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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09
管理番号 1333337 
審判番号 取消2016-300624 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-09-08 
確定日 2017-09-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第2652031号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2652031号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和54年3月22日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成6年4月28日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、平成17年8月10日に、指定商品を第9類「調相機,回転変流機,整流器,変圧器,誘導電圧調整器,配電盤,継電器,開閉器,断路器,遮断機,制御器,抵抗器,蓄電器,避雷器,リアクトル,点滅器,接続器,配線函,ヒューズ,乾電池,湿電池,蓄電池,電流計,電圧計,電力計,積算電力計,位相計,周波数計,検漏計,電波測定器,空中線測定器,抵抗測定器,容量測定器,真空管特性測定器,発振器,検出器,磁気測定器,回路計,オッシログラフ,裸線,ゴム線,プラスチック線,巻き線,特殊被覆電線,動力ケーブル,通信ケーブル,接続函,終端函,接続用スリーブ,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電鈴,電気ブザー,電話機械器具,有線通信機械器具,放送用機械器具,無線通信機械器具,遠隔測定制御機械器具,音声周波機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具」とする指定商品の書換の登録がされたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。
なお、本件取消の請求の登録は、平成28年9月27日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第9類「抵抗器,蓄電器,接続器,電流計,電圧計,電力計,積算電力計,位相計,周波数計,検漏計,電波測定器,空中線測定器,抵抗測定器,容量測定器,真空管特性測定器,発振器,検出器,磁気測定器,回路計,オッシログラフ,電話機械器具,有線通信機械器具,放送用機械器具,無線通信機械器具,遠隔測定制御機械器具,音声周波機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を本件商標は、その指定商品中、本件審判の請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいづれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである旨述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対して何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
1 使用の事実
以下のとおり、本件商標の商標権者(以下、単に「商標権者」という。)は、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に、本件商標と同一の商標を付した商標権者発行の製品総合カタログ(以下「本件カタログ」という。)を頒布した。本件カタログには本件審判の請求に係る指定商品が含まれる。
また、商標権者は、要証期間内に本件審判の請求に係る指定商品に対し、本件商標と同一の商標を付した製品を販売している。
さらに、商標権者は、要証期間内に、本件審判の請求に係る指定商品に関する受領書に本件商標と同一の商標を付して頒布した。
(1)使用に係る商標
ア 本件カタログでの使用
本件商標は、三つの山を想像させる図形(以下「ミヤマ図形」という。)からなる商標である。
本件カタログ(乙1)の表紙の2カ所(上段及び下段)及び背表紙の上方部に本件商標と同一のミヤマ図形が表記されている。
イ 販売製品への使用
乙第5号証、乙第8号証、乙第11号証及び乙第13号証は、被請求人の製品の写真であり、いずれも本件商標と同一の商標が表記されている。
乙第5号証は、MC-037のMC・ACコンセントの写真であり、製品正面左側に凸状に本件商標と同一の商標が表記されている。当該製品は上記製品総合カタログ102頁に表記された製品である。
