2のとおり,申立人の業務に係る「陶磁器」の商標として,取引者,需要者の間に広く認識されていることから,この部分が,本件商標の構成中,最も強く取引者,需要者の注意を引き,記憶に残る部分といえる。
他方,申立人使用商標は「FLORA DANICA」,「Flora Danica」の欧文字及び「フローラ・ダニカ」の片仮名よりなるものであるところ,本件商標と申立人使用商標とは,全体の外観は異なるものであるが,上記のとおり,本件商標の構成中,最も強く取引者,需要者の注意を引き,記憶に残る「FLORA DANICA」の文字部分において,申立人使用商標のうち欧文字の表記からなる商標と,その綴りが同一であることから,時と所を異にして両商標に接した場合には,申立人使用商標が「FLORA DANICA」の文字をもって広く認識されているため,取引者,需要者は,両商標について,外観上,近似した印象,記憶,連想を生じさせるというべきである。
(2)称呼について
本件商標は,上記1のとおりの構成よりなるところ,上記(1)のとおり,その構成中「FLORA DANICA」の文字部分が,申立人の業務に係る商品「陶磁器」の商標として,需要者の間に広く認識されていることから,当該文字部分が,本件商標構成中,取引者,需要者の注意を引き,記憶に残る,最も強く支配的な部分であると認められ,これより生ずる称呼をもって取引にあたる場合も少なくないものと判断するのが相当である。
これより,本件商標は,その構成文字全体に相応して「フローラデイイチシチロクイチバイフローラダニカ」又は「フローラデイセンナナヒャクロクジューイチバイフローラダニカ」の称呼が生ずるほか,「FLORA DANICA」の文字部分より「フローラダニカ」の称呼をも生ずるものである。
他方,申立人使用商標は,その構成文字に相応して「フローラダニカ」の称呼を生じるものである。
そうすると,本件商標と申立人使用商標とは,「フローラダニカ」の称呼を共通にするものである。
(3)観念について
本件商標と申立人使用商標とは,これが,その構成全体をもって特定の観念を有する一連一体の既成の語として,我が国において一般に知られているものではないことから,両商標は,共に特定の観念は生じさせないものである。
したがって,本件商標と申立人使用商標とは,観念について比較することはできない。
(4)類否の判断
上記より,本件商標と申立人使用商標とは,観念については比較することができないものの,称呼を共通にし,外観においても類似する商標といわざるを得ない。
5 商標法第4条第1項第15号の該当性
申立人使用商標は,上記2(8)のとおり,本件商標の登録出願時には,申立人の業務に係る商品「陶磁器」の商標として取引者,需要者の間において広く認識されていたものと認められ,本件商標と申立人使用商標とは,上記4(4)のとおり類似の商標である。
さらに,申立人の業務に係る商品「陶磁器」と,本件商標の指定商品とは,共に生活に関連する商品であり,需要者が商品を選択する際には,その柄や形に需要者の趣味,嗜好が大きく関係する点においても共通するものといえ,かつ,申立人は,上記3のとおり,本件商標の指定商品に含まれる商品を取り扱っている事実も存在する。
そうすると,本件商標権者が,本件商標をその指定商品について使用した場合,これに接する取引者,需要者は,その商品が,申立人又はこれらと経済的,組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く,その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
6 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものと認められる。

第4 商標権者の意見
審判長は,上記第3の取消理由に対して,期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが,商標権者は,何ら意見を述べていない。

第5 当審の判断
本件商標についてした上記第3の取消理由は,妥当なものと認められるものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから,他の申立の理由について判断するまでもなく,同法第43条の3第2項により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2016-02-18 
出願番号 商願2014-4557(T2014-4557) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (W1825)
最終処分 取消 
前審関与審査官 浦崎 直之 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田中 幸一
前山 るり子
登録日 2014-06-27 
登録番号 商標登録第5681438号(T5681438) 
権利者 マドセン アンド ニゴール ホールディング エーピーエス
商標の称呼 フローラデイイチシチロクイチバイフローラダニカ、フローラデイセンナナヒャクロクジューイチバイフローラダニカ、フローラデイイチシチロクイチ、フローラデイセンナナヒャクロクジューイチ、フローラデイ、バイフローラダニカ、フローラダニカ、フローラ、ダニカ 
代理人 杉村 憲司 
代理人 村松 由布子 
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