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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09 |
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管理番号 | 1331409 |
審判番号 | 取消2016-300753 |
総通号数 | 213 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-09-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2016-10-26 |
確定日 | 2017-07-31 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4811454号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4811454号商標(以下「本件商標」という。)は、「桃鉄」及び「モモテツ」の文字を上下二段に書してなり、平成15年11月12日に登録出願、第9類「移動体電話用のゲームプログラム,携帯情報通信端末用のゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム,パチスロ機(回胴式遊技機及びその部品及び附属品に属するものに限る。),回胴式遊技機,スロットマシン」を含む、第9類、第16類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同16年10月22日に設定登録されたものである。 そして、本件審判の請求の登録(予告登録)は、平成28年11月9日である。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項により、本件商標の指定商品中の第9類「全指定商品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を以下のように述べた。 1 請求の理由 本件商標は、その登録に係る指定商品中、第9類「全指定商品」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。 2 弁駁 請求人は、被請求人の答弁に対して、何ら弁駁していない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第38号証(枝番を含む。)を提出した。 1 「桃鉄」について 「桃鉄」とは、ゲームシリーズ「桃太郎電鉄」の略称で、「モモテツ」と呼ばれる。「桃太郎電鉄」は1988年に任天堂ファミリーコンピュータ用ゲームカセットとして第1作目が発売され、以来現在に至るまで多数のシリーズに展開されてきた大ヒットゲームシリーズ作品である。上記第1作目のゲームカセットのパッケージには、「桃鉄『ももてつ』と呼ぼう!」と記載され、ゲームカセット自体には「桃鉄」とのみ記載されている(乙1)。「桃鉄」は、「桃太郎電鉄」という名称と共に、長年にわたり商品の名称として使用されてきた商標である。 2 使用の事実 (1)「桃太郎電鉄」公式サイト 被請求人は、自身が運営する「桃太郎電鉄」公式サイトにおいて、「桃鉄」の商標を表示している。本ウェブサイトは、被請求人がゲームシリーズ「桃太郎電鉄」の宣伝広告を目的としてその内容を管理するものであり、ゲーム内容や基本ルールの説明、商品シリーズの紹介、そしてそれら商品の購入ページへのリンクが設定されている(乙2)。 乙第3号証は上記ウェブサイトの写しであり、「桃鉄って?」、「桃鉄が世界に飛び出した!」、「桃鉄がついにPSPに登場!」「あの『桃鉄』がケータイで遊べるよ!」との記載がある。なお、当該書証は、インターネットサービス「Wayback Machine」を用いて、本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)である2014年3月17日時点の内容を表示したものである。 オンライン辞書である「Weblio辞書 実用日本語表現辞典」や「コトバンク」には、「桃鉄」で独立した項目が設けられ、それぞれ「ハドソンが販売していたゲームソフト『桃太郎電鉄』の略称」(乙4)、「ハドソンが発売するゲームソフト『桃太郎電鉄』の略称」(乙5)と記載されている(株式会社ハドソン(以下「ハドソン」という。)は2012年に被請求人に吸収合併されている。)他、多数のインターネット記事やオンライン通販サイトにおいて、「桃鉄」が「桃太郎電鉄」を指し示すものとして取引者・需要者に認識されており、広く使用されている(乙6?