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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
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管理番号 1331479 
異議申立番号 異議2016-900368 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-11-18 
確定日 2017-08-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第5874843号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5874843号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5874843号商標(以下「本件商標」という。)は,「COVERI」の欧文字と「コーヴェリ」の片仮名を上下2段に横書きしてなり,平成27年11月27日に登録出願,第25類「洋服,コ-ト,セ-タ-類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ,和服,アイマスク,エプロン,えり巻,靴下,毛皮製スト-ル,ショ-ル,スカ-フ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチ-フ,バンダナ,保温用サポーター,マフラ-,耳覆い,ずきん,ナイトキャップ,帽子,防暑用ヘルメット,バンド,ベルト,ガーター,靴下止め,ズボンつり,履物(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),仮装用衣服,運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。),運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。)」を指定商品として,同28年4月7日に登録査定,同年8月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は,以下の4件の登録商標であり,いずれも現に有効に存続しているものである(以下,これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。
(1)登録第1558439号商標(以下「引用商標1」という。)は,「ENRICO COVERI」の欧文字を横書きしてなり,昭和52年12月1日に登録出願,第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同57年12月24日に設定登録,その後,平成16年9月8日に指定商品を第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第1626512号商標(以下「引用商標2」という。)は,「ENRICO COVERI」の欧文字を横書きしてなり,昭和55年9月10日に登録出願,第22類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同58年10月27日に設定登録,その後,平成17年1月19日に指定商品を第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」及び第25類「履物」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第2336741号商標(以下「引用商標3」という。)は,「ENRICO COVERI」の欧文字と「エンリコ コベリ」の片仮名とを上下2段に横書きしてなり,昭和62年3月19日に登録出願,第22類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,平成3年9月30日に設定登録,その後,同14年9月18日に指定商品を第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」及び第25類「履物」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(4)登録第4776345号商標(以下「引用商標4」という。)は,「ENRICO COVERI」の欧文字を標準文字で表してなり,平成15年10月14日に登録出願,第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」,第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン,ふきん,シャワーカーテン,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),織物製トイレットシートカバー,織物製いすカバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳,遺体覆い,経かたびら,黒白幕,紅白幕,ビリヤードクロス,布製ラベル」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同16年6月4日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第7号,同項第8号,同項第10号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。
(1)「ENRICO COVERI(エンリコ コベリ)」について
「ENRICO COVERI」は,服飾デザイナー「ENRICO COVERI」(1952?1990)により,1973年に,イタリア・フィレンツェで創業され(甲6?甲9),我が国においても,1980年代から現在に至るまで,専用使用権者である伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」という。)を中心として,被服をはじめ,履物,鞄,眼鏡,香水等,ファッション分野の様々な商品について展開されている(甲10?甲13)。
