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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X141825
管理番号 1332392 
審判番号 取消2014-670028 
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-07-22 
確定日 2017-07-21 
事件の表示 上記当事者間の国際商標登録第0919816号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 国際商標登録第919816A号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第919816A号商標(以下「本件商標」という。)は,「BONOBO」の欧文字を横書きしてなり,2009年(平成21年)8月7日に国際商標登録出願(事後指定),第14類「Precious metals and their alloys other than for dental use,jewelry,precious stones,timepieces and chronometric instruments,works of art of precious metal,rings(jewelry),boxes of precious metal,sun dials,jewel cases(of precious metal),fashion jewelry,charms,brooches(jewelry),necklaces,bracelets,tie pins,cases of precious metal,tie clips,clocks,watches,watch cases,watchbands,alarm clocks,statues of precious metal.」,第18類「Leather and imitation leather,goods made of these materials(leather and imitation leather)not included in other classes,namely travel chests,bags and sets,vanity cases(not fitted),trunks,attache cases,satchels,briefcases and document holders,suitcases,card cases,wallets and purses,backpacks,handbags;umbrellas,parasols and walking sticks;whips and saddlery;purses of precious metal.」及び第25類「Clothing,footwear(except orthopedic footwear),headgear;bathing caps,bathing trunks,bathing suits,bath robes,bath sandals,bath slippers,headbands,berets,boots,suspenders,mufflers,leggings,hoods,caps,dressing gowns,sweaters,hats,socks,boot liners,shirts,chemisettes,belts(clothing),combinations(clothing),suits,ear muffs,panties,sashes for wear,espadrilles,scarves,furs,gabardines,vests,raincoats,body linen,singlets,muffs,coats,mittens,trousers,slippers,overcoats,parkas,bath robes,pullovers,pajamas,dresses,dressing gowns,sandals,underpants,underwear,knitwear,stuff jackets,jackets,cap peaks(headgear),gloves(clothing).」を指定商品として,平成22年7月16日に設定登録された国際登録第919816号商標に係る商標権について,2010年(平成22年)10月20日に指定締約国の分割移転があった結果,本権に係る国際登録番号が変更されたものであり,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判請求の登録日は,平成26年8月5日である。
第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1ないし第5号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから,その登録は,商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)乙第1号証について
乙第1号証は,シンガポール法人である本件商標権者の関連会社である法人(フランス法人と推定される)のウェブサイトであるところ,本件商標がその指定商品に使用されていることを示す記載はなく,また,掲載された日付に関する情報も表示されてない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は,本件商標権者の関連会社である法人のウェブサイトの写しであるところ,本件商標がその指定商品に使用されていることを示す記載はなく,また,当該写しの右下の印刷日は,「2014年10月7日」であるから,本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)のものではない。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は,本件商標権者の関連会社である法人のウェブサイトの写しであるところ,被請求人は,「Bonobo」ブランド創設,「Bonobo」ショップが開店などと記載されているというが,我が国において小売店舗が開設されたとの記載など具体的な情報もなく,その他本件商標がその指定商品に使用されていることを示す記載は全く見当たらない。