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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W03
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W03
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W03
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W03
管理番号 1330336 
異議申立番号 異議2014-900335 
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-11-29 
確定日 2017-07-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第5707362号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5707362号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5707362号商標(以下「本件商標」という。)は、「Dr.Coo」及び「AQUA COLLAGEN GEL」の欧文字を2段に横書きしてなり、平成26年5月20日に登録出願、第3類「コラーゲンを配合したゲル状の化粧品,コラーゲンを配合したゲル状のせっけん類」を指定商品として、同年9月8日に登録査定、同年10月3日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 引用に係る登録商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は、以下の3件の登録商標(以下、これら商標をまとめて「引用商標」という。)であり、いずれも、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4559814号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲1のとおり
登録出願日:平成13年2月26日
設定登録日:平成14年4月12日
指定商品 :第3類「コラーゲンを配合してなるゼリー状のせっけん,コラーゲンを配合してなるゼリー状の化粧品」
(2)登録第5690452号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成26年3月7日
設定登録日:平成26年8月1日
指定商品 :第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,コラーゲンを配合してなるゼリー状のせっけん,コラーゲンを配合してなるゼリー状の歯磨き,コラーゲンを配合してなるゼリー状の化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」
(3)登録第5709694号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成26年5月15日
設定登録日:平成26年10月10日
指定商品 :第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,コラーゲンを配合してなるゼリー状のせっけん,コラーゲンを配合してなるゼリー状の歯磨き,コラーゲンを配合してなるゼリー状の化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」
2 申立人の使用商標
申立人が、登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとして引用する商標は、「Aqua-Collagen-Gel」の欧文字を横書きしてなる商標(以下「申立人使用商標1」という。)及び「アクアコラーゲンゲル」の片仮名を横書きしてなる商標(以下「申立人使用商標2」といい、申立人使用商標1及び2をまとめて「申立人使用商標」という場合がある。)であり、申立人が、商品「多機能スキンケア化粧品」について使用しているとするものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第11号及び同項第10号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第27号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標1との類否
本件商標と引用商標1とを比較すると、両者は構成要素が上下2段に分けて配置記載されている。
そして、本件商標は、上段と下段の文字の大きさが異なっているうえ、観念的な統一性もないから、一般需要者はこれを全体観察だけでなく、上段と下段を分離して観察し認識することもある。
これに対し、引用商標1は、別掲1に示したとおり、上段には、リボンと5角形及び4角形が組み合わさったオリジナル図形(以下「オリジナル図形」という。)中に「Dr.Ci:Labo」の文字が記載された図形標章が配置されており、その下段には、「Aqua-Collagen-Gel」の文字が配置記載されている。
上段の図形標章は当該権利者の周知なハウスマークであり、下段は権利者の周知な商品シリーズマークであるから、一般需要者はこれを常に全体観察するだけでなく、上段と下段を分離して観察し認識することもある。
