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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1331472 
異議申立番号 異議2017-900050 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-02-17 
確定日 2017-07-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5896827号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5896827号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5896827号商標(以下「本件商標」という。)は,「らんぷ家」の文字を書してなり,平成28年3月17日に登録出願,第41類「ランプシェードやキャンドルホルダーにガラスや鏡で文様を描く加工制作の教授」を指定役務として,同年10月13日に登録査定され,同年11月18日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標(以下「引用商標」という。)は,「らんぷ家」の文字からなり,同人がトルコモザイクランプの作り方教室及びワークショップ(その作り方の教授を含む。)の運営・開催並びにトルコモザイクランプの輸入販売等について使用しているとするものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当し,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第52号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第7号の適用について
本号は,「特定の商標の使用者と一定の取引関係その他特別の関係にある者が,その関係を通じて知り得た相手方使用の当該商標を剽窃したと認めるべき事情があるなど,当該商標の登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり,その商標登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合」にも適用されると解される(東京高裁平成16年(行ケ)第7号,知財高裁平成17年(行ケ)第10032号,知財高裁平成20年(行ケ)第10220号,東京高裁平成14年(行ケ)第94号)。
(2)申立人及び引用商標について
ア 申立人について
申立人は,トルコモザイクランプの手作り教室・ワークショツプの運営,トルコモザイクランプの輸入販売,レストランの運営等を業とする株式会社である(甲2)。申立人は,従前より,東京都荒川区の谷中銀座商店街の,自らが運営する「レストランザクロ(ザクロレストラン)」において「手作りトルコランプ教室」を開催していたが(甲3?甲5),利用者(需要者)に大変好評を得て受講者が増加したことから,上記レストランの近隣に新しく店舗を構え,2015年1月より,トルコモザイクランプの作り方教室・ワークショップを開催し,利用者に対し,トルコランプの作り方を教授し(以下,これらを「申立人事業」という。),現在も当該店舗を運営している(甲2,甲7,甲8など)。
なお,トルコモザイクランプの輸入販売,材料輸入及びトルコモザイクランプの作り方教室・ワークショップを日本国内で開催したのは申立人が初めてのことである(甲2)。
イ 引用商標について
(ア)申立人は,申立人事業について,2015年1月より,上記店舗において「らんぷ家」の文字からなる引用商標を使用している(甲6?甲45)。なお,2016年8月9日の時点では,ウェブサイトに「らんぷ家」の表示を用いていたが(甲6),現在は「ZAKUROらんぷ家」に変更している(甲2)。これは,商標権者が本件商標の登録を取得したことを考慮し止むを得ず行った措置である。
(イ)申立人事業及び引用商標については,新聞社,インターネットニュース及び一般のウェブサイトの記事(甲7?甲25),地方公共団体及び一般社団法人等のウェブサイト(甲26?甲28),テレビ番組による紹介(甲29?甲31,甲44,甲45),個人ブログ等(甲32?甲45)で報道ないし紹介されている。
(ウ)申立人は,各種団体の行事やイベント等でワークショップや体験教室を出店した(甲25,甲27,甲28)。
(エ)以上のとおり,申立人が,2015年1月より,申立人事業について引用商標を使用していたことは明らかである。
また,引用商標を使用した申立人事業は,上記のとおり頻繁に報道ないし紹介され,イベント等に出店され,さらに各種団体の行事に利用されることも少なくなく,引用商標は,本件商標の登録査定時までに,東京近郊のランプ作りに興味をもつ需要者の間で,相当程度知られていたものである。
