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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X29
管理番号 1333401 
審判番号 取消2015-670033 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-11-27 
確定日 2017-08-28 
事件の表示 上記当事者間の国際登録第211147号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 国際登録第211147号商標の指定商品中、第29類「jellies」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第211147号商標(以下「本件商標」という。)は、「PRUNIER」の文字を横書きしてなり、2011年(平成23年)4月14日に国際商標登録出願(事後指定)、「jellies」を含む第29類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成24年11月22日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成27年12月2日である。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(審決注:弁駁書に添付して提出された「甲第1号証」を「甲第4号証」とし、以降同様に各号証番号を振り替える。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、我が国内において継続して3年以上、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中、第29類「jellies」について使用されていないものであり、また、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれにも、本件商標の指定商品中第29類「jellies」を使用していないことについて、正当な理由を発見できなかった。
したがって、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
「jelly」(「jellies」の単数形)とは、「ゼラチンやペクチンなど膠質分を利用して冷やし固めた透明度と弾力性のある食品」(甲4)又は「ゼラチンを溶かして香料などを加えて固めた透明な半固形の食物」(甲6)と定義され、具体的には「肉ゼリー、フルーツゼリー、ジャム」(甲4)、「肉・魚の煮こごり、ゼリー状の半透明のジャム」(甲5)、「ゼリージャム、フルーツジャム、煮こごり」(甲6)が該当すると定義されている。
加えて、特許庁が提供する特許情報プラットフォームの商品名検索によって表示される商品「魚のゼリー(fish jellies)、ゼリー状フルーツ(fruit jellies)、食用ゼリー(jellies for food)」等(甲7)が「jellies」に該当する商品と解釈され、これらは上記の商品の定義ともほぼ一致している。
以上からすると、被請求人が本件商標の使用を主張する商品「キャビアの缶詰」と本件審判の請求に係る指定商品「jellies」とは全く異なる商品であり、同一視できるものではない。
被請求人の主張及び証拠によっては、商標法第50条第2項所定の登録商標の使用について証明したとはいえない。
第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1 被請求人は、本件商標を商品「caviar」(キャビア)の包装に付し、これを継続的に販売している。
2 乙第1号証は、被請求人が世界的に展開する「キャビアハウス&プルニエ」(CAVIAR HOUSE&PRUNIER)が2014年2月26日に伊勢丹新宿店本館地下1階に本格出店する旨を発表するプレスリリース(写)であり、「商品紹介」として本件商標と社会通念上同一の商標が付されたキャビアが紹介されている。
被請求人(ALMAS CHP SA)の名称中、「CHP」は、「Caviar House&Prunier」の頭文字から成るものである。
被請求人は、世界各国の「キャビアハウス&プルニエ」(CAVIAR HOUSE&PRUNIER)を運営し、業務上必要な商標権を一元的に所有し、管理している。乙第1号証に記載のキャビアハウス&プルニエジャパン株式会社は、被請求人の子会社であり、被請求人から本件商標の使用許諾を受けている者である。
3 乙第2号証及び乙第3号証は、2014年2月26日に伊勢丹新宿店に出店した「キャビアハウス&プルニエ」のシーフードバー及び店舗の写真であり、本件商標と社会通念上同一の商標が付されたキャビアが販売されていることがわかる。
