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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W22
管理番号 1332411 
異議申立番号 異議2017-900171 
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-24 
確定日 2017-09-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5925134号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5925134号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5925134号商標(以下「本件商標」という。)は,「シャインロープ日本の伝統色」の文字を標準文字で表してなり,平成28年8月25日に登録出願,第22類「ロープ及びひも」を指定商品として,同29年1月12日に登録査定,同年2月24日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第2721490号商標(以下「引用商標」という。)は,「日本の伝統色」の文字を横書きしてなり,平成2年11月21日に登録出願,第26類「色見本帳」を指定商品として,同9年5月16日に設定登録,その後,同19年2月21日に,第16類「色見本帳」とする指定商品の書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第49号証(枝番を含む。なお,枝番すべてを示すときには,以下,枝番を省略する。)を提出した。
(1)本件商標と引用商標との類否
引用商標は,漢字及び平仮名からなる「日本の伝統色」の文字を書してなる。一方,本件商標は,片仮名,漢字及び平仮名からなる「シャインロープ日本の伝統色」の文字を書してなるものであり,引用商標である「日本の伝統色」の文字をその構成中に含むものである。
ここで,本件商標は,外観上,構成文字種の相違及び観念上において,「シャインロープ」と「日本の伝統色」とが密接に関連するといった事情もないから,「シャインロープ」部分と「日本の伝統色」部分とに容易に分離して認識・把握される。また,商標全体の称呼は非常に冗長であるから,「シャインロープ」部分と「日本の伝統色」部分とに分かれて称呼される。
したがって,本件商標は,外観,観念,称呼のいずれの観点からも全体で一連一体で認識・把握されるといえるものではなく,「シャインロープ」部分と「日本の伝統色」部分とに分離して認識・把握されるものである。そして,一義的に定まる「日本の伝統色」なる具体的な色彩は存在しないのであり,ゆえに「日本の伝統色」の文字は,本件商標の指定商品の特徴等を直接的,具体的に表示するものではない。
この場合において,本件商標は,「日本の伝統色」部分も単独で類否判断の対象となり,これは引用商標と同一の表示であり,本件商標と引用商標は類似する。
(2)引用商標の周知・著名性
引用商標は,商標法第3条第2項適用により登録を認められている(甲2)。したがって,その指定商品「色見本帳」において著名性を獲得していることに,疑いはない。
申立人の引用商標を使用した「色見本帳」は,1978年の初版発行以来,版を重ね,現在は第8版が制作・販売されている(甲3?甲5)。今日までの総発行部数は19万8千部に及び,総販売金額は10億円に迫る。
また,「日本の伝統色」を含む「色見本帳」の商品カタログ(甲5)は,古くから発行されているが,直近では2011年7月に5千部,2014年3月に5千部,2016年6月に2千部が発行されている。
さらに,「日本の伝統色」に係る企業広告は,広告界で確固たる地位を築き上げている総合広告コンクールであるフジサンケイグループ広告大賞の第33回(2004年)において,クリエイティブ部門の優秀賞(雑誌)を獲得している(甲6)。雑誌等での宣伝広告の例として,1997年の創刊以来20年の長きにわたりクラシック音楽情報を提供し続け,10万部の発行部数といわれる月刊誌である「MOSTLY CLASSIC」(産経新聞社発行)の2003年5月号から2004年4月号に広告が掲載された(甲7)。
こうしたことからは,「色見本帳」に係る引用商標は,その設定登録時(平成9年5月16日)よりますます,本件商標の登録出願時において著名性を高めているということができる。
世の中のあらゆる商品は,色彩の無い商品というものはおよそ考え難く,「色見本帳」は,世の中のあらゆる商品・広告のデザイン・開発において欠かせないものである。したがって,「色見本帳」は,世の中のあらゆる商品分野に関係して使用されるものであり,ゆえに,「色見本帳」において周知・著名な引用商標が何らかの商品分野において使用された場合,これは,申立人と何らかの経済的又は組織的な関連性を容易に想起させ,商品の出所について混同を生じるのは必定である。
