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審決分類 |
審判 査定不服 観念類似 登録しない W37 審判 査定不服 外観類似 登録しない W37 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W37 |
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管理番号 | 1333395 |
審判番号 | 不服2017-8349 |
総通号数 | 215 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-11-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-06-08 |
確定日 | 2017-10-05 |
事件の表示 | 商願2016- 52170拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第37類「洗濯,被服のプレス,被服の染み抜き,被服の修理,洗濯に関する助言,布地・被服・繊維製品・リネン・織物の洗濯,衣服のクリーニングの取次ぎ,洗濯の取次ぎ,被服の修繕,コイン式洗濯機の貸与及び提供,コイン式乾燥機の貸与及び提供,電気洗濯機の貸与,衣類乾燥機の貸与,衣類脱水機の貸与」を指定役務として、平成28年5月13日に登録出願されたものである。 2 引用商標 原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第3220040号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成4年9月25日に登録出願、第37類「洗濯,被服のプレス」を指定役務として、同8年11月29日に特例商標として設定登録され、その後、同28年12月27日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。 (2)登録第5248959号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成20年11月26日に登録出願、第37類「洗濯,被服のプレス」を指定役務として、同21年7月17日に設定登録されたものである。 3 当審の判断 (1)本願商標と引用商標2について 引用商標2の商標権は、商標登録原簿の記載によれば、平成28年9月29日受付の特定承継による本権の移転の登録がされた結果、本願の請求人(出願人)と引用商標2の商標権者は、同一人になったものと認められる。 したがって、本願商標が引用商標2との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するとした拒絶の理由は、解消した。 (2)本願商標と引用商標1について ア 本願商標について 本願商標は、別掲1のとおり、青色の四角形内にTシャツの図形を白抜きで表し、その右横に青色の小さい四角形を縦に5個、紺色の小さい四角形を縦に4個並べた図形と、青色で「せんたく便」と横書きした文字を横に並べた構成からなるところ、該図形部分と文字部分とは、視覚的に分離され、これを常に一体不可分のものとして把握しなければならない特別の事情は見いだせず、それぞれが独立して自他役務の識別機能を果たし得るものというべきである。 そして、本願商標の図形部分は、我が国において特定の事物を表したもの又は意味合いを表すものとして認識され、親しまれているというべき事情は認められず、該図形部分からは特定の称呼及び観念を生じないものである。 また、本願商標の文字部分は、「せんたく」の文字が、本願の指定役務との関係からすれば、「衣類などを洗って汚れを落とすこと。」の意味を有する「洗濯」の文字を平仮名で表したものと容易に理解され、「便」の文字は、「人や荷物・手紙などをある場所まで運ぶこと、また、その手段。」の意味を有する語(いずれも、株式会社小学館「デジタル大辞泉」)であって、これらの語は、いずれも一般によく知られた語といえるものであるから、その構成文字全体として、「洗濯物を運ぶ手段」程の観念を生じるものである。 してみれば、本願商標は、その構成中の「せんたく便」の文字部分に相応して、「センタクビン」の称呼を生じ、「洗濯物を運ぶ手段」の観念を生じるものである。 イ 引用商標1について 引用商標1は、別掲2のとおり、四角形の薄い水色を背景に、紺色の四角形の下部が波型に切り取られた図形を横に3個並べ、それぞれの図形内に「洗」、「濯」及び「便」の文字を白抜きで表してなり、その下段に、紺色で、やや斜体の小さな「SENTACK EXPRESS」の欧文字を書してなる構成からなるところ、これに接する取引者、需要者は、その構成中に大きく書された、称呼しやすい「洗濯便」の文字部分に着目し、これより生じる称呼をもって取引に当たることも少なくないというべきである。 また、引用商標1の構成中の「洗濯便」の文字は、「洗濯」の文字部分が、「衣類などを洗って汚れを落とすこと。」の意味を有する語であり、「便」の文字部分は、「人や荷物・手紙などをある場所まで運ぶこと、また、その手段。」