さらに,トルコモザイクランプの作り方に関する教室・ワークショップを日本国内で開催したのは申立人が初めてであり(甲2),その上,例えば,「ウットリするような出来栄え」(甲5),「思っていた以上に完成度の高い作品ができて感激」(甲17)などと表現されているように,申立人事業は,そこで制作される作品の完成度の高さについて極めて高い評価を受けている。
すなわち,引用商標には,申立人の営業努力によって獲得してきた顧客からの多大な信用・信頼が蓄積されており,その出所表示力,顧客吸引力は,申立人と強く結びついていることは明らかである。
(3)商標権者の経歴及びその行為について
商標権者は,申立人が運営するレストラン(甲3)に勤務する従業員であったが,これを退職した後,申立人が申立人事業を開始するに際し店主(店長)として参加し,申立人の運営・管理する店舗において業務に携わっていた(甲8,甲10)。なお,商標権者にトルコランプ制作の技術を伝授したのは申立人の代表者であり,商標権者は独自にその技術を習得したものではない。
その後,商標権者は,2016年3月に上記店舗の店主(店長)を辞め,同年4月より,自ら,東京都千代田区(秋葉原)において,申立人事業と同じトルコモザイクランプの制作体験教室及びその販売の事業に係る店舗を開設し,本件商標の使用を開始した(甲46?甲50)。
その上,商標権者は,引用商標と同一の商標「らんぷ家」を申立人事業に係る役務と同一の役務について使用しているだけでなく,そのウェブサイトにおいて,「らんぷ家は,秋葉原に移転しました。」「らんぷ家は2016年4月10日に秋葉原に移転いたします。」などと表記している(甲46,甲47)。さらに,商標権者は,申立人の店舗の店長を務めていた当時に作成したTwitter及びFacebookのアカウントのパスワードを保有して,本件商標を使用し当該アカウントを現在も運用しており,ここでも,「現在らんぷ家は一時的に閉鎖し,4/10より秋葉原にてグランドオープンいたします。」「現在は,日暮里のらんぷ家は閉店しております。秋葉原にて,新規オープンは4/10です!!」「らんぷ家移転順調に進んでいます☆☆4月10日オープンです!!」「らんぷ家は秋葉原に移動しております」などとの投稿を行っている(甲48,甲49)。
申立人は,複数回にわたって,商標権者に対し,「らんぷ家が移転した」等の表示を削除,中止するよう求めているが,商標権者は一切これに応じず,そのまま営業を継続している。
このような商標権者の行為から,「以前は谷中(台東区)で営業していたそう。」などと,商標権者の店舗(秋葉原)が,申立人(谷中銀座商店街)から移転したものとの誤解に基づいた記事も発信されている(甲50)。
さらに,実際に,申立人の顧客が,商標権者の店舗を申立人の店舗と誤認して利用しており,商標権者の剽窃により,現に出所の混同が生じ,申立人に看過しがたい損害も発生している。例えば,2016年8月には実に7組もの顧客が,申立人の店舗と誤認して商標権者の店舗を訪れたことが分かっている(甲51)。同年9月3日予約の顧客にいたっては,予約時間に申立人の店舗に現れなかったことから申立人が顧客携帯電話に連絡をしたところ,まさに商標権者の店舗でサービス提供を受けている最中であり,商標権者と申立人とは無関係の店舗運営者である旨の説明などは一切無かったとの証言を得ている(甲52)。
商標権者によるこのような不正な行為に対し,申立人は,自己のウェブサイトに,「ZAKUROらんぷ家の類似店舗にご注意ください」「現在,秋葉原に類似店舗を確認しておりますが,(株)ZAKUROとは,経営上関係ありませんのでご注意ください。」と表記して(甲2),自衛策を講じているが,店舗を誤認して商標権者の店舗に向かう顧客は後を絶たず,申立人の損害は拡大している。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性
ア 上述のとおり,商標権者は,引用商標を使用した申立人事業に係る業務に携わっていた者であり,引用商標及び当該事業の存在を十分に認識していたにもかかわらず,申立人に無断で,申立人事業と同一の事業に係る役務について,引用商標と同一の本件商標を出願し,現に使用している。その上,商標権者は,自己のウェブサイトにおいて,「らんぷ家は,秋葉原に移転しました。」などと記載し,あたかも谷中銀座商店街における申立人の店舗が閉鎖され秋葉原に移転したかのような虚偽の事実を流布し,さらに,商標権者が申立人の業務に携わっていた当時に作成したTwitter及びFacebookのアカウントパスワードを保有し,これを利用して,ここでも「日暮里のらんぷ家は閉店しております。」「らんぷ家は秋葉原に移動しております」等の虚偽の事実を投稿し,需要者の混同を招来させているのであり,従前から申立人事業を知る需要者・取引者が,これらのウェブサイト等の記載・投稿を見て,申立人の店舗が移転したものと誤認することは明らかである。