乙12)。 してみれば、上記の「桃鉄って?」、「桃鉄が世界に飛び出した!」、「桃鉄がついにPSPに登場!」「あの『桃鉄』がケータイで遊べるよ!」といった使用態様においては、これに接する取引者、需要者は、「桃鉄」部分が、ゲームシリーズ「桃太郎電鉄」の略称であることを認識するという実情にあり、当該部分が商品の出所識別標識として認識されるとみるのが相当である。 さらに、本件商標は、漢字の「桃鉄」と片仮名の「モモテツ」との上下2段の併記態様であり、これらは称呼を共通にし、観念においても異なるものではない。よって、実際の使用に係る態様が漢字のみの「桃鉄」であっても、これは、本件商標と社会通念上同一視されると考えるのが相当である。 以上より、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標「桃鉄」をウェブサイトに表示しており、これは本請求に係る指定商品中「移動体電話用のゲームプログラム,携帯情報通信端末用のゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム」に関する広告を、要証期間内にインターネットを介して電磁的に提供していたことを示す。 (2)家庭用ゲームソフト 被請求人は、2012年に発売されたゲームソフト「桃太郎電鉄WORLDベストコレクション」の商品パッケージ及びその取扱説明書に、「桃鉄」の商標を表示している(乙13?乙15)。 そして、乙第16号証は、インターネットサービス「Wayback Machine」が保存している2016年5月10日時点の、被請求人が管理・運営するウェブサイトにおける「桃太郎電鉄WORLDベストコレクション」商品ページの写しである。これにより、要証期間内に、被請求人により、「桃太郎電鉄WORLDベストコレクション」が取り扱われていたことが確認される。また、乙第17号証は、被請求人ウェブサイトにおける「『ニンテンドーWi-Fi コネクション』サービス終了のお知らせ」と題した2014年3月26日付けの通知であるが、終了対象となる商品一覧に「桃太郎電鉄WORLDベストコレクション」が含まれていることからも、当時本商品が被請求人により取り扱われていたことが認められる。 以上より、被請求人は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標「桃鉄」を使用した「家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム」を取り扱っていたことが認められる。 (3)「桃太郎電鉄2017たちあがれ日本!!」ウェブサイト 任天堂株式会社(以下「任天堂」という。)の運営するウェブサイト「桃太郎電鉄2017たちあがれ日本!!」において、商標「桃鉄」が表示されている。本ウェブサイトは2016年12月22日に発売された任天堂3DS用ゲームソフト「桃太郎電鉄2017たちあがれ日本!!」の専用公式サイトで、商品の紹介や基本ルールの説明、商品購入ページへのリンクが設定されており、任天堂が本ゲーム作品の宣伝広告を目的としてその内容を管理するものである(乙18)。 乙第19号証はインターネットサービス「Wayback Machine」が保存している2016年10月25日時点の上記ウェブサイトのスクリーンショットであり、「集まれば桃鉄!!」、「『桃鉄』の完全新作が3DSで登場!」、「うまく使い分けることが桃鉄長者になるコツです」、「年末年始はみんなで桃鉄!」「ソフト一本で最大4人まで『桃鉄3年決戦!』が楽しめる(以下省略)」の記載がある。 また、2016年10月25日付の複数のインターネット記事において、本ゲーム作品の発売について紹介されており、これらからも、2016年10月25日時点で上記ウェブサイトにおける「桃鉄」の使用が確認される(乙20?乙22)。 なお、本件商標の使用については、被請求人と、東京都中央区所在の有限会社サマープロジェクトとの間でライセンス契約が行われ、さらに有限会社サマープロジェクトから任天堂にサブライセンスが許諾されている。したがって任天堂は本件商標の通常使用権者に該当する。乙第23号証は、被請求人に係る制作支援本部ライセンス部部長が、被請求人が任天堂に対して、2016年9月1日より本件商標の使用を許諾していることを宣誓した書面である。これにより、被請求人が任天堂に「桃鉄」の使用を許諾していることは明らかである。 