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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X42
管理番号 1331454 
審判番号 取消2015-300903 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-12-11 
確定日 2017-08-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第5491818号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5491818号商標(以下「本件商標」という。)は、「クリニプロ」の片仮名を標準文字で表してなり、平成23年12月7日に登録出願、第10類、「医薬品の試験・検査又は研究に関する情報の提供並びにこれらに関するコンサルティング」を含む第42類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同24年5月11日に設定登録されたものである。
その後、商標権の一部取消審判により、指定商品及び指定役務中、第10類「全指定商品」、第42類「医薬品の開発」及び第44類「医業,健康診断,医薬研究用試薬の調剤,栄養の指導,医療用機械器具の貸与,ジェネリック医薬品に関する医療情報の提供」については、その登録を取り消すべき旨の審決がされ、同28年1月15日にその確定審決の登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、同28年1月6日である。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品及び指定役務中、第42類「医薬品の試験・検査又は研究に関する情報の提供並びにこれらに関するコンサルティング」(以下「取消請求役務」という。)について登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、上記役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである旨主張した。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら意見を述べていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
1 乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人であるクリニプロ株式会社の履歴事項全部証明書であり、会社設立の目的として、「臨床薬理試験」や、「臨床試験に参加する被検者の募集、紹介、管理」、あるいは「医薬品に関する研究開発、臨床・非臨床試験、調査および試験の企画、立案、支援、情報の収集、処理および情報提供ならびにコンサルティング業務」を行うことが記載されている。
同号証は、被請求人が本件商標を取消請求役務に使用していたという事実を直接的に立証するものではないが、これより、少なくとも被請求人が取消請求役務に関する業務を行うことを目的として登記された会社であることがわかる。
2 乙第2号証について
(1)乙第2号証の説明
乙第2号証は、インターネット・アーカイブ(Internet Archive)という会社が、そのウェブサイト(https://archive.org/index.php)上に記録及び保存している被請求人のウェブページを印刷したものである。インターネット・アーカイブは、インターネット上のウェブページを自動的に電子保存するサービスを行っており、乙第2号証で示したウェブページの右上には、インターネット・アーカイブによって電子保存された年月日が示されている。
同号証は、本審判事件の審判請求書の提出日前の2015年7月11日時点におけるウェブページと、2015年6月20日時点におけるウェブページとをまとめたものである。なお、インターネット・アーカイブのウェブサイトに保存されているウェブページの印刷物に、不使用取消審判において登録商標を使用した日付を立証する能力があることは、例えば取消2009-300510号審判事件においても認められている。
(2)被請求人が本件商標を取消請求役務に使用していたこと
乙第2号証に示された被請求人のウェブページには、被請求人が提供する役務が記載されているとともに、本件商標と社会通念上同一である「クリニプロ株式会社」という商標が付されている。
また、同号証には、被請求人の主たる事業内容が、治験実施医療機関の支援、治験事務局の支援、治験審査委員会事務局(IRB)の支援、治験責任医師・分担医師の支援を含む臨床試験支援事業であること、被請求人が、製薬会社に対して治験経験・疾病知識の高いCRC・専門性の高い医師と協力して質の高い臨床試験を提供すること及びその臨床試験の受託可能領域、被請求人が、病院・クリニックに対して、IRBや必須文書作成、スケジュール調整など被験者管理業務などを含めて、臨床試験業務全体をサポートすることが記載されている。さらに、同号証には、被請求人が、治験開始前、治験実施、治験終了後に亘って、治験情報・医療情報の伝達、被験者選定支援から診察補助、外注検体処理、服薬指導補助、スケジュール管理支援を含む支援業務を行うことが記載されている。
そして、同号証に記載された医薬品の治験・臨床試験に関する支援業務は、取消請求役務における「医薬品の試験に関するコンサルティング」に相当する。
また、同号証には、被請求人が、医薬品の臨床試験(治験)の支援事業を行うこと、臨床試験に関する基礎知識、実務知識及び医学知識の研修を行うこと、治験についての説明会や新薬開発に関する医療セミナーを行うこと、治験開始前、治験実施、治験終了後に亘って、治験情報・医療情報の伝達を含む支援業務を行うことが記載されている。
