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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2017890047 審決 商標
異議2015900307 審決 商標
無効2011890023 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W30
管理番号 1331466 
異議申立番号 異議2016-900235 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-09-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-08-10 
確定日 2017-07-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第5858715号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5858715号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5858715号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示したとおりの構成からなり、平成27年7月21日に登録出願、第30類「茶」を指定商品として、同28年5月10日に登録査定、同年6月17日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)は以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5471443号商標は、別掲2に示したとおりの構成からなり、平成23年9月15日に登録出願、第30類「茶」を含む第30類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同24年2月17日に設定登録されたものである。
2 登録第5471444号商標は、別掲3に示したとおりの構成からなり、平成23年9月15日に登録出願、第30類「茶」を含む第30類及び第32類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同24年2月17日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第32号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)外観類似
本件商標は、「はーいお茶」の漢字仮名混じり文字を縦書きにて表してなり、「お茶」の文字を中央にやや大きく配しており、「お茶」の文字よりも小さく表した「はーい」の文字を「お茶」のやや右上位置に配したものである。
これに対して、引用商標は、いずれも「おーいお茶」の漢字仮名混じり文字を縦書きにて表してなり、「お茶」の文字を中央にやや大きく配しており、「お茶」の文字よりも小さく表した「お一い」の文字を「お茶」のやや右上位置に配したものである。
本件商標と引用商標とは、「はーい」と「おーい」と平仮名の分で若干の相違はあるものの、いずれも漢字仮名混じり文字を縦書きにて表してなり、「お茶」の文字を中央にやや大きく配しており、「お茶」の文字よりも小さく表した文字を「お茶」のやや右上位置に配したものである点で外観上共通する。
よって、本件商標は、引用商標と外観において類似する。
(2)称呼類似
本件商標と引用商標との称呼を比較すると、いずれも長音を含む5音で構成されるものであって、語頭音における「は」と「お」で相違するものの、それ以外の構成音は全て共通にするものである。しかも、「は」が、声門音(Glottal)、すなわち声帯が関与する摩擦音であるのに対して、「お」は母音であるから、両者は、口腔内で呼気の流れがあまり妨げられないで発せられる言語音である点において近接しているものと認められる。
また、第2音以下の「ー」(長音)、「い」、「お」、「ちゃ」の各音を共通にする両商標の称呼においては、「は」と「お」の違いがもたらす全体に及ぼす影響はさほど大きいものではない。
したがって、両商標の称呼は、全体の語調、語感において相紛らわしいものであるから、取引者、需要者が聴き誤るおそれが充分にあるといわざるをえない。
よって、本件商標は、引用商標と称呼において類似する。
(3)観念類似
本件商標は、観念の観点からいえば、呼びかけ機能を有する感嘆詞である「はーい」と「お茶」とからなるものである。