以上より、被請求人の通常使用権者は、本件商標と社会通念上同一の商標「桃鉄」をウェブサイトに表示しており、これは本請求に係る指定商品中「家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム」に関する広告を、要証期間内にインターネットを介して電磁的に提供していたことを示す。 (4)パチスロ サミー株式会社(以下「サミー社」という。)が販売するパチスロ「桃太郎電鉄」の専用ページにおいて商標「桃鉄」が表示されている。本ウェブサイトは、サミー社がパチスロ「桃太郎電鉄」の宣伝広告を目的としてその内容を管理するものである。 乙第24号証は、インターネットサービス「Wayback Machine」が保存している2016年7月28日時点の上記ウェブサイトのスクリーンショットであり、「桃鉄ならではの楽しい演出が盛り沢山!!」。「『桃鉄』との最強コラボレーション」の記載がある。 なお、上記パチスロは2008年7月に発売され(乙25)、当時は、ハドソンが桃太郎電鉄に関する知的財産権を所有しており、サミー社に「桃鉄」の使用を許諾していた。吸収合併以降は、被請求人の許諾のもと、サミー社により「桃鉄」が使用されている。 以上より、被請求人の通常使用権者は、本件商標と社会通念上同一の商標「桃鉄」をウェブサイトに表示しており、これは、本請求に係る指定商品中「パチスロ機(回胴式遊技機及びその部品及び附属品に属するものに限る。),回胴式遊技機,スロットマシン」に関する広告を、要証期間内にインターネットを介して電磁的に提供していたことを示す。 (5)iPhone版ゲームアプリ 被請求人は、2011年2月17日から配信が開始され、現在も配信中のiPhone版ゲームアプリ「桃太郎電鉄JAPAN+」(乙26?乙28)において、商標「桃鉄」を使用している。 本アプリをインストールするとiPhone画面上にアイコンが表示され、アイコン下のアプリの名称に「桃鉄JAPAN+」が表示される(乙29)。 乙第30号証が示すとおり、iPhone向けのアプリケーションダウンロードサービスであるAppStoreでは、本アプリについて2011年4月18日から2016年1月13日の間に複数回アップデートがなされている。したがって、これは、要証期間を含む2011年から現在に至るまで本アプリが継続的に配信されていることを示す。そして、これらアップデート内容には、アプリの名称・アイコンデザイン等の変更がなされたといった記録はない。このことから、「桃鉄JAPAN+」のアプリの名称も配信開始から現在に至るまで継続的に使用されてきたということが十分に推認できる。 また、使用に係る「桃鉄JAPAN+」のうち、「桃鉄」部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、独立して看取されるものであることは明らかである。 以上より、被請求人は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標「桃鉄」を使用して、商品「携帯情報通信端末用のゲームプログラム」を配信(販売)していることが認められる。 (6)フィーチャーフォン版ゲームアプリ 被請求人は、「桃太郎電鉄」シリーズについてフィーチャーフォン版ゲームアプリシリーズ(携帯アプリ版シリーズ)を配信している(乙32、乙33)。本アプリは会員のみがアクセスできるフィーチャーフォン専用のウェブページ上でダウンロードすることが可能で、各アプリのダウンロードページでは、アプリの名称として「桃鉄JAPAN 豪華版」、「桃鉄HOKKAIDO」、「桃鉄KYUSHU」、「桃鉄SETOUCHI」、「桃鉄KINKI」、「桃鉄AOMORI」、「桃鉄SHIZUOKA」、「桃鉄TOKAI」と記載されている(乙34)。 各アプリは2007年から2012年にかけて配信が開始された(乙33)。本答弁書作成時点てこれらのアプリがダウンロード可能なことに鑑みれば、配信開始当時から、要証期間を含む現在に至るまで、これらアプリが継続的に配信されてきたことは、十分に推認できる。 そして、乙第33号証、乙第35号証ないし乙第38号証が示すとおり、ゲームの設定舞台が、「桃鉄JAPAN 豪華版」は日本全国、「桃鉄HOKKAIDO」は北海道、「桃鉄KYUSHU」は九州・沖縄地方、「桃鉄SETOUCHI」は瀬戸内を中心とした中国・四国地方、「桃鉄KINKI」は近畿地方、「桃鉄AOMORI」は青森県、「桃鉄SHIZUOKA」は静岡県、「桃鉄TOKAI」は愛知県・三重県・岐阜県の東海地方となっている。そうすると上記使用態様において、「桃鉄」に付加されたローマ字表記の各地名・地域名部分は、ゲームの設定舞台を指しゲーム内容を記述的に表しており、自他商品識別機能を果たさない部分である。 