したがって、本件商標と引用商標1の下段から共に「アクアコラーゲンゲル」の称呼が生じるから、両商標は、称呼が類似する。
そして、引用商標1の構成中の商品シリーズマーク(商品群商標)「Aqua-Collagen-Gel」は、「Aqua」は水を意味するフランス語やヴェネツィア語であるが、英語にはこのような単語はなく、コラーゲンを意味する「Collagen」とゲルを意味する「Gel」は英語である。このように異なる言語の組み合わせは、オリジナルな造語であり品質表示として普通に用いられるものではない。特許庁においても、商標「アクアコラーゲン」からは、格別の意味合いを認識し得ない一種の造語と認められると認定(甲5ないし甲7)している。
(2)本件商標と引用商標2との類否
引用商標2は、オリジナル図形中に「Aqua-Collagen-Gel」の文字が記載された構成からなるところ、上記(1)で述べたように自他商品識別力があり、「アクアコラーゲンゲル」の称呼が生じること明らかである。
これに対し、本件商標からも、上記(1)で述べたとおり、「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分から「アクアコラーゲンゲル」の称呼が生じる。
したがって、本件商標と引用商標2とは、称呼が類似する。
(3)本件商標と引用商標3との類否
引用商標3は、「Aqua-Collagen-Gel」の文字がリボン図形中に記載された構成からなるところ、該文字部分は、上記(1)で述べたように自他商品識別力があり、「アクアコラーゲンゲル」の称呼が生じること明らかである。
これに対し、本件商標からも、上記(1)で述べたとおり、商標構成要素の「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分から「アクアコラーゲンゲル」の称呼が生じる。
したがって、本件商標と引用商標3とは、称呼が類似する。
(4)小括
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼が類似するものであり、本件商標は、商標法第4条1項11号に該当するものであるから、その登録を取り消すべきものである。
2 商標法第4条第1項10号について
申立人は、申立人使用商標を多機能化粧品の名称として1999年から継続して使用をしてきた事実がある。申立人は、皮膚科医が開発した多機能スキンケア化粧品の名称に申立人使用商標を使用し、主力商品の名称として使用をしてきた。その結果、今やその販売実績が示すように、当該商標は、申立人の業務にかかる商品を示す表示として需要者の間で広く認識されるようになっており、自他商品識別力を有する状態になっている。
(1)多機能保湿化粧品「Aqua-Collagen-Gel」の誕生 申立人の創業者である皮膚科医が、平成7年12月にスキンケア化粧品の開発に着手し、1998年(平成10年)には「万能保湿ゲル」の開発に成功した。これは、水分で肌を保湿し、これひとつで化粧水、乳液、美容液、ブライトニング、化粧下地の5つの機能を有するというコンセプトで皮膚科医が発想した新しいタイプのスキンケア商品である。
これがクリニックを訪れる患者を介して評判となり、多くの人が当該「万能保湿ゲル」を求めるようになったので、1998年(平成10年)12月に、これを化粧品として通販事業に乗り出し、その商品のネーミングとして申立人使用商標を採択した(甲8)。それ以来、多機能スキンケア化粧品のシリーズ化した商品名商標(プロダクトブランド)として使用している。
(2)申立人使用商標は、申立人の事業における柱となる主力商品として会社発展の原動力となっている。
申立人は、1999年(平成11年)2月には法人組織化し、株式会社ドクターシーラボとして申立人使用商標を使用した多機能スキンケア化粧品(以下「申立人商品」という。)をはじめとするスキンケア商品の通信販売を開始した。以来、今日まで15年間、申立人は、開発コンセプトを踏襲し、人の肌が持つ自然治癒力に着目したスキンケア商品の開発をしてシリーズ化し、これに、申立人使用商標を表示して事業の柱となる基幹商品として継続的に販売してきた。その結果、申立人使用商標を表示したシリーズ化した申立人商品は、その高い機能性と利便性が支持され、今や累計3000万個を突破するロングヒット商品となっている(甲9)。
(3)申立人使用商標シリーズの歩み
申立人は、申立人使用商標を表示した申立人商品を1998年(平成10年)12月に発売開始し、シリーズ化してきた(甲8及び甲10ないし甲22)。
初代アクアコラーゲンゲルの誕生から15年。この間、成分や使用感の改良を重ね、配合量や配合成分にもこだわり、お客様の様々な声に応えた悩み別のゲルを開発し進化してきた。しかも、申立人商品は、化粧品・乳液・美容液・ブライトニング(美白液)・化粧下地という機能をワンステップに集約し、働く女性の増加を背景にスキンケアにかける時間を軽減するオールインワン化粧品として人気を得て業界をリードし、そのカテゴリーを市場において普及し、存在感を高めるのに大きな役割を果たしてきた。
(4)申立人商品の累計販売個数
申立人使用商品の累計販売個数は、2008年4月には累計販売個数1000万個を突破し、そのわずか2年後の2010年4月には累計販売個数1500万個を超え、2011年6月には2000万個を超え、さらに2013年1月には累計販売個数2500万個を突破し、2014年6月には累計販売個数3000万個に達するというロングヒット商品になっている(甲8、甲9及び甲25)。
(5)申立人の売上高の推移と申立人商品の貢献度
申立人の会社設立からJASDAQ上場時代までの売上高の伸びは、総売上高は2000年1月の3.3億円から2006年1月期の166億円と6年間で約60倍に急増し、拡大するドクターコスメ市場の約40%のシェアを占めるようになり、ドクターコスメの分野でのリーディングカンパニーとなった。