(3)周知・著名性の拡がり
引用商標は,指定商品「色見本帳」に係る登録であるが,申立人の重要商標として,「色見本帳」と関連する事業分野や,申立人が展開するその他の事業分野と関連して積極的に使用され,本件商標の登録出願時において既に,著名性の商品範囲は大きく拡がっている。
ア 各種商品における使用(甲8?甲17)
後述のとおり,申立人は,印刷インキの製造・販売で創業し,その基礎素材である有機顔料,合成樹脂の事業を拡大し,自動車,家電,食品,住宅,その他生活関連分野に活動を広げるグローバル企業である。申立人のグループ各社では,様々な事業を営んでいるが,「色見本帳」から出発した引用商標は,申立人グループを容易に想起させる商標として,様々な商品へと展開されている。
ちなみに,申立人の100%子会社であるDICカラーデザイン株式会社(以下「DICカラーデザイン社」という。)により制作・販売されている「日本の伝統色」関連商品の制作・販売実績は,甲第18号証のとおり,いずれの商品も本件商標の登録出願日前から制作・販売されている。
イ 展示会での使用
申立人は,「不燃化粧板」において引用商標を使用しているが(甲8),建築・建材の展示会である第18回建築・建材展2012において,「日本の伝統色」を前面に押し出したブースを設営し,展示会来場者に対して,「日本の伝統色」を用いた積極的な訴求活動を行っている(甲19?甲22)。展示会において配布されたリーフレットや紙袋も「日本の伝統色」が使用され(甲20?甲22),「日本の伝統色」は,建材分野において申立人の出所識別標識として強く印象づけられている。
ウ 販促品での使用(甲23?甲26)
申立人は,申立人及びグループ各社により展開する様々な事業活動において,「日本の伝統色」を使用した多数の販促品を,本件商標の登録出願日前より制作・使用している。
こうした販促活動を通じて,「日本の伝統色」はますます,「色見本帳」以外の多くの商品にも関連して,申立人の出所識別標識として認識されるものとなっている。
エ 各種媒体(新聞・ラジオ)・コラボレーション企画(甲27?甲34)
申立人の「日本の伝統色」は,新聞やラジオといった媒体で取り上げられるとともに,昨今,“色”をキーワードとした広告宣伝活動が盛んに行われるようになっているところ,申立人グループの有する色彩資産を利用したいというお客様の要望が多数あり,申立人の「日本の伝統色」と本件商標の登録出願日前にコラボレートした企画が多々展開されている。
こうした各種媒体での紹介や他者とのコラボレーション企画を通じて,「日本の伝統色」はますます,「色見本帳」に限定されることなく,一般の消費者らにおいても,申立人の出所識別標識として認識されるものとなっている。
オ 教育活動・講演活動(甲35?甲38)
申立人は,「日本の伝統色」に関して,色彩における知見を生かした教育活動(色育活動)・社会貢献活動や講演活動を積極的に行っている。こうした活動を通じて,「日本の伝統色」は,学生・生徒,一般の消費者らにおいて,申立人の出所識別標識として認識されるものとなっている。
カ 顧客接点での使用
申立人及びグループ各社は,顧客と接する際に従業員が使用する名刺において,「日本の伝統色」を使用しており(甲39),こうした使用により,申立人の出所識別標識としての「日本の伝統色」の周知度はますます高まっている。また,申立人グループ会社では,多くの人の目に触れるウェブページにおけるトップメッセージにおいて,「マイ・カラー」として「日本の伝統色」を取り上げている(甲40)。
「日本の伝統色」の出発点は「色見本帳」であるが,「色見本帳」はあらゆる商品分野で使用されるものであるところ,申立人は,そうした特徴を利用し,上述したとおり,「日本の伝統色」を様々な商品に拡大展開している。その上,展示会や販促活動,顧客と接する場面において「日本の伝統色」を積極的に使用し,あらゆる商品分野の多数の需要者・取引者に,これが申立人の出所識別標識であることを知らしめている。
さらには,他者とのコラボレーション企画や,教育・講演活動を行い,各種媒体で取り上げられることで,一般消費者や学生・生徒らにも,「日本の伝統色」が,申立人の出所識別標識であることが認知されている。こうした結果,「日本の伝統色」は,申立人の周知・著名商標として認識されるものとなっているということができる。
(4)多角経営・商品の関連性