また,該ホームページの右下の印刷日は,「2014年10月12日」であるから,要証期間内のものではない。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は,本件商標権者の関連会社である法人のウェブサイトの写しであるところ,本件商標がその指定商品に使用されていることを示す記載はなく,また,同号証中には「295 stores in France and 9 in Italy, 3 in Benelux, 1 in Spain and 1 in Georgia(フランスに295店舗,イタリアに9店舗,ベネルクスに3店舗,スペインに1店舗,グルジアに1店舗)」と記載されていることから,我が国において本件商標の使用が無い事実を推認させるものである。また,当該写しの右下の印刷日は,「2014年10月12日」であるから,要証期間内のものではない。
(5)乙第5号証について
乙第5号証は,シンガポール法人「Brandsfever Pte Ltd.」(以下「ブランズ社」という。)のショッピングサイトの「会社情報」であるところ,被請求人は,ブランズ社なるシンガポール法人が,我が国における通常使用権者である事実の立証はもちろんのこと,何ら被請求人との関係を具体的に説明するところがない。
また,日本の需要者を対象として,日本国内で取引がなされた事実を推認できない。すなわち,当該ショッピングサイトは日本語での表示も見られ,そのドメインも「.jp」ドメインが利用されているので,一見すれば,我が国において,日本国民である需要者に対してインターネットを通じて通信販売に係る事業を行っているかのような外観を備えているが,構成の多くの部分では英語による表記が翻訳されないまま多く残されているところから,日本語による対応がすべて可能であるかは判然としないものである。よって,需要者は,おそらく,会員登録後,画面の説明を見ながら注文していくのであろうが,商品の選択から,実際の購入に至るまでの流れに関する情報(支払方法,送料)が一切掲載されていないことから,需要者が当該ショッピングサイトを通じて注文までたどりつくことができるかどうかが明らかにされていない。
そして,販売者の会社名,住所,連絡先などの情報も一切掲載されておらず,販売店又は商品の送付元が我が国に存在するか,あるいは,日本国外に存在しているかなど,我が国の需要者にとって商品の売買契約の相手方となる主体についての情報を一切把握することができない。
さらに,ブランズ社の英語によるホームページのアドレスは,「http://www.brandsfever.com/」であるのに対して,乙第5号証以降の証拠に係るウェブサイトのアドレスは,「http://www.brandsfever.jp/...」となっているところ,上記英語によるホームページからリンクされているのはフィリピン,インドネシア,シンガポールなど,東南アジア諸国のみであり,日本の需要者を対象としたページにリンクされている事実も確認できないから(甲3),日本国内において商取引を行う営業主体が存在しているかどうかについては不明である。
そして,乙第5号証中には,本件商標がその指定商品に使用されていることを示す記載はなく,また,該ウェブサイトの右下の日付は,「2014年10月7日」であるから,要証期間内のものではない。
(6)乙第6号証について
乙第6号証は,ブランズ社から,被請求人代理人の使用人と思しき人物宛に送信された電子メールの写しであるところ,ブランズ社が,被請求人の通常使用権者であったという事実は,推認することはできない。また,日本の需要者を対象として,日本国内で取引がなされた事実を推認できない当該電子メールが我が国の需要者に送信されたと仮定した場合,おそらく,画面上の該当箇所にリンクされたウェブサイトにアクセスして注文していくのであろうが,表記がすべて英語であり,日本語による説明が一切ないことから,通常の日本の需要者等の英語の知識レベルを基準にした場合,日本の需要者が当該電子メールの中身を正確に理解したうえで注文までたどりつくことは困難を伴うと思われる。
そして,乙第6号証中には,本件商標がその指定商品に使用されていることを示す記載はなく,また,電子メールの送信日時を示す欄にある日付は,「2014年10月10日」であるから,要証期間内のものではない。
(7)乙第7号証について
乙第7号証は,ブランズ社が,日本の需要者を対象に,本件商標を付した衣服等に関するキャンペーンを行ったとの内容に係る宣誓書及び訳文であるところ,ブランズ社が,被請求人の通常使用権者であったという事実は,推認することはできない。
なお,被請求人は,ブランズ社のエスマー・アハ・トーゲイ氏の署名に係る宣誓書(乙7)において「我々は,BONOBO商標の所有者であるBEAUMANOIR ASIA HOLDING SINGAPORE PTE.LTD.とともに,以下のキャンペーンを日本に行った」と記載されている事実を挙げ,通常使用権を許諾している旨主張する。
しかしながら,具体的に「キャンペーン」がどのような内容のものを示すのか,キャンペーン当時の証拠はおろかその説明すらない。もし仮に「キャンペーン」が単に安売りのことをいうのなら,商標の使用許諾契約関係の有無に係わらず,自ら仕入れた商品の販売促進のため,どの小売業者でも普通に行うことであって,これが使用許諾を行っていることの根拠とはならない。ましてや,ブランズ社が「BONOBO商標の所有者とともに」キャンペーンを行ったというのであれば,商標権者とブランズ社の間の協力関係の存在を明らかにする契約書・覚書の類があってしかるべきであるし,契約書までは無くとも,最低限,そのキャンペーンの企画内容・運用方法などについて,キャンペーン当時における商標権者とブランズ社との間でのやり取りを示す手紙等が存在するのが自然である。にもかかわらず,キャンペーン期間のはるか後である要証期間後の作成に係るブランズ社一社による宣誓書しか提出しないのは,やはり不自然といわざるを得ない。
