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審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効としない W03
審判 全部無効 観念類似 無効としない W03
審判 全部無効 称呼類似 無効としない W03
管理番号 1333322 
審判番号 無効2016-890070 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-11-18 
確定日 2017-09-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第5836526号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5836526号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成25年10月11日に登録出願、第3類「香料,薫料及び香水類,香水,精油,せっけん,皮膚用化粧品,化粧用クリーム,ローション,防臭用化粧品」を指定商品として、平成28年4月1日に設定登録されたものであり、その商標権は、現に有効に存続しているものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第2219231号商標(以下「引用商標1」という。)は、ゴシック活字で表した「LOVE」の文字を横書きしてなり、昭和46年8月5日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年3月27日に設定登録され、その後、同12年5月23日及び同22年2月2日に、商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、同年4月21日に、指定商品を第3類「化粧品,歯磨き,香料類,薫料」とする指定商品の書換の登録がされたものである。
2 登録第2219232号商標(以下「引用商標2」という。)は、ゴシック活字で表した「ラブ」の文字を横書きしてなり、昭和46年8月5日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年3月27日に設定登録され、その後、同12年5月23日及び同22年2月2日に、商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、同年4月21日に、指定商品を第3類「化粧品,歯磨き,香料類,薫料」とする指定商品の書換の登録がされたものである。
3 登録第2431617号商標(以下「引用商標3」という。)は、筆記体で表した「Love」の文字とゴシック活字で表した「ラブ」の文字を二段に横書きしてなり、昭和48年5月10日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成4年7月31日に設定登録され、その後、同14年5月28日に商標権存続期間の更新登録がされ、さらに、同16年3月3日に、指定商品を第3類「歯みがき,化粧品,香料類,薫料」及び第30類「食品香料(精油のものを除く。)」とする指定商品の書換の登録がされ、当該書換の登録がされた指定商品中の第3類の指定商品について、同24年3月27日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
4 登録第4277280号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成9年12月22日に登録出願、第3類「歯みがき,化粧品,香料類」を指定商品として、同11年5月28日に設定登録され、その後、同21年2月24日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
5 登録第4522976号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成13年1月9日に登録出願、第3類「歯みがき,化粧品,香料類」を指定商品として、同年11月16日に設定登録され、その後、同23年8月16日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
6 登録第5095768号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成18年4月18日に登録出願、第3類「化粧品,歯磨き,香料類」を指定商品として、同19年11月30日に設定登録されたものである。
7 登録第5439655号商標(以下「引用商標7」という。)は、「LOVE」の文字を標準文字で表してなり、平成19年6月25日に登録出願、第35類「化粧品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同23年9月16日に設定登録されたものである。
8 登録第5441415号商標(以下「引用商標8」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、平成20年2月1日に登録出願、第3類「化粧品,香料類,歯磨き」を指定商品として、同23年9月30日に設定登録されたものである。
