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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W3544
審判 全部申立て  登録を維持 W3544
審判 全部申立て  登録を維持 W3544
審判 全部申立て  登録を維持 W3544
審判 全部申立て  登録を維持 W3544
管理番号 1333421 
異議申立番号 異議2017-900111 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-04-06 
確定日 2017-09-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第5909616号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5909616号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5909616号商標(以下「本件商標」という。)は,「3Mシステム」,「3MSYSTEM」及び「スリーエムシステム」の文字を三段に書してなり,平成28年5月24日に登録出願,第35類「コンタクトレンズ及びその附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告,広告用具の貸与,商品の販売に関する情報の提供」及び第44類「コンタクトレンズの処方及び装用に関するコンサルティング,検眼及び検眼に関する情報の提供」を指定役務として,同年11月24日に登録査定,同29年1月6日に設定登録されたものである。

第2 引用商標等
1 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立ての理由において引用する登録第4534709号商標(以下「引用商標」という。)は,「3M THREE-M」の文字を標準文字で表してなり,平成10年4月16日に登録出願され,第35類「広告,販売促進のための見本市の運営,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,財務書類の作成」,第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,資金の貸付け及び手形の割引,金融情報の提供,財務及び投資に関する分析及び指導,株式市場情報の分析及び提供,企業の信用に関する調査」,第37類「建築一式工事,土木一式工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,内装仕上工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事,被服の修理,洗濯,自転車の修理,自動車の修理又は整備,鉄道車両の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備」,第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,無線呼出し,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与,衛星を介した通信」,第39類「鉄道による輸送,車両による輸送,船舶による輸送,航空機による輸送,貨物の輸送の媒介,貨物のこん包,寄託を受けた物品の倉庫における保管,他人の携帯品の一時預かり,主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約(宿泊に関するものを除く)の代理・媒介又は取次ぎ」,第40類「布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む),紙の加工,ゴムの加工,石の加工,セラミックの加工,電気めっき,フライス削り,焼きなまし,焼き戻し,溶融めっき,プラスチックフィルムのコーティング加工,汚水処理」,第41類「文化・教育目的の展示会の企画・運営,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,図書及び記録の供覧,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,興行場の座席の手配,映写フィルムの貸与,録画済みビデオディスク・ビデオテープの貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,家庭用テレビゲームおもちゃ用の記録媒体の貸与,企業の従業者に対する知識の教授」及び第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む)の貸与,電子計算機用プログラムの提供,デザインの考案,電子計算機の設計,電子計算機の設計の助言,電子計算機用プログラムの設計,電子計算機用プログラムの設計の助言」を指定役務として,同14年1月11日に設定登録され,同23年12月6日に商標権の存続期間の更新登録がされたものであり,現に有効に存続しているものである。
2 使用商標