の意味を有する語であって、これらの語は、いずれも一般によく知られた語といえるものであるから、その構成文字全体として、「洗濯物を運ぶ手段」程の観念を生じるものであり、一方、「SENTACK EXPRESS」の文字は、辞書等に載録のない語であって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものである。 してみれば、引用商標1は、その構成中、大きく顕著に表された「洗濯便」の文字に相応して「センタクビン」の称呼及び「洗濯物を運ぶ手段」の観念を生じるものであり、また、下段の「SENTACK EXPRESS」の文字に相応して「センタックエクスプレス」の称呼をも生じるものである。 ウ 本願商標と引用商標1との類否について 本願商標と引用商標1とは、外観においては、上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、両者は、その全体の構成において差異を有するものである。 次に、称呼においては、本願商標から生じる称呼は、「センタクビン」であり、また、引用商標1から生じる称呼は「センタクビン」及び「センタックエクスプレス」であるから、両者は、「センタクビン」の称呼を共通にするものである。 そして、観念においては、共に「洗濯物を運ぶ手段」の観念を共通にするものである。 そうすると、本願商標と引用商標1とは、外観において相違するとしても、称呼及び観念を同一にするものであり、また、その要部として看取される「せんたく便」と「洗濯便」の文字部分は、平仮名と漢字とを相互に変更したものと理解されるものであって、商標の構成文字を同一の称呼を生じる範囲内で、平仮名と漢字とを相互に変更したり、デザイン化したりすることが一般に行われている取引の実情があることからすれば、その外観の相違は、称呼及び観念の同一性を凌駕する程のものとはいえず、本願商標と引用商標1が本願の指定役務に使用された場合には、その役務の出所について混同を生じるおそれがあるといえるから、本願商標は、引用商標1と類似の商標といえる。 エ 本願の指定役務と引用商標1の指定役務の類否について 本願の指定役務中の「洗濯,被服のプレス,被服の染み抜き,洗濯に関する助言,布地・被服・繊維製品・リネン・織物の洗濯,衣服のクリーニングの取次ぎ,洗濯の取次ぎ」と、引用商標1の指定役務の「洗濯,被服のプレス」とは、同一又は類似するものである。 オ 小括 したがって、本願商標は、引用商標1と類似の商標であり、引用商標1に係る指定役務と同一又は類似する役務について使用をするものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)請求人の主張について 請求人は、「本願商標と引用商標1とはいずれも、単なる文字ではなく、図形との結合が極めて強くなっている。文字よりも、図形全体で需要者は認識すると考えるのが普通であり、本願商標も引用商標1もいずれも指定役務が『洗濯』であるから、称呼及び観念の部分は極めて識別力が低い部分であると判断するべきである。そのため、本願商標も引用商標1のいずれにおいても、図形こそが識別力が高い部分と判断するべきである。その結果、称呼及び観念において、たとえ、同一の部分が存在しているとしても、外観こそが本願商標と引用商標1の類否の判断のうえで最も重視するべき部分となる。そうすると、本願商標と引用商標1とは、外観の上で極めて異なっている。したがって、たとえ、称呼及び観念が一致していたとしても、本願商標と引用商標1とは外観が極めて異なっているため、非類似であると判断すべきである。」旨を主張している。 しかしながら、両商標の要部として認識される「せんたく便」及び「洗濯便」の文字部分は、それぞれ一体不可分の文字として認識されるものであり、これより生じる称呼及び観念が、指定役務との関係において識別力が弱いとはいえないものである。 そして、上記(2)ウのとおり、本願商標と引用商標1が、外観において相違するとしても、「せんたく便」と「洗濯便」の文字部分は、同一の称呼及び観念を生じる文字の平仮名と漢字の違いにすぎず、両商標は、その要部である文字部分において、近似した印象を与えるものであって、外観上、著しく相違するものとはいえない。 したがって、請求人の上記主張は採用できない。 (4)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標(色彩については、原本を参照。) 別掲2 引用商標1(色彩については、原本を参照。) 別掲3 引用商標2(色彩については、原本を参照。) |
審理終結日 | 2017-08-03 |
結審通知日 | 2017-08-08 |
審決日 | 2017-08-24 |
出願番号 | 商願2016-52170(T2016-52170) |
審決分類 |
T
1
8・
261-
Z
(W37)
T 1 8・ 262- Z (W37) T 1 8・ 263- Z (W37) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 柿本 涼馬、馬場 秀敏、安達 輝幸 |
特許庁審判長 |
山田 正樹 |
特許庁審判官 |
木住野 勝也 榎本 政実 |
商標の称呼 | センタクビン |
代理人 | 植村 貴昭 |