そして、同号証に記載された医薬品の治験・臨床試験に関して、支援事業や、研修事業、説明会を行うことは、取消請求役務における「医薬品の試験に関する情報の提供」に相当する。
また、被請求人が同号証に示されたウェブページに「クリニプロ株式会社」という標章を付する行為は、役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する使用行為に該当する(商標法第2条第3項第8号)。
よって、同号証は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者たる被請求人が、本件商標と社会通念上同一の商標である「クリニプロ株式会社」を、取消請求役務について使用(商標法第2条第3項第8号)していた事実を示すものである。
3 乙第3号証について
(1)乙第3号証の説明
乙第3号証は、2015年4月1日付けにて、治験施設支援機関である被請求人と治験実施医療機関のクリニックとの間で締結された治験管理基本契約書の写しである。この契約書では、クリニックが治験の実施に係る業務の管理、代行及び支援を被請求人に委託することが定められており、被請求人に委託された業務の細目は別紙に詳細に記載されている。
(2)被請求人が本件商標を取消請求役務に使用していたこと
乙第3号証に示された治験管理基本契約書の表紙には、本件商標と社会通念上同一の商標である「クリニプロ株式会社」が付されており、最終ページにも、契約書の記名として、「クリニプロ株式会社」が付されている。
また、同号証の別紙の委託業務細目には、被請求人がクリニックに対して、例えば、治験実施前に、医療機関内治験関係者の教育・訓練、医療機関内治験関連各部門の治験用連絡網及び記録作成保管方法の確立、治験実施の人材確保、治験実施のスケジュールの調整提示、被検者募集計画、治験実施計画書・症例報告書の作成時の治験依頼者との調整を行うこと、治験実施中に、被請求人が、治験全般におけるGCP及び治験実施計画書遵守の徹底及び確認をすることが記載されている。
そして、ここに記載された各種の支援業務は、取消請求役務における「医薬品の試験に関するコンサルティング」に相当する。
また、同号証の別紙の委託業務細目には、被請求人がクリニックに対して、例えば、治験実施前に、医療機関内治験関係者の教育・訓練、治験実施医療機関及び責任医師選定のための資料の提示、治験受託の可能性検討及び資料の提示(協議)、説明会を開催して治験分担医師及び治験協力者への治験実施計画書の周知徹底を行うこと、治験実施中に、被請求人が治験依頼者との連絡及び報告並びに協議、治験実施中の医療機関の長への報告を行うこと、治験終了時に、被請求人が治験終了報告書の作成及び治験依頼者への治験終了関連通知を行うことが記載されている。
そして、ここに記載された治験実施前に医療機関内治験関係者を教育したり、資料を提示したり、説明会を開催すること、治験実施中に治験依頼者や医療機関に報告すること、あるいは治験終了時に治験終了報告書を作成したり、治験依頼者に治験終了関連通知報告を行うことは、取消請求役務における「医薬品の試験に関する情報の提供」に相当する。
また、被請求人が同号証に示された治験管理基本契約書に「クリニプロ株式会社」という標章を付する行為は、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する使用行為に該当する(商標法第2条第3項第3号)。
よって、同号証は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者たる被請求人が、本件商標と社会通念上同一の商標である「クリニプロ株式会社」を、取消請求役務について使用(商標法第2条第3項第3号)していた事実を示すものである。
4 乙第4号証について
(1)乙第4号証の説明
乙第4号証は、2015年3月5日付けにて、被請求人が治験依頼者の製薬会社に対して発行した、医薬品の製造販売後臨床試験にかかる費用の請求書の写しである。
(2)被請求人が本件商標を取消請求役務に使用していたこと
乙第4号証に示された請求書1枚目の右下には、本件商標と社会通念上同一の商標である「クリニプロ株式会社」が付されている。
また、同号証には、被請求人が、「SMO費用」として、「CRC費用」と「試験事務局支援費用」を請求したことが記載されている。
被請求人は、製薬会社のために治験実施施設(医療機関)と契約して、SMOに関する業務を行う会社であり、CRC(治験コーディネーター)を医療機関、クリニックに派遣し、患者に対して治験に関わる医療情報を提供し、被験者としての募集、同意取得等の支援を行い、また、治験事務局の立ち上げや、IRB(治験事務局)の運営補助、あるいは治験事務局の教育などのIRB(治験事務局)の支援を行い、それらの際の費用を製薬会社に請求している。
また、同号証に示された請求書から、被請求人が製薬会社に対して、治験コーディネーターの教育・派遣に関する役務(「CRC費用」に関する役務)と、治験事務局の支援に関する役務(「試験事務局支援費用」に関する役務)を提供していたことがわかる。
そして、被請求人が製薬会社に対して提供した治験コーディネーターの教育・派遣に関する役務は、治験コーディネーターに対して医薬品の試験に関する情報を提供する業務を含むことから、取消請求役務における「医薬品の試験に関する情報の提供」に相当する。また、被請求人が製薬会社に対して提供した治験事務局の支援に関する役務は、医薬品の試験の支援に関する業務を含むことから、取消請求役務における「医薬品の試験に関するコンサルティング」に相当する。
また、被請求人が同号証に示された請求書に「クリニプロ株式会社」という標章を付する行為は、役務の提供に当たり、その提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する使用行為に該当する(商標法第2条第3項第3号)。