申立人は,1908年に印刷インキの製造・販売で創業し,その基礎素材である有機顔料,合成樹脂の事業を拡大するとともに,関連する技術を素材から加工に至る広範な製品群に活用し,自動車,家電,食品,住宅,その他生活関連分野に活動を広げる,100年以上の歴史を誇るグローバル企業である。グループ会社数は,174社(国内31社,海外143社)を数え,連結従業員数は2万人を超える(甲41の1から4)。そして,申立人及びグループ各社は,日常のあらゆる生活シーンに欠かせない,ありとあらゆる商品を製造・販売している(甲41の5)。
このように,事実,申立人は,多角経営を行っており,本件商標の商品分野への進出は当然に考えられる。実際にも,本件商標の指定商品である「ロープ及びひも」に関連するところでは,例えば,申立人の子会社であるDICプラスチック株式会社が,「ひも(ベルト)」や「ロープ」がセットされた「散布・収穫桶」(甲42,甲43)や,「苗かご」(甲44,甲45)を製造販売している。
(5)本件商標の指定商品分野における実際の関連性・共通性,取引者らの共通性
本件商標権者のホームページによれば,「会社概要」の「仕入先」に申立人(旧名称:大日本インキ化学工業(株))が明記されている(甲46)。
この点は,本件商標権者が取り扱う本件指定商品(ロープ等)は,材質が「ポリプロピレン」であり,緑色や黒色等の着色加工がなされている(甲47)。ポリプロピレン等のプラスチックを着色する方法としては,「マスターバッチ法」というものがあり,これは,顔料濃度の高い色付き材料を,材料ペレットに混ぜ合わせる方法であるが,申立人は,このマスターバッチの製造販売を行っている。また,材料ペレットに顔料を混ぜ合わせる「練り込み法」等の着色方法もあり,申立人は,この顔料の製造販売も行っている。
したがって,本件商標権者は,本件指定商品を製造するにあたり,本件商標権者が明記するとおり,申立人が製造販売する材料を仕入れているということが考えられ,両者は,非常に近しい関係にある。
加えて,本件商標権者が取り扱うロープ等の材質である「ポリプロピレン」は,申立人が取り扱うマスターバッチの原料でもあるため,両者の取引者らは,当然に共通するものである。
さらには,本件商標権者の事業内容(甲46)は,申立人の事業内容(甲48)と同一である。
こうしたことからは,本件商標権者と申立人は,実際に本件商標の指定商品分野において密接な関連性があり,取引者らも共通することは明らかである。
(6)本件商標と引用商標との誤認・混同のおそれについて
本件商標と引用商標との類似性の程度,引用商標の周知・著名性の程度,申立人の多角経営の実態,商品の関連性,さらには,本件商標の指定商品分野における本件商標権者と申立人の実際の関連性・共通性や取引者らの共通性の実情等を総合的に考察すれば,本件商標がその指定商品に使用された場合には,それがあたかも周知・著名商標である「日本の伝統色」に係る申立人の製造・販売する「ロープ及びひも」であるかのごとく誤認され,そうでなくとも,何らかの密接な営業上の関連性を想起させ,あたかも申立人のグループ会社か,あるいは許諾を受けた者に係る商品であるかのごとく誤認させ,商品又は営業上の出所混同を生じるおそれは極めて高い。
さらに,本件商標のように引用商標と類似する商標が使用された場合には,周知・著名商標である「日本の伝統色」に化体された業務上の信用やブランドイメージにただ乗りされ,それが希釈化されるに至るのは必定である。この点,本件商標権者が仕入先として申立人を明記していることからは,本件商標権者が申立人の周知・著名商標である「日本の伝統色」を認識していたことは当然考えられる。また,本件商標権者の実際の使用態様が,本件商標の「シャインロープ日本の伝統色」ではなく,「日本の伝統色シリーズ」であることからも(甲47),申立人による「日本の伝統色」に化体された業務上の信用やブランドイメージにただ乗りする意図が十分に推認できる。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知著名性について
申立人の提出した証拠(甲3?甲48)によれば,以下の事実が認められる。
ア 引用商標は,指定商品「色見本帳」について,商標法第3条第2項適用により,商標公報に掲載された(甲2)。
イ 引用商標を使用した商品「色見本帳」は,1978年(昭和53年)以来(甲27),申立人のグループ企業であるDICグラフィックス社により,「DICカラーガイド」のシリーズの一つとして「日本の伝統色」の名称で制作・販売され(甲3?甲5),また,当該商品のパンフレット及びカタログには,「日本の伝統色」の文字とともに「日本古来の色表現を今に伝える伝統色の数々。」(甲3の2)及び「日本古来の色表現を今に伝えるべく,各チップに伝統色名と,その由来,エピソードなどを盛り込みました。」(甲4,甲5)等の説明文が記載されている。なお,2016年(平成28年)6月現在で,申立人に係る商品「色見本帳」である「日本の伝統色」は第8版が制作・販売されている(甲3の2及び甲5)。
