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審決分類 |
審判 査定不服 観念類似 取り消して登録 W0737 審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W0737 審判 査定不服 称呼類似 取り消して登録 W0737 |
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管理番号 | 1331364 |
審判番号 | 不服2017-7599 |
総通号数 | 213 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2017-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-05-26 |
確定日 | 2017-08-18 |
事件の表示 | 商願2016-45430拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第7類「食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製麺機,包装用機械器具,バケットに載せた食品を連続的に移動させて当該食品を殺菌及び冷却するための装置(食料加工用機械器具),麺類を蒸すための装置(食料加工用機械器具),食品を加熱及び冷却するための装置(食料加工用機械器具),麺類を茹でるための装置(食料加工用機械器具)」及び第37類「食料加工用又は飲料加工用の機械器具の修理又は保守,製麺機の修理又は保守,包装用機械器具の修理又は保守,バケットに載せた食品を連続的に移動させて当該食品を殺菌・冷却するための装置(食料加工用機械器具)の修理又は保守,麺類を蒸すための装置(食料加工用機械器具)の修理又は保守,食品を加熱及び冷却するための装置(食料加工用機械器具)の修理又は保守,麺類を茹でるための装置(食料加工用機械器具)の修理又は保守」を指定商品及び指定役務として,平成28年4月21日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第671773号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,昭和38年12月9日に登録出願,第9類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同40年3月31日に設定登録され,その後,平成18年4月26日に指定商品を第7類「食料加工機械」とする指定商品の書換登録がされ,現に有効に存続しているものである。 3 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は,別掲1のとおり,その左側に,外側に向けて放射状に連続した突起を有する歯車状の円形図形の内部を中央水平方向の枠線で連結し,その中に「ASAHI」の欧文字を配してなる図形を表してなり(以下「左側部分」という。),その右側に,左側部分と高低を揃えて,上段に「人と食味の明日をめざす」の文字を,横線を介して,下段に太字の飾り文字で「技術のアサヒ」の文字を,それぞれ横幅をほぼ揃えて表してなるものである(以下「右側部分」という。)。そして,左側部分と右側部分は,間隔を設けて配置されているばかりか,左側部分は図形と文字がバランスよく組み合わされているのに対し,右側部分は主に文字が大部を占めることから,これら構成要素の対比により,両者は視覚上分離して認識されるものであるから,両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものということはできない。そうすると,本願商標は,構成上,左側部分と右側部分とに分離して認識,理解されるもので,それぞれが独立した構成部分であるとの印象を与えるものであるから,本願商標に接する需要者,取引者は,左側部分と右側部分のそれぞれを,自他商品識別標識として強い印象を与える要部として認識,理解し,取引に当たるというべきである。 そして,本願商標の左側部分の構成中,「ASAHI」の文字部分は「朝昇る太陽」の意味を有する「あさひ(朝日,旭)」の語をローマ文字で表記したものと想起させるもので(参照:「広辞苑第6版」岩波書店発行),歯車状の図形部分は,前記文字部分からの連想もあいまって,放射状に光を照射する太陽を,歯車に似せて描いてなる可能性も示唆するもので,その構成全体に抽象的ながらも観念上のつながりがあるといえる。そうすると,左側部分は,全体として特定の観念を生じるような図形ではないものの,歯車状の図形内に「ASAHI」の文字を一体的に組み合わせて表してなるものと認識,理解できるものである。そのため,本願商標の左側部分は,構成全体としては特定の観念を生じるものではないが,称呼に関しては,その構成中,唯一の文字部分である「ASAHI」の文字に相応して「アサヒ」の称呼を生じる。 他方,本願商標の右側部分は,上段の「人と食味の明日をめざす」の文字部分は,直ちに具体的な観念を想起させるものではないが,漠然とした意味合いの標語を表してなることは理解できるもので,自他商品の識別標識としての与える印象は比較的弱いものである。