(引用商標1?8をまとめていうときは、以下「引用各商標」という。)

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 本件商標と引用各商標の類似性
本件商標と引用各商標は、外観において非類似であるが、以下のとおり、称呼及び観念において類似する商標である。
(1)称呼について
ア 引用各商標は、その構成文字に相応して「ラブ」の称呼が生じる。
イ 本件商標は、その構成文字に相応した、「ラブクロエ」の称呼が生じる。しかし、本件商標からは、「ラブクロエ」の称呼のみならず、「LOVE」の文字より「ラブ」の称呼も生じる。その理由は以下のとおりである。
(ア)本件商標中の「LOVE」と「Chloe」は、二段に、異なる書体、異なる大きさで書され、かつ、「LOVE」がすべて大文字で書されているのに対し、「Chloe」は語頭の「C」のみが大文字で、他の文字は小文字である。したがって、本件商標中の「LOVE」と「Chloe」が外観上まとまりがないことは明らかであり、各構成要素に分離して把握、認識されるから、本件商標は、構成要素の一つである「LOVE」の文字に相応して、「ラブ」の称呼が生じる。
(イ)化粧品業界、特に香水業界においては、その香水の商品ブランドだけではなく、知名度を有する社名ブランドも併せて表記することが一般的である(甲1、甲2)。そして、社名ブランドと商品ブランドの双方が付された商品に接した需要者、取引者は、社名ブランドを見ることによりその商品の出所を認識し、商品ブランドを見ることにより、より自分の好みに合った品質や機能を有する商品であること確認することからすれば、社名ブランドも商品ブランドも、それぞれが独立して商標の機能を果たしているといえる。
そうすると、本件商標は、その構成中の「Chloe」の文字が、その周知度により、社名ブランドとして認識され、もう一つの構成要素である、「LOVE」の文字が、商品ブランドとして認識される。そして、社名ブランドと商品ブランドの組み合わせからなる商標について、商品ブランドが、社名ブランドよりも小さく目立たない態様で表記されているとしても、商品ブランドも商標の一つとして商品を特定、認識し、そこから生じる称呼をもって取引に当たるというべきであり、そのように判断された例も存在する(甲3?甲5)。
したがって、本件商標についても同様に、「LOVE」の文字が「Chloe」の文字より小さく書されているとしても、商品ブランドである「LOVE」が「Chloe」とは独立した商標として取引に資され、これより「ラブ」の称呼が生じるというべきである。
(ウ)本件商標は、審査において引用商標1及び5が引用されて拒絶査定がされ、拒絶査定不服審判(不服2015-15054)を経て登録されたものである。この審判において、本件商標は、商標全体から「クロエから愛を」といった意味合いを想起させるから「ラブクロエ」の称呼を生じる、あるいは「Chloe」の文字部分から「クロエ」の称呼は生じるが、「LOVE」の文字部分に相応した称呼、観念をもって取引に資するということはない、と認定された。
しかし、本件商標は、社名ブランドと商品ブランドとの組合せからなり、前記(イ)のとおり、香水業界では、社名ブランドと商品ブランドとは、それぞれ独立に商標として認識されるものであるから、少なくとも香水に使用される商標については、社名ブランドと商品ブランドが一体として認識されたり、一体として観念上のまとまりを有するものと認識させることはない。
この点で、上記拒絶査定不服審判での認定は誤りである。
前記香水に使用される商標の役割を踏まえれば、本件商標は、「クロエ」というブランドメーカーが作った「ラブ」という香水と認識し、「LOVE」も香水の商標としての認識のもと、これより「ラブ」の称呼が生じるというべきである。
ウ 以上によれば、本件商標は、引用各商標とは、「ラブ」の称呼を共通にする。
(2)観念について
ア 引用各商標は、その構成文字に相応して「愛、愛する」といった観念が生じる。
イ 前記のとおり、本件商標中の「LOVE」及び「Chloe」は、それぞれ独立して商標としての機能を発揮するものである。よって、本件商標からは「Chloe」に相応した「ブランドメーカーとしてのクロエ」以外に、個別商品名としての「LOVE」から「愛、愛する」の観念を生じるということができる。
ウ したがって、本件商標と引用各商標は、観念を同じくする。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、称呼上及び観念上、引用各商標と類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第46条第1項第1号の規定によりその登録は無効とされるべきである。

第4 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
1 本件商標と引用各商標の非類似について
(1)請求人は、本件商標から「ラブ」の称呼が生ずるとして、その理由を前記第3 1(1)イ(ア)?(ウ)で述べているが、いずれも誤りというべきである。
ア 請求人主張の(ア)について
