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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y3233
管理番号 1331415 
審判番号 取消2016-300601 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-08-26 
確定日 2017-07-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第4658257号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第4658257号商標の指定商品中,第32類「ビール」及び第33類「洋酒,果実酒」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4658257号商標(以下「本件商標」という。)は,「いい日旅立ち」の文字を標準文字で表してなり,平成14年6月28日に登録出願,第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース」及び第33類「洋酒,果実酒」を指定商品として,同15年4月4日に設定登録され,その後,同25年4月16日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,平成28年9月7日である。
なお,本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同25年9月7日から同28年9月6日までの期間を,以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,審判請求書及び審判事件弁駁書等において,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第32類「ビール」及び第33類「洋酒,果実酒」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)通常使用権の設定について
乙第1号証ないし乙第3号証は,被請求人が一般財団法人神戸みのりの公社に対して,通常使用権を与えて生産委託したワインであると被請求人は主張しているが,提出された証拠より商標の使用許諾があったとの事実は明らかになっていない。よって,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが登録商標の使用をしていたとはいえないものである。
(2)乙第3号証について
乙第3号証の写真にあるワインのラベルには「(財)神戸みのりの公社」とあり,被請求人は,当該法人名は平成25年3月まで使用されていたと主張しているが,乙第3号証からは,当該商品が平成25年3月以前に製造されたということが推察されるのみであり,要証期間内に当該商品が製造・販売等されていたという事実が立証されるものではない。
(3)乙第7号証について
乙第7号証の写真は,予告登録後の平成28年10月に撮影されたものである。乙第7号証からは,当該ワインが販売されているかは明確には分からない。また,仮に写真の中に「いい日旅立ち」のラベルを付したワインと,平成27年3月21日から5月31日まで開催されたイベントの告知ポスターが映りこんでいたとしても,それにより撮影時にこれらが店頭にあったという事実が示されるのみであり,要証期間内に当該商品が販売されていたという事実が立証されるものではない。
(4)乙第10号証について
乙第10号証は,常連客による証言であり,何ら客観性を有する証拠とはなり得ない。
(5)乙第11号証について
「ワインショップヤマムラ」のウェブサイトにおいて,商標「いい日旅立ち」が付されたワインが販売されていたとのことであるが,乙第11号証は,要証期間外である「2016年10月26日」のウェブサイト画面を出力したものである。また,「こちらのサイトでの通信販売は終了しました」の表示があり,当該商品には「売り切れ」の表示がある。さらに,現在,当該ウェブサイトにはアクセスすることができず,Yahoo検索のキャッシュに残った内容を確認すると,当該商品は「限定品につき売り切れました」とある(甲1)。
なお,「神戸の酒屋ワインショップヤマムラ 楽天市場店」においては,「いい日旅立ち」という名称のワインは販売されていない(甲2)。
これらの事実を勘案するに,要証期間内に当該サイトにアクセス可能であったか,当該サイトで「いい日旅立ち」という名称のワインが販売されていたか,当該サイトで「いい日旅立ち」という名称のワインが販売のために展示されていたか,いずれも明らかにされるものではない。