申立人は,被服や履物等以外にも,化粧品・眼鏡・時計等について商標「ENRICO COVERI(エンリコ コベリ)」の登録を保有しており,現在,我が国における商標「ENRICO COVERI(エンリコ コベリ)」の登録は,合計10件に上る(甲14)。また,本国イタリアや我が国のみならず,世界各国において登録を取得することにより,「ENRICO COVERI」ブランドの世界的な保護を図っている(甲15)。
(2)商標法第4条第1項第10号,同項第11号及び同項第15号について
本件商標は,欧文字「COVERI」と片仮名「コーヴェリ」の2段併記により構成されるから,その構成態様より,欧文字「COVERI」も商標の要部として独立して認識され得る。
一方,引用商標「ENRICO COVERI」についても,「ENRICO」と「COVERI」の間に一文字程度の間隔があるから,視覚上,分離して認識されやすい。また,インターネットで「coveri」をキーワードとして検索すると,10件中9件が「ENRICO COVERI」ブランドに関連するものである(甲16)。さらに,被服や履物等のファッション分野の商品との関係において,欧文字「COVERI」が独立して認識され得る構成態様を有する商標で登録された例は,本件商標を除けば,申立人名義に係る商標「ENRICO COVERI(エンリコ コベリ)」のみである(甲17)。
以上の事実を考慮すると,本件商標及び引用商標の共通の指定商品である被服や履物等のファッション分野の商品との関連においては,欧文字「COVERI」は,申立人の「ENRICO COVERI」ブランドを想起させ得るものとして,我が国の取引者・需要者により,把握・認識されている状況にあると考えるのが相当である。
すなわち,本件商標と引用商標は,「COVERI」から生ずる自然な称呼「コベリ」並びに「ENRICO COVERI」ブランドという観念を共通とする,相互に類似の商標として把握・認識するのが相当である。
また,仮に,本件商標と引用商標が類似するとはいえない場合でも,被服や履物等のファッション分野の商品との関連において,欧文字「COVERI」を要部とする本件商標に接する我が国の取引者・需要者は,本件商標に係る商品が,あたかも,申立人の「ENRICO COVERI」ブランドの商品であるかのごとく商品の出所について混同するおそれがあるか,あるいは,申立人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認した結果,商品の出所について,混同するおそれがあるといわざるを得ない。そして,商品の出所について混同を生じさせるおそれがある本件商標の登録を認めることが,商標の使用をする者の業務上の信用を維持し,需要者の利益を保護することを目的とする商標法の趣旨に反する。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号,同項第11号,及び同項第15号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第8号について
引用商標が,本件商標の出願時に,世界的に著名なファッションブランドとなっていたことは明らかであるから,その後半部の「COVERI」も,本件商標の出願時に,申立人の名称の略称として著名であったといえる。
そうすると,本件商標は,申立人の名称の著名な略称を含む商標であるにもかかわらず,申立人から,本件商標の登録について承諾を得ていないということになる。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。
(4)商標法第4条第1項第19号について
引用商標が,本件商標の出願時に世界的に著名なファッションブランドとなっていたことは明らかであり,また,本件商標と引用商標は,「COVERI」から生ずる自然な称呼「コベリ」並びに「ENRICO COVERI」ブランドという観念を共通とする相互に類似の商標として把握・認識するのが相当であって,被服や履物等のファッション分野の商品との関連において,引用商標の後半部「COVERI」を,主要な構成要素とする商標がたまたま偶然に採択されたとは考え難いため,本件商標は,不正の目的をもって使用されるものといわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
(5)商標法第4条第1項第7号について
引用商標が,世界的に著名なファッションブランドであることに鑑みれば,同じくファッション分野の商品を指定商品とする本件商標が,たまたま偶然に採択されたとは考え難いといわざるを得ない。
そうすると,世界的な著名性に基づく顧客吸引力という財産的価値のある引用商標の後半部「COVERI」を要部とする本件商標を,自己の商標として採択使用することは,商道徳に反するといわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)本件商標の登録出願時及び登録査定時における引用商標の周知性について
ア 申立人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(ア)「ENRICO COVERI」は,1973年にイタリア・フィレンツェで創業され,「ENRICO COVERI」ブランドは,2009年及び2010年に開催されたミラノファッションウィークに出品され(甲7),2008年ないし2012年に「ENRICO COVERI」のコレクションが開催された(甲8)。
また,「ENRICO COVERI」に関する書籍「COVERI story」には,「1977年,エンリコ・コベリは,初めてのファッションショーをパリで開催した。ミラノを選択した他の多くのテーラー達とは最初から袂を分かち,既にメイドインイタリーブランドが高嶺の花になっていた国際的コンテストの中心であるパリに直接自分を置くというこの素晴しいアイデアのお蔭で,彼のファッションは,スタイル,文化,経済の観点から見て最も革新的で重要な現象と見做されることになった。」と記載された(甲9)。
しかしながら,甲第7号証には,ミラノファッションウィークにいかなる商品が出品され,いかなる商標が使用されたものであるかは不明であって,また,甲第8号証の「ENRICO COVERI」ブランドのコレクションに関する資料からは,表紙に「Enrico Coveri」(筆記体で書されている)及び「ENRICO COVERI」の表示と衣服を着用した者の写真が掲載されている。