乙第8号証は、MJ-008のミノムシクリンプの写真であり、写真左端(先端金属部分)に本件商標と同一の商標が刻印表記されている。当該製品は上記製品総合カタログ100頁に表記された製品である。
乙第11号証は、DS-361の振り子式転倒スイッチの写真であり、上部正面板の左側に本件商標と同一の商標が刻印表記されている。当該製品は、上記製品総合力タログ98頁に表記された製品である。
乙第13号証は、MS-530のコネクタータイプ押し釦スイッチの写真であり、上方中央部に本件商標と同一の商標が表記されている。当該製品は、上記製品総合カタログ16頁及び21頁に表記されている。
ウ 取引書類での使用
2016年5月23日付け受領書(乙7)、同年5月9日付け受領書及び同年7月26日付け受領書(乙16)の右上部分には、ミヤマ図形が「ミヤマ電器株式会社」の文字の先頭に表記されている。
(2)使用に係る商品
ア 本件カタログに関して
本件カタログ(乙1)には、以下のとおり、本件請求に係る指定商品が掲載されている。直接商品に付されたものではないが、カタログでの使用も登録商標の使用とされた審決例がある。
(ア)製品総合カタログには、接続器に相当する商品として次の製品が記載されている。
a MC・ACコンセント:MC-037(102頁上段)
b MTターミナル:MT-122、MT-123、MT-124、MT-129(102頁下段)
c ICクリップ:MJ-001、MJ-032、MJ-033(101頁)
d ミノムシクリップ:MJ-002、MJ-006、MJ-008(100頁)
(イ)検出器に相当する商品として次の製品が記載されている。
a アミューズメント用検出スイッチ:MS-931(99頁:スイッチと記載されているが、具体的にはパチンコ玉の通過を検出するものである。)
b 振り子式転倒スイッチ:DS-360、DS-361(98頁:スイッチと記載されているが、暖房器具等の転倒などを検出するものである。)
c コネクタータイプ押し釦スイッチ:MS-530(16頁:ドア開閉を検知するためのものである。)
(ウ)電子応用機械器具に相当する商品として次の製品が記載されている。
a 押釦スイッチ:MS-701(57頁:この製品には受注で電子回路を組み込んで販売するものである。)
イ 販売製品に関して
乙第5号証のMC-037のMC・ACコンセント(本件カタログ102頁)、乙第8号証のMJ-008のミノムシクリンプ(本件タログ100頁)は、同カタログの最上部に「接続機構部品」と表記されているように、請求人が取消を求める「接続器」そのものである。
乙第11号証DS-361の振り子式転倒スイッチ(本件タログ98頁)は、同カタログの下段でスイッチの紹介で説明しているように、スイッチと記載されているが、暖房器具等の転倒などを検出するものであり、請求人が取消を求める「検出器」である。
乙第13号証MS-530のコネクタータイプ押し釦スイッチ(本件カタログ16頁及び21頁)は、同カタログに記載されるようにドア開閉を検知するためのものであり、請求人が取消を求める「検出器」である。
ウ 取引書類に関して
2016年5月23日付け受領書(乙7)は、接続機構部品:MC・ACコンセント:MC-037(本件カタログ102頁)、同年5月9日付け受領書(乙10)は、接続機構部品:ミノムシクリップ:MJ-008(本件カタログ100頁)、同年7月26日付け受領書(乙16)は、接続機構部品:MTターミナル:MT-123(本件カタログ102)に関するものであり、いずれも請求に係る指定商品中、接続器に該当する商品である。
(3)使用時期
ア 本件カタログの頒布時期
本件カタログは、裏表紙の最下段右端の「2013.10(5,000)」の記載より想定できるように、2013年10月に作成されたものであり、要証期間内に作成され、現在まで継続して頒布している。
商標権者は、要証期間内の少なくとも平成28年8月26日に、本件カタログを頒布した。乙第2号証は、本件カタログの請求を受けた際のメール記録のプリントアウトであり、乙第3号証は、当該メールに対応して本件カタログを出荷した際の記録のプリントアウトである。すなわち、2016年(平成28年)8月26日付けミヤコテック株式会社からのメールで本件カタログ送付の請求を受け、同日付で福山通運便で出荷、配布した。
また、電話での資料請求であったため、メール記録等は存在しないが、乙第4号証の出荷記録のプリントアウトに示されるように、2016年(平成28年)7月15日に本件力夕ログを出荷し、配布があったことが記録されている。
したがって、要証期間内に、本件カタログが頒布されたことは明らかである。
イ 販売製品の譲渡時期
本件商標と同一の商標が表記されたMC-037のMC・ACコンセント(乙5)は、乙第6号証のFAX注文書の日付欄に示されるように、2016年4月6日に注文を受け、同年5月23日に作成され、同年5月24日付けの受領印を受けた受領書(乙7)を被請求人は受けた。