4 乙第4号証及び乙第5号証は、2015年10月29日から11月4日まで、松屋銀座にて「キャビアハウス&プルニエ」が出店され、そこで本件商標と社会通念上同一の商標が付されたキャビアが販売されたことを示すものである。乙第6号証は、その際の店舗の外観の写真である。
5 乙第7号証は、「キャビアハウス&プルニエ」のシーフードバー及び店舗で提供される飲食物及び商品の価格表であり、本件商標と社会通念上同一の商標が付されたキャビアが販売されていることを示すものである。
6 乙第8号証は、2014年4月16日付の発注書(写)であり、「製品の説明」の欄に、片仮名で「プルニエ」の記載があり、キャビア30gを発注する内容となっている。
7 以上、乙各号証を総合的に勘案すれば、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成27年12月2日)前3年以内(平成24年(2012年)12月2日から平成27年(2015年)12月1日までの期間(以下「要証期間」という。))に、商品「Caviar」について我が国において使用していることは明らかである。
8 商品「Caviar」については、基本的には食用魚介類(生きているものを除く。)(類似群32C01)に属するものと解される(乙9)一方で、「キャビアのかんづめ」、「キャビアのびんづめ」は、本件取消審判の請求に係る商品「jellies」と同一の類似群コードを有している(32F01)(乙10)。
被請求人が提供する商品「Caviar」は缶入りの状態であり、加工水産物という観点から商品「jellies」と同一視し得るものである。
第4 審尋
当審より被請求人に対し、平成28年9月7日付けで審尋を行い、回答を求めた。その要旨は、以下のとおりである。
1 本件商標を使用する商品について
「チョウザメの卵を塩漬けにした食品[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]」であるキャビアのかんづめと、魚のゼリーなどを含む第29類に属するゼリー(jellies)とを、それぞれ加工水産物に属する(又は類似する)ことをもって同一視することはできず、被請求人が主張する商品「キャビアのかんづめ」が本件取消請求に係る指定商品「jellies」に含まれていると認めることもできない。
2 被請求人が提出した証拠について
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、「キャビアハウス&プルニエ」の出店に関するプレスリリースであるが、当該プレスリリースの頒布時期・頒布先等の頒布状況を明らかにするなど、これによってどのように広告、宣伝されたのかを裏付ける証拠の提出がないため、実際に本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)が使用されたことを確認することができない。
(2)乙第2号証及び乙第3号証について
乙第2号証及び乙第3号証は、店舗内の写真とみられるが、当該写真からは、表示された文字が小さく、本件商標と社会通念上同一の商標が付されているか否かを確認することができず、また、その出店時期、出店者、出店場所等も確認することができない。
(3)乙第4号証ないし乙第7号証について
乙第4号証及び乙第5号証は、インターネット情報、乙第6号証は、乙第4号証及び乙第5号証に係る店舗の写真とされるもの、乙第7号証は、価格表である。
たしかに、乙第4号証には、皿の上に置かれた容器の表面に「PRUNIER」の文字が書されていると見られるものの、乙第7号証の価格表を参照するに、上記情報(乙4?乙6)は、役務「飲食物の提供」に関するものというべきであるから、商品「キャビアのかんづめ」に係る販売とも広告とも認めることはできない。
また、乙第5号証及び乙第6号証は、文字が小さい又は不鮮明であり、本件商標と社会通念上同一の商標が付されているか否かを確認することができない。
(4)乙第8号証について
乙第8号証は、発注書(写)であるところ、これからは、要証期間に、「プルニエセントジェームスキャビア」がザ・リッツ・カールトン東京から発注されたと見受けられる。
しかしながら、当該発注に基づいて実際に「PRUNIER」の文字が付された商品が譲渡等されたことを裏付ける証拠の提出がないため、これのみをもって本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)が使用されたことを確認することができない。
第5 審尋に対する被請求人からの回答
前記審尋に対し、被請求人からの回答はなかった。
第6 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証は、「キャビアハウス&プルニエ」の出店に関するプレスリリースである。
