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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y41
管理番号 1331383 
審判番号 取消2016-300426 
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-06-16 
確定日 2017-07-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第4975291号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4975291号商標の指定役務中、第41類「野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4975291号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「もしコム」の文字を横書きしてなり、平成18年1月23日に登録出願、第41類「当せん金付証票の発売,技芸・スポーツ又は知識の教授,献体に関する情報の提供,献体の手配,セミナーの企画・運営又は開催,動物の調教,植物の供覧,動物の供覧,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,美術品の展示,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,図書の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,書画の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」及び第45類「ファッション情報の提供,新聞記事情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,施設の警備,身辺の警備,個人の身元又は行動に関する調査,占い,身の上相談,家事の代行,衣服の貸与,祭壇の貸与,火災報知器の貸与,消火器の貸与,装身具の貸与」を指定役務として、同年8月4日に設定登録され、その後、同28年8月9日商標権存続期間の更新登録がされたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成28年6月28日にされており、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同25年6月28日ないし同28年6月27日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、審判事件弁駁書及び口頭審理陳述要領書等において、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第41類「野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
答弁書の理由及びこれに添付された乙第1号証ないし乙第7号証からは、本件商標の採択の由来、被請求人が平成18年より本件商標を使用して各種個人事業を営んできたこと、及び今後、引き続き本件商標の使用が必要であること、がうかがわれる。
しかしながら、答弁書の理由及び乙各号証を精査しても本件商標が本件審判の請求前3年の間に「野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催」(以下「取消対象役務」という。)に使用されていたという事実は立証されていない。
(1)乙第1号証について
被請求人は乙第1号証の証拠方法として「野球企画」の用語を用いているが、乙第1号証によればその内容は野球を題材にしたDVDの制作であるから、本件商標が取消対象役務に使用されていたことを立証するものではない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、求めに応じて顧客の高校野球部時代の自分史をDVDに編集して提供するものであり、その役務は「DVDの制作」であるから上記(1)と同様に本件商標が取消対象役務に使用されていたことを立証する証拠にはなり得ないことが明らかである。
(3)乙第3号証
乙第3号証は、スポーツ少年団の卒団式セレモニーの企画、記念DVDの制作に関するものであるから、本件商標が取消対象役務に使用されていたことを立証する証拠にはなり得ない。
(4)乙第4号証
乙第4号証には第1頁の見積書に「歳末チャリティー空手体験&チビッ子サッカーイベント2014」の記載があるが、「チャリティー物品整理 1時間1,000円」、「チビッ子サッカー見守り隊 1時間1,000円」の記載をはじめ、同証チラシの「”空手体験とチビッ子サッカー教室”のお知らせ」の記載を勘案すると、ここでいう「イベント」は空手大会やサッカー大会を意味するものではではなく、歳末チャリティーイベントの一環として行う「空手とサッカーの指導」であり、第41類の役務中の「スポーツの教授」の範ちゅうに属するものである。
したがって、乙第4号証もまた本件商標が取消対象役務に使用されていたことを立証していないことは明白である。
