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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y42
管理番号 1331400 
審判番号 取消2015-300591 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2015-08-10 
確定日 2017-08-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4882830号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4882830号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成16年9月17日に登録出願,第16類,第35類,第36類,第38類,第39類,第41類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務,並びに第42類「気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,社会保険に関する手続の代理,計測器の貸与,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」を指定役務として,同17年7月29日に設定登録され,その後,同27年7月21日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
なお,本件審判の請求の登録は,平成27年8月24日にされたものである。
また,本件審判請求の登録前3年以内の期間である同24年8月24日から同27年8月23日までの期間を,以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品及び指定役務中,第42類「機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」についての登録は取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,審判請求書,審判事件弁駁書,口頭審理陳述要領書及び上申書において,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定及び指定役務中,第42類の上記役務について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標の使用について
ア 乙第2号証について
(ア)乙第2号証は,その1頁中程に位置する「INFO」部分に記載された内容,並びに,同ページ左上に記載された「オリジナルロゴ・イラスト入りのQRコード作成サービス」の表示,及び同表示に近接し同表示よりも目立つように図案化されて大書された「LogoQ Code Marketing」の表示からも明らかなように、被請求人が提供する「ロゴ・イラスト入りQRコード「ロゴQ」を作成できるグラウト型サービス」である「ロゴQコードマーケティング/LogoQ Code Marketing」なる名称のサービスの内容を説明する被請求人のウェブサイトを示すものである。
そうとすると,仮に被請求人による当該サービスの提供行為が第42類「電子計算機用プログラムの提供」(以下「使用役務」という場合がある。)に該当するとしても,当該サービスに係る自他役務識別標識は「ロゴQコードマーケティング/LogoQ Code Marketing」である。
一方,乙第2号証1頁の「オリジナルデザイン/▲Q▼Rコード(「Q」の欧文字の中に2つの点が書され,全体で人の顔のように見える図形と「Rコード」の文字を結合したもの。以下同じ)/QRコード/作成サービス」記載からは,「オリジナルデザインのQRコード(2次元コード)を作成するサービス」という当該サービスの内容が容易に理解され,また,乙第2号証2頁は,被請求人オリジナルのフルカラー2次元コードである「ロゴQ」の内容が説明されている部分であり,「ロゴQはユニバーサルデザインの▲Q▼Rコード/QRコードです」の記載からは,「ロゴQがユニバーサルデザインのQRコード(2次元コード)であること」が理解されるにすぎず,さらに,「誰にでも分かるコードを作れます」及びその下部の記載からは,「ロゴやデザインをQRコード(2次元コード)に組み合わせたものが被請求人オリジナル2次元コードのLogoQであること」を図示したものであることが容易に理解され,これらの記載において,本件商標はあくまでも2次元コードの名称を示すために記述的に使用されていると考えるのが妥当であるから,本件商標が当該サービスの自他役務識別標識として使用されていると客観的に認識され得ると考えることはできない。
(イ)被請求人は,乙第2号証を「2015年6月24日付けWebサイト写し」であると説明しているが,乙第2号証各頁下部に記載されたファイルのパスに示されるとおり,乙第2号証はインターネット上のWebサイトをプリントアウトしたものではなく,Kazuma氏のPCファイル内のパスに格納されたデータをプリントアウトしたものである。また,被請求人は,乙第2号証各頁右下の「2015/06/24」の記載により「2015年6月24日付Webサイト写し」であると主張しているが,パソコンの内部時計を当該日付に変更すれば,このようなファイルを作成することは極めて容易であることを考慮すれば,乙第2号証の発行日については信憑性に欠ける。
イ 乙第3号証について
(ア)乙第3号証の内容は,主に被請求人が所有する本件商標並びに商標「ロゴQ」及び「LogoQ」の概要を説明するものにすぎない。乙第3号証において,本件商標は「デザイン化されていない白黒コード」のイメージの下に記載されているが,この記載からでは,本件商標が被請求人の提供に係るいかなる役務についてどのような態様で使用されているかについて具体的に把握・理解することは困難である。
(イ)乙第3号証の右下には「2015/06/15」の記載があるが,乙第3号証は被請求人自身により作成された資料であるから,この記載のみに基いて,乙第3号証が2015年6月15日付で発行されたものであると考えるのは困難といわざるをえない。
ウ 乙第4号証について
(ア)乙第4号証は,被請求人が提供する「ロゴ・イラスト入りQRコード『ロゴQ』を作成できるグラウト型サービス」である「ロゴQコードマーケティング/LogoQ Code Marketing」の当該プログラム実行画面であり,被請求人による当該サービスの提供行為が使用役務に該当するとしても,当該サービスに係る自他役務識別標識は「ロゴQコードマーケティング/LogoQ Code Marketing」である。
一方,当該画面上において,本件商標は,当該サービスの内容とは関係なくやや唐突に2次元コードのイメージとともに表示されているから,本件商標が当該サービスの利用者により2次元コードの名称を示すために記述的に使用されていると認識されることはあり得るが,本件商標が当該サービスの自他役務識別標識として使用されていると客観的に認識され得ると考えることはできない。
(イ)被請求人は,乙第4号証を「当該プログラムの実行画面」と説明しているから,乙第4号証は,乙第2号証で説明された被請求人が提供する「ロゴQコードマーケティング」サービスの実行画面であると推測されるが,以下のような不自然な点が散見されるため,発行日を含めた乙第4号証の信憑性についても疑問を感じざるをえない。
a 乙第2号証が,2015年6月24日付であるのに対し,その実行画面である乙第4号証は,2015年6月23日付となっており,それぞれの日付が異なるということは,入口画面と実行画面を別々にコピーして保存しているということになるが,この保存方法は極めて不自然であり,また,入口画面と実行画面を別々にコピーしてプリントアウトするニーズはない。
b 実行画面をコピーするのであれば,全画面をコピーして保存するのが普通であるが,乙第4号証右下に「1/2」と記載されているとおり,先頭画面のみ提出されているのは不自然といわざるをえない。
c 使用実績を記録する目的でコピー及びプリントアウトするのであれば,その日付の証明が明白になるように保存するのが一般的である。
d 乙第2号証の日付が画面右下に記載されているのに対し,乙第4号証では日付が画面右上に記載されており,設定が異なっている。
e 乙第2号証は,Kazuma氏により保存されているが,乙第4号証のログインは,渡逡氏により行われている。