申立人及びその関連会社がその業務に係る商品(電子工学・電機部品・記録媒体製品・印刷・健康及び医学製品・自動車ボディー修理用品・建材・文具・オフィス用品等)について使用する商標は,「3M」又は「スリーエム」の文字からなる標章(以下「使用商標」という。)である。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第8号,同第11号及び同第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。
1 申立人の「3M」の著名性
申立人である「スリーエム カンパニー」は,アメリカ合衆国ミネソタ州に本拠地を置く,世界的化学・電気素材メーカーであり,1902年に「Minnesota Mining & Manufacturing Co.」の名称の下で設立された米国企業である。現在は米国や日本のみならず,世界70ヶ国で電子工学・電機部品・記録媒体製品・印刷・健康及び医学製品・自動車ボディー修理用品・建材・文具・オフィス用品等,工業品から日用品まで多種多様な分野においてビジネスを展開し,総売上高は300億ドルに上る超大企業である。
申立人は,旧社名の頭文字の3つのMを由来とする,使用商標を申立人の略称及びハウスマークとして古くから使用しており,上述したような多種多様な商品を取り扱い,また,これら商品の商標として使用されたことによって,その使用商標は,国内外は問わず,特定の分野の需要者に限定されることなく,一般消費者にまで広く知れ渡り,使用商標は申立人の名称の略称及びハウスマーク並びに現在は申立人の完全子会社となったスリーエムジャパン(旧住友スリーエム)の名称の略称及びハウスマークとして広く知れ渡っている。
1990年発行の「英和商品名辞典」においても,「3M」は申立人の旧名称の略称であると記されている(甲3)。そして,2003年に申立人はその名称を「3M Company」と変更し,使用商標のなお一層の浸透に努めた。会社名をハウスマークに変更した場合には,両者の相乗効果によって,共に著名となることは取引の経験則上明らかである。
申立人は,使用商標の著名性を証するために,申立人に関する新聞記事について,記事において最も需要者の目を引く部分であるタイトル部分において「3M」が使用されている2013年から2017年3月7日までの新聞記事の一部のものを提出する(甲4)。この極めて限られた範囲でも360件程度の「3M」の入ったタイトルがあることからすれば,全体としては膨大な量となることは容易に推測できる。
申立人は,長年に渡りハウスマークとして自己の多岐に渡る商品についても「3M」を使用してきた(甲5)。
また,「3M」の著名性を認定している審決・判決例が存在する(甲6?甲9)。これらの審決及び判決において,「3M」商標は,「スリーエム」を看取させることから,商品等に使用した場合には,自他商品識別機能を備える商標であると認定している。また,様々な商品・役務について使用する多角経営性に着目し,「3M」商標は著名性を備え,第三者が当該商標を使用した場合には,出所混同が生じるおそれを有すると認定している。
これら審決及び判決がされた以降も使用商標が申立人の略称及びハウスマークとして知られてきていること並びに申立人が多種多様な商品を取り扱ってきたこと及びこれら多種多様な商品にハウスマークとして使用されてきたことは,提出した証拠方法から明らかである。
すなわち,本件商標が出願された平成28年5月当時及び登録された同29年1月当時も使用商標が申立人の略称及びハウスマークとして著名であって,かつ,多種多様な商品を取り扱ってきた。
2 商標法第4条第1項第8号違反
本件商標はその構成中に使用商標が含まれていると認識される。そして,使用商標は申立人の略称として本件商標の出願及び登録時に広く一般消費者の間で著名なものであった。しかるに,本件商標はその登録に際して申立人から何らの承諾も得ていない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第11号違反
本件商標が出願された時点では既に引用商標は,申立人の略称である「3M」とその略称を英語で「THREE-M」と表示したものと認められていたといえる。本件商標は「3M/スリーエム」と「システム/SYSTEM」からなるものであると理解される。そして,「システム/SYSTEM」は商標としては自他役務識別性の弱いものである。そうであるとすれば,本件商標に接した需要者は必然的に「3M/スリーエム」の部分に注目し,当該部分をもって称呼及び観念するものと認められる。
審査基準において,「指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は,その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め,原則として,その他人の登録商標と類似するものとする。ただし,その他人の登録商標の部分が既成の語の一部となっているもの等を除く。」と著名商標を含んだ商標は全体として一体のものと認識されるとしてもなお著名商標に類似するとされる。
本件商標は,外観構成がまとまりよく一体に表されているものの,全体として観念上の繋がりがあるものと認められず,しかも,上述したように全体として一つの既成語ではないので,上記審査基準に従えば引用商標に類似するものと認められる。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
4 商標法第4条第1項第15号違反
(1)本件商標に申立人のハウスマークとして著名な「3M」(使用商標)が含まれており,「システム/SYSTEM」が自他役務識別力に欠けるものであるから,本件商標がその指定役務に使用された場合にはその役務が申立人又はこれと資本的関係のある者の業務に係るものであるとその出所の混同を生じるは必定である。特に,申立人が極めて広範囲にわたる商品を取り扱っていることを需要者は認識している。この点でなお一層出所の混同が生じ易いものとなる。