よって、同号証は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者たる被請求人が、本件商標と社会通念上同一の商標である「クリニプロ株式会社」を、取消請求役務「医薬品の試験・検査又は研究に関する情報の提供並びにこれらに関するコンサルティング」について使用(商標法第2条第3項第3号)していた事実を示すものである。
5 結語
以上のとおり、商標権者たる被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一の商標である「クリニプロ株式会社」を、取消請求役務について使用していたといえる。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、本件商標権者の履歴事項全部証明書の写しであるところ、平成26年1月1日変更の「目的」の欄には、「8.次の物品に関する研究開発、臨床・非臨床試験、調査および試験の企画、立案、支援、情報の収集、処理および情報提供ならびにコンサルティング業務」、「(1)医薬品」の記載がある。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、インターネットアーカイブ(waybackmachine)のウェブサイトに保存されている本件商標権者のウェブページの写しである。
ア 2015年7月11日保存の本件商標権者のウェブページの1枚目には、そのページの最上段に、「クリニプロ株式会社」、「『たゆまない信頼』それがクリニプロの理念です。」の記載、同2枚目には、「クリニプロの特徴」の見出し並びに「治験依頼・契約」、「治験サポート」及び「事務局支援」の記載がある。
また、同3枚目には、会社概要の「事業内容」に「臨床試験支援事業」の記載がある。
イ 2015年6月20日保存の本件商標権者のウェブページの1枚目には、上記アと同様に「クリニプロ株式会社」の記載があり、「製薬会社の皆様へ」の見出しの下、「クリニプロの臨床試験支援業務」の記載がある。
また、同7枚目には、「医療機関の皆様へ」、「病院・クリニックの皆様へ」の見出しの下、「クリニプロがサポートします。・・・GCPに精通し、臨床試験業務に熟知した私たちクリニプロが全面的にサポートします。」、並びに、「クリニプロ臨床試験支援の特徴」の見出しの下、「◆IRB、必須文書作成等の医療行為以外の部分を支援します。」、「◆スケジュール調整などを含め、被験者管理業務を支援します。」及び「◆質の高いCRCを派遣し、治験プロセス全体を効率的に支援します。」の記載がある。
そして、同9枚目には、「医療機関の皆様へ」、「支援業務」の見出しの下、「概要」の項には、「治験情報・医療情報の伝達、被験者選定支援から診察補助、外注検体処理、服薬指導補助、スケジュール管理支援、依頼者対応まで責任を持って支援いたします。」の記載がある。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、「クリニプロ株式会社」と記載された、本件商標権者とクリニック(名称の一部が黒塗りされている。)との2015年4月1日付け「治験管理基本契約書」の写しである。
第1条(目的)には、「甲(審決注:治験実施医療機関)は、甲の施設において実施する治験等の円滑な実施と質の向上を目的として、第2条に定める甲の治験実施に係わる業務の管理、代行及び支援業務(以下『委託業務』という)を乙(審決注:本件商標権者)に委託し、乙はこれを受託する。」の記載がある。
第15条(契約期間)には、「本契約の契約期間は、西暦2015年4月1日から西暦2016年3月31日までの1年間とする。」の記載がある。
ウ 別紙の「治験管理基本契約書 第2条第2項に基づく委託業務の細目」には、「治験実施前」の項に「2.治験依頼問い合わせ等への対応(治験事務局業務補助)」として、「1)治験実施医療機関及び責任医師選定のための資料の提示/2)治験受託の可能性検討及び資料の提示(協議)/・・・4)治験実施スケジュールの調整提示」の記載がある。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は、本件商標権者が発行した、製薬会社(名称の一部が黒塗りされている。)宛の2015年3月5日付け請求書の写しであるところ、「下記の通り請求申し上げます。」、「2015年2月度請求分(別紙「請求明細書」参照)として。」、「試験課題名:***(審決注:マスキングされていることを表す。以下同じ。)製造販売後臨床試験(***併用長期投与)」、「実施医療機関:医療法人社団***クリニック」、「試験審査委員会開催日:2015年2月17日」、「東京都中央区・・・/クリニプロ株式会社/代表取締役・・・」の記載がある。
また、同号証2枚目の2015年3月5日付け請求明細書の写しには、「医療法人社団***クリニック、***製薬株式会社及びクリニプロ株式会社において、2014年5月26日締結及び2014年9月18日締結の製造販売後臨床試験契約書『第12条(本試験に係る費用およびその支払方法)』における以下費用項目に関し、請求申し上げます。」の記載があり、「第12条(本試験に係る費用およびその支払方法)」の見出しの下、「・2015年2月度 治療期移行時 請求分」の「項目」として「【SMO費用】/CRC費用(治療期移行時) (変動費)」、「・2015年2月度 来院8(16w)移行時 請求分」の「項目」として「【SMO費用】/CRC費用来院8(16w)移行時 (変動費)」及び「・2015年2月度 試験事務局支援費用 請求分」の「項目」として「【SMO費用】/試験事務局支援費用 (変動費)」の記載がある。
2 前記1によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)乙第2号証について