エ 乙第5号証について
(ア)乙第5号証は,被請求人の総合的な商品・サービス紹介パンフレット(以下,単に「パンフレット」という場合がある。)というよりは,むしろ,被請求人オリジナルのフルカラー2次元コードである「LogoQ/ロゴQ」の内容及び活用方法を紹介するパンフレットである。
パンフレットの7頁において,本件商標が表示されているが,本件商標の表示は前後の文脈と関係なくやや唐突に表示されているといい得るものである。また,7頁下部には被請求人の「事業内容]の一部として「Webサイトの企画・制作・販売」「システム構築」及び「DTPの企画・デザイン・制作」の記載があるが,これらは単に被請求人の事業内容の紹介として,たまたま同じ頁に記載されているにすぎず,本件商標との直接的な関連性を把握・理解することは困難といわざるを得ず,本件商標が当該サービスの自他役務識別標識として使用されていると客観的に認識され得ると考えることはできない。
(イ)パンフレットの発行日と本件商標に係る商標権の被請求人への移転登録受付日が同じ2015年6月15日であることを考慮すると,当該パンフレットに本件商標の取得に関する情報が記載されているのは不自然であるから,パンフレットの発行日の信憑性についても疑問を感じざるを得ない。
(ウ)被請求人は,平成27年6月15日付で前商標権者より本件商標を譲り受け,同日より「LogoQ」をはじめとする被請求人オリジナルのフルカラー2次元コードを通じたサービス全体の総称として,本件商標の使用を開始し現在に至ると述べている。しかし,本件商標が被請求人オリジナルのフルカラー2次元コードを通じたサービス全体の総称として使用された事実を示す証拠は被請求人により提出されていない。
また,パンフレットの3頁には,被請求人オリジナルのフルカラー2次元コード「LogoQ/ロゴQ」のシリーズの1つとして本件商標を含む「文字/図形+QRコード(文字キューアールコード)」を商品名とする2次元コードが紹介されているが,当該記載の構成態様からすれば,本件商標は,第42類の役務ではなく,2次元コードが属する第9類の商品の自他商品識別標識として使用されていると考えるのが相当である。
さらに,パンフレットの8頁には本件商標を表示するとともに,「2015年6月左記QRコードの商標を取得しました。」との記載があるが,上記本件商標の表示は被請求人の社歴紹介のーつとして記載されているにすぎないから,本件商標の自他商品役務識別標識としての使用として考えるべきものでない。
(2)被請求人は,答弁書において,被請求人に対し何ら事前の交渉もなく,全く使用する意思のない区分にまで及ぶ大量の不使用取消処分を求める請求人の行為は,本来の制度趣旨から逸脱し,専ら被請求人を害する目的で行われているため,本件審判請求も権利の乱用として認められるべきではない,と主張している。
しかし,「QRコード」は,大容量でありながら他のコードより10倍以上のスピードで読み取ることができる2次元コードとして請求人により開発され,1994年に発表されたものである。「QRコード」という名称は,「Quick Response/クイック・レスポンス」に由来し,高速読み取りにこだわり抜いた開発のコンセプトが込められた請求人の創作に係る造語である。請求人の長年に渡る普及活動の結果,「QRコード」は,自動車部品業界,食品業界,薬品業界及びコンタクトレンズ業界等において商品管理等様々な用途に使用され,かつ,JIS規格やISO規格を取得することにより,現在,「QRコード」は国内・海外の各分野の企業活動において不可欠な存在となった。これは,我が国の取引者及び需要者において広く知られている事実である。請求人は,「QRコード」の歴史や請求人による「QRコード」の普及活動を説明するための資料の一部として甲第3号証ないし甲第14号証の証拠方法を提出する。
上記の経緯によれば,誤認混同を防止する意味において,「QRコード」に係る商標は,そもそもの開発者であり,また,商標の創作者でもある請求人に帰属されるべきものである。また,請求人以外の企業による「QRコード」を利用した事業が円滑に進められるためにも,複数の区分に属する商品及び役務を指定する「QRコード」の文字を含む本件商標が請求人以外の者により維持されているのは決して望ましい状況とはいえない。
請求人は,「QRコード」の開発当初から,「より多くの人にQRコードを使ってもらいたい」という考えに基づき,第三者による規格化されたQRコードの使用について積極的に権利行使は行わないとのポリシーで普及活動を行ってきた。かかるポリシーの下,本件商標については登録後も実際の使用が長年行われていなかったことから,2015年7月29日の存続期間満了による権利消滅を待っていた。しかし,当該存続期間満了日直前の2015年6月に本件商標は被請求人に譲渡されていたため,本件不使用取消審判を請求するに至った。
以上の事実に鑑みれば,本件審判請求が本来の制度趣旨から逸脱するものでなく,また,専ら被請求人を害する目的で行われているものでもないことは明らかである。
(3)被請求人は,答弁書において,本来的に1件の不使用取消審判で足りるものを敢えて区分毎,さらには指定商品及び指定役務毎に分けてほぼ同時に複数の不使用取消審判を請求することは,権利の乱用であって不適法なものである,と主張している。
しかし,不使用取消審判については,商標法第50条第1項において,取消の対象となる登録商標の指定商品及び指定役務毎に請求し得ることが担保されている。また,同第50条第2項においては,被請求人は,請求に係る指定商品及び指定役務のいずれかについての当該登録商標の使用を証明すれば登録の取消を免れることができると規定されている。このような,我が国の不使用取消審判制度の内容を考慮すれば,商品及び役務を広く指定する登録商標に対して不使用取消審判請求を行う場合において,一定の範囲の指定商品及び役務を一つのまとまりとして複数の審判に分けて請求することは,一般的に採用され得る手段である。
したがって,本件審判請求を含めた本件商標に対する計9件に渡る請求人よる不使用取消審判請求が権利の乱用とはいえず,また,不適法なものでないことは明らかである。
(4)以上のとおり,被請求人が提出した証拠方法からは,本件審判の要証期間に取消の対象とされている第42類の使用役務及びその他の指定役務について本件商標と同一又は社会通念上の同一の商標を日本国内で使用した事実を客観的に認めることはできない。そして,本件審判請求は,請求人が被請求人を害する目的で行われたものとはいえず,また,権利の乱用として認められるべきものでもない。
3 口頭審理陳述要領書(平成28年6月29日付け)
(1)「審判請求行為の濫用について」に対する意見
ア 被請求人は,本来1件の審判で足りるものを敢えて9件もの審判に分けてほぼ同時にした本件審判を含む請求人による審判請求は,専ら被請求人を害することを目的としてなされたものであることは明らかであるから,審判請求権の濫用(民法第1条第3項,民事訴訟法第2条)であって不適法なものであると主張している。
しかし,以下の理由により,本件商標に対する計9件に渡る請求人による審判請求は,不使用取消審判制度の趣旨や商標法の目的を阻害するものでは決してなく,また,審判請求権の濫用にも該当しない適法なものである。
(ア)不使用取消審判については,商標法第50条第1項において,取消の対象となる登録商標の指定商品及び指定役務毎に請求し得ると規定されているから,本件商標に対する計9件に渡る不使用取消審判請求は適法である。
(イ)本件商標は,第16類,第35類,第36類,第38類,第39類,第41類,第42類,第45類の計8区分という広い範囲に属する商品及び役務を指定しており,請求人は上記8区分に含まれる全ての指定商品及び指定役務に係る登録の取消を希望している。仮に,上記8区分に含まれる全ての指定商品及び指定役務を取消対象とする不使用取消審判を一件のみ請求した場合,商標法第50条第2項の下では,取消請求に係る指定商品及び指定役務のいずれかについて使用の事実を証明すれば,全ての指定商品及び指定役務についての登録の取消を免れることができる。すなわち,本件商標に対して不使用取消審判を一件のみ請求するだけでは,使用されていない指定商品及び指定役務についての登録が維持されてしまう可能性があり,これでは,むしろ,業務上の信用が化体していないか又は業務上の信用がすでに消滅している不使用商標の整理という不使用取消審判制度の趣旨を没却する結果となってしまうおそれがある。