現に,第40類「布地・被服又は毛皮の加工処理(乾燥処理を含む。),裁縫,ししゅう,木材の加工,竹・木皮・とう・つる・その他の植物性基礎材料の加工(食物原材料の加工を除く。)を指定役務とする商標「3ms」ですら商標法第4条第1項第15号に該当するとされていた。本件商標においては「3M/スリーエム」の存在が明確に認識される点で,商標「3ms」より申立人の商標に類似することは明らかである。
(2)また,本件商標がその指定役務に使用された場合には,その役務が申立人又はこれと資本的関係のある者の業務に係るものであるとその出所の混同を生じることを裏付けるために証拠を追加する(甲10?甲13)。
本件商標の指定役務中「第35類 コンタクトレンズ及びその附属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び「第44類 コンタクトレンズの処方及び装用に関するコンサルティング,検眼及び検眼に関する情報の提供」はいずれも眼に関するものであるが,上記の提出した証拠方法から申立人は同じく眼に関する商品を取り扱っている。
さらに,これまで述べたように,申立人は多種多様な商品を取り扱っており,現在,眼に関する商品を取り扱っている以上,「コンタクトレンズ」及び「検眼に関する商品」を今後取り扱われるであろうと容易に推測できる。
以上のことから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第4 当審の判断
1 使用商標の著名性について
(1)申立人の提出した証拠及びその主張について
ア 申立人は,アメリカ合衆国ミネソタ州に本拠地を置く,世界的化学・電気素材メーカーであり,1902年(明治35年)に設立され,社名は,「スリーエムカンパニー」であり,英語表記は「3M Company」である。
そして,事業内容としては,「産業財及び輸送事業,ヘルスケア事業,ディスプレイ及びグラフィックス事業,消費財及びオフィス事業,安全,保障及び保護サービス事業,電子及び通信事業」を行っており,売上高は,約245億ドル(2007年度)であり,従業員数は,約76千人(2007年12月末)である。また,日本には申立人の100%出資の子会社として「スリーエムジャパン株式会社」(以下「スリーエムジャパン」という。)がある(甲5)。
イ 甲第3号証は,1990年発行の「英和商品名辞典」であり,「3M スリーエム」の項目に,「米国Minnesota州のMinnesota Mining & Manufacturing Co.」の略・通称,そのブランド「3M」は社名の頭文字の3つのMから来ているが,今日長い社名は広告などで使われておらず,単に「3M」とのみ書かれている。社名は「3M Co.」とも呼ばれる。同社は「Scotch」のメーカーとして有名だが,元来,研磨用材の鋼玉(corundum)を掘り出すために,1902年に創業された会社で,1905年からはサンドペーパーの製造を始め,それを専業にし,その後セロハンテープ・磁気テープ・シール・甲板や屋上のコーティング剤などの専門会社となった。現在は,電子工学・電気製品・記録媒体製品・印刷・健康および医学製品・自動車ボディー修理用品・建材などの分野にも進出し,総計約5万種の製品を作っているという。」の記載がある。
ウ 甲第4号証は,タイトル部分において「3M」の文字が使用された2013年から2017年3月7日までの約360件の新聞記事である。
これには,例えば,2014年7月17日付けの化学工業日報には,「住友3M,住友電工から株式取得,社名もスリーエムジャパンに変更」の見出しの下,「住友スリーエム(住友3M)は16日,住友電気工業が保有する住友3Mの株式を9月1日付けで買い取ると発表した。取得額は900億円。これにより,住友3Mは米3Mの100%グループ会社となり,同日付で社名を『スリーエムジャパン』に変更する。」の記載がある。
また,2013年5月9日付けの日刊工業新聞には,「世界の企業(6)3M-付せん・研磨材・・・製品5万種」の見出しの下,「付せんの『ポストイット』で有名な米3Mは砥石(といし)用鉱物の採掘を目的に設立。採掘事業は軌道に乗らなかったが,研磨材を手がけるようになり,『削る』『粘着』といった根幹技術が磨かれていった。1921年の耐水性研磨材の開発以降,自動車部品に水をかけながら加工することで粉末の飛散を防げるようになり,モータリゼーションの波に乗って飛躍を遂げる。現社名は元々の『ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング』の略称。医療機器などのヘルスケア,建材などのインフラ用途,研磨材や半導体製造用部材などの産業用途を手がけ,これまで開発した製品は5万種を超える。12年10-12月期は74億ドルと,10-12月期では過去最高。オフィス関連や医療向けのほか,ディスプレー・グラフィックス関連製品も伸びている。」の記載がある。
エ 甲第6号証ないし甲第8号証は,特許庁の商標審決公報であり,甲第9号証は,知的財産高等裁判所の判決であり,共に使用商標の著名性が認められたものである。