そして、その1葉目の上部に、「キャビアハウス&プルニエジャパン株式会社・・・は、2014年2月26日(水)、日本では初めてとなる本格出店として、〈キャビアハウス&プルニエ シーフードバー〉を伊勢丹新宿店本館地下1階フレッシュマーケット内にオープンいたします。」の記載があり、該記載の右側に四段に横書きで「CAVIAR」の文字、「HOUSE」の文字、「&」の記号及び横書きの直線並びに「PRUNIER」の文字の表示がある。
また、同1葉目には、中程に「スイスのジュネーヴに本社を持つ〈キャビアハウス&プルニエ〉は・・・上質のキャビアとスモークサーモンを自社にて生産から流通まで手掛ける数少ない会社であり・・・」の記載、下部に「お問い合わせ キャビアハウス&プルニエジャパン株式会社 〒107-0061 東京都港区北青山3-6-7青山パラシオタワー11階」の記載がある。
さらに、同3葉目には、「商品紹介」の見出しの下、「プルニエキャビア」、「セントジェームス」、「30g 19,719円(税込)」の記載があり、また、三段に横書きで、「PRUNIER」の文字、横書きの直線を左右に配した「CAVIAR」の文字及び「depuis 1872」と思しき文字が表示されている。
(2)乙第2号証及び乙第3号証は、店舗内の写真とされるが、これからは、いかなる商標が付されているかを確認することができず、その出店時期、出店者、出店場所、出店に係る商品又は役務等も確認することができない。
(3)乙第4号証及び乙第5号証は、インターネット情報、乙第7号証は、価格表である。
そして、乙第4号証には、「ニュース投稿日:2015/10/30」、「〈キャビアハウス&プルニエ〉シーフードバー 松屋銀座に初登場!!!」、「マリリン(キャビアスプーン&グラスシャンパーニュ) 2,808円」及び「秋のワインフェスタ2015 11月4日(水)まで開催中 8階イベントスクエア」の記載並びに「PRUNIER」の文字が丸形の容器表面の中央に表示された写真の掲載があり、乙第5号証には、「・・・松屋銀座8Fイベントスクエア 28Oktobar2015・・・」及び「今日から(10/29?11/4)開催している『秋のワインフェスタ2015』・・・プルニエキャビアも楽しめる、『CAVIAR HOUSE&PRUNIER SEAFOOD BAR』もオープン」の記載並びにボトル等が置かれたカウンターと着席する男女等が写された写真の掲載がある。
また、乙第7号証は、被請求人の主張によれば、「CAVIAR HOUSE&PRUNIER」のシーフードバー及び店舗で提供される飲食物及び商品の価格表とされるところ、その2葉目に、「Prunier Caviar Tasting」の見出しの下、「プルニエキャビアの幅広いラインナップをスプーン1杯から」、「プルニエPRUNIER」、「One Spoonキャビアスプーン ¥1,296」の記載、丸形の容器表面と思しき図形の中央に表された「PRUNIER」の文字の表示があり、同5葉目に、二段に横書きで「CAVIAR HOUSE&PRUNIER」並びに横書きの直線を左右に配した「SEAF(円図形)OD」の文字及び該文字の横に縦方向に配した「BAR」の文字、「Seafood Bars & Restaurants around the World」、「TOKYO ISETAN SHINJUKU」の記載がある。
(4)乙第8号証は、発注書(写)であるところ、「Purchase order・・・」、「発注 The Ritz Carlton,Tokyo ザ・リッツ・カールトン東京」、「PO送信日:2014/04/16 17:02:03」、「納品日:2014/04/17」、「Delivery:The Ritz Carlton,Tokyo/ザ・リッツ・カールトン東京」、「購買先:Caviar House&Prunier Japan」、「DBA:キャビアハウス&プルニエジャパン株式会社」の記載があり、「品目、製品の説明、包装/サイズ、数量、単位、単価」の各項目の下に「A401040100*、Caviar/プルニエセントジェームスキャビア30g、1/、3.00、BTL、¥9,143」の記載があり、「小計:¥27,429」の記載がある。
2 前記1の認定によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)本件商標と使用に係る商標の同一性について
プレスリリース3葉目の商品紹介(乙1)、インターネット情報の写真に写された容器の表面(乙4)並びに価格表の2葉目の中程及び右側の容器の表面と思しき円図形の中(乙7)に表示された各「PRUNIER」の文字は、「PRUNIER」の文字からなる本件商標と同一の綴り字よりなるものであるから、本件商標と、社会通念上同一の商標と認めることができる。
(2)商標の使用者について
被請求人は、使用に係る商標の使用者である「キャビアハウス&プルニエジャパン株式会社」(乙1及び乙8)は商標権者である被請求人の子会社であって、本件商標の使用許諾を受けている者であると主張するが、これを裏付ける証拠は提出されていない。
(3)商標の使用に係る商品について
