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審決分類 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W39
管理番号 1332349 
審判番号 無効2016-890068 
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-11-11 
確定日 2017-08-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第5763706号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5763706号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5763706号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成27年1月26日に登録出願、第39類「航空券の予約・発券の媒介又は取次ぎ,航空機の運行ダイヤ・運賃・座席予約情報の提供」を指定役務として、同年4月7日に登録査定、同年5月15日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が引用する商標は、別掲2ないし4のとおりの構成よりなり、「主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約の代埋・媒介又は取次ぎ,交通機関の予約・発券の媒介又は取次ぎ,交通機関の運行ダイヤ・運賃・座席予約情報の提供」に使用するものである。
なお、以下、別掲2の商標を「引用商標1」、別掲3の商標を「引用商標2」、別掲4の商標を「引用商標3」といい、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第50号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録は無効とされるべきものである。
2 具体的な理由
(1)請求人について
請求人の前身であるシートリップは、1999年に中華人民共和国の上海において設立され、旅行サービス全般を提供する総合旅行会社であり、その時価総額は、2003年NASDAQ証券取引所に上場して以来30倍以上にも成長し、2014年の総取引額は245億米ドルに達し、総手数料収入は13億米ドルに達している。
そして、2010年までに台湾、香港、マカオ及びアジア全域にサービスを拡大し、2014年には北米へのサービスを開始し、現在では英国領ケイマン諸島において法人登記して、中国、香港、台湾、日本、シンガポール及び韓国の主要都市に位置する支店において、約3万人以上の従業員を擁している(甲2、甲28)。
(2)引用商標について
請求人は、1999年の業務開始以来、自己の業務に係る役務「主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約の代埋・媒介又は取次ぎ,交通機関の予約・発券の媒介又は取次ぎ,交通機関の運行ダイヤ・運賃・座席予約情報の提供」(以下「請求人役務」という。)について、引用商標の使用を継続し、本件商標の出願の時点において、引用商標は少なくとも中国において、旅行業者や需要者の間において広く認識されていたものである。
(3)引用商標の独創性及び周知性について
ア 引用商標の独創性
引用商標1及び2に含まれる「CTRIP」の語は、一般に使用される辞書には掲載されていない請求人の創作に係る造語であり、その創作の由来は、企業理念を表す語Customer、Teamwork、Respect、Integrity、Partnerの頭文字を集めたものである(甲5)。また、「携程」は、請求人の漢字による中国語の社名表記である。
イ 引用商標の使用
請求人は、現在ではオンライン旅行予約業の中国最大手であり、中国内外に9つのグループ会社を有しており(甲2、甲28)、設立以来引用商標1をハウスマークとして所有、使用し、それに関連する語「携程」又は「CTRIP」をも使用している。また、引用商標3のように「CTRIP」の称呼を片仮名表記したものを日本向けサイトにおいて使用している。
ウ 引用商標の中国及びその周辺地域における周知、著名性
請求人は中国でのオンライン旅行予約サイトとして最大の事業者であり、引用商標を使用した結果、少なくとも中国、台湾、香港及びマカオにおいて周知、著名となっている。