そして,当該宣誓書(訳文)においては,「上記3つのキャンペーン期間においては,日本の顧客は『BONOBO』ブランドの商品を,日本の通貨である日本円を用いて購入することができた。」とし,売上の内訳として,「国名:日本,販売数量:1,売上総額:26.76米ドル」としているが,ブランズ社が我が国の需要者に商品を販売したというのであれば,当該シンガポール法人から需要者に商品を販売した事実が証明できるような注文書,納品書,請求書,貨物の配送状況(発送元と送付先)を示す書類等を最低限証拠として提出すべきである。
さらに,被請求人は1年間に3回も,各1週間程度のキャンペーンを行い,日本円で購入できたにもかかわらず,売上げはわずか1点であることや,金額が日本円ではなく,米ドルで表示されているなど,不自然な点も多く,我が国の需要者に本件商標を付した商品が実際に販売されたかどうかは疑義がある。
仮に,シンガポールのブランズ社と日本の需要者との間で何らかの売買行為があったとしても,譲渡行為自体は日本国外であるシンガポールでなされ,その後,日本に在住する,被請求人とは無関係の個人(需要者)による「輸入」行為があったと推認するにとどまるというべきである。
したがって,当該証拠において言及された行為をもって,商標法第2条第3項第2号にいう「譲渡」が日本国内において行われたということはできない。
そして,乙第7号証の署名日は,「2014年10月14日」であるため,これをもって,要証期間内に本件商標がその商標権者,専用使用権者又は通常使用権者によって使用された事実が立証されたということはできない。
(8)乙第8ないし第15号証について
乙第8ないし第15号証は,ショッピングサイト「Brandsfever」において行われた「BONOBO」商品のキャンペーンの内容を表示したブランズ社の「内部資料」であるところ,ブランズ社が,被請求人の通常使用権者であったという事実は,推認することはできない。
そして,日本の需要者を対象として,日本国内で取引がなされた事実を推認できない当該各内部資料に掲載されているウェブサイトの写しと思しき画像における言語は,そのほとんどが英語であり,日本語は「販売価格」(乙8,10,12,14)や「全て」「女性」「男性」「お子様」等(乙9,11,13,15)のみしか使用されていない。
請求人は,「日本が『販売国』であった」とし,さらに「キャンペーン期間中に…日本において購入することが可能であったことがわかる。」と述べるが,ブランズ社が我が国の需要者に商品を販売したというのであれば,当該シンガポール法人から需要者に商品を販売した事実が証明できるような注文書,納品書,請求書,貨物の配送状況(発送元と送付先)を示す書類等を最低限証拠として提出すべきである。
また,乙第8ないし第15号証中には,キャンペーンが行われた日付と思しき情報が掲載されているものの,当該証拠が作成された日付に関する情報が一切表示されておらず,当該内部資料がいつ作成されたのかを確認することはできない。
さらに,乙第8ないし第15号証は,ブランズ社の「内部資料」であるところ,当該内部資料に記載されているウェブサイト(例:http://www.brandsfever.jp/public/campain/1881/)がキャンペーン当時にアクセス可能であったかの立証がされておらず,しかも,キャンペーンが行われた日付として記載された情報は,いかようにも改ざんが可能である。
以上のとおりであるから,乙第8ないし第15号証をもって,要証期間内に本件商標がその商標権者,専用使用権者又は通常使用権者によって使用された事実が立証されたということはできない。
(9)乙第16ないし第18号証について
被請求人は,「BONOBO」商品の販売形態を述べるが,それらの裏付けとして提出されたのは,わずかに「被請求人による,ブランズ社へのキャンペーン申出と開催時期の連絡」の事実に関する乙第16及び第17号証と「被請求人による,ブランズ社への商品写真の提供」に関する乙第18号証のみである。
しかも,わずかな資料として提出された乙第16ないし第18号証についても,そもそも,被請求人からブランズ社に依頼されたキャンペーンが「日本に向けたもの」であることを示す情報は一切見当たらない。
また,乙第18号証に関しては,被請求人による,ブランズ社へ提供されたとされる写真が提出されていないので,それら写真に本件商標が使用されたか否かについても立証されていない。
被請求人は,ブランズ社が電子DM(ダイレクトメール)によるキャンペーン実施を行ったと説明するが,その証拠として提出されたのは,キャンペーン当時に配信されたものではなく,本件審判請求日後で,かつ,本件商標の記載の無いもの(乙6)のみである。
被請求人は,あたかも商品が顧客に対して発送されたかのように説明しているが,本件商標が付された商品が日本において流通した事実を裏付ける証拠(注文書,納品書,請求書,貨物の配送状況(発送元と送付先)を示す書類等)は依然として,何一つ提出されていない。
3 まとめ
以上のとおり,ブランズ社が本件商標の使用権者である事実,ブランズ社が要証期間内に日本国内において商品のキャンペーンを行った事実,さらに,ブランズ社が要証期間内に日本国内において商品の販売した事実は証明されていない。よって,乙各号証は,いずれも本件商標が要証期間内に商標権者,専用使用権者又は通常使用権者により,その指定商品について使用していた事実を証明するものではない。
第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求める,と答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1ないし第18号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)商標権者であるBEAUMANOIR ASIA HOLDING SINGAPORE PTE.LTDは,ファッション関係の販売業を営むGroup BEAUMANOIRに属する企業である(乙2)。Group BEAUMANOIRは,2012年にフランスに1400店舗を,また,2013年には全世界に2500店舗を構えている(乙1)。そのブランドの1つである「BONOBO」ブランドは,2006年に創られ,2009年には「BONOBO」ブランドの電子ビジネスを開始,2012年には世界各国に300件目の店舗が作られている。「BONOBO」ブランドの店舗やサイトでは,商標「BONOBO」やデザイン化した「BONOBO」ロゴ商標を付したジーンズ等を販売している(乙4)。
