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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X25
管理番号 1333347 
審判番号 取消2016-300734 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-10-19 
確定日 2017-09-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第5307755号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5307755号商標(以下「本件商標」という。)は、「MAVEN」の欧文字と「メーベン」の片仮名を二段に書してなり、平成21年8月11日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,スエットシャツ,その他のワイシャツ類,寝巻き類,下着,靴下,帽子」を指定商品として、同22年3月12日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成28年11月2日である。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、本件商標に係る登録原簿の写しを提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その全指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証(乙1の1?3をいい、以下の乙各号証も同様。)について
被請求人は、同人の製造・販売に係るパーカ、白色Tシャツ、紺色Tシャツの全体写真を提出し(乙1)、「被請求人代理人が2016年12月に撮影」としているが、そもそも、この写真撮影自体が本件審判の予告登録日(2016年11月2日)の後であることから、予告登録日前3年以内(以下「要証期間内」という。)における本件商標の使用の事実を証明するものではない。
(2)乙第2号証について
被請求人は、上記(1)の商品「パーカ、白色Tシャツ、紺色Tシャツ」(以下「使用商品」という。)に付された下げ札を撮影した写真を提出し(乙2)、それぞれに品番・品名があることを証明しているが、その下げ札自体も商品撮影時に取り付けることは可能であるから、この証拠をもって、使用商品と下げ札に表示された品番・品名とが対応するものであるとはいえない。
(3)乙第3号証について
ア 被請求人は、織ネームの写真を提出し(乙3)、織ネームに表された商標(以下「使用商標」という。)が、本件商標と社会通念上同一の商標であることを証明しているが、上記(1)のとおり、この写真撮影自体が本件審判の予告登録日の後であることから、要証期間内における本件商標の使用の事実を証明するものではない。
イ 本件商標と使用商標の同一性について
本件商標は、「MAVEN」及び「メーベン」の文字を二段に横書きした構成からなるものであり、これより「メーベン」の称呼が生じるところ、「MAVEN」が「専門家、達人」の意味を有する英語だとしても、一般には親しまれた語ではないことから、特定の観念は生じないものである。
他方、使用商標の態様はデザイン化されており、「メーベン」の文字部分も使用されていないことから、称呼を特定することのできない特殊な態様といわざるをえず、また、特定の観念も生じないものである。
してみれば、両商標は、外観において顕著な差異を有し、称呼及び観念においても類似しないものであるから、同一の商標と認めることはできない。
(4)乙第4号証ないし乙第6号証について
被請求人は、下げ札の「品番」、「品名」の表示をもって、日本国内における使用商品の販売・導入時期を立証するために、店舗別販売内訳表、商品販売分析表等を提出している(乙4?乙6)が、前記したとおり、下げ札自体も商品撮影時に取り付けることは可能であるため、店舗別販売内訳表等から作為的に紐づけた品番・品名を下げ札に表示することもできる余地がある。このような点からすれば、下げ札の「品番」、「品名」表示と当該店舗別販売内訳表等の存在(乙4?乙6)のみをもって、日本国内における使用商品の販売・導入時期が特定されるものではない。
(5)上記のとおり、被請求人の答弁理由には理由がないこと明らかである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の概要
被請求人は、要証期間内に、日本国内において、本件指定商品のいずれかについて本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしている。
