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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W18 審判 一部申立て 登録を維持 W18 審判 一部申立て 登録を維持 W18 審判 一部申立て 登録を維持 W18 |
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管理番号 | 1333430 |
異議申立番号 | 異議2017-900217 |
総通号数 | 215 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-11-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-06-30 |
確定日 | 2017-10-04 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5936778号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5936778号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5936778号商標(以下「本件商標」という。)は,「スマイルママポケット」の片仮名を標準文字で表してなり,平成28年10月14日に登録出願,同29年2月20日に登録査定,第18類「かばん金具,がま口口金,蹄鉄,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,皮革」を指定商品として,同年3月31日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 商標異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4595276号商標(以下「引用商標」という。)は,「ママポケット」の片仮名を標準文字で表してなり,平成13年11月29日に登録出願,第18類「かばん類,袋物」を指定商品として,同14年8月16日に設定登録されたものであり,当該商標権は,現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,その指定商品中,第18類「かばん類,袋物」についての登録は,同法第43条の2第1号により,取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標の語頭の「スマイル」の文字部分は,英語の「smile」の発音を片仮名で表示したものであり,「人・顔・目などが」微笑する・微笑む・にっこりする,また,「人が」微笑む,「人を」微笑ませるなどを意味する語である。 そして,例えば,日本マクドナルドは,メニュー表に表示している「スマイル0円」の「スマイル」の部分は顧客に対して商品,役務の信頼感,安心感を印象付ける意味合いで使っている(甲3)。 現に,「スマイル」の語又は「スマイル」の語と他の語との結合商標の登録件数は,730件(現時点)にも昇り,その大部分を結合商標が占めていることからも,「スマイル」の語は,商品,役務に良いイメージをアピールする語として頻繁に採択されているといい得る。 一方,「ママポケット」の文字部分は,「ママ」はお母さんを意味し,「ポケット」は服に付いているポケットを意味する語であるから,「ママのポケット」,「ママの服のポケット」ほどの意味合いを生じる。 この「ママポケット」の部分は,幼児が使用する語であって,非常に可愛らしい印象的なフレーズであり,また,独創性がある。 してみれば,本件商標は,「スマイル」の部分よりも,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「ママポケット」の部分が,要部として認められる。 したがって,本件商標からは,強く支配的な印象を与える「ママポケット」の部分に相応して「ママポケット」の称呼を生じるものである。 (2)引用商標は,片仮名の「ママポケット」を標準文字で表記してなるものであり,これより「ママポケット」の称呼が生じるものである。 この「ママポケット」においても,本件商標の「ママポケット」の部分と同様な意味合いが生じる。 (3)前記のとおり,本件商標は,引用商標と同じ称呼を生じ,本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一の「かばん類,袋物」を含んでいる。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 2 商標法第4条第1項第15号について (1)申立人は,ランドセルを中心にその他の一般かばんなどの卸・小売りを業としており,2000年4月から2017年現在に至るまで,現ユニー・ファミリーマートホールディングス株式会社の総合小売事業のユニー株式会社(以下「ユニー」という。)に,ユニーのオリジナルランドセルを納品している。 ア 申立人は,引用商標を記した帯又はシールをランドセルの蓋に取り付け,引用商標を印刷した個包装用の化粧箱に収容した状態で出荷しており(甲4),ユニーは,当該ランドセルを購入者へそのまま渡している。 イ 申立人がユニーへ納品したランドセルの数は,2007年4月から2017年3月までの10年間で,104,312個である(甲5)。納品票(甲5)に記載されている最左列のランドセルの品番は,ユニーの「ママポケットランドセルの歴史」(甲6)に記載されているランドセルの品番(品番はランドセルの図柄の中に白抜き文字で表されている。)に対応している。ただし,末尾の英字については,申立人の内部で使用している記号であり,「R」はRANDOSELを,「M」はディズニーのミニーマウスデザインのランドセルを,「G」は女の子用ランドセルを,「B」は男の子用ランドセルを,「S」はユニーから指示されているランドセルを示す。 