具体的には、「携程 CTRIP」は、中国商標局より馳名商標として認められている(甲6)。上海市から「携程/CTRIP」や「携程 CTRIP」について2006年、2008年、2009年、2010年、2012年、2014年に有名商標である旨が証明されており(甲7の1)、2016年も有名商標の認定を受けるべく申請中である(甲7の2)。加えて、請求人は毎年多額の広告宣伝費(2011年:約2千4百万元=約4億6千2百万円、2012年:約5千5百万元=約10億5千5百万円、2013年:約1億4千9百万元=約28億4千7百万円(審決注:2013年は、約6千9百万元=約13億1千8百万円の誤りである。))を投じた結果(甲8の1、甲8の2)、全世界での売上げは4億5千万元(約70億円)にも達している(甲8の3)。宣伝広告活動として新聞や雑誌に引用商標が付された広告を多数掲載している(甲9)。
また、中国旅行研究院の2014年の研究成果において中国の20大旅行代理店の第1位に掲載され(甲10)、請求人の顕著な業績やその優良さ及び「携程 CTRIP」等のブランド価値の向上を称えて、各種業界団体、事業者、地方公共団体等より数多くの表彰を受けている(甲11)。
以上のとおり、引用商標は、請求人の業務に係る役務であることを表示するものとして、中国及びその周辺地域において需要者の間に広く認識されており、中国商標局より馳名商標として認められる著名商標である。
エ 引用商標の世界各国における商標登録の事実
請求人の業務は中国及びその周辺地域に留まらず、2003年に米国のNASDAQ証券取引所に上場し、米国、スイス、EU、韓国、マカオ、オーストラリア、台湾、ニュージーランド、シンガポール、香港、アラブ首長国連邦及び日本において「携程 CTRIP」等を商標登録している(甲12?甲24)。
オ 引用商標の日本における周知性
請求人には、我が国の企業である楽天株式会社が出資し(甲27)、2014年5月には「株式会社 CTRIP JAPAN」を東京都に設立して我が国での業務を本格的に開始し(甲40)、自動車大手であるドイツのダイムラー社が旅行を企画して請求人が販売する企画旅行が報道された(甲29)。
また、我が国の新聞においても請求人が中国最大の大手旅行予約サイトであると紹介されることが多々あり(甲25、甲26、甲30?甲42)、我が国において広く報道されている事実がある。これらは、そのほとんどが旅行業者向けの専門誌というわけではなく一般誌であり、昨今の中国人観光客の激増というニュースの中で、引用商標が中国最大手の旅行予約サイトを運営する請求人の業務に係る役務を表示するものとして紹介されている事実がある。
カ 引用商標の独創性及び周知性まとめ
以上のとおり、引用商標は、いずれも請求人に独自の造語よりなるものであって、第三者が偶然に同一の文字からなる商標を採用、採択する可能性は限りなく低い、独創性の高い商標である。
また、「携程 CTRIP」は、中国及びその周辺地域においては、2008年には中国商標局からは馳名商標として認められ(甲6)、上海市からは「携程/CTRIP」や「携程 CTRIP」について2006年から2014年まで連続して有名商標である旨が証明されており(甲7の1)、遅くとも2008年頃までには請求人役務について周知、著名である。
さらに、我が国においても、請求人は、2014年5月に「株式会社 CTRIP JAPAN」を東京都に設立して我が国での業務を本格的に開始し(甲40)、その後の中国人観光客の激増及び「爆買い」の社会現象によって、請求人が中国最大手の旅行予約サイトである旨の報道が多くされた結果、遅くとも2015年1月頃までには請求人役務について一定程度の周知性を獲得しているものである。
(4)本件商標と引用商標との類否
ア 本件商標について
本件商標は、赤色の円形内に白抜きで富士山山頂を模した図形を有し、その右側に「Ctrip Japan」の欧文字を横書きし、さらにその右側に「携程日本」と「シートリップジャパン」の文字とを上下二段に書してなるところ、外観上、図形部分と文字部分との結びつきは、それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとまではいえないものであって、該図形部分より直ちに特定の称呼及び観念は生じないというべきである。したがって、本願商標の構成中の文字部分から生ずる称呼及び観念によって取引に資する場合も決して少なくないものというべきである。
そして、その構成中の文字部分については、「Ctrip Japan」、「携程日本」及び「シートリップジャパン」の文字部分中の「Ctrip」、「携程」及び「シートリップ」の文字が辞書類等に載録された成語とも認められず、かつ、特定の意味合いを有する語として一般に知られたものとも認められないものであるから、一種の造語を表したものとみるべきである(後述のとおり、引用商標の周知性を勘案すれば、請求人と経済的、組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかの如く誤認混同が生じる。)。そうとすれば、富士山のような図形部分の日本的な印象、記憶、連想も相まって、本件商標よりは「『シートリップ』の日本」、「『携程』の日本」との観念が生じるといえる。