イ 請求人による2次元コード「QRコード」の開発及び普及の経緯を考慮すれば,誤認混同を防止する意味において,「QRコード」に係る商標は,そもそもの開発者であり,また,商標の創作者でもある請求人に帰属されるべきものである。そして,「QRコード」は,膨大な労力・時間及び費用を要した請求人の普及宣伝活動により著名化されたわけであるから,著名商標「QRコード」に化体したグッドウィルヘのただ乗りは許されるものではない。また,請求人が商標「QRコード」を保有する目的は,模倣や悪用を防止し,ユーザの保護並びにユーザの「QRコード」に対する信頼・安心を確保するためである。しかし,乙第3号証において示されるように,本件商標の指定商品及び役務に関する「QRコード」の名称使用について事前に被請求人まで相談するよう第三者に対して注意を呼び掛けていることは,請求人による様々な分野の事業における「QRコード」の普及活動,並びに,請求人以外の企業による「QRコード」を利用した円滑な事業展開が妨げられることにもなり得る。
(2)「審理事項通知書における合議体の暫定的見解について」に対する意見
被請求人は,乙第5号証のパンフレットに関し,グループ企業である朝日プロセス株式会社(以下「朝日プロセス社」という。)との間におけるに制作依頼書写し(乙8の1)及び納品書写し(乙8の2)により,パンフレットの発注及び納品の事実を証明しようとしている。
しかし,乙第8号証の1及び2からは,パンフレットが展示及び頒布等された事実を一切確認することができない。
また,被請求人は,乙第8号証の3に基づいて,2015年7月22日に飯田橋にてソフトバンクコマース&サービス株式会社が主催した「ターゲットメディアフォーラム2015」においてパンフレットを頒布した事実があると主張しているが、上記証拠方法からは,パンフレットが当該フォーラムにおいて展示及び頒布等された事実を一切確認することができない。
(3)「弁駁書への反論」に対する意見
ア 乙第2号証ないし乙第5号証のそれぞれにおいて表示されている本件商標は,上段部分(「Q」の欧文字をデザイン化したものと「Rコード」の文字を結合したもの)と一般的な活字体による「QRコード」が左右又は上下に併記された構成からなり,本件商標中上段部分は,図形要素を含むということもできるのかもしれないが,その図形要素とは,アルファベットの欧文字「Q」が人の顔を想起させるように挿入された2つの黒点のみであり,その図案化の程度は極めて低いものである。また,本件商標に接する取引者・需要者は,本件商標中の上段部分からも「QRコード」という言葉を極めて容易かつ直接的に把握・認識し得ると考えるのが自然である。
そして,乙第2号証及び乙第4号証における本件商標の使用態様は,被請求人の自他役務識別標識である「ロゴQコードマーケティング/LogoQ Code Marketing」とともに,単に「QRコード」という言葉を取引者・需要者に認識させるために表示された記述的・説明的なものにすぎないと考えるのが客観的に妥当である。
また,乙第3号証及び乙第5号証における本件商標の使用態様は,被請求人が提供する具体的な役務の識別標識という役割から離れた,やや唐突な(形式的な)表示にすぎないと考えるのが客観的に妥当である。
そうすれば,上記乙各号証からは,本件商標が自他役務識別標識として使用されている事実を客観的に認めることはできない。
イ 被請求人は,本来答弁書提出時に提出すべきであった「2015年6月24日付Webサイトの写し」を,乙第9号証として今回あらためて提出しているが,単に日付が改ざんされたものにすぎないとも思われる乙第9号証の信憑性については疑問である。
4 上申書(平成28年8月31日付)
(1)「請求人による審判請求行為の濫用について」に対する意見
被請求人は,乙第10号証において,請求人と被請求人の間の過去の経緯を述べるとともに,本件商標に対する計9件に渡る審判請求が権利の濫用であると主張しているが,それらの主張は事実誤認に基くものであり,妥当とはいえない。
(2)「商標の使用について」に対する意見
乙第11号証は,被請求人が保有する内部的な記録に基き,被請求人自身により作成されたものであるから,著しく客観性に欠けるといわざるをえない。
よって,乙第11号証により,本件審判の要証期間内に「パンフレット」が実際に頒布された事実を認めることは妥当とはいえない。
また,乙第11号証には,2015年4月1日から2015年9月30日までの期間における「パンフレット」の頒布状況が示されているところ,被請求人によれば,本件商標が「パンフレット」に表示されたのは2015年6月15日からである。しかし,乙第11号証からは,頒布されたパンフレットの種類や内容までを確認することができないから,仮に「パンフレット」が実際に頒布されていたとしても,2015年6月15日以降も本件商標が記載されていない従前の「パンフレット」がそのまま頒布されていた可能性を否定できない。
そして,乙第11号証によれば,本件商標が「パンフレット」に表示された2015年6月15日から本件審判請求の登録日である2015年8月24日までの間に頒布された「パンフレット」の部数はわずか70部程度であるから,この程度の部数の頒布では,要証期間において,本件商標はごく形式的に使用されていたにすぎないと考えるのが相当である。
さらに,乙第11号証中の「打合せ主旨」の項目には,概ね「ロゴQ提案」や「ロゴQコードマーケティング紹介」と記載されており,該記載は,乙第5号証が被請求人の総合的な商品・サービス紹介パンフレットというよりは,むしろ被請求人オリジナルのフルカラー2次元コードである「LogoQ/ロゴQ」に関する商品及びサービスの内容や活用方法を紹介するパンフレットであることを間接的に裏付けているということができる。
そうすると,被請求人の業務に係る自他商品役務識別標識は,「LogoQ/ロゴQ」又は「LogoQ Code Marketing/ロゴQコードマーケティング」であるといわざるを得ず,本件商標が自他役務識別標識として使用されていないということを客観的に示すものと思料する。
(3)今回新たに提出されたものを含め,被請求人が提出した証拠からは,要証期間に本件審判の取消対象とされている各指定役務について本件商標と社会通念上同一の商標を日本国内で使用した事実を客観的に認めることはできない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求める,と答弁し,その理由を,答弁書,口頭審理陳述要領書及び上申書において,要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証(枝番を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は,要証期間内に,取消の対象とされている指定役務中第42類の使用役務及びその他の役務について,本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を付して日本国内においてその役務を提供してきた事実があり,これは商標法第2条第3項各号のいずれかに規定する行為であり,商標の使用に該当する。
(1)被請求人の事業概要
被請求人は,各種商品やサービスに関するマーケティングの実施・助言や宣伝広告業を行なう法人であり,主力事業の1つとして,「LogoQ」をはじめとする様々な独自開発のフルカラー2次元コードの提供を通じたマーケティングコンサルティング,商品の販売促進及び役務の提供促進をサポートする事業を行なっている(乙1)。
(2)本件商標の使用について
被請求人は,平成27年6月15日付けで,前商標権者より本件商標を譲り受け,特許庁へ移転登録申請手続を行ない,本件商標の商標権者となった。そして,同日より,上記の「LogoQ」をはじめとする被請求人オリジナルのフルカラー2次元コードを通じたサービス全体の総称として「図形+QRコード」の使用を開始し現在に至るものである。
(3)第42類の指定役務に関する本件商標の使用について
ア 被請求人は,様々な「図形+QRコード」サービスを企画・開発・提供しているが,その中でも特に注目されている機能が,任意の絵柄を含む2次元コードを,その機能や読取性能を一切犠牲にすることなく制作できるサービスである。
当該プログラムは,ダウンロードしてオフラインで使用するものでなく,常にインターネットを通じて所定のサーバーに接続し,オンライン上で実行・機能するものである。
したがって,当該サービスの提供行為は,第42類の指定役務「電子計算機用プログラムの提供」に該当する。
