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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W3536
管理番号 1333329 
審判番号 不服2016-19421 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-26 
確定日 2017-09-22 
事件の表示 商願2015-72648拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「満室情報」の文字を横書きしてなり,第35類及び第36類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として,平成27年7月29日に登録出願され,その後,指定役務については,原審における同28年1月15日付けの手続補正書により,第35類「広告業,広告スペースの貸与,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,事業の管理,コンピュータデータベースへの情報編集」及び第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定着物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,信用購入あっせん,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,商品代金の徴収の代行,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引,外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券先渡取引・有価証券店頭指数等先渡取引・有価証券店頭オプション取引若しくは有価証券店頭指数等スワップ取引又はこれらの取引の媒介・取次ぎ若しくは代理,有価証券等清算取次ぎ,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は,「満室情報」の文字を書してなるところ,その構成中の「満室」の文字は「旅館やホテルなどで,全室がふさがっていること。」を,また,「情報」の文字は「あることがらについてのしらせ。」を意味することから,全体として「全室がふさがっていることについてのしらせ。」ほどの意味合いを有する語であり,かかる意味合いにおいて一般に広く使用されている実情が窺える。そうすると,本願商標をその指定役務中,前記意味合いに照応する役務に使用しても,取引者,需要者は,これを単に役務の質(内容)が「全室がふさがっていることのしらせ」であることを表示したにすぎないと認識・理解するものといえるから,本願商標は,需要者をして何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であると認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当し,前記役務以外の役務に使用するときは,役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので,同法第4条第1項第16号に該当する。

3 当審における手続の経緯
当審において,平成29年5月8日付けの審尋により,請求人に対し,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨説示し,相当の期間を指定して意見を求めたところ,請求人からは,何らの回答もなかった。
なお,原査定は,本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するとして,本願を拒絶したものであるが,その理由は,本願商標をその指定役務について使用しても,本願商標は,取引者,需要者に自他役務の識別標識とは認識されないものであると認定,判断したものであるから,審尋における理由も原査定の認定,判断とは実質的に相違せず,新たな拒絶の理由には当たらない。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,上記1のとおり,「満室情報」の文字を横書きしてなるところ,広く一般に親しまれている「満室」及び「情報」の平易な文字からなるものと容易に看取されるものである。
そして,本願商標の構成中,「満室」の文字は,「旅館やホテルなどで,全室がふさがっていること。」の意味を,また,「情報」の文字は,「あることがらについてのしらせ」の意味をそれぞれ有する平易な語であるから(広辞苑第6版参照),本願商標全体としては,「全室がふさがっていることのしらせ」ほどの意味合いを認識させるとみるのが相当である。
また,当審が職権で調査したところ,別掲のとおり,不動産の管理,紹介,仲介等に係る業界において,「満室情報」の文字が,「物件の全室が入居者によりふさがっていることのしらせ」ほどの意味合いをもって,建物等の入居状況を表すものとして使用されていることが認められる。
そうすると,本願商標は,その指定商品中,第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」(以下「本件役務」という。)との関係においては,その構成全体をもって上記意味合いを表す語と認識されるものであるから,役務の内容を表示するものというのが相当である。
してみれば,本願商標は,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,一般的に使用される標章であって,自他役務の識別力を欠くものであるといわざるを得ない。
以上のとおり,本願商標を本件役務に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,その構成全体から,「物件の全室が入居者によりふさがっていることのしらせ」といった役務の内容を端的に表示したものとして認識,理解するにとどまるというべきである。また,本願商標の態様上顕著な特徴は認められない。そうすると,本願商標は,役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって,役務の出所識別標識とは認識されないものというのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標は,「満室情報」の文字を同書,同大,同色,同間隔かつ一連一体不可分に書してなること及び同文字が辞書類に掲載されていないことから,これに接する需要者又は取引者は,請求人の創出に係る造語として捉えると考えるのが自然である旨主張する。
しかしながら,本願商標が造語であるとしても,その構成全体をもって「全室がふさがっていることのしらせ」ほどの意味合いを表したものと認識,理解されるにすぎず,役務の出所識別標識としては認識されないと判断するのが妥当であるのは,上記(1)のとおりである。
イ 請求人は,インターネット上のウェブサイトの情報は,辞典類等に比べ著しく劣り,極めて不安定であるから,これのみに基づいて本願商標が自他役務の識別標識としての機能を発揮し得るか否かを判断することは,法的安定性を著しく欠くものである旨主張する。
しかしながら,インターネットを介した商取引や広告宣伝等がごく一般的に行われている現状を踏まえれば,これら取引の実情を示す証拠が,インターネット上のウェブサイトの情報のみとなることも当然あり得ることである。また,当合議体が別掲において示したウェブサイトの情報は,特許庁においてインターネットに接続して入手した情報であって,当該情報は,企業等複数の者により掲載されたものであり,その内容は,それらの者の取扱いに係るサービス等の紹介や宣伝等の実際の取引の実情を含むものである。本願商標が役務の出所識別標識としての機能を発揮し得るか否かの判断は,審決時において,これら取引の実情を勘案し,本願商標とその指定役務との関係において個別具体的に行うべきものである。
ウ したがって,上記の請求人の主張は,いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,本件役務との関係では,商標法第3条第1項第3号に該当するから,これを登録することはできない。
別掲 別掲(平成29年5月8日付けの審尋により通知した事実)
1 ダイヤモンドメディア(株)のウェブサイト「ダイヤモンドテール」の「FAQ(よくある質問Q&A)」中,「満室情報の掲載と検索」の項に,「ダイヤモンドテールには,登録された物件情報を資産として集客に活用するための機能が備わっております。満室になった部屋情報を満室情報一覧として保存し,サイトに表示します。満室情報はそれぞれユニークURLを有しているので,それぞれのページが検索エンジンの検索対象となります。空き待ち問い合わせとして満室情報からお問い合わせを得ることも出来ます。通常検索結果には,満室情報は掲載されませんが,カスタマイズオプションとして,満室情報を検索結果に表示することが出来ます。」との記載がある。
http://www.diamondtail.jp/faq/blog/category/システム,使い方について/