(5)乙第5号証
被請求人は証拠方法において、乙第5号証は「その他、事業運営に関する取引記録の一例資料一式」であると記載しているが、提出されている資料には取消対象役務に関するものは一つも見当たらない。
(6)乙第6号証及び乙第7号証
乙第6号証及び乙第7号証も取消対象役務に対する本件商標の使用を立証していない。
(7)まとめ
以上の理由により、答弁書及び乙各号証は、本件商標が、第41類の役務中「野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催」に使用されていたことを立証していない。
3 口頭審理陳述要領書(平成29年2月7日付け)
(1)一般に、「興行」とは広辞苑その他の国語辞典からも明らかなように、「営利のために、スポーツ大会などを催し、観衆に見せること、またはその催し」と定義されるものである。したがって、仮に一部に無料観戦の部分があり得るとしても、「興行」というためには一定のルールのもとに複数のチームが勝ち負けを決する野球やサッカーの競技会(試合)の存在が前提である。また、「競技」とはチームの勝ち負けを目的とするものであり、単なる野球のキャッチボール、サッカーのフリーキックのような各プレイのトレーニングのみを目的とするものは「練習」であって「競技(試合)」ではない。
したがって、乙第8号証ないし乙第10号証のチラシの記載は、サッカーのスゴ技観戦やフリーキックだけの競い合いをイベント内容としているが、このようなイベントはサッカーという一定のルールに基づく「サッカー競技」にはあたらず、「興行」の対象にはなり得ない。
また、乙第8号証及び乙第10号証「もしも新聞もしコム欄」は、わずか15名限定の子供たちを集めて社会人サッカー選手のスゴ技を観戦させ、子供たちのフリーキックを行うことをイベント内容としている。このようなイベントはサッカー競技の興行とはいえずセミナー(知識の教授)というのが妥当である。
この点に関して被請求人は、請求人の弁駁書に対する反論として、「乙第4号証の実際のイベントは空手やサッカーの技能を見せて楽しませたり興味を持たせるためのイベントであり、同時に物品交換チャリティーを設けて複合的な興行を行っていたものであるから、イベント参加者はスポーツの教授を受けるために参加したわけではない」と主張している。
しかしながら、このような複合的イベントなるものがサッカーの興行に当たらないのは自明であり、また、参加者がどういう目的でいかなるイベントに参加しているかはイベントの内容から客観的に決まることで、他人によって恣意的に決めつけられるものではない。二つのイベントを組み合わせた複合イベントといえども、サッカーのスゴ技を観戦しフリーキックを競い合っているときは客観的に見て「サッカーの指導を受ける」ことを認識し、他方、チャリティーに移行した時点からはサッカーとは無関係のイベントへの参加を認識していたと解すべきである。
したがって、乙第8号証ないし乙第10号証を根拠にして「サッカーに関する興行を企画し、告知している」との主張は事実に反し、納得できない。
(2)被請求人は実質的証明力を欠く複数の資料を寄せ集め、これを総合的に検討することで使用が立証されるかのごとく主張しているが、このような証拠方法では商標法50条に規定する不使用取消審判の使用を立証したことにはならい。
4 上申書(平成29年4月5日付け)
(1)「興行」の定義が「客を集め、入場料・寄付金などの料金を取って、演劇・音楽・相撲・映画などの見世物などを催すこと。」であることは認める。しかしながら、「『興行』として成立するためには『見世物を催す』ことであれば、成立する。そうすると、『サッカーの興行』とはサッカー大会だけに限定されるべきではなく、サッカーの技を見せる催しも含まれている。」という被請求人の主張は誤解と論理の飛躍があり、同意できない。
(2)特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準(国際分類第11版対応)」によれば、第41類役務の「興行の企画・運営又は開催」には「野球の興行、サッカーの興行、」のように頭に興行の対象を特定している「興行」(類似群コード「41F01」)と、対象を特定していないその他の「興行」(類似群コード「41F06」)の「興行」の2形態があり、これら2つの類似群に属する各々の「興行」の「企画・運営又は開催」役務は互いに非類似の役務として棲み分けがなされている。
(3)請求人がここに追加提出したインターネット上のスポーツ用語辞典(甲2)によれば、「サッカーとは、1チーム11名以下の選手から成る2チームがサッカーボールを用いて攻防を行い、競技時間内に相手チームのゴールエリアへボールをシュートすることで得られる得点の多さを競う競技」と定義されている。したがって、「サッカーの興行」とは「上記の内容に特定された役務の興行」というべきである。
(4)これに対し、被請求人が乙各号証を根拠にして主張している役務は、「一個人が15名のチビッ子に空手とサッカーのスゴ技を見せて楽しませた後に、フリーキックをさせる催し物と、不用品交換の年末チャリティへ参加させる催し、とからなる複合的イベント」である。