これに対して、引用商標は、観念の観点からいえば、呼びかけ機能を有する感嘆詞である「おーい」と「お茶」とからなるものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、「はーい」と「おーい」と平仮名の分で若干の相違はあるものの、いずれも呼びかけ機能を有する感嘆詞と「お茶」とからなるものである点で観念において共通する。
よって、本件商標は、引用商標と観念において類似する。
(4)小括
以上より、本件商標は、引用商標と外観、称呼、観念のいずれにおいても類似するものであり、本件商標は、商標法4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人の商標の使用実績について
申立人は、「おーいお茶」の漢字仮名混じり文字を縦書きにて表してなり、「お茶」の文字を中央にやや大きく配しており、「お茶」の文字よりも小さく表した「おーい」の文字を「お茶」のやや右上位置に配した商標を少なくとも1989年から現在に至るまでの約25年以上も継続的に使用している(甲8)。そして、甲第8号証に記載のとおり、2002年には、累計販売本数が50億本を突破し(500mLペットボトル換算)、さらに2003年には、上記商標を付した申立人の製品が、全ての茶系飲料の中で販売量ナンバーワンブランドとなっている。
また、前記商標を付した申立人の製品の売上額(2014年)は、約1500億円、ブランドシェアは34.3%であり(甲9)、著名な商標であるといえるまで当業者及び需要者の間で広く認識されている。
さらに、前記商標を付した申立人の製品に関する宣伝広告活動も活発であり、1995年には女優の中谷美紀氏を、2000年にはさらに歌舞伎俳優の市川新之助氏(現:市川海老蔵氏)をテレビCMキャラクターとして採用し(甲8)、両氏は引き続き現在もこのブランドのテレビCMキャラクターとして出演している(甲10)。
また、申立人は、前記商標を付した申立人の製品のブランドサイトも立ち上げており、当該ブランドサイトにおいて、当該商標を付した各種商品を販売していることが示されている(甲11)。なお、甲第11号証に示されるとおり、前記商標を付した申立人の製品は、ドリンク商品ばかりでなく、茶葉(リーフ)商品も展開している。
また、申立人による当該商標が誕生した経緯は、前記ブランドサイトでも閲覧できる漫画形式のブランドヒストリーでも紹介されている(甲12)。
(2)商標法第4条第1項第15号の適用について
このように、申立人の商標、すなわち、「おーいお茶」の漢字仮名混じり文字を縦書きにて表してなり、「お茶」の文字を中央にやや大きく配しており、「お茶」の文字よりも小さく表した「おーい」の文字を「お茶」のやや右上位置に配した商標は、当業者、需要者に広く認識されるものであることは明らかである。
そして、著名ともいえる前記商標に類似する商標を第三者が用いれば、当業者・需要者は、本件商標をその商標登録に係る指定商品に使用された場合、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれが極めて大きいといわざるを得ない。
(3)小括
以上より、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標に該当するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第19号について
(1)商標法第4条第1項第19号の適用について
上述のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるが、申立人の商標が著名であることに鑑みると、本件商標は、同項第19号にも該当するといえる。
商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの」と規定しているが、申立人の商標が著名であることに鑑みると、かかる著名性を不正の目的で利用することでもって本件商標権者が不正の利益を得ることができ、申立人のブランド毀損が生じかねず、さらには当業者や需要者にとって誤認混同を引き起こすことなど不正の目的が充分に推認される。
(2)需要者の間に広く認識されている商標の保護について
商標法は、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものである(第1条)。
この点、申立人の商標は、少なくとも日本国内における需要者の間に広く認識されている商標に該当するものであるから、これに類似した商標を使用して不正の利益を得ようとする第三者が現れるのは当然に想定されることである。
実際、本件商標と類似する商標出願が、申立人以外にも複数されていることが確認できる。特筆すべき点は、いずれも「はーいお茶」の漢字仮名混じり文字を縦書きにて表してなり、「お茶」の文字を中央にやや大きく配しており、「お茶」の文字よりも小さく表した「はーい」の文字を「お茶」のやや右上位置に配したものであり、申立人の前記商標を模して出願したものであることが一目瞭然である。