申立人は、会社設立以来15年間にわたり、主力商品として申立人商品を販売して売上げを伸ばし、それによって事業を発展させてきた。しかも、各決算年月における申立人の総売上げに対する申立人商品の売上構成比は、35%?39%であり、申立人の事業発展は、主力商品である申立人商品に依存しているのである。
(6)申立人の事業発展の歩みと化粧品業界での地位
申立人の具体的な事業発展の歩みについては、「2013年7月期有価証券報告書」で公表されているとおりである(甲23及び甲24)。
申立人の商品の販路は、主に通信販売であるが、対面型店舗販売や卸売販売も行って、海外でも販売している(甲25)。当該対面型店舗販売は全国157店舗で販売しており、卸売販売はドラックストアなど10,369店舗で販売しており、海外販売は韓国、中国、香港、台湾、シンガポールなどの5ケ国、20店舗で販売している(甲25)。
また、申立人は、化粧品業界では、ドクターコスメのリーディングカンパニーとして確固たる地位を築いており、特に、申立人商品を基幹とするモイスチャー品目における2012年度のメーカーシェアは11.6%で、同ブランドシェアは11.3%と第1位の実績を確保している(甲26)。
さらに、ドクターコスメの企業別シェアでは、2012年度の市場シェアは45%、2013年度の市場シェアは45.3%とダントツの1位であり、そのブランドシェアも42.6%とダントツ1位である(甲27)。
また、申立人は、申立人商品について、通信販売を中心に対面型店舗販売、卸売販売を行っているが、そのために、会報誌、雑誌、テレビ・ラジオ、新聞、インターネット、ダイレクトメール、メールマガジン、その他など多様な媒体を利用した広告宣伝を盛んに行っており、そのための広告宣伝費用は、第8期(2006年度)?第15期(2012年度)までに総額32,746,998(千円)程である。
(7)申立人使用商標は申立人の周知商標である。
上記のとおり、申立人は、申立人商品を創業以来現在に至るまで一貫として基幹商品として継続して製造販売してきており、その貢献により急速な企業発展を実現してきた。その要因は、申立人商品が画期的で優れた化粧品であることに加えて、常にお客様の要望にこたえて研究開発し商品を進化させてきたこと、さらに、多額の広告宣伝をしてその認知度を高める努力をしてきたことによるものである。
したがって、申立人使用商標は、申立人の業務に係る商品であることが需要者の間で広く知られた状態になっており、申立人のブランドとして広く認知されている。
(8)小括
以上のとおり、申立人使用商標は、申立人の長年にわたる使用により、周知商標になっている。
したがって、本件商標は、他人の周知商標に類似する商標であって、同一又は類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当するから、その登録を取り消すべきものである。

第4 当審における取消理由
当審において、平成27年8月27日付けで、本件商標権者に対し、通知した取消理由の内容は、要旨以下のとおりである
1 申立人の提出した証拠及び職権調査によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)申立人は、平成11年2月の会社設立と同時に、「化粧水」、「乳液」、「美容液」、「美白液」及び「化粧下地」の役割を一つで果たす多機能スキンケア化粧品について「アクアコラーゲンゲル」と称して通信販売を開始して以来、主に引用商標1を使用し、保湿力を重視した「薬用アクアコラーゲンゲルスーパーモイスチャー」、敏感肌のための「薬用アクアコラーゲンゲルスーパーセンシティブ」、リフトケアに特化した「アクアコラーゲンゲルエンリッチリフトEX」、美白ケアを重視した「薬用アクアコラーゲンゲル美白」等のシリーズ商品を販売しているほか(甲8ないし甲17及び甲19ないし甲22及び甲26)、男性用のスキンケア商品も販売している(甲18)。
(2)引用商標をはじめ申立人使用商標2を表示してシリーズ化された、申立人商品は、高い機能性と利便性が支持され、平成11年の販売開始以来、販売数は年々増加し、2008年4月に累計販売個数1000万個、2011年6月に累計販売個数2000万個を突破し、2014年7月には3000万個に達するロングヒット商品となっている(甲8、甲9、甲25及び職権調査(http://www.ci-labo.com/lp/acg/))。
(3)申立人商品については、通信販売のみならず、対面型店舗販売、卸売販売、海外販売も行われ、2013年7月現在、同商品を取り扱う店舗は直営店を含め全国で157店舗、卸売販売店舗数はドラッグストア4800、調剤薬局4000など合計10,369店舗に達するほか、海外では韓国、中国(上海)、香港、台湾及びシンガポールの5カ国20店舗になる(甲25)。
申立人商品の紹介や申立人ウェブサイトにおいては、引用商標1の上段部分(「Dr.Ci:Labo」の文字を含む図形)がハウスマークとして常に表示されると共に、商品の容器には引用商標1が常に表示されている(甲8ないし甲22及び甲25)。
(4)申立人は、申立人商品を主力製品として販売し、近年における申立人の会社全体の売上高は、平成21年が約258億9988万円、平成22年が約317億8953万円、平成23年が約362億3323万円、平成24年が約390億8242万円、平成25年が約339億9038万円に達する(甲24)。