2 (株)いい生活の2008年11月14日付プレスリリース「『ESいい物件売買』のオプショナルサービス『投資用物件表示機能』リリースについてのお知らせ」中,「『ESいい物件売買』投資用物件表示機能について」において,「『投資用物件表示』の特徴」のひとつとして「物件一覧画面で,満室情報も確認可能」との記載がある。
http://www.e-seikatsu.info/file_press/46/5i66f59b6s.pdf

3 (株)バリュープレスのウェブサイト「VFリリース」において,「株式会社アットオフィス代表取締役社長 大竹弘」のインタビュー記事(2007年9月27日取材)中,「賃貸オフィスの仲介業・ビル管理事業を手がける株式会社アットオフィス 代表取締役社長の大竹弘氏にインタビューしました。」とあり,「他社との差別化はどのようにされていらっしゃいますか?」の項に,「弊社のDBは,空室情報・満室情報が日々更新されており,24時間管理されています。」との記載がある。
http://release.vfactory.jp/interview/3.html

4 東建コーポレーション唐津支店のウェブサイト「賃貸ブログ」中,2010年9月3日付け「呼子の物件 満員御礼」と題する記事において,「本日は満室情報です」「唐津市呼子の物件『メゾンひばりヶ丘弐番館』が,8月で満室となりました!!!」との記載がある。
http://www.token-karatsu.com/blog/archive/101/

5 「マンションてんとうむし(M.tentoumusi)」の大家ブログ 2016年3月11日付け「空室満室情報更新します。」と題する記事において,「本日で満室となりました。」との記載がある。
http://mtentoumusi.wp.xdomain.jp/news/空室満室情報更新します。/

6 (株)ブルーボックスのウェブサイト「BLUE BOX関東版」中,2013年5月19日付け「ブルーボックス守谷店満室情報!」と題する記事において,「本日は新しく建てられた『メゾネットパーク』の中で,早くも申し込みが全て入ってしまった物件を1つご紹介させていただきます!」との記載がある。
http://www.bluebox-mp.com/blog/2013/05/19/091500.html

7 (株)ときわ不動産のウェブサイト「Tokiwa-Tachikawa」において,「広告掲載をお考えの方へ」中,「物件情報掲載 (月額20,000円,同一情報の継続掲載は翌月以降5,000円)」の項に,「満室の場合,満室情報掲載可能」との記載がある。
http://www.tokiwa-tachikawa.co.jp/ad.html

8 (株)パズルのウェブサイト「関西活性化プロジェクト」において,「参加企業紹介」中,「株式会社ブロードエンタープライズ」の「事業内容」として,「満室情報特化型サイト『満室経営ネット』の運営」との記載がある。
http://www.kansai-ap.biz/kigyo/株式会社ブロードエンタープライズ




審理終結日 2017-07-12 
結審通知日 2017-07-21 
審決日 2017-08-01 
出願番号 商願2015-72648(T2015-72648) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W3536)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 松江齋藤 貴博 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 冨澤 武志
大森 友子
商標の称呼 マンシツジョーホー、マンシツ 
代理人 橘 哲男 

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