イ 被請求人は,当該プログラムの提供開始のプレスリリースを,2015年5月27日付で,被請求人のWebサイト上に公開した。当該プレスリリースにおいて「ATコミュニケーションズが所有する図形+QRコードの概要」として,本件商標と社会通念上同一の商標を表示しており,その証拠として2015年6月24日付けWebサイト写し(乙2)を提出する。
この行為は「役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
ウ 被請求人が作成・発行する「A・Tコミュニケーションズが所有するQRコード関連の商標類の概要」と題する紙媒体の宣伝広告ツールにおいても,当該プログラムを利用して制作された2次元コードについて本件商標と同一の商標を表示し,被請求人以外を出所とする2次元コードとは明確に区別を行なっており,この証拠として2015年6月15日付け発行の宣伝広告ツールの写し(乙3)を提出する。
この行為は「役務に関する広告に標章を付して展示・頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当する。
エ 当該プログラムの実行画面においても,本件商標と同一の商標を画面左上に大きく表示し,他の業者による2次元コード作成プログラムの提供行為と容易に区別できるように工夫しており,証拠として2015年6月23日付けでプリントアウトしたプログラム実行画面の写し(乙4)を提出する。
これは「電磁的方法により行なう映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為」(商標法第2条第3項第7号)に該当する商標の使用行為である。
オ 被請求人のパンフレットにおいて,7頁に本件商標と同一の商標が表示されており,同頁下部には被請求人の「事業内容」として,「Webサイトの企画・制作・販売」及び「システム構築」の記載,さらにその右側には「DTPの企画・デザイン・制作」の記載もされている。これらは,指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」及び「デザインの考案」について,「役務に関する広告に標章を付して展示・頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当し,商標の使用行為である(乙5)。
したがって,乙第2号証ないし乙第5号証が示すとおり,被請求人が,要証期間において,指定役務「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」及び「デザインの考案」について,本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を日本国内で使用した事実があることは明白である。
なお,乙第2号証ないし乙第8号証の日付は,被請求人が商標権の譲渡を受けてから直後の日付であるが,これは,被請求人が本件商標権の譲渡交渉段階から,譲渡後の本件商標使用の準備も同時に進行しており,移転登録申請手続後直ちに本件商標の使用を開始したためである。
したがって,被請求人が譲渡後直ちに本件商標を使用開始できていることについては全く不自然な点はない。
(4)請求人による本件審判請求行為について
ア 請求人は,被請求人の本件商標の全区分について,1区分毎に(第42類については2つに分けて)不使用取消審判を請求し,あわせると実に9件にもなる審判請求をほぼ同時に行なっている。これらの取消審判事件の対象区分は,第16類,第35類,第36類,第38類,第39類,第41類,第42類及び第45類に渡るものであるが,請求人による「QRコード」関連の商標権取得実績を確認すると,それらのほとんどが第9類及び第42類のみに限られているものである。また,近年出願された商願2014-071942号「QR Code」及び商願2014-071943号「QR コード」もやはり第9類,第35類及び第42類の3区分のみに限られており,その他の区分については全く出願の事実を確認できない(乙6)。
すなわち,これらのことから請求人のQRコード関連業務と関係性のある指定商品及び指定役務は第9類,第35類及び第42類の3つの区分に属す商品及び役務に限られていることが明白であり,本件商標権の第16類,第36類,第38類,第39類,第41類及び第45類は,請求人のQRコード関連業務とは全く関係のない区分であり,これらの区分に属する商品及び役務については商標権を取得する意思すら持ちあわせていないと容易に推認できる。
したがって,請求人がこのような広範囲にわたって,しかも各区分に分け,9件もの不使用取消審判を請求し,本件商標の登録の取消を求める合理的な理由もメリットも全くないはずである。
さらに,本件商標の前商標権者が本件商標の登録を受けたのは2005年7月29日であるが,この登録日から被請求人が本件商標譲り受ける2015年6月15日までのおよそ10年間,請求人が本件商標に対し不使用取消審判請求や譲渡交渉を行なうなど,本件商標に対する積極的な行動をとった事実を1つも発見することができない。すなわち,請求人の本件商標に対する関心の程度は長期間に渡って極めて低かったのであり,長らく本件商標の存在を容認し放置し続けていたにもかかわらず,被請求人が本件商標を譲り受け商標権者になるやいなや,事前の譲渡交渉や話し合いによる解決の申出もなく,突然に全区分に及ぶ不使用取消審判を大量に請求するという行為に及んだのである。
このような状況を総合すれば,被請求人が商標権者となった途端に,請求人が全区分について,しかも区分毎に分けて,9件もの不使用取消審判を同時に請求する目的は,商標権取得や自己の商標使用を安全にするなどの純粋な商標法上の考えに基づくものでなく,専ら被請求人を取消審判請求の対応に追い込み,本来の業務を妨害することにあると考えざるを得ない。
そして,商標法第50条不使用取消審判の制度趣旨を鑑みれば,前商標権者に相当の対価を支払い,適式な商標権移転登録申請手続を行い,正当に商標権を取得し,直ちに本件商標の使用を開始している被請求人に対し,何ら事前の交渉もなく,全く商標を使用する意思のない区分にまで及ぶ大量の不使用取消処分を求める請求人の行為は,不使用取消審判の制度趣旨及び商標法上の立法趣旨に著しく反する行為といわざるを得ない。
さらに,請求人は,被請求人を害するための1つの手段として何人にも認められている不使用取消審判制度を利用しているのであり,特許庁自体を加害手段の1つとして利用・悪用しているというべきである。
したがって,このような本来の制度趣旨から逸脱し,専ら被請求人を害する目的で行なわれている本件審判請求は,権利の濫用として認められるべきではないことを強く主張する。
イ 商標法第50条第2項の趣旨に鑑みれば,請求人は,被請求人の本件商標の全ての指定商品及び指定役務を取り消したいのであれば,本件商標の全ての指定商品及び指定役務を取消対象とする1件の不使用取消審判を請求すれば足り,また,法も当然にそれを予定している。
そして,本来的に1件の不使用取消審判で足りるものを敢えて区分毎,さらには指定商品及び指定役務毎に分けて,ほぼ同時に複数の不使用取消審判を請求することは,被請求人に対し法が全く予定していない甚大な負担を課すとともに,審判の迅速な処理を著しく阻害するものであって,商標法第50条第2項の趣旨に反し,ひいては商標制度そのものの根幹を揺るがしかねないものであるから,権利の濫用であって,不適法なものである。
ウ まとめ
上記で主張及び立証したとおり,被請求人は本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を,第42類の使用役務について,日本国内において要証期間に使用してきた事実が存在し,これらは商標法第2条第3項各号により商標の使用に該当する。
また,本件審判請求は,審判請求人が被請求人を害する目的で行なわれたことが明らかであるから,このような請求は権利の濫用として認められるべきではない。
2 口頭審理陳述要領書(平成28年6月8日付け)
(1)請求人による審判請求行為の濫用について
ア 請求人は,弁駁書において,「・・・本件審判請求を含めた本件商標に対する計9件に渡る請求人よる不使用取消審判請求が権利の乱用とはいえず,また,不適法なものでないことはいうまでもない。」と主張する。
しかしながら,上記請求人の主張は誤りである。
商標法第50条第2項は,被請求人に挙証責任を負担させる一方で「取消請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての使用の事実を証明すれば足りることを明らかにし」,請求人には「自分で必要とする指定商品(役務)だけについて取消請求をするべき」ことを求めることによって,不使用商標を排除する一方で,請求人による審判請求権の濫用(民法第1条第3項,民事訴訟法第2条)を可及的に防止することを,その趣旨とするものである。