MJ-008のミノムシクリンプ(乙8)は、乙第9号証のFAX注文書に示されるように、2016年4月6日に注文を受け、同年5月9日に作成され、同年5月10日付けの受領印を受けた受領書(乙10)を被請求人は受けた。
乙第11号証のDS-361の振り子式転倒スイッチは、平成27年11月10日受付印が押され、同年11月18日作成の物品受領書(乙12)を受けた。
乙第13号証のMS-530のコネクタータイプ押し釦スイッチは、2016年6月22日発注の注文書を受けている。
いずれも、要証期間内に被請求人より譲渡が行われたことは明かである。
ウ 取引書類の頒布時期
乙第7号証は、2016年(平成28年)5月23日付けであり、乙第10号証は、同年5月9日付けであり、乙第16号証は、同年7月26日付けである。いずれも、要証期間内に、商標権者より納品書等と共に配布されたものである。
2 むすび
以上のように、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と同一の商標を、本件請求に係る指定商品に使用していることは明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠及び答弁の理由によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証は、「製品総合カタログ」との表示のある本件カタログであるところ、その表紙の中央上段には赤色で表した「∧」3つを、その一部をそれぞれ重ね合わせて横に並べた図形(ミヤマ図形)を表し、その下に同じく赤色で「MIYAMA PARTS」の文字が横書きされており、表紙の中央下段には、赤色で表したミヤマ図形と、その右に、やや図案化し、黒色で表した「ミヤマ電器株式会社」の文字を横書きしてなり、これらの図形と文字の下に、「MIYAMA ELECTRIC CO.,LTD.」の文字が横書きされている。
また、背表紙にも赤色のミヤマ図形が横向きに表されている。
そして、表紙及び背表紙に表示されたミヤマ図形は、色彩を同一のものとすれば、本件商標とほぼ同一の構成態様からなるものである。
さらに、同裏表紙には、「本社 〒145-0064 東京都大田区上池台4ー7ー1」、「技術部 〒145-0064 東京都大田区上池台5ー22ー5」などの文字が記載され、その右下には、「2013.10(5,000)」と記載されている。
本件カタログの1頁には、「目次」として、例えば、「新製品 NEW PRODCT 16?17頁」、「振り子式転倒スイッチ SWING SENSOR PENDULUM SWITCHES 98頁」、「検出スイッチ DETECTING SWITCHES 99頁」、「接続機構部品 MECAHANICAL COMPONENT PARTS 100?102頁」などと記載され、そのうちの、例えば、「新製品」における「コネクタータイプ押し釦スイッチ MS-530」の説明文(16頁)には、「アミューズメント機器のドア開閉検知用に最適」と記載され、「振り子式転倒スイッチ」の説明文(98頁)には、「スイッチを装着した製品の傾斜や転倒を検出し、ON-OFFの切り替えを行う振り子式のスイッチです。」と記載されている。
(2)乙第2号証は、ミヤコテック株式会社から商標権者に宛てた2016年(平成28年)8月26日付け電子メールの記録と認められるところ、その内容は、概略「現在、防水型プッシュスイッチを検討しています。総合カタログを送っていただけますでしょうか。(下記の住所へお願いします)・・京都市伏見区下鳥羽但馬町169」というものである。
(3)乙第3号証は、「大進工業社 福山通運便出荷実績2016年.xlsx」との標題のある書面であるところ、その「出荷日」欄には「20160826」と、「荷受人住所1」欄には「京都市伏見区下鳥羽但馬町169」と、「荷受人名前1」欄には「ミヤコテック(株)」と、「荷送人住所1」欄には「東京都大田区上池台5ー22ー5」と、「荷送人名前1」欄には「ミヤマ電器(株)」と、「品名記事3」欄には「カタログ」と、それぞれ記載されている。
(4)乙第4号証は、2016年(平成28年)7月14日から同年7月29日にかけての商標権者における出荷記録をプリントアウトした書面と認められるところ、その「20160715」の欄には、「東京都港区虎ノ門1-1-20 第一商事(株)東京事務所」、「カタログ」などと記載されている。
(5)乙第5号証は、本件カタログの102頁に掲載された接続機構部品中のMC・ACコンセント/ACOUTLETの型番「MC-037」の商品と同じ形状の商品を撮影した写真と認められるところ、該商品の表面に「MC-037」の文字及びミヤマ図形が付されているのが確認できる。