このような複合的イベントは類似群コード「41F01」に属する「サッカーの興行」のイベント内容とは明確に異なり、そのイベント内容も複数の役務を合体させたものであるから上記類似群コード「41F06」に属する「興行」というべきである。
したがって、乙各号証に示された役務をもって「サッカーの興行」に当たるとする被請求人の主張は事実誤認による飛躍した論理である。
(5)乙第32号証は、「後呂康人選手のリフティングパフォーマンスショー」と銘打って、当該「パフォーマンス」を「興行」の内容として催しているもので、類似群コード「41F01」の「サッカーの興行」を意図しているものではない。乙第33号証についても同様である。
(6)また、被請求人は過去の審決例を挙げて、審決が「パフォーマンスや展示」等の見世物を催すイベントであれば「興行」と認めると判断したものであると述べているが、請求人はそのことを含め、乙各号証に示された催物が「興行」であることを何等否定はしていない。ただ、それらの催しは「興行」として成立しているとしても、第41類役務中の類似群コード「41F06」に属する「興行」であって、類似群コード「41F01」に属する「サッカーの興行」とは非類似の「興行」である、と主張しているのである。
(7)まとめ
以上の理由により、仮に、被請求人が主張する乙各号証の役務、すなわち、「15名限定のチビッ子に空手とサッカーのスゴ技を見せて楽しませた後に、フリーキックをさせる催し物と、不用品交換の年末チャリティへ参加させる催し、とからなる複合的イベント」に本件商標が使用されていたとしても、本件取消対象の「サッカーの興行の企画・運営又は開催」に本件商標を使用していたことを立証したことにはならないから、被請求人の主張は妥当性を欠くといわざるを得ない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、と答弁し、その理由を答弁書及び口頭審理陳述要領書等において、要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第33号証を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は、平成18年より本件商標を使用し、個人事業を営んでいる。
当社は、インターネット等の媒体を介する不特定市場への広報を行っていない。主に香川県内での縁のある方々とのつながりを介した面談営業による事業展開及びサービスの浸透を図っている。
当事業は、誰にもやがて訪れる人生の節目「もし」と”その日”の前に伝えたい思いを具現化するコミュニケーション「コム」を、可視化されたサービスで具現化したいという思いを込めたものが「もしコム」商標である。地方での暮らしは心豊かな人々が集うコミュニティが存在する反面、残念ながら地方の良さを次世代へとつなぐ橋が不足している。今後、世代間交流を支援するサービスの一つとして、引き続き事業の展開における商標の使用は不可欠である。
2 口頭審理陳述要領書(平成29年1月30日付け)
(1)審理事項通知書記載の「合議体の暫定的見解」に対する釈明
ア 見積書に記載の商標権者の住所が登録原簿と相違している点
登録原簿記載の「香川県高松市西町16番13号」の住所は、出願当時から現在に至るまでの、商標権者の現住所であり、住民票に記載の住所である。
一方、見積書に記載の「香川県高松市西宝町3-11-9」の住所は、事業拠点として取得した不動産建物の番地であり、事業所所在地の住所である。
イ 見積書の金額欄の不整合について
サッカーの興行すなわち、サッカーイベント開催運営中は、安全確保から時間5,000円が基本料金である。今回の行事に関しては、会場環境や安全確保の観点から、当初1時間3,000円の単価が相当であると考えたが、クライアントとの交渉により、当日の現場では、見守り人員が別途確保できるとの前提条件であったため、時給のみの1,000円を請求額とした。
ウ 見積書の「費目」の「6 その他手配実費」の内容欄に記載の日時と、2頁目の「歳末イベント」の開催日時が異なる点
見積書は、平成26年当時の物である。しかし、チラシは翌年の平成27年の別のイベントのチラシであるため、日付が異なる。
エ 2頁目の「歳末イベント」の開催年が不明である点
このチラシの開催年は、平成27年である。
オ 見積書に記載の会場(谷派集交会佐藤道場)と、2頁目に記載の「歳末イベント」の開催場所(谷派空手道修交会丸亀道場)の名称が異なる点
乙第4号証見積書中の「谷派集交会佐藤道場」は、「谷派修交会丸亀佐藤道場」というのが正しい名称である。漢字が異なるのは、当初聞き取った際に、誤って記載したことによる。
なお、乙第4号証チラシ記載の「歳末イベント」の開催場所(谷派空手道修交会丸亀道場)も同じ場所のことであり、「谷派修交会丸亀佐藤道場」を指す。
カ 見積書に記載のイベント名称(歳末チャリティー 空手体験&チビッ子サッカーイベント2014)と、2頁目に記載のイベント名称(歳末イベント!!”空手体験とチビッ子サッカー教室”)が異なる点
見積書に記載のイベントは、平成26年に行われたイベントであり、チラシ記載のイベントは平成27年に行われたイベントであって、別のイベントになる。
