• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W1621
審判 全部申立て  登録を維持 W1621
審判 全部申立て  登録を維持 W1621
管理番号 1331492 
異議申立番号 異議2017-900091 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-03-22 
確定日 2017-08-24 
異議申立件数
事件の表示 登録第5905553号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5905553号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5905553号商標(以下「本件商標」という。)は,「全国バイク神社認定第1号」の文字を標準文字で表してなり,平成28年6月22日に登録出願,同年11月10日に登録査定,第16類「印刷物,文房具類,紙製のぼり,紙製旗,紙製包装用容器,紙袋,プラスチック製包装用袋,書画」及び第21類「お守り,おみくじ,貯金箱」を指定商品として,同年12月16日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
商標異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標について,商標法第4条第1項第7号,同法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第36号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第7号について
(1)本件商標に含まれる「バイク神社」の語は,本件商標権者と同じ栃木県下にある申立人の「大前神社」境内の末社「足尾山神社」(甲2)を指称するものとしてオートバイ愛好家の間で全国的に認知されている(甲3)。
(2)足尾山神社が「バイク神社」と呼ばれるようになったきっかけは,Y氏にある。Y氏が,大前神社とタイアップして,平成23年(2011年)3月末,「RIDER’S交通安全祈願/大前神社」と題したポスター(B3サイズ800部:甲4)を製作したことに始まる(甲5)。
このポスターは,オートバイ愛好家(ライダー)の交通安全を祈願するとともに,「萌えおこし」(美少女キャラクターを使った地域おこし)として,地域PRも兼ねて製作されたものである。
そして,Y氏は,このポスターを,平成23年4月16日「BGチャリティーミーティングin上田」(甲6,甲7),同年5月21日「浅間ミーティング」(甲5,甲8)などで配布している。
また,Y氏は,このポスターに描かれている「空ちゃん」というキャラクターの等身大フィギュアを製作し,これを記念して平成25年(2013年)1月27日に,大前神社で,「空ちゃんお披露目ミーティングin大前神社」が開催された(甲9)。
(3)この大前神社で開催されたイベントは,平成26年(2014年)1月26日に「第2回空ちゃん参集」(甲10),同27年(2015年)2月17日に「第3回空ちゃん参集」(甲3,甲11),同28年(2016年)2月21日に「第4回空ちゃん参集」(甲12,甲13),同29年(2017年)2月26日に「第5回空ちゃん参集」(甲14)と毎年行われており,参加者も回を追う毎に増えている(2017年は200人:甲14)。
(4)その他,Y氏は,大前神社(足尾山神社)へ,平成25年(2013年)夏に「バイク絵馬」を奉納し(甲15),同28年(2016年)5月に「カワサキ仕様ガスボンベ」を奉納し(甲16,甲17),同年8月6日に「オートバイの顔ハメ看板」を奉納している(甲18)。
(5)Y氏と大前神社による地道な活動が,オートバイ愛好家から共感を受けて,大前神社(足尾山神社)はライダーの聖地として「バイク神社」と呼ばれるようになった。
(6)栃木県で一番の発行部数を誇る下野新聞(甲19)の平成27年(2015年)3月2日発行の同紙紙面に,「バイク神社」として紹介されている(甲3)。
それ以降も,新聞や雑誌に,たびたび「バイク神社」として紹介されている(甲12?甲14,甲16?甲18)。
(7)一般社団法人日本自動車工業会の発行する「MotorcycleInformation/モーターサイクルインフォメーション」誌(2016年6月号)では,ズームアップ「ライダーの安全を祈願する『バイク神社』がいまブーム」という特集記事で「大前神社」が紹介されている(甲20)。
(8)このように,大前神社の「バイク神社」は,栃木県内のみならず県外のオートバイ愛好家にも親しまれ,「空ちゃん目当てにバイク乗りの方々がわざわざ真岡まで走って来てくれたりと,町おこし的にも予想以上に役立ってくれています。」と大前神社の神職のコメントが雑誌に記載されている(甲9)。
また,こうした活動を支えているY氏は,等身大フィギュア「空ちゃん」の製作し(甲21),「地元スタンドが神社と一緒になって,それこそ『町おこし』のようにやっていきたい。ボンベ奉納もその一環。・・・町が賑わう事によって,地域全体が良い方向に行けば」と記載されている(甲17)。