具体的には、被請求人は、少なくとも2016年1月3日から同年10月9日の間に、被請求人の直営に係るアウトレットショップ(日本国内)において、パーカ・Tシャツ(少なくとも本件商標の指定商品のうち、「洋服,スエットシャツ」に該当する商品)に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して、顧客に販売した。また、パーカは2015年10月9日頃に、白色Tシャツ・紺色Tシャツは2016年3月8日頃に店頭に並べられ販売が開始されている。
2 答弁の詳細
(1)乙第1号証は、被請求人の製造・販売に係るパーカ、白色Tシャツ、紺色Tシャツ(使用商品)の全体写真である(被請求人代理人が2016年12月に撮影)。首元には、本件商標と社会通念上同一の商標が付された織ネームがある。これにより、本件商標の使用商品が、少なくとも「洋服,スエットシャツ」に該当する商品であることを証明する。
(2)乙第2号証は、使用商品に付された下げ札である。これにより、使用商品の品番・品名がそれぞれ、パーカが品番「15HBM-335」と品名「COQY PULL PARKAR」、白色Tシャツが品番「16HBM-228」と品名「OATH TEE」、紺色Tシャツが品番「16HBM-227」と品名「AURA TEE」であることを証明する。
(3)乙第3号証は、(1)で述べた織ネームの写真である。これにより、織ネームに表された商標(使用商標)が、本件商標と社会通念上同一の商標であることを証明する。使用商標は、多少図案化されているが、欧文字の「MAVEN」を表したと認識することができ、「メーベン」の称呼及び「専門家、達人」の観念において、本件商標と同一であるので、本件商標と社会通念上同一の商標である。
(4)乙第4号証は、被請求人の直営に係るアウトレットショップ「印」が掲載された「SHOP LIST」、アウトレットモールのサイトにおける「印」の紹介ページ、及び「印」の公式サイトにおける販売業者の記載ページである。これらにより、「印」は被請求人の有するアウトレットショップであり、日本国内に存在することを証明する。
(5)乙第5号証は、いわゆるPOSシステムにより集計された、使用商品の店舗別販売内訳表である。これにより、少なくとも2016年1月3日から同年10月9日の間に、被請求人の直営に係るアウトレットショップにおいて、使用商品を、顧客に販売したことを証明する。
ア (2)で述べた下げ札の「品番」、「品名」と、この内訳表の「メーカー品番」、「品名」とが一致することから、この内訳表が、(1)の使用商品についての資料であることが確認できる(乙5の1の1/2は男性用、2/2は女性用のパーカについての内訳表である。)。「店舗」は若干省略して表されているものの、被請求人の直営アウトレットショップ「印」であることが、(4)の各証拠より容易に理解できる。なお、内訳表に「印鶴見アウトレット」とあるが、被請求人は現在「三井アウトレットパーク大阪鶴見」からは撤退しているため、同店舗は(4)の各証拠には表れない。
内訳表の項目中、「累計導入」はその店舗に使用商品を導入した累計数、「最終販売日」はその店舗で顧客が使用商品を購入した最後の日、「最終導入日」はその店舗に使用商品を最後に導入した日である。このうち、「最終販売日」に着目すると、少なくとも、パーカ(男性用)は2016年1月3日ないし同年3月24日に、パーカ(女性用)は2016年2月8日ないし同年10月9日に、白色Tシャツは2016年5月25日ないし同年9月25日に、紺色Tシャツは2016年5月22日ないし同年9月18日に、被請求人のアウトレットショップ「印」で販売されていることが容易に理解できる。
以上のことから、少なくとも2016年1月3日から同年10月9日の間に、被請求人の直営に係るアウトレットショップにおいて、使用商品を顧客に販売したことが理解できる。
イ なお、「-4週 -3週 -2週 -1週 今週」の項目は、この表が印刷された日(2016年11月28日)を基準として「4週間前ないし今週」に販売された数を示す項目である。すべて「0」となっているのは、「最終販売日」の項目で確認できるとおり、使用商品の最終の販売日がこの表が印刷された日から4週以上前であることと合致する。しかも「累計導入」、「累計販売」から理解できるように、使用商品はほとんど完売しているから、この4週間に1つも販売されていないことは特に不自然ではないことが理解できる。
また、「最終導入日」に日付があるが、「累計導入」が「0」であるのは(例えば乙5の1の2/2の「印竜王アウトレット」)、一度は商品を導入したが、売れ残った等の理由で他の店舗に移動したことを意味する。同様に、「最終販売日」より「最終導入日」が後であるが累計導入と累計販売が等しい場合(例えば乙5の3の「印竜王アウトレット」)、最終販売日のあとに一度は商品を導入したが、売れ残った等の理由で他の店舗に移動したことを意味する。
(6)乙第6号証は、使用商品の商品販売分析表((5)の店舗別販売内訳表を商品ごとに合計した値を分析する表)である。この分析表により、パーカは2015年10月9日頃に、白色Tシャツ・紺色Tシャツは2016年3月8日頃に店頭に並べられ販売が開始されていることを証明する。