この点に関し,請求人は,「商品及び役務を広く指定する登録商標に対して不使用取消審判請求を行う場合において,一定の範囲の指定商品及び指定役務を一つのまとまりとして複数の審判に分けて請求することは,一般的に採用され得る手段である。」と主張するが,本件商標の全ての指定商品及び指定役務に係る商標登録を取り消したいのであれば,1件の審判で足り,敢えて9件もの審判に分けて請求する必要性及び合理性は何等存在せず,また,「一般的に採用され得る手段」ではなく,極めて異常な請求であることはいう他ない。
したがって,本来1件の審判で足りるものを敢えて9件もの審判に分けて,ほぼ同時にした本件審判を含む請求人による審判請求は,専ら被請求人を害することを目的としてなされたものであることは明らかであって,商標法第50条第2項の趣旨に著しく反するのみならず,商標法の目的(商標法第1条)を阻害し,我が国の商標制度そのものの根幹を揺るがしかねないものであることから,審判請求権の濫用であって,不適法なものである。
イ 請求人は,「請求人は,『QRコード』の開発当初から,『より多くの人にQRコードを使ってもらいたい』という考えに基づき,第三者による規格化されたQRコードの使用について積極的に権利行使は行わないとのポリシーで普及活動を行ってきた。かかるポリシーの下,本件商標については登録後も実際の使用が長年行われていなかったことから,2015年7月29日の存続期間満了による権利消滅を待っていた。しかし,当該存続期間満了日直前の2015年6月に本件商標は被請求人に譲渡されていたため,本件不使用取消審判を請求に至った次第である。以上の事実に鑑みれば,本件審判請求が本来の制度趣旨から逸脱するものでなく,また,専ら被請求人を害する目的で行われているものでもないことは明らかであると思料する。」と主張する。
しかしながら,上記請求人の主張は,誤りである。
請求人は,2015年7月29日の存続期間満了による権利消滅を待つことなく,直ちに本件商標に対し不使用取消審判請求や譲渡交渉を行なうなど,本件商標に対する積極的な行動をとるべきである。
ところが,実際には,請求人は,本件商標に対する積極的な行動をとることなく,長らく本件商標の存在を容認し放置し続けていた。このような状況に照らせば,請求人の本件商標に対する関心は,長期間に渡って極めて低かったと考えざるを得ない。にもかかわらず,被請求人が本件商標を譲り受け商標権者になるやいなや,事前の譲渡交渉や話し合いによる解決の申出もなく,突然,本件商標の全ての指定商品及び指定役務について,区分毎に(第42類については,さらに2つに分けて),ほぼ同時に9件の不使用取消審判を請求するという行為に及んだのである。
このような状況を総合すれば,被請求人が商標権者となった途端に,請求人が本件商標の全ての指定商品及び指定役務について,区分毎に,ほぼ同時に9件の不使用取消審判を請求する目的は,請求人の身勝手な論理に基づく制裁ないし見せしめとして,専ら被請求人を取消審判請求の対応に追い込み,本来の業務を妨害することにあると考えざるを得ない。
(2)審理事項通知書における合議体の暫定的見解について
ア 乙第4号証の詳細及び同号証と乙第2号証との関係について
被請求人オリジナルの2次元コード作成プログラム(以下「本件プログラム」という。)の実行画面として提出した乙第4号証の画面は,オリジナル2次元コード作成プログラムにより提供されるサービスの提供を受ける者(利用者)のパソコン上にオンライン接続状態に限り表示される画面である。そして,当該サービスの提供者は,被請求人自身である。
本件プログラムを利用するための手順を簡単に説明すると,被請求人が提供する本件プログラムを最初に利用するにあたっては,利用希望者はまずソフトバンクコマース&サービス社が行っている「Marketing Bank」への利用登録(アカウント設定)を行う必要があり,乙第2号証の「はじめてご利用の方\新規登録」ボタンをクリックし,「Marketing Bank」固有のアカウントを設定する。その後,「Marketing Bank」内にある様々なプログラムの中から本件プログラムを選択し,今度は本件プログラムの利用登録(アカウント設定)を行う。本件プログラムの利用登録で料金の異なる任意のプランを選択し,このプランに応じてオリジナル2次元コードの作成の自由度(デザインの選択肢の幅,2次元コードに含めるデータ容量の選択肢等)が決定される。
本件プログラムのアカウント設定を済ませた利用者は,以後は,乙第2号証の「ご登録済みの方\ログイン」ボタンをクリックし,「Marketing Bank」を経由せず直接本件プログラムの利用画面に進んで2次元コードの作成を行うことができる。
乙第4号証は,上記の各アカウント登録を済ませた者のみが利用できる画面であり,実際にオリジナル2次元コードを作成するために必要なパラメータを設定する画面である。所定のパラメータを設定後に,画面下部の「バリアブルロゴQ作成はこちら」のボタンを押すと,オリジナル2次元コードが画像データ形式で作成され,この画像データをダウンロードし,名刺や販促物へ印刷したり,Webサイト画面に表示することにより,オリジナル2次元コードとして使用できる。
このように乙第2号証は,ソフトバンクコマース&サービス社が提供する「Marketing Bank」への利用登録を行うWebサイトであるから「Marketing Bank」サービスの広告的機能を果たす役割を持つ。また,同時に本件プログラムの提供サービスを受ける,プログラムを利用するための最初の入り口にもなる。他社サービスの広告機能を有するのであるから誰でも訪れることができるWebサイトである。一方,乙第4号証は,「Marketing Bank」への利用登録を行い,その上で本件プログラムの利用登録を済ませた利用者のみが到達できる画面であるから,誰でも訪れることができるわけではない。
したがって,乙第2号証と乙第4号証は関連性が深いWebサイトといえるものの,乙第4号証の利用画面に到達できる者は利用登録を済ませた者に限られるという点で明らかな違いがある。
以上より,乙第4号証の詳細及び乙第2号証との関係も明らかになったものと考える。
イ パンフレットの頒布状況等について
請求人は,パンフレットの発行日が2015年6月15日であるという点について信憑性に疑問があると主張しているため,この点について説明する。
パンフレットは,被請求人の商品・サービスを総合的に紹介するものであり,その内容が広範囲に及んでいるため,頻繁に更新する必要が生じる。そのため,一度に印刷する部数を10部から30部程度とし,古い内容のものを廃棄することを最小限にとどめ,印刷コストと廃棄物を低減するように工夫している。記載内容のデータ更新は被請求人自らがパソコンで行い,印刷についてはグループ企業である朝日プロセス社に依頼している。
被請求人が朝日プロセス社ヘパンフレットの印刷依頼を行った依頼書の写しを提出する(乙8の1)。
1ページ目 左上は2015年5月14日に15部,右上は2015年6月12日に10部,左下は2015年6月15日に10部,右下は2015年6月18日に10部,2ページ目 左上は2015年6月23日に10部,右上は2015年7月28日に15部,左下は2015年8月24日に10部,の印刷を依頼したものである。
上記依頼を受け,朝日プロセス社から被請求人へ以下の納品書が発行された(乙8の2)。
2015年5月20日付で5月14日依頼の15部,2015年6月20日付で6月12日,15日,18日依頼のそれぞれ10部,2015年7月17日付で6月23日依頼の10部,2015年9月20日付で7月28日依頼の30部と8月24日付10部。
なお,7月28日のみ依頼が15部で納品が30部であり一致しないが,これは依頼書発行後に被請求人が口頭指示により依頼部数が増加した事実があったためである。
上記は要証期間内のなるべく最近のものを例としたが,毎月10部から30部程度を印刷している事実があり,1年間で考えれば120部から360部程度を印刷・頒布していることが明らかである。