以上より,被請求人は,要証期間内に商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが商標を指定商品に使用したことを立証していないものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は,請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。
被請求人から許諾を受けた通常使用権者は,本件商標の指定商品中,第33類「ワイン(ぶどう酒)」について,登録商標「いい日旅立ち」を審判請求日前から継続的に使用している。乙第1号証ないし乙第3号証は「いい日旅立ち」という商品名のワインの写真であり,被請求人が,一般財団法人神戸みのりの公社に対して「いい日旅立ち」という名称のワイン(以下,本商品)について,通常使用権を与えて生産委託をしたものである。また,本商品は,商標権者である清水敬二郎の娘が経営する「株式会社善太」(以下「善太」という。:乙4)で約20年前から現在に至るまで(当該会社の設立前は商標権者個人で店舗を運営していた),継続して販売されている。 乙第5号証ないし乙第8号証は,善太の店舗の販売風景の写真である(撮影日:平成28年10月7日及び同10月30日,撮影者:清水敬二郎)。
また,乙第3号証にある商品のラベルの製造者の箇所に「(財)神戸みのりの公社」とあるが,当該法人が一般財団法人化されたのが平成25年4月である。一般財団法人の場合の略語は通常(一財)であるので,平成25年3月以前から現在に至るまでの販売であることがわかる。ここで,この販売風景の中にあるポスターに着目すると(乙7),花みどりフェアという内容のポスターであり,このイベントは平成27年3月21日?5月31日の期間に開催されたものであり(乙9),少なくともこの開催期間の前から告知に協力していたものであり,本ポスターと本商品の陳列が映し出されていることからも,少なくとも審判請求の登録日前3年以内に,本商品が販売のために陳列されていたものを示すものである。また,善太の第三者である常連客の株式会社橋詰鮮魚の安井氏からも本商品が販売のための展示がされている旨の確認書面も得ている(乙10)。
なお,「ワインショップヤマムラ」でも,少なくとも2002年には,インターネットで本商品を販売している(乙11)。
以上のように,善太の店舗の販売用陳列棚において,本商品が少なくとも審判請求の登録日前3年以内に本商品は譲渡のための展示をされていたものである。また,現在もインターネットで本商品が表示されている。これは,商標法第2条第3項第1号に規定する「商品又は商品の包装に標章を付する行為」及び,同第2号に規定する「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出し,輸入し,又は電気通信回線を通じて提供する行為」に該当する。
したがって,本件商標は,その指定商品中,第33類「ワイン(ぶどう酒)」について,日本国内において継続的に使用されている事実が認められるので,登録を取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠によれば,以下のとおりである。
(1)乙第1号証ないし乙第3号証について
乙第1号証ないし乙第3号証は,「いい日旅立ち」の文字(以下「使用商標」という場合がある。)を表示したラベルが貼付された果実酒3本が写っている写真である。
ア 乙第1号証は,正面から果実酒を写した写真であり,ラベルに使用商標の表示がある。
イ 乙第2号証は,乙第1号証の果実酒の裏面の写真であり,乙第2号証を拡大した写真が乙第3号証である。これらには,ラベルが貼ってあり,それぞれに,「製造者(財)神戸みのりの公社」の記載がある。
(2)乙第5号証ないし乙第8号証について
乙第5号証ないし乙第8号証は,答弁書によれば善太の店舗の販売風景の写真とされるものである。
これらのうち,乙第5号証及び乙第6号証は,乙第1号証に写っている果実酒が,上記店舗に陳列されている写真である。
また,乙第7号証及び乙第8号証は,その果実酒が陳列されている店舗の外観の写真とされるものである。これらの写真は,答弁書によれば,平成28年10月7日及び同月30日に撮影されたものである。
(3)乙第10号証について
乙第10号証は,答弁書によれば,「本商品が販売のために展示されている旨の確認書」(以下「確認書」という。)とされるもので,「神戸ワイン『いい日旅立ち』について」の見出しの下,「善太商店へ20年程前から出入りしていますが,神戸ワイン『いい日旅立ち』がその頃から現在まで陳列されている事を確認しています。」の記載があり,「株式会社 橋詰鮮魚」,住所,電話番号及び「安井 稔」の署名及び捺印がある。
(4)乙第11号証について
乙第11号証は,「ワインショップヤマムラ」のインターネットホームページとされるものである。
1葉目には,「数量限定品」の見出しの下,「数量限定品/神戸ワイン『いい日旅立ち』」の記載があり,その下に果実酒2本の写真と共に使用商標の表示がある。
そして,1葉目から2葉目にかけて,「『いい日旅立ち』ロゼ」と「『いい日旅立ち』白」の商品説明があり,それぞれ「いい日旅立ち」の文字を表示したラベルが貼付された果実酒の写真とその右下に,「やや甘口 750円(税込価格)/売り切れ」の記載がある。