してみれば、上記使用態様において、「桃鉄」部分が、取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与え、独立して看取されるものであることは明らかである。 以上より、被請求人は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標「桃鉄」を使用して、商品「移動体電話用のゲームプログラム」を配信(販売)していることが認められる。 3 結語 以上のとおり、被請求人は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標「桃鉄」を、本請求に係る指定商品中、少なくとも「移動体電話用のゲームプログラム,携帯情報通信端末用のゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム,パチスロ機(回胴式遊技機及びその部品及び附属品に属するものに限る。),回胴式遊技機,スロットマシン」について使用をしたことは明らかである。 第4 当審の判断 1 証拠及び被請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第2号証及び乙第3号証について ア 乙第2号証は商標権者である被請求人の運営する桃太郎電鉄公式サイトの2017年(平成29年)2月24日におけるプリントアウトであるが、当該書証上段には「KONAMI」、「桃太郎電鉄公式サイト」、「TOP」、「シリーズ紹介」、「ゲームの流れ」、「キャラクター紹介」及び「桃鉄って?」の記載と共にゲームキャラクターの画像が掲載されている。その下段には、複数の家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラムや携帯電話用ゲームプログラムのパッケージ画像と共にゲーム名、ゲームの紹介文が掲載され、ゲームの紹介文には「桃鉄が世界に飛び出した!」、「桃鉄がついにPSPに登場!」、「あの桃鉄がケータイで遊べるよ!」の記載がある。 イ 乙第3号証は、「Wayback Machine」による2014年(平成26年)3月17日時点の桃太郎電鉄公式サイトのプリントアウトとのことであるが、乙第3号証の1の1葉目は上記乙第2号証における上段と同一の記載であり、乙第3号証の1の2葉目は上記乙第2号証における下段と同一の記載である。 これより、上記アにおける桃太郎電鉄公式サイトは、要証期間内である2014年(平成26年)3月17日の時点から2017年(平成29年)2月24日まで継続して存在していたということができる。 ウ 使用標章について 本件商標は上記第1のとおり「桃鉄」及び「モモテツ」の文字を上下二段に書してなるところ、下段の片仮名は上段の漢字の読みを表したものと認められる。 一方、乙第2号証中に記載の「桃鉄って?」、「桃鉄が世界に飛び出した!」、「桃鉄がついにPSPに登場!」、「あの『桃鉄』がケータイで遊べるよ!」における商品「家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム」「携帯電話用ゲームプログラム」について自他商品の識別標識として使用されている標章は「桃鉄」の文字部分(以下「使用標章」という。)であるところ、使用標章は本件商標構成中の上段の漢字部分と同一綴りであり、下段の片仮名部分とは文字の表示を相互に変更するものであって、両者は「モモテツ」の同一の称呼を生じ、観念についても異なるものではないことから、使用標章は本件商標と社会通念上同一の商標といえる。 エ 小括 以上より、商標権者は、我が国において、要証期間内の2014年(平成26年)3月頃から、商品「家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム」「携帯電話用ゲームプログラム」に関する広告を目的とするウェブサイトにおいて、本件商標と社会通常上同一の商標を使用し、電磁的方法により提供したと認められ、当該行為は、商標法第2条第3項第8号に定める商標の「使用」に該当する。 (2)乙第13号証及び乙第16号証について ア 乙第13号証はゲームソフト「桃太郎電鉄WORLD」のパッケージの写真であるところ、1葉目のパッケージ表面の右下には「発売元」として商標権者の名称が、背面には「MH004596」の記載がされている。また、2葉目のパッケージ裏面には「『桃鉄』が世界に向けて出発!」「今度の『桃鉄』は、『世界編』完全新作マップ!『桃鉄』ならではの、世界の物件、世界のイベント、世界の歴史ヒーロー、世界の名産怪獣も続々登場!『桃鉄』ファンも『桃鉄』初心者もすぐに一緒に楽しめる『桃鉄WORLD』で、世界を舞台にすごろくゲーム!!」、「いつもの桃鉄」、「桃鉄3年決戦!」