請求人は,本件商標の移転登録受付日と同日の6月15日発行のパンフレットに本件商標が表示されていることから,その発行日に疑義があると主張するが,譲渡交渉の段階からパンフレットに本件商標を表示させる変更を予め行っておき,移転登録申請手続日と同日の6月15日にさっそく変更を反映したパンフレットを10部印刷したのである。そして乙第5号証としてその写しを提出したにすぎない。また6月18日,23日にも追加の印刷依頼を行っていることから,6月15日付印刷のパンフレットは数日で頒布を終えたということも容易に理解できるはずである。当然に6月15日以降から現在まで,当該パンフレットには本件商標が引き続き表示されている。
パンフレットは取引先との個別の商談や展示イベントへの出展の際に,被請求人の「図形+QRコード」サービスを紹介するために頒布してきた事実があるので説明する。要証期間内の展示イベントとしては,例えば2015年7月22日に飯田橋にてソフトバンクコマース&サービス株式会社が主催した「ターゲットメディアフォーラム2015」においてパンフレットを頒布した事実がある。出展した事実を証明するものとして,ソフトバンクコマース&サービス社宛ての参加申込書及び発注書写しを提出する(乙8の3)。
以上により,パンフレットの印刷状況・頒布状況は明らかになったと考える。
(3)「弁駁書」への反論
ア 乙第2号証について
(ア)乙第2号証のWebサイトは,利用者が当該サービスの提供を受けるにあたり,必ず訪れることとなる「サービスの入口」として機能する極めて重要なWebサイト画面である。その重要なWebサイトにおいて本件商標が目立つように大きく図形商標として表示されているのであるから,利用者は必ず本件商標の表示をロゴマークとして認識する。
したがって,乙第2号証に表示された本件商標は,オリジナル2次元コード作成プログラム提供サービスの自他役務識別標識たるロゴマークとして,全ての利用者に認識されるのは明らかである。
よって,乙第2号証の画面に本件商標を表示して上記サービスを提供する行為は,使用役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当する。
(イ)少なくとも本件商標は外観において明らかに図形と認識できる要素(図形要素)を含む商標であるところ,当該図形要素は人の顔を想起させるにとどまり,具体的な意味合いを認識できない部分である。したがって,このような具体的意味合いを全く認識することができない部分を含む本件商標をどのような箇所に表示しても,具体的な意味合いが認識できる文章や語句として成立することはあり得ない。請求人が本件商標の図形要素を除外して意味合いを把握しようとしたならば,本件商標の重要な識別機能発揮部分を無視したこととなるので重大な誤りである。
したがって,図形要素を含む本件商標は,乙第2号証にはロゴ商標として表示しているのであり,記述的に使用しているのではないから,請求人の主張は誤りである。
(ウ)乙第2号証の発行日について
請求人は,弁駁書において,乙第2号証が2015年6月24日付けWebサイト写しであることの信憑性にかけると主張する。
これに対し,被請求人は,本来提出すべきであった2015年6月24日付Webサイトの写しを改めて提出する(乙9)。これにより,乙第2号証が2015年6月24日に存在したことについて疑義が解消したと考える。
イ 乙第3号証について
被請求人によるオリジナル2次元コード作成プログラム提供サービスは,乙第4号証の画面におけるパラメータ設定により,「デザイン化されていない白黒コード」を作成することも可能である。
したがって,乙第3号証に表示された「デザイン化されていない白黒コード」は本件サービスの成果物であるから,本件サービスと密接に関連する物である。当該物に近接して本件商標を付した上で,紙媒体の宣伝広告ツールとして頒布しているのであるから,この行為は使用役務に関する広告に標章を付して展示・頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)に該当する。
なお,乙第3号証の右下の表示から明らかなとおり,乙第3号証の発行日は2015年6月15日であることを主張する。
ウ 乙第4号証について
乙第4号証は,オリジナル2次元コード作成プログラムの実行画面である。
本件商標は,図形要素を含む商標であるから,ロゴマークとして用いられているものである。請求人は図形部分を見落としてもっぱら「図形+QRコード」の「QRコード」文字部分のみに着目する傾向にあるが,本件商標の重要な要素は「図形」部分であり「図形+QRコード」が本件商標全体の構成である。
よって,本件サービスの名称がいかなるものであろうと関係がない。オリジナル2次元コード作成プログラムの実行画面に大きく目立って表示されている本件商標は,ロゴマークとして本件サービス利用者全ての者の目に留まり注意を引き,それにより他社の2次元コード作成プログラムとは明確に識別できるのである。
したがって,ロゴマークたる本件商標は本件サービスの自他役務識別標識として十分に機能しているということができる。
エ 乙第2号証と乙第4号証との関係について
乙第2号証と乙第4号証には,何ら不自然な点はない。
本来提出すべきであった2015年6月24日付Webサイトの写しを乙第9号証として改めて提出する。
上記で述べたように,乙第2号証と乙第4号証は関連性が深いWebサイトといえるものの,乙第4号証の利用画面に進める者は利用登録を済ませた者に限られるという点で乙第2号証とは明らかな違いがある。この違いから,乙第2号証は誰でも保存ができるのに対し,乙第4号証の画面はすでに利用登録を済ませた者のみが保存できるという大きな違いが生じる。したがって,乙第2号証を保存した者と乙第4号証を保存した者とが異なったとしても全く不自然な点はない。
特に不使用取消審判に提出する証拠は,予め不使用取消審判対策として保存していた資料を提出できるというのは希で,むしろ不使用取消審判請求を受けてから,要証期間内に保存してあった資料からなるべく有効なものを探し出し提出するということが一般的である。そのため,たまたま別々の者により保存されていた資料を乙第2号証及び乙第4号証として提出したにすぎない。
したがって,誰でも閲覧できる入口画面である乙第2号証と,利用登録者のみが進める乙第4号証の画面では,保存した時期が前後したり,保存する者が異なっていても何ら不自然な点はない。
以上より,乙第4号証には何ら不自然な点はない。
したがって,乙第4号証に表示された本件商標は,オリジナル2次元コード作成プログラム提供サービスの自他役務識別標識たるロゴマークとして,全ての利用者に認識されるのは明らかであるから,乙第4号証の画面に本件商標を表示して本件サービスを提供する行為は,「電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為」(商標法第2条第3項第7号)に該当することは明らかである。
オ パンフレットにおける本件商標の表示について
請求人は弁駁書において,パンフレットに本件商標が表示されていることを認めた上で,その表示はやや唐突に表示されており,また,事業内容の一つとして記載された「Webサイトの企画・制作・販売」,「システム構築」及び「DTPの企画・デザイン・制作」と本件商標との直接的な関連性を把握・理解することは困難であるから,本件商標が当該サービスの自他役務の識別標識として使用されているとはいえない,と主張するが妥当でない。
まず,「唐突に」の意味合いが不明であるが,少なくとも本件商標は図形要素を含んだロゴ商標であるので,任意の目立つ場所に自由に表示させても,十分に自他役務識別機能を果たし得ると考えられる。「任意の目立つ場所に自由に表示」することを「唐突に」と表現するのであれば,他の一般的なロゴ商標も「唐突に」出てくることに変わりないはずである。ロゴ商標はもっぱらその外観により需要者取引者にインパクトを与えることが重要な役割であるから,むしろ街中の看板や商品・サービスのパンフレット及びWebサイトには,ロゴ商標は常に唐突に表示されているものばかりである。
したがって,「唐突に」表示されていること自体には何の問題もないと考え,自他役務識別機能にも全く影響しないと考える。
また,請求人は,パンフレットの7頁には,被請求人の事業内容の一部として「Webサイトの企画・制作・販売」,「システム構築」及び「DTPの企画・デザイン・制作」の記載と本件商標とが表示されているものの,たまたま同じ頁に記載されているにすぎないため,本件商標が上記業務サービスの自他役務識別標識として使用されているとはいえないと主張するが誤りである。
本件商標はロゴ商標であるから,任意の目立つ場所に自由に表示させることで,十分に自他役務識別機能を果たし得るものである。本件商標を大きく目立つように表示し,さらにその同一頁に被請求人が「Webサイトの企画・制作・販売」,「システム構築」及び「DTPの企画・デザイン・制作」を業務として行っていることを理解させる表示がされていることをもって,本件商標が上記業務サービスの識別標識として機能しているということは十分いえる。