本件商標中の「LOVE,」の文字と「Chloe」の文字は、フォントや大きさが相違し、二段書きに構成されているが、これらの構成部分が著しく離れているわけでもなく、両部分の色彩も同一であり、「LOVE,」が「Chloe」の中央に収まるようにバランスよく配置されている。さらに、本件商標から生ずる称呼「ラブクロエ」も格別冗長といえるものでもない。
請求人は、本件商標中の「LOVE」の文字と「Chloe」の文字の外観上の相違に拘りがあるようだが、これらが、後述する本件商標における観念的な一体性を凌駕するまでには至らず、加えて、著名ファッションブランドにおける恒常的な取引の実情と、需要者等がどのような称呼をもって本件商標を特定し認識しているかを鑑みれば、請求人の主張は全く的外れな見解である。
また、本件商標における「LOVE」の文字は、「愛、愛する」の意味を有する汎用的な既成語であり、「Chloe」の文字は、本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)のブランド又は商標権者の略称として広く知られたものであることを踏まえれば、たとえ「LOVE」から「ラブ」の称呼が生じ、「愛、愛する」の観念が生じても、本件商標の構成全体から「クロエから愛を込めて」程の意味合いを連想・想起するか、あるいは「Chloe」の文字部分に相応して、「クロエ」又は「クロエのラブクロエ」の観念のみが生じて、全体として「ラブクロエ」の称呼のみしか生じないとみるのが自然であり、本件商標が、「Chloe」部分の著名性ゆえに、「LOVE」部分と「Chloe」部分に分離され、「LOVE」の部分のみで取引に資するとは想定できない。
さらに、化粧品等を指定商品とし、構成中に「LOVE」の文字を含む他人の商標が多数併存登録されている実情からみても、請求人の主張は全く根拠がないものである(乙2)。その他、構成中に「LOVE」以外を含む場合も同様の事例が多数ある(乙3)。
イ 請求人主張の(イ)について
商標権者は、本件商標の使用に当たり、2010年に発表会を行い、大手マスコミ関係社のジャーリスト、有名芸能人、大手ファッション雑誌の読者モデル等を多数招待し、本件商標を付した商品が「LOVE,Chloe(ラブクロエ)」であることを大々的に告知した。さらに、「LOVE,Chloe(ラブ、クロエ)」とは別に、「Love,Chloe Eau Intense(ラブ、クロエ オー インテンス)」が、「『Love,Chloe(ラブ、クロエ)』にオリエンタルな深み、重みが加わりました。」及び「Love,Chloe Floral(ラブ、クロエ オー フローラル)」が「『Love,Chole(ラブ、クロエ)』の香りに、スイートピーが加わり、よりフレッシュでライトなバージョンになりました。」と紹介されているように、需要者等には、商品名が「ラブ」などとは全く認識されていない事情がある(乙4、乙5)。また、本件商標について、多くの需要者が頻繁に情報発信や意見交換をしている実情もある(乙6)。加えて、化粧品ユーザーを対象としたアンケート調査を行ったサイト等でも「Chloe」が常に上位にランクインしていることからも、本件商標に接する取引者・需要者が、単に「ラブ」「LOVE」であると認識することなど到底想像もつかないものである(乙7)。
したがって、本件商標が付された化粧品が発売開始から既に5年以上経過し、多くの需要者に「LOVE,Chloe(ラブクロエ)」として認識されている以上、上記主張は明らかに誤解といえる。
ウ 請求人主張の(ウ)について
本件商標のほかにも、「see by chloe(シーバイクロエ)」や「Roses De Chloe(ローズドクロエ)」など、社名ブランドを含んだ商品ブランドは多数存在し、多くの取引者、需要者は既にこのような商標使用について認知し理解している。同様に本件商標を多くの取引者・需要者が「LOVE,Chloe(ラブクロエ)」と認識しているにもかかわらず、「社名ブランドと商品ブランドが一体として認識され、一体として観念上のまとまりを有するものと認識されることはない。」旨の請求人の主張は到底許されない。
(2)本件商標から生じる観念についての請求人の主張の誤り
本件商標は既に多くの取引者、需要者によって「ブランドメーカーとしてのラブクロエ」又は単に「ラブクロエ」として認識されており、本件商標から単に「愛、愛する」の観念は想起できないものである。
加えて、本件商標に係る拒絶査定不服審判において、本件商標全体から「クロエから愛を」という意味合いが想起できるから「ラブクロエ」の称呼が生じ、あるいは「Chloe」の文字部分から「クロエ」の称呼は生じるが、「LOVE」の文字部分に相応した称呼、観念をもって取引に資することはない、と認定したのも、本件商標中の「,」部分にも着目して、これを「結びの役割をなすカンマ」であると理解したからである。
したがって、本件商標から「クロエから愛を」「クロエから愛を込めて」という一体的な観念が自然と想起できる(乙10)。
(3)本件商標を看取するに当たっての重要な要素
ア 本件商標の指定商品について