そして,最下部に,「こちらのサイトでの通信販売は終了いたしました。」の記載があり,右下には,「2016/10/26」の印刷出力日の記載がある。
2 上記1によれば,以下のとおり判断できる。
(1)本件商標と使用商標との社会通念上同一について
本件商標と使用商標は,共に「いい日旅立ち」の文字からなるものであり,両者を比較すると書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であって,共に「イイヒタビダチ」の称呼を生じるものであるから,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用商品について
乙第1号証ないし乙第3号証からは,「いい日旅立ち」の文字(使用商標)を表示したラベルが果実酒の瓶に貼付されていることが確認できることからすれば,本件商標の指定商品中「果実酒」に使用商標が使用されていたと認められる。
(3)使用期間について
乙第1号証ないし乙第3号証の果実酒の写真は,撮影日の記載がなく,使用商標の使用時期を特定することができない。
また,善太の店舗写真(乙5ないし乙8)の撮影日及び「ワインショップヤマムラ」のインターネットホームページ(乙11)の印刷出力日は,いずれも要証期間外である。
(4)使用者について
被請求人(商標権者)は,「一般財団法人神戸みのりの公社」に通常使用権を与えて生産委託をしていると述べているが,これを証明する証拠の提出はなく,両者の間に,通常使用権の許諾があったことを推認できる程の密接な関連性も見いだせない。
したがって,「一般財団法人神戸みのりの公社」は,通常使用権者とは認めることができない。
(5)小括
上記(1)ないし(4)からすれば,被請求人(商標権者)又は通常使用権者のいずれかが,本件商標を要証期間内にその指定商品中「果実酒」に使用していたことは認められない。
その他,被請求人が提出した乙各号証において,本件商標を要証期間内にその指定商品に使用したことを認め得る証左は見いだせない。
3 被請求人の主張について
被請求人は,「乙第7号証は,被請求人の店舗での販売風景の中にあるポスターに着目すると,『花みどりフェア』という内容のポスターであり,このイベントは平成27年3月21日?5月31日の期間に開催されたものであり,少なくともこの開催期間の前から告知に協力していたものであり,本ポスターと本商品(果実酒)の陳列が映し出されていることからも,少なくとも審判請求の登録日前3年以内に,本商品(果実酒)が販売のために陳列されていたものを示すものである。」旨を主張している。
しかしながら,乙第7号証には,左側にポスターらしきものが写っているが,文字が不鮮明で読みにくく,被請求人がいう,「淡路花博2015花みどりフェア」(乙9)のポスターであるかの確認ができない。
仮に,被請求人の店舗に「花みどりフェア」のポスターが掲示されていたとしても,その撮影日は,要証期間外であり,「花みどりフェア」の開催期間から1年5か月が経過した平成28年10月であって,該ポスターを掲示し続けていること自体に不自然さがある上,該ポスターの掲示と店舗内の商品の陳列に何らの関係性も見いだせないことからすれば,この店舗外観の写真(乙7)が,要証期間内に使用商標を使用した果実酒が店舗内に陳列されていたことを証明するものとはいうことはできない。
よって,被請求人の主張は,採用できない。
4 まとめ
以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判の請求に係る指定商品中,「ビール,洋酒,果実酒」について,本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
また,被請求人は,その指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,その指定商品中の「結論掲記の指定商品」について,商標法第50条の規定により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-05-24 
結審通知日 2017-05-29 
審決日 2017-06-19 
出願番号 商願2002-59266(T2002-59266) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y3233)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 榎本 政実
木住野 勝也
登録日 2003-04-04 
登録番号 商標登録第4658257号(T4658257) 
商標の称呼 イイヒタビダチ 
代理人 新保 斉 
代理人 特許業務法人栄光特許事務所 

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