この分析表が使用商品と紐づけられる点については内訳表と同様である。
分析表の項目中、「累計導入」、「累計販売」は内訳表の「累計導入」、「累計販売」の合計であり、「初期導入日」は各店舗のうち最も早く本件商品を導入した日(この項目は内訳表にはない)であり、「最終導入日」は内訳表の「最終導入日」のうち最も遅い日である。このうち、「初期導入日」に着目すると、パーカ(男性用・女性用)は2015年10月9日頃に、白色Tシャツ・紺色Tシャツは2016年3月8日頃には、1つ以上の店舗に導入されていたことが容易に理解できる(導入した日にすぐ販売を開始するとは限らないものの、通常は近日中に店頭に並べ販売を開始すると考えられる。)。
以上のことから、パーカは2015年10月9日頃に、白色Tシャツ・紺色Tシャツは2016年3月8日頃に店頭に並べられ販売が開始されていることが理解できる。
(7)なお、被請求人は、「MAVEN」ブランドをいわゆるアウトレット専用商品としてのみ製造販売しており、しかも被請求人の直営に係る各店舗で販売するのみであるため、使用商品をどの店舗に何個置くかということは、代表者または担当者が逐次決定している。店舗側からの注文や、それに応じた納品ということは行っておらず、販売数・時期等をPOSシステムで管理するのみである。
しかし、このような状況は製造小売業者の通常の取引実情や経験則に照らして何ら不自然なことではない。
このような状況にあるため、提出可能な証拠は比較的少ないが、これら提出証拠には何ら不自然な点がないから、真正なものであり、被請求人が誠実に本件商標の使用を証明していると判断されるべきものと確信する。

第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人提出の乙各号証によれば次のとおりである。
ア 乙第1号証は、被請求人代理人が2016年12月に撮影したとする、パーカ、白色Tシャツ及び紺色Tシャツ(使用商品)の写真3枚であり、使用商品の首元には織ネーム及び下げ札が付けられている。
しかしながら、織ネーム及び下げ札に記載された文字は判読できない。
イ 乙第2号証は、衣類の首元の写真3枚であり、いずれの衣類にも織ネーム(一部)と下げ札が付けられ、上段の写真(乙2の1)の織ネームにはややデザイン化された「MAVeN」の文字、下げ札には「15HBM-335」、「COQY PULL PARKAR」の文字が記載されている。
中段の写真(乙2の2)の織ネームはその一部が写され、下げ札には「16HBM-228」、「OATH TEE」の文字が記載されている。
下段の写真(乙2の3)の織ネームはその一部が写され、下げ札には「16HBM-227」、「AURA TEE」の文字が記載されている。
ウ 乙第3号証は、別掲のとおり、衣類の首元の織ネームの写真3枚であり、いずれの織ネームにも、ややデザイン化された「MAVeN」の文字(使用商標)が表示されている。
エ 乙第4の1号証は、「SHOP LIST」と題する書面であり、そこには「印 アウトレット」として「滋賀竜王店」、「岡山倉敷店」、「マリンピア神戸店」、「りんくうプレミアム店」、「ジャズドリーム長島店」、「土岐プレミアム店」、「小矢部アウトレット店」の店名と各店の住所の記載があり、また、「本社」として「大阪市中央区西心斎橋1-6-21」の住所の記載がある。
乙第4の2号証は、いずれも2016年12月9日にプリントアウトされた「三井アウトレットパーク 滋賀竜王」、「三井アウトレットパーク 倉敷」、「三井アウトレットパーク マリンピア神戸」、「りんくうプレミアム・アウトレット」、「三井アウトレットパーク ジャズドリーム長島」、「土岐プレミアム・アウトレット」、「三井アウトレットパーク 北陸小矢部」のウェブページの写し7枚であり、いずれにも「印」という店名のショップが紹介されている。
乙第4の3号証は、2016年12月9日にプリントアウトされた「印 IN ONLINE STORE」のウェブページの写しであり、「特定商取引法に基づく表記」として「販売業者」の欄に「株式会社ラウンドアバウト」、「住所」の欄に「大阪府大阪市中央区西心斎橋1-6-21 ラウンドアバウトビル1階」の記載がある。
オ 乙第5の1号証の1/2は、2016年11月28日にプリントアウトされた「店舗別販売内訳表」と題する書面の写しであり、そこには「メーカー品番:15HBM-335」、「品名:COQY PULL PARKAR」の記載があり、表には店舗として「印鶴見アウトレット」、「印竜王アウトレット」、「印倉敷アウトレット」、「印神戸アウトレット」、「印りんくうアウトレット」、「印長島アウトレット」、「印土岐アウトレット」、「印小矢部アウトレット」の記載があり、「印神戸アウトレット」の欄には最終販売日として「2016/01/03」、「印土岐アウトレット」の欄には最終販売日として「2016/03/24」の記載がある。