本件商標の指定商品である化粧品は、医薬品や医薬部外品と同様、使用方法を誤るなどすると、身体に危険を及ぼす商品であるから、多くの需要者は購入時に高い注意を傾け、単に商標のみに着目して購入するとは到底想定できない。加えて、化粧品を購入する場合、多くの需要者は、試供品を入手し、又は、店頭等で試用(試し塗り・塗布)をしながら購入を決めるのが現実である(乙11)。さらに、本件商標のような高級ブランド商品であれば、通常は対面販売が基本であり、本件商標を引用各商標とを誤って認識し、商品購入をするなど全くないといえる。
また、本件商標が付された商品が「Chloe(クロエ)」のほかに「LOVE,Chloe(ラブクロエ)」として表示され、紹介されている実情からも、需要者・取引者が到底、引用各商標が付された商品と勘違いして購入するおそれはない(乙12)。
イ 引用各商標の自他商品識別力について
「LOVE」の語は、化粧品業界(特に、ユーザー等)において、それほど自他識別力がない。すなわち、多くの需要者等が「お気に入りの化粧品」について「LOVEな化粧品」「美肌LOVE」「手作りコスメLOVE」などと称して自己のブログ等で紹介していることからも、「LOVE」の文字は、単に「お気に入り化粧品」の意味合いで理解されている事情がある(乙13)。
ゆえに、今では引用各商標は、全体をもって自他識別力がない、又は、弱い文字で構成された商標である。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、称呼上及び観念上引用各商標と類似するものでないため、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

第5 当審の判断
請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有する者であることについて、当事者間に争いがない。また、請求人は、本件審判を請求するにつき、請求人適格を有するものと認められる。よって、以下、本案に入って審理する。
1 本件商標と引用各商標の類否について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲(1)のとおり、やや小さく表した「LOVE」の文字と該文字に続けてコンマの記号を表す「,」を横書きし、これらの文字と記号の下に、大きく表した「Chloe」の文字(「e」の文字には、アクサンテギュが付されている。以下同じ。)を横書きしてなるものであるところ、上段の「LOVE,」の文字及び記号の部分と、下段の「Chloe」の文字部分とは、文字の大きさ、書体において異なるものの、大きく表した「Chloe」の上段にやや小さく表した「LOVE,」がバランスよく配され、全体として、外観上まとまりよく一体的に表されているものである。
また、本件商標中の「,」の記号部分は、「欧文の句読点の1。日本語の読点『、』に相当する。」(コンサイスカタカナ語辞典第4版)ものであって、「一つの文の内部で、語句の断続を明らかにするために、切れ目に施す点」(広辞苑第6版の「読点」の項目)を意味するものであるから、「LOVE,」と「Chloe」とは、一続きの語句を表したと認識される場合が多いとみるのが相当であり、外観上の一体性を併せみると、構成全体をもって、「愛を込めて、クロエ」なる意味合いを表したものと理解されるといえる。そして、本件商標を構成する文字全体から生ずると認められる「ラブクロエ」の称呼も無理なく一気に称呼し得るものである。
そうとすれば、本件商標は、その構成文字に相応して「ラブクロエ」の一連の称呼のみを生ずるものであって、その構成中の「LOVE」の文字部分のみが独立して把握、認識されるものではないから、単に「ラブ」の称呼及び「愛、愛する」の観念は生じないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、「ラブクロエ」の称呼及び「愛を込めて、クロエ」の観念を生ずるものと認める。
(2)引用各商標
前記第2のとおり、引用各商標は、「LOVE」、「ラブ」又は「Love」の文字のいずれかあるいは上下二段の組み合わせからなるものである。
したがって、引用各商標は、その構成文字に相応して、いずれも「ラブ」の称呼及び「愛、愛する」などの観念を生ずるものと認める。
(3)本件商標と引用各商標との類否
まず、本件商標と引用各商標は、それぞれ前記のとおりの構成よりなるものであるから、外観上明らかに相違するものである。
次に、本件商標より生ずる「ラブクロエ」の称呼と引用各商標より生ずる「ラブ」の称呼は、「クロエ」の音の有無という顕著な差異を有するものであるから、それぞれの称呼を全体として称呼した場合は、称呼全体の語調、語感が相違したものとなり、明瞭に聴別し得るものである。
また、本件商標より生ずる「愛を込めて、クロエ」の観念と引用各商標より生ずる「愛、愛する」などの観念は、同一のものとはいえず、したがって、本件商標と引用各商標は、観念上非類似の商標と認める。
以上によれば、本件商標は、引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本件商標中の「LOVE」と「Chloe」は、異なる書体・大きさで二段に書され、かつ、すべてが大文字で書されているか、語頭のみ大文字で他の文字は小文字であるかの差異を有し、外観上まとまりがなく、それぞれの構成文字に相応した称呼が生ずるから、本件商標は、「LOVE」の文字より「ラブ」の称呼及び「愛、愛する」の観念が生ずるものであって、当該称呼及び観念は、引用各商標より生ずる称呼及び観念と同一である旨主張する。