(2)日本においては,商標権者は,被服等を販売するブランズ社が運営するショッピングサイト「Brandsfever」を通じて,日本の需要者に「BONOBO」商品を販売している。
(3)ショッピングサイト「Brandsfever」では,無料の会員登録を行うと,被服やアクセサリー,時計,バッグなどのファッショングッズが購入できる。同サイトでは日本の購入者のために,会社情報や利用規約などが日本語で記載されており,日本円で購入ができる。「Brandsfever」は,様々なブランドの商品を特定のキャンペーン期間に販売するが,会員には電子メールでそのキャンペーン期間を知らせている(乙5,6)。
(4)商標権者の「BONOBO」ブランドについても,2012年(平成24年)12年から2013年(平成25年)11月の間に4回の販売キャンペーンが「Brandsfever」のショッピングサイトで行われた。当該キャンペーンは,日本のほか,シンガポール,オーストラリア,ニュージーランド,香港,フィリピン,マレーシア,韓国,インド,インドネシア,台湾等でも同時に行われた。日本の需要者に対しては,電子メールでキャンペーン期間が告知されており,その期間中,日本在住の会員(日本の会員数は企業秘密情報であるため,公表はできない。)は,本件商標が付されたTシャツ,シャツ等の商品を日本円で購入することが可能であった。これらの事実について,以下,詳述する。
通常使用権者による使用について
ブランズ社の取締役エスマー・アハ・トーゲイ氏署名の宣誓書(乙7)には,本件商標を付した衣類やファッション・アクセサリーをプロモートするキャンペーンについて,「我々は,BONOBO商標の所有者であるBEAUMANOIR ASIA HOLDING SINGAPORE PTE.LTD.とともに,以下のキャンペーンを日本において行った」と記載されている。通常使用権の文言はないものの,これによれば,商標権者が,ブランズ社に本件商標が付された商品の販売を許諾していることは明らかである。よって,本件商標は,通常使用権者によって使用されたものといえる。
イ 要証期間内の使用であることについて
宣誓書(乙7)には,ブランズ社がそのショッピングサイト「Brandsfever」において,要証期間内に「BONOBO」の衣服やファッション・アクセサリー(特に,バッグ,スカーフ,帽子,ベルト,ネックレス)について,2012年12月18日から25日まで,2013年6月24日からから7月1日まで,2013年11月22日から29日までの各期間にキャンペーンを行い,日本の需要者に向け販売の申し出をした旨宣誓されており,キャンペーン期間を記載した内部資料(乙8,乙10,乙12,乙14)も存在する。
「宣誓書」による証言であり,この期間が偽りであったり,内部資料が改ざんされたものとは考えられない。
よって,本件商標は,要証期間内に使用されたものといえる。
ウ 「BONOBO」商品の販売形態
(ア)まず,被請求人がブランズ社のショッピングサイトを利用して「BONOBO」商品販売のキャンペーンを行いたい旨をブランズ社に申し出て,ブランズ社が開催できる時期を知らせることから始まった(乙16,乙17)。
(イ)次に,被請求人とブランズ社は,キャンペーンを行うに先立ち,以下のことを行った。
a 被請求人が,ブランズ社に対し,本件商標を,キャンペーン期間中,使用することを許諾した。
b 被請求人は,キャンペーンで販売する商品として,Tシャツ,シャツ,タンクトップ,スカート,ショーツ,セーター,ポロシャツ,パンツ,スカーフ,ブレスレット,帽子,ベルト,ネックレス,ジーンズ,ハンドバッグ,ジャケット,ニット,ワンピース,フード付きセーターなどの商品を選択し,提供した。宣伝・広告用のそれら商品の写真も被請求人からブランズ社に提供した(乙18)。
c これらの商品には本件商標が付されていた。
d 被請求人は,これら商品に日本円の価格を付け,商品の写真をブランズ社に提供した。
エ 使用行為について
上記キャンペーン期間中は,被請求人とブランズ社は以下のことを行った。
(ア)被請求人は,本件商標が付された商品をシンガポールに保管し,販売が可能な状態にした。
(イ)ブランズ社は,日本人向けのキャンペーン用ウェブサイトで,本件商標が付された商品を宣伝し,同サイトから購入できるようにした。
乙第8,第10,第12及び第14号証は,「BONOBO」商品販売キャンペーンを実際に行っている最中に閲覧ができたキャンペーン用ウェブサイトのスクリーンショットの写しを集めて(日本の顧客向けのキャンペーン用ウェブサイトは,乙第8号証9頁目,第10号証11頁目,第12号証12頁目及び第14号証17頁目にある。),どのようなキャンペーンを行ったかを記録として残したブランズ社の内部資料である。
価格が日本円で表示されており,日本以外に在住の需要者に対して,わざわざ日本円で商品を販売すると考えるのは不自然であり,これらのサイトは日本在住の需要者に対してのみ向けられたものと考えられる。
本件商標は,被服やバッグの写真を掲載し,これらを販売する意図で作られたショッピングサイト「Brandsfever」におけるキャンペーン用ウェブサイトのページ左上に「BRANDSFEVER>BONOBO MEN AND WOMEN’S APPAREL>すべての商品」(乙9),「BRANDSFEVER>BONOBOMEN AND WOMEN’S APPAREL>すべての商品」(乙11),「BRANDSFEVER>BONOBO JEANS APPAREL FOR WOMEN>すべての商品」(乙13)のように表示されている。
このような使用は,商標法第2条第3項第8号の「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
次に,キャンペーン用ウェブサイトの画面遷移について説明する。