乙第5の1号証の2/2は、2016年11月28日にプリントアウトされた「店舗別販売内訳表」と題する書面の写しであり、そこには「メーカー品番:15HBM-335」「品名:COQY PULL PARKAR」の記載があり、表には店舗として「印鶴見アウトレット」、「印竜王アウトレット」、「印倉敷アウトレット」、「印神戸アウトレット」、「印りんくうアウトレット」、「印長島アウトレット」、「印土岐アウトレット」、「印小矢部アウトレット」、「印倉庫」の記載があり、「印神戸アウトレット」の欄には最終販売日として「2016/02/08」、「印長島アウトレット」の欄には最終販売日として「2016/10/09」の記載がある。
乙第5の2号証は、2016年11月28日にプリントアウトされた「店舗別販売内訳表」と題する書面の写しであり、そこには「メーカー品番:16HBM-228」、「品名:OATH TEE」の記載があり、表には店舗として「印竜王アウトレット」、「印倉敷アウトレット」、「印神戸アウトレット」、「印りんくうアウトレット」、「印長島アウトレット」、「印土岐アウトレット」、「印小矢部アウトレット」の記載があり、「印倉敷アウトレット」の欄には最終販売日として「2016/05/25」、「印りんくうアウトレット」の欄には最終販売日として「2016/09/25」の記載がある。
乙第5の3号証は、2016年11月28日にプリントアウトされた「店舗別販売内訳表」と題する書面の写しであり、そこには「メーカー品番:16HBM-227」、「品名:AURA TEE」の記載があり、表には店舗として「印竜王アウトレット」、「印倉敷アウトレット」、「印神戸アウトレット」、「印りんくうアウトレット」、「印長島アウトレット」、「印土岐アウトレット」、「印小矢部アウトレット」、「印倉庫」の記載があり、「印神戸アウトレット」の欄には最終販売日として「2016/05/22」、「印小矢部アウトレット」の欄には最終販売日として「2016/09/18」の記載がある。
(2)上記(1)から次の事実を認めることができる。
ア 上記(1)イ及びウの写真(乙2、乙3)は、それらに写された衣類や織ネームの色彩や態様が、上記(1)アの写真(乙1)のそれと合致することから、上記(1)イ及びウの下げ札及び織ネームは、上記(1)アのパーカ、白色Tシャツ及び紺色Tシャツ(使用商品)に付されているものと認められる。
そして、当該織ネームには、いずれもややデザイン化された「MAVeN」の文字(使用商標)が表示されている。
イ 上記(1)エの「SHOP LIST」(乙4の1)に記載された「印 アウトレット」の店名と、ウェブページ(乙4の2)のアウトレット名及び「印」という店名と、「店舗別販売内訳表」(乙5の1?3)の店舗欄の記載とが合致すると認められ、かつ同「SHOP LIST」に記載された本社の住所と、「印 IN ONLINE STORE」のウェブページ(乙4の3)に記載された販売事業者「株式会社ランドアバウト」の住所が「大阪府大阪市中央区西心斎橋1-6-21」と一致することから、該「株式会社ランドアバウト」は、2016年12月9日頃には、いずれも国内に所在する「三井アウトレットパーク 滋賀竜王」、「三井アウトレットパーク 倉敷」、「三井アウトレットパーク マリンピア神戸」、「りんくうプレミアム・アウトレット」、「三井アウトレットパーク ジャズドリーム長島」、「土岐プレミアム・アウトレット」、「三井アウトレットパーク 北陸小矢部」に「印」という店名のショップ(以下、それらをまとめて「アウトレット店」という。)を展開していたと認めることができる。
ウ 使用商品中「パーカ」の下げ札(乙2の1)の「15HBM-335」、「COQY PULL PARKAR」の記載と「店舗別販売内訳表」(乙5の1)の「メーカー品番:15HBM-335」、「品名:COQY PULL PARKAR」の記載が合致することから、当該「パーカ」は「店舗別販売内訳表」の最終販売日として記載の「2016年1月3日」ないし「2016年10月9日」に、アウトレット店で販売されたと認めることができる。
エ 使用商品中「白色Tシャツ」の下げ札(乙2の2)の「16HBM-228」、「OATH TEE」の記載と「店舗別販売内訳表」(乙5の2)の「メーカー品番:16HBM-228」、「品名:OATH TEE」の記載が合致することから、当該「白色Tシャツ」は「店舗別販売内訳表」の最終販売日として記載の「2016年5月25日」ないし「2016年9月25日」に、アウトレット店で販売されたと認めることができる。
オ 使用商品中「紺色Tシャツ」の下げ札(乙2の3)の「16HBM-227」、「AURA TEE」の記載と「店舗別販売内訳表」(乙5の3)の「メーカー品番:16HBM-227」、「品名:AURA TEE」の記載が合致することから、当該「紺色Tシャツ」は「店舗別販売内訳表」の最終販売日として記載の「2016年5月22日」ないし「2016年9月18日」に、アウトレット店で販売されたと認めることができる。