ウ 作品名「日本の伝統色シリーズ」に係る企業広告は,フジサンケイグループ広告大賞の第33回(2004年(平成16年))において,クリエイティブ部門の優秀賞(雑誌)を大日本インキ化学工業株式会社(申立人の旧名称。以下「大日本インキ化学」という。)が獲得しており(甲6),雑誌の広告例として,月刊誌である「MOSTLY CLASSIC」(産経新聞社発行)の2003年(平成15年)5月号から2004年(平成16年)4月号に大日本インキ化学の商品「色見本帳」が「日本の伝統色」の表示とともに,各号毎に青竹色,水色,紺碧等の色名が,その色彩の説明とあわせて記載されている(甲7)。
エ 商品「色見本帳」以外の商品についての「日本の伝統色」の文字の使用
(ア)「化粧ケイカル板/日本の伝統色」(甲8)の説明文に「日本には古来より多彩な伝統色が継承されています。」と記載されている。
(イ)申立人のPress Release(2015年(平成27年)4月16日:甲9)には,「DICカラーデザイン社デザインによる『日本の伝統色-色鉛筆-平安の色・雅』が『第54回ジャパンパッケージングコンペティション 一般雑貨部門賞』を受賞」の見出しの下,「『日本の伝統色-色鉛筆-平安の色・雅』は,古来より高貴な色とされる濃紫(こきむらさき)や黄丹(おうに)・・・などの,・・・日本古来より伝わる色彩をそれぞれ12本の色鉛筆で表現しました。」と記載されている。
(ウ)日本の伝統色関連商品 制作・販売実績(DICカラーデザイン社:甲18)をみると,商品「日本の伝統色キャンドル」は2004年3月から制作され2015年(平成27年)3月に,商品「日本の伝統色箸」は2006年3月から制作され2008年(平成20年)6月に,及び商品「日本の伝統色手ぬぐい」は2010年6月から制作され2014年(平成26年)7月に,それぞれ販売終了となっている。
そして,商品「日本の伝統色扇子」は,2010年(平成22年)から2016年(平成28年)の販売個数が年平均約400個,商品「日本の伝統色カードケース」は,2015年(平成27年)及び2016(平成28年)年の販売個数が年平均約75個,商品「日本の伝統色ブックカバー」は,2016年の販売個数が164個程である。
また,具体的な使用例として,オリジナルグッズの注文用紙の商品「日本の伝統色キャンドル」の説明文には,「DICカラーガイド『日本の伝統色』から,花の色をモチーフにキャンドルをつくりました。右上から時計回りに『藤色』『松葉色』『桃花色』『桔梗色』『牡丹色』『黄水仙』『紅梅色』『桜色』です。」と記載,「日本の伝統色手ぬぐい 竹」の説明文には,「明るくさわやかな印象の『若竹色』と『青竹色』を用いて,手ぬぐいをつくりました。」と記載(甲10),商品「日本の伝統色扇子 紅梅(こうばい)」の説明文には,「涼やかな印象の『瓶覗』,落ち着きのある『山藍摺』に,本年は華やかな色彩の『紅梅』が追加になりました。」と記載(甲12),及び商品「日本の伝統色 カードホルダー&ブックカバー」の紹介については,「日本の伝統色が彩る/DICオリジナルグッズ新登場」(甲13)と記載され,その注文用紙には,「男性にも女性にも使いやすい色調を,日本の伝統色からセレクト。」等の説明文が記載され,「深緋(こきひ)」,「桧皮(ひわだ)」,「灰白(はいじろ)」の記載とともに3種類の商品「カードホルダー」が掲載されている(甲14)。
(エ)展示会「建築・建材展2012」における使用
「今回の展示では,江戸時代の流行色である『四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)』をテーマに,DICカラーガイド『日本の伝統色』から選出した17色による不燃化粧板の壁面展示や,パール調の不燃化粧板・・・」と記載(甲19),「日本の伝統色から17色をセレクト」として,「ぎんねず/銀鼠」,「さくらねず/桜鼠」,「りきゅうしらちゃ/利休白茶」等の記載の横に異なる17の色彩が表示されている(甲20)。
(オ) 販促品での使用
販促品「日本の伝統色 折鶴クリーナー」については,「折鶴のデザインは,日本の文化を感じられる和テイストで誂え,ボディーカラーもDICカラーガイド『日本の伝統色』でラインアップしています。」と記載(甲23),「JAPANブランドとして世界に誇る『今治タオル』とDICカラーガイド『日本の伝統色』がコラボしたタオルハンカチの登場です!!」の記載,販促品「タオルハンカチ」については,「ALL 6 colors」の見出しとともに,タオルの色が「江戸紫」,「萌葱色」,「紺青」,「石竹色」,「卵色」及び「薔薇色」の文字が表された色彩の異なる商品「タオル」が掲載(甲24),及び販促品「テディベアマスコット」については,「『日本の伝統色』をカラーソースとした,12色のテディベアが登場です。」の記載の上部に,「乳白にゅうはく」及び「桜色さくらいろ」等と色名とともに色彩の異なるクマの様な図案が表示されている(甲25の2)。