キャンペーンを案内する電子DM(ダイレクトメール)を受けた日本の顧客は,そのメールに示されたURLからキャンペーンのウェブページを閲覧することができる。また,ショッピングサイト「Brandsfever」のトップページの右上には,日本,中国,韓国などの国旗で国を選べるようになっており,日本の顧客は,日本の国旗をクリックすることで,日本円で購入できるサイトに移ることができる。
ショッピングサイトで購入する際は,「Brandsfever」の会員であればログインが必要で,まだ会員になっていない場合は,アカウントを作成し,ログインする。ウェブサイトに掲載されている写真をクリックすると,商品の詳細(商品についての説明,色,サイズ,日本円による値段,等)を見ることができる。顧客は,商品を選び,数量を決めたら,「カート」へ入れるようにクリックでき,カートに入った商品の詳細を見ることができる。商品と購入数量が決定し,「チェックアウト」をクリックすると,配達先や支払方法を入力できる画面に移る。配達先を入力すると,支払画面に移り,Paypal,クレジットカード,現金のいずれかの決済方法を選んで入力するようになる。日本の顧客は日本円で購入できる。注文・支払内容の確認画面で確認後,支払を確定する。ブランズ社は,購入した者に対し,Eメールで,いつごろ商品が発送されるかを知らせる。注文から1?4週間の間に,商品は配送される。
なお,請求人は,「通常の日本の需要者等の英語の知識レベルを基準にした場合,日本の需要者がこの『ウェブサイト』の中身を正確に理解したうえで注文までたどりつくことは困難を伴うと思われる。」と述べている。
しかしながら,商品購入のウェブサイトは,購入対象の商品の画像をクリックし,サイズ等を選び,個数を選び,カートに入れ,届け先の住所・氏名等を入力し,支払方法を選択し,購入を決定する以外の操作は要求しない。また,我が国では少なくとも3年間は義務教育で英語を学習しており,商品購入のウェブサイトで使用する単語(women,men,children,items,order,totalなど)は少なくとも義務教育を受けた日本人であれば通常は十分理解できると考えられる。よって,英語を使用しているからといって日本の需要者を対象としていないとはいえない。
(ウ)ブランズ社は,電子DM(ダイレクトメール)を送るなどして,既存の顧客や見込み客に対して,当該キャンペーンを宣伝した。
キャンペーン期間中,日本の顧客は,電子DM(ダイレクトメール)のキャンペーン案内に紹介されているブランズ社のキャンペーン用ウェブサイト(http://www.brandsfever.jp)から,商品の注文をすることができた。
(エ)顧客が注文してきたら,ブランズ社は,被請求人にその注文内容を伝え,被請求人はその商品をブランズ社に送付し,ブランズ社が購入した顧客に商品を配送した。配送完了後,ブランズ社は被請求人に支払を行った。
2 むすび
以上のとおり,本件商標は,通常使用権者によって,その指定商品について,要証期間内に日本において使用されたものである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条第1項の規定により,取り消されるべきものではない。
第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠及びその主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)乙第7号証は,ブランズ社の取締役であるエスマー・アハ・トーゲイ氏が署名した「日本についての宣誓書」及びその訳文であり,当該宣誓書には,「我々,シンガポール国法に基づき設立され,シンガポール,573969,04-60番,シン・ミン・レーン20に住所を有する,Brandsfever Pte Ltd.(会社登記番号(略))は,以下のことを宣誓する。我々は,BONOBO商標の所有者であるBEAUMANOIR ASIA HOLDING SINGAPORE PTE.LTD.とともに,以下のキャンペーンを日本において行った。-2012年12月18日から25日まで -2013年6月24日から7月1日まで -2013年11月22日から29日まで(女性用と男性用の異なるキャンペーン) 各キャンペーン期間中,我々は,我々のウェブサイト(http://www.brandsfever.com/public/)を通じて,『BONOBO』の衣服やファッション・アクセサリー(特に,バッグ,スカーフ,帽子,ベルト,ネックレス)を日本においてプロモートし,販売の申し出をした。・・・事実,上記の3つのキャンペーン期間については,日本の顧客は,『BONOBO』ブランドの商品を,日本の通貨である日本円を用いて購入することができた。4つのキャンペーンにおける売上の内訳は,・・・国名 日本,販売数量(個数) 1,売上総額(米ドル) 26.76」と記載されている。
(2)2012年12月18日から25日までのキャンペーンについて
ア 乙第8号証は,ブランズ社がショッピングサイト「Brandsfever」において,2012年12月18日から同月25日まで行った「BONOBO」商品のキャンペーン(以下,「BONOBO」商品に関するキャンペーンを「被請求人キャンペーン」という。)の内容を表示した同社の内部資料(縦向きのA4用紙1枚に上下2頁に分けて内容が印刷されているが,頁番号は,A4用紙の右下のみに付されている。)であり,1頁上段の資料には,図案化した「BONOBO」と「JEANS」の文字,「Brandsfever Campaign:18-25 December,2012」の文字,12枚の葉様の円図形の右横に「brandsfever」の文字が記載されている。そして,1頁下段の資料には,「FEATURED COUNTRIES」の見出しの下,「7.Japan」の記載がある。しかしながら,1頁上下段の資料には,いずれもURLの記載はない。
2頁上段の資料には,ウェブサイト「brandsfever」(URL:http://www.brandsfever.com)のトップページらしき画面が印刷されているところ,当該画面内には,フィリピン,インドネシア,シンガポール,マレーシア等の国名と国旗はあるが,日本の国名と国旗はない。