キ 見積書に記載の「歳末チャリティー 空手体験&チビッ子サッカーイベント2014」がどのようなイベントであるのかその内容が不明であり、これが「サッカーの興行」といえるか否かも不明である点
乙第4号証の見積書に記載されたイベント(平成26年)は、新たに提出した乙第8号証のチラシに記載されたイベントと対応している。このイベントは、サッカーや空手に興味のある子供やその保護者を対象に、香川県サッカー協会4級審判員である佐藤安良氏が空手の技やサッカーの技能を見せて楽しませるイベントであり、同時に不要な物品を交換する場(チャリティー会場)を設けた、複合的なイベントである。なお、乙第4号証の見積書及び領収書に記載されている有限会社サンキューオフィスの代表者が上記の佐藤安良氏である。
そうすると、商標権者は、依頼者の求めに応じて「サッカーの技能を見せるイベント」を企画・開催・運営したといえ、これはすなわち「サッカーの興行の企画・運営又は開催」という役務を行ったことに他ならない。
また、商標権者は、乙第9号証「丸亀市ごみだし計画表」のイベント告知欄において、本件商標を使用し、乙第8号証のイベントに関し告知している。さらに、商標権者は、乙第10号証「もしも新聞」のイベント告知欄において、本件商標を使用し、乙第8号証のイベントに関し告知している。
したがって、乙第4号証の見積書及び領収書に記載の本件商標の使用、乙第8号証のチラシに記載の本件商標の使用、乙第9号証「丸亀市ごみだし計画表」のイベント告知欄における本件商標の使用、乙第10号証「もしも新聞」のイベント告知欄における本件商標の使用は、商標法第2条第3項第8号に行為に該当するものである。
(2)証拠資料(乙8?乙9)の釈明
ア 乙第8号証
乙第8号証のチラシは、乙第4号証として提出した見積書に記載されたイベント(平成26年)に対応するチラシである。
イ 乙第9号証
乙第9号証は、丸亀市ごみだし計画表(平成26年12月)であり、このイベント告知欄に、本件商標が使用され、乙第8号証のイベントに関し、「空手とサッカーのスゴ技観戦やフリーマーケットにご参加いだたけます」と告知したものである。
乙第8号証のチラシには開催年が記載されていないが、乙第9号証には平成26年度と記載されており、同イベントの告知がされているため、乙第8号証のチラシは開催年が平成26年度と判断できる。
ウ 乙第10号証
乙第10号証は、商標権者が発行した「もしも新聞」であり、この1頁目下欄に、乙第8号証のイベントに関し「社会人サッカー選手によるスゴ技観戦とフリーキック大会。そしてご父兄にもご参加頂けれるミニフリーマーケットも併設開催します。」と告知したものである。乙第8号証のチラシには開催年が記載されていないが、乙第10号証には2014年12月1日と記載されており、同イベントの告知がされているため、乙第8号証のチラシは開催年が平成26年(2014年)と判断できる。
(3)請求人の弁駁書に対する反論
ア 乙第4号証の見積書及び領収書について
請求人は、乙第4号証に対し、「スポーツの教授の範躊に属するものである」と述べている。
しかし、乙第4号証の見積書記載のイベントは、乙第4号証として提出したチラシと一致するものではない。乙第4号証の見積書に一致するチラシは、乙第8号証である。
実際のイベントは、(1)キにも述べたように、参加者にサッカーと空手の指導者である佐藤安良氏の空手の技やサッカーの技能を見せて、楽しませたり、興味を持たせたりするためのイベントであり、同時に物品を交換する場(チャリティーの場)を設けて、複合的な興行を行ったものである。
そうすると、イベントの参加者は、空手やサッカーの技能を向上させるため、すなわち「スポーツの教授」を受けるために、参加したわけではない。
また、イベント中に参加者に対し、イベント内容に関する体験をさせるというコーナーはあるが、このような体験コーナーを設けること自体、興行においてよくあることであり、またそのような場を設けたことが、興行であること自体を否定しない。
そうすると、乙第4号証の見積書及び領収書については、乙第8号証のチラシ、乙第9号証及び乙第10号証も検討すると、全体としては、商標権者は「サッカーの興行の企画・運営又は開催」という役務を提供したことを証するものといわざるを得ない。
イ 上記以外の反論について
乙第4号証の見積書及び領収書、乙第8号証のチラシ、乙第9号証「丸亀市ごみだし計画表」及び乙第10号証「もしも新聞」により、商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を指定役務「サッカーの興行の企画・運営又は開催」という役務を提供したことは明らかである。
(4)まとめ
以上により、商標権者は、本件商標「もしコム」を第41類の指定役務「サッカーの興行の企画・運営又は開催」について使用している。
3 上申書(平成29年3月21日付け)
(1)有限会社サンキューオフィス佐藤安良氏について
乙第8号証及び乙第12号証に記載されている「佐藤安良」氏は、履歴事項全部証明書(乙11)によると、平成26年12月当時は有限会社サンキューオフィスの代表取締役であり、平成29年3月21日現在は取締役である。
(2)チラシの配布及び展示の状況について(乙8及び乙12)