ユニーへの納品開始当時である2000年の新一年生の人口は,120万人(現在100万人ほど)と現在よりも多かったので,それ相当の納品数であったと考えられる。 ウ ユニーは,2000年より現在まで,毎年,申立人より入荷したランドセルを,東海地域を中心に,系列の小売店舗,名称「アピタ・ピアゴ」にて販売しており,2017年からは,アピタ・ピアゴの100店舗にて発売予定である(甲7)。 エ カタログは,2000年度から2017年度まで,毎年,ランドセルのデザインに合わせて新しいものが発行されている。 カタログの表紙に記されている年度は,年長園児らが新一年生になる年度が印刷され,又は,「ママの声を聴いて16年目」等と記載されている(甲8の1?13)。前記の全てのカタログに,引用商標が使用されている。 カタログの発行部数は,2009年ないし2017年現在の9年間で845,600部である(甲11)。2000年ないし2008年の9年間の発行部数はデータ不明であるが,その当時もテレビ,日刊紙及び雑誌など大々的な広告活動がされていたことを鑑みると,前記期間の発行部数と大きく変わるものではない。 そうすると,これまでの18年間のカタログの発行部数は,それ相当数になっていると考えられる。 また,ランドセルは,その主たる需要者が,新一年生になる年長園児,その家族関係者というように限定されたニッチな商品である。 してみれば,カタログは,一定期間,かつ,限られた需要者に配布されるものなので,その発行部数は,それ相当の部数といい得る。 さらに,ランドセルのカタログは,ランドセルを購入する予定の年長園児,その家族関係者らが,多種多様なランドセルを選択するための情報を知るに必要なものなので,商品の名称(商標)については,記憶に留められることになる。 つまり,引用商標は,この10年間だけでも,カタログの発行部数に近い人が知り得たといい得る。 オ テレビ広告は,2001年から2016年までの16年間,毎年,スポット広告(甲9の1?9)され,2017年も8月10日ないし16日の7日間,スポット広告(甲9の10)される。 スポット広告は,GRPの数値(甲11)からも,それ相当の視聴率であるから,それ相当数のランドセルの需要者・取引者のみならず,関係者以外の者が,このCMを視聴することになる。 とりわけ,東海地方においては,引用商標のランドセルが発売された翌年の2001年から現在まで,継続してテレビ広告されているので,ランドセルの需要者,取引者はもちろんのこと,住人の大部分が,引用商標を知り得ることになる。 このように,ランドセル業界において,いわゆるファミリーネーム(商標)が17年間もの長期に亘って継続して広告されたのは,唯一,引用商標だけである。 また,テレビ広告に,総額2億1千万円をかけるというのは,極めて稀な現象といい得る。 (ア)放映年度が,「2008年度」ないし「2013年度」(甲9の1?6)及び「2017年度」(甲9の10)には,商品「ランドセル」について,引用商標が使用され,「APITA,ピアゴ」の文字が表れている。 (イ)放映年度が,「2014年度」ないし「2016年度」(甲9の7?9)には,商品「ランドセル」について,引用商標が使用され,「ユニー株式会社」並びに「APITA,ピアゴ」の文字が表れている。 カ 新聞広告について,引用商標が表示された商品「ランドセル」は,2005年ないし2009年及び2012年ないし2015年の計9年間に,中日新聞において広告されている(甲10の1?4)。 前記の広告は,1/3紙面の大きさであり,かつ,色つき印刷になっているので,ランドセルに引用商標が使用されているのは一目瞭然であり,非常に目立つものになっている。 中日新聞は,東海地方を中心に発行されている日刊紙であるが,その発行部数は,いわゆる五大紙といわれている全国紙の産経新聞の発行部数を上回っている。つまり,東海地方においては,この広告記事を見ている需要者,取引者の確率が極めて高いものといい得る。 キ 雑誌広告について,小学館発行の「小学一年生」において,2003年ないし2009年まで継続的に広告を行っている。当該広告は,広告対象の商品とその商標を,同時掲載するのが基本なので,この雑誌広告においても,テレビ広告のように当該年度に発売されるランドセルと引用商標を同時に掲載したと解するのが相当である。 ク ホームページ広告(2017年度版)について,引用商標は,ランドセルに使用されている。当該広告は,2011年から現在に至るまで,継続して行われている。 この7年間のサイト訪問者の数(甲7)は,累計1,211,768人になっている。また,引用商標のランドセルのweb広告のサイト訪問者の数は,13,829,444人になっている。この数は,同じユーザーがこの広告に何度訪問しても1回しかカウントされないので,訪問者の数は,それなりに高いと考えられる(甲11)。 ケ 前記のテレビCMや新聞広告の時期は,近年,園児らの春休み及び夏休みの期間中に集中しているが,これは,前記のとおり,ユニーのみならず,百貨店をはじめ大手の小売業が,年長園児らの春休み,夏休みに,ランドセルの予約販売を開始するのに先がけて,引用商標のランドセル(ユニーのオリジナルランドセル)を需要者に宣伝するためである。 (2)まとめ 以上のとおり,申立人及びこのランドセルの納品先であるユニーは,引用商標を,ランドセルについて,この18年間,東海地方を中心に使用し続けてきた。 そして,引用商標は,ランドセルのカタログを初め,あらゆる広告手段をもって積極的に,かつ,継続的に使用してきた結果,ランドセルの需要者,取引者に限らず,テレビ広告及び新聞広告の視聴者及び購読者の多くの人にも親しみのある商標として深く浸透したと考えられる。 このように,ランドセル業界において,一つの商標を18年間もの長い間,継続使用された商標は皆無であり,また,引用商標だけである。 