また,9頁下段(拡大版18頁)の資料には,左上に「JAPAN」の文字と「URL:http://www.brandsfever.jp/public/campaign/1881/」の文字とが二段書きされ,その下に当該URLに係るウェブサイトらしき画面が印刷されているところ,当該画面内には,「Bonobo Men & Women’s Apparel」の記載とともに,Tシャツ,ポロシャツ,ジーンズ,スカート,ショートパンツ等の写真が掲載されている。
さらに,12頁ないし17頁の各上段の資料には,「JAPAN」の見出しの下,Tシャツ,ポロシャツ,ジーンズ,スカート,ショートパンツ,バッグの写真が掲載され,「販売価格」が日本円で記載されているものの,それ以外の記載は,全て日本語以外の外国語により記載されている。なお,12頁ないし17頁の各上段の資料には,いずれもURLの記載はない。
イ 乙第9号証は,平成26年10月16日付け審判事件答弁書において,上記アに係るURL(http://www.brandsfever.jp/public/campaign/1881/)から自動的に移行すると被請求人が主張するウェブサイト(URL:http://www.brandsfever.jp/1881/)の写しであり,左上部に「BRANDSFEVER>BONOBO MEN AND WOMEN’S APPAREL>すべての商品」及び「This campaign already ended.」の各文字が行を変えて表示されており,その下に,Tシャツ,シャツ等の各写真がJPY(日本円)による価格表示とともに掲載されている。
ウ 乙第8号証及び乙第9号証にあるウェブサイトが要証期間内にインターネット上で公開されていたと客観的に認められる記載は見当たらない。
(3)2013年6月24日から7月1日までのキャンペーンについて
ア 乙第10号証は,ブランズ社がショッピングサイト「Brandsfever」において,2013年6月24日から同年7月1日まで行った被請求人キャンペーンの内容を表示した同社の内部資料(縦向きのA4用紙1枚に上下2頁に分けて内容が印刷されているが,頁番号は,A4用紙の右下のみに付されている。)であり,1頁上段の資料には,図案化した「BONOBO」と「JEANS」の文字,「Brandsfever Campaign:24 June-1 July,2013」の文字,12枚の葉様の円図形の右横に「brandsfever」の文字が記載されている。そして,1頁下段の資料には,「FEATURED COUNTRIES」の見出しの下,「8.Japan」の記載がある。しかしながら,1頁上下段の資料には,いずれもURLの記載はない。
また,11頁上段(拡大版18頁)の資料には,左上に「JAPAN」の文字と「URL:http://www.brandsfever.jp/public/campaign/2534/」の文字とが二段書きされ,その下に当該URLに係るウェブサイトらしき画面が印刷されているところ,当該画面内には,「Bonobo Men & Women’s Apparel」の記載とともに,Tシャツ,シャツの各写真が掲載されている。
さらに,13頁ないし17頁の各上段の資料には,「JAPAN」の見出しの下,タンクトップ,ショートパンツ,Tシャツ,バミューダパンツ,スカーフの写真が掲載され,「販売価格」が日本円で記載されているものの,それ以外の記載は,全て日本語以外の外国語により記載されている。なお,13頁ないし17頁の各上段の資料には,いずれもURLの記載はない。
イ 乙第11号証は,平成26年10月16日付け審判事件答弁書において,上記アに係るURL(http://www.brandsfever.jp/public/campaign/2534/)から自動的に移行すると被請求人が主張するウェブサイト(URL:http://www.brandsfever.jp/Bonobo-apparel/)の写しであり,左上部に「BRANDSFEVER>BONOBO MEN & WOMEN’S APPAREL>すべての商品」及び「This campaign already ended.」の各文字が行を変えて表示されており,その下に,Tシャツ,シャツ等の各写真がJPY(日本円)による価格表示とともに掲載されている。
ウ 乙第10号証及び乙第11号証にあるウェブサイトが要証期間内にインターネット上で公開されていたと客観的に認められる記載は見当たらない。
(4)2013年11月22日から29日までのキャンペーン(Women)について
ア 乙第12号証は,ブランズ社がショッピングサイト「Brandsfever」において,2013年11月22日から同月29日まで行った被請求人キャンペーンの内容を表示した同社の内部資料(縦向きのA4用紙1枚に上下2頁に分けて内容が印刷されているが,頁番号は,A4用紙の右下のみに付されている。)であり,1頁上段の資料には,図案化した「BONOBO)」と「JEANS」の文字,「Brandsfever Campaign(Women):22-29 November,2013」の文字,12枚の葉様の円図形の右横に「brandsfever」の文字が記載されている。そして,1頁下段の資料には,「FEATURED COUNTRIES」の見出しの下,「8.Japan」の記載がある。しかしながら,1頁上下段の資料には,いずれもURLの記載はない。
また,12頁上段(拡大版18頁)の資料には,「JAPAN」の文字と「URL:http://www.brandsfever.jp/public/campaign/3130/」の文字とが二段書きされ,その下に当該URLに係るウェブサイトらしき画面が印刷されているところ,当該画面内には,「Bonobo Jeans Apparel for Women」の記載とともに,ワンピース,Tシャツ,タンクトップ,ジャケット等の各写真が掲載されている。
さらに,14頁ないし17頁の各上段の資料には,「JAPAN」の見出しの下,ワンピース,袖なしシャツ,ジャケット,スカートの各写真が掲載され,「販売価格」が日本円で記載されているものの,それ以外の記載は,全て日本語以外の外国語により記載されている。なお,14頁ないし17頁の各上段の資料には,いずれもURLの記載はない。