ア 被請求人は、平成26年12月24日及び25日に谷派空手道修交会丸亀道場(香川県丸亀市柞原町593番地1)にて行われた「サッカーの興行」に関するイベントにおいて、乙第8号証(カラー版チラシ)と乙第12号証(白黒版チラシ)を用意した。また、展示用として乙第8号証をA3に拡大したものを用意した。
イ 被請求人が乙第8号証及び乙第12号証のチラシの配布準備していたことを立証するものとして、2014年(平成26年)11月8日付の植田健嗣から有限会社サンキューオフィスに宛てたチラシ校正に関するFAX送信書(乙13)を提出する。
被請求人が乙第12号証(白黒版チラシ)の印刷を発注したことの証拠として、社会福祉法人朝日園から有限会社ジャパンライフマネジメント(代表取締役:植田健嗣)宛ての2015年(平成27年)3月25日付のファックス送信書及び請求書(乙14)、平成27年3月30日付の振込書(乙15)、平成27年3月30日付領収書(乙16)を提出する。請求書には、平成26年12月8日付でA4イベントチラシ印刷代が記載されている。領収書には、イベントチラシの印刷代として6,300円に消費税を加えた合計6,804円が記載されている。
また、被請求人植田健嗣が有限会社ジャパンライフマネジメントの代表取締役であることを立証するため、履歴事項全部証明書(乙17)を提出する。
ウ 有限会社サンキューオフィスがチラシを配布及び展示した事実を立証するものとして、有限会社サンキューオフィス代表取締役佐藤一美氏の陳述書(乙19)を提出する。
また、イベント開催当時には乙第8号証のチラシ(カラー版)をA3に拡大したもの3部が上記道場に展示されたが、そのうちの1部が上記道場の玄関に展示され、また乙第12号証(白黒・オレンジ色の用紙印刷・被請求人印刷版)の1部を道場の玄関口近くの壁につりさげられたホワイトボード内に展示した事実を立証するため、写真1(乙20)及びこの写真1が平成26年12月24日に撮影されたことを立証するために、写真データの詳細情報の表示(乙21)を提出する。写真のデータには、撮影日時:2014年12月24日と記録されている。
さらに、乙第8号証のチラシ(カラー版)をA3に拡大したものを上記道場内出入り口ガラス引き戸に2部展示し(写真ではそのうち1部が視認できる)、乙第12号証(白黒・オレンジ色の用紙印刷・被請求人印刷版)の1部を道場の玄関口近くの壁につりさげられたホワイトボード内に展示した事実を立証するため写真2(乙22)及びこの写真2が平成26年12月24日に撮影されたことを立証するために、写真データの詳細情報の表示(乙23)を提出する。写真のデータには、撮影日時:2014年12月24日と記録されている。
エ つぎに、平成26年12月13日及び14日において開催された「全国年明けうどん大会2014inさぬき」のイベントにおいて、乙第12号証(白黒版チラシ)10部を配布したことを立証するため、上記イベント委託運営会社である株式会社メディアミックス研究所代表取締役山西和昌氏の陳述書(乙24)を提出する。さらに、乙第24号証の陳述書に記載のとおり、被請求人が上記年明けうどんのイベントにおいてリスク管理を委託されており、被請求人が乙第12号証(白黒版チラシ)の配布依頼を行う立場であったこと立証するため、「全国年明けうどん大会2014inさぬき」の事業計画書(乙25)を提出する。事業計画書の24頁に「リスクマネージャーもしコム植田健嗣」の記載がある。
オ さらに、乙第12号証のチラシが配布されたことを立証するため、このチラシを受け取った者の陳述書(乙26?乙28)を提出する。
カ まとめ
以上の証拠により、被請求人が乙第4号証見積書及び領収書に記載されたイベントについて、同イベントのチラシ(乙8及び乙12)を平成26年11月頃から12月に配布し、平成26年12月24日及び25日に、サッカーの技を見せるイベント、すなわち「サッカーの興行の企画・運営又は開催」を行ったことを立証する。
(3)被請求人の行為が「サッカーの興行の企画・運営又は開催」にあたることについて
ア 「興行」に関する定義
そもそも「興行」とは、広辞苑第六版によると、「客を集め、入場料をとって演劇・音曲・相撲・映画・見世物などを催すこと。」という記載があり(乙30)、また大辞泉第二版においても、「観客を集め、料金を取って演劇・音曲・映画・相撲・見世物などを催すこと。また、その催し物。」という記載がある(乙31)。
以上より、「興行」として成立するためには、「見世物を催す」ことであれば、成立する。そうすると、「サッカーの興行」とは、サッカー大会だけに限定されるべきではなく、サッカーの技を見せる催し物も含まれている。
イ サッカーの技を見せるイベントについて
また、一般的なイベントにおいても、サッカーの技を見せるイベントは、よく開催されている。例えばリフティングの技を見せるイベントとして「後呂康人選手によるリフティングパフォーマンスショー」(乙32)が開催されたり、「ブラインドサッカー日本代表の加藤健人選手とのトークセッションおよびデモンストレーション」(乙33)等、サッカーの技を見せるイベントは日常的に行われているものである。
ウ 過去の審決