なお,紙袋(甲22,甲26)については,引用商標の表示は見当たらない。
(カ)新聞・ラジオ・コラボレーション企画
「東京新聞」(2016年(平成28年)5月12日:甲27)には,「『○○色』/いろいろ」の見出しの下,「春の菜の花色,夏の若竹色-。・・・『DICグラフィックス』には,日本で古来伝わる伝統的な色をまとめた『色見本帳』がある。」との記載とともに「鴇色/とき」,「利休鼠/りきゅうねず」,「深緋/こきひ」等の各色の説明が記載されている。
申立人の社内リリース「DIC NEWS EXPRESS」(2015年(平成27年)11月12日:甲28)には,「DICオリジナル色鉛筆がFMラジオJ-WAVEの番組企画」の見出しの下,「今回のテーマが『日本の色,世界の色』ということで,DICカラーガイド『日本の伝統色』を展開した同商品が紹介されることとなりました。」の記載,及び「J-WAVE 番組紹介ウェブページ」(甲29)には,「日本の伝統色-色鉛筆-」の見出しの下,「DICカラーガイドから日本古来より伝わる伝統色を集めた大人も楽しめる色鉛筆。」と記載されている。
また,申立人の社内リリース「DIC NEWS/EXPRESS」(2016年5月30日:甲30)には,「2016年5月23日(月)にTOKYO FM・・・にて,DICグラフィックスの『日本の伝統色』が紹介されました。・・・日本に古来より伝わり文化である伝統色とその由来,・・・が紹介されました。」と記載,及び同(2016年8月24日:甲32)には,「8月4日(木)から21日(日)まで,ルミネ池袋店ではDICカラーガイド『日本の伝統色』から・・・選定した“和色”を切り口に日本の良いモノを伝える,ルミネ池袋を日本の伝統色で埋め尽くすキャンペーン・・・が開催されました。会場では,見た目や響きが涼やかな日本の伝統色『新橋色(しんばしいろ)』『檸檬色(れもんいろ)』『花浅葱(はなあさぎ)』『若竹色(わかたけいろ)』『薄紅藤(うすべにふじ)』『濃藍(こいあい)』などを使ってデザインされた大型タペストリー・・・が展開されました。」と記載されている。
さらに,「平湯温泉観光協会」のウェブサイト(甲34)には,「平湯温泉×DICグラフィックス/共同事業『平湯色彩計画』」の見出しの下,「平湯温泉のロゴカラーをDICグラフィックスと共同でDIC日本の伝統色『紺碧』に選定」,「平湯温泉×MAMMUTコラボシャツのロゴカラーにDIC日本の伝統色『空色』を採用」,及び「平湯温泉×PlatypusコラボソフトボトルカラーにDIC日本の伝統色『山葵(わさび)色』を採用」と記載されている。
(キ)教育活動・講演活動(甲35?甲38)には,色見本帳「DICカラーガイド-日本の伝統色」を用いた「色育活動」や講義を2012年,2014年及び2015年に行っている。
オ 以上からすると,申立人は,引用商標を商品「色見本帳」に継続して使用しているものであり,引用商標は,本件商標の登録出願日及び登録査定時はもとより,現在においても申立人の業務に係る商品「色見本帳」を表示するものとして,我が国の商品「色見本帳」に係る需要者の間に広く認識されているものといえる。
また,商品「色見本帳」以外の商品については,「日本の伝統色」の文字は,いずれも各種商品に使用される色彩に関するものであるから,上記の証拠からは,当該文字が各種商品について使用され,申立人の業務に係る商品として,需要者の間に広く知られているものということはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と引用商標の類否
本件商標は,「シャインロープ日本の伝統色」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成は,「シャインロープ」の片仮名と「日本の伝統色」の漢字及び平仮名との文字種の相違により,それぞれが視覚的に分離して看取されるものといえる。
そして,本件商標の前半の「シャインロープ」の片仮名は,特定の意味合いを理解させることのない造語であるのに対し,後半の「日本の伝統色」の文字部分は,「日本の伝統的な色彩」の意味合いを容易に認識させ,各種商品に使用されている色彩を認識させるものであるから,本件商標の指定商品との関係においては,自他商品の識別標識としての機能を有しない部分というのが相当である。
そうすると,本件商標は,「シャインロープニホンデントウショク」の称呼のほか,「シャインロープ」の片仮名部分から「シャインロープ」の称呼をも生じ,特定の観念を生じないものである。
他方,引用商標は,「日本の伝統色」の文字を書してなり,その指定商品について出所識別標識としての機能を果たし得るものであるから,これからは,「ニホンノデントウショク」の称呼を生じ,「日本の伝統的な色彩」の観念を生じるものである。