3 上申書(平成28年8月10日付)
(1)請求人による審判請求行為の濫用について
ア 請求人は,口頭審理陳述要領書において,請求人による審判請求行為が不使用取消審判制度の趣旨や商標法の目的を阻害するものでなく,審判請求権の濫用に該当しないと主張するが,妥当ではない。
請求人は「QRコード」の開発経緯やユーザの保護・安心の確保を踏まえれば,「QRコード」に係る商標は全て請求人が所有又は管理できる状態であるべきであり,よって,「QRコード」の文字を含む本件商標が複数の区分に渡って請求人以外の者により維持されていることは,望ましい状況でないと主張している。
しかしながら,請求人は「QRコード」関連の商標を自己の業務に直接的に関係する区分である第9類,第35類及び第42類について登録するのみで,自己の業務に直接的に関係しないその他の区分については出願すらしていないというのが実態であるから,請求人は,自己の商標使用の安全性を確保することのみを目的として商標登録を行っているのであって,ユーザの保護・安心を確保するという目的など最初から有していないことが明らかである。
イ 被請求人が,本件商標の権利について前商標権者から譲渡を受けた目的は,本件商標が2015年7月29日に権利の存続期間満丁日を迎えるところ,そのまま消滅させてしまうとすれば,悪意のある第三者が幅広く本件商標に類似する商標を取得できてしまう可能性が生じ,それでは披請求人を含む多くの「QRコード」ユーザーに甚大な支障が生じてしまう恐れがあり,それを防止するというのが目的であり,本件商標を被請求人が独占して使用するという趣旨でなく,悪意のある第三者による登録を防止するのが目的である。
ウ 被請求人を設立し,現在は被請求人取締役会長である豊泉氏が,7月20日の口頭審理において発言した内容のまとめを提出する(乙10)。
(2)本件商標の使用について
ア 「パンフレット」の頒布状況の詳細について
「パンフレット」には,本件商標を大きくロゴ商標として表示しつつ,被請求人の業務内容も一緒に表示させることで,被請求人の業務と他社の業務とを識別するロゴ商標として周知に努めてきた事実がある。
本件商標を「パンフレット」に表示した日付は,前商標権者から本件商標の譲渡を受けた直後の2015年6月15日からであるが,パンフレット自体はそれ以前から継続して頒布しており現在も頒布継続中である。頒布期間が長期間に及ぶので,その一部の期間を例にとり,平成27年(2015年)4月1日から9月30日までの6ヶ月間の頒布状況を一覧表としてまとめたものを証拠として提出する(乙11)。
また,表の項目は,一番左側から,「日付,時間,場所,社員名,配布数,頒布先,打合せ主旨,先方担当者」である。
イ 被請求人は先方との打ち合わせやイベント出展の都度「パンフレット」を頒布し,6ヶ月間で,客観的に立証できるものに限っても少なくとも計59回の打ち合わせ・イベント出展において109部の「パンフレット」を頒布した事実がある。本件商標の表示を開始した2015年6月15日から予告登録日までの3ヶ月間程度の期間に限定しても,様々な打ち合わせやイベント展示において数十部を頒布しており,本件パンフレットが小冊子ともいえる頁数と内容を誇るものであることを踏まえれば,これは決して少なくない頒布数である。
このように,「パンフレット」は,請求人が有するサービスや技術を相手方に効果的に伝えるための主要な手段として用いられてきたものであり,打ち合わせやイベントにおける継続した「パンフレット」の頒布により,本件商標が被請求人の業務と他社の業務とを識別する標識として需要者,取引者に認識されるのは極めて自然なことである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠について
(1)乙第1号証は,被請求人の会社情報に関するウェブサイトである。
第1葉目には,「商号」の項目に「A・Tコミニュケーションズ株式会社」,「事業内容」の項目に「文字QRコードの企画・制作・販売」の記載があり,第2葉目には,「関連会社」の項目に「朝日プロセス株式会社」の記載がある。
(2)乙第2号証は,印刷日を2015年6月24日とする,被請求人のウェブサイトとされるものであるところ,その1頁には,「INFO」の項に「2015年05月27日 ロゴ・イラスト入りQRコード『ロゴQ』を作成できるクラウド型サービスをソフトバンク コマース&サービスの『Marketing Bank』から,提供開始!!/お好きなロゴやイラストでQRコードが作成できる『ロゴQコードマーケティング』サービスの提供を開始いたしました。」の記載があり,2頁には,「ロゴQはユニバーサルデザインの▲Q▼Rコード/QRコードです」の項目の下,「誰にでも分かるコードを作れます」の記載及び事例として表示された2次元コードとともに,本件商標と同一の商標が表示されている。
さらに,4頁には,「価格とご利用条件」の項に,「プラン名/初期費用/月額費用」として,「基本プラン/100,000円/100,000円」の表示,及び「ご利用条件」として「月額費用はアクティブ状態のロゴQ30個までは月額内でご利用いただくことができます」の記載,「導入事例/後日公開いたします」,「お問い合わせ/A・Tコミュニケーションズ株式会社 ロゴQコードマーケティングサービス担当/専用フォームよりお問い合わせください」の記載がある。
そして,各頁の下部には「file:///C:/Users/Kazuma/AppData/Local/Temp/Low/9QGH4LlC.htm」の表示がある。
(3)乙第5号証は,被請求人が,2015年(平成27年)6月15日に作成した商品・サービス紹介の「次世代の電子情報化のインフラコード」に係る「パンフレット」である。
そして,表紙には,「完全自動生成エンジン提供可能/(フルカラーQRコードが1秒間に70個以上できる生成速度)」の記載があり,3頁には,「文字」の文字が大きく表示され,その右には,別掲2のとおり,上段に「Q」の欧文字の中に2つの点が書され,全体で人の顔のように見える図形と「Rコード」の文字を結合して表された部分と下段には,「QRコード」の文字が書された二段の構成からなる商標(以下「使用商標」という。)が表示されている。また,その使用商標の下に,「文字とQRコードを掛け合わせ,更に色を加味した,誰もが見てもサイトの内容がわかりやすいコードが『文字QRコード』です。」の記載がある。
さらに,7頁目の「膨大かつ多様なビックデータ時代の革命ツール」の項には,「A・Tコミュニケーションズが提案するセキュリティを兼ね備えたフルカラーQRコード『ロゴQコード』は,ビックデータの収集を促進すると共にオムニチャンネルの新時代の革命ツールであると確信しております。」の下部に,使用商標が表示されている。
そして,その下部には,「事業内容」として,「●フルカラーQRコード及びロゴQシリーズの企画・制作・販売」及び「●ロゴQメーカー(QRコード及びロゴQコード自動生成エンジン)の提供」の記載がある。
加えて,8頁の「A・Tコミュニケーションズの創立」の項に,「2015年6月『使用商標(別掲2)』左記QRコードの商標を取得しました。」の記載と,「会社概要」として「●社名(呼称):A・Tコミュニケーションズ株式会社」の記載があり,「お問い合せ」の項に,「A・T COMMUNICATIONS」の文字と「A・Tコミュニケーションズ株式会社」の記載がある。
(4)乙第8号証の1は,被請求人が朝日プロセス社に対して発行したパンフレットの「制作依頼書」である。
そして,合計7枚のそれぞれの「制作依頼書」には,2015年(平成27年)5月14日(木),同年6月12日(金),同月15日(月),同月18日(木),同月23日(火),同年7月28日(火),同年8月24日(月)の日付がある。また,すべてのものは,左上に,「朝日プロセス株式会社様」,その右に,「A・Tコミュニケーションズ株式会社」の記載があり,「品名」の項目に「AT パンフ」,「内容」の項目に「■AT パンフ」,「1 サイズ:A3 8ページ」,「2 色数:4C/4C(○中面3P クリアトナー使用)」(なお,5月14日のみ「4C/4C(○中面3P クリア」の記載。)の記載があり,また,「3 数量」には,「10部」又は「15部」の記載がある。
(5)乙第8号証の2は,朝日プロセス社が被請求人に対して発行したパンフレットの「納品書」である。