イ 乙第13号証は,平成26年10月16日付け審判事件答弁書において,上記アに係るURL(http://www.brandsfever.jp/public/campaign/3130/)から自動的に移行すると被請求人が主張するウェブサイト(URL:http://www.brandsfever.jp/bonobo-jeans-women-apparel/)の写しであり,左上部に「BRANDSFEVER>BONOBO JEANS APPAREL FOR WOMEN>すべての商品」及び「This campaign already ended.」の各文字が行を変えて表示されており,その下に,ドレス,ジャケット,スカート等の表示とJPY(日本円)による価格表示がある。
ウ 乙第12号証及び乙第13号証にあるウェブサイトが要証期間内にインターネット上で公開されていたと客観的に認められる記載は見当たらない。
(5)2013年11月22日から29日までのキャンペーン(Men)について
ア 乙第14号証は,ブランズ社がショッピングサイト「Brandsfever」において,2013年11月22日から同月29日まで行った被請求人キャンペーンの内容を表示した同社の内部資料(縦向きのA4用紙1枚に上下2頁に分けて内容が印刷されているが,頁番号は,A4用紙の右下のみに付されている。)であり,1頁上段の資料には,図案化した「BONOBO」と「JEANS」の文字,「Brandsfever Campaign(Men):22-29 November,2013」の文字,12枚の葉様の円図形の右横に「brandsfever」の文字が記載されている。そして,1頁下段の資料には,「FEATURED COUNTRIES」の見出しの下,8.Japan」の記載がある。しかしながら,1頁上下段の資料には,いずれもURLの記載はない。
また,12頁上段(拡大版17頁)の資料には,「JAPAN」の文字と「URL:http://www.brandsfever.jp/public/campaign/3129/」の文字とが二段書きされ,その下に当該URLに係るウェブサイトらしき画面が印刷されているところ,当該画面内には,「Bonobo Men’s Apparel」の記載とともに,男性用シャツ,Tシャツ,カーディガン,ジャケット等の各写真が掲載されている。
さらに,14頁ないし16頁の各上段の資料には,「JAPAN」の見出しの下,シャツ,バミューダパンツ,フード付き上着の各写真が掲載され,「販売価格」が日本円で記載されているものの,それ以外の記載は,全て日本語以外の外国語により記載されている。なお,14頁ないし16頁の各上段の資料には,いずれもURLの記載はない。
イ 乙第15号証は,平成26年10月16日付け審判事件答弁書において,上記アに係るURL(http://www.brandsfever.jp/public/campaign/3129/)から自動的に移行すると被請求人が主張するウェブサイト(URL:http://www.brandsfever.jp/Bonobo-Men’s-Apparel/)の写しであり,左上部に「BRANDSFEVER>BONOBO MEN’S APPAREL>すべての商品」及び「This campaign already ended.」の各文字が行を変えて表示されており,その下に,Tシャツ,ジーンズ等の表示とJPY(日本円)による価格表示がある。
ウ 乙第14号証及び乙第15号証にあるウェブサイトが要証期間内にインターネット上で公開されていたと客観的に認められる記載は見当たらない。
(6)乙第16号証は,被請求人のアリソン・アウ氏とブランズ社のルーシー・ラファブル氏との間で2012年10月31日に送受信されたEメール及びその抄訳であり,ルーシー・ラファブル氏がブランズ社を退職し,BONOBOのキャンペーンについて,ローラ氏が引き継ぐ旨の記載がある。
(7)乙第17号証は,ブランズ社のローラ(ローラ・オプニコ)氏から被請求人のアリソン・アウ氏へ2012年11月1日に送信されたEメール及びその抄訳であり,ブランズ社がクリスマス時期に多くのキャンペーンを計画している旨の記載がある。
(8)乙第18号証は,被請求人のアリソン・アウ氏から,ブランズ社のチームへ2012年12月4日送信されたEメール及びその抄訳であり,件名「Bonobo・・・Campaign」(「・・・」の部分はマスキングされている。)の下,リンク先から商品の写真についてダウンロードを指示する旨の記載がある。
2 以上の事実を総合すれば,以下のとおり判断することができる。
(1)本件商標の使用について
ア 被請求人は,「ショッピングサイト『Brandsfever』を通じて,日本の需要者に『BONOBO』商品を販売している。」及び「キャンペーンを案内する電子DM(ダイレクトメール)を受けた日本の顧客は,そのメールに示されたURLからキャンペーンのウェブページを閲覧することができる。また,ショッピングサイト『Brandsfever』のトップページの右上には,日本,中国,韓国などの国旗で国を選べるようになっており,日本の顧客は,日本の国旗をクリックすることで,日本円で購入できるサイトに移ることができる。」旨主張している。
確かに,一部が日本語で記載されているウェブサイトらしき各画面内に,すなわち,乙第8号証9頁下段の画面内に「Bonobo Men & Women’s Apparel」,乙第10号証11頁上段の画面内に「Bonobo Men & Women’s Apparel」,乙第12号証12頁上段の画面内に「Bonobo Jeans Apparel for Women」及び乙第14号証12頁上段の画面内に「Bonobo Men’s Apparel」と記載されているところ,その構成中の「Men(’s)」,「Women(’s)」,「Jeans」及び「Apparel」の文字部分は,商品の品質,用途を表すものであることから,「Bonobo」の文字部分(以下「本件使用商標」という。)が独立して出所表示機能を果たすものとして認識されるものであり,本件商標と本件使用商標とは,大文字と小文字の差異はあるとしても,同じつづりの欧文字よりなるものであるから,本件使用商標は,本件商標と書体のみに変更を加えた同一の文字からなる社会通念上同一の商標と認められる。