の記載がある。 イ 乙第16号証は、「Wayback Machine」による2016年(平成28年)5月10日時点の被請求人が運営するウェブサイトのプリントアウトとのことであるが、当該書証には「桃太郎電鉄WORLDベストセレクション」のタイトルのもと、乙第13号証に表されたゲームソフトと同一のパッケージが掲載され、その右側には「発売日:2012年12月13日」、「商品番号:MH004596」等の記載がある。そして、当該商品番号は、乙第13号証に表されたゲームソフトの背面に記載の「MH004596」と一致する。 これより、乙第13号証に表されたゲームソフトは、2012年(平成24年)12月13日に発売され、少なくとも要証期間内である2016年(平成28年)5月頃まで継続して販売されていたということができる。 ウ 使用標章について 乙第13号証中に記載の「『桃鉄』が世界に向けて出発!」「今度の『桃鉄』は、『世界編』完全新作マップ!『桃鉄』ならではの、世界の物件、世界のイベント、世界の歴史ヒーロー、世界の名産怪獣も続々登場!『桃鉄』ファンも『桃鉄』初心者もすぐに一緒に楽しめる『桃鉄WORLD』で、世界を舞台にすごろくゲーム!!」、「いつもの桃鉄」、「桃鉄3年決戦!」における商品「家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム」について自他商品の識別標識として使用されているのは「桃鉄」からなる使用標章であり、使用標章が本件商標と社会通念上同一であることは、上記(1)ウのとおりである。 エ 小括 以上より、商標権者は、我が国において、2012年(平成24年)12月13日の発売から、要証期間内の2016年(平成28年)5月頃まで、商品「家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム」のパッケージに、本件商標と社会通常上同一の商標を使用したと認められ、当該行為は、商標法第2条第3項第1号に定める商標の「使用」に該当する。 (3)乙第18号証、乙第19号証及び乙第23号証について ア 乙第18号証は「桃太郎電鉄2017たちあがれ日本!!」と題する家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラムについての任天堂が運営するウェブサイトの2017年(平成29年)2月24日出力のプリントアウトであるが、当該書証の1葉目には「集まれば/桃鉄!!」、「『桃鉄』の完全新作が3DSで登場!」の記載が、4葉目には「2016年12月22日発売」の記載がある。 イ 乙第19証は、「Wayback Machine」による2016年(平成28年)10月25日時点の「桃太郎電鉄2017たちあがれ日本!!」のスクリーンショットとのことであるが、当該書証の1葉目上段のスクリーンショットと乙第18号証の1葉目の上段に表されたウェブサイト、当該書証の2葉目のスクリーンショットと乙第18号証の4葉目に表されたウェブサイトとは、その画面デザイン及び上記アにおいて認定した記載内容は同一又は酷似していることから、たとえ商品の発売が要証期間後の2016年(平成28年)12月22日であったとしても、乙第18号証のウェブサイトとほぼ同じ内容による広告は、少なくとも要証期間内である同年10月25日には公開されていたといえる。 ウ 乙第23号証は商標権使用許諾に関する宣誓書であるが、当該宣誓書によれば、商標権者は任天堂に対して、東京都中央区所在の有限会社サマープロジェクト及び東京都中央区所在のヴァルハラゲームスタジオを介し、通常使用権を許諾している。このことは、乙18号証に掲載された商標権者の業務に係る「家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム」が、任天堂の業務に係る「家庭用テレビゲームおもちゃ」用のプログラムであることからも不整合な点はない。 エ 使用標章について 乙第18号証及び乙第19号証中に記載の「集まれば/桃鉄!!」、「『桃鉄』の完全新作が3DSで登場!」における商品「家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム」について自他商品の識別標識として使用されているのは「桃鉄」からなる使用標章であり、使用標章が本件商標と社会通念上同一であることは、上記(1)ウのとおりである。 オ 小括 以上より、本件商標の通常使用権者は、我が国において、要証期間内の2016年(平成28年)10月25日頃から、商品「家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム」に関する広告を目的とするウェブサイトにおいて、本件商標と社会通常上同一の商標を使用し、電磁的方法により提供したと認められ、当該行為は、商標法第2条第3項第8号に定める商標の「使用」に該当する。 (4)乙第24号証及び乙第25号証について ア 乙第24号証は、「Wayback Machine」による2016年(平成28年)7月28日時点のサミー社が運営するウェブサイト「パチスロ桃太郎電鉄」のスクリーンショットとのことであるが、当該書証の1葉目上段のスクリーンショットには「パチスロ桃太郎電鉄」の記載が、1葉目下段のスクリーンショットには「桃鉄ならではの楽しい演出が盛り沢山!!」の記載があり、2葉目のスクリーンショットには「『桃鉄』との最強コラボレーション!」の記載がある。 イ 乙第25号証は、2017年(平成29年)2月22日出力の「P-WORLD」なるウェブサイトのプリントアウトであるところ、機種インデックスの「パチスロ桃太郎電鉄」の頁には、基本情報として「メーカー サミー」、「導入開始 2008年07月」等の記載があることから、「パチスロ桃太郎電鉄」なる商品「パチスロ機」は2008年7月頃より販売が開始され、要証期間内である2016年(平成28年)7月頃において、サミー社が運営するウェブサイトにおいて広告されていたといえる。 ウ サミー社は、被請求人の主張及び乙24号証中の「『桃鉄』との最強コラボレーション」の記載から、本件商標の通常所有権者といって差し支えない。 エ 使用標章について 乙第24号証に記載の「桃鉄ならではの楽しい演出が盛り沢山!!」及び「『桃鉄』との最強コラボレーション!」における商品「パチスロ機」について自他商品の識別標識として使用されているのは「桃鉄」からなる使用標章であり、使用標章が本件商標と社会通念上同一であることは、上記(1)ウのとおりである。 オ 小括 以上より、本件商標の通常使用権者は、我が国において、要証期間内の2016年(平成28年)7月頃、商品「パチスロ機」に関する広告を目的とするウェブサイトにおいて、本件商標と社会通常上同一の商標を使用し、電磁的方法により提供したと認められ、当該行為は、商標法第2条第3項第8号に定める商標の「使用」に該当する。 (5)乙第26号証ないし乙第29号証について ア 乙第26号証は商標権者である被請求人の運営するウェブサイト内の「桃太郎電鉄JAPAN+」の2017年(平成29年)2月24日におけるプリントアウトであるが、当該書証には「対応機種:iPhone/iPod touch」、「このゲームはiPhone3GS,iPod touch 第3世代以降の対応となります。」の記載がある。 イ 乙第27証はインターネットフリー百科事典「ウィキペディア」のプリントアウトであるが、「桃太郎電鉄JAPAN」の項に、「■ 舞台は日本全国だが、・・・」「■ iPhone/iPod touch用アプリとして『桃太郎電鉄JAPAN+』も配信されている。+では以下の新機能や新要素が追加されている。」の記載がある。 ウ 乙第28号証は、インターネット記事「ファミ通.com」の2017年(平成29年)2月24日におけるプリントアウトであるが、当該書証には「2011年2月17日、ハドソンからiPhone/iPod touch向けアプリ『桃太郎電鉄JAPAN+』の配信がスタートした。」の記載がある。 なお、被請求人の主張によれば、ハドソンは2012年(平成24年)に被請求人に吸収合併されており、本件商標権については一般承継による移転登録として平成26年7月7日に受け付けられている。 エ 乙第29号証はダウンロードされたゲームプログラム「桃太郎電鉄JAPAN+」のアイコンが表示される携帯情報通信端末の画面のスクリーンショットであるが、当該スクリーンショットに表示されたアイコンには下部に「桃鉄JAPAN+」の記載があり、当該アイコンはプログラムの一部といえる これより、商標権者の業務に係る「携帯情報通信端末用のゲームプログラム」である「桃鉄JAPAN+」は要証期間前の2011年(平成23年)2月17日より配信が開始され、現在にいたるまで継続しており、当該ゲームプログラムを起動する際のアイコンには「桃鉄JAPAN+」の記載が表示されていることが認められる。 オ 使用標章について 乙第29号証に表されたアイコン下部の「桃鉄JAPAN+」の表示は、その構成中「JAPAN+」の部分は、上記イにおける乙第27号証の記載によれば、ゲームのシナリオの舞台、ゲームのバージョンを表す文字及び記号といえることから、「桃鉄JAPAN+」の表示中、商品「携帯情報通信端末用のゲームプログラム」について自他商品の識別標識として使用されているのは「桃鉄」からなる使用標章であり、使用標章が本件商標と社会通念上同一であることは、上記(1)ウのとおりである。 