そうした背景において,ランドセルの需要者,取引者は,引用商標がユニーのランドセルに使用されていることは,十分,周知しているものと確信する。 特に,東海地方のランドセルの取引者においては,このことを知らないものはいないといっても過言ではない。 (3)本件商標権者は,本社を愛知県名古屋市に構え,一般かばんの他にランドセルの卸を業としている。 当然ながら,本件商標権者は,ユニーが引用商標をランドセルに使用していることは,十分,知り得ているのはいうまでもない。 本件商標については,現在,使用の事実は把握されていないが,本件商標権者又は取引者が,本件商標を商品「ランドセル」に使用するとなると,引用商標と称呼が相類似するので,商品の出所について混同を生ずるおそれがあるといい得る。 (4)結び 本件商標と引用商標とは,「ママポケット」の称呼を共通にする類似の商標であり,その指定商品の「かばん類,袋物」も同一又は類似のものである。 そして,本件商標がその指定商品中の「ランドセル」に使用された場合,その商品の需要者が,申立人の取引者であるユニーの業務に係る商品と出所について混同するおそれがある。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は,前記第1のとおり,「スマイルママポケット」の片仮名を標準文字で表してなるところ,その構成中の「スマイル」の片仮名は「smile」の英語から「微笑,ほほえみ,笑顔」等の意味を,「ママ」の片仮名は「おかあさん」の意味を,「ポケット」の片仮名は「pocket」の英語から「洋服につけた小さな物入れの袋。」等の意味をそれぞれ理解させるといえるものの,本件商標は,同書,同大でまとまりよく表されており,かかる構成において,殊更,後半に表された「ママポケット」の文字部分のみが独立して着目されるものとすべき特段の事情は見受けられないから,直ちに特定の意味合いを認識させることのない一種の造語とみるのが自然であり,特定の観念を生じないものというのが相当である。 なお,請求人は,「スマイル」の語が,商品,役務に良いイメージをアピールする語として頻繁に採択されていることから,本件商標は独創性の高い「ママポケット」の部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部である旨主張する。 しかしながら,「スマイル」の語が,商品,役務に良いイメージをアピールする語として採択される場合があるとしても,本件商標の指定商品との関係において,多数使用され,出所識別標識としての称呼,観念が生じないということはできないから,申立人の当該主張は,採用することができない。 そうすると,本件商標は,その構成文字に相応して,「スマイルママポケット」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものというのが相当である。 (2)引用商標 引用商標は,前記第2のとおり,「ママポケット」の片仮名を標準文字で表してなり,これからは,「ママポケット」の称呼を生じ,当該片仮名は,特定の意味合いを有しない造語と認められ,特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類否について ア 外観について 本件商標は,「スマイルママポケット」の片仮名を表してなるのに対し,引用商標は,「ママポケット」の片仮名を表してなるものであるから,「スマイル」の文字の有無において明確な差異を有し,外観において互いに紛れるおそれはない。 イ 称呼について 本件商標から生じる「スマイルママポケット」の称呼と,引用商標から生じる「ママポケット」の称呼とは,称呼の識別において重要な語頭における「スマイル」の音の有無の差異により,十分区別することができ,称呼上,相紛れるおそれはない。 ウ 観念について 本件商標と引用商標は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念において相紛れるおそれはない。 (4)小括 以上のとおり,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても互いに紛れるおそれのない,非類似の商標というべきである。 したがって,本件商標の指定商品中,第18類「かばん類,袋物」が引用商標の指定商品と同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 引用商標の周知性について (1)申立人が提出した証拠及びその主張によれば,以下のとおりである。 ア 甲第4号証は,申立人がユニーへ出荷した商品「ランドセル」の状態を示す写真であり,「ママポケット」と表示された紙タグが付され(1葉目),当該商品について「グランドプレステージ ママポケット」の記載がある。 イ 甲第5号証は,申立人からユニーへ納品した「ランドセル」の納品表であり,2007年4月から2017年3月までの10年間の納品数量は,合計113,798個である。 ウ 甲第6号証は,ユニーの「ママポケット」に関する歴史掲載資料であり,「ママポケットランドセル」は,2001年にデビューしたこと,2013年までに多数のモデルチェンジ行われたことについての記載がある。 エ 甲第8号証は,2002年ないし2006年,2009年,2011年ないし2014年,2016年ないし2018年の商品「ランドセル」のカタログ(写し,抜粋)であり,当該商品カタログには,いずれも申立人がユニーに納品した商品「ランドセル」が,ユニー並びにユニーの系列小売店であるアピタ及びピアゴの各店舗で販売されていること,「ママポケットランドセル」の表示とともに,「たっぷり入って,取り出しやすい,機能ポケットが便利ね!」(甲8の1),「立体裁断だから・・・タップリ収納。・・・」(甲8の2?4),「たっぷり収納が魅力の立体裁断形状。・・・出し入れが簡単(カンタン)です。」