(9)本件商標は,こうした状況下において登録出願され,本件商標の登録直後の平成29年2月1日に,本件商標権者から申立人に対して通知書が出されている(甲22)。
その内容は,大前神社に対して「バイク神社」並びに「オートバイ神社」の文言の使用中止を求めるものであった。そのため,申立人は,同年2月21日に返答書を出し,特許庁の判断を待って正式に返答する旨の返答を行った(甲23)。
すると,同年2月24日に本件商標権者から通知書(2)があり,再度の返答を要求されるとともに単なる期限の引き延ばし行為と申立人の返答を非難する内容のものであった(甲24)。
そこで,申立人は,同年3月3日に返答書(2)を出し,これまで「バイク神社」への活動に協力している関係者に配慮しながら対応していることについて理解を求めた(甲25)。
しかしながら,同年3月9日に,本件商標権者から通知書(3)があり,申立人の過去2回の返答を非難するだけでなく,同年3月3日付下野新聞の記事(甲14)に対して,新聞社に厳重忠告する旨の内容であった(甲26)。
申立人のみならず報道機関である新聞社を巻き込むまでにエスカレートする本件商標権者からの要求に対して,申立人は,同年3月17日に返答書(3)を出し,当方の対応に対する理解を求めた(甲27)。
(10)本件商標権者は,本件商標を実際に使用しているようである(甲28)。
しかし,本件商標の登録出願日(平成28年6月22日)以前に,大前神社(足尾山神社)がオートバイ愛好家の間で「バイク神社」と称されており,その認知度が全国的に高まっていたこと(甲3)は,申立人と同じ栃木県下でしかも同じ神社という間柄にあって本件商標権者が知らないということはあり得ない。
それを承知の上で,申立人への権利行使を前提としたとしか考えられない本件商標の登録出願は,いわゆる「悪意の出願」といわざるを得ないものである。
しかも,申立人は,「バイク神社」の文字を,本件商標に係る指定商品に使用しているわけではない。
あくまでもオートバイ愛好家を中心に大前神社(足尾山神社)が「バイク神社」と称されているのであって,大前神社(足尾山神社)が「バイク神社」と名乗っているものではない。唯一,大前神社の公式ホームページ(甲29)にある「神職『N』ブログ」で「皆さまからバイク神社・オートバイ神社と称され親しまれている神社」等と記載しているのみである(甲30)。
本件商標権者は,これを,本件商標及び現在商標登録出願中の「バイク神社」(商願2017-8891:甲31)と「オートバイ神社」(商願2017-676:甲32)に対する商標権侵害とした上で,申立人による「バイク神社」並びに「オートバイ神社」の文言の使用中止と過去の掲載記事からの文言の即時削除を要求している(甲22)。
商標の使用であればまだしも,文言の使用に対しても本件商標の登録の効力を主張する行為は,「バイク神社」を通じて町おこし,地域おこしを行ってきたY氏や申立人らのこれまでの活動に水を差すことであり,商標法の趣旨を明らかに逸脱している。
(11)したがって,本件商標は,その出願の経緯に社会的相当性を欠くものであって,商標法第4条第1項第7号に該当する。
なお,母衣旗事件(平成10年(行ケ)第18号)において判示している(甲33)とおり,まさに,本件商標の登録出願は,地域振興の中心となる申立人やY氏らによる町おこし(町の経済の振興)の遂行を阻害して,「バイク神社」という名称による利益の独占を図る意図が明白であって,公正な競業秩序を害するものに他ならず,本件商標は,商標法第4条第1項第7号にいう「公序良俗」に該当する商標である。
2 商標法第3条第1項第6号について
(1)一般社団法人日本自動車工業会の発行する「MotorcycleInformation/モーターサイクルインフォメーション」誌(2016年6月号)では,ズームアップ「ライダーの安全を祈願する『バイク神社』がいまブーム」という特集記事で,「最近,ライダーが交通安全を祈願したり,バイクの交通安全お守りを受けたりすることのできる『バイク神社』『オートバイ神社』と呼ばれる神社が各地で人気を呼んでいる。」と前置きした上で,申立人である大前神社の他に,小鹿神社(埼玉県秩父郡小鹿野町),金城オートバイ神社(島根県浜田市金城町),長笹楽山オートバイ神社(広島県山県郡北広島町)の計4カ所の神社を紹介している(甲20)。
(2)また,「金城オートバイ神社」は,島根県浜田市のホームページに「日本第一号の『オートバイ神社』」として,「長笹楽山オートバイ神社」は,「第二号のオートバイ神社」として各々紹介されている(甲34)。
しかも,同ホームページには「今後,日本全国に10か所程度設置される予定で,(略)」との記載もある。
以上のことを勘案すれば,「バイク神社」の語の前後に「全国」と「認定第1号」の語を結合させた本件商標からは,全国の中から第1号に認定されたバイク神社ほどの意味合いを生じるにすぎない。