カ 小括 以上より、商標権者は、我が国において、要証期間内に、商品「携帯情報通信端末用のゲームプログラム」に、本件商標と社会通常上同一の商標を使用したと認められ、当該行為は、商標法第2条第3項第1号に定める商標の「使用」に該当する。 (6)乙第32号証ないし乙第34号証について ア 乙第32号証は商標権者である被請求人の運営する桃太郎電鉄公式サイトのスクリーンショットとのことであるが、当該書証2葉目には、「シリーズ紹介」として「imode」、「EZweb」の表示とともに「桃太郎電鉄JAPAN豪華版」の表示がある。 なお、当該書証の作成時期は確認できないものの、スクリーンショット右側の中央やや下に「『ニンテンドーWi-Fiコネクション』サービス終了のお知らせ(2014.03.26)」の表示があることから、少なくとも要証期間内である2014年(平成26年)3月26日頃には存在していたと推認できる。 イ 乙第33証はインターネットフリー百科事典「ウィキペディア」のプリントアウトであるが、「携帯アプリ版シリーズ一覧」として、「桃太郎電鉄JAPAN」の項に、「NTTドコモ:iアプリ版(2005年11月1日配信開始)」「au:EZアプリBREW版(2006年8月10日配信開始)」の表示がある。また、「携帯アプリ版シリーズの特徴」として、「桃太郎電鉄JAPAN」の項に、「■ 舞台は日本全国だが、・・・」「■・・・メガゲームとして『豪華版』も配信されている。豪華版は以下の新機能や新要素が追加されている。」の記載がある。 ウ 乙第34号証は移動体電話用ゲームプログラムがダウンロードされた携帯電話の画面の写真とのことであるが、その2葉目の下段左側の画面写真には「桃鉄JAPAN 豪華版」の表示がある。 これより、商標権者の業務に係る「移動体電話用のゲームプログラム」である「桃鉄JAPAN豪華版」は要証期間前の2005年(平成17年)11月1日より配信が開始され、少なくとも要証期間内の2014年(平成26年)3月26日においても配信されており、当該ゲームプログラムをダウンロードした携帯電話の画面には「桃鉄JAPAN豪華版」が表示されていることが認められる。 エ 使用標章について 乙第34号証に表された携帯電話の画面の「桃鉄JAPAN豪華版」の表示は、その構成中「JAPAN豪華版」の部分は、上記イにおける乙第33号証の記載によれば、ゲームのシナリオの舞台、ゲームの版を表す文字部分といえることから、「桃鉄JAPAN豪華版」の表示中、商品「移動体電話用のゲームプログラム」について自他商品の識別標識として使用されているのは「桃鉄」からなる使用標章であり、使用標章が本件商標と社会通念上同一であることは、上記(1)ウのとおりである。 オ 小括 以上より、商標権者は、我が国において、要証期間内の2014年(平成26年)3月頃まで、商品「移動体電話用のゲームプログラム」に、本件商標と社会通常上同一の商標を使用したと認められ、当該行為は、商標法第2条第3項第1号に定める商標の「使用」に該当する。 2 まとめ 以上のとおり、被請求人は、商標権者又は通常使用権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「移動体電話用のゲームプログラム,携帯情報通信端末用のゲームプログラム,家庭用テレビゲームおもちゃ用プログラム,パチスロ機(回胴式遊技機及びその部品及び附属品に属するものに限る。)」について、本件商標と社会通念上同一と認められる標章の使用を証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定商品について、商標法第50条により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-06-06 |
結審通知日 | 2017-06-09 |
審決日 | 2017-06-20 |
出願番号 | 商願2003-100100(T2003-100100) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Y09)
|
最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
田中 幸一 冨澤 武志 |
登録日 | 2004-10-22 |
登録番号 | 商標登録第4811454号(T4811454) |
商標の称呼 | モモテツ、トーテツ |
代理人 | 永岡 愛 |
代理人 | 城山 康文 |
代理人 | 舩越 輝 |
代理人 | 横川 聡子 |
代理人 | 北口 貴大 |