(甲8の5?12)などと記載され,「ママポケット」が付いていること等が記載されている。 オ 甲第9号証は,テレビ広告映像(写し)であり,ユニーが販売する商品「ランドセル」のテレビコマーシャルにおいて,2008年9月11日及び2009年9月11日付けには,「トリプルコラボのママポケットランドセル」(甲9の1,2),2011年には「ママポケットランドセル」(甲9の3?6)等と紹介され,2014年度用には「アピタ・ピアゴの/ママポケット/ランドセル」(甲9の7),2015年度には「せんぱいママの声をカタチに/ママポケット/ランドセル」(甲9の8)などと紹介された。 カ 甲第10号証は,新聞広告(写し)であり,2012年8月8日付け,2013年8月11日付け,2014年8月13日付け及び2015年8月3日付けのいずれも東海地方を中心に発行される中日新聞に,「ママポケット/ランドセル」の広告が掲載された。 キ 甲第11号証は,株式会社ネクスコム提供の広告実績資料であり,TVスポットは,2001年度ないし2017年度について,放映エリアは,「中・北・静」,「全地区」,「中京のみ」等であること,オンエアされた期間は,10月から1月にかけて放映されていたが,近年は7月及び8月に放映されていること,スポット料金は,およそ790万円ないし2500万円であること,雑誌の掲載は,2003年度ないし2009年度に小学館発行の「小学1年生」に各1回,2010年度にサンケイリビング社の情報誌(職権調査)「あんふぁん」に掲載されたこと,カタログ発行部数は,2009年度ないし2017年度に,7万5千部ないし11万部であること,中日新聞の掲載は,2005年度ないし2008年度及び2012年度ないし2015年度に各1回,並びに,2009年度に2回であること等が記載されている。 (2)前記アないしキによれば,以下のように判断できる。 ア 申立人が,ユニーへ納品した「ランドセル」の納品個数は,2007年4月から2017年3月までの10年間に,113,798個であって,平均すると,一年度に約11,400個である。 しかしながら,前記納品個数は,現在の新一年生の人口が約100万人(申立人の主張)とすると,多いものということができない。 イ ユニーから発行された「ランドセル」のカタログは,2009年度ないし2017年度に7万5千部ないし11万部であり,その発行部数は相当程度であるとしても,具体的な頒布数及び頒布地域は示されていない。 ウ ユニーの「ランドセル」の新聞へ掲載については,1年度に1回程度である上に,その頒布地域は中京地域及び東海地方に限定されており,雑誌広告については,2003年度ないし2010年度に各年度1回,掲載されたにすぎない。 エ ユニーの「ママポケット」ランドセルのテレビスポット広告の放映エリアは,中京地域を主とするものであって,放映の時期は限られ,放映回数も決して多いものということができない。 オ ユニーのホームページ広告及びWeb記事広告等について,その具体的内容は示されていない。 カ 申立人が提出した前記ユニーによる「ランドセル」の広告宣伝等からすれば,引用商標は,ユニーが販売する商品「ランドセル」に使用され,中京地域及び東海地方の需要者に一定程度知られているものということができる。 しかしながら,申立人がユニーに納品したランドセルの一年度の個数は,新一年生の人口からとすると,多いものということができず,ユニーの「ランドセル」の新聞広告及びテレビスポット広告の放映エリアは,主に中京地域及び東海地方であるから,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,ユニーが販売する商品「ランドセル」を表示する商標として,我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることができない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標は,前記1のとおり,引用商標とは非類似の商標であって,引用商標は,前記2のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,ユニーが販売する商品「ランドセル」を表示するものとして,我が国において需要者の間に広く認識されているものと認めることができない。 そうすると,本件商標は,本件商標権者が,これを本件商標の指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者が,引用商標,ユニー及び申立人を想起又は連想することはなく,その商品が,ユニー及び申立人,又は同人等と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 まとめ 以上のとおり,本件商標の登録は,第18類「かばん類,袋物」について,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2017-09-22 |
出願番号 | 商願2016-112369(T2016-112369) |
審決分類 |
T
1
652・
261-
Y
(W18)
T 1 652・ 271- Y (W18) T 1 652・ 263- Y (W18) T 1 652・ 262- Y (W18) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 山田 啓之 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 田中 亨子 |
登録日 | 2017-03-31 |
登録番号 | 商標登録第5936778号(T5936778) |
権利者 | 株式会社水野鞄店 |
商標の称呼 | スマイルママポケット、スマイルママ、ママポケット |
代理人 | 北川 孝之助 |
代理人 | 秋山 重夫 |
代理人 | 伊藤 浩二 |