実際,商標権者の店舗に係る取材記事において「以前は谷中(台東区)で営業していたそう。」と紹介されているとおり(甲50),申立人の店舗と商標権者の店舗とが誤認されており,このことは,商標権者が積極的に虚偽の事実を告知・流布していることを示している。さらに,現に申立人の店舗に予約をした顧客が,誤って商標権者の店舗を訪れる事象が頻繁に発生しており,この点からも需要者の誤認混同が生じていることは明らかであって,これにより申立人に損害が生じているだけでなく,商標権者は,当該顧客に対し店舗を間違っている等の説明をすることなく,当該顧客にそのままサービスを提供し,利益を得ているのであるから,商標権者に,申立人の業務を妨害し,さらに申立人の顧客を不正な手段で誘引して利益を得ようとする不正の目的があることも明白である。
イ 以上からすれば,申立人と一定の関係性を有していた商標権者は,引用商標を申立人が使用していること,及び,引用商標に需要者の信用・信頼が蓄積され,その出所表示力,顧客吸引力が申立人に強く結びついていることを十分に認識した上で,自ら本件商標を使用し,あたかも申立人事業を実施しているかのように装い,申立人の店舗が移転した等の虚偽の事実を流布等する行為と併せて,故意に需要者の誤認混同を生じさせ,そのような不正の手段によって,申立人の利益を減少させ,さらにその信用を毀損するなどして損害を与える目的で,また,それによって申立人の顧客を奪って不正な利益を得る目的をもって,引用商標を剽窃し本件商標を出願したことは明らかであり,現に申立人には損害が生じ,商標権者は不正に利益を得ているのである。
商標法は「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もって産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」(商標法第1条)ところ,商標権者が,正当に商標を使用する申立人の営業努力により引用商標に蓄積した業務上の信用ないし顧客吸引力にただ乗りする意図があることは明白であり,現にそれによって,申立人に多大な損害が生じ,商標権者は本来申立人に帰属すべき利益を不正に得ているだけでなく,実際に需要者の混同が生じることによって,需要者の利益も害されていることは明らかであるから,このような商標の登録を容認し保護を与えることは,商標法の目的にもとることも明白である。
ウ すなわち,商標権者による本件商標の出願は,その経緯及び目的が著しく社会的妥当性を欠くものであり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反することは明らかであって,到底容認されるべきものではないから,本件商標は,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当し,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号該当性について
ア 商標法第4条第1項第7号は,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は商標登録をすることができないとしているところ,同号は,商標自体の性質に着目したものとなっていること,商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については,同法第4条第1項各号に個別に不登録事由が定められていること,商標法においては,商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば,商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法第4条第1項第7号に該当するのは,その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきである。
そして,同号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ」を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは,商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので,特段の事情のある例外的な場合を除くほか,許されないというべきである(平成14年(行ケ)第616号,平成19年(行ケ)第10391号)。
イ 申立人の主張について
(ア)申立人は,「引用商標を使用した申立人事業は,上記のとおり頻繁に報道ないし紹介され,イベント等に出店され,さらに各種団体の行事に利用されることも少なくなく,引用商標は,本件商標の登録査定時までに,東京近郊のランプ作りに興味をもつ需要者の間で,相当程度知られていたものである。・・・ すなわち,引用商標には,申立人の営業努力によって獲得してきた顧客からの多大な信用・信頼が蓄積されており,その出所表示力,顧客吸引力は,申立人と強く結びついていることは明らかである。」旨を主張している。