(3)小括
以上より、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものに該当するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
4 結び
上記のとおり、本件商標登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号に基づき、その登録を取り消すべきものである。

第4 当審における取消理由の要旨
当審において、本件商標権者に対し、「本件商標に接する需要者は、別掲2及び4(以下「申立人商標」という。)を直ちに想起・連想し、本件商標を申立人商標の姉妹ブランドであるかのように誤信するということができるから、本件商標をその指定商品について使用するときは、該商品が申立人又は申立人と業務上密接な関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を平成29年1月30日付けで通知した。

第5 本件商標権者の意見の要旨
1 本件商標と申立人商標に使用されている「茶」の語は、他多数の茶製品にも使用されており、その「茶」の意味も発音も同一である。
すなわち、今回の審判に際しては、この「茶」の文字を審判対象から除外されるべきものと思量する。
一方、「は?い」と「お?い」は、それぞれの語の意味と発音は相違している。
したがって、審判に際しての対象は「は?い」と「お?い」の語に限定されるべきである。
「は?い」と「お?い」に限定した場合、それぞれの語の意味と用法が審判にあたっての重要な要素になる。
「現代感動詞用法辞典(東京堂出版)」によれば、「は?い」と「お?い」の言葉の意味は全く相反する位置にあり相違する。
また、「は?い」と「お?い」の発音は当然のこととして相違する。
さらに、「は?い」と「お?い」は単に単語としての配列であって構成上の問題は発生しない。
したがって、「は?い」と「お?い」の両者間には類似性は存在しないといえる。
よって、本件商標と申立人商標の類似性をもって本件の商標登録を取り消すことには応じられない。
2 本件商標は、平成28年3月2日付けをもって登録査定され所定の手続きにしたがって、「商標登録証」を受領したものである。
すなわち、本件商標が登録査定された経緯には相応の「正当性と理由」が存在することになる。
この「正当性と理由」は申立人の異議よりも勝るものである。
さらに、「商標登録証」を発行した特許庁の権威においても本件商標登録の取消しは妥当性を欠いているものと思量する。
3 本件取消理由通知書の理由3の(3)において「本件商標より生ずる『お茶を差し出すときの掛け声』なる観念と申立人商標より生ずる『お茶を請うときの掛け声』なる観念は、申立人商標が呼びかけであるのに対し、本件商標はそれに応答するものであって、類似するものとはいえないとしても」と言及し認めているものであれば、該商品が申立人または申立人と業務上密接な関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとはいえず、本件商標を取り消すべきものとは認められない。
4 以上のとおり、申立人の異議申立は、商標法第43条の3第4項に基づいて却下されるべきものである。

第6 当審の判断
1 申立人商標の著名性
(1)申立人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、「お?いお茶」の文字のみ、あるいは、その構成中に「お?いお茶」の文字を顕著に含む構成よりなる登録商標を有している(甲3?甲6、甲13?甲25、甲27、甲29)ところ、その業務に係る商品「緑茶飲料」に使用される商標は、主として、別掲2のとおり、縦書きにした「お茶」の文字を大きく表し、該文字の右方上部に、縦書きにした「お?い」の文字を、「お茶」の文字部分に比べ、やや小さく表してなる商標、別掲4のとおり、縦書きにした「お茶」の文字を大きく表し、該文字の上に、縦書きにした「お?い」の文字を、「お茶」の文字部分に比べ、やや小さく表してなる商標の二つの態様のものがある(甲8、甲11等)。
イ 申立人は、1989年(平成元年)に、申立人商標を付した缶入り緑茶等の発売を開始し、翌1990年(平成2年)には、申立人商標を付したペットボトル入り緑茶飲料を世界で初めて発売した。申立人商標を付したペットボトル入りの緑茶飲料は、2002年(平成14年)には、累計販売本数が50億本(500mlペットボトル換算)を突破した。また、2003年(平成15年)には、申立人商標を付したペットボトル入りの緑茶飲料は、すべての茶系飲料の中で販売量が1位であった。さらに、申立人は、ペットボトル入りの緑茶飲料の姉妹品として、申立人商標を付したペットボトル入りの各種緑茶飲料を発売した。申立人商標を付したペットボトル入りの緑茶飲料の累計販売本数は、2006年(平成18年)には100億本、2009年(平成21年)には150億本(いずれも500mlペットボトル換算)を、それぞれ突破した(以上、甲8)。