さらに、過去の取消審判の審決である、取消2015-300206号においても、「第5 当審の判断 2判断 (1)SENSORSイベントについて 上記1(1)によれば、2015年(平成27年)3月6日に日本テレビの主催により記載されたSENSORSイベントは、主催者、登壇者、出展者及び来場者の交流を図る場として、パフォーマンス、展示及びパーティ等を内容とするイベントであるから、被請求人主張役務に属する興行と認め得るものである。」との審決が存在する。
すなわち、この審決によると「興行」とは、「パフォーマンスや展示」等の見世物を催すイベントであれば、認めると判断したものである。
エ まとめ
以上より、「サッカーの技」を見世物として催すことは「サッカーの興行」にあたるといえる。
したがって、乙第4号証の見積書及び領収書、乙第8号証?乙第33号証を勘案すると、被請求人は、本件商標「もしコム」を第41類「サッカーの興行の企画・運営又は開催」の役務について使用しているといえる。
(4)請求人が提出した口頭審理陳述要領書への反論
ア 請求人は、「『興行』というためには一定のルールのもとに複数のチームが勝ち負けを決する野球やサッカーの競技会(試合)の存在が前提である。」と主張する。
しかし、上記(3)アにも述べたように、辞書等には、「見世物を催すこと」という記載はあるものの、請求人の主張する「競技会や試合」のみが興行に該当するという記載はない。これは、請求人が引用する辞典の記載「スポーツ大会などを催し、」として例示列挙されていることからも明らかである。
すなわち、被請求人が開催したイベントは、「サッカーの技」を見世物として催しているため、「興行」を行ったといえる。したがって、請求人の主張は失当である。
イ 請求人は、「このようなイベントはサッカー競技の興行とはいえず、セミナー(知識の教授)というのが妥当である。」と主張する。
しかし、本イベントは、サッカーのスゴ技を見せるイベント、すなわちパフォーマンスショーなのであるから、セミナー(知識の教授)には、該当しない。したがって、請求人の主張は失当である。
ウ 請求人は、「複合的イベントなるものがサッカーの興行に当たらないのは自明である。」と主張する。
しかし、複合的イベントの内容が、サッカーの興行の一部を構成するものであるから、「サッカーの興行」も行ったといえるのは明らかである。したがって、請求人の主張は失当である。
エ 請求人は、「サッカーのスゴ技を観戦しフリーキックを競い合っているときは客観的に見て『サッカーの指導を受ける』ことを認識し、」と主張する。
しかし、一時的に開催されるパフォーマンスショーのイベントにおいて、サッカーのスゴ技を観戦している全ての観客が、「サッカーの指導を受ける」ことを認識するということは、客観的にもみてもありえない。技そのものを見て楽しむイベントにおいて、「サッカーの指導を受ける」ことは通常認識しないことは自明である。したがって、請求人の主張は失当である。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠について
(1)乙第4号証について
ア 乙第4号証の1葉目は、「ハッピーエンドのもしコム」の代表者である被請求人から有限会社サンキューオフィス(以下「サンキューオフィス」という。)に宛てた「見積書」である。
これには、当該見積りの請求者として、太字の「ハッピーエンドのもしコム」の文字とともに、被請求人が代表取締役を務める有限会社ジャパンライフマネジメント(以下「ジャパンライフ」という。)の住所(乙17)、被請求人の電話番号及びファックス番号並びに「代表者 植田健嗣」の文字が記載されているほか、「歳末チャリティー 空手体験&チビッ子サッカーイベント2014/【会場 谷派集交会佐藤道場】」の表示の下、7項目の「費目、内容、単価、個数、金額」が記載され、請求額として「35,640円」が記載されている。
イ 同2葉目は、被請求人からサンキューオフィスに発行した「領収証(控)」である。
これには、宛名欄に「(有)サンキューオフィス様」、金額欄に「¥35640」の記載があり、その下に「但 空手体験とチビッ子サッカーイベント/H26年12月25日 上記正に領収いたしました」の記載とともに、被請求人の氏名、ジャパンライフの住所(乙17)、被請求人の電話番号及びファックス番号が記載されている。
(2)乙第8号証及び乙第12号証について
ア 乙第8号証は、緑色で表された「イベントのお知らせ!!」を表題とする「チラシ」である。
これには、表題に続いて、赤色で表された「やったぜ冬休み! スポーツ初心者全員集合!!」の文字及び紫色で表された「『空手とサッカーのスゴ技を観に来ないかい!!』」の見出しの下、「・・・道場内で空手の基本型や技の披露、そして道場外のミニサッカーグラウンドにおいては、わくわくドキドキする様なサッカーテクニックをお見せします!・・・さらに、年末の大掃除で不要になった子供服や家財の処分を予定されているご父兄様は臨時のチャリティー会場を設けますので、自由出品のプチフリマとしてご参加ください。」の記載があり、また、「日時」として「1日目 12月24日(14:00?17:00)/2日目 12月25日(10:00?15:00)」、「参加費」として「各日500円(お菓子、飲み物、資料代含む)」及び「お問い合わせ」として「地域サポートのもしコム事務局(担当:植田)」の表示と被請求人の電話番号の表示がある。