カ そうすると、「大阪府大阪市中央区西心斎橋1-6-21」所在の「株式会社ランドアバウト」は、ややデザイン化された「MAVeN」の文字(使用商標)が表された織ネームが付された「パーカ」、「白色Tシャツ」及び「紺色Tシャツ」(使用商品)を、2016年1月3日ないし2016年10月9日にアウトレット店において販売したと認められる。
2 判断
(1)使用商品を販売した「株式会社ラウンドアバウト」について
「株式会社ラウンドアバウト」の名称及びその所在地「大阪府大阪市中央区西心斎橋1-6-21」は、本件商標権者の名称及び居所と一致すると認められるから、当該「株式会社ランドアバウト」は、本件商標権者と認められる。
(2)使用商品について
本件商標の指定商品は、上記第1のとおりであって、使用商品の「パーカ」、「白色Tシャツ」及び「紺色Tシャツ」は、いずれも本件審判の請求に係る指定商品中の「スエットシャツ」、「洋服」の範ちゅうに含まれる商品である。
(3)本件商標と使用商標について
ア 本件商標は、上記第1のとおり、「MAVEN」の欧文字と「メーベン」の片仮名を二段に書してなり、該文字に相応して「メーベン」の称呼を生じるものである。そして、本件商標は、その構成中「MAVEN」の文字は、「達人」などの意味を有する英語の成語であるが我が国で親しまれた語とはいえず、また「メーベン」の文字は、特定の意味合いを有しないものであるから、特定の観念を生じないものである。
使用商標は、上記1(1)ウのとおり、ややデザイン化された「MAVeN」の文字からなるものであり、該構成文字は英語の成語であることから、その発音にならって「メーベン」の称呼を生じるものであり、また、上記のとおり「達人」などの意味を有する英語の成語であるが我が国で親しまれた語とはいえないから、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と使用商標を比較すると、両者は外観において「メーベン」の片仮名の有無の差を有するものである。しかしながら、欧文字は「E(e)」の文字に大文字と小文字の差異はあるものの、全ての文字のつづりを共通にするものである。そして、両商標は「メーベン」の称呼を共通にするものであって、他に両者が異なる称呼及び観念を生じるというべき事情は見いだせない。
そうすると、両商標が、外観において「メーベン」の片仮名の有無の差を有するものの欧文字のつづりを共通にすること、同一の称呼「メーベン」を生じること、及び異なる観念を生じるものではないことをあわせみれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標と判断するのが相当である。
イ なお、請求人は、使用商標は「メーベン」の文字が使用されていない、欧文字はデザイン化され称呼を特定することのできない特殊な態様であるなどとし、本件商標と使用商標は、外観において顕著な差異を有し、称呼及び観念においても類似しないものであるから、同一の商標と認めることはできない旨主張する。
しかしながら、使用商標は別掲のとおり、その構成文字は容易に「MAVeN」と認識し得るものであり、「MAVE(e)N」が我が国で親しまれた語でないとしても、英語は我が国で最も親しまれた外国語といえ、その英語において該語は「メーベン」と発音される成語であることからすれば、使用商標は「メーベン」のみの称呼を生じるというべきであり、上記のとおり判断するのが相当である。
よって、請求人のかかる主張は採用できない。
(4)使用商品を販売した時期
「株式会社ラウンドアバウト」(商標権者)が使用商品を販売した2016年1月3日ないし2016年10月9日は、要証期間内である。
(5)小括
以上によれば、商標権者は、要証期間内に、本件審判の請求に係る指定商品中「スエットシャツ」、「洋服」の範ちゅうに属する商品「パーカ」、「白色Tシャツ」及び「紺色Tシャツ」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを譲渡(販売)した(商標法第2条第3項第2項)と認められる。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(使用商標。乙第3号証を参照。)
1(パーカの織ネーム)

2(白色Tシャツの織ネーム)

3(紺色Tシャツの織ネーム)


審理終結日 2017-05-01 
結審通知日 2017-05-08 
審決日 2017-05-23 
出願番号 商願2009-64601(T2009-64601) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 榎本 政実
平澤 芳行
登録日 2010-03-12 
登録番号 商標登録第5307755号(T5307755) 
商標の称呼 メーベン、メーブン、マベン 
代理人 正木 裕士 
代理人 藤川 忠司 
代理人 坂本 智弘 
代理人 藤川 義人 
代理人 三上 祐子 
代理人 宮本 陽子 

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