そのため,指定商品との関係からは,本件商標を,特に神社と密接に関連する「お守り」や「おみくじ」に使用しても,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができず,自他商品識別機能を発揮しないものといわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 商標法第4条第1項第16号について
「神社」とは,「日本固有の宗教である神道の信仰に基づく祭祀施設」であり,文部科学省の資料によると,日本全国で約8万5千の神社が存在している。
それらは,戦後に設立された「神社本庁」に包括されており(甲35),本件商標権者は,神社本庁の下部組織である「栃木県神社庁」に属している。
一方,「認定」とは,「[資格・事実の有無などについて]公の機関が判断し,決定すること。」である(甲36)。
そうとすると,全国のバイク神社の第1号として認定し得るのは,前記した「神社本庁」や「栃木県神社庁」若しくはそれに準ずる機関によることが求められる。
このため,「全国バイク神社認定第1号」を指定商品に使用した場合,あたかも前記「神社本庁」等の公的機関により認定された神社の商品であると認識し,それ以外の商品に本件商標を使用した場合,商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当する。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第7号の趣旨について
「商標の登録出願が適正な商道徳に反して社会的妥当性を欠き,その商標の登録を認めることが商標法の目的に反することになる場合には,その商標は商標法4条1項7号にいう商標に該当することもあり得ると解される。しかし,・・・商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法4条1項7号に該当するのは,その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである。」(平成15年5月8日知的財産高等裁判所判決,平成14年(行ケ)第616号)。
2 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は,前記第1のとおり,「全国バイク神社認定第1号」の文字を標準文字で表してなるものであり,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字でないことは明らかである。
そして,申立人が提出した甲第28号証は,折り畳まれている本件商標権者のパンフレットを拡げた状態で示されたものであり,その1葉目の中程に朱印帳(決定注:主に神社や寺院において,主に参拝者向けに押印される印章及びその印影(朱印)を集めるための専用の帳面)の写真が掲載され,これには,右から「全国バイク神社認定第一号」,「バイク神社」及び「御朱印帳」の表示があり,当該写真の下に「商標登録第5905553号」及び「全国バイク神社認定第1号」(本件商標)の文字が二段に記載されている。
そうすると,本件商標権者は,本件商標をその指定商品中「文房具類」に含まれる「朱印帳」に使用しているものと認められる。
しかしながら,申立人が提出した本件商標の使用に係る上記証拠(甲28)からは,本件商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないとすべき具体的事実は見あたらない。
したがって,本件商標は,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
なお,該朱印帳を紹介したやや右に「※全国バイク神社認定第1号(バイク神社)は商標登録です。使用される行為は商標権の侵害に当たりますのでご注意下さい。」の記載があるものの,本件商標は,「全国バイク神社認定第1号」の文字からなるものであるから,ここに記載された「バイク神社」の文字とは別異のものと認められる。
3 商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は,「全国バイク神社認定第1号」の文字からなるものであり,これからは,「ゼンコクバイクジンジャニンテイダイイチゴウ」の称呼を生じ,「全国のバイク神社と認定された第1号」ほどの意味合いを認識させるものである。
そして,申立人が提出した証拠及び当審において職権により調査するも,「全国バイク神社認定第1号」の文字が,本件商標権者以外の者により,その指定商品について広く一般に使用されている事実は見あたらない。
したがって,本件商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないから,商標法第3条第1項第6号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は,「全国バイク神社認定第1号」の文字からなるものであるから,その構成文字が,本件商標の指定商品との関係において,その商品の産地,品質,原材料等を普通に用いられる方法で表示するものということができない。
そうすると,本件商標をその指定商品について使用をしても,需要者が商品の品質について誤認を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当しない。