そして、最下部に赤地の四角枠内に白抜き文字で「参加お申し込みおよびチャリティーバザー出品のお問い合わせは、」の記載に続き、太字の大きな「もしコム」の表示がある。
イ 乙第12号証は、上記チラシ(乙8)とほぼ同一の内容が記載された白黒のチラシである。
(3)乙第9号証及び乙第10号証について
ア 乙第9号証は、「もしコム企画室」が制作著作した丸亀市の「ごみだし計画表」である。
これには、左上に「平成26年度/December」と記載され、最下段に【イベントのお知らせ】として、「いよいよ冬休み! スポーツ大好きキッズは全員集合!!」の見出しの下、「24・25日に、親子で体感できるスポーツイベントを開催!・・・当日は、空手とサッカーのスゴ技観戦やフリーマーケットにご参加いただけますが、・・・」の記載及び「詳しいお問い合わせは、もしコム企画室 担当:植田(被請求人の電話番号)迄」の記載がある。
イ 乙第10号証は、被請求人が発行する2014年12月1日付けの「もしも新聞」である。
1葉目の下段には、「もしコム/イベント」の見出しの下、「・・・二学期終了日に合わせた24日と25日にスポーツイベントを開催します。場所は丸亀市柞原町の佐藤空手道場&ミニサッカー場です。・・・当日は、道場館長の佐藤安良氏による空手演武の披露や瓦割り初体験参加、社会人サッカー選手によるスゴ技観戦とフリーキック大会。そしてご父兄にもご参加頂けれるミニフリーマーケットも併設開催します。」の記載及び「参加予約受付 もしコム(担当:植田(被請求人の電話番号))」の記載がある。
(4)乙第13号証について
乙第13号証は、被請求人からサンキューオフィスに宛てた「FAX」である。
1頁目には、右上に「発信日 平成26年11月8日 1/2 頁」の表示があり、「スポーツイベント配布チラシ校正準備の件で□ご連絡させていただきます。」の見出しの下、「・・・来月に開催準備中の親子交流スポーツイベント告知チラシの原稿をご案内させて頂きますので、とり急ぎ誤字等がございましたら、校正作業をいたしますので、ご連絡ください。」の記載がある。
そして、2頁目は、乙第8号証とほぼ同一のチラシの原稿である。
(5)乙第14号証ないし乙第16号証について
ア 乙第14号証は、社会福祉法人朝日園(以下「朝日園」という。)から被請求人が代表取締役を務めるジャパンライフ宛てのファックスであり、2葉目は、朝日園からジャパンライフ宛ての「請求書」であり、「御請求額 16,815円」の記載と、その内訳に、「取引日付」として「H26.12.8」、「商品名」として「A4イベントチラシ印刷代」及び「金額」として「6,300」の記載がある。
イ 乙第15号証は、百十四銀行の「ご利用明細」であり、「お取扱日」欄に「27-03-30」、「お取引種別」欄に「振込」及び「お取引金額」欄に「*16,815」と表示され、「ご案内」欄には、「振込日 27.03.31」、「お受取人 フク)アサヒエン 様」及び「ご依頼人 ユ)ジャパンライフマネジメント 様」の記載がある。
ウ 乙第16号証は、朝日園から被請求人へ宛てた「領収証」であり、金額記載欄に「¥6,804-」と記載され、その下に「但し、印刷代(イベントチラシ印刷代)/上記金額正に領収いたしました」の記載がある。
(6)乙第17号証について
乙第17号証は、ジャパンライフの「履歴事項全部証明書」である。
これには、本店の住所として「香川県高松市西宝町三丁目11番9号」の記載があり、役員に関する事項として「代表取締役 植田健嗣」の記載がある。
2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用者について
乙第8号証及び乙第12号証の「チラシ」には、問い合わせ先として、被請求人の苗字である「植田」の文字と被請求人の電話番号が記載されており、チラシ(乙12)印刷の発注先である朝日園から被請求人が代表取締役を務めるジャパンライフ宛てに、チラシ印刷代の請求書と領収証があること(乙14、乙16)からすれば、チラシ(乙8、乙12)を作成及び配布した者は、被請求人であるといえる。
(2)使用商標について
チラシ(乙8、乙12)には、最下段に太字で「もしコム」の表示があり、これは、本件商標と構成文字が同一であり、社会通念上同一の商標であると認められる。
(3)使用役務について
ア 使用役務の内容
チラシ(乙8、乙12)におけるイベントの記載内容、該イベントの告知内容(乙9、乙10)及び被請求人の主張を総合すると、平成26年12月24日及び25日に開催されたイベントは、「参加者に空手の技やサッカーの技能を見せ、同時にフリーマーケットの場(チャリティーの場)を設けた複合的なイベント」であると認められる。
そして、被請求人は、該イベント開催の告知(乙9、乙10)及び広告用のチラシ(乙8、乙12)を作成、配布していること及び該イベントにおいて空手の技やサッカーの技能を披露した佐藤安良氏を代表取締役とするサンキューオフィスに対して、該イベント開催に係る諸費用に関する見積書を作成し、見積りどおりの金額をサンキューオフィスから領収していること(乙4)からすれば、被請求人は、「該イベントの企画・運営又は開催」の役務を提供したということができる。
イ 使用役務と取消対象役務との関係