そして,被請求人キャンペーンの内容を表示したブランズ社の内部資料中に掲載された商品「Tシャツ,ポロシャツ,ジーンズ,スカート,ショートパンツ」等は,本件審判の請求に係る指定商品中の第25類「Clothing」(被服)の範ちゅうに含まれるものと認められる。
しかしながら,被請求人は,当該内部資料(乙8,乙10,乙12,乙14)はキャンペーン用ウェブサイトのスクリーンショットの写しを集めたものと主張しているところ,当該内部資料の各1頁上下段の資料には,いずれもURLが記載されていないことから,当該内部資料の各1頁上下段の資料は,当該内部資料のそれぞれの表紙と認められるものである。そうすると,たとえ,当該内部資料の各1頁上段の資料に被請求人キャンペーンの開催日の記載,また,各1頁下段の資料に「Japan」の記載がそれぞれ認められるとしても,これらは被請求人キャンペーンに係るウェブサイトの一部でもなく,正に社内報告(記録)のために作られた内部資料のかがみ(表紙)に相当するものにすぎないものであって,外部に対し一般に公開されたものとは認められないから,これらをもって,被請求人キャンペーンに係る日本の需要者向けのウェブサイトが,各キャンペーンの開催期間中,インターネット上で実際に公開されていたと直ちに認めることはできない。
さらに,一部が日本語で記載されているウェブサイトらしき各画面(乙第8号証9頁下段の画面,乙第10号証11頁上段の画面,乙第12号証12頁上段の画面及び乙第14号証12頁上段の画面)があるとしても,被請求人の上記主張によれば,そもそも,これらの画面に遷移するには,キャンペーンを案内する電子DM(ダイレクトメール)に示されたURLから入っていくか,ショッピングサイト「Brandsfever」のトップページの右上にある日本の国旗をクリックすることで遷移すると述べているにもかかわらず,当該電子DM(ダイレクトメール)が存在したことを認めるに足りる客観的な証拠はなく,また,当該内部資料においても,ショッピングサイト「Brandsfever」のトップページらしき画面の提示は,乙第8号証2頁上段の資料しかないところ,その画面内には,フィリピン,インドネシア,シンガポール,マレーシア等の国名と国旗の表示は確認できるものの,日本の国名と国旗の表示はなく,ほかに上記ウェブサイトへのリンクも確認できないから,被請求人の上記主張とは整合しておらず,上記ウェブサイトが,各キャンペーンの開催期間中,インターネット上で実際に公開されていたと直ちに認めることはできない。
なお,被請求人は,宣誓書(乙7)には,ブランズ社がそのショッピングサイト「Brandsfever」において,要証期間内に「BONOBO」の衣服やファッション・アクセサリー(特に,バッグ,スカーフ,帽子,ベルト,ネックレス)について,2012年12月18日から25日まで,2013年6月24日からから7月1日まで,2013年11月22日から29日までの各期間にキャンペーンを行い,日本の需要者に向け販売の申し出をした旨宣誓されていると主張するが,当該宣誓書は,そもそも,ブランズ社によって被請求人キャンペーンが行われたことを同社の取締役が宣誓したものにすぎないところ,当該宣誓内容を裏付ける客観的な証拠が一切ないのであるから,にわかに信用できない。
イ 宣誓書(乙7)によれば,被請求人キャンペーンによる日本国に対する売上げは,販売数量1個,売上総額26.76米ドルであったと述べているが,被請求人は,当該売上げを証明する客観的な証拠を提出しておらず,被請求人キャンペーンに係るどの商品に対して,いつ誰から注文を受け,いつ商品の発送がなされたのか等が一切明らかではない。
ウ 審判長は,被請求人に対し,平成28年9月28日付けの審尋で,上記ア及びイに関して釈明を求めたが,被請求人は,何ら応答していない。
(2)小括
以上によれば,(ア)被請求人は,被請求人キャンペーンに係る電子DM(ダイレクトメール)が存在していたことについて,具体的に明らかにしていないこと,(イ)被請求人キャンペーンに係る日本の需要者向けのウェブサイトに至るまでの画面遷移に関する被請求人主張と内部資料(乙8?15)とが整合しないこと,(ウ)被請求人及びブランズ社は,宣誓書(乙7)に記載されている被請求人キャンペーンによる日本国に対する売上げ(販売数量1個,売上総額26.76米ドル)について,その根拠を一切明らかにしていないこと,からすると,ブランズ社が,被請求人キャンペーンを行うにあたって,日本の需要者に対して被請求人キャンペーンを告知する電子DM(ダイレクトメール)を送信したとは認められないだけでなく,ブランズ社の内部資料(乙8,乙10,乙12,乙14)中にある日本の需要者向けのウェブサイトについても,各キャンペーンの開催期間中,インターネット上で実際に公開していたと認めるのは困難であるから,これらをもって,要証期間内に,日本国内において,被請求人キャンペーンに係る「BONOBO」商品に関する広告的使用があったと認めることはできない。
その他,本件全証拠によっても,本件商標がその指定商品について使用されたことを認めるに足りる証拠はない。
3 むすび
以上によれば,被請求人は,要証期間内に日本国内において,商標権者,通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが,本件商標の指定商品のいずれかについて,本件商標の使用をしていることを証明したということができない。
また,被請求人は,本件審判請求に係る指定商品について,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-02-28 
結審通知日 2017-03-02 
審決日 2017-03-14 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X141825)
最終処分 成立  
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
平澤 芳行
登録日 2007-01-12 
商標の称呼 ボノボ 
代理人 田中 克郎 
代理人 石田 昌彦 
代理人 右馬埜 大地 
代理人 特許業務法人YKI国際特許事務所 
代理人 稲葉 良幸 

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