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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y16
管理番号 1333323 
審判番号 取消2017-300013 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-01-11 
確定日 2017-09-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第682710号の2商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第682710号の2商標(以下「本件商標」という。)は,「プチ」の片仮名を横書きしてなり,昭和39年6月1日に登録出願,同40年8月3日に設定登録された登録第682710号商標の商標権の分割に係るものであって,第16類「印刷物」を指定商品として,平成27年6月5日を受付日とする商標権の分割移転の登録がされたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成29年1月24日である。

2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べた。
本件商標は,請求人の調査によれば,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが,その指定商品についての使用をしていないものであるから,その登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお,請求人は,被請求人の答弁に対し,何ら弁駁するところがない。

3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)漫画雑誌における使用について
ア プチコミックについて
被請求人は,漫画雑誌「プチコミック」の昭和52年(1977年)1月1日の創刊日から現在に至るまで,約40年間の長きにわたり継続して,本件商標を商品「漫画雑誌」について使用している。
「プチ」の使用例としては,平成27年(2015年)6月8日発行・発売の7月号では,表紙の左上部に配されている薄紫色の円状図形内において,「プチ」の片仮名が黒色の太字で,他の文字に比して目立つ態様で大書されている(乙1の6)。同様に,平成27年(2015年)7月8日発行・発売の8月号では,表紙の下部において「別冊付録」の文字の下に「プチ」の片仮名が黒色の太字で,他の文字に比して大書されており(乙1の7),さらに,同年8月8日発行・発売の9月号では,表紙の右上部に配されている黄色の円的図形の左側に,「プチ」の片仮名が太字で他の文字に比して大書されている(乙1の8)。
次に「PEtit」の使用例としては,全ての雑誌の背表紙に,月毎に色彩は異なるものの,背表紙上部に太字で横書きした「PEtit」の欧文字が縦に大きく配されている。さらに,平成28年(2016年)7月8日発行・発売の8月号では,表紙上部に「PEtit」の欧文字がオレンジ色の太字で横書されている(乙1の18)。
このような「PEtit」の欧文字の使用は,本件商標「プチ」と社会通念上同一の商標の使用に該当する。すなわち,「PEtit」からは「プチ」の自然な称呼が生じ,これは一般的な国語辞書を中心とした複数の辞書において「プチ」の語の欧文字表記として「petit」の語が掲載されていることから明らかで(乙2?4),称呼上は本件商標と同一の称呼を生ずる。さらに,「プチ」は「小さい,かわいい,ちょっとしたなどの意」(乙2)を意味し,「petit」も「小さい,幼い,少ない,ちょっとした」(乙5)を意味し,同一の観念が想起される。
ここで,上記各使用態様は,本件商標と同一の称呼及び観念が生ずることは明白で,商標法第50条第1項における社会通念上同一の商標に該当するものである。また,商品「漫画雑誌」は本件商標の指定商品「印刷物」に含まれる。
そのため,本件商標と社会通念上同一の商標を,本件商標の指定商品中「漫画雑誌」について,本件審判の請求の登録前3年以内(以下「本件要証期間内」という。)に使用していたことは明白である。
イ プチコミック増刊について
被請求人は,漫画雑誌「プチコミック増刊」の昭和53年(1978年)6月20日創刊から現在に至るまで,約39年間の長きにわたり継続して,本件商標を商品「漫画雑誌」について使用している。
具体的な使用態様を述べると,全ての雑誌の背表紙上部に太字で横書きされた「PEtit」の欧文字が縦に大きく配されている。さらに,全ての雑誌表紙の上部に「PEtit」の欧文字が,月毎に色彩は異なるものの,文字下部から上部に向かって色彩が濃くなるように,太字で大書されている(乙7の1?8)。
上記アで述べたとおり,「PEtit」の欧文字と本件商標は,片仮名とローマ字の相互間の使用の関係にあることから,社会通念上同一の商標の使用に該当する。また,販売している商品「漫画雑誌」は,本件商標の指定商品「印刷物」に含まれる。
そのため,本件商標と社会通念上同一の商標を,本件商標の指定商品中「漫画雑誌」について,本件要証期間内に使用していたことは明白である。