そして、申立人商品は、いわゆるドクターコスメ(医師(主に皮膚科医)若しくは医学博士が開発・研究に参加していること、又は皮膚科、形成外科、美容外科などのクリニック、病院、医院で販売若しくは紹介していること、のいずれかの条件を満たしたブランドを抽出しているもの)の範ちゅうに属する商品であり、ドクターコスメの市場における企業別シェアでは、申立人が2009年に35.5%、2010年に39.2%、2011年に43.9%、2012年に45.0%を占め、ブランド別シェアにおいても申立人の「シーラボ」ブランドが2009年に33.1%、2010年に36.1%、2011年に40.9%、2012年に42.2%を占め、いずれも第2位以下を大きく引き離して第1位となっている(甲27)。
また、申立人の主張によれば、申立人の総売上に対する申立人商品の売上構成比は、2009年7月期から2013年7月期の間において、35.8パーセントから39.0パーセントであり、上記(2)の記載のとおり、申立人商品の総販売個数が3000万個を超えることからすれば、ドクターコスメの市場における申立人商品のシェアも高いものと推認することができる。
また、申立人の主張によれば、申立人商品については、会報誌、雑誌、テレビ・ラジオ、新聞、インターネット等多様な媒体により広告宣伝を行い、2006年度から2012年度までに総額327億4699万円余を費やしたとされているところ、甲第8号証ないし甲第22号証のNews Release資料、甲第26号証(「化粧品マーケティング総鑑2012年版」)中の「広告、販促」の項における記述や、甲第27号証(「2013年ドクターコスメの市場分析調査」)中の「・主な販促活動として、マス広告、SNSの活用、割引・特典がある。・マス広告については、主力商品『アクアコラーゲンゲル』を中心にTVCMを展開している。・SNSの活用については、・・・SNS限定のキャンペーンを行っている。」等の記述からすれば、申立人商品に関しても広く広告宣伝が行われたものと推認することができる。
2 上記1の事実によれば、引用商標、特に引用商標1は、本件商標の登録出願時には既に、申立人商品について使用する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきである。
3 本件商標と引用商標の類否
上記2のとおりの認定を前提として、以下、本件商標と引用商標との類否について検討する。
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおりの構成からなるものであるところ、「Dr.Coo」及び「AQUA COLLAGEN GEL」の欧文字を2段に併記したものと認識されるものであり、また、前示のドクターコスメの業界においては、本件商標中の「Dr.Coo」の文字部分は、当該商品がドクターコスメに関連した商品であることを暗示させるか又は当該商品に関わっている医師や研究所等を連想、想起させる場合も少なくないものというべきである。
そうすると、本件商標は、その構成に照らし、「Dr.Coo」の文字部分と「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分とに視覚上分離して看取されるばかりでなく、「Dr.Coo」の文字部分が代表的出所標識ないしはハウスマークとして認識され、かつ、「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分が個別商品を表す、いわゆるペットマークとして認識される場合も少なくないものといえること、「Dr.Coo」の文字部分と「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分とが常に不可分一体のものとして認識し把握されるべき格別の理由も見出し難いこと、などからすると、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきである。
してみれば、本件商標は、「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分を捉え、これより生ずる称呼をもって取引に資される場合が少なくないというべきであり、「アクアコラーゲンゲル」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
(2)引用商標
ア 引用商標1について
引用商標1は、別掲1のとおり「Dr.Ci:Labo」の欧文字を構成中に有する図形部分と「Aqua-Collagen-Gel」の欧文字との組合せからなるところ、該図形部分と「Aqua-Collagen-Gel」の文字部分とは、上下に離れて表示されており、上下それぞれの構成部分をもって取引に資されることも決して少なくないといえるから、「Aqua-Collagen-Gel」の文字部分から「アクアコラーゲンゲル」の称呼をも生ずるものである。
イ 引用商標2及び3について
引用商標2及び3は、別掲2及び3のとおり、図形と「Aqua-Collagen-Gel」の欧文字との組合せからなるところ、該図形と文字とが常に不可分一体にのみ認識されるべき格別の理由は見出し難く、読み易い文字部分を捉え、これより生ずる称呼をもって取引に資される場合が少なくないといえるから、いずれも「アクアコラーゲンゲル」の称呼を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