オ 甲第10号証の,スリーエムジャパンのウェブサイトには,「産業用向け医療・ラボ材料 眼鏡レンズ加工製品」の見出しの下,「3Mは1979年にLEAPレンズ ブロッキング パットを世界で初めて開発して以来,永年に渡り世界中で玉摺り時のレンズ固定用テープとして使用されています。」の記載があり,印刷日は「2017/06/26」の記載がある。
甲第11号証の,スリーエムジャパンのウェブサイトには,「タイプ別推奨商品(業務用)」の見出しの下,「スタイリッシュな保護めがね」の項において,「3Mセキュアフィット保護めがねSF400シリーズ」,「3Mマキシム保護めがねGT14246-00000」等の「3M」の文字を有する保護めがねが紹介されており,印刷日は「2017/06/26」の記載がある。
甲第12号証の,スリーエムジャパンのウェブサイトの2葉目には,「『3M』オプティクルード アイパッチ」の見出しの下,「眼の保護に。」及び「目にやさしい装着感のセンターパッド」の記載があり,右側下部に「2015年8月発行」の記載がある。
甲第13号証の,スリーエムジャパンのウェブサイトには,「3Mステリ・ドレープ 眼科用ドレープ1021」の見出しの下,「詳細」の項に,「穴あきタイプの粘着部は,フィルムタイプなので目瞼に粘着できます。」の記載があり,印刷日は「2017/06/26」の記載がある。
(2)使用商標の著名性について
上記(1)からすれば,以下のとおりである。
ア 申立人は,1902年に設立された世界的な化学・電気素材メーカーであるアメリカの企業であり,また,我が国では,「住友3M」が2014年に申立人の子会社となり「スリーエムジャパン株式会社」と社名変更した。
イ 使用商標は,新聞記事やウェブサイトによれば,申立人の業務に係る商品を表示するものとして本件商標の出願前より,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。そして,その著名性は,本件商標の登録査定日においても継続していたものと推認にすることができる。
なお,申立人は,めがね用のレンズを研磨・加工する際に,レンズを固定するテープや「保護めがね」及び眼の保護として「アイパッチ」等の商品を扱っていること(甲10?甲13)などが認められるが,これらの証拠は,そのほとんどが本件商標の登録査定後に印刷されたものであり,コンタクトレンズの従事者向け商品について,本件商標の登録出願前のものは,甲第12号証のみである。
そうすると,申立人が世界的な企業であり,使用商標がコンタクトレンズの従事者向け商品に使用されていることが窺えるとしても,本件商標の登録出願の時に,使用商標が,本件商標の指定役務の分野においても周知著名といえる程度にまで取引者,需要者間に広く認識されていたとはいえないものである。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は,前記1のとおり,上段に「3Mシステム」,中段に「3MSYSTEM」,及び下段に「スリーエムシステム」の文字を,それぞれ同書,同大,等間隔でまとまりよく一体的に表してなるものである。
そして,その構成中の前半の「3M」の文字部分は,商品や役務の形式,規格,品番,種類等を表示するための記号,符号として類型的に採択,使用される数字とローマ字1字の組み合わせの一つとして認識し,把握される場合が少なくないといえる。
また,「スリーエム」の文字部分は,数字の「3」とローマ字の「M」の字音を片仮名で「スリーエム」と表したものと容易に理解し認識されるものとみるのが相当である。
そして,後半の「システム(SYSTEM)」の文字部分は,「複数の要素が有機的に関係しあい,全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体。組織。系統。仕組み。」(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店)の意味合いを有する我が国でも親しまれた英語であり,該意味合いをもって認識し,把握される場合が少なくないといえるから,本件商標の上記文字部分は,本件商標の指定役務との関係において,自他役務の識別力がないか極めて弱いものというべきである。
そうすると,本件商標は,その構成中の「3M(スリーエム)」及び「システム(SYSTEM)」が,それぞれ単独では自他役務の識別力がないか極めて弱いものであり,両文字を比較しても,識別力について軽重の差は認められないから,その構成全体をもって一連一体の造語を表すものとして認識されるものであって,「3M(スリーエム)」の文字に相応する「スリーエム」の読み及び「システム(SYSTEM)」の文字に相応する「システム」の読みの組み合わせからなる「スリーエムシステム」の称呼を生ずることはあっても,「3M(スリーエム)」又は「システム(SYSTEM)」の文字部分を捉え,「スリーエム」又は「システム」の称呼を生ずることはないというのが相当である。
(2)引用商標について
引用商標は,「3M」の文字と一文字程度の間隔を空けて,その右に「THREE-M」の欧文字からなるところ,その構成中の「THREE-M」の欧文字は,「3M」の文字部分の「3」の数字を英語に置き換えたものと無理なく認識し得るから,欧文字部分より生ずる称呼がその商標の自然な称呼とみるのが相当であって,引用商標は「スリーエム」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものというのが相当である。