しかしながら、前記1(1)のとおり、本件商標は、その構成中の「LOVE,」と「Chloe」との外観上の一体性は決して弱いものとはいえないばかりか、「,」(コンマ)を有することにより、両文字の観念上の一体性も強固なものとして把握、認識されるものである。さらに、本件商標全体より生ずる「ラブクロエ」の称呼も冗長なものとはいえず、むしろ簡潔なものといえる。したがって、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の商標を表したと認識されるというべきである。
(2)請求人は、本件商標中の「Chloe」は、日本においても知名度のあるファッションブランドであることから、社名ブランドとして、また、「LOVE」は、商品ブランドとして、それぞれ認識されるから、「LOVE」の文字部分は、独立して商標としての機能を発揮し、本件商標は、これより「ラブ」の称呼及び「愛、愛する」の観念が生ずる旨主張する。
確かに、「Chloe」は、申立人の業務に係る香水等の化粧品を表示するものとして、我が国の化粧品を取り扱う分野の取引者・需要者の間に広く知られている商標であり、また、本件商標において、「Chloe」の文字部分が大きく表されているところから、本件商標は、「Chloe」の文字部分より「クロエ」との単独の称呼が生ずる余地がないとはいえない。しかしながら、前記1(1)のとおり、本件商標は、「LOVE」の文字に続けてコンマの記号「,」を書してなるものであり、全体として、「愛を込めて、クロエ」の意味合いを理解させ、「LOVE」の文字部分と「Chloe」の文字部分との観念上の結びつきが強く、外観上の一体性を併せみると、構成全体をもって一体不可分の商標を表したと認識されるものである。加えて、本件商標を使用した香水は、発売当初より、「LOVE,Chloe」と表記されて紹介され、その後も、インターネット情報等において、その需要者等により、「LOVE,クロエ」、「ラブ クロエ」、「ラブクロエ」、「クロエのラブクロエ」などと表記され、需要者においても、「LOVE,Chloe」全体が、商標権者の業務に係る香水の出所識別標識として認識しているといえる(乙5、乙6)。
そうすると、本件商標は、商取引の実際においても、その取引者、需要者に、構成全体をもって一体不可分の商標を表したと認識されているものである。一方、「LOVE(ラブ)」の語は、「愛、愛する」等の意味を有し、日常の生活のみならず商業上の宣伝広告にも頻繁に使用される極めて平易な英単語といえるものであり、「LOVE(ラブ)」の語それ自体は、化粧品の主たる需要者である女性を中心とした一般の消費者に対して強い印象を与えるものとはいえない。してみれば、本件商標は、その外観、称呼及び観念によって取引者・需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、化粧品を取り扱う業界における取引の実情を考慮して全体的に考察すると、構成全体をもって「ラブクロエ」の称呼及び「愛を込めて、クロエ」の観念を生ずるものであって、その構成中の「LOVE」の文字部分のみが独立して把握、認識されるものではないから、単に「ラブ」の称呼及び「愛、愛する」の観念は生じないというべきである。
(3)請求人は、本件商標に係る拒絶査定不服審判における審決の認定は誤りである旨主張する。
しかしながら、本件商標より生ずる称呼及び観念は、前記1(1)のとおりであり、これと同趣旨の上記審決の認定に誤りはなく、本件商標から「ラブ」の称呼及び「愛、愛する」の観念が生ずるとする請求人の主張は、前提において既に失当というべきある。
したがって、請求人の主張はいずれも理由がない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項第1号の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1)(本件商標)



別掲(2)(引用商標4)


別掲(3)(引用商標5)


別掲(4)(引用商標6)
(色彩は原本参照。)


別掲(5)(引用商標8)



審理終結日 2017-04-12 
結審通知日 2017-04-20 
審決日 2017-05-08 
出願番号 商願2013-79802(T2013-79802) 
審決分類 T 1 11・ 263- Y (W03)
T 1 11・ 262- Y (W03)
T 1 11・ 261- Y (W03)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 大森 友子
冨澤 武志
登録日 2016-04-01 
登録番号 商標登録第5836526号(T5836526) 
商標の称呼 ラブクロエ、ラブ、クロエ 
代理人 小谷 悦司 
代理人 川瀬 幹夫 
代理人 並川 鉄也 
代理人 特許業務法人 松原・村木国際特許事務所 
代理人 小谷 昌崇 
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