上記(1)及び(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、「アクアコラーゲンゲル」の称呼を共通にし、「AQUA COLLAGEN GEL」の綴りを同じくすること、さらに、引用商標1とは、その上に「Dr.○○」の文字が配されている点でも、構成上の共通点があること、加えて、上記2のとおり、引用商標が本件商標の指定商品を取り扱う業界において申立人の業務に係る商品を表示する商標として広く認識されていることをも併せ考慮すれば、本件商標は、その指定商品に使用するときは、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあり、引用商標と類似する商標といわなければならない。
また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、ともに、「せっけん類」や「化粧品」に該当する商品を指定商品としているものであり、同一又は類似の商品ということができるものである。
4 まとめ
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわなければならない。

第5 本件商標権者の意見
上記第4の取消理由に対し、本件商標権者は、要旨以下のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証(決定注:本件商標権者は、甲第1号証ないし甲第7号証として提出しているが、申立人提出の証拠方法と区別するために、本決定においては、乙第1号証ないし乙第7号証とする。)を提出した。
1 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、大書した「Dr.Coo」の欧文字と「AQUACOLLAGEN GEL」の欧文字を2段に横書きしてなるが、商取引社会においては、上下全体で一体としての印象を看者に与えるものである。
2 本件商標と引用商標との比較
(1)外観
ア 本件商標が2段表記なのに対して、引用商標1は、その構成中、上部の「Dr.Ci:Labo」の文字を含む図形部分「Aqua-Collagen-Gel」の文字部分とは、上下に離れて表示されていても、目立つ部位と、下側の文字部分の「Aqua-Collagen-Gel」とが、一体的となって自他商品の識別標識として認識されるものといえる。
イ 引用商標2及び3は、「Aqua-Collagen-Gel」の文字商標と、これを囲むようにした逆Ω状に形成されたリボンデザイン部とが一体化した商標である。
ウ したがって、本件商標と、引用商標とは、両者の外観では、明らかに非類似の商標である。
(2)観念
本件商標と引用商標とが、造語「AquaCollagenGel」の文字を含んでいるとしても、本件商標の上段の「Dr.Coo」は造語であり、引用商標も、本件商標とは著しく異なる「Dr.Ci:Labo」の欧文字を含んでおり、全体として比較すると、意味要因としての観念としては、非類似と判断せざるを得ない。
(3)称呼
本件商標の称呼は、「ドクタークーアクアコラーゲンゲル」であり、一方、引用商標1は「ドクターシーラボアクアコラーゲンゲル」の称呼であり、引用商標2及び3は、「アクアコラーゲンゲル」である。したがって、本件商標と、引用商標とは、称呼の点では、明らかに相違しているから、十分に聴別し得る。
(4)小括
よって、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼、観念のいずれにおいても非類似の関係にあるものである。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは相互に非類似な商標であるから、指定商品が同一又は類似しても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(5)まとめ
ア 図形と文字からなる商標及び2段表記の文字からなる商標において、現行の審査基準では、図形又は文字の何れかにおいて類似する要素が存在していれば、全体として類似するとして審査されている。しかし、最近の審決又は判例では、称呼が同一であっても、全体の外観又は観念が相違していれば、両商標は、相互に非類似であるとの判断がされている。
イ 上記アの理論構成からすると、本件商標は、引用商標において一致する部分があったとしても、取引者、需要者をして全体判断をすれば、商品の出所について混同を生じさせるおそれのある類似の商標とはいえないと判断するのが相当である。
したがって、本件商標と引用商標とは非類似である。
3 その他、本件商標が維持されるべき理由
関連会社商標である「Anmut\アンムート」は、称呼が同一であっても、非類似と判断され登録(登録第5770379号商標)(乙1)されており、また、参考とすべき審決例等として、両商標の要部の称呼が同一の場合や、両商標の称呼が同一の場合であっても、取引者、需要者の事情を考慮することで、出所の混同のおそれもなく、非類似と判断された例が複数存在する(乙2ないし乙7)。

第6 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標についてした前記第4の取消理由は、妥当なものであって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 2 本件商標権者の意見について
(1)本件商標について
本件商標権者は、本件商標は大書した「Dr.Coo」の欧文字と「AQUACOLLAGEN GEL」の欧文字を2段に横書きしてなるが、商取引社会においては、上下全体で一体としての印象を看者に与えるものである旨主張する。