しかしながら,申立人が提出した証拠からは,申立人の引用商標が,ランプ作りに興味をもった需要者の間で,相当程度知られていたものであることを認め得る証左(例えば,売上高,広告宣伝費,広告期間,規模及び回数等)を見いだすことはできない。
してみれば,引用商標は,申立人の業務上の信用,信頼が蓄積され,その出所表示力,顧客吸引力を伴った商標として,需要者の間に広く知られていたものとなっていたということができない。
(イ)申立人は,「商標権者は,引用商標『らんぷ家』を使用した申立人事業に係る業務に携わっていた者であり,引用商標及び当該事業の存在を十分に認識していたにもかかわらず,申立人に無断で,申立人事業と同一の事業に係る役務について,引用商標と同一の本件商標『らんぷ家』を出願し,現に使用し,その上,商標権者は,・・・虚偽の事実を投稿し,需要者の混同を招来させているのであり,・・・利益を得ているのであるから,商標権者に,申立人の業務を妨害し,さらに申立人の顧客を不正な手段で誘引して利益を得ようとする不正の目的があることも明白である。」旨を主張している。
しかしながら,商標権者が申立人の事業に係る業務に携わっていた者であり,引用商標及び当該事業の存在を知っていたとしても,その事実だけで,商標権者が商標登録出願をすることが禁止されているものではない。
確かに,商標権者は,自己のウェブサイト,Twitter及びFacebookに,「らんぷ家は,秋葉原に移転しました。」,「日暮里のらんぷ家は閉店しております。」及び「らんぷ家は秋葉原に移動しております」の文言を掲載をしているものであるとしても,このことをもって直ちに,申立人の業務を妨害し,さらに申立人の顧客を不正な手段で誘引して利益を得ようとする不正の目的があるとは認められないものである。
そして,申立人は,同人の店舗と商標権者の店舗とが誤認されたり,申立人の店舗に予約をした顧客が誤って商標権者の店舗を訪れる事象が頻繁に発生したりしていることから,需要者の誤認混同が生じていることは明らかであるとし,これらを証明するものとして,黒く塗りつぶされたカレンダー(甲51)及び黒く塗りつぶされたノート(甲52)を証拠として提出しているが,これらの証拠からは,具体的な損害額やどの程度の頻度で客が間違えたか等は不明であり,申立人の業務を妨害し,損害を与え,商標権者が不正の利益を得ていることを裏付けているとまではいうことができない。
しかも,申立人は,本件商標について,その商標を自ら登録出願する機会は十分にあったというべきであって,自ら登録出願しなかった責めを商標権者に求めるべき事情を見いだすこともできない。
してみれば,申立人の主張及びその提出された証拠からは,商標権者が,本件商標を登録し,商標権を取得した行為が直ちに「剽窃的な行為」に当たるとはいえないものというべきである。
ウ 判断
上記ア及びイによれば,本件商標について,商標法の先願主義を上回るような,その登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものがあるということはできないし,そのような場合には,あくまでも,当事者間の私的な問題として解決すべきであるから,公の秩序又は善良の風俗を害するというような事情があるということはできない。
してみると,申立人が主張する,商標権者が申立人事業の表示と同一又は類似する本件商標の登録出願をし,登録を受ける行為が「公の秩序又は善良の風俗を害する」という公益に反する事情に該当するものということはできない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものとはいえない。
(2)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号に違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-07-14 
出願番号 商願2016-37112(T2016-37112) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W41)
最終処分 維持 
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
中束 としえ
登録日 2016-11-18 
登録番号 商標登録第5896827号(T5896827) 
権利者 鵜木 聡乃
商標の称呼 ランプヤ、ランプケ、ランプカ、ランプイエ、ヤ、ケ、カ、イエ 
代理人 高橋 孝仁 
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