ウ プチコミック増刊「姉系プチ」について
被請求人は,漫画雑誌であるプチコミック増刊「姉系プチ」の平成22年(2010年)5月21日創刊から現在に至るまで,約7年間にわたり継続して,本件商標を商品「漫画雑誌」について使用している。
具体的な使用態様を述べると,全ての雑誌の表紙には,右上部に「プチ」の語がほとんどの号において,黒色で目立つ態様で大書されている。また,「プチ」の片仮名に重なるように,そのやや下に「PEtit」の欧文字が,号毎に色彩は異なるものの,太字で大書されている(乙8の1?12)。
「プチ」の片仮名部分からは「プチ」の自然な称呼が生じ,「PEtit」の欧文字部分も,上記アで述べたとおり,本件商標とは片仮名とローマ字の相互間の使用の関係にあることから,社会通念上同一の商標の使用に該当する。そして,販売している商品「漫画雑誌」は,本件商標の指定商品「印刷物」に含まれる。
そのため,本件商標と社会通念上同一の商標を,本件商標の指定商品中「漫画雑誌」について,本件要証期間内に使用していたことは明白である。
エ 取引の実情について
上記アからウに掲げる漫画雑誌は,正式名称を「プチコミック」として発売しているが,「コミック」の文字部分が「漫画雑誌」を意味するところ,印刷物との関係では普通名称に該当し自他商品識別機能が弱いことから,取引者,需要者層においては「プチ」と略して称呼され取引されるケースが少なからず存在している。そのため,被請求人においては,「プチ」や「PEtit」の文字を雑誌の表紙等で目立つ態様で表示している。
(2)幼児向け図鑑における使用について
被請求人は,平成20年(2008年)7月5日から現在に至るまでの約9年間にわたり継続して,本件商標を商品「図鑑」について使用をしている。
乙第9号証及び乙第10号証によれば,平成20年(2008年)7月5日発行の「小学館おやこ図鑑プチNEO」シリーズの「ことばあそび」及び「からだあそび」の表紙上部には,「小学館おやこ図鑑プチNEO(ネオ)」の文字を横書き一連に配されているところ,その態様をみると,「プチ」の文字部分は,赤色の横長楕円形状の図形内に白抜きで表されており,視覚上他の文字から独立して理解,認識されるものである。当該文字部分から「小さい,かわいい,ちょっとしたなどの意」程の観念が想起されることから,本件商標と社会通念上同一の商標の使用に該当する。
そして,販売している商品「図鑑」は,本件商標の指定商品「印刷物」に含まれる。
そのため,本件商標と社会通念上同一の商標を,本件商標の指定商品中「図鑑」について,本件要証期間内に使用していたことは明白である。
(3)第三者との取引書類について
乙第11号証は,平成28年(2016年)11月8日発売のプチコミック12月号(乙1の22)に係る各取次販売会社への配本数等が記載されている被請求人の社内データである。このデータには,上記コミックの配本に係る具体的なデータが記載されている。書類左上部には本のタイトルである「プチコミック12」と記載され,日付は具体的な配本がなされた期日が記載されており,その他には配本数,販売金額,取次販売会社名等が記載されている。
乙第12号証の1は,被請求人が製本を委託する新座出版工業株式会社が作成した,2016年11月1日付の,上記コミックに係る取次販売会社の一つである中央社への物品受領書の写しである。品名欄には「プチコミック12」と記載があり,数量欄には「870」と記載されている。
乙第11号証には,中央社への配本数が870と記載されており,乙第12号証の1の物品受領書に記載された納品数と一致し,本のタイトルも一致する。
このため,本件商標と社会通念上同一の商標が付された漫画雑誌が,要証期間内に独立した商取引の目的物として,一般市場の流通過程で供されていたことは明白である。
(4)ウェブでの使用例について
乙第13号証は被請求人のウェブサイトの写しであり,乙第14号証は日本最大級の雑誌のオンライン書店である「Fujisan.co.jp」のウェブサイトの写しであり,両ウェブサイトにおいて,上記(1)で述べた漫画雑誌が紹介されており,各雑誌の発売当初から平成29年3月13日まで,本件商標の付された漫画雑誌が継続的に販売されている事実がうかがえる。
このため,本件商標と社会通念上同一の商標を,本件商標の指定商品中「漫画雑誌」について,本件要証期間内において使用していたことは明白である。
(5)まとめ
以上より,本件商標「プチ」及び社会通念上同一の商標「PEtit」が付された漫画雑誌は昭和52年(1977年)の発売から現在に至るまで,全国的規模にて長年継続的に販売されてきたことは明白であり,さらに,本件商標「プチ」が付された図鑑も平成20年(2008年)の発売から現在まで継続的に販売されている。
したがって,本件商標は,商標法第50条第1項に該当しない。

4 当審の判断
(1)証拠及び被請求人の主張によれば,以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証の1は,「プチコミック」の名称の雑誌の表紙,背表紙及び裏表紙の写しであり,表紙には大きく男女の人物が描かれ,背表紙には「平成27年1月号(毎月8日発行・発売)」,「平成26年12月8日発行・発売」,及び「発行所 小学館 〒101-8001 東京都千代田区一ツ橋2-3-1」の記載があり,裏表紙下部には「雑誌」の記載がある。