しかしながら、本件商標は、その構成に照らし、「Dr.Coo」の文字部分と「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分とに視覚上分離して看取されるものであって、上段の「Dr.Coo」の文字部分が、いわゆる代表的出所標識ないしはハウスマークとして認識され得るとしても、下段の「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分は、個別商品を表す、ペットマークとして認識されるものというべきである。そして、「Dr.Coo」の文字部分と「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分とが常に不可分一体のものとして認識し把握されるべき格別の理由も見出し難いことからすると、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものというのが相当である。
したがって、本件商標権者の上記主張は採用することができない。
(2)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標権者は、(ア)引用商標はいずれも一体的に表されており、外観においては明らかに非類似の商標であること、(イ)観念においては、本件商標と引用商標とが、造語「AquaCollagenGel」の文字を含んでいるとしても全体として非類似であること、また、(ウ)称呼においては、本件商標の称呼は、「ドクタークーアクアコラーゲンゲル」であるところ、引用商標1の称呼は「ドクターシーラボアクアコラーゲンゲル」、引用商標2及び3の称呼は、「アクアコラーゲンゲル」であるから、本件商標の称呼と引用商標の称呼は、明らかに相違し、十分に聴別し得るものであることを述べ、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼、観念のいずれにおいても非類似の商標である旨主張している。
しかしながら、本件商標の構成中、「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分は、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たす要部といえるものであることは上記(1)に記載のとおりである。
そして、引用商標は、別掲1ないし別掲3に示したとおりの構成からなるところ、本件商標の構成中の「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分と、引用商標の構成中の「Aqua-Collagen-Gel」の文字部分は、その外観が類似し、称呼を同じくするものであり、しかも、本件商標と引用商標1とは、「Dr.○○」の文字が配されている点でも共通しているものである。加えて、引用商標が、我が国において、申立人商品について使用される商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたことをも勘案するならば、本件商標の構成中の「AQUA COLLAGEN GEL」の文字部分は、申立人商品について使用される周知な「Aqua-Collagen-Gel」商標を想起させるといえるものであるから、本件商標と引用商標とは、相紛れるおそれがあるものといわざるを得ないものである。
そうとすれば、両商標は、これらを同一又は類似する商品に使用した場合、その商品の出所について誤認混同を生じるおそれのある類似する商標というべきである。
したがって、本件商標権者の上記主張は採用することができない。
イ 本件商標権者は、同一の称呼を生じる商標が非類似と判断された審査例、審決例等を挙げ本件商標も同様に判断すべきである旨主張する。
しかしながら、商標権者の挙げる登録第5770379号商標(乙1)は、職権により調査したところ、商標登録原簿の記載によれば、審査において引用された登録第2645967号商標に係る商標権は、平成26年4月28日に存続期間満了により消滅しており、その抹消から1年が経過した後の同27年5月1日に登録査定がされていることから、該登録商標と非類似の判断がされ登録されたとまではいえないものである。
また、乙第2号証ないし乙第7号証の審決及び判決を提出するが、商標の類否の判断は、当該商標と他人の登録商標(引用商標)との対比において、個別・具体的に判断すべきものであって、本件商標と引用商標の類否の判断は、前記第4の3のとおりであるから、該審決及び判決例をもって、本件の判断が左右されるべきものではない。
したがって、本件商標権者の上記主張は採用することができない。
3 むすび
以上のとおりであるから、商標法第4条第1項第10号該当性について論じるまでもなく、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標1)



別掲2(引用商標2)



別掲3(引用商標3)




異議決定日 2016-02-29 
出願番号 商願2014-39936(T2014-39936) 
審決分類 T 1 651・ 261- Z (W03)
T 1 651・ 262- Z (W03)
T 1 651・ 263- Z (W03)
T 1 651・ 25- Z (W03)
最終処分 取消 
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 田中 亨子
中束 としえ
登録日 2014-10-03 
登録番号 商標登録第5707362号(T5707362) 
権利者 有限会社クーインターナショナル
商標の称呼 ドクタークーアクアコラーゲンゲル、ドクタークーアクアコラーゲンジェル、ドクタークー、クー、シイオオオオ、アクアコラーゲンゲル、アクアコラーゲンジェル、アクアコラーゲン、アクア 
代理人 大津 洋夫 
代理人 岩堀 邦男 
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