また、「Ctrip Japan」の文字部分は、本件商標の「シートリップジャパン」の文字部分の欧文字表記としてみることができるから、その称呼は、「シートリップジャパン」と認められるものであり、「携程日本」の文字部分は、「携程」の文字が「ケイテイ」と読むことが不自然でないことから、「ケイテイニホン」と称呼される場合も否定できない。加えて、本件商標の指定役務との関係において「ジャパン」及び「日本」の文字は、役務の提供の場所を容易に認識させるものであるから、自他役務識別力を有さないため、本件商標の文字部分の要部は「シートリップ」及び「携程」の文字部分であるといえるから、該文字に相応して「シートリップ」及び「ケイテイ」の称呼も生じる。
してみれば、本件商標は、その構成中の各文字部分に相応して、「シートリップジャパン」及び「ケイテイニホン」の称呼のほか、「シートリップ」及び「ケイテイ」の称呼をも生じ、「『シートリップ』の日本」、「『携程』の日本」との観念が生じるとみるのが相当である。
イ 引用商標について
引用商標1は、やや丸みを帯びたフォントにより「Ctrip」の欧文字と「携程」の文字の間を線で区切って上下二段に表し、引用商標2は、「携程」と「CTRIP」の文字からなる「携程CTRIP」の文字よりなり、引用商標3は、「シートリップ」の片仮名を横書きしてなるものであるところ、引用商標は、それぞれの構成文字に相応して、「シートリップ」、「ケイテイ」、「シートリップケイテイ」及び「ケイテイシートリップ」の称呼を生じる。また、そこから生じる観念については、前記(3)アのとおり「Ctrip」及び「携程」の語が独創性の高い造語であることから、英和辞典や国語辞典にはその記載がないが、前記引用商標の中国近隣地域での著名性及び我が国における一定程度の周知性を勘案すれば、少なくとも本件商標の指定役務を取扱う旅行業界においては、「中国最大手の旅行予約サイトである『携程CTRIP』」との観念が想起される。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とは、外観において富士山を模した図形部分の有無という差異を有する。
また、称呼及び観念においては、本件商標と引用商標とが、「シートリップ」及び「携程」の要部を共通にするため、該文字に相応して「シートリップ」及び「ケイテイ」の称呼及び「シートリップ」及び「携程」から生じる観念を共通にする。
ここで、商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的取引状況に基づいて判断すべきである(最高裁昭和43年2月27日第三小法廷判決、民集22巻2号399頁参照)。
そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、前述のとおり本件商標中の「ジャパン」及び「日本」の文字は、役務の提供の場所を容易に認識させるものであるから、自他役務識別力が限りなく弱い部分である。
また、本件商標の図形部分も「日本」をイメージさせる富士山を模した図形部分であるから、本件指定役務である「航空券の予約・発券の媒介又は取次ぎ、航空機の運行ダイヤ・運賃・座席予約情報の提供」との関係において、看者には「日本への航空券の予約の取次ぎ、日本への航空機の情報の提供」といった程度の意味合いを看取させるにとどまり、格別な自他役務識別力を発揮するものではない。
そして、引用商標の中国近隣地域での著名性及び我が国における一定程度の周知性という取引の実情を考慮すれば、本件商標に接した旅行業者、旅行予約サイト運営業者、中国への旅行を検討する一般の日本人旅行者及び中国から日本への旅行を検討する中国人旅行者は、あたかも中国最大手の旅行予約サイトを運営する請求人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く誤認混同を生じる蓋然性が高いといわざるを得ない。加えて、本件商標の出願前の2014年5月には、請求人は「株式会社 CTRIP JAPAN」を東京都に設立して我が国での業務を本格的に開始しており(甲40)、役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれが一層高まっている状況にある。
したがって、本件商標と引用商標とは互いに類似する商標である。
(5)不正の目的