そこで,本件商標と引用商標との類否について検討するに,本件商標は,「シャインロープ日本の伝統色」の文字を標準文字で表してなるのに対し,引用商標は,「日本の伝統色」の文字を書してなるものであるから,外観上,「シャインロープ」の片仮名の有無において相紛れるおそれはなく,本件商標から生じる「シャインロープニホンノデントウショク」の称呼と,引用商標から生じる「ニホンノデントウショク」の称呼とは,「シャインロープ」の音の有無において明らかに相違し,本件商標から生じる「シャインロープ」の称呼と,引用商標から生じる「ニホンノデントウショク」の称呼とは,構成音及び構成音数において顕著に相違し,相紛れるおそれはない。
そして,観念においては,本件商標は,特定の観念を生じないものであるから,引用商標と比較することができず,類似するものということができない。
したがって,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
イ 出所の混同のおそれについて
引用商標は,上記1のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品「色見本帳」を表示するものとして,我が国の商品「色見本帳」に係る需要者の間に広く認識されていたものと認められる。
しかしながら,上記(1)のとおり,本件商標と引用商標とは,相紛れるおそれのない非類似の商標であり,別異の商標というべきものである。
さらに,本件商標の指定商品「ロープ及びひも」は,天然繊維又は化学繊維等を材料とし,物を結びつけるのに用いるものであって,引用商標の指定商品「色見本帳」は,商品等の色彩の選択の際に用いられるものであるから,「ロープ及びひも」と「色見本帳」とは,品質及び用途が明確に異なり商品間の関連性はなく,需要者・取引者の範囲も異なるものである。
してみれば,本件商標は,本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者をして,引用商標又はグローバル企業である申立人を連想,想起させることはなく,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
なお,本件商標権者の会社案内(甲46)によれば,本件商標権者は,「延伸テープ及びロープ,包装用玉巻並びに紙袋用把手」等を製造及び販売する会社であって,「仕入先」の項には,申立人の旧名称である「大日本インキ化学工業(株)」の記載がある。
そして,本件商標権者の商品一覧(甲47)には,「包装資材」の見出しの下,「シャインテープ」及び「シャインロープ」等の商品が掲載されており(1葉目),「ペーパーバッグ用把手」の商品「PPロープ」について(5葉目),5種類のシリーズがあり,「日本の伝統色シリーズ」(7葉目)には,「ニュー紙紐シリーズ」及び「ペーパーラインシリーズ」について,「桜(さくら)」,「緋(ひ)」及び「蘇芳(すおう)」等の色彩があることが掲載されている。
しかしながら,ここに表示された「日本の伝統色」の文字は,本件商標権者の商品「PPロープ」の「桜」,「緋」及び「蘇芳」等の色彩が,「日本の伝統的な色彩」であることを示すにすぎず,申立人の業務に係る商品「色見本帳」を表すものということができない。
また,本件商標権者の「仕入先」に申立人の旧名称である「大日本インキ化学工業(株)」の記載があるとしても,本件商標権者は,申立人から,いかなる商品の材料を仕入れているものであるかは,明らかでなく,その材料が引用商標といかなる関連を有するものであるかを確認することができない。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから,商標法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-09-07 
出願番号 商願2016-97709(T2016-97709) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W22)
最終処分 維持 
前審関与審査官 吉野 晃弘 
特許庁審判長 田中 亨子
特許庁審判官 平澤 芳行
早川 文宏
登録日 2017-02-24 
登録番号 商標登録第5925134号(T5925134) 
権利者 松浦産業株式会社
商標の称呼 シャインロープニホンノデントーショク、シャインロープニッポンノデントーショク、シャインロープ、シャイン、ニホンノデントーショク、ニッポンノデントーショク、デントーショク 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 黒川 朋也 
代理人 工藤 莞司 
代理人 井上 博人 
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