取消対象役務中「サッカーの興行の企画・運営又は開催」において、興行の対象となる「サッカー」とは、「1チーム11名以下の選手からなる2チームがサッカーボールを用いて攻防を行い、競技時間内に相手チームのゴールエリアへボールをシュートすることで得られる得点の多さを競う競技」と定義されている(甲2)。
そうすると、「サッカーの興行の企画・運営又は開催」とは、上記のとおり定義されたサッカーという競技の企画・運営又は開催とみるべきである。
一方、使用役務は、上記アのとおり、「参加者に空手の技やサッカーの技能を見せ、同時にフリーマーケットの場(チャリティーの場)を設けた複合的なイベントの企画・運営又は開催」であるところ、イベントの内容として、「サッカーの技能を見せる」ことが含まれているものの、これが上記したサッカーの定義と合致しないことは明らかであり、イベントの一部としてサッカーに関する見世物があることをもって、該イベントを「サッカーの興行」とみることはできない。
してみれば、使用役務は、「『サッカーの興行』とは異なる『複合的な興行』の企画・運営又は開催」というべきである。
(4)使用時期について
チラシ(乙8、乙12)には、イベントの開催日として「12月24日」及び「12月25日」の記載があるものの、開催年が不明であるところ、該チラシの校正準備に係るファックスの発信日は「平成26年11月8日」であり、また、該イベントの告知が掲載された丸亀市のごみだし計画表(乙9)には「平成26年度」の記載があり、もしも新聞(乙10)には「2014年12月1日」の記載があることから、チラシ(乙8、乙12)に掲載のイベントは、平成26年12月24日及び25日に開催されたものであると認められる。
そして、チラシ(乙12)の印刷発注に係る請求書(乙14)の取引日付は、「H26.12.8」であり、該印刷代の領収証(乙16)の日付は「平成27年3月30日」である。
なお、上記日付はいずれも要証期間内の日付である。
(5)被請求人の主張について
被請求人は、「興行」として成立するためには、「見世物を催す」ことであれば成立することから、「サッカーの興行」には、サッカーの技を見せる催し物も含まれ、同人が開催したイベントは、「サッカーの技」を見世物として催しているため、該イベントは「サッカーの興行」にあたるといえる旨主張している。
しかしながら、被請求人が開催したイベントが「興行」にあたるとしても、「サッカーの興行」とは異なるものであることは、上記(3)のとおりであり、また、「サッカーの技能を観客に見せること」を内容とするイベントにおいて、これが一般に「サッカーの興行」と定義され、若しくは、そのように認識されていることを認めるに足りる証拠の提出はない。
そうすると、使用役務は、役務の区分第41類に属する「興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)」の範ちゅうの役務とみるのが相当であるから、被請求人の主張は採用できない。
(6)小括
以上のとおり、被請求人(商標権者)は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標を、同人が企画・運営等するイベントの広告用のチラシに表示していたものと認められ、これは、形式上、商標法第2条第3項第8号に規定する商標の使用に該当し、被請求人は、「イベント(興行)の企画・運営又は開催」の役務を提供したものと認められるとしても、被請求人による「イベント(興行)の企画・運営又は開催」は、取消対象役務の範ちゅうには属さないものであるから、被請求人が、要証期間内に、取消対象役務について本件商標を使用したとは認められない。。
その他、被請求人は、取消対象役務について、本件商標を使用していることを立証していない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、取消対象役務について、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標を使用していることを証明したものということができない。
また、被請求人は、取消対象役務について、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、第41類「野球の興行の企画・運営又は開催,サッカーの興行の企画・運営又は開催」について、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)


審理終結日 2017-05-23 
結審通知日 2017-05-26 
審決日 2017-06-15 
出願番号 商願2006-4403(T2006-4403) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y41)
最終処分 成立 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 中束 としえ
山田 正樹
登録日 2006-08-04 
登録番号 商標登録第4975291号(T4975291) 
商標の称呼 モシコム 
代理人 特許業務法人山内特許事務所 
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