ア 引用商標の周知性については、特に中国での著名性は疑いようのないものであり、引用商標が造語よりなるものであることも前記(3)アのとおりである。そして、請求人は、実際に2014年に日本法人を設立して日本での業務を開始しており(甲40)、その業務拡大は我が国においても広く報道されており(甲25?42)、本件商標権者が本件商標を使用した場合には、前記(4)ウのとおり、旅行業者、旅行予約サイト運営業者、中国への旅行を検討する一般の日本人旅行者及び中国から日本への旅行を検討する中国人旅行者らは、あたかも中国最大手の旅行予約サイトを運営する請求人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く誤認混同を生じる蓋然性が高いといわざるを得ない。
イ 本件商標権者と請求人との接触
本件商標権者は、本件商標の出願前に請求人に対し、インターネット上で接触し、請求人のネットワークへのメンバー参加を希望し、請求人に知的財産権侵害などを理由に業務提携を拒絶された事実がある。
請求人は、我が国を含む各国において「携程網站連盟メンバー」(以下「メンバー」という。)を募集しており、それに応募してきた各国の旅行業者や旅行予約サイトについて審査を行い、審査を通過した者とは業務提携を行って、世界各国への旅行予約の手配のネットワークを構築しているところ、平成26年(2014年)5月2日に本件商標権者からメンバーへの応募があった(甲44)。
その応募内容は、会社名称「株式会社中海航運」(一部簡体字表記となっている。)、会社連絡人「A」、ウェブサイト名称「携程日本」、ウェブサイトURL「http://www.ctrip.co.jp」となっていたため、このウェブサイトを確認すると、本件商標と酷似した商標が登録商標として紹介されており(甲45)、中国語で日本各地への観光案内がされ(甲46)、中国語で申し込み等ができるようになっていた(甲48)。また、当該ウェブサイトの別ページには「A」なる人物の顔写真付きの紹介も確認できる(甲47)。この「A」こそ、前記メンバーに応募してきた際の会社連絡人である(甲44)。このような本件商標権者からの応募に対し、請求人は平成26年(2014年)12月26日に本件商標権者に対して、請求人の知的財産権を侵害するものであるとして業務提携不可との通知を行った(甲49)。
加えて、本件商標権者は、過去に自社のウェブサイトに「こちらのサイトの持ち主は本土の『中国携程』と全く関係ございません。弊社の登録商標がシートリップジャパンとなっているだけです。お間違いならぬ様よろしくお願いします。」と注記しており(甲50)、自ら請求人との誤認混同が生じていることを自白しつつも、そのような誤認混同が生じる商標を使用している理由付けとして本件商標登録の事実を挙げており、本件商標が登録されている事実が不正行為を正当化する理由として利用されている事実がある。
以上のとおり、本件商標権者は、本件商標の出願前に請求人に接触し、あわよくば請求人の日本における業務提携先とならんことを企図したものの、請求人によりその名称「提携日本」が請求人の知的財産権を侵害するものとして業務提携を拒絶されたのである。そして、その約30日後の平成27年(2015年)1月26日に本件商標を出願している。
ウ まとめ
以上のような事実に鑑みれば、本件商標権者の連絡先として名前が挙げられている「A」なる人物は中国人であるから当然に請求人の業務に係る引用商標の著名性を十分に知悉しており、あわよくば引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等にフリーライドせんと請求人に接触したものの、あえなく業務提携を拒否され、かえって引用商標が我が国において商標登録されていないことを奇貨として、それに化体された業務上の信用と顧客吸引力にただ乗りし、不正の利益を得る目的を有していたといわざるを得ない。また、本件商標の出願前に請求人が日本法人を設立し、日本での業務展開を開始していたことからすれば、本件商標権者は、引用商標と類似する本件商標を使用して本件指定役務を行うことによって、請求人に売上減少などの損害を加える目的をも有していたものと認められる。
したがって、本件商標権者は、「不正の目的」をもって、引用商標と類似する本件商標を使用したと認められる。
(6)結び
以上のとおり、本件商標は、請求人の業務に係る役務を表示するものとして、少なくとも中国において需要者の間に広く認識されている引用商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものであるから、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判請求の費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。