そして,合計4日分のそれぞれの「納品書」には,納品日として2015年(平成27年)5月20日,同年6月20日,同年7月17日,同年9月20日の日付がある。また,すべてのものは,左上に,「〒110-0014/台東区北上野1-9-10/A・Tコミュニケーションズ(株)御中」,その右に「朝日プロセス株式会社」,住所及び連絡先の記載があり,その下に,「内容」の項目には,「〈デジタル印刷〉」とあり,それぞれの日付の「納品書」に日付順に「5/14ATパンフ8p15部 中綴じ(8頁) 30部」,「6/12パンフ8p 中綴じ(8頁) 10部」,「6/15パンフ8p 中綴じ(8頁) 10部」,「6/23パンフ8p4/4+CL 中綴じ(8頁) 10部」,「7/28ATパンフ8p 中綴じ(8頁) 30部」及び「8/24ATパンフ10部 中綴じ(8頁) 10部」の記載がある。
(6)乙第9号証は,印刷日を2015年6月24日とする,被請求人のウェブサイトであるところ,その1頁には,「INFO」の項に「2015年05月27日 ロゴ・イラスト入りQRコード『ロゴQ』を作成できるクラウド型サービスをソフトバンク コマース&サービス」の『Marketing Bank』から,提供開始!!/お好きなロゴやイラストでQRコードが作成できる『ロゴQコードマーケティング』サービスの提供を開始いたしました。」の記載があり,2頁には,「誰にでも分かるコードを作れます」の記載及び事例として表示された2次元コードとともに,本件商標と同一の商標が表示されており,各頁の下部には「https://logoqcodeemarketing.jp/」の表示がある。
(7)乙第11号証は,被請求人が作成した「パンフレット」の頒布状況を示す一覧表である。
これには,上部に「被請求人『パンフレット』配布状況(担当者別,2015年4月1日?2015年9月30日)※IGAS展示会(2015年9月開催)除く」の記載があり,その下に,表の項目として「日付」,「時間」,「場所」「社員名」,「配布数」,「頒布先」,「打合せ主旨」及び「先方担当者」の記載があり,担当者別に,いつ,どこで,どこの企業の誰に,何のためにパンフレットを何部配布したかが記載されており,例えば,平成28年6月15日に2部,同月17日に2部配布した記載がある。
2 上記1によれば,以下のとおり判断できる。
(1)本件商標の使用者について
乙第1号証の会社情報ウェブサイト、乙第5号証の「総合的な商品・サービス紹介のパンフレット」及び乙第9号証のウェブサイトによれば,被請求人は,文字又は図形を含む2次元コードの企画・制作・販売,ロゴなどの絵柄を加味したロゴQコードと称する2次元コードの自動生成エンジンの提供を業とするものであり,乙第5号証の「パンフレット」の内容からすれば,これは,被請求人が2015年6月15日作成した,商品・サービス紹介のパンフレットであると理解できるものであるから,別掲2の使用商標についての使用者は,被請求人(商標権者)であると認めることができる。
(2)使用商標について
本件商標は,別掲1のとおり,上段に,「Q」の欧文字の中に2つの点が書され,全体で人の顔のように見える図形と「Rコード」の文字とを結合して表し,下段に「QRコード」の文字を横書きした二段の構成からなるものである。
そして,上記(1)のパンフレットの3頁及び7頁に表示された使用商標(別掲2)の構成及び態様は,本件商標とほぼ同じであるから,本件商標と使用商標は,社会通念上同一の商標と認められる。
(3)パンフレットの使用時期等について
本件商標が使用された時期を検討するに,被請求人のパンフレット(乙5)は,2015年6月15日に作成されたものであるところ,被請求人が,本件商標権を前商標権者から移転登録した2015年(平成27年)6月15日以降に,朝日プロセス社に対してパンフレットの作成依頼を同日から同年8月24日の期間に数回行い(乙8の1)同期間にその納品が行われ(乙8の2),さらに,上記期間を含む配布日,配布場所,配布先及び配布先等のパンフレットの配布状況を説明する一覧表(乙11)があることからすれば,被請求人(商標権者)は,パンフレットを要証期間内に作成し,頒布したものと推認することができる。
(4)本件商標の使用役務について
パンフレット(乙5)は,ロゴなどの絵柄を加味した「LogoQ(ロゴQ)」と称する2次元コードの「自動生成エンジン」について紹介するものであり,使用商標は,そのうちの,文字と2次元コードを掛け合わせ色を加味した2次元コードの種類の一つに使用されているところ,上記「自動生成エンジン」とは,2次元コードを作成するためのコンピュータプログラムといえるものである。
そして,パンフレットの表紙及び7頁には,「完全自動生成エンジン提供可能/(フルカラーQRコードが1秒間に70個以上できる生成速度)」及び「●ロゴQメーカー(QRコード及びロゴQコード自動生成エンジン)の提供」の記載があることから,2次元コード作成のための「コンピュータプログラムの提供」の役務を提供しているものといって差し支えないものである。
また,被請求人のウェブサイトとされる乙第2号証及び乙第9号証は,乙第2号証の下部の「file:///C:/Users/Kazuma/AppData/Local/Temp/Low/9QGH4LlC.htm」の表示は,インターネットアドレスとはいえないものであるが,乙第9号証は,その下部の「https://logoqcodeemarketing.jp/」の表示から,インターネット上に掲載されたウェブサイトと認められるものである。
そして,乙第9号証の「価格とご利用条件」の具体的な内容が空白となっているものの,乙第2号証と乙第9号証は,「価格とご利用条件」の前までの内容が同一であること,及び乙第9号証に項目として「価格とご利用条件」の表示があることからすれば,これら乙号証は,同一のものと推認し得るものであり,乙第2号証に利用条件として,月額の利用料が記載されていることから,被請求人が,使用商標を使用した自動生成エンジン,すなわち,コンピュータプログラムをインターネットを通じて月額の利用料を払うことによって提供したと推認できるものである。
そうとすれば,被請求人は,「インターネットを使用し,文字と2次元コードを掛け合わせ色を加味した2次元コードを作成するためのコンピュータプログラムの提供」を行ったということができるものであり,該役務は,本件審判の請求に係る役務中,「電子計算機用プログラムの提供」の範ちゅうの役務と認められる。
(5)小括
以上によれば,被請求人が提出した全証拠によれば,被請求人(商標権者)は,その請求に係る指定役務中の「電子計算機用プログラムの提供」の範ちゅうの役務である「インターネットを使用し,文字と2次元コードを掛け合わせ色を加味した2次元コードを作成するためのコンピュータプログラムの提供」を内容とするパンフレットに本件商標を表示し,要証期間内に頒布したものと認められる。
そして,上記の使用行為は,商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当するものと認められる。
3 むすび
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,その請求に係る指定役務について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定役務について,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本件商標




別掲2 使用商標(乙第5号証を参照)


審理終結日 2016-10-19 
結審通知日 2016-10-21 
審決日 2016-12-12 
出願番号 商願2004-86034(T2004-86034) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y42)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 榎本 政実 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 中束 としえ
榎本 政実
登録日 2005-07-29 
登録番号 商標登録第4882830号(T4882830) 
商標の称呼 キュウアアルコード、コード 
代理人 青木 篤 
代理人 雨宮 康仁 
代理人 田島 壽 
代理人 磯田 一真 
代理人 外川 奈美 
代理人 大橋 啓輔 
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