ウ 「2016年 食品マーケティング便覧No.6」(株式会社富士経済発行)によれば、申立人商標は、「日本茶(リキッド)」市場のブランドシェアで、2014年(平成26年)及び2015年(平成27年)ともに、約34%で1位であった(甲9)。
エ 申立人商標を付したペットボトル入り緑茶飲料は、有名な芸能人を起用したテレビCMやインターネット等を介して広告がされている(甲10?甲12)。
(2)上記(1)で認定した申立人商標の使用期間、申立人商標を付したペットボトル入りの緑茶飲料の販売本数、申立人商標の「日本茶(リキッド)」市場におけるブランドシェア、申立人商品のテレビ等における宣伝広告等を総合し、これに加えて、緑茶が我が国の国民の間で日常的に飲用される商品であり、また、申立人商標が、簡潔な構成よりなり、緑茶飲料の商標として記憶に残りやすい言葉であることを考慮すると、申立人商標は、申立人の業務に係る商品「緑茶飲料」を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものということができる。
2 本件商標と申立人商標の類似性
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、縦書きにした「お茶」の文字を大きく表し、該文字の右上に、縦書きにした「はーい」の文字を、「お茶」の文字部分に比べ、小さく表してなるものであるところ、その構成中の「お茶」の文字部分と「はーい」の文字部分は、文字の大きさにおいて相違するものの、いずれも丸みを帯びた同一の書体をもって外観上まとまりよく表されているものであり、また、構成文字全体より生ずると認められる「ハーイオチャ」の称呼も一気に称呼され得るものといえる。さらに、本件商標中の「はーい」の文字部分は、「あらたまって、または承諾の意を表して応答する語。注意をうながす語。」(「広辞苑第六版」岩波書店発行)などを意味する感動詞「はい」の語の「は」と「い」の間に長音記号を配したものであり、本件商標は、構成全体として、「お茶を差し出すときの掛け声」の意味合いを表したものと理解されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「ハーイオチャ」の一連の称呼のみを生ずるものであって、「お茶を差し出すときの掛け声」との観念を生ずるものである。
(2)申立人商標
申立人商標は、上記1(1)アのとおり、別掲2及び4のとおりの構成よりなるものであり、いずれの商標も縦書きにした「お茶」の文字を大きく表し、その上部に、縦書きにした「お?い」の文字を、「お茶」の文字部分に比べ、やや小さく表してなる構成よりなるものであって、「お茶」の文字部分と「お?い」の文字部分は、文字の大きさにおいて相違するものの、いずれも毛筆風の同一の書体をもって外観上まとまりよく表されているものであり、また、構成文字全体より生ずると認められる「オーイオチャ」の称呼も一気に称呼され得るものといえる。さらに、申立人商標中の「お?い」の文字部分は、「同輩または目下の者に、呼びかける声。」(「広辞苑第六版」岩波書店発行)などを意味する感動詞「おい」の語の「お」と「い」の間に波ダッシュを配したものであり、申立人商標は、構成全体として、「お茶を請うときの掛け声」の意味合いを表したものと理解されるとみるのが相当である。
したがって、申立人商標は、いずれもその構成文字に相応して、「オーイオチャ」の一連の称呼のみを生ずるものであって、「お茶を請うときの掛け声」との観念を生ずるものである。
(3)本件商標と申立人商標の対比
本件商標と申立人商標は、書体が相違するものの、いずれも縦書きにした「お茶」の文字を大きく表し、該文字の右上又は上部に、感動詞の「はい」又は「おい」の「は」又は「お」に続けて、それぞれ長音記号又は波ダッシュを配して、「はーい」又は「お?い」と表して縦書きにし、これらの感動詞を「お茶」の文字部分に比べ、やや小さく表してなる点において、構成の軌を一にするものであり、外観上極めて近似した印象を与えるものである。また、本件商標より生ずる「ハーイオチャ」の称呼と申立人商標より生ずる「オーイオチャ」の称呼は、語頭において「ハ」の音と「オ」の音に差異を有し、これらの音が、その帯同する長音とともに、音質、発音の方法等において相違するものの、他の音をすべて同じくするものである。さらに、本件商標より生ずる「お茶を差し出すときの掛け声」なる観念と申立人商標より生ずる「お茶を請うときの掛け声」なる観念は、申立人商標が呼びかけであるのに対し、本件商標はそれに応答するものであって、類似するものとはいえないとしても、呼応する掛け声として強い関連性を有するといえる。