そうすると,上記各証拠からは,申立人が「ENRICO COVERI」を「被服」について使用していることがうかがえるものの,「ENRICO COVERI」を使用した「被服」に関する外国における売上高,店舗数及び広告宣伝の規模等,取引の実績を示す証拠は,提出されていないものであるから,「ENRICO COVERI」は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る「被服」を表すものとして,外国の需要者の間に知られているものと認めることはできない。
(イ)我が国においては,雑誌「marie claire」に,「ENRICO COVERI」について,「2002年春夏から待望の服のコレクションが発売される予定。」と記載され(甲12),また,申立人と伊藤忠商事との間で締結された,我が国におけるファッション分野の各種商品についての引用商標に係る専用使用権に関する契約書として甲第10号証が提出された。
しかしながら,引用商標を使用した申立人の「被服」に関する我が国における売上高,店舗数及び広告宣伝の規模等,取引の実績を示す証拠は提出されていないものであるから,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る「被服」を表すものとして,我が国の需要者の間に知られているものということができない。
(ウ)なお,甲第11号証は,日本及びその他の国における「ENRICO COVERI」ブランド店舗画像とするものであり,これは「ENRICO COVERI」及び「ENRICO/COVERI」と表示された「靴」及び「洋服」を取り扱う店舗が存在することを示すにすぎず,甲第13号証は,日本における「ENRICO COVERI」ブランドの被服,履物,鞄等以外の商品を示す画像とするが,これに示された商品が申立人の業務に係る商品であること,我が国において申立人により販売等された事実を確認することができない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,前記1のとおり,上段に「COVERI」の欧文字と下段にやや小さく「コーヴェリ」の片仮名を横書きしてなるところ,構成中の「COVERI」及び「コーヴェリ」の各文字は,辞書に掲載されていないものであり,我が国において一般に親しまれている語ではないことから,各文字は,特定の意味合いを有しない一種の造語として理解されるものである。
そうすると,本件商標は,構成各文字から「コーベリ」の称呼を生じるほか,欧文字部分より一般に広く親しまれている英語ないしはローマ字の読みに倣って「コベリ」の称呼をも生ずるものであって,特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は,前記2のとおり,引用商標1,同2及び同4は,いずれも「ENRICO COVERI」の欧文字からなり,引用商標3は,「ENRICO COVERI」の欧文字及び「エンリコ コベリ」の片仮名を上下2段に横書きしてなるところ,いずれも「ENRICO」と「COVERI」との間は一文字程度の間隔を有するが,その構成は,それぞれ同じ書体,同じ大きさにまとまりよく表されており,これからは,「エンリココベリ」の称呼を生じるものである。
したがって,引用商標は,その構成文字に相応して「エンリココベリ」の称呼を生じ,「ENRICO」及び「COVERI」の各文字は,辞書類に掲載がなく,特定の意味合いを有しない造語よりなるものと認められるから,特定の観念を生じないものである。
なお,申立人は,「引用商標の構成中の『ENRICO』と『COVERI』の間に空白があること及び『COVERI』の部分がインターネット検索や登録状況から『ENRICO COVERI』ブランドを想起させるから,『COVERI』の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものである」旨主張している。
しかしながら,前記(1)のとおり,「ENRICO COVERI」の欧文字は,同書,同大でまとまりよく表されており,かかる構成において,殊更,後半に表された「COVERI」の文字部分のみが独立して着目されるものとすべき特段の事情は見受けられない。
また,「coveri」の文字をキーワードとして検索したインターネットの情報や商標検索の情報(甲16)は,「ENRICO COVERI」及び「enrico coveri」の欧文字の「COVERI」及び「coveri」の欧文字部分から検索され表示されるものであって,かかる検索結果の表示のみをもって,申立人のブランド名又はデザイナーの氏名「ENRICO COVERI」から「COVERI」の文字が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものということはできない。
したがって,申立人の前記主張は採用できない。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標は,前記1のとおり,「COVERI」の欧文字と「コーヴェリ」の片仮名とを2段に表してなるのに対し,引用商標は,前記2(1)ないし(4)のとおり,「ENRICO COVERI」及び「ENRICO COVERI」と「エンリコ コベリ」の片仮名とを2段に表してなるものであるから,両商標は,構成文字及び構成態様が異なり,外観上,相紛れるおそれはないものである。
そして,称呼においては,本件商標から生じる「コーベリ」及び「コベリ」の称呼と,引用商標から生じる「エンリココベリ」の称呼とは,前半部における「エンリコ」の音の有無に明確な差異を有するものであるから,明瞭に聴別し得るものである。
また,観念においては,本件商標及び引用商標は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,両商標は,観念上,相紛れるおそれはないものである。
してみれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから,その指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