請求人の日本オフィス「株式会社 CTRIP JAPAN」は、平成26年(2014年)5月に設立(乙10、乙11)したものであり、翌2015年9月に第三種旅行業を取得している(乙12)。旅行業務を取り扱う年月からして、被請求人の方が遥かに先である(乙13)。
被請求人は、日本の法律に基づき、健全な旅行業務を取扱っており、ブランド名を商標登録したものであり、不正の目的はない。

第5 当審の判断
1 引用商標1及び引用商標2の周知性について
(1)請求人提出の証拠及び同人の主張から、次の事実を認めることができる。
請求人は、1999年に中華人民共和国の上海において設立され、「主催旅行の実施,旅行者の案内,旅行に関する契約の代埋・媒介又は取次ぎ,交通機関の予約・発券の媒介又は取次ぎ,交通機関の運行ダイヤ・運賃・座席予約情報の提供」等を業とする総合旅行会社であり、現在では、中国におけるオンライン旅行予約業の最大手であり(甲2)、我が国の新聞や雑誌においても、請求人が運営するサイトは中国最大の旅行予約サイトである旨の記事が多数掲載されている(甲25?甲27、甲29?甲42)。
また、請求人は、2003年にはNASDAQ証券取引所に上場し、2014年の総取引額は245億米ドルである。2010年までにはアジア全域、2014年には北米へのサービスを開始し、現在では英国領ケイマン諸島において法人登記して、中国、香港、台湾、日本、シンガポール及び韓国の主要都市に位置する支店において、約3万人以上の従業員を擁している(甲2、甲28)。
さらに、2014年の中国旅行研究院の研究成果において中国の20大旅行代理店の第1位に掲載されている(甲10)。
引用商標1及び引用商標2を構成する「CTRIP」及び「携程」の文字については、「CTRIP」の文字は、請求人が、請求人の企業理念を表す語(「Customer」、「Teamwork」、「Respect」、「Integrity」、「Partner」)の頭文字を集めて創作した造語であり(甲5)、「携程」の文字は、請求人の中国語の社名を漢字により表したものである。
「携程 CTRIP」の文字からなる商標は、2008年に中国商標局より馳名商標として認められており(甲6)、上海市においては、2006年ないし2011年は「携程」の文字と「CTRIP」の文字を二段に書してなる商標、2008年ないし2014年は「携程 CTRIP」の文字を横書きしてなる商標及び2012年ないし2014年は多少図案化した「Ctrip」の文字と「携程」の文字を横書きしてなる商標について、有名商標である旨が証明されている(甲7の1)。
請求人は、2011年には約2千4百万元(約4億6千2百万円)、2012年には約5千5百万元(約10億5千5百万円)、2013年には約6千9百万元(約13億1千8百万円)の広告宣伝費を投じており、全世界での売上げ(各言語サイトの総売上高)は、2015年1月ないし3月には、4億5千万元(約70億円)となった(甲8)。
(2)そうすると、請求人の「携程」の文字と「CTRIP」の文字を二段に書してなる商標と酷似する引用商標1及び請求人の「携程 CTRIP」の文字からなる商標と酷似する引用商標2は、本件商標の出願時(平成27年1月26日)ないし査定時(同年4月7日)において、請求人役務を表示するものとして、中国における需要者の間に広く認識されていたものと判断するのが相当である。
2 本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否
本件商標は、別掲1のとおり、左側に赤く塗りつぶした楕円の中に白抜きで山の稜線を描いた図形、中央に「Ctrip japan」の文字、右側に上下二段に書した「携程日本」及び「シートリップジャパン」の文字を、それぞれの間に一文字分程度の空白を置いて横一列に配した構成からなるところ、その構成中、図形部分と文字部分は、外観上、分離して観察されるものであり、かつ、両者の間に観念上のつながりなども認められないものであるから、本件商標は、文字部分が独立して自他役務識別標識としての機能を有するものといえる。
そして、本件商標の文字部分についてみると「japan」、「日本」及び「ジャパン」の各文字は、国名としての日本国を表すものであって、本件商標の指定役務との関係において、単に役務の提供場所を表示するにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないか、または極めて弱い部分といわざるを得ないから、本件商標の構成文字中、自他役務の識別標識としての機能を有する部分は、「Ctrip」、「携程」及び「シートリップ」の文字部分というべきである。