5 申立人の主張について
(1)申立人は,「本件商標の登録は,地域振興の中心となる申立人やY氏らによる町おこし(町の経済の振興)の遂行を阻害して,『バイク神社』という名称による利益の独占を図る意図が明白であって,公正な競業秩序を害するものに他ならない」旨主張する。
そして,「バイク神社」の文字について,申立人が提出した証拠によれば,以下のとおりである。
ア 2015年(平成27年)3月2日付けの下野新聞(甲3)には,「真岡・大前神社の末社 足尾山神社」,「ライダーの守り神に」の見出しの下,「【真岡】東郷の大前神社敷地内にある末社『足尾山神社』が,全国的にも珍しい『バイク神社』としてライダーの間で認知度が高まっている。・・・5年前申し出を受け,大前神社の・・・宮司が,・・・足尾山神社をバイク神社にすることを快諾した。」旨の記載がある。
イ 雑誌「Mr.BikeBG」(モーターマガジン社発行,2015年(平成23年)4月号)(甲11)には,56頁に「大前神社内にある末社『足尾山神社』は全国的にも珍しいバイク神社として認知度が急上昇中。」の記載がある。
ウ 2016年(平成28年)2月25日付けの下野新聞(甲12)には,「真岡の大前神社内『バイク神社』」,「ライダー150人安全祈願」等の見出しの下,「【真岡】『バイク神社』としてライダーの間で知名度が上がっている東郷の大前神社敷地内にある末社『足尾山神社』」の記載がある。
エ 雑誌「Mr.BikeBG」(モーターマガジン社発行,2016年(平成28年)4月号)(甲13)には,235頁に「2016 空ちゃん参集! 今年初のツーリングはバイク神社のある栃木県真岡市の大前神社。」の記載,237頁に「『正真正銘の日本で最初のバイク神社が大前神社。・・・』」等の記載がある。
オ 2016年(平成28年)5月27日付けの下野新聞(甲16)には,「【真岡】安全運転を願う『バイク神社』としてライダーの間で知名度が上がっている東郷の大前神社敷地内にある末社『足尾山神社』に・・・」の記載がある。
カ 雑誌「月刊ガソリン・スタンド」(株式会社月刊ガソリン・スタンド発行,2016年(平成28年)9月号)(甲17)には,足尾山神社の写真とともに,「交通安全を祈願『バイク神社』へカスタム・ボンベ奉納」及び「・・・同神社はすっかり『バイク神社』として有名になった。」の記載がある。
キ 雑誌「Mr.BikeBG」(モーターマガジン社発行,2016年(平成28年)10月号(甲18)には,大前神社の写真とともに,「全国バイク神社発祥の地 大前神社に顔ハメ看板奉納」の記載がある。
ク 雑誌「Motorcycle Informaion」(一般社団法人日本自動車工業会発行,2016年6月 第337号)に係る2016年(平成28年)6月の報道用資料(甲20)には,8頁に「ライダーの安全を祈願する『バイク神社』がいまブーム!」の表示の下,「月に1,000人ものライダーが参拝する」として「栃木県真岡市の大前神社は,・・・。そのなかの一つに『足尾山神社』があり,ここが大前神社の中のバイク神社といわれるもの。」の記載がある。
上記によれば,本件商標の登録査定日前において,下野新聞に3回,雑誌「Mr.BikeBG」に3回,雑誌「ガソリン・スタンド」及び「Motorcycle Informaion」に各1回,栃木県真岡市にある大前神社の末社「足尾山神社」が,ライダーの安全を祈願する「バイク神社」とも呼ばれていること,「足尾山神社」は「バイク神社」としてライダーの間で知られている旨の記事が掲載されたことが認められる。
しかしながら,申立人が提出した証拠からは,栃木県真岡市に所在する大前神社が「バイク神社」と称されバイクのライダーが交通安全祈願に訪れていることは認められるとしても,申立人らによる「バイク神社」の文字の使用は,町の経済の振興を図るという地方公共団体等の政策目的に基づく公益的な施策ということはできないから,本件商標の登録出願が,町の経済の振興の遂行を阻害し,公共的利益を損なう結果に至ることを知りながら,「バイク神社」という名称による利益の独占を図る意図をもってなされたものということができない。
しかも,本件商標は,「全国バイク神社認定第1号」の文字からなるものであるから,申立人らの「バイク神社」の文字を使用した町おこしの遂行を阻害するものでもない。
(2)申立人は,雑誌に掲載された記事において,「小鹿神社(埼玉県秩父郡小鹿野町)」,「金城オートバイ神社(島根県浜田市金城町)」,「長笹楽山オートバイ神社(広島県山県郡北広島町)」の計4カ所の神社の紹介,及び「金城オートバイ神社」は,島根県浜田市のホームページに「日本第一号の『オートバイ神社』」として,「長笹楽山オートバイ神社」は,「第二号のオートバイ神社」と紹介されていることを理由に,「本件商標を,特に神社と密接に関連する『お守り』や『おみくじ』に使用しても,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができず,自他商品識別機能を発揮しない」旨主張する。