被請求人は、「本件商標を商品『caviar』(キャビア)の包装に付し、これを継続的に販売している。当該『caviar』は缶入りであって、『キャビアのかんづめ』は、本件取消請求に係る商品『jellies』と、加工水産物という観点から同一視し得る」旨主張する。
しかしながら、第29類に属する「jellies(ゼリー)」は、例えば「魚のゼラチンを煮出した汁を利用して固めた弾力のある食品」を含む魚・肉等を原材料とする食用ゼリーであるのに対し、被請求人が主張する商品「キャビアのかんづめ」は、「チョウザメの卵を塩漬けにした食品[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]」であるキャビアを単に缶入りにした商品であるから、両者は異なる商品である。
したがって、jellies(ゼリー)とキャビアのかんづめとを、それぞれ加工水産物に属する(又は類似する)ことをもって同一視することはできず、被請求人が主張する商品「キャビアのかんづめ」が、本件取消請求に係る指定商品の第29類「jellies」に含まれる商品であるということはできない。
なお、「キャビア」は、上記のとおり「チョウザメの卵を塩漬けにした食品」であるところ、これは「食用魚介類(生きているものを除く。)」に属する商品であるから、上記「jellies(ゼリー)」とは別異の商品である。さらに、シーフードバーにおける「キャビアの提供」は、役務「飲食物の提供」の範疇にある役務であり、本件取消請求に係る指定商品「jellies」とは異なる。
そうすると、本件商標の使用に係る商品は、被請求人の主張及び提出証拠によって、本件取消請求に係る指定商品(又はこれに含まれるもの)であるということはできない。
なお、商標法第50条第1項に規定する取消しの審判においては、「各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていない」ことが要件とされ、換言すれば、指定商品又は指定役務に類似する商品又は役務に使用しても当該条項の適用は免れないものである。
(4)商標の使用時期について
乙第1号証には、2014年2月26日(水)にキャビアハウス&プルニエ シーフードバーをオープンする旨の記載があるが、同号証の頒布時期・頒布先等の頒布状況が不明であり、当該プレスリリースによって実際に広告、宣伝されたことを裏付ける証拠の提出がない。
また、乙第4号証には、「ニュース投稿日:2015/10/30」及び「秋のワインフェスタ2015 11月4日(水)まで開催中 8階イベントスクエア」の記載があり、乙第5号証には、「今日から(10/29?11/4)開催している『秋のワインフェスタ2015』」の記載があるが、ここで本件商標が本件取消請求に係る指定商品に使用された事実を立証する証拠は見あたらない。
さらに、乙第8号証には、「PO送信日:2014/04/16 17:02:03」、「納品日:2014/04/17」の記載があるが、当該発注に基づいて実際に本件商標が付された商品が譲渡等されたことを裏付ける証拠の提出がない。
そうすると、本件商標の使用時期については、被請求人の主張及び提出証拠によって、要証期間のものと認めることができない。
(5)小括
以上によれば、本件商標の通常使用権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を、その請求に係る指定商品「jellies」について、商標法第2条第3項各号にいう使用をしたものとは認めることができない。
その他、本件商標が要証期間に請求に係る指定商品について使用されていることを認めるに足る証拠はない。
3 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判請求に係る指定商品について、本件商標の使用をした事実を証明したものということはできない。
また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品に使用していなかったことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、請求に係る指定商品第29類「jellies」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-03-31 
結審通知日 2017-04-07 
審決日 2017-04-20 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X29)
最終処分 成立  
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 板谷 玲子
田中 亨子
登録日 2011-04-14 
商標の称呼 プルニエ、プルニエール、プルニール 
代理人 佐久間 洋子 
代理人 鈴木 礼至 
代理人 江崎 光史 

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