引用商標は,前記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る「被服」を表示するものとして,我が国の需要者の間に知られているものということはできず,また,前記(2)ウのとおり,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は,前記(1)のとおり,申立人の業務に係る「被服」を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間に知られているものということはできず,また,本件商標と引用商標とは,前記(2)ウのとおり,外観,称呼及び観念のいずれの点についても,相紛れるおそれのない非類似の商標であり,別異のものというべきである。
そうすると,本件商標権者が,本件商標をその指定商品に使用した場合,これに接する取引者,需要者が,引用商標ないし申立人を想起又は連想するようなことはないというべきであり,該商品が,申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について,混同を生じさせるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第8号該当性について
申立人は,本件商標は,申立人の著名な略称である「COVERI」を含むものである旨主張している。
しかしながら,甲第6号証において,その2葉目に掲載された商品「perfumes」に「COVERI」の欧文字が表示され,甲第9号証において「COVERI story」の欧文字が表示されているものの,これらは,申立人の略称を表すものとして使用されているものではなく,他に,申立人が提出した証拠において,「COVERI」の欧文字が,申立人の略称を表すものとして使用されている事実は見あたらない。
そうすると,本件商標は,その構成中に他人の著名な略称を含むものということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(6)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は,前記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る「被服」を表すものとして,外国及び我が国の需要者の間に知られているものということができず,また,前記(2)ウのとおり,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点についても,互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。
そして,申立人は,「本件商標権者が,引用商標の後半部『COVERI』を主要な構成要素とする商標がたまたま偶然に採択されたとは考え難いため,本件商標は,不正の目的をもって使用されるものといわざるを得ない」旨主張するが,たとえ、本件商標の構成中に「COVERI」の欧文字が含まれているとしても,申立人が提出した証拠からは,本件商標権者が不正の目的をもって本件商標を使用するとすべき具体的事実は見いだせないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(7)商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は,「引用商標が,世界的に著名なファッションブランドであることに鑑みれば,同じくファッション分野の商品を指定商品とする本件商標がたまたま偶然に採択されたとは考え難いといわざるを得ない。そうすると,世界的な著名性に基づく顧客吸引力という財産的価値のある引用商標の後半部『COVERI』を要部とする本件商標を自己の商標として採択使用することは商道徳に反するといわざるを得ない。」旨主張している。
しかしながら,引用商標は,前記(1)のとおり,本件商標の登録査定時において,申立人の業務に係る「被服」を表すものとして,我が国の需要者の間に知られているものということができず,また,前記(2)ウのとおり,本件商標と引用商標とは,互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると,本件商標は,これをその指定商品について使用をすることが,引用商標の顧客吸引力に便乗し,商道徳に反するものということができない。
その他,本件商標は,その構成自体がきょう激,卑わい,差別的又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではないし,申立人が提出した証拠からは,本件商標の出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠く等の事実,本件商標をその指定商品について使用することが,公正な取引秩序を乱すものとすべき事情も見あたらない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(8)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号,同項第8号,同項第10号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-08-14 
出願番号 商願2015-116648(T2015-116648) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W25)
T 1 651・ 25- Y (W25)
T 1 651・ 263- Y (W25)
T 1 651・ 222- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
T 1 651・ 23- Y (W25)
T 1 651・ 22- Y (W25)
T 1 651・ 262- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉野 晃弘 
特許庁審判長 田中 亨子
特許庁審判官 平澤 芳行
小林 裕子
登録日 2016-08-19 
登録番号 商標登録第5874843号(T5874843) 
権利者 マドラス株式会社
商標の称呼 コーベリ、コベリ 
代理人 外川 奈美 
代理人 田島 壽 
代理人 青木 篤 

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