そして,バイクのライダーが交通安全を祈願したり,バイクの交通安全お守りを受けたりすることができる神社が「バイク神社」又は「オートバイ神社」と呼ばれ,その中に申立人の神社(大前神社)に加えて,埼玉県秩父郡小鹿野町の「小鹿神社」,島根県浜田市金城町の「金城オートバイ神社」,及び広島市北広島町の「長笹楽山オートバイ神社」が紹介されている(甲20,甲34)。
しかしながら,これらは,バイクの交通安全お守りを受けたりすることができる4つの神社が「バイク神社」又は「オートバイ神社」と通称されていることを示すにすぎないものであって,「バイク神社」の文字が,本件商標の指定商品に含まれる「お守り,おみくじ」等について,広く一般に使用され,取引されているものということができない。
そうすると,本件商標は,その構成自体が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものではなく,取引の実情を考慮しても,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないものである。
(3)申立人は,「『全国バイク神社認定第1号』を指定商品に使用した場合,あたかも『神社本庁』等の公的機関により認定された神社の商品であると認識し,それ以外の商品に本件商標を使用した場合,商品の品質の誤認を生ずるおそれがある」旨主張する。
しかしながら,申立人が提出した証拠によっては,「神社」の文字を含む商標が「神社本庁」等の公的機関により認定された神社のみしか使用できないものとはいえないし,職権調査によれば,本件商標権者は,栃木県神社庁に属する神社と認められるから(栃木県神社庁ウェブサイト http://kir579053.kir.jp/jinjyacyo/?p=1017 参照),本件商標権者が,本件商標をその指定商品について使用しても,神社が販売する商品の品質について誤認を生ずるおそれはない。
6 通知書(甲22)について
本件商標権者を通知人とする,申立人宛の通知書(甲22)の記載内容によれば,本件商標権者は,「全国バイク神社認定第1号」(登録第5905553号)に係る商標権を所有しており,特許庁プラットフォームの商標検索データによれば,「バイクジンジャ」のみの称呼が発生することが認定されていること,商標「バイク神社」及び「オートバイ神社」についても現在商標登録出願中であって,間もなく登録される予定となっている旨を述べ,「貴社(決定注:申立人)が『バイク神社』並びに『オートバイ神社』の文言を使用する行為は,当社(決定注:本件商標権者)の所有する商標登録第5905553号に係る商標権を侵害するものと思料する」旨の記載がある。
本件商標は,「ゼンコクバイクジンジャニンテイダイイチゴウ」の称呼を生じ,「全国のバイク神社と認定された第1号」ほどの意味合いを認識させるものであって,その構成中の「バイク神社」の文字部分にのみに着目すべき特段の事情は見受けられない。
なお,独立行政法人工業所有権情報・研修館による特許情報プラットフォームの商標出願・登録情報における「称呼(参考情報)」は,商標登録出願及び登録商標から生じ得る称呼(読み)を,称呼検索の便宜のための参考情報として掲載しているものであって,本件商標について,「称呼(参考情報)」に「バイクジンジャ」の記載があるとしても,それをもって,本件商標の構成中の「バイク神社」の文字が,独立して商標権としての効力(商標法第25条)を有するものということができない。
そうすると,申立人が,自身が運営するブログにおいて,「バイク神社」なる文言を使用していたとしても,それに止まるものであって,本件商標権についての商標法第37条に掲げる「侵害とみなす行為」でない限り,本件商標権を侵害したものとまではいうことができない。
7 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号,同項第16号及び同法第3条第1項第6号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-08-14 
出願番号 商願2016-67702(T2016-67702) 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (W1621)
T 1 651・ 272- Y (W1621)
T 1 651・ 22- Y (W1621)
最終処分 維持 
前審関与審査官 高橋 謙司山川 達央 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田中 亨子
平澤 芳行
登録日 2016-12-16 
登録番号 商標登録第5905553号(T5905553) 
権利者 宗教法人安住神社
商標の称呼 ゼンコクバイクジンジャニンテーダイイチゴー、ゼンコクバイクジンジャニンテー、ゼンコクバイクジンジャ、バイクジンジャニンテーダイイチゴー、バイクジンジャニンテー、バイクジンジャ 
代理人 藤木 重一 
代理人 岩田 敏 
代理人 福田 信雄 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