そうすると、本件商標は、「Ctrip」、「携程」及び「シートリップ」の文字部分に相応して、「シートリップ」及び「ケイテイ」の称呼をも生じ、特定の観念を生じないものである。
一方、引用商標1は、別掲2のとおり、上段に「Ctrip」の欧文字及び下段に「携程」の文字をそれぞれ横書きし、それら上下の文字の間に横線を配してなり、また、引用商標2は、別掲3のとおり、「携 程 CTRIP」の文字を書してなるものであるところ、引用商標1及び引用商標2を構成する「Ctrip」及び「CTRIP」の文字よりは、「シートリップ」、「携程」の文字よりは、「ケイテイ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
そこで、本件商標と引用商標1及び引用商標2を比較すると、両者は、外観においては「Ctrip」又は「携程」の文字を共通にし、称呼においては「シートリップ」又は「ケイテイ」の称呼を共通にするものであって、ともに特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができないものである。
そうすると、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、観念において比較することができないものの、外観において共通するところがあり、称呼を共通にするものであるから、両者は類似する商標というべきである。
3 不正の目的
(1)請求人提出の証拠及び同人の主張から、次の事実が認められる。
請求人は、インターネット上で業務提携を希望する者を募集したところ、被請求人は、上記募集に対し平成26年(2014年)5月2日に応募した(甲44、甲49)。
請求人は、この応募に対して、被請求人のウェブサイトを確認したところ、当該ウェブサイトは、中国語表記であり本件商標と酷似する商標を登録商標として掲載していた(甲45)ため、平成26年(2014年)12月26日、被請求人に対して、請求人の知的財産権を侵害するものであるとして業務提携不可との通知を行った(甲49)。
被請求人は、平成27年(2015年)1月26日に本件商標を登録出願し、同年5月15日に設定登録された。
(2)以上からすると、被請求人は、遅くとも請求人の業務提携の募集に対し応募した平成26年(2014年)5月2日時点において、請求人及び引用商標1及び引用商標2の存在を認識していたといえる。さらに、被請求人は、請求人が平成26年(2014年)12月26日に被請求人に対して業務提携は不可とする通知をした一月後に、本件商標を登録出願したことが認められる。
上記の事実に加え、引用商標1及び引用商標2を構成する「Ctrip」、「CTRIP」及び「携程」の各文字が、特定の意味を有する既成の語ではなく造語であり、かつ、「携程」の文字が請求人の中国語の社名の漢字表記であることからすれば、被請求人が、引用商標1及び引用商標2と外観及び称呼において類似する本件商標を偶然に採択したとはいい難く、むしろ、本件商標の出願当時、引用商標1及び引用商標2の存在を認識したうえで、引用商標1及び引用商標2が我が国において商標登録されていないことを奇貨として、引用商標1及び引用商標2と類似する本件商標を出願し、設定登録を受けたものと推認せざるを得ない。
したがって、本件商標は、その登録出願時及び査定時において請求人の業務に係る役務を表示するものとして、中国における需要者の間に広く認識されている引用商標1及び引用商標2と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものというべきであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本件商標)(色彩は原本参照)


別掲2(引用商標1)


別掲3(引用商標2)


別掲4(引用商標3)

シートリップ

審理終結日 2017-06-08 
結審通知日 2017-06-15 
審決日 2017-07-07 
出願番号 商願2015-6294(T2015-6294) 
審決分類 T 1 11・ 222- Z (W39)
最終処分 成立 
前審関与審査官 齋藤 貴博 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 松浦 裕紀子
小松 里美
登録日 2015-05-15 
登録番号 商標登録第5763706号(T5763706) 
商標の称呼 シートリップジャパン、シイトリップジャパン、ケーテーニッポン、シートリップ、シイトリップ、ケーテー 
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所 
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