イ 上記アの雑誌背表紙の上部には,横書きの「PEtit」(「i」の文字部分の一部は図案化してなる。)の文字を緑色の太字で上段に,その下段に上段の「it」の文字に幅を合わせて小さく「comic」の文字を緑色で書して,右90度に回転して縦に表した記載,及びその下部に「プチコミック」の片仮名を縦書きした記載がある(乙1の1)。
(2)以上の事実を総合勘案すれば,以下のとおり判断することができる。
ア 使用者及び使用時期について
本件商標権者である株式会社小学館は,月刊雑誌(毎月8日発行・発売)である「プチコミック」の平成27年1月号を,平成26年12月8日に発行,発売した。
イ 使用商品について
上記アの雑誌には,表紙に男女の人物が描かれているところ,これは掲載作品の人物を描いてなるものと解するのが自然であるため,使用商品は,漫画を掲載する「漫画雑誌」であると判断することができる。
そして,商品「漫画雑誌」は,本件商標の指定商品である「印刷物」の範ちゅうに含まれるものである。
ウ 本件商標と本件使用商標の同一性について
(ア)本件商標について
本件商標は,「プチ」の片仮名を表してなるところ,当該文字は「小さい」の意味を有する,我が国でも比較的親しまれたフランス語「petit」の表音を示したものと容易に理解でき(「広辞苑 第6版」岩波書店発行),これより「プチ」の称呼及び「小さい」の観念が生じるものである。
(イ)本件使用商標について
「プチコミック」の名称の雑誌(乙1の1)の背表紙には,上記(1)イのとおり,一部を多少図案化してなるものの「PEtit」の欧文字を表したものと容易に理解できる文字と「comic」の欧文字よりなる商標が,同色で同様に回転して縦に表されているところ(以下「本件使用商標」という。),両文字部分は段を異にし,文字の大きさ及び太さも著しく相違するため,その構成上の対比により,視覚上「PEtit」の文字部分が,顕著かつ独立した印象を受けるものである。
また,本件使用商標は,その構成中の「PEtit」の文字部分は「プチ」と発音し,「小さい」の意味を有するフランス語「petit」を表したものと容易に理解できる一方で,その構成中の「comic」の文字部分は「漫画本。コミックス。」の意味を有する英語であるから(前掲広辞苑),使用商品「漫画雑誌」との関係においては商品の普通名称を表示するにすぎず,両文字部分は表示言語の相違もあいまって,直接的な観念上のつながりもないため,「PEtit」の文字部分が,自他商品の識別標識として独立して表記されてなるとの印象を観念上与えるものである。
そうすると,本件使用商標は,その構成中の「comic」の文字部分はその指定商品との関係において,自他商品の識別標識としての機能を有さず,商標の同一性という観点からは重要性を持たない部分であり,顕著に表された「PEtit」の文字部分が,商品「漫画雑誌」に係る出所識別標識としての機能を果たし得るもので,商標の同一性を基礎づける中核的部分ということができる。そして,当該「PEtit」の文字部分から「プチ」の称呼及び「小さい」の観念が生じる。
(ウ)本件商標と本件使用商標の同一性
上記(ア)及び(イ)を踏まえて,本件使用商標のうち,商標の同一性を基礎づける中核的部分として把握される「PEtit」の文字部分を,本件商標「プチ」と比較すると,両者は欧文字と片仮名という文字種の相違及び僅かな図案化の有無から外観上の相違はあるものの,「プチ」の称呼及び「小さい」の観念をいずれも共通するものであることから,本件使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
エ 小括
以上によれば,本件商標権者である株式会社小学館は,本件要証期間内に,本件審判の請求に係る指定商品「印刷物」に含まれる商品「漫画雑誌」に,本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を付したものと認めることができる。
そして,上記使用行為は,商標法第2条第3項第1号に該当するものと認められる。
(3)まとめ
以上によれば,被請求人は,本件要証期間内に,日本国内において,商標権者が本件審判の請求に係る指定商品「印刷物」に含まれる商品「漫画雑誌」について,本件商標と社会通念上同一と認められる本件使用商標を使用していたことを証明したといえる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-07-18 
結審通知日 2017-07-21 
審決日 2017-08-01 
出願番号 商願昭39-24578 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y16)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 阿曾 裕樹
田村 正明
登録日 1965-08-03 
登録番号 商標登録第682710号の2(T682710-2) 
商標の称呼 プチ 
代理人 小川 雅也 
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