乙第2号証のウェブページの記載内容(前記1(2))は、乙第3号証の「治験管理基本契約書」に記載の内容(前記1(3))と密接に関連し、同一の業務内容であるといえ、乙第1号証の本件商標権者の履歴事項全部証明書に記載された「8.次の物品に関する研究開発、臨床・非臨床試験、調査および試験の企画、立案、支援、情報の収集、処理および情報提供ならびにコンサルティング業務/(1)医薬品」を内容とする設立目的にも合致するものである。
そして、上記ウェブページが公開されていたとされる2015年6月20日及び同年7月11日が上記契約書の契約期間に含まれることからすれば、該ウェブページがインターネットアーカイブ(waybackmachine)に保存されているものであるとしても、これが、上記年月日にウェブ上に存在していたことは、優に推認できるものである。
(2)使用役務について
本件商標権者は、医薬品に関する研究開発、臨床・非臨床試験、調査及び試験の企画、立案、支援、情報の収集、処理及び情報提供並びにコンサルティング業務等を目的とする会社である(乙1)。
そして、2015年7月11日の自己のウェブサイトに、その事業内容として、「臨床試験支援事業」に関することを記載し、また、同年6月20日のウェブサイトに、製薬会社に向けた「クリニプロの臨床試験支援業務」に関する紹介や医療機関に向けた「支援業務」として「治験情報・医療情報の伝達、被験者選定支援から診療補助、外注検体処理、服薬指導補助、スケジュール管理支援、依頼者対応」を記載している(乙2)。
また、本件商標権者は、2015年3月5日には、国内の製薬会社に対して、同年2月度の「SMO(治験施設支援機関)費用」等について、請求書を発行している(乙4)。
さらに、本件商標権者は、2015年4月1日には、国内のクリニックとの間で「治験実施に係わる業務の管理、代行及び支援業務」について、「治験管理基本契約書」を締結している(乙3)。
そうすると、本件商標権者は、治験(医薬品としての承認を得るために、臨床試験により薬物の効果を検定すること「広辞苑第六版 株式会社岩波書店」)に係る支援の役務を提供するものであり、かかる役務は、「医薬品の試験に関するコンサルティング」の範ちゅうに含まれるものである。
(3)使用に係る商標について
本件商標権者のウェブページ(乙2)には、前記1(2)アのとおり、「クリニプロ株式会社」の文字が表示されており、これは、該ウェブページにおける情報の提供元と認識されるとともに、自他役務の識別標識としての機能を果たしているものといえる。
そして、「クリニプロ株式会社」の構成文字中、「株式会社」の文字は、法人の種類を示すものであって、識別標識としての機能を果たし得ないものであり、同機能を果たすのは「クリニプロ」の文字部分にあるとみるのが相当であって、該文字は、本件商標と同一の文字綴りからなるものである。
また、本件商標権者のウェブページ(乙2)には、前記1(2)アのとおり、「『たゆまない信頼』それがクリニプロの理念です。」や「クリニプロの特徴」の記載もあるところ、その文脈から判断して、該記載中「クリニプロ」の文字は、該ウェブページ情報の提供元と認められる「クリニプロ株式会社(本件商標権者)」の略称であると極自然に理解することができ、商標としての機能を果たし得るものといえる。
したがって、該ウェブページにおける「クリニプロ株式会社」及び「クリニプロ」の文字の使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用であると認めることができる。
(4)使用時期について
上記(1)のとおり、本件商標権者のウェブページ(乙2)が公開されている時期は、2015年6月20日及び同年7月11日と認めることができ、いずれも、本件審判の請求の登録前3年以内(平成25年(2013年)1月6日から同28年(2016年)1月5日)である。
(5)小括
以上によれば、本件商標権者は、取消請求役務に含まれる「医薬品の試験に関するコンサルティング」を提供しており、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、該役務を含む本件商標権者の業務内容を掲載した自身のウェブページに、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたと認められる。
そして、本件商標権者による上記行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「・・・役務に関する広告・・・これらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものである。
3 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者がその取消請求役務に含まれる役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その取消請求役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-05-31 
結審通知日 2017-06-05 
審決日 2017-06-29 
出願番号 商願2011-88115(T2011-88115) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X42)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 清棲 保美 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 板谷 玲子
田中 亨子
登録日 2012-05-11 
登録番号 商標登録第5491818号(T5491818) 
商標の称呼 クリニプロ 
代理人 関 大祐 
代理人 廣瀬 隆行 

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