してみると、本件商標と申立人商標は、外観及び称呼において、かなり近似する商標といえるばかりでなく、観念上も強い関連性のある商標であって、両商標を総合的に考察すれば、類似性の程度は高いというべきである。
3 本件商標の指定商品と申立人商標が使用される商品との関連性、その需要者等
本件商標の指定商品「茶」と申立人商標が使用される商品「緑茶飲料」とは、同一又は極めて関連性の高い商品であり、子供から老人まで広い世代にわたる一般の消費者が、スーパーマーケットやコンビニ等の小売店や自動販売機などで日常的に購入する安価な商品であることを考慮すると、これらを購入するに際して払われる注意力はさほど高いものとはいえない。
4 小括
以上、上記1ないし3を総合すると、本件商標に接する需要者は、申立人商標を直ちに想起・連想し、本件商標を申立人商標の姉妹ブランドであるかのように誤信するおそれがあるということができるから、本件商標をその指定商品について使用するときは、該商品が申立人又は申立人と業務上密接な関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
5 結び
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものと認める。
6 本件商標権者の意見について
(1)本件商標権者は、意見書において、本件商標と申立人商標との類否は「『は?い』と『お?い』の語に限定されるべきである。そして、『は?い』と『お?い』の両者間には類似性は存在しない。」旨主張している。
しかしながら、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとした理由は、その前提として、申立人商標の著名性を認めたうえで、本件商標をその指定商品に使用した場合には、需要者は、申立人商標を直ちに想起・連想し、本件商標を申立人商標の姉妹ブランドであるかのように誤信するおそれがあるということができるから、該商品が申立人又は申立人と業務上密接な関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというものであり、また、本件商標も申立人商標も、それぞれ、同一の書体をもって外観上まとまりよく表されており、称呼も一気に称呼され得るものであるから、その構成部分全体をもって看取されるとみるのが相当であって、これを殊更「はーい」又は「お?い」の文字部分を取り出して観察するべき事情は見いだせない。
(2)また、本件商標権者は、意見書において、「本件商標が登録査定された経緯には相応の『正当性と理由』が存在するから、本件商標登録の取り消しは妥当性を欠いている。」旨主張している。
しかしながら、登録異議申立制度は、商標権の設定登録後の一定期間に限り、広く第三者に、登録の取消しを求める機会を与え、登録異議の申立てがあれば特許庁が自ら登録処分の適否を審理し、登録処分に瑕疵がある場合にはその是正を図ることにより、登録の信頼性を高めることを目的とするものである。
そして、本件については、当合議体が、申立人が提出した甲各号証を審理し、これに基づいて取消理由を通知し、登録処分の是正を図ろうとしたものである。
よって、本件商標権者の主張は、採用することができない。
7 まとめ
以上のとおり、本件商標は、その指定商品について、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。
なお、申立人は、平成29年5月16日付けの口頭審理申立書で口頭審理を行うよう申し立てているが、本件は、これを開催せずとも審理を進めることができると判断したので、その申立ては採用しないこととした。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)


別掲2(登録第5471443号商標)(色彩は原本参照)(別掲2及び4の商標をあわせて「申立人商標」という。)


別掲3(登録第5471444号商標)(色彩は原本参照)


別掲4(申立人商標)



異議決定日 2017-06-05 
出願番号 商願2015-73708(T2015-73708) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (W30)
最終処分 取消  
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 小松 里美
原田 信彦
登録日 2016-06-17 
登録番号 商標登録第5858715号(T5858715) 
権利者 武井 良夫
商標の称呼 ハーイオチャ、ハーイ 
代理人 小西 達也 
代理人 花崎 健一 

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