なお,申立人は,「3M」の語は,申立人の業務に係る商品等を表示するものとして広く知られている旨を主張しているが,数字や欧文字は,情報等を伝えるための記号(手段)にすぎず,それだけでは特定の意味を有するものではないから,特定の数字,文字のみを指すことをもって,観念が生じると解することはできない。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標を比較すると,外観においては,上記(1)及び(2)のとおり,その構成文字において相違するものであるから,外観上,明確に区別できるものである。
また,称呼においては,本件商標から生ずる「スリーエムシステム」の称呼と,引用商標から生ずる「スリーエム」の称呼とは,「システム」の音の有無による構成音数の差により,それぞれを一連に称呼するときは全体の音感,音調が明らかに異なり,称呼上,明瞭に聴別することができるものである。
さらに,観念においては,両者とも特定の観念を生じないから,観念上,両者を比較することはできないものである。
してみれば,本件商標と引用商標とは,観念においては比較することができないとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)使用商標の著名性について
使用商標は,前記1のとおり,申立人又は申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願前より,我が国の取引者及び需要者の間に広く認識されていたとしても,本件商標の指定役務の分野においても周知著名といえる程度にまで取引者,需要者の間に広く認識されていたとはいえないものである。
(2)本件商標と使用商標の類否について
本件商標は,上記2(1)のとおりであり,使用商標は,「3M」又は「スリーエム」の文字からなる標章であるところ,「3M」の文字からなる標章は,上記2(2)と同様に「スリーエム」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。また,「スリーエム」の文字からなる標章は,その構成文字より「スリーエム」の称呼を生じ,該文字は,辞書等に載録された語ではないから,一種の造語を表したものと理解するのが相当であるから,特定の観念を生じないものである。
そして,本件商標と使用商標を比較すると,外観においては,上記のとおり,その構成文字において相違するものであるから,外観上,明確に区別できるものである。
また,称呼においては,本件商標から生ずる「スリーエムシステム」の称呼と,使用商標から生ずる「スリーエム」の称呼とは,「システム」の音の有無による構成音数の差により,それぞれを一連に称呼するときは全体の音感,音調が明らかに異なり,称呼上,明瞭に聴別することができるものである。
さらに,観念においては,両者とも特定の観念を生じないものであるから,観念上,両者を比較することはできないものである。
そうすると,本件商標と使用商標とは,観念においては比較することができないとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。
してみれば,本件商標をその指定役務について使用した場合に,これに接する取引者,需要者をして,使用商標を連想又は想起させるものとは認められず,その役務が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く,その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第8号該当性について
使用商標は,前記1のとおり,申立人又は申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願前より,我が国の取引者及び需要者の間に広く認識されているとしても,本件商標の指定役務の分野においても周知著名といえる程度にまで取引者,需要者の間に広く認識されていたとはいえないものである。
そして,本件商標は,その構成全体をもって一連一体の造語を形成するものとして認識されるものであり,構成中の「3M」の文字は,普通に用いられる方法で表示する態様からして,単に,商品や役務の形式,規格,品番,種類等を表示するための記号,符号として類型的に採択,使用される数字とローマ字1字の組み合わせの一つとして認識されるにとどまるものであるから,申立人の著名な略称を含む商標ということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第8号,同第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-09-15 
出願番号 商願2016-61480(T2016-61480) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W3544)
T 1 651・ 263- Y (W3544)
T 1 651・ 271- Y (W3544)
T 1 651・ 262- Y (W3544)
T 1 651・ 23- Y (W3544)
最終処分 維持 
前審関与審査官 加藤 桜子堀内 真一 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
中束 としえ
登録日 2017-01-06 
登録番号 商標登録第5909616号(T5909616) 
権利者 株式会社トーメーコンタクトレンズ
商標の称呼 スリーエムシステム、サンエムシステム 
代理人 田島 壽 
代理人 青木 篤 
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