そして,その下段の「技術のアサヒ」の文字部分は,漠然とした意味合いとして「技術」に自信のある「アサヒ」なる名称の会社の標語を表してなるものであり,その書体も比較的目立つ態様よりなるものである。そうすると,本願商標の右側部分の構成中,自他商品の識別標識として強い印象を与えるのは,その構成上及び観念上の対比を考慮すれば,比較的顕著に書された「技術のアサヒ」の文字部分というべきで,これより「ギジュツノアサヒ」の称呼が生じるが,特定の観念は生じない。 (2)引用商標について 引用商標は,別掲2のとおり,円輪郭内に,上段に「ASAHI」の文字を左右に短い横線を配して表し,中段に翼を広げて飛ぶ鳥のようなシルエットを簡略に描いた図形を表し,下段に円輪郭の下側から上側に向けて盛り上がるように描かれた3本の円弧で,その最下側は黒塗りしてなる図形を表してなるものである。その構成中「ASAHI」の文字部分は「朝昇る太陽」の意味を有する「あさひ(朝日,旭)」の語をローマ文字で表記したものと想起されるところ(参照:前掲広辞苑),この文字部分からの連想もあいまって,下段の内側が黒塗りされた3本の円弧は,黒塗りの内側の円から光の輪が二重に広がる,昇りつつある太陽を描いてなる可能性を想起させるものである。そうすると,引用商標は,全体として特定の観念を生じるとはいい難いが,各構成要素をまとまりよく円輪郭内に一体的に表してなるものとは認識,理解できるものである。 そのため,引用商標は,その構成全体から生じる印象をもって取引されるというのが相当であり,上記のとおり,構成全体から特定の観念は生じないが,称呼に関しては,その構成中,唯一の文字部分である「ASAHI」の文字に相応して「アサヒ」の称呼を生じる。 (3)本願商標と引用商標の類否について 上記を踏まえて本願商標の要部である左側部分と引用商標を比較すると,いずれも「ASAHI」の構成文字から生じる「アサヒ」の称呼を共通にする場合があるとしても,構成全体としての観念は生じないため,互いに比較することができない。そして,両者の外観は,「ASAHI」の構成文字を共通にするものの,外枠の輪郭の態様は歯車状と円状とで相違し,鳥のようなシルエット図形の有無や各図形要素の構成態様なども著しく相違するため,それぞれの外観上の印象は著しく相違する。 そして,本願商標の指定商品中「食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製麺機,バケットに載せた食品を連続的に移動させて当該食品を殺菌及び冷却するための装置(食料加工用機械器具),麺類を蒸すための装置(食料加工用機械器具),食品を加熱及び冷却するための装置(食料加工用機械器具),麺類を茹でるための装置(食料加工用機械器具)」及び引用商標の指定商品「食料加工機械」は,事業場において専ら業務用として飲食料を加工製造するために使用される機械器具であり,その需要者,取引者は,食品加工などに携わる専門業者であり,実際の購入に当たっては,機械の性能やメーカーの信用等についての慎重な検討が行われることが,容易に推認される。 以上のとおり,本願商標の左側部分と引用商標は,「アサヒ」の称呼を共通にするものの,構成全体の観念においては比較できず,外観は顕著に相違することから,両商標の指定商品の取引においては,慎重な検討がなされることも考慮すると,両者の構成全体の外観における顕著な相違は,称呼の共通性を凌駕するものである。そのため,本願商標の左側部分は,引用商標とは,それらの指定商品における需要者,取引者において,出所の誤認混同が生じるおそれはないというべきである。 なお,本願商標のもう1つの要部である右側部分と引用商標は,称呼については後半3音の「アサヒ」の称呼が共通するも,前半の「ギジュツノ」の音の有無に差異があることから,全体としては聞き誤るおそれのないものであり,外観は明らかに相違し,観念も比較することができない。そうすると,両者は,外観,称呼及び観念のいずれにおいても類似しない非類似の商標である。 したがって,本願商標と引用商標は,類似する商標ではない。 (4)まとめ 以上のとおり,本願商標は,引用商標とは非類似の商標であるから,商標法第4条第1項第11号には該当しない。 その他,本願について拒絶の理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 (本願商標) 別掲2 (引用商標) |
審決日 | 2017-08-08 |
出願番号 | 商願2016-45430(T2016-45430) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
WY
(W0737)
T 1 8・ 263- WY (W0737) T 1 8・ 261- WY (W0737) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 佐藤 松江 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
田村 正明 阿曾 裕樹 |
商標の称呼 | アサヒ、ヒトトショクミノアシタオメザスギジュツノアサヒ、ヒトトショクミノアスオメザスギジュツノアサヒ、ヒトトショクミノアシタオメザス、ヒトトショクミノアスオメザス、ヒトトショクミノアシタ、ヒトトショクミノアス、ショクミノアシタオメザス、ショクミノアスオメザス、ギジュツノアサヒ |
代理人 | 西村 知浩 |