(6)乙第6号証及び乙第9号証は、同じ様式の取引書類の写し(コピー)と認められるところ、乙第6号証の上部が影になって一部判読ができないものの、いずれも宛先が「ミヤマ電器(株) 御中」、発注者と思しき者の住所及び電話番号が記載され、乙第9号証の発注者を表したと思しき欄に記載の「角田無線電機株式会社」の住所及び電話番号と同一であることから「角田無線電機株式会社」が発行した注文書とみて不自然なところはない。
また、乙第6号証の「注文番号」の項目中、上から10番目の欄に「D5086055-K02」、その右の「メーカー名 品番」の欄に「ミヤマ」及び「MC037-K」、「数量」の欄に「5,000」並びに「希望納期」の欄に「16/04/07」の記載がある。そして、欄外下に「納期回答を記入の上ご返送下さい。」と記載され、その上段に「御注文有難うございます 6/初日納品予定です」の文字がゴム印及び手書きで記載されている。
(7)乙第7号証は、宛先が「ミヤマ電器株式会社御中」、得意先として「角田無線電機株式会社殿」と記載され、「受領印」欄には、「角田無線電機株式会社」のゴム印が押されているところ、伝票日付を2016年(平成28年)5月23日、「受領印」欄のゴム印の日付けを「28.5.24」とし、その「注文番号」欄に「D5086055-K02」、「図番」欄に「MC-037-A01」及び「数量」欄に「5,000」と記載されている。
そして、これらの受領書には、「伝票区分 売上」と記載され、その右上に黒色でミヤマ図形が表示されているものである。
なお、本件カタログ(乙1)によれば、「MC-037-A01」との品番の商品は、本件カタログの102頁に掲載された「接続機構部品:MC・ACコンセント/ACOUTLET」の品番であることを認めることができる。
2 前記1で認定した事実によれば、以下のとおりである。
(1)商標権者は、要証期間内である2013年(平成25年)10月に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した本件カタログを作成し、これを、要証期間内である2016年(平成28年)8月26日に京都市伏見区に所在の顧客に、また、同年7月15日に東京都港区に所在の顧客に、それぞれ頒布したことを推認することができる。そして、本件カタログには、本件請求に係る指定商品に含まれる、少なくとも接続器(100?102頁)、検出器(16、98、99頁)が掲載されていることを認めることができる。
(2)また、商標権者は、要証期間内である2016年(平成28年)5月24日に、本件請求に係る指定商品に含まれる接続機構部品を顧客に販売したことが推認され、その際に使用された受領書は、形式上商標権者の顧客が商標権者に宛てたものであるとしても、その右上に、本件商標と同一の構成態様からなるミヤマ図形が表示されていることや「伝票区分 売上」などの記載から、商標権者が前もって作成し、当該顧客が単に受領印を押しただけのものと優に推認することができるところ、これらは、通常の取引の過程で作成された取引書類であると認められるから、これらに基づいて本件商標の使用の事実を認定することに不合理なところはないというべきである。そして、各受領書には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されていたといえる。
(3)さらに、ここで取引された接続機構部品(品番:MC-037-A01)には乙第5号証にあるとおり、本件商標と社会通念上同一と認められる商標(ミヤマ図形)が表示されていたと認められる。
3 以上によれば、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件請求に係る指定商品に含まれる商品に本件商標と社会通念上同一の商標を付し、これを譲渡し、また、その商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して、これらを頒布したものである。そして、商標権者の上記行為は、商標法第2条第3項第1号、同項第2号及び同項第8号に該当するものと認めることができる。
一方、請求人は、前記3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁するところがない。
4 むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る商品について、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)




審理終結日 2017-04-18 
結審通知日 2017-04-21 
審決日 2017-05-11 
出願番号 商願昭54-20646 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 今田 三男
大森 友子
登録日 1994-04-28 
登録番号 商標登録第2652031号(T2652031